(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】表示制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/84 20130101AFI20220809BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220809BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220809BHJP
G09G 5/22 20060101ALI20220809BHJP
G06F 3/048 20220101ALI20220809BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G06F21/84
G09G5/00 550A
G09G5/36 520E
G09G5/22 680L
G09G5/00 530H
G06F3/048
H04M1/00 R
(21)【出願番号】P 2018137045
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 直樹
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/058683(WO,A1)
【文献】特開2016-212451(JP,A)
【文献】特開2006-074526(JP,A)
【文献】特開2015-191487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/84
G09G 5/00
G09G 5/36
G09G 5/22
G06F 3/048
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域の大きさに基づいて決定された表示方法に従って、被秘匿情報を含む内容を表示部に表示させる制御部
を有する表示制御装置であって、
前記大きさは、前記表示部における画面の物理的な大きさであって、
前記表示部が前記表示制御装置と別体である場合において、当該表示制御装置が当該表示部の大きさに関する情報を取得できないときは、前記制御部は、あらかじめ決められた表示方法に従って前記被秘匿情報を表示する
表示制御装置。
【請求項2】
前記表示方法は、前記被秘匿情報の秘匿性の度合いに応じて設定された閾値に基づいて決定される表示方法を含む
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
表示対象の内容が、複数の被秘匿情報を含み、
前記複数の被秘匿情報の各々について、前記大きさと前記表示方法との関係が定義される
請求項1
乃至2のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記内容が文書であり、
前記表示部において前記文書を表示する際の文字の大きさに基づいて前記表示方法が決定される
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示部が複数種類の内容の表示に対応しており、
前記複数種類の各々について、前記大きさと前記表示方法との関係が定義される
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
表示部を制御するコンピュータに、
表示領域の大きさに基づいて決定された表示方法に従って、被秘匿情報を含む内容を前記表示部に表示させるステップ
を実行させるための
プログラムであって、
前記大きさは、前記表示部における画面の物理的な大きさであって、
前記表示部が前記コンピュータと別体である場合において、当該コンピュータが当該表示部の大きさに関する情報を取得できないときは、前記表示させるステップは、あらかじめ決められた表示方法に従って前記被秘匿情報を表示させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置の表示制御を行う表示制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方としてテレワークが普及してきている。テレワーク従事者がカフェ等のオープンスペースでPCを使用して業務をする際に、周囲からPCの画面を覗き見される可能性がある。このPCの画面に秘匿性の高い情報が表示される場合があり、このような環境でPCを使用する場合には情報漏洩の恐れがある。このようなセキュリティリスクに対応した技術文献として、特許文献1、2がある。
【0003】
特許文献1では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や2次元ディスプレイ等のデバイスの属性と認証情報に基づいたユーザ属性の組み合わせで閲覧権限レベルを設定し、閲覧権限レベルに応じて表示する情報の画像を生成する。これにより、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等を権限のある個人のみが閲覧できる環境では秘匿情報を表示し、そうでない場合には秘匿情報を表示しないようにしている。
【0004】
特許文献2では、「モバイル端末に対して設定された秘匿解除レベル」と、「秘匿レベル」、「秘匿情報」をモバイル端末へ送信し、秘匿解除レベルと秘匿レベルを比較し、秘匿解除レベルが高い場合には秘匿効果を付与せずに情報を端末に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-299760号公報
【文献】特開2015-191487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被秘匿情報を含む内容を周囲から覗き見されるのを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る表示制御装置は、表示領域の大きさに基づいて決定された表示方法に従って、被秘匿情報を含む内容を表示部に表示させる制御部を有する。
請求項2に係る表示制御装置は、請求項1に係る表示制御装置において、表示対象の内容が、複数の被秘匿情報を含み、前記複数の被秘匿情報の各々について、前記大きさと前記表示方法との関係が定義される。
請求項3に係る表示制御装置は、請求項1に係る表示制御装置において、前記大きさは、前記表示部における画面の物理的な大きさである。
請求項4に係る表示制御装置は、請求項1に係る表示制御装置において、前記表示部が前記表示制御装置と別体である場合において、当該表示制御装置が当該表示部の大きさに関する情報を取得できないときは、前記制御部は、あらかじめ決められた表示方法に従って前記被秘匿情報を表示する。
請求項5に係る表示制御装置は、請求項1に係る表示制御装置において、前記大きさは、前記表示部において前記内容を表示するためのウインドウの大きさである。
請求項6に係る表示制御装置は、請求項5に係る表示制御装置において、前記ウインドウの大きさを連続的に変更する指示があった場合、変更中のウインドウの大きさに合わせて動的に前記被秘匿情報の表示方法を変更する。
請求項7に係る表示制御装置は、請求項1乃至6のいずれか一項に係る表示制御装置において、前記内容が文書であり、前記表示部において前記文書を表示する際の文字の大きさに基づいて前記表示方法が決定される。
請求項8に係る表示制御装置は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る表示制御装置において、前記表示部が複数種類の内容の表示に対応しており、前記複数種類の各々について、前記大きさと前記表示方法との関係が定義される。
請求項9に記載のプログラムは、表示部を制御するコンピュータに、表示領域の大きさに基づいて決定された表示方法に従って、被秘匿情報を含む内容を前記表示部に表示させるステップを実行させる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る表示制御装置によれば、被秘匿情報を含む内容を周囲から覗き見されるのを抑制することができる。
請求項2に係る表示制御装置によれば、秘匿情報毎に表示方法を決定することができる。
請求項3に係る表示制御装置によれば、表示部の物理的な大きさに応じて表示方法を決定することができる。
請求項4に係る表示制御部によれば、表示制御装置が表示部の大きさに関する情報を取得できない構成にも対応することができる。
請求項5に係る表示制御部によれば、ウインドウの大きさに応じて表示方法を決定することができる。
請求項6に係る表示制御装置によれば、ウインドウの大きさが動的に変更された場合、それに応じて動的に表示方法が変更される。
請求項7に係る表示制御装置によれば、文字の大きさに応じて表示方法を決定することができる。
請求項8に係る表示制御装置によれば、複数種類の内容の表示に対応することができる。
請求項9に係るプログラムによれば、被秘匿情報を含む内容を周囲から覗き見されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る情報処理装置100の構成を示すブロック図。
【
図2】情報処理装置100のソフトウェア構成を例示する図。
【
図3】プラグイン113の機能構成を示すブロック図。
【
図4】プラグイン113の動作を例示するフローチャート。
【
図5】第2実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図。
【
図6】第3実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図。
【
図7】第4実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図。
【
図8】第5実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置100の構成を示すブロック図である。情報処理装置100は、プロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信部104、操作部105、表示部106、及びI/O装置群107を有するコンピュータ装置である。情報処理装置100は、例えば、表示部106と本体(他のハードウェア要素)とが一体であるタブレット端末、スマートフォン、又はノートPC(Personal Computer)である。あるいは、情報処理装置100は、表示部106と本体とが別体であるデスクトップPCであってもよい。プロセッサ101は、各種の処理及び演算を行う。主記憶装置102は、プロセッサ101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置103は、種々のデータ及びプログラムを記憶する記憶装置である。通信部104は、インターネットやLANを介した通信を行うための装置である。操作部105は、指示又は情報を入力するための入力装置であり、例えば、タッチスクリーン、キーボード、又はマウス等を含む。表示部106は情報を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイを含む。I/O装置群107は、入出力を行うための装置群であり、例えば、カメラ及びマイク等を含む。
【0011】
図2は、情報処理装置100のソフトウェア構成を例示する図である。補助記憶装置103には、OS(Operating System)111と、文書作成ソフトウェアや作表ソフトウェア等のアプリケーションソフトウェア112と、このアプリケーションソフトウェア112にプラグインされたプラグイン113が記憶されている。プラグイン113は、アプリケーションソフトウェア112の機能を拡張するプログラムである。
【0012】
一般に表示部106の表示領域のサイズが大きくなる程、情報処理装置のユーザ以外の第3者が表示領域の表示内容を覗き見るのが容易になる。そこで、プラグイン113は、プロセッサ101に接続された表示部106の表示領域のサイズ(本実施形態におけるサイズは表示装置におけるディスプレイパネルの物理的なサイズである)を示す表示サイズ情報115を覗き見容易度としてOS111からアプリケーションソフトウェア112を介して取得する。そして、プラグイン113は、この表示サイズ情報115に基づいて、表示対象情報に含まれる被秘匿情報を表示部106に表示する際の表示方法の制御を行う。
【0013】
図3は、プラグイン113の機能構成を示すブロック図である。
図2のアプリケーションソフトウェア112が取り扱う表示対象情報120は、複数の被秘匿情報121を含む。これらの被秘匿情報121は、秘匿性の度合いが互いに異なっている。この秘匿性の度合いとは、例えば第3者に覗き見された場合における被害の度合いである。そして、各被秘匿情報121は、各々の秘匿性の度合いに応じて設定された閾値122を含む。この閾値122は、当該被秘匿情報121の表示において秘匿処理を行う表示サイズ情報の下限値(大きさと表示方法との関係の定義の一例)であり、例えば7インチである。
【0014】
図2のプラグイン113は、アプリケーションソフトウェア112が、ある被秘匿情報121についての表示指示をOS111から受け取ったとき、表示処理部130および表示制御部140を起動する。そして、表示処理部130では、表示が指示された被秘匿情報121を表示部106に表示し、表示制御部140は、表示処理部130における表示方法を表示サイズ情報115と当該被秘匿情報121の閾値122に基づいて制御する。
【0015】
具体的には、表示制御部140は、表示サイズ情報115が閾値122未満である場合には、表示処理部130に秘匿処理を行わせず、表示サイズ情報115が閾値122以上である場合には、表示処理部130に秘匿処理を行わせる。秘匿処理とは、例えば表示内容にマスクをかける、表示する文字を小さくする、表示の明度を落とす、といった処理である。この秘匿処理は、表示指示のされた被秘匿情報121のみを対象として行ってもよく、当該被秘匿情報121とともに表示される背景の情報をも含む画面全体に対して行ってもよい。
【0016】
図4は、プラグイン113の動作を例示するフローチャートである。ステップS1において、表示制御部140は、表示対象情報120を取得する。表示対象情報120は、被秘匿情報121及び閾値122を少なくとも1組、含んでいる。ステップS2において、表示制御部140は、表示対象情報120の各々について、表示サイズ情報115により示されるサイズが、閾値122よりも大きいか判断する。表示領域のサイズが閾値122よりも大きいと判断された場合(S2:YES)、表示制御部140は、処理をステップS3に移行する。表示領域のサイズが閾値122よりも小さいと判断された場合(S2:NO)、表示制御部は、処理をステップS4に移行する。
【0017】
ステップS3において、表示処理部130は、表示対象情報のうち少なくとも被秘匿情報121を含む部分に対し秘匿処理を施す。
【0018】
ステップS4において、表示部106は、表示対象情報を表示する。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、表示領域の大きさに基づいて決定された表示方法に従って、被秘匿情報を含む内容を表示部106に表示させるので、表示部106に表示された被秘匿情報を含む内容を覗き見される可能性を低減することができる。
【0020】
2.第2実施形態
図5は、第2実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図である。覗き見容易度は、被秘匿情報121が表示されるウインドウのサイズ(これはソフトウェア上のサイズである)が大きくなる程大きくなる。そこで、本実施形態において、プラグインは、表示部106において被秘匿情報121が表示されるウインドウのサイズを示すウインドウサイズ情報116をOS111からアプリケーションソフトウェア112を介して取得する。
【0021】
本実施形態において、被秘匿情報121に含まれる閾値122は、当該被秘匿情報121の表示において秘匿処理を行うウインドウサイズ情報116の下限値である。プラグインの表示処理部130が被秘匿情報121についての表示処理を実行する際、表示制御部141では、ウインドウサイズ情報116が被秘匿情報121に含まれる閾値122未満である場合に、表示処理部130に秘匿処理を行わせず、ウインドウサイズ情報116が被秘匿情報121に含まれる閾値122以上である場合に、表示処理部130に秘匿処理を行わせる。
【0022】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、ウインドウサイズ情報116に基づいて、秘匿処理を行うか否かを切り換えるので、秘匿処理が必要な状況、すなわち、被秘匿情報121が大きなウインドウに表示される場合に限って秘匿処理を実行することができる。
【0023】
3.第3実施形態
図6は、第3実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図である。本実施形態において、被秘匿情報121は文書ファイルである。被秘匿情報121が文書ファイルである場合、表示部106に表示される被秘匿情報121の覗き見容易度は、表示部106に表示される被秘匿情報121の各文字のサイズに依存し、表示文字サイズが大きくなる程、覗き見容易度は大きくなる。
【0024】
そこで、本実施形態において、被秘匿情報121は、閾値122と、文字サイズ情報123とを含む。ここで、文字サイズ情報123は、被秘匿情報121において用いられている各文字の文字サイズ(例えばフォントサイズ)を示す情報である。また、閾値122は、各文字を表示部106に表示する際に秘匿処理を行う表示文字サイズの下限値である。プラグインの表示処理部130が被秘匿情報121についての表示処理を実行する際、表示制御部142では、表示文字サイズ算出部142aが、表示サイズ情報115またはウインドウサイズ情報116と被秘匿情報121に含まれる文字サイズ情報123とに基づいて、表示部106における表示文字サイズを算出する。そして、表示制御部142では、この表示文字サイズが被秘匿情報121に含まれる閾値122未満である場合には表示処理部130に秘匿処理を行わせず、この表示文字サイズが被秘匿情報121に含まれる閾値122以上である場合には表示処理部130に秘匿処理を行わせる。
【0025】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、表示文字サイズに基づいて、秘匿処理を行うか否かを切り換えるので、秘匿処理が必要な状況、すなわち、大きなサイズで文字が表示される場合に限って秘匿処理を実行することができる。
【0026】
4.第4実施形態
図7は、第4実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図である。本実施形態において、表示対象情報120に含まれる被秘匿情報121は、文書ファイルである場合もあれば画像ファイルである場合もある。ここで、被秘匿情報121は、表示領域のサイズやウインドウのサイズが同じであっても、文書ファイルであるか画像ファイルであるかにより覗き見容易度が異なる。従って、被秘匿情報121の種類を考慮することなく、表示サイズ情報115やウインドウサイズ情報116を閾値と比較することのみにより秘匿処理を行うか否かの切り換えを行ったのでは実情に沿わない結果となり得る。
【0027】
そこで、本実施形態において、表示制御部143では、種類判別部143aにより被秘匿情報121の種類を判別し、この種類に応じて定まる閾値と、表示サイズ情報115またはウインドウサイズ情報116とを比較し、比較結果に基づいて、表示処理部130において秘匿処理を行わせるか否かの切り換え制御を行う。具体的には、一般に画像ファイルは文書ファイルに比べて覗き見容易度が高いので、表示制御部143は、文書ファイルに用いられる閾値よりも低い閾値を表示サイズ情報115またはウインドウサイズ情報116との比較に用いる。
【0028】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、表示対象である被秘匿情報の種類に応じて、秘匿処理を行うか否かを切り換えるので、被秘匿情報の種類に応じた適切な態様で秘匿処理を実行することができる。なお、以上の説明では、文書ファイルと画像ファイルを例に挙げたが、本実施形態は、3種類以上の被秘匿情報にも適用可能である。
【0029】
5.第5実施形態
図8は、第5実施形態におけるプラグインの機能構成を示すブロック図である。覗き見容易度は、情報処理装置の表示部における表示サイズやウインドウサイズの他、情報処理装置の周辺の状況の影響を受ける場合もある。本実施形態では、秘匿処理を行うか否かの判断に際して、このような周辺の状況に対する配慮を行ったものである。
【0030】
図9は、情報処理装置の周辺の状況を例示した図である。この例において、情報処理装置の表示領域300の正面にユーザ400が座っている。情報処理装置の表示領域300から見てユーザ400の左右両側に覗き見可能な範囲401Lおよび401Rがある。本実施形態では、表示領域300の中央に設置されたカメラ301によりユーザ400およびその周辺の領域内の撮像を行う。この撮像の範囲は、覗き見可能な範囲401Lおよび401Rを包含していることが好ましい。
【0031】
図9に示すように、本実施形態における表示制御部144は、覗き見容易度算出部144aと、覗き見可能性判定部144bとを含む。ここで、覗き見容易度算出部144aは、カメラ301から出力される画像情報に、覗き見可能な範囲401Lおよび401Rにユーザ400以外の人の顔らしき画像が含まれているか否か、また、人の顔らしき画像が含まれている場合にはその顔の面積を求め、その結果に基づいて第1の覗き見容易度D1を算出する。具体的には、人の顔らしき画像が含まれていなければ第1の覗き見容易度D1を最小値とし、人の顔らしき画像が含まれている場合にはその顔の面積に応じて第1の覗き見容易度D1を大きくする。顔の面積に応じて第1の覗き見容易度D1を大きくするのは、顔の面積が大きい程、その顔がカメラ301の近くにあり、表示領域の覗き見が容易であると考えられるからである。覗き見容易度算出部144aは、この第1の覗き見容易度D1に対し、表示サイズ情報115またはウインドウサイズ情報116が大きくなる程大きくなる第2の覗き見容易度D2を乗算し、最終的な覗き見容易度D3を算出する。
【0032】
本実施形態において被秘匿情報121が含む閾値122は、表示処理部130に秘匿処理を行わせる覗き見容易度D3の下限値である。表示制御部144は、覗き見可能性判定部144bにより、覗き見容易度算出部144aにより算出された覗き見容易度D3を被秘匿情報121に含まれる閾値122と比較し、覗き見容易度D3が閾値122未満である場合には表示処理部130に秘匿処理を行わせず、覗き見容易度D3が閾値122以上である場合には表示処理部130に秘匿処理を行わせる。
【0033】
このように本実施形態によれば、表示サイズやウインドウサイズのみでなく、情報処理装置の周囲の状況にも配慮して、秘匿処理を行わせるか否かの制御を行うことができる。
【0034】
なお、以上の説明では、カメラ撮像の範囲が覗き見可能な範囲401Lおよび401Rを包含していることを前提としたが、本実施形態は、カメラ撮像の範囲が覗き見可能な範囲401Lの一部と覗き見可能な範囲401Lの一部とを包含している場合にも適用可能である。この場合、例えば覗き見可能な範囲401Lまたは401Rにユーザ400以外の人の顔らしき画像があるか否かにより覗き見容易度D3を2段階に切り換える、といった態様が考えられる。
【0035】
6.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0036】
(1)表示部が表示制御装置と別体であって、表示サイズ情報やウインドウサイズ情報を取得することができない場合、表示制御装置は、例えば被秘匿情報をマスクする等、秘匿度の最も高い表示方法により被秘匿情報の表示を行ってもよい。
【0037】
(2)例えば上記第2実施形態において、マウスによるドラッグ等によりウインドウサイズを連続的に変更、例えば徐々に大きくしていった場合、表示制御部141は、その時点でのウインドウサイズ情報116に応じて表示方法を動的に切り換えてもよい。例えばウインドウサイズ情報116が徐々に大きくなるのに従って、表示の明度を低下させ、あるいは表示する文字を小さくし、ウインドウサイズ情報116がある上限値を越えた場合には被秘匿情報をマスクする、といった態様が考えられる。
【0038】
(3)上記各実施形態では、被秘匿情報121が閾値122を含んでいたが、全ての被秘匿情報121についての共通の閾値122を表示対象情報120が含んでいてもよい。また、文書ファイル、画像ファイルといった被秘匿情報121の種類に応じて設定された閾値122を表示対象情報120が含んでいてもよい。あるいは、これらの閾値122をプラグインに113に組み込んでもよい。
【0039】
(4)上記各実施形態では、表示サイズ情報115やウインドウサイズ情報116を閾値122と比較することにより秘匿処理を行うか否かの切り換えを行ったが、表示サイズ情報115やウインドウサイズ情報116と閾値122との差分に応じて秘匿処理における秘匿の度合いを制御してもよい。あるいは、閾値122との比較を行わず、表示サイズ情報115やウインドウサイズ情報116に応じて秘匿処理における秘匿の度合いを制御してもよい。
【0040】
(5)本実施形態に係るプログラムは、既存のアプリケーションソフトウェアのプラグインではなく、独立したソフトウェアとして提供されてもよい。また、本実施形態に係るプログラムは、文書ファイル又は画像ファイルなど単一の種類の内容(コンテンツ)の表示に対応したものでなく、複数種類の内容の表示に対応したものであってもよい。この場合において、閾値は、内容の種類毎に定義されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
101…プロセッサ、102…主記憶装置、103…補助記憶装置、104…通信部、105…操作部、106…表示部、111…OS、112…アプリケーションソフトウェア、113…プラグイン、120…表示対象情報、121…被秘匿情報、122…閾値、130…表示処理部、140,141,142,143,144…表示制御部、115…表示サイズ情報、116…ウインドウサイズ情報、142a…表示文字サイズ算出部、123…文字サイズ情報、143a…種類判別部、144a…覗き見容易度算出部、144b…覗き見可能性判定部。