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特許7119754健康管理装置、健康管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】健康管理装置、健康管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20220809BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018154187
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2020030473
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】茎田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】湯本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 民生
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-272761(JP,A)
【文献】特開2014-174954(JP,A)
【文献】特開2012-230503(JP,A)
【文献】特開2002-073815(JP,A)
【文献】特開2009-213637(JP,A)
【文献】特開2010-213785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報に関する指標を測定する測定装置から出力される測定データを取得する測定データ取得部と、
前記測定データに基づいて、予め設定された目標を達成するように前記指標が第1の期間に推移したか否かを判定する第1の判定部と、
前記測定データに基づいて前記ユーザの行動に関する行動データを生成する行動データ取得部と、
前記行動データに基づいて、予め設定された条件を満たすように前記ユーザが前記第1の期間の少なくとも一部を含む第2の期間に前記行動をしたか否かを判定する第2の判定部と、
前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移しなかったと前記第1の判定部が判定し、かつ、前記条件を満たすように前記ユーザが前記第2の期間に前記行動をしたと前記第2の判定部が判定した場合に、前記目標を達成するための情報を提示する情報提示部と、
を備える健康管理装置。
【請求項2】
前記第2の期間は、前記第1の期間より前の日をさらに含む、請求項1に記載の健康管理装置。
【請求項3】
前記第1の判定部は、前記測定データに基づいて、前記第1の期間における前記指標の平均値を算出し、前記算出した平均値と予め設定された閾値との比較に基づいて、前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移したか否かを判定する、請求項1又は2に記載の健康管理装置。
【請求項4】
前記第1の判定部は、前記測定データに基づいて、前記第1の期間において前記指標が予め設定された第1の閾値を超えた又は下回った日数を算出し、前記算出した日数と予め設定された第2の閾値との比較に基づいて、前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移したか否かを判定する、請求項1又は2に記載の健康管理装置。
【請求項5】
前記指標は血圧であり、前記行動は薬の使用である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項6】
前記測定装置は、一心拍毎の血圧を測定する血圧計であり、
前記行動データ取得部は、前記血圧計から出力される前記測定データに基づいて前記行動データを生成する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項7】
健康管理装置によって実行される健康管理方法であって、
ユーザの生体情報に関する指標を測定する測定装置から出力される測定データを取得する過程と、
前記測定データに基づいて、予め設定された目標を達成するように前記指標が第1の期間に推移したか否かを判定する過程と、
前記測定データに基づいて前記ユーザの行動に関する行動データを生成する過程と、
前記行動データに基づいて、予め設定された条件を満たすように前記ユーザが前記第1の期間の少なくとも一部を含む第2の期間に前記行動をしたか否かを判定する過程と、
前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移しなかったと判定され、かつ、前記条件を満たすように前記ユーザが前記第2の期間に前記行動をしたと判定された場合に、前記目標を達成するための情報を提示する過程と、
を備える健康管理方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の健康管理装置が備える各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ユーザの健康を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの健康に関して設定された目標を達成するために、ユーザに対してアドバイスを提供するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、ユーザの達成すべき目標に対する達成状態を示す達成状態情報と、目標達成のためにユーザにより行われた行動量の累積を示す行動量情報と、に基づいて、目標達成のためのモチベーションを判定し、モチベーションの判定結果に基づいて、ユーザに対するアドバイスを生成するアドバイス生成システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-106698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたアドバイス生成システムでは、以下の理由により、適切なアドバイスをユーザに提供できないことがある。すなわち、達成状態情報の変化傾向は、チェック期間の開始時の達成状態とチェック期間の終了時の達成状態との比較に基づいて決定され、チェック期間中の達成状態を考慮していない。このため、チェック期間の開始時又は終了時の前後で達成状態が一時的に変化したような場合などにおいて、実際の状況に合わない達成状態情報が生成されることがある。その結果、不適切なアドバイスがユーザに提供されることがある。
【0005】
本発明は、上記の事情に着目してなされたものであり、ユーザの健康に関して設定された目標を達成するための適切なアドバイスをユーザに提供することができる健康管理装置、健康管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
一態様に係る健康管理装置は、ユーザに関する指標を測定する測定装置から出力される測定データを取得する測定データ取得部と、前記測定データに基づいて、予め設定された目標を達成するように前記指標が第1の期間に推移したか否かを判定する第1の判定部と、前記ユーザの行動に関する行動データを取得する行動データ取得部と、前記行動データに基づいて、予め設定された条件を満たすように前記ユーザが前記第1の期間の少なくとも一部を含む第2の期間に前記行動をしたか否かを判定する第2の判定部と、前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移しなかったと前記第1の判定部が判定し、かつ、前記条件を満たすように前記ユーザが前記第2の期間に前記行動をしたと前記第2の判定部が判定した場合に、前記目標を達成するための情報を提示する情報提示部と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、目標を達成するように指標が推移しなかった要因が測定対象の行動にあるか否かを判定することができる。これにより、目標を達成するための適切な情報をユーザに提示することができる。すなわち、ユーザの健康に関して設定された目標を達成するための適切なアドバイスをユーザに提供することができる。
【0009】
一態様では、前記第2の期間は、前記第1の期間より前の日をさらに含んでよい。第1の期間の前期部分における指標は、第1の期間より前の期間におけるユーザの行動の影響を受ける。第2の期間が第1の期間より前の日を含むことにより、目標を達成するように指標が第1の期間に推移しなかった要因がその行動にあるか否かをより正しく判定することができるようになる。
【0010】
一態様では、前記第1の判定部は、前記測定データに基づいて、前記第1の期間における前記指標の平均値を算出し、前記算出した平均値と予め設定された閾値との比較に基づいて、前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移したか否かを判定してよい。
【0011】
上記の構成によれば、第1の期間の全体における指標の測定結果が判定に考慮される。それにより、第1の期間における実際の指標の推移に即した判定結果が得られるようになる。
【0012】
一態様では、前記第1の判定部は、前記測定データに基づいて、前記第1の期間において前記指標が予め設定された第1の閾値を超えた又は下回った日数を算出し、前記算出した日数と予め設定された第2の閾値との比較に基づいて、前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移したか否かを判定してよい。
【0013】
上記の構成によれば、第1の期間の全体における指標の測定結果が判定に考慮される。それにより、第1の期間における実際の指標の推移に即した判定結果が得られるようになる。
【0014】
一態様では、前記指標は例えば血圧であり、前記行動は例えば薬の使用であってよい。
【0015】
上記の構成によれば、ユーザが適切に薬を使用したにも関わらず目標を達成するように血圧が推移しなかったときに、アドバイスをユーザに提供することができるようになる。
【0016】
一態様では、前記測定装置は、一心拍毎の血圧を測定する血圧計であってよく、前記行動データ取得部は、前記測定データに基づいて前記行動データを生成してよい。
【0017】
上記の構成によれば、血圧に関する測定データに基づいて、第2の判定部による判定が行われる。それにより、ユーザが行動データを入力する手間がなくなるなど、ユーザにとっての利便性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザの健康に関して設定された目標を達成するための適切なアドバイスをユーザに提供することができる健康管理装置、健康管理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施形態に係る健康管理システムを示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示した端末装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示した第1の判定部及び第2の判定部による判定処理を説明するための図である。
図5図5は、図2及び図3に示した端末装置によって実行される健康管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0021】
[適用例]
図1を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。図1は、一実施形態に係る健康管理システム10を例示する。図1の例では、健康管理システム10は、端末装置20及び血圧計30を備える。端末装置20は、血圧に関してユーザの健康を管理するものであり、本発明の「健康管理装置」に相当する。血圧は、ユーザに関する指標の一例である。血圧計30は、本発明の「測定装置」に相当する。
【0022】
血圧計30は、例えばオシロメトリック式の血圧計である。血圧計30は、ユーザの血圧を測定して、測定データを生成する。測定データは、収縮期血圧(SBP)及び拡張期血圧(DBP)の測定値を含むが、これに限定されない。
【0023】
端末装置20は、例えば、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、デスクトップPCなどのコンピュータであり得る。端末装置20は、測定データ取得部21、第1の判定部22、行動データ取得部23、第2の判定部24、及び情報提示部25を備える。
【0024】
測定データ取得部21は、血圧計30から出力された測定データを取得する。一例では、血圧測定が完了した直後に測定データが血圧計30に表示され、ユーザがその測定データを端末装置20に入力する。他の例では、端末装置20は、血圧計30と無線通信し、血圧計30から測定データを受信する。例えば、ユーザは毎日起床後に血圧計30で血圧を測定し、それにより、毎朝の血圧測定値が端末装置20に記録される。
【0025】
第1の判定部22は、測定データ取得部21によって取得された測定データに基づいて、予め設定された健康に関する目標を達成するようにユーザの血圧が第1の期間に推移したか否かを判定する。例えば、ユーザが高血圧症に罹っている場合、ユーザの目標は、血圧を目標値まで下げることである。目標値は、ユーザ自身により指定された値であってもよく、医師などの他者により指定された値であってもよい。例えば、第1の判定部22は、第1の期間内のそれぞれの日の血圧測定値に基づいて血圧の変化傾向を決定し、血圧が低下傾向を示す場合に、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したと判定し、血圧が低下傾向を示さない場合に、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと判定する。
【0026】
行動データ取得部23は、ユーザの服薬に関する行動データを取得する。行動データは、例えば、ユーザが降圧剤を服用した履歴を表す。例えば、毎朝食後に降圧剤を服用するよう医師から指示される場合、行動データは、ユーザが朝食後に降圧剤を服用したか否かを日にちごとに示す情報を含む。例えば、ユーザは、朝食後に降圧剤を服用すると、降圧剤を服用したことを端末装置20に入力する。
【0027】
第2の判定部24は、行動データ取得部23によって取得された行動データに基づいて、予め設定された条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたか否かを判定する。第2の期間は、第1の期間より前の日と、第1の期間の少なくとも一部と、を含む。例えば、第2の判定部24は、第2の期間における服薬率(アドヒアランス)が予め設定された閾値を超えるときに、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと判定する。服薬率は、ユーザが医師から指示された通りに薬(この例では降圧剤)を服用した割合である。言い換えると、服薬率は、薬を服用すべき回数に対する、実際に薬を服用した回数の割合である。
【0028】
情報提示部25は、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと第1の判定部22が判定し、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと第2の判定部24が判定した場合に、目標を達成するための情報をユーザに提示する。ユーザが降圧剤を適切に服用したにもかかわらず血圧が目標値まで下がらないのは、例えば、服薬以外のユーザの行動に要因があると考えられる。要因の1つとして、例えば、塩分摂取量が多いことが考えられる。情報提示部25は、例えば、「塩分を摂取しすぎないよう食事に注意してください。」というメッセージを端末装置20の表示装置に表示する。
【0029】
上述した構成を有する端末装置20によれば、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかった要因が第2の期間における降圧剤の服用にあるか否かを判定することができる。ユーザが第2の期間に降圧剤を適切に服用しているが、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかった場合に、目標を達成するための情報がユーザに提示される。これにより、目標を達成するための適切な情報をユーザに提示することができる。すなわち、ユーザの健康に関して設定された目標を達成するための適切なアドバイスをユーザに提供することができる。
【0030】
典型的には、ユーザは、起床後に血圧を測定し、その後に朝食を食べて降圧剤を服用する。この場合、血圧の測定値は、ユーザが前日に降圧剤を服用したか否かに大きく依存する。したがって、第1の期間における血圧の推移は、第1の期間における服薬だけでなく、第1の期間よりも前の期間における服薬の影響も受ける。このため、第2の期間が第1の期間より前の日を含むことにより、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかった要因が第2の期間における降圧剤の服用にあるか否かをより正しく判定することができるようになる。
【0031】
次に、実施形態に係る健康管理装置をより具体的に説明する。以下に説明する実施形態では、健康管理装置は測定装置(例えば血圧計)と無線通信する。
【0032】
[構成例]
(ハードウェア構成)
図2を参照して、一実施形態に係る健康管理装置としての端末装置100のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、端末装置100のハードウェア構成を例示している。図2の例では、端末装置100は、スマートフォンのようなモバイルデバイスであり、制御部101、記憶部105、表示装置106、入力装置107、加速度センサ108、スピーカ109、通信インタフェース110、及び電池111を備える。
【0033】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、RAM(Random Access Memory)103、ROM(Read Only Memory)104などを含み、各構成要素を制御する。記憶部105は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、半導体メモリ(例えばフラッシュメモリ)などの補助記憶装置であり、制御部101で実行されるプログラムや、プログラムを実行するために必要な設定データ、測定データなどを不揮発的に記憶する。記憶部105が備える記憶媒体は、コンピュータや機械等が記録されたプログラムなどの情報を読み取り可能なように、当該プログラムなどの情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。なお、プログラムの一部又は全部はROM104に記憶されていてもよい。
【0034】
表示装置106は、制御部101により制御され、目標を達成するための情報などの情報を表示する。表示装置106は、例えば有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。有機ELディスプレイは、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイと称されることもある。なお、表示装置106は、他の方式の表示装置、例えば、液晶表示装置(LCD)であってもよい。
【0035】
入力装置107は、ユーザが端末装置100に対する指示を入力することを可能にする。入力装置107は、ユーザによる操作、例えば、降圧剤を服用したことを表す操作を受け付ける。入力装置107は、典型的には、表示装置106の画面上に設けられたタッチパネルを含む。入力装置107は、1又は複数のハードウェアボタンをさらに含んでいてもよい。
【0036】
加速度センサ108は、例えば、3軸加速度センサであり、互いに直交する3方向の加速度を表す加速度信号を出力する。スピーカ109は、制御部101から音響信号を供給され、音響信号を音に変換する。
【0037】
通信インタフェース110は、外部の通信装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース110は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュール又はBLE(Bluetooth Low Energy)モジュールなどの近距離無線モジュールを含み、通信装置(例えば血圧計)と直接に通信する。通信インタフェース110は、近距離無線モジュールに代えて又は追加して、無線LAN(Local Area Network)モジュールなどの他の無線モジュールを含んでよい。通信インタフェース110は、Bluetoothモジュール又は無線LANモジュールなどを用いて、インターネットなどの通信ネットワークを介して通信装置(例えばサーバ)と通信する。また、通信インタフェース110は、通信装置と有線で通信するために、マイクロUSB(Universal Serial Bus)コネクタなどの端子を含んでいてもよい。
【0038】
電池111は、端末装置100内の各構成要素へ電力を供給する。電池111は、例えば充電可能なバッテリである。
【0039】
なお、端末装置100の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部101は、複数のプロセッサを含んでいてもよい。
【0040】
(ソフトウェア構成)
図3を参照して、端末装置100のソフトウェア構成の一例を説明する。図3の例では、端末装置100は、入力部151、表示制御部152、測定データ取得部153、第1の判定部154、行動データ取得部155、第2の判定部156、情報提示部157、測定データ記憶部161、行動データ記憶部162、及びデータベース163を備える。入力部151、表示制御部152、測定データ取得部153、第1の判定部154、行動データ取得部155、第2の判定部156、及び情報提示部157は、端末装置100の制御部101が記憶部105に記憶されたプログラムを実行することによって下記の処理を実行する。制御部101がプログラムを実行する際は、制御部101は、プログラムをRAM103に展開する。そして、制御部101は、RAM103に展開されたプログラムをCPU102により解釈及び実行して、各構成要素を制御する。測定データ記憶部161、行動データ記憶部162、及びデータベース163は、記憶部105に設けられる。
【0041】
入力部151は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部151は、ユーザが入力装置107に対して行った操作に応じた操作信号を入力装置107から受け取り、この操作信号に基づいてユーザが入力した指示の内容を把握する。例えば、ユーザが入力装置107を通じて目標に関する情報である目標情報を入力すると、入力部151は、入力された目標情報を第1の判定部154に与える。それにより、第1の判定部154にユーザの目標が設定される。また、ユーザが入力装置107を通じて降圧剤を服用したことを入力すると、入力部151は、ユーザが降圧剤を服用したことを表す信号を行動データ取得部155に与える。
【0042】
表示制御部152は、表示装置106を制御し、情報を表示装置106に表示させる。例えば、表示制御部152は、目標を設定するための画面を表示装置106に表示させる。また、表示制御部152は、情報提示部157からユーザに提示すべき情報を受け取り、この情報を表示装置106に表示させる。
【0043】
測定データ取得部153は、血圧計によって生成された測定データを取得し、この測定データを測定データ記憶部161に記憶させる。具体的には、測定データ取得部153は、通信インタフェース110を介して血圧計から測定データを受信する。例えば、ユーザは毎朝、血圧計で血圧を測定し、したがって、日ごとの測定データが測定データ記憶部161に蓄積される。測定データは、収縮期血圧及び拡張期血圧の測定値を含み得る。
【0044】
第1の判定部154は、測定データ記憶部161から測定データを読み出し、この測定データに基づいて、所定の目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したか否かを判定する。第1の判定部154は、第1の期間内のそれぞれの日の測定値を使用して判定を行う。例えば、第1の期間が4月1日から4月7日までである場合、4月1日から4月7日までの7日間分の測定値が使用される。なお、第1の期間内のすべての日の測定値が使用されることに限定されない。第1の期間が4月1日から4月7日までである場合において、例えば、4月1日、4月4日、4月7日の3日分の測定値が使用されてもよい。ユーザが1日に複数回測定を行う場合には、測定により得られた複数の測定値を平均したものがその日の測定値として判定に使用されてもよい。また、各日の特定の時間帯(例えば7時から9時まで)に実行された測定により得られた測定値が判定に使用されてもよい。
【0045】
ユーザの目標は、例えば、血圧が目標値を下回るようにすることである。日本高血圧学会が策定した高血圧治療ガイドラインによれば、家庭で測定した収縮期血圧が135[mmHg]以上であるか、家庭で測定した拡張期血圧が85[mmHg]以上である場合が高血圧に該当する。目標値は、高血圧治療ガイドラインに従って設定することができる。この場合、ユーザの目標は、収縮期血圧を135[mmHg]未満に下げ、かつ、拡張期血圧を85[mmHg]未満に下げることになる。
【0046】
血圧が目標値を下回るようにすることは、目標値まで血圧を下げることと、血圧が目標値を下回った状態を保つことと、を含み得る。この場合、ユーザの目標は、血圧を目標値未満に下げる段階(以下、第1段階と呼ぶ)と、血圧を目標値未満に保つ段階(以下、第2段階と呼ぶ)と、に分割され得る。第1の判定部154は、測定データに基づいて、第1の期間が第1段階と第2段階とのいずれに対応するかを決定する。特定の期間が第1の期間の直前の期間である例では、例えば、第1の判定部154は、特定の期間における血圧の平均値を算出し、算出した血圧の平均値に基づいて第1の期間が対応する段階を決定する。例えば、算出した血圧平均値が目標値を超える場合、第1の期間は第1段階に対応し、そうでなければ第2段階に対応する。特定の期間は、例えば第1の期間と同じであってよい。特定の期間は、第1の期間と同じ長さであってもよく、第1の期間とは異なる長さであってもよい。一例として、第1の期間が4月1日から4月7日までである場合、特定の期間は3月25日から3月31日までである。第1の判定部154は、段階に応じて異なる判定基準に従って、判定を行う。
【0047】
第1段階では、第1の判定部154は、第1の期間において血圧が低下傾向にあるか否かを判定する。例えば、第1の判定部154は、第1の期間内のそれぞれの日の測定値から血圧低下率を算出し、血圧低下率が予め設定された閾値を超える場合に、血圧が第1の期間に低下傾向にあると判定し、そうでなければ、血圧が第1の期間に低下傾向にないと判定する。血圧低下率は、例えば、1日当たりに低下した血圧を表す。血圧低下率は、値が大きいほど血圧が低下した(改善した)ことを表す。血圧低下率は、例えば最小二乗法を用いて測定値にフィットする一次関数を算出することにより、決定することができる。閾値は、例えば0.2[mmHg/1日]である。
【0048】
第2段階では、第1の判定部154は、例えば、第1の期間における平均血圧値に基づいて判定を行う。具体的には、第1の判定部154は、測定データに基づいて、第1の期間における平均血圧値を算出し、平均血圧値が目標値を下回る場合に、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したと判定し、そうでなければ、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと判定する。なお、第1の判定部154は、血圧測定値が目標値を超えた日数に基づいて判定を行ってもよい。具体的には、第1の判定部154は、測定データに基づいて、血圧測定値が目標値を超えた日数を算出し、血圧測定値が目標値を超えた日数が閾値を下回る場合に、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したと判定し、そうでなければ、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと判定する。第1の期間が7日間である場合、閾値は例えば2日に設定される。なお、第1の判定部154は、血圧測定値が目標値を下回った日数に基づいて判定を行ってもよい。この場合、第1の判定部154は、血圧測定値が目標値を下回った日数が閾値を超える場合に、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したと判定し、そうでなければ、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと判定する。
【0049】
なお、目標は、目標値まで血圧を下げることと、血圧が目標値を下回った状態を保つことと、の一方のみであってよい。目標が目標値まで血圧を下げることである場合、第1段階に関して上述した方法を採用することができる。目標が血圧が目標値を下回った状態を保つことである場合、第2段階に関して上述した方法を採用することができる。
【0050】
行動データ取得部155は、ユーザの服薬に関する行動データを取得し、取得した行動データを行動データ記憶部162に記憶させる。一例では、表示制御部152が降圧剤を服用したか否かを確認するための確認画面を表示装置106に表示させ、ユーザが入力装置107を通じて降圧剤を服用したか否かを入力する。行動データ取得部155は、入力部151から、降圧剤を服用したか否かを表す服薬情報を受け取る。確認画面はユーザが降圧剤を服用すべき機会ごとに表示される。例えば、降圧剤が朝食後と夕食後の1日2回服用すべきものである場合、表示制御部152は、確認画面を、例えば8時00分と22時00分に表示装置106に表示させる。これにより、降圧剤を服用すべき機会ごとに服薬情報が記録される。
【0051】
第2の判定部156は、行動データ記憶部162から行動データを読み出し、この行動データに基づいて、所定の条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたか否かを判定する。第2の期間は、第1の期間より前の日と、第1の期間の少なくとも一部と、を含む。例えば、第1の期間が4月1日から4月7日であり、第2の期間が3月31日から4月6日までである。条件は、例えば、服薬率が予め設定された閾値を超えることである。第2の判定部156は、行動データに基づいて第2の期間における服薬率を算出し、服薬率が閾値を超える場合に、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと判定し、そうでなければ、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしなかったと判定する。閾値は例えば0.9(90%)である。
【0052】
情報提示部157は、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移していないと第1の判定部154が判定し、かつ、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと第2の判定部156が判定した場合に、目標を達成するための情報(アドバイス)をユーザに提示する。アドバイスの提示は、例えば情報を表示装置106に表示させることによりなされる。あるいは、アドバイスは、スピーカ109を通じて出力されてもよい。
【0053】
情報提示部157は、データベース163から、ユーザに提示すべき情報を取得する。データベース163は、目標を達成するように血圧が推移しない複数の要因に関連付けられた情報を保持する。目標を達成するように血圧が推移しない要因としては、服薬、食事、ストレス、喫煙、薬の不適合などがある。服薬に関連付けられた情報は、例えば「医師の指示通りに降圧剤を服用してください。」というメッセージであり得る。食事に関連付けられた情報は、例えば「塩分の摂取を抑えるよう心がけてください。」というメッセージであり得る。ストレスに関連付けられた情報は、例えば「運動したり睡眠を充分にとるなどして心と体をリフレッシュしてください。」というメッセージであり得る。喫煙に関連付けられた情報は、例えば「禁煙してください。」というメッセージであり得る。薬の不適合に関連付けられた情報は、例えば「薬が合っていない可能性があります。医師に相談することを勧めます。」というメッセージであり得る。
【0054】
ユーザが第2の期間に適切に服薬をしたと第2の判定部156が判定した場合には、要因が服薬でないことが決定される。このため、情報提示部157は服薬以外の要因に関連付けられた情報をユーザに提示する。複数の要因が候補としてある場合には、情報提示部157は、それらの要因のうちの少なくとも1つに関連付けられた情報を提示する。例えば、情報提示部157は、複数の要因のうちの1つをランダムに選択し、選択した要因に関連付けられた情報を提示する。なお、情報提示部157は、ユーザの属性情報に基づいて、複数の要因のうちのいずれかを選択してよい。属性情報は、ユーザの身体的特徴(例えば性別、年齢、身長など)を示す情報、ユーザの習慣(例えば喫煙の有無)を示す情報などを含み得る。ユーザの属性情報からユーザが煙草を吸わないことがわかっている場合には、喫煙が要因の候補から外れる。
【0055】
なお、データベース163は、端末装置100の外部に、例えば、通信ネットワーク上のサーバに設けられていてもよい。
【0056】
図4を参照して、第1の判定部154及び第2の判定部156による判定処理の一例を説明する。図4は、3月30日から4月8日までの期間における測定データ及び行動データを示す。図4において、測定データは、起床後の時間帯に取得された収縮期血圧及び拡張期血圧の測定値である。服薬フラグ「1」は降圧剤を服用したことを示し、服薬フラグ「0」は降圧剤を服用しなかったことを示す。
【0057】
第1の期間は4月1日から4月7日までであり、第1の期間における収縮期血圧の平均値は136.7[mmHg]であり、第1の期間における拡張期血圧の平均値は83.4[mmHg]である。第1の期間における収縮期血圧の平均値が140[mmHg]を下回るので、第1の判定部154は、現在の段階を第2段階と判定する。さらに、第1の期間における拡張期血圧の平均値が85[mmHg]を下回るものの、第1の期間における収縮期血圧の平均値が135[mmHg]を下回らないので、第1の判定部154は、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと判定する。
【0058】
第2の期間は3月30日から4月6日までであり、第2の期間における服薬率は1である。第2の期間における服薬率が0.9を超えるので、第2の判定部156は、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと判定する。
【0059】
本実施形態では、端末装置100の機能がいずれも汎用のプロセッサによって実現される例について説明している。しかしながら、機能の一部又は全部が1又は複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。
【0060】
[動作例]
図5は、端末装置100がユーザの健康管理を行う際の動作フローを例示する。
【0061】
図5のステップS11では、端末装置100の制御部101は、測定データ取得部153として動作し、血圧計から測定データを取得する。具体的には、制御部101は、通信インタフェース110を介して血圧計から測定データを受信する。ここでは、説明を簡単にするために、測定データが収縮期血圧の測定値を含み、拡張期血圧の測定値を含まないものとする。
【0062】
ステップS12では、制御部101は、行動データ取得部155として動作し、ユーザの服薬に関する行動データを取得する。例えば、制御部101は、降圧剤を服用したか否かを確認するための確認画面を表示装置106に表示する。ユーザが入力装置107を通じて降圧剤を服用したか否かを入力すると、制御部101は、降圧剤を服用したか否かを示す服薬情報を取得する。
【0063】
ステップS11及びステップS12に示される処理は日常的に繰り返される。それにより、測定データ及び行動データが記憶部105に蓄積される。
【0064】
ステップS13からS15に示される処理シーケンスは、特定のタイミングで実行される。例えば、処理シーケンスは、定期的に(例えば毎週)実行される。なお、処理シーケンスは、ユーザにより指定されたタイミングで実行されてもよい。
【0065】
ステップS13では、制御部101は、第1の判定部154として動作し、測定データに基づいて、所定の目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したか否かを判定する。目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したと制御部101が判定した場合には、処理は終了となる。目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと制御部101が判定した場合には、処理はステップS14に進む。例えば、制御部101は、第1の期間における収縮期血圧の平均値を算出し、算出した第1の期間における収縮期血圧の平均値が閾値を下回る場合に、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移したと判定し、そうでなければ、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかったと判定する。
【0066】
ステップS14では、制御部101は、第2の判定部156として動作し、行動データに基づいて、所定の条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたか否かを判定する。条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと制御部101が判定した場合には、処理はステップS15に進み、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしなかったと制御部101が判定した場合には、処理は終了となる。例えば、制御部101は、第2の期間における服薬率を算出し、服薬率が閾値を超える場合に、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしたと判定し、そうでなければ、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしなかったと判定する。
【0067】
ステップS15では、制御部101は、情報提示部157として動作し、目標を達成するための情報をユーザに提示する。例えば、制御部101は、「塩分を摂取し過ぎている可能性があります。塩分摂取を抑えるよう心がけてください。」というメッセージを表示装置106に表示させる。
【0068】
なお、図5に示した処理手順は例示に過ぎず、処理手順は適宜変更することが可能である。例えば、制御部101は、条件を満たすようにユーザが第2の期間に服薬をしなかったと判定した場合に(ステップS14でNo)、欠かさず服薬をするよう促すメッセージを出力してもよい。
【0069】
[効果]
上述した構成を有する端末装置100によれば、ユーザが第2の期間に降圧剤を適切に服用しているが、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかった場合に、目標を達成するための情報がユーザに提示される。典型的には、ユーザは、起床後に血圧を測定し、その後に朝食を食べて降圧剤を服用する。この場合、血圧の測定値は、ユーザが前日に降圧剤を服用したか否かに大きく依存する。よって、第1の期間の最初の日の血圧測定値は、ユーザが第1の期間の前日に降圧剤を服用したか否かに大きく依存する。したがって、第1の期間における血圧の推移は、第1の期間における服薬だけでなく、第1の期間よりも前の期間における服薬の影響も受ける。このため、第2の期間が第1の期間より前の日を含むことにより、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかった要因が服薬にあるか否かをより正しく判定することができるようになる。その結果、目標を達成するための適切な情報をユーザに提示することができる。すなわち、ユーザの健康に関して設定された目標を達成するための適切なアドバイスをユーザに提供することができる。ユーザは、アドバイスを受けて、目標を達成するための行動を取ることができるようになる。
【0070】
さらに、第1の判定部154は、例えば、第1の期間における血圧の平均値又は第1の期間において血圧が閾値を下回った日数に基づいて判定を行う。このように、第1の期間のすべての日の測定値を用いて判定を行うことで、第1の期間における実際の血圧の推移に即した判定を行うことができる。その結果、適切なアドバイスをユーザに提供することができる。
【0071】
[変形例]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0072】
上述した実施形態では、第2の期間は、第1の期間より前の日を含む。しかしながら、第2の期間は、第1の期間より前の日を含まなくてよい。例えば、第2の期間は、第1の期間と同じであり得る。第1の期間が1ヶ月間などのように長期間である場合、第1の期間より前の期間におけるユーザの行動が第1の期間におけるユーザに関する指標に与える影響は小さい。このため、第2の期間が第1の期間より前の日を含まなくても、目標を達成するように血圧が第1の期間に推移しなかった要因が服薬にあるか否かを正しく判定することが可能である。第1の期間が1週間などのように短期間である場合には、第2の期間が第1の期間より前の日を含むようにすることが好ましい。
【0073】
血圧はユーザに関する指標の一例であり、服薬はユーザの行動の一例である。ユーザに関する指標は、センサにより測定可能なユーザの生体情報又は行動に関する情報であり、血圧の他に、心拍数、脈拍数、心電図、脈波、体重、睡眠時間などであってよい。ユーザの行動は、服薬の他に、運動、食事、飲酒、睡眠、仕事などであってよい。行動は、任意のセンサにより測定可能であってもよく、測定不可能なものであってもよい。
【0074】
一実施形態では、ユーザに関する指標は体重であり、ユーザの行動は運動である。この実施形態では、ユーザが運動を充分にしているにもかかわらず、ユーザの体重が目標を達成するように推移しないときに、アドバイスがユーザに提示される。それにより、ユーザは、目標を達成するための行動を取ることができるようになる。
【0075】
具体的には、制御部101は、体重計から出力された測定データを取得し、取得した測定データに基づいて、所定の目標を達成するように体重が第1の期間に推移したか否かを判定する。目標は、体重を特定の値(例えば65[kg])まで落とすというように設定されてもよく、体重を特定の値(例えば5[kg])だけ落とすというように設定されてもよい。さらに、制御部101は、ユーザの運動に関する行動データを取得し、取得した行動データに基づいて、所定の条件を満たすようにユーザが第2の期間に運動をしたか否かを判定する。ユーザの運動に関する行動データは、例えば、運動量の履歴を含む。運動量は、スポーツなどの運動活動に関する運動量だけでなく、歩行や家事などの生活活動に関する運動量(活動量とも呼ばれる)を含む。運動量は、例えば消費カロリーで表現され得る。運動量は、ユーザの行動に関する指標の一例であり、運動量計で測定することができる。ユーザの行動に関連する指標は、歩数、活動量などであってもよい。制御部101は、目標を達成するように体重が第1の期間に推移しない、かつ、条件を満たすようにユーザが第2の期間に運動をしたと判定した場合に、目標を達成するための情報であって体重以外の要因に関連付けられた情報をユーザに提示する。
【0076】
ユーザの行動に関する指標を測定する測定装置は、端末装置に備わっていてもよい。例えば、制御部101は、加速度センサ108の出力に基づいてユーザが歩いた歩数を測定することができる。この場合、ユーザが行動データを入力する必要がない。このため、ユーザにとって利便性が向上する。また、測定装置は、端末装置の外部に設けられていてもよい。この場合にも、端末装置が無線通信により測定装置から行動データを取得することにより、ユーザが行動データを入力する手間が省かれる。
【0077】
行動データは、ユーザに関する指標を測定する測定装置から出力される測定データに基づいて生成されてよい。例えば、一心拍毎の血圧を測定するウェアラブル型の血圧計が使用される。この血圧計は、24時間にわたってユーザの血圧を測定することができる。ユーザが降圧剤を服用すると、ユーザの血圧は、降圧剤の種類及び/又はユーザの生理的特性に応じて特徴的に低下する。このような血圧の特徴的な低下は、例えば、機械学習により生成されたモデルを使用することで、血圧計により取得された血圧波形から検出することができる。制御部101は、ユーザが降圧剤を服用したことによる血圧の特徴的な変動が予め設定された時間帯(例えば7時00分から9時00分まで)の血圧波形に含まれるか否かを判定する。このようにして、制御部101は、血圧計により生成された測定データに基づいて、ユーザが降圧剤を服用したことを検出することができる。その結果、ユーザは降圧剤を服用したか否かを示す情報を入力する必要がなく、ユーザにとっての利便性が向上する。なお、制御部101は、血圧の特徴的な変動が予め設定された時間帯の血圧波形に含まれないと判定したときには、降圧剤を服用したか否かを確認するための確認画面を表示装置106に表示させてよい。
【0078】
上述した実施形態では、薬は、服用する薬(飲み薬)である。しかしながら、薬は、服用する薬に限らず、貼付する薬、塗布する薬、照射に用いられる薬、又は自ら行う注射に用いられる薬などであってもよい。薬の使用と記載した場合における「使用」は、服用、貼付、塗布、照射、又は注射などを意味する。
【0079】
上述した実施形態では、健康管理装置としての端末装置は、ユーザに関する指標を測定する測定装置と別体である。しかしながら、健康管理装置は測定装置内に設けられていてもよい。
【0080】
要するに本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0081】
[付記]
上記各実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
【0082】
(付記1)
ユーザに関する指標を測定する測定装置から出力される測定データを取得する測定データ取得部(21)と、
前記測定データに基づいて、予め設定された目標を達成するように前記指標が第1の期間に推移したか否かを判定する第1の判定部(22)と、
前記ユーザの行動に関する行動データを取得する行動データ取得部(23)と、
前記行動データに基づいて、予め設定された条件を満たすように前記ユーザが前記第1の期間の少なくとも一部を含む第2の期間に前記行動をしたか否かを判定する第2の判定部(24)と、
前記目標を達成するように前記指標が前記第1の期間に推移しなかったと前記第1の判定部が判定し、かつ、前記条件を満たすように前記ユーザが前記第2の期間に前記行動をしたと前記第2の判定部が判定した場合に、前記目標を達成するための情報を提示する情報提示部(25)と、
を備える健康管理装置(20)。
【符号の説明】
【0083】
10…健康管理システム
20…端末装置
21…測定データ取得部
22…第1の判定部
23…行動データ取得部
24…第2の判定部
25…情報提示部
30…血圧計
100…端末装置
101…制御部
102…CPU
103…RAM
104…ROM
105…記憶部
106…表示装置
107…入力装置
108…加速度センサ
109…スピーカ
110…通信インタフェース
111…電池
151…入力部
152…表示制御部
153…測定データ取得部
154…第1の判定部
155…行動データ取得部
156…第2の判定部
157…情報提示部
161…測定データ記憶部
162…行動データ記憶部
163…データベース
図1
図2
図3
図4
図5