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特許7119804画像形成装置、画像形成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20220809BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20220809BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220809BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G01N21/892 A
B41J29/38 201
G03G15/00 303
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018170944
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020040346
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 博貴
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178970(JP,A)
【文献】特開2017-202627(JP,A)
【文献】特開2018-016004(JP,A)
【文献】特開2017-159600(JP,A)
【文献】特開2015-090554(JP,A)
【文献】特開2013-200585(JP,A)
【文献】特開2010-287098(JP,A)
【文献】特開2010-128759(JP,A)
【文献】特開2005-205722(JP,A)
【文献】特開2005-205703(JP,A)
【文献】特開2003-054096(JP,A)
【文献】特開2001-105698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0239510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
G01N 21/892
B41J 29/38
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像が形成された用紙を読み取るスキャナ部と、
前記スキャナ部で読み取った画像を解析して検査を行う検査部と、
前記検査部での検査を制御し、前記検査部での検査が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行する制御部と、
前記検査部での検査履歴を表示する表示部と、
前記表示部に表示された検査履歴から検査済みジョブの再検査の実行を選択する操作部と、を備え、
前記制御部は、前記操作部で検査済みジョブの再検査の実行が選択され、選択されたジョブが断裁マークを有する用紙の再検査であるとき、前記検査部により、前記断裁マークが配置された用紙端部の周辺領域のみの検査を実行する
画像形成装置。
【請求項2】
記表示部が表示した検査履歴から検査済みジョブの再検査の実行を選択する操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部で検査済みジョブの再検査の実行が選択されたとき、所定のトレイに装着された用紙に対して、前記画像形成部での画像形成を行うことなく、前記スキャナ部での読み取りと、読み取った画像の前記検査部での検査を行うように制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、再検査の結果を表示する際に、1回目の検査履歴についても前記表示部に表示する
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像が形成された用紙を読み取るスキャナ部と、
前記スキャナ部で読み取った画像を解析して検査を行う検査部と、
前記検査部での検査を制御し、前記検査部での検査が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画像形成部を通過しない用紙に対する検査の指示があるとき、前記検査部で、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる
像形成装置。
【請求項5】
搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像が形成された用紙を読み取るスキャナ部と、
前記スキャナ部で読み取った画像を解析して検査を行う検査部と、
前記検査部での検査を制御し、前記検査部での検査が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、予め定められたトレイから給紙される用紙に対する検査の指示があるとき、前記検査部で、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる
画像形成装置。
【請求項6】
画像形成処理により画像が形成された用紙を読み取り、読み取った画像の解析で検査を行う検査処理と、
前記検査処理での検査が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行させる制御処理と、
前記検査処理での検査履歴を表示する表示処理と、
前記表示処理により表示された検査履歴から検査済みジョブの再検査の実行を受付ける操作入力処理と、を含み、
前記制御処理として、前記操作入力処理で検査済みジョブの再検査の操作入力によるジョブが断裁マークを有する用紙の再検査であるとき、前記検査処理により、前記断裁マークが配置された用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる
画像形成方法。
【請求項7】
画像形成部での画像形成処理により画像が形成された用紙を読み取り、読み取った画像の解析で検査を行う検査処理と、
前記検査処理での検査が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行させる制御処理と、を含み、
前記制御処理として、前記画像形成部を通過しない用紙に対する検査の指示があるとき、前記検査処理により、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる
画像形成方法。
【請求項8】
搬送される用紙に画像を形成する画像形成処理と、
前記画像形成処理により画像が形成された用紙を読み取る読取処理と、
前読取処理で読み取った画像を解析して検査を行う検査処理と、
前記検査処理による検査を制御し、前記検査処理が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行する制御処理と、を含み、
前記制御処理では、予め定められたトレイから給紙される用紙に対する検査の指示があるとき、前記検査処理として、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行するよう制御する
画像形成方法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の画像形成方法が備える各処理を実行する手順をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関し、特に画像形成に検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に画像を形成して印刷物を得る画像形成装置として、用紙に画像を形成した印刷物に不良がないか否かを検査する検査機能(検品機能)を備えたものがある。
検査機能としては、画像形成装置で形成された画像そのものに汚れなどの不良がないかを検査する機能と、用紙の断裁などが適正に行われているかを検査する機能などがある。
【0003】
用紙の断裁を検査する機能については、例えば用紙の四隅のコーナーに印刷された断裁マークが残っているか否かを検査し、用紙に断裁マークが残っていたとき、断裁が適正に行われていないと判断するものである。但し、断裁マークをあえて残す切り方もあり、印刷物の設定によって、検査時に判断する内容が異なる。
【0004】
画像そのものに不良がないかを判断する検査時には、例えば予め用意された正解画像と、画像形成が行われた用紙をスキャンした画像とを比較して、一致しない場合に、汚れや印刷不良などが発生したと判断する処理が行われる。
【0005】
特許文献1には、画像形成装置で用紙に形成された画像を検査する際に、検査用画像の周囲に原稿外領域を付加して、検査用画像の所定の画素値の領域を原稿外領域として、原稿外領域としての検査を行う技術が記載されている。
特許文献1に記載された技術によると、断裁マークなどの原稿外の領域の検査を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-166556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置が印刷物の検査を行う際に行う画像の内容の検査は、予め用意された正解画像と印刷された画像とを画素単位で比較するものであるため、比較的時間がかかる処理であり、検査装置としての負担も大きいという問題があった。
【0008】
一方、画像形成装置が検査を行う際には、用紙への画像形成を行う工程と、その画像形成工程に続いて行われる用紙の断裁などの後処理工程とを行った後に、検査工程を行う場合と、既に画像が形成された用紙に後処理工程だけを行って検査工程を行う場合とがある。
ここで、従来の画像形成装置は、検査工程時に検査装置に搬送された用紙が、どのような工程を経て搬送された用紙であっても、画像の内容の検査と、断裁マークなどの用紙の状態の検査の双方を行うようにされていた。
【0009】
したがって、従来の画像形成装置では、検査対象の印刷物がどのような工程を経て検査装置に供給される場合でも、画像内容の検査と、用紙の状態の検査の双方が実施されるため、検査装置としての負担が大きいという問題があった。
【0010】
本発明は、画像検査を行う際の負担を減らすことができる画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部で画像が形成された用紙を読み取るスキャナ部と、スキャナ部で読み取った画像の解析で検査を行う検査部と、検査部での検査を制御し、検査部での検査が既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行させる制御部と、を備える。ここで制御部は、操作部で検査済みジョブの再検査の実行が選択され、選択されたジョブが断裁マークを有する用紙の再検査であるとき、検査部により、断裁マークが配置された用紙端部の周辺領域のみの検査を実行する。あるいは、制御部は、画像形成部を通過しない用紙に対する検査の指示があるとき、前記検査部で、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行する。あるいはまた、制御部は、予め定められたトレイから給紙される用紙に対する検査の指示があるとき、検査部で、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行するよう制御する。
【0012】
また、本発明の画像形成方法は、画像形成処理により画像が形成された用紙を読み取り、読み取った画像を解析して検査を行う検査処理と、検査処理での検査が、既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行する制御処理と、を含む。ここで制御処理では、操作入力処理で検査済みジョブの再検査の実行が選択され、選択されたジョブが断裁マークを有する用紙の再検査であるとき、検査処理により、断裁マークが配置された用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる。あるいは、制御処理では、画像形成部を通過しない用紙に対する検査の指示があるとき、検査処理で、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる。あるいはまた、制御処理では、予め定められたトレイから給紙される用紙に対する検査の指示があるとき、検査処理で、用紙端部の周辺領域のみの検査を実行させる。
【0013】
また、本発明のプログラムは、上述した画像形成方法が備える各処理を実行する手順を有するプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、画像形成装置で画像形成を行って一度検査を行った用紙については、1回目の検査と異なる検査を行うようにすることで、検査時の負担を少なくすることが可能になる。例えば、2回目の検査では、既に行われた画像形成状態についての検査を省略して、周辺領域などの一部の検査だけでよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態例による装置例を示す構成図である。
図2】本発明の一実施の形態例による画像形成装置の内部構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態例による検査部の内部構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施の形態例による検査処理例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施の形態例による断裁にてカットされる箇所と、断裁マークの例を示す説明図である。
図6】本発明の一実施の形態例によるジョブリストの例を示す図である。
図7】本発明の一実施の形態例による検査処理例(変形例1)を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施の形態例によるジョブリストの例(変形例2)を示す図である。
図9】本発明の一実施の形態例によるジョブリスト(変形例2の再検査後)の例を示す図である。
図10】本発明の一実施の形態例による検査結果の表示例(変形例3)を示す図である。
図11】本発明の一実施の形態例によるトレイ選択画面の例(変形例4)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
【0017】
[1.システム構成例]
図1は、本例の画像形成システムの構成例を示す。
本例の画像形成システムは、画像形成装置の本体10と、その本体10に接続された各機器とを備える。本体10に接続された機器としては、給紙部20、後処理部30、検査部40、および排紙部50を備える。
給紙部20は、複数の給紙トレイを備え、本体10に用紙を搬送する。本体10には、プリンタ部500が内蔵され、給紙部20から搬送された用紙に対して画像形成を行う。また、給紙部20には、原稿送りをするADF部(Auto Document Feeder)300と、操作表示部400とが接続されている。
【0018】
本体10内のプリンタ部500で画像が形成された用紙は、後処理部30に搬送される。後処理部30では、搬送された用紙に対して、予め指示された後処理が行われる。後処理部30が行う後処理としては、紙折り処理、紙綴じ処理、断裁処理などの様々な処理がある。なお、後処理部30には、画像形成装置の本体10を経由せずに直接、後処理部30に用紙を給紙する給紙トレイ31を備える。
【0019】
後処理部30で後処理が行われた用紙は、検査部40に供給される。なお、本体10から後処理部30を経由して検査部40に供給される用紙には、後処理部30での後処理が何も実行されずに供給される場合もある。
検査部40では、供給される用紙に形成された画像などの検査を行う。検査部40を通過した用紙は、排紙部50に用意された排紙トレイ51、52に排紙される。排紙トレイ51は、検査部40での検査で良品と判断された用紙が排紙されるトレイであり、排紙トレイ52は、検査部40での検査で異常があると判断された用紙が排紙されるトレイである。
【0020】
図2は、画像形成装置の要部の制御ブロック図である。

本体10は、制御部100と、スキャナ部200と、操作表示部400と、プリンタ部500と、画像処理部600とを備えて構成される。
【0021】
制御部100は、画像制御CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、読込処理部105、書込処理部106、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御部107、圧縮部108、伸張部109、および画像メモリ110を備えて構成される。
【0022】
画像制御CPU101は、ROM102に記憶されているシステムプログラムや画像形成処理プログラム、排紙処理プログラム等の各種処理プログラムを読出してRAM103に展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置や周辺機器の各部の動作を制御する。
【0023】
例えば、画像制御CPU101は、スキャナ部200または画像処理部600から入力された画像情報と、制御部100に接続された操作表示部400を介して入力された設定情報とに基づいて印刷用のジョブを生成する。そして、このジョブを実行することで用紙に画像を形成する。ここで、ジョブとは、画像形成に関する一連の動作を指し、例えば、所定枚数の原稿からなる複写物を作成する場合には、所定枚数の原稿の画像形成に関する一連の動作が1ジョブである。
【0024】
ROM102は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、画像形成装置に対応するシステムプログラムおよび該システムプログラム上で実行可能な画像形成処理プログラム、排紙処理プログラム等の各種処理プログラム等が記憶されている。これらのプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、画像制御CPU101は、当該プログラムコードに従った動作が逐次実行される。
【0025】
RAM103は、画像制御CPU101により実行される各種プログラムおよびこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成し、ジョブキュー、各種動作設定等を記憶する。
【0026】
読込処理部105は、スキャナ部200から入力されたアナログ画像信号に、アナログ信号処理、A/D変換処理、シェーディング処理等の各種処理を施し、ディジタル画像データを生成し、圧縮部108に出力する。
書込処理部106は、伸張部109から入力される画像データに基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、プリンタ部500へ出力する。
【0027】
DRAM制御IC107は、画像制御CPU101からの制御に基づいて、圧縮部108による画像データの圧縮処理、及び伸張部109による圧縮データの伸張処理を制御するとともに、画像メモリ110における画像データの入出力制御を行う。例えば、スキャナ部200により読取られた画像データの保存が指示されると、DRAM制御IC107は、読込処理部105から入力された画像データの圧縮処理を圧縮部108に実行させて、圧縮画像データを画像メモリ110の圧縮メモリ111に記憶する。
【0028】
また、圧縮メモリ111に記憶された圧縮画像データの画像形成が指示されると、DRAM制御部107は、圧縮メモリ111から圧縮画像データを読出し、伸張部109で伸張処理を実行させてページメモリ112に記憶する。さらに、DRAM制御部107は、ページメモリ112に記憶された画像データを読出して書込処理部106に出力する。
【0029】
圧縮部108は、DRAM制御部107の制御により、入力された画像データに圧縮処理を施す。
伸張部109は、DRAM制御部107の制御により、入力される圧縮画像データに伸張処理を施す。
【0030】
画像メモリ110は、例えば、揮発性メモリであるDRAMで構成され、圧縮メモリ111、ページメモリ112を有する。圧縮メモリ111は、圧縮画像データを記憶するためのメモリであり、ページメモリ112は画像形成前に画像形成に係る被圧縮画像データを一時的に格納するためのメモリである。
【0031】
スキャナ部200は、CCD201等のイメージセンサーと、スキャナ制御部202と、を備える。スキャナ制御部202は、画像制御CPU101からの制御信号に基づいて、スキャナ部200の各部を駆動制御する。具体的には、コンタクトガラスに載置された原稿面の露光走査を実行し、反射光をCCD201で結像して画像を読取る。そして、この結像された光信号を光電変換してアナログ画像信号を生成し、読込処理部105へ出力する。
【0032】
操作表示部400は、LCD(Liquid Crystal Display)401と、操作表示制御部402と、その他図示しない操作キー群、タッチパネルとを備えて構成される。
LCD401は、操作表示制御部402からの表示制御信号に従って、画面上に各種設定画面や画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。また、LCD401の画面上には、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルが構成されており、手指やタッチペン等で操作された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として操作表示制御部402に出力する。
【0033】
操作表示制御部402は、画像制御CPU101からの制御信号に基づいて、LCD401における表示制御を行う。例えば、画像形成処理に用いる用紙についての各種設定画面や、各種処理結果等をLCD401に表示する。また、操作表示制御部402は、LCD401上のタッチパネル又は操作キー群から入力された操作信号を画像制御CPU101に出力する。
【0034】
ユーザは、操作表示部400のLCD401により、画像形成処理のプリント条件を入力するための基本画面や、画像形成装置に予約されたジョブの一覧表などの閲覧が可能である。そして、ユーザは、LCD401上のタッチパネル等を操作することにより、画像形成処理にかかる各種の設定を、所望の設定に変更することができる。
【0035】
プリンタ部500は、画像形成部に相当し、LD部(Laser Diode)501と、プリンタ制御部502とを備え、書込処理部106から入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
【0036】
LD部501は、LD、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部、及び定着部等を備える。また、LD部501は、LD部501内の搬送経路に従って用紙を搬送するための給紙ローラ、レジストローラ、排紙ローラ等の各種ローラ、搬送路切替板、および反転部等を備える。LD部501の搬送部は、プリンタ制御部502からの制御に基づいて、当該ジョブで指定された用紙を給紙トレイから給紙して、給紙された用紙を搬送経路上に搬送する。
【0037】
また、LD部501の搬送経路上には、複数のセンサが設けられている。これらのセンサは、用紙が通過する際に検出信号を発生し、これをプリンタ制御部502に出力する。
【0038】
プリンタ制御部502は、画像制御CPU101からの制御信号を受信して、LD部501の各部の動作を制御する。また、プリンタ制御部502は、搬送経路上に設けられたセンサからの検出信号に基づいて、ジョブ毎に給紙した用紙の枚数をカウントし、画像制御CPU101に出力する。
【0039】
プリンタ部500では、プリンタ制御部502からの指示に基づいて、感光体ドラム表面を帯電部により帯電し、書込処理部106から入力されたPWM信号に基づいてLDにより感光体ドラム表面にレーザ光を照射することにより静電潜像を形成する。そして、現像部において感光体ドラム表面の静電潜像を含む領域にトナーを付着させ、転写部により用紙にトナーを転写して画像を形成する。そして、転写された画像を定着部で定着した後、画像形成済みの用紙を排紙ローラにより後処理部30へ搬送する。
【0040】
画像処理部600は、コントローラ制御部601、DRAM制御部602、画像メモリ603、LANインタフェース604、ハードディスクドライブ(HDD:hard disk drive)605等で構成される。
コントローラ制御部601は、各部の動作を統括的に制御し、LANインタフェース604を介して、外部の情報端末60から入力されるデータをジョブとして、制御部100に配信する。
【0041】
DRAM制御部602は、LANインタフェース604により受信されたデータの画像メモリ603への格納や、画像メモリ603からのデータの読出しを制御する。また、DRAM制御部602は、制御部100のDRAM制御部107とバスで接続されており、コントローラ制御部601からの指示に従って、画像形成対象のデータを画像メモリ603から読出してDRAM制御部107に出力する。
【0042】
画像メモリ603は、DRAMから構成され、この画像メモリ603に入力されたデータが一時的に格納される。
LANインタフェース604は、ネットワークに接続するための通信インタフェースであり、情報端末60からネットワークを介して画像情報、ジョブ等を受信し、DRAM制御部602に出力する。
HDD605には、画像情報やジョブの詳細が記憶される。なお、HDD605は、制御部100のデータ記憶部としても使用される。
【0043】
図3は、図1に示す検査部40の構成を示す。
検査部40は、LANインタフェース701、検査制御部702、スキャナ部703、測色部704、データ記憶部705、および解析部706を備える。
LANインタフェース701は、図1に示す画像形成装置の本体10側と通信を行う。
検査制御部702は、本体10側の制御部100等からの指示に基づいて、スキャナ部703で読み取った画像の検査を実行する。また、検査制御部702は、必要により測色部704が読み取った色の検査を実行する。
【0044】
データ記憶部705には、検査に必要なデータが記憶される。例えば、比較元となる正解画像のデータがデータ記憶部705に記憶される。また、検査処理結果もデータ記憶部705に記憶される。
解析部706は、検査制御部702の制御下で、スキャナ部703で読み取った画像とデータ記憶部705に記憶された正解画像とを比較する解析処理を行う。なお、本例の場合には、用紙に形成された画像全てを解析処理する場合と、用紙の一部の領域(例えば周辺領域)のみを解析処理する場合とがある。
検査制御部702は、この解析部706での解析結果を判断して、プリンタ部500で形成された画像に不良があるか否かの判定を行う。検査制御部702で判定した検査結果は、データ記憶部705に記憶されると共に、LANインタフェース701を介して図1に示す画像形成装置の本体10側や情報端末60にも伝送される。
【0045】
[2.検査時の処理の流れ]
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施の形態例の画像形成装置の検査部40で検査を行う際の流れについて説明する。
検査部40は、画像形成装置のプリンタ部500で用紙に画像形成が行われた後、その画像形成された用紙が検査部40に搬送されることで、用紙に形成された画像の検査を行う。但し、図1に示すように、本体10と検査部40との間に設置された後処理部30の給紙トレイ31から給紙された用紙のように、画像形成処理が行われない用紙が検査部40に供給された場合でも、検査部40が検査を行うこともある。プリンタ部500を通過して検査部40に供給される用紙も、プリンタ部500で画像形成処理が行われない状態で供給されることがある。但し、これらの画像形成処理が行わずに検査部40に供給される用紙は、基本的には既に一度画像形成が行われて、排紙トレイ51または52から排紙された用紙を、給紙トレイ31などに装填したものである。
【0046】
本例の画像形成装置では、一度画像形成が行われて、再度検査部40に搬送された用紙については、検査部40は、一度行われた項目の検査を省略して、実施していない項目の検査のみを自動的に行うようした。
すなわち、図4のフローチャートに示すように、検査部40の検査制御部702は、そのときの検査ジョブの実行で後処理部30から搬送された用紙が、既に検査済みの用紙か否かを判断する(ステップS11)。そして、検査済みの用紙でないと判断したときには(ステップS11のNO)、検査制御部702は、スキャナ部703で読み取った画像と正解画像とを比較する解析処理を解析部706に指示し、通常の検査処理を実行する(ステップS12)。
【0047】
一方、ステップS11での判断で、検査済みの用紙の再検査であると判断したときは(ステップS11のYES)、検査制御部702は、該当する過去の検査ジョブの記憶データから、実施済みの検査種別を取得する(ステップS13)。なお、過去の検査ジョブについてのデータは、例えばHDD605(図2)に記憶される。
そして、検査制御部702は、ステップS13で取得した実施済みの検査種別以外の検査を行うように検査項目を選択して、解析部706に対して該当する項目の検査を実行する(ステップS14)。
【0048】
図5は、図4のフローチャートのステップS12およびS14での検査状態のイメージを示す図である。
ここでは、図5の上側に示すように、プリンタ部500で画像形成処理が行われて排紙部50から排紙された用紙に対して、別の断裁機(不図示)または後処理部30を使って用紙の縁をラインL1に沿って断裁する処理が行われる。
【0049】
図5の下側は、用紙全体の断裁される領域を示す。
上述したようにラインl1に沿って断裁する処理を4辺全てに行うことで、図5の下側に示すように、用紙の4辺の縁がカットされる領域Xになり、用紙は、中央の領域Yだけが残る。ここで、図5の左下に示すように、カット前の用紙の四隅には、断裁位置を指示する断裁マークM1,M2,M3,M4が、プリンタ部500で画像形成処理時に付与される。
【0050】
図4のフローチャートのステップS12での検査部40による1回目の検査時には、領域Yに印刷された画像と正解画像との比較処理で、印刷された画像に不良や汚れ等の有無が判断される。また、断裁マークM1,M2,M3,M4が正しく印刷されたか否かについても検査で判断される。
一方、図4のフローチャートのステップS12での検査部40による2回目の検査時には、領域Yの検査は実行しない。つまり、領域Yに形成された画像の不良や汚れ等の検査は行わない。そして、検査部40は、領域Yの周囲の領域Xについて、断裁マークM1,M2,M3,M4が残っていないか否かを判断する。ここで、いずれかの断裁マークM1,M2,M3,M4の一部でも残っていた場合、検査部40は、用紙の断裁が適正でないと判断する。
【0051】
このように、本例の画像形成装置によると、同じ用紙に対して複数回の検査を行う場合、2回目以降の検査については、1回目の検査で行った画像の検査を省略し、周辺部の検査などの後処理で必要になった検査のみを実行するようになる。したがって、検査部40は、2回目以降の検査時には、スキャナ部703で読み取った画像の内の、大部分の面積を占める領域Yの検査が実行されず、用紙の周辺部である領域Yの検査だけが行われる。これにより、解析部706で解析を行う範囲を大幅に小さくすることができる。
このことは、検査部40での検査に要する処理負担を大幅に低減することができると共に、検査時間についても短時間化を図ることができる。また、検査結果として保存する画像データについても、2回目につては用紙の周辺の画像データのみとなるため、データ保存容量の縮小にも貢献する。
【0052】
[3.検査ジョブ実行時の画面の例]
図6は、本例の画像形成装置で検査ジョブを実行するときのジョブリストの例を示す。この図6に示す画面は、例えば操作表示部400のLCD401(図1)に表示される。
図6は、画像形成装置で過去に行った検査ジョブのリストを表示した例を示す。
この図6に示す過去の検査ジョブのリストから、ユーザが特定のリスト項目R1を選択して、検査制御部702は、図4のフローチャートのステップS11で既に検査が実行された用紙の再度の検査であると判断する。
【0053】
[4.変形例]
なお、図4のフローチャートに示す処理では、2回目以降の検査であるとき、自動的に用紙の周辺の領域の検査を行うようにした。これに対して、過去に検査が行われた用紙の再検査を指示する検査ジョブの実行を指示したときに、裁断マークがある用紙の再検査の指示があったときだけ、用紙周辺の領域の自動検査を行うようにしてもよい。
すなわち、図7のフローチャートに示すように、検査制御部702は、検査済み用紙の再検査が指示されたか否かを判断し(ステップS21)、再検査が指示された場合に(ステップS21のYES)、裁断マークがある用紙の検査か否かを判断する(ステップS22)。
ここで、裁断マークがある用紙の再検査である場合に(ステップS22のYES)、検査制御部702は、用紙の周辺に対する検査のみを行うように検査項目を自動的に選択する(ステップS23)。
一方、裁断マークがない用紙の再検査である場合に(ステップS22のNO)、検査制御部702は、1回目の検査で実行した検査種別を記憶データから取得し(ステップS24)、1回目の検査で実行した検査種別以外の検査を実行する(ステップS25)。
【0054】
この図7のフローチャートに示す検査種別の選択処理が行われることで、検査を行う項目が、そのときの履歴に基づいて自動的に適切に設定されるようになる。
なお、図5に示す四隅の断裁マークM11~M14は、一般的には断裁後にこの断裁マークM11~M14がないことが、正しい断裁が行われたと判断するために使用される。これに対して、サイズ規格を明確にするために四隅の断裁マークM11~M14を残して断裁するケースもある。したがって、断裁マークの有無のいずれが正しいと判断するかを切り替えできることが好ましい。
また、図6のような画面で選択された履歴から、どの断裁マークを付加したかを判断し、チェック方法を自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0055】
また、1回目の検査履歴と、同じ用紙に対する2回目の検査履歴は、画面上で関連して表示するようにしてもよい。
すなわち、例えば図8の検査履歴リストを表示した状態で、この履歴リスト内の特定の1つの項目R2の再検査をユーザが指示したとする。
この指示で再検査を実行し、検査が完了したとき、検査履歴リストとして、図9に示すような表示を行う。ここでは、1回目の検査を示す項目R2と、同じ用紙に対する2回目の検査を示す項目R3とを、上下に隣接して表示する。
このように同じ印刷物に対して複数回行った検査を関連付けて検査履歴に表示することで、1回目の検査でチェックされた項目(ここでは「汚れ」)と、2回目の検査でチェックされた項目(ここでは「断裁マーク」)とが、履歴表示から簡単に判るようになる。
【0056】
また、検査部40は、それぞれの検査時にスキャナ部703が読み取った画像をデータ記憶部705が記憶するようにしてもよい。このように読み取った画像を記憶したときには、例えば図9に示す検査履歴画面から、項目R2または項目R3の詳細表示がユーザにより選択されたとき、それぞれの検査で読み取った画像を画面上に表示してもよい。
【0057】
図10は、2つの検査で読み取った画像を並べて表示した例を示す。図10の例では、1回目の検査の画像を1次検査A11として示し、1回目の検査を行った日時ともに表示する。また、2回目の検査の画像を2次検査A12として示し、2回目の検査を行った日時ともに表示する。
【0058】
また、上述した実施の形態例では、過去に実行した検査ジョブの再実行で、2回目の検査と判断して、周辺領域の検査などの一部の検査を行うようにした。これに対して、検査実行時の用紙の搬送元の選択で、再検査か否かを判断するようにしてもよい。
【0059】
図11は、検査実行時の給紙トレイの選択画面の例を示す。ここでは、画面上に給紙トレイT11~T21の11個を表示する。ここで、給紙トレイT21については、プリンタ部500を通過しない給紙トレイ31(図1)であり、この給紙トレイT21から給紙される用紙を選択して、検査開始ボタンB1が押されたとき、検査制御部702は、図4のステップS11での判断時に、検査済み用紙の検査であると判断する。
【0060】
なお、ここまで説明した図6などに示す画面は一例を示すものであり、検査指示時の画面として、その他の構成としてもよい。また、上述した実施の形態例では、検査指示時の画面として、本体10が備える操作表示部400が行う例としたが、例えば図1に示す外部の情報端末60などが同様の画面表示を行うようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、2回目の検査時に行う検査処理として、周辺領域のみの検査としたが、周辺領域以外の検査についても、1回目の検査とは異なる処理を行うようにしてもよい。例えば、1回目の検査については、周辺以外の画像について、精密な検査を行い、2回目の検査時には、精度を落として周辺以外の画像の汚れなどを検知する検査を行うようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態例では、画像形成装置に接続された検査部40が、画像形成装置側からの指示で検査を行う構成としたが、例えば上述した実施の形態で説明した検査処理を実行するプログラムを作成して、そのプログラムを既存の画像形成装置に実装することで、既存の画像形成装置が同様の動作を行うようにしてもよい。この場合のプログラムは、例えば、各種記録媒体に記録して、画像形成装置を制御するコンピュータに実装することで実現できる。
また、上述した実施の形態例では、画像形成装置に組み込まれた検査部40が検査を行う例としたが、画像形成装置とは別体の検査装置が同様の検査処理を行うようにしてもよい。あるいは、図1に示す構成の場合、検査部40が備える検査制御部702(図3)が複数回の検査についての制御を行う代わりに、図2に示す制御部100側または外部の情報端末60が、複数回の検査実行時の検査項目などの制御を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…本体、20…給紙部、30…後処理部、40…検査部、50…排紙部、60…情報端末、100…制御部、500…プリンタ部、600…画像処理部、702…検査制御部、703…スキャナ部、706…解析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11