IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コネクタ 図1
  • 特許-コネクタ 図2
  • 特許-コネクタ 図3
  • 特許-コネクタ 図4
  • 特許-コネクタ 図5
  • 特許-コネクタ 図6
  • 特許-コネクタ 図7
  • 特許-コネクタ 図8
  • 特許-コネクタ 図9
  • 特許-コネクタ 図10
  • 特許-コネクタ 図11
  • 特許-コネクタ 図12
  • 特許-コネクタ 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20220809BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01R13/514
H01R13/46 301M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018183644
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020053331
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 耕至
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-154072(JP,A)
【文献】特開2012-099274(JP,A)
【文献】中国実用新案第207800955(CN,U)
【文献】特開2006-015618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに高さ方向に積層される一側端子ブロック部及び他側端子ブロック部と、前記一側端子ブロック部及び前記他側端子ブロック部をインサートして成形されるハウジングと、を備え、
前記一側端子ブロック部及び前記他側端子ブロック部は、いずれも、第1端子と、前記第1端子の周囲を樹脂被覆する第1保持部と、第2端子と、前記第2端子の周囲を全周に亘って樹脂被覆する第2保持部と、を有し、
前記第1端子は、前記第1保持部の端面に露出する露出面を有し、
前記一側端子ブロック部は、前記高さ方向と交差する幅方向において、前記第2保持部の前記幅方向の両側に前記第1保持部を一体に連ね、前記第1保持部の端面よりも一段高い位置に前記第2保持部の端面を有することで、前記第2保持部と対応する位置に前記高さ方向に突出する凸部が形成され、
前記他側端子ブロック部は、前記幅方向において、前記第1保持部の前記幅方向の両側に前記第2保持部を一体に連ね、前記第2保持部の端面よりも一段落ちた位置に前記第1保持部の端面を有することで、前記第1保持部と対応する位置に前記高さ方向に凹む凹部が形成され、
前記一側端子ブロック部及び前記他側端子ブロック部の積層状態において、前記一側端子ブロック部の前記凸部が前記他側端子ブロック部の前記凹部に嵌合し、前記第2保持部が前記第1端子の前記露出面を覆うように構成されているコネクタ。
【請求項2】
前記第1端子及び前記第2端子は、
両端側に配置され、相手端子に接続される接続部と、
両接続部間で、且つ、両接続部の突出方向と交差する方向に配置される中継部と、
を有し、
前記第1保持部及び前記第2保持部は、それぞれ前記第1端子及び前記第2端子の前記接続部を除く部分を被覆し、前記中継部と対応する部位に中継保持部を有し、
前記第1端子の中継部は、前記露出面を有し、
前記第2保持部の中継保持部は、前記露出面を覆う部分を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1端子及び前記第2端子は、前記接続部と同方向に延び、前記中継部側に位置する接続部隣接部を有し、前記接続部隣接部の周りの全周がそれぞれ前記第1保持部及び前記第2保持部で樹脂被覆されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるコネクタは、中空部を有するコネクタハウジングと、複数の端子を保持する複数の端子ブロックと、を備えている。複数の端子ブロックは、積層された状態でコネクタハウジングの中空部に嵌め込まれている。端子ブロックは、複数の端子と、これら複数の端子と一体的に形成される絶縁部材と、を備えている。絶縁部材は、延在方向に沿って前面と背面の間を貫通するように複数の圧入孔が設けられている。そして、複数の端子は、複数の圧入孔にそれぞれ圧入されることで、絶縁部材によって支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6275603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコネクタは、各端子が絶縁部材によって周りが被覆される構成であり、端子ブロックの高さ方向における端子間の沿面距離を確保している。しかしながら、このコネクタは、複数の端子ブロックが積層されるため、隣り合う端子ブロック間で、端子間にそれぞれの絶縁部材が介在することになる。そのため、コネクタは、端子ブロックの高さ方向のサイズが大きくなってしまう。このような問題に対して、コネクタは、端子ブロックの高さ方向における端子間の沿面距離を確保するとともに、低背化が可能な構成が求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子の周りを樹脂被覆する複数の保持部が高さ方向で積層されるコネクタにおいて、端子間の沿面距離を確保しつつ、低背化が可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、
第1端子及び第2端子と、
前記第1端子及び前記第2端子の周りをそれぞれ樹脂被覆する第1保持部及び第2保持部と、
を備え、
前記第1保持部と前記第2保持部は、互いに高さ方向で積層され、
前記第1端子は、前記第1保持部の樹脂表面に露出する露出面を有し、
前記第2保持部は、前記第1保持部との積層状態で、前記第1端子の露出面を覆う部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このコネクタは、第1端子及び第2端子の周りをそれぞれ樹脂被覆する第1保持部及び第2保持部を備えている。そして、第1保持部と第2保持部は、互いに高さ方向で積層されている。そのため、コネクタは、第1端子と第2端子との間には樹脂が介在することになり、第1端子と第2端子の間の沿面距離(絶縁距離)を確実に確保することができる。その上で、第2保持部は、第1保持部との積層状態で、第1保持部の樹脂表面に露出する第1端子の露出面を覆う部分を有している。そのため、第1保持部は、第1端子の露出面を樹脂被覆することなく、第2保持部の樹脂を第2端子との間に介在させることができる。これにより、コネクタは、第1端子の露出面を樹脂被覆しない分だけ低背化を図ることができる。したがって、コネクタは、端子間の沿面距離を確保した上で、低背化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のコネクタの正面側から見た断面図である。
図2】コネクタの左側面図である。
図3】一側端子ブロック部の斜視図である。
図4】他側端子ブロック部の斜視図である。
図5】一側端子ブロック部と他側端子ブロック部の積層状態を示す正面図である。
図6】一側端子ブロック部と他側端子ブロック部の積層状態を示す背面図である。
図7】一側端子ブロック部と他側端子ブロック部の積層状態を示す左側面図である。
図8】一側端子ブロック部と他側端子ブロック部の積層状態を示す右側面図である。
図9】一側端子ブロック部と他側端子ブロック部の積層状態を示す平面図である。
図10】一側端子ブロック部と他側端子ブロック部の積層状態を示す底面図である。
図11図7のA-A断面を示す正面側から見た断面図である。
図12図5のB-B断面を示す左側から見た断面図である。
図13】従来のコネクタにおける積層部分の断面を概略的に示す左側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、前記第1端子及び前記第2端子が、両端側に設けられ、相手端子に接続される接続部と、両接続部間で、且つ、両接続部の突出方向と交差する方向に配置される中継部と、を有してもよい。前記第1保持部及び前記第2保持部は、それぞれ前記第1端子及び前記第2端子の前記接続部を除く部分を被覆し、前記中継部と対応する部位に中継保持部を有してもよい。前記第1端子の中継部は、前記露出面を有してもよい。前記第2保持部の中継保持部は、前記露出面を覆う部分を有してもよい。
相手端子との関係上、第1端子及び第2端子の両接続部は、端子間の一定のピッチを確保する必要がある。そこで、第1端子における接続部とは異なる部分である中継部に露出面を設け、第2保持部の中継保持部で露出面を覆う構成としている。このように、各接続部とは異なる部分であり、両接続部の突出方向と交差する方向に配置される中継部で端子間のピッチの変更を行うことで、相手端子との接続に支障が生じないように低背化を図ることができる。
【0010】
本発明は、前記第1端子及び前記第2端子が、前記接続部と同方向に延び、前記中継部側に位置する接続部隣接部を有し、前記接続部隣接部の周りの全周がそれぞれ前記第1保持部及び前記第2保持部で樹脂被覆されていてもよい。
この構成によれば、コネクタは、第1端子及び第2端子のそれぞれの接続部隣接部の間に樹脂が介在することになり、両接続部隣接部の間における沿面距離(絶縁距離)を確実に確保することができる。
【0011】
本発明は、コネクタが、前記第1保持部と前記第2保持部が前記高さ方向と交差する方向に一体に連なり、凹みの底面に前記第1端子が位置する凹凸状の端子ブロック部を備えてもよい。複数の前記端子ブロック部が前記高さ方向に凹凸嵌合するように積層されてもよい。
この構成によれば、第1保持部と第2保持部が高さ方向と交差する方向に一体に連なる凹凸状の複数の端子ブロック部が、高さ方向に凹凸嵌合するように積層されている。そのため、コネクタは、複数の端子ブロック部が互いに位置ずれすることを防ぐことができる。その上で、端子ブロック部は、凹みの底面に第1端子が位置する構成であり、第1端子の露出面を他方の端子ブロック部で覆うことができる。これにより、コネクタは、複数の端子ブロック部の凹凸嵌合を利用して第1端子の露出面を覆うことができる。したがって、コネクタは、複数の端子ブロック部の互いの位置ずれを防ぎつつ、端子間の沿面距離を確保した上で、低背化が可能な構成とすることができる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図13を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向(幅方向とする)については、図1,5,11において紙面手前を前方、紙面奥を後方と定義する。上下の方向(高さ方向とする)については、図1,2,5~8,11,12,13にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図1,5,9~11にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0013】
本実施例1のコネクタ10は、図1に示すように、一側端子ブロック部20と、他側端子ブロック部50と、ハウジング80(図2も参照)と、を備えている。一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50は、互いに高さ方向で積層されている。具体的には、コネクタ10は、高さ方向の一側(図1では下側)に一側端子ブロック部20が位置し、高さ方向の他側(図1では上側)に他側端子ブロック部50が位置するように構成されている。ハウジング80は、互いに積層された状態の一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50をインサートして成形されている。
【0014】
まず、一側端子ブロック部20について説明する。
一側端子ブロック部20は、図3に示すように、第1端子31,33と、第2端子32と、第1保持部41,43と、第2保持部42と、を備えている。なお、第1端子31,33、及び第2端子32は、同じ形態となっている。
【0015】
第1端子31は、図5に示すように、導電金属製であって、一端(図5の上端)から他端(図5の下端)にかけて細長く延びる角ピン状の形態である。第1端子31は、直線状の切断線材に対して曲げ加工されて、クランク状に形成されている。第1端子31は、曲げ部31A,31Bと、接続部31C,31Dと、中継部31Eと、接続部隣接部31F,31Gと、を備えている。曲げ部31A,31Bは、第1端子31の2箇所に設けられている。曲げ部31A,31Bは、直角曲げされている。接続部31C,31Dは、それぞれ第1端子31の各端部(一端及び他端)に設けられ、相手端子(図示略)に接続される。接続部31Cは、高さ方向において上側に延びている。接続部31Dは、接続部31Cとは反対側に向かうように、高さ方向において下側に延びている。中継部31Eは、両接続部31C,31D間(より具体的には曲げ部31A,31B間)で、且つ、両接続部31C,31Dの突出方向と交差する方向(左右方向)に沿って配置されている。中継部31Eは、図3に示すように、後述する第1保持部41の樹脂表面において上方に向かって露出する露出面31Hを有している。露出面31Hは、中継部31Eの上面であり、長方形状である。接続部隣接部31F,31Gは、第1端子31において、それぞれ接続部31C,31Dと同方向に延び、中継部31E側(それぞれ接続部31C,31Dと中継部31Eの間)に位置している。
【0016】
第2端子32は、第1端子31の曲げ部31A,31B、接続部31C,31D、中継部31E、及び接続部隣接部31F,31Gとそれぞれ同じ形態で、図11に示すように、曲げ部32A,32Bと、接続部32C,32Dと、中継部32Eと、接続部隣接部32F,32Gと、を備えている。なお、中継部32Eは、中継部31Eと異なり、後述する第2保持部42によって周りの全周が樹脂被覆されている。
【0017】
第1端子33は、第1端子31の曲げ部31A,31B、接続部31C,31D、中継部31E、及び接続部隣接部31F,31Gとそれぞれ同じ形態で、図6に示すように、曲げ部33A,33Bと、接続部33C,33Dと、中継部33Eと、接続部隣接部33F,33Gと、を備えている。中継部33Eは、図3に示すように、後述する第1保持部43の樹脂表面において上方に向かって露出する露出面33Hを有している。露出面33Hは、中継部33Eの上面であり、長方形状である。
【0018】
第1保持部41,43、及び第2保持部42は、図3に示すように、それぞれ第1端子31,33、及び第2端子32の周りをそれぞれ樹脂被覆している。第1保持部41,43、及び第2保持部42は、それぞれ第1端子31,33、及び第2端子32をインサート成形(1次インサート成形)するモールド樹脂によって成形されている。具体的には、第1保持部41は、第1端子31の接続部31C,31Dを除く部分を被覆している。第2保持部42は、第2端子32の接続部32C,32Dを除く部分を被覆している。第1保持部43は、第1端子33の接続部33C,33Dを除く部分を被覆している。以下、第1保持部41,43、及び第2保持部42について詳しく説明する。
【0019】
第1保持部41は、図3図5に示すように、中継保持部41Eと、隣接部保持部41F,41Gと、を備えている。中継保持部41Eは、第1端子31の中継部31Eと対応する部位に設けられている。中継保持部41Eは、中継部31Eの長手方向に沿って延びる略直方体形状であり、中継部31Eの正面、背面、及び下面を樹脂被覆するように、中継部31Eを保持している。中継保持部41Eは、第1端子31の中継部31Eの上面(露出面31H)を露出させている。中継保持部41Eの上面は、中継部31Eの上面と面一状になっている。隣接部保持部41F,41Gは、図3図5に示すように、それぞれ接続部隣接部31F,31Gの長手方向に沿う略直方体形状であり、それぞれ接続部隣接部31F,31Gの周りの全周を樹脂被覆している。第1保持部41は、図3図5に示すように、中継保持部41Eの右端及び左端が、それぞれ隣接部保持部41Fの下端及び隣接部保持部41Gの上端とつながっており、図5に示すように、正面視でクランク状になっている。
【0020】
第2保持部42は、図3図11に示すように、中継保持部42Eと、隣接部保持部42F,42Gと、リブ42Hと、を備えている。中継保持部42Eは、図11に示すように、第2端子32の中継部32Eと対応する部位に設けられている。中継保持部42Eは、中継部32Eの長手方向に沿って延びる略直方体形状であり、中継部32Eの周りの全周を樹脂被覆するように、中継部32Eを保持している。隣接部保持部42F,42Gは、それぞれ接続部隣接部32F,32Gの長手方向に沿う略直方体形状であり、それぞれ接続部隣接部32F,32Gの周りの全周を樹脂被覆している。第2保持部42は、図3図11に示すように、中継保持部42Eの右端及び左端が、それぞれ隣接部保持部42Fの下端及び隣接部保持部42Gの上端とつながっており、図11に示すように、正面視でクランク状になっている。リブ42Hは、図8図10~12に示すように、中継保持部42Eの下面、及び接続部隣接部32Gの右側面から延出する四角状の板片である。リブ42Hは、左右方向において、中継保持部42Eの中央より左側部分に連なっている。リブ42Hの下端は、接続部隣接部32Gの下端と同じ高さになっている。
【0021】
第1保持部43は、図3図6に示すように、中継保持部43Eと、隣接部保持部43F,43Gと、を備えている。中継保持部43Eは、第1端子33の中継部33Eと対応する部位に設けられている。中継保持部43Eは、中継部33Eの長手方向に沿って延びる略直方体形状であり、中継部33Eの正面、背面、及び下面を樹脂被覆するように、中継部33Eを保持している。中継保持部43Eは、第1端子33の中継部33Eの上面(露出面33H)を露出させている。中継保持部43Eの上面は、中継部33Eの上面と面一状になっている。隣接部保持部43F,43Gは、図3図6に示すように、それぞれ接続部隣接部33F,33Gの長手方向に沿う略直方体形状であり、それぞれ接続部隣接部33F,33Gの周りの全周を樹脂被覆している。第1保持部43は、図3図6に示すように、中継保持部43Eの右端及び左端が、それぞれ隣接部保持部43Fの下端及び隣接部保持部43Gの上端とつながっており、図6に示すように、背面視でクランク状になっている。
【0022】
第1保持部41,43、及び第2保持部42は、図8図12に示すように、幅方向(前後方向)に一体に連なっている。具体的には、第1保持部41、第2保持部42、及び第1保持部43は、この順番で前側から後側に向かって並んでいる。また、第1保持部41、第2保持部42、及び第1保持部43は、各端子31~33の上下方向における位置(高さ)が同じになるように連なっている。そのため、第1保持部41,43は、それぞれ第1端子31,33の中継部31E,33Eを上方から覆っていない分、第2保持部42に対して下方に凹んでいる。これにより、一側端子ブロック部20は、上面が凹凸状になっており、凹みの底面(中継保持部41E,43Eの各上面)に第1端子31,33が位置している。
【0023】
次に、他側端子ブロック部50について説明する。
他側端子ブロック部50は、図4に示すように、第1端子62と、第2端子61,63と、第1保持部72と、第2保持部71,73と、を備えている。なお、第1端子62、及び第2端子61,63は、上述した第1端子31と同じ形態となっており、詳しい説明を省略する。
【0024】
第2端子61は、上述した第1端子31の曲げ部31A,31B、接続部31C,31D、中継部31E、及び接続部隣接部31F,31Gとそれぞれ同じ形態で、図5に示すように、曲げ部61A,61Bと、接続部61C,61Dと、中継部61Eと、接続部隣接部61F,61Gと、を備えている。
【0025】
第1端子62は、上述した第1端子31の曲げ部31A,31B、接続部31C,31D、中継部31E、及び接続部隣接部31F,31Gとそれぞれ同じ形態で、図11に示すように、曲げ部62A,62Bと、接続部62C,62Dと、中継部62Eと、接続部隣接部62F,62Gと、を備えている。中継部62Eは、図11図12に示すように、後述する第1保持部72の樹脂表面において下方に向かって露出する露出面62Hを有している。露出面62Hは、中継部62Eの下面であり、長方形状である。
【0026】
第2端子63は、上述した第1端子31の曲げ部31A,31B、接続部31C,31D、中継部31E、及び接続部隣接部31F,31Gとそれぞれ同じ形態で、図6に示すように、曲げ部63A,63Bと、接続部63C,63Dと、中継部63Eと、接続部隣接部63F,63Gと、を備えている。
【0027】
第2保持部71,73、及び第1保持部72は、図4に示すように、それぞれ第2端子61,63、及び第1端子62の周りをそれぞれ樹脂被覆している。第2保持部71,73、及び第1保持部72は、それぞれ第2端子61,63、及び第1端子62をインサート成形(1次インサート成形)するモールド樹脂によって成形されている。具体的には、第2保持部71は、第2端子61の接続部61C,61Dを除く部分を被覆している。第1保持部72は、第1端子62の接続部62C,62Dを除く部分を被覆している。第2保持部73は、第2端子63の接続部63C,63Dを除く部分を被覆している。以下、第2保持部71,73、及び第1保持部72について詳しく説明する。
【0028】
第2保持部71は、図4図5に示すように、中継保持部71Eと、隣接部保持部71F,71Gと、を備えている。中継保持部71Eは、第2端子61の中継部61Eと対応する部位に設けられている。中継保持部71Eは、中継部61Eの長手方向に沿って延びる略直方体形状であり、中継部61Eの周りの全周を樹脂被覆するように、中継部61Eを保持している。隣接部保持部71Fは、接続部隣接部61Fの長手方向に沿う略直方体形状であり、接続部隣接部61Fの周りの全周を樹脂被覆している。隣接部保持部71Gは、接続部隣接部61Gの長手方向に沿う長手状であり、接続部隣接部61Gの周りの全周を樹脂被覆している。第2保持部71は、中継保持部71Eの右端及び左端が、それぞれ隣接部保持部71Fの下端及び隣接部保持部71Gの上端とつながっており、図5に示すように、正面視でクランク状になっている。
【0029】
第1保持部72は、図4図11に示すように、中継保持部72Eと、隣接部保持部72F,72Gと、リブ72Hと、を備えている。中継保持部72Eは、第1端子62の中継部62Eと対応する部位に設けられている。中継保持部72Eは、中継部62Eの長手方向に沿って延びる略直方体形状であり、中継部62Eの正面、背面、及び下面を樹脂被覆するように、中継部62Eを保持している。中継保持部72Eは、第1端子62の中継部62Eの下面(露出面62H)を露出させている。中継保持部72Eの下面は、中継部62Eの下面と面一状になっている。隣接部保持部72Fは、接続部隣接部62Fの長手方向に沿う略直方体形状であり、接続部隣接部62Fの周りの全周を樹脂被覆している。隣接部保持部72Gは、接続部隣接部62Gの長手方向に沿う長手状であり、接続部隣接部62Gの周りの全周を樹脂被覆している。第1保持部72は、図4図11に示すように、中継保持部72Eの右端及び左端が、それぞれ隣接部保持部72Fの下端及び隣接部保持部72Gの上端とつながっており、図11に示すように、正面視でクランク状になっている。リブ72Hは、図4図7に示すように、隣接部保持部72Gの左側の凹み部分に形成され、正面視長方形状の突出片である。リブ72Hは、下端が隣接部保持部72Gの下端と同じ高さに位置し、左端が隣接部保持部72Gの左端と左右方向で同じ位置にある。
【0030】
第2保持部73は、図4図6に示すように、中継保持部73Eと、隣接部保持部73F,73Gと、を備えている。中継保持部73Eは、第2端子63の中継部63Eと対応する部位に設けられている。中継保持部73Eは、中継部63Eの長手方向に沿って延びる略直方体形状であり、中継部63Eの周りの全周を樹脂被覆するように、中継部63Eを保持している。隣接部保持部73Fは、接続部隣接部63Fの長手方向に沿う略直方体形状であり、接続部隣接部63Fの周りの全周を樹脂被覆している。隣接部保持部73Gは、接続部隣接部63Gの長手方向に沿う長手状であり、接続部隣接部63Gの周りの全周を樹脂被覆している。第2保持部73は、中継保持部73Eの右端及び左端が、それぞれ隣接部保持部73Fの下端及び隣接部保持部73Gの上端とつながっており、図6に示すように、背面視でクランク状になっている。
【0031】
第2保持部71,73、及び第1保持部72は、図7図12に示すように、幅方向(前後方向)に一体に連なっている。具体的には、第2保持部71、第1保持部72、及び第2保持部73は、この順番で前側から後側に向かって並んでいる。また、第2保持部71、第1保持部72、及び第2保持部73は、各端子61,62,63の上下方向における位置(高さ)が同じになるように連なっている。そのため、第1保持部72は、第1端子62の中継部62Eを下方から覆っていない分、第2保持部71,73に対して上方に凹んでいる。これにより、他側端子ブロック部50は、下面が凹凸状になっており、凹みの底面(中継保持部72Eの下面)に第1端子62が位置している。
【0032】
以上のように構成される一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50は、図5図12に示すように、他側端子ブロック部50が一側端子ブロック部20を上方から覆うように、高さ方向で積層されている。一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50は、高さ方向に凹凸嵌合している。具体的には、図12に示すように、第2保持部42の上端が、第2保持部71と第2保持部73の間に嵌まり込んでいる。一側端子ブロック部20の各保持部41~43の上面は、それぞれ他側端子ブロック部50の各保持部71~73の下面に接触している。このように、一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50が凹凸嵌合することで、各端子ブロック部20,50が互いに位置ずれすることを防ぐことができる。そして、他側端子ブロック部50の第2保持部71,73は、それぞれ一側端子ブロック部20の第1端子31,33の露出面31H,33Hを上方から覆っている。一側端子ブロック部20の第2保持部42は、他側端子ブロック部50の第1端子62の露出面62Hを下方から覆っている。

【0033】
また、一側端子ブロック部20の各端子31~33と、それぞれ他側端子ブロック部50の各端子61~63との間の間隔は、一定に保たれ、これらの間には樹脂が介在している。そのため、各端子31~33とそれぞれ各端子61~63との間の沿面距離(絶縁距離)が確実に確保されることになる。その上で、第2保持部71,73,42は、それぞれ第1保持部41,43,72の樹脂表面に露出する第1端子31,33,62の露出面31H,33H,62Hを覆っている。そのため、第1保持部41,43,72は、露出面31H,33H,62Hを樹脂被覆することなく、第2保持部71,73,42の樹脂をそれぞれ第2端子61,63,32との間に介在させることができる。これにより、コネクタ10は、露出面31H,33H,62Hを樹脂被覆しない分だけ低背化を図ることができる。したがって、コネクタ10は、高さ方向の端子間の沿面距離を確保した上で、低背化が可能となる。
【0034】
例えば、図13に示すように、従来のコネクタ110では、一側端子ブロック部120は、積層部分において、保持部140によって全ての端子130の周りの全周を樹脂被覆していた。同様に、他側端子ブロック部150は、積層部分において、保持部170によって全ての端子160の周りの全周を樹脂被覆していた。そのため、コネクタ110は、高さ方向における端子130と端子160との間に、それぞれの保持部140,170の被覆部分が介在することになり、低背化を図ることが難しかった。しかしながら、本実施例では、一部の端子を露出するように、一側端子ブロック部20の上面、及び他側端子ブロック部50の下面を凹凸状にして凹凸嵌合する構成とすることで、端子を樹脂被覆しない分(図13のTで示す厚さ分)だけ低背化を図ることが可能である。
【0035】
一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50の凹凸嵌合によって、中継部31E~33Eとそれぞれ中継部61E~63Eとの間のピッチが狭くなる。しかしながら、接続部31C~33C,61C~63Cは、中継部31E~33E,61E~63Eと交差する方向に延びるため、中継部間のピッチの変更の影響が接続部間のピッチに及ばない。これにより、コネクタ10は、相手端子との接続に支障が生じないように低背化を図ることができる。
【0036】
また、図5に示すように、隣接部保持部41F,41Gは、それぞれ隣接部保持部71F,71Gに左右方向で重なっている。図11に示すように、隣接部保持部42F,42Gは、それぞれ隣接部保持部72F,72Gに左右方向で重なっている。図6に示すように、隣接部保持部43F,43Gは、それぞれ隣接部保持部73F,73Gに左右方向で重なっている。これにより、コネクタ10は、接続部隣接部31F~33F,31G~33Gとそれぞれ接続部隣接部61F~63F,61G~63Gとの間に樹脂が介在することになり、これら接続部隣接部の間における沿面距離(絶縁距離)を確実に確保することができる。
【0037】
ハウジング80は、積層状態の一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50を、インサート成形(2次インサート成形)するモールド樹脂によって成形され、一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50の周囲を樹脂で一括して覆っている。ハウジング80は、図1に示すように、各端子31~33,61~63の配索形態に沿うように、全体としてクランク状に屈曲する形態である。ハウジング80の上端には、上方に開放された筒状のフード部81が設けられている。
【0038】
フード部81内には、各端子31~33,61~63の接続部31C~33C,61C~63Cが突出して配置されている。また、各端子31~33の接続部31D~33D,61D~63Dは、ハウジング80の下端から下方に突出して配置されている。接続部31C~33C,61C~63Cには、図示しない相手端子が電気的に接続される。接続部31D~33D,61D~63Dには、例えば図示しないプリント回路基板の導電部等(相手端子)が電気的に接続されるようになっている。
【0039】
本実施例1のコネクタ10は、第1端子31,33,62及び第2端子32,61,63の周りをそれぞれ樹脂被覆する第1保持部41,43,72及び第2保持部42,71,73を備えている。そして、第1保持部41,43,72と第2保持部71,73,42は、互いに高さ方向で積層されている。そのため、コネクタ10は、第1端子31,33,62と第2端子61,63,32との間には樹脂が介在することになり、第1端子31,33,62と第2端子61,63,32の間の沿面距離(絶縁距離)を確実に確保することができる。その上で、第2保持部42,71,73は、第1保持部72,41,43との積層状態で、第1保持部72,41,43の樹脂表面に露出する第1端子62,31,33の露出面62H,31H,33Hを覆う部分を有している。そのため、第1保持部72,41,43は、第1端子62,31,33の露出面62H,31H,33Hを樹脂被覆することなく、第2保持部42,71,73の樹脂を第2端子32,61,63との間に介在させることができる。これにより、コネクタ10は、第1端子31,33,62の露出面31H,33H,62Hを樹脂被覆しない分だけ低背化を図ることができる。したがって、コネクタ10は、端子間の沿面距離を確保した上で、低背化が可能となる。
【0040】
また、第1端子31の中継部31Eは、露出面31Hを有している。第2保持部71の中継保持部71Eは、露出面31Hを覆う。
相手端子との関係上、第1端子31及び第2端子61の両接続部31C,61Cは、端子間の一定のピッチを確保する必要がある。そこで、第1端子31における接続部31Cとは異なる部分である中継部31Eに露出面31Hを設け、第2保持部71の中継保持部71Eで露出面31Hを覆う構成としている。このように、コネクタ10は、各接続部31C,61Cとは異なる部分であり、高さ方向に沿って配置される中継部31E,61Eで端子間のピッチの変更を行うことで、相手端子との接続に支障が生じないように低背化を図ることができる。
以上、第1端子31と第2端子61の関係による効果について説明したが、第1端子62と第2端子32の間、第1端子33と第2端子63の間における関係も同様の効果を奏する。
【0041】
また、第1端子31は、接続部31C,31Dと同方向に延び、中継部31E側に位置する接続部隣接部31F,31Gを有し、接続部隣接部31F,31Gの周りの全周がそれぞれ第1保持部41で樹脂被覆されている。第2端子61は、接続部61C,61Dと同方向に延び、中継部61E側に位置する接続部隣接部61F,61Gを有し、接続部隣接部61F,61Gの周りの全周がそれぞれ第2保持部71で樹脂被覆されている。
これによれば、コネクタ10は、接続部隣接部31F,61Fの間、接続部隣接部31G,61Gに樹脂が介在することになり、両接続部隣接部の間における沿面距離(絶縁距離)を確実に確保することができる。
以上、第1端子31と第2端子61の関係による効果について説明したが、第1端子62と第2端子32の間、第1端子33と第2端子63の間における関係も同様の効果を奏する。
【0042】
また、コネクタ10は、第1保持部41,43と第2保持部42が幅方向(前後方向)に一体に連なり、凹みの底面に第1端子31,33が位置する凹凸状の一側端子ブロック部20を備えている。コネクタ10は、第1保持部72と第2保持部71,73が幅方向(前後方向)に一体に連なり、凹みの底面に第1端子62が位置する凹凸状の他側端子ブロック部50を備えている。一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50は、高さ方向に凹凸嵌合するように積層されている。
これによれば、コネクタ10は、一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50が互いに位置ずれすることを防ぐことができる。その上で、一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50は、凹みの底面に第1端子31,33,62が位置する構成であり、第1端子31,33,62の露出面31H,33H,62Hを他方の端子ブロック部で覆うことができる。これにより、コネクタ10は、一側端子ブロック部20と他側端子ブロック部50の凹凸嵌合を利用して第1端子31,33,62の露出面31H,33H,62Hを覆うことができる。したがって、コネクタ10は、一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50の互いの位置ずれを防ぎつつ、端子間の沿面距離を確保した上で、低背化が可能な構成とすることができる。
【0043】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例において、一側端子ブロック部20は、上面が左右方向に一様に続く凹凸状になっていたが、左右方向の途中で凹凸パターンが反転するような形態(千鳥足状に凸部が並ぶ形態)であってもよい。例えば、一側端子ブロック部20の上面において、前後方向(幅方向)で凹部(底面で端子が露出する凹部)、凸部(端子が被覆される凸部)、凹部の順に並ぶ領域と、凸部、凹部、凸部の順に並ぶ領域と、が含まれる構成であってもよい。この場合、他側端子ブロック部50の下面の形態も、一側端子ブロック部20とは反対のパターンで凹凸状となる。
(2)上記実施例において、一側端子ブロック部20は、上面に2つの凹部と1つの凸部が形成されていたが、凹部と凸部の数はこれに限定されない。例えば、一側端子ブロック部20は、上面に1つの凹部と1つの凸部が形成されるパターン(第1保持部41及び第2保持部42で構成されるパターン)であってもよい。同様に、他側端子ブロック部50の下面も、凹部と凸部の数が限定されない。
(3)上記実施例において、第1保持部41,43,72からそれぞれ1つの端子(第1端子31,33,62)が露出される構成であったが、2つ以上の端子が露出する構成であってもよい。
(4)上記実施例において、コネクタ10は、各端子31~33,61~63が、クランク状であったが、コ字状であってもよい。すなわち、各端子31~33,61~63は、一対の接続部がそれぞれ反対側に延出する形態であったが、一対の接続部が同じ側に延出する形態であってもよい。
(5)上記実施例において、第1端子31の曲げ部31A,31Bは、直角曲げされていたが、上下方向(高さ方向)に交差する形態であれば、直角に曲がらなくてもいい。その他の端子32,33,61~63についても、同様である。
(6)上記実施例において、コネクタ10は、一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50が、インサート成形されたハウジング80によって覆われる構成であった。しかしながら、コネクタ10は、ハウジング80で覆うためのインサート成形を施さず、積層状態の一側端子ブロック部20及び他側端子ブロック部50によって構成されるブロックコネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…コネクタ
20…一側端子ブロック部(端子ブロック部)
31,33,62…第1端子
31C,31D,32C,32D,33C,33D,61C,61D,62C,62D,63C,63D…接続部
31E,32E,33E,61E,62E,63E…中継部
31H,33H,62H…露出面
32,61,63…第2端子
31F,31G,32F,32G,33F,33G,61F,61G,62F,62G,63F,63G…接続部隣接部
41,43,72…第1保持部
41E,42E,43E,71E,72E,73E…中継保持部
42,71,73…第2保持部
50…他側端子ブロック部(端子ブロック部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13