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  • 特許-車両のボディ構造 図1
  • 特許-車両のボディ構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】車両のボディ構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20220809BHJP
   B62D 24/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B62D24/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018183652
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020050268
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】金光 伸彦
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114445(JP,A)
【文献】特開2018-58525(JP,A)
【文献】特開2005-188745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 - 25/08
B62D 25/14 - 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向において延伸しているフレームの前記車両の高さ方向における上方に設けられたフロアパネルと、
前記フロアパネルを補強する補強部材と、
を有し、
前記フロアパネルは、前記フレームと前記フロアパネルとを結合するための複数のマウント部を有し、
前記補強部材は、
前記車両の前後方向において延伸している第1領域と、
前記第1領域の前記車両の前後方向における後端と、前記複数のマウント部のうちの最も後方に設けられている後端マウント部との間に設けられており、かつ前記車両の後方に向かうにつれて前記後端マウント部との前記車両の車幅方向における距離が小さくなる第2領域と、
を含むレインフォースを有することを特徴とする車両のボディ構造。
【請求項2】
前記レインフォースは、前記車両の高さ方向における下方に向かって凸形状であることを特徴とする、
請求項1に記載の車両のボディ構造。
【請求項3】
前記補強部材は、前記レインフォースとして、
前記車両の左側に設けられた第1レインフォースと、
前記車両の右側に設けられた第2レインフォースと、
を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の車両のボディ構造。
【請求項4】
前記補強部材は、前記第1領域と前記第2領域との接続位置において前記第1レインフォース及び前記第2レインフォースを結合する第1結合部をさらに有することを特徴とする、
請求項3に記載の車両のボディ構造。
【請求項5】
前記フロアパネルは、前記複数のマウント部を結合する結合部をさらに有し、
前記第2領域における前記第1領域の後端に結合された側と反対側の端部が、前記結合部に固定されていることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両のボディ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボディ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、フロアパネルを有するボディ構造が設けられている。特許文献1には、下側にトンネルリインフォースが設けられているフロアパネルを有するフロア構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-238884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両のボディ構造が有するフロアパネルを補強する補強部材は、車両の前後方向において直線状に延伸しているレインフォースを有する場合がある。この場合、フロアパネルの剛性を確保しづらいという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、フロアパネルの剛性が向上する車両のボディ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両の前後方向において延伸しているフレームの前記車両の高さ方向における上方に設けられたフロアパネルと、前記フロアパネルを補強する補強部材と、を有し、前記フロアパネルは、前記フレームと前記フロアパネルとを結合するための複数のマウント部を有し、前記補強部材は、前記車両の前後方向において延伸している第1領域と、前記第1領域の前記車両の前後方向における後端と、前記複数のマウント部のうちの最も後方に設けられている後端マウント部との間に設けられており、かつ前記車両の後方に向かうにつれて前記後端マウント部との前記車両の車幅方向における距離が小さくなる第2領域と、を含むレインフォースを有することを特徴とする車両のボディ構造を提供する。
【0007】
また、前記レインフォースは、前記車両の高さ方向における下方に向かって凸形状であってもよい。また、前記補強部材は、前記レインフォースとして、前記車両の左側に設けられた第1レインフォースと、前記車両の右側に設けられた第2レインフォースと、を有していてもよい。
【0008】
また、前記補強部材は、前記第1領域と前記第2領域との接続位置において前記第1レインフォース及び前記第2レインフォースを結合する第1結合部をさらに有していてもよい。
【0009】
また、前記フロアパネルは、前記複数のマウント部を結合する結合部をさらに有し、前記第2領域における前記第1領域の後端に結合された側と反対側の端部が、前記結合部に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フロアパネルの剛性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るボディ構造が設けられている車両の状態を示す。
図2】フロアパネル及び補強部材の一部の領域の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本実施形態>
[ボディ構造2の周辺構成]
図1は、本実施形態に係るボディ構造2が設けられている車両の状態を示す図である。図2は、フロアパネル21及び補強部材22の一部の領域の構造を示す図である。なお、図2は、図1で示すフロアパネル21における領域Aの部分を車両の高さ方向における下方から見た構造を示す図である。
【0013】
車両は、フレーム1、ボディ構造2、及び弾性部材3を有する。フレーム1は、車両の前後方向において延伸している。フレーム1は、例えば車両の前後方向において延伸している複数のサイドメンバ、及び複数のサイドメンバの間に車両の車幅方向において延伸している複数のクロスメンバを有する。フレーム1は、例えば後述するボディ構造2、及び図示しないエンジン及びトランスミッション等の車両の部品が設置されている。ボディ構造2は、フレーム1の車両の高さ方向における上方に設けられている車体である。ボディ構造2は、例えばエンジンルーム、車室、及び荷室等を構成している。ボディ構造2の詳細は後述する。
【0014】
弾性部材3は、フレーム1とボディ構造2との間に設けられている。具体的には、複数の弾性部材3が後述するフロアパネル21の複数のマウント部211それぞれとフレーム1との間に設けられている。弾性部材3は、例えばゴムにより形成されている。車両は、このようにフレーム1とボディ構造2との間に弾性部材3が設けられていることで、例えば車両の走行時にフレーム1に生じる振動を弾性部材3に吸収させることで、フレーム1の振動によってボディ構造2が振動するのを抑制することができる。弾性部材3の詳細は後述する。
【0015】
[ボディ構造2の構造]
ボディ構造2は、フロアパネル21、及び補強部材22を有する。フロアパネル21は、車両の車室の床面を形成する部材である。フロアパネル21は、例えば平板形状であり、ボディ構造2の車両の高さ方向における下面を形成している。フロアパネル21は、フレーム1の車両の高さ方向における上方に設けられている。フロアパネル21は、例えば平板形状であるとしたが、凹凸が形成されていてもよい。
【0016】
フロアパネル21は、複数のマウント部211、及び結合部213を有する。マウント部211は、フレーム1とフロアパネル21とを結合するための部分である。複数のマウント部211として、例えば車両の車幅方向において2列のマウント部、及び車両の前後方向において4列のマウント部が設けられていることで、フロアパネル21の8箇所にマウント部211が設けられている。
【0017】
具体的には、複数のマウント部211として、車両の車幅方向における左側において、車両の前後方向における前方から後方に向かって順に、第1左マウント211a、第2左マウント211b、第3左マウント211c、及び第4左マウント211dが設けられている。また、複数のマウント部211として、車両の車幅方向における右側において、車両の前後方向における前方から後方に向かって順に、第1右マウント211e、第2右マウント211f、第3右マウント211g、及び第4右マウント211hが設けられている。
【0018】
第1左マウント211a及び第1右マウント211eは、例えばフロアパネル21における車両の前端付近に設けられている。第2左マウント211b及び第2右マウント211fは、例えばフロアパネル21における車両の前輪と後輪との間における前輪付近に設けられている。第3左マウント211c及び第3右マウント211gは、例えばフロアパネル21における車両の前輪と後輪との間における後輪付近に設けられている。第4左マウント211d及び第4右マウント211hは、例えばフロアパネル21における車両の後端付近に設けられている。
【0019】
マウント部211は、穴212を有する。具体的には、8箇所のマウント部211は、それぞれ穴212を有しており、第1左マウント211a~第4右マウント211hは、それぞれ第1の左穴212a~第4の右穴212hを有する。穴212は、例えばボルトが挿入されている穴である。フロアパネル21は、フレーム1に形成されている穴、弾性部材3に形成されている穴、及びマウント部211に形成されている穴212にボルトを挿入して、当該挿入されたボルトにナットを締め付けることで、弾性部材3を介してフレーム1に固定されている。
【0020】
弾性部材3として、例えば8個の弾性部材、すなわち第1左弾性部材3a~第4右弾性部材3hが設けられている。具体的には、第1左弾性部材3a~第4右弾性部材3hは、それぞれ第1左マウント211a~第4右マウント211hの車両の高さ方向における下方に設けられている。
【0021】
結合部213は、複数のマウント部211を結合している。具体的には、結合部213は、フロアパネル21の車両の前後方向における後端において、車両の車幅方向において延在しており、第4左マウント211dと第4右マウント211hを結合している。
【0022】
補強部材22は、フロアパネル21を補強する。補強部材22は、レインフォース221、及び第1結合部224を有する。レインフォース221は、例えば車両の高さ方向における下方に向かって凸形状であり、フロアパネル21の下面に固定されている。レインフォース221は、車両の車幅方向において、例えば2列設けられている。具体的には、レインフォース221として、第1レインフォース221a、及び第2レインフォース221bが設けられている。第1レインフォース221aは、車両の左側に設けられたレインフォースである。第2レインフォース221bは、車両の右側に設けられたレインフォースである。
【0023】
ボディ構造2は、補強部材22が、車両の車幅方向において2列のレインフォース221、すなわち第1レインフォース221a及び第2レインフォース221bを有することで、マウント部211付近のフロアパネル21の剛性をより向上させることができる。
【0024】
レインフォース221は、第1領域222及び第2領域223を含む。第1領域222は、車両の前後方向において延伸している領域である。具体的には、第1領域222は、例えば車両の前後方向における第3左マウント211c及び第3右マウント211gの後方において延伸している。
【0025】
第2領域223は、第1領域222の車両の前後方向における後端と、複数のマウント部211のうちの最も後方に設けられている後端マウント部との間に設けられており、かつ車両の後方に向かうにつれて後端マウント部との車両の車幅方向における距離が小さくなる領域である。具体的には、車両の左側に設けられた第1レインフォース221aの場合、後端マウント部は、第4左マウント211dである。また、車両の右側に設けられた第2レインフォース221bの場合、後端マウント部は、第4右マウント211hである。第2領域223における第1領域222の後端に結合された側と反対側の端部は、結合部213に固定されている。
【0026】
第1結合部224は、第1領域222と第2領域223との接続位置において第1レインフォース221a及び第2レインフォース221bを結合している。第1結合部224は、例えば車両の高さ方向における下方に向かって凸形状であり、車両の車幅方向において延伸している。第1結合部224は、フロアパネル21の下面に固定されている。
【0027】
ボディ構造2は、このように第1領域222と第2領域223との接続位置において第1レインフォース221a及び第2レインフォース221bを第1結合部224で結合していることで、レインフォース221が曲げられている部分を補強することができる。よって、ボディ構造2は、第1結合部224を有することで、フロアパネル21の剛性をより向上させることができる。
【0028】
上記実施形態においては、補強部材22が、車両の車幅方向において2列のレインフォース221を有する例を示したが、これに限定されない。補強部材22は、車両の車幅方向において、3列以上のレインフォース221を有していてもよい。
【0029】
[本実施形態に係るボディ構造2による効果]
本実施形態に係る車両のボディ構造2は、車両の前後方向において延伸しているフレーム1の車両の高さ方向における上方に設けられたフロアパネル21と、フロアパネル21を補強する補強部材22と、を有する。そして、フロアパネル21は、フレーム1とフロアパネル21とを結合するための複数のマウント部211を有する。また、補強部材22は、車両の前後方向において延伸している第1領域222と、第1領域222の車両の前後方向における後端と、複数のマウント部211のうちの最も後方に設けられている後端マウント部との間に設けられており、かつ車両の後方に向かうにつれて後端マウント部との車両の車幅方向における距離が小さくなる第2領域223と、を含むレインフォース221を有する。
【0030】
ボディ構造2は、車両の前後方向において延伸している第1領域222と、第1領域222の後端と、複数のマウント部211のうちの最も後方に設けられている後端マウント部との間に設けられており、かつ車両の後方に向かうにつれて後端マウント部との車両の車幅方向における距離が小さくなる第2領域223と、を含むレインフォース221を有する補強部材22を有し、補強部材22でフロアパネル21を補強している。
【0031】
よって、ボディ構造2は、フロアパネル21の後端マウント部にレインフォース221を近づけることで、フロアパネル21の剛性を向上させることができる。この結果、ボディ構造2は、フロアパネル21の剛性を向上させることで、フロアパネル21の振動を抑制し、フロアパネル21の振動により生じる音を抑制することができる。
【0032】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0033】
1・・・フレーム
2・・・ボディ構造
21・・・フロアパネル
211・・・マウント部
211a・・・第1左マウント
211b・・・第2左マウント
211c・・・第3左マウント
211d・・・第4左マウント
211e・・・第1右マウント
211f・・・第2右マウント
211g・・・第3右マウント
211h・・・第4右マウント
212・・・穴
212a・・・第1の左穴
212b・・・第2の左穴
212c・・・第3の左穴
212d・・・第4の左穴
212e・・・第1の右穴
212f・・・第2の右穴
212g・・・第3の右穴
212h・・・第4の右穴
213・・・結合部
22・・・補強部材
221・・・レインフォース
221a・・・第1レインフォース
221b・・・第2レインフォース
222・・・第1領域
223・・・第2領域
224・・・第1結合部
3・・・弾性部材
3a・・・第1左弾性部材
3b・・・第2左弾性部材
3c・・・第3左弾性部材
3d・・・第4左弾性部材
3e・・・第1右弾性部材
3f・・・第2右弾性部材
3g・・・第3右弾性部材
3h・・・第4右弾性部材
図1
図2