(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】空調用レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20220809BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
B60H1/34 651Z
F24F13/15 B
(21)【出願番号】P 2018185486
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴田 実
(72)【発明者】
【氏名】佐山 仁康
(72)【発明者】
【氏名】八木 絢香
(72)【発明者】
【氏名】浅野 賢二
(72)【発明者】
【氏名】石黒 直彦
(72)【発明者】
【氏名】安積 彰
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032958(JP,A)
【文献】実開昭50-021849(JP,U)
【文献】特開2016-159845(JP,A)
【文献】特開2012-111318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0149952(US,A1)
【文献】米国特許第07614682(US,B1)
【文献】特開2015-44505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルコラムの下部に設けられ、第1方向に相対向する一対の第1壁部と、前記第1方向に直交する第2方向に相対向する一対の第2壁部とにより、前記第2方向よりも前記第1方向に長い筒状に形成され、内部空間を空調用空気の通風路として有するリテーナと、前記リテーナ内で前記空調用空気の通風方向の下流側に並設された複数のフィンを備えた空調用レジスタであって、
前記フィンは、前記第1方向に延びる軸線周りに傾動してニュートラル状態とアッパー状態及びロー状態との間で変位可能なメインフィンと、前記メインフィンを挟むように前記第2方向に並設されて連動機構を介して同メインフィンと連動して傾動可能に設けられた第1補助フィン及び第2補助フィンとからなる3枚で構成され、
前記連動機構は、
前記メインフィンに接続されて同メインフィンの傾動を前記第1補助フィン及び前記第2補助フィンに伝達する連結部材と、前記連結部材の前記第2方向の一端
部に形成された第1長孔
と前記第1補助フィ
ンに形成されて前記第1長孔に挿通される第1突起とからなる第1係合部と、前記連結部材の前記第2方向の他端
部に形成された第2長孔
と前記第2補助フィ
ンに形成されて前記第2長孔に挿通される第2突起とからなる第2係合部
と、前記メインフィンの駆動軸が係合する駆動孔を備え、
前記メインフィンが前記ニュートラル状態から前記アッパー状態及び前記ロー状態のいずれか一方に傾動する際、前記第1係合部は前記第1補助フィンを前記メインフィンに連動させるとともに前記第2係合部は前記第2補助フィンを前記メインフィンに連動させず、前記メインフィンが前記ニュートラル状態から前記アッパー状態及び前記ロー状態のいずれか他方に傾動する際、前記第2係合部は前記第2補助フィンを前記メインフィンに連動させるとともに前記第1係合部は前記第1補助フィンを前記メインフィンに連動させないものであり、
前記第1壁部及び前記連結部材のいずれか一方には突部が形成され、他方には前記突部が係合して前記連結部材の移動をガイドするガイド溝が形成され、
前記リテーナの前記第2壁部における前記空調用空気の通風方向の下流側には、その上流側より前記第2方向へ膨出する膨出壁部が形成されて
おり、
前記第1長孔及び前記第2長孔は、それぞれ、下流側の第1孔部と前記第1孔部の上流端においてその下流端が繋がる第2孔部を備え、
前記第1孔部の下流側端縁と前記駆動孔との距離は、前記第1孔部と第2孔部との境界部分と前記駆動孔との距離より短く、前記第2孔部の上流側端縁と前記駆動孔との距離は、前記第1孔部と第2孔部との境界部分と前記駆動孔との距離と等しいことを特徴とする空調用レジスタ。
【請求項2】
前記ガイド溝は、前記連結部材の移動軌跡に沿う形状に形成され、
前記ガイド溝が延びる方向と直交する方向の寸法が、前記突部における同方向の寸法と略同じであることを特徴とする請求項
1に記載の空調用レジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用レジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルには、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の向きを変更等するための空調用レジスタが組込まれている。こうした空調用レジスタの一形態として、縦方向と横方向とで寸法が大きく異なるタイプ、例えば、横方向の寸法が縦方向の寸法よりも大きな薄型の空調用レジスタが従来から種々考えられている。例えば、特許文献1に記載された空調用レジスタは、縦方向(上下方向)の寸法が横方向(車幅方向)に比べて小さいケース内に一対の補助フィン及びメインフィンが上下方向への傾動可能に配置されている。一対の補助フィン及びメインフィンは連動機構を介して接続されており、メインフィンの傾動が連動機構を介して一対の補助フィンに伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車室内での居住性を向上させる観点等から、近年、インストルメントパネルが小型化される傾向にあり、インストルメントパネル内に組み込まれた空調用レジスタと乗員との間の距離が大きくなる傾向にある。そのため、空調用レジスタから吹き出された空調用空気が乗員に対して十分に達しない場合がある。こうした実情に鑑み、インストルメントパネルではなく、より乗員に近い位置から空調用空気の吹き出しが可能なように、ハンドルコラム下に空調用レジスタを組み込むことが提案されている。
【0005】
しかし、ハンドルコラム下に空調用レジスタを組み込むと、運転時に乗員の身体の一部と干渉しやすくなる。そのため、空調用レジスタのさらなる薄型化が要望されている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、一層の薄型化を図ることのできる空調用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ハンドルコラムの下部に設けられ、第1方向に相対向する一対の第1壁部と、前記第1方向に直交する第2方向に相対向する一対の第2壁部とにより、前記第2方向よりも前記第1方向に長い筒状に形成され、内部空間を空調用空気の通風路として有するリテーナと、前記リテーナ内に並設された複数のフィンを備えた空調用レジスタ6であって、前記フィンは、前記第1方向に延びる軸線周りに傾動してニュートラル状態とアッパー状態及びロー状態との間で変位可能なメインフィンと、前記メインフィンを挟むように前記第2方向に並設されて連動機構を介して同メインフィンと連動して傾動可能に設けられた第1補助フィン及び第2補助フィンとからなる3枚で構成され、前記連動機構は、前記メインフィンに接続されて同メインフィンの傾動を前記第1補助フィン及び前記第2補助フィンに伝達する連結部材と、前記連結部材の前記第2方向の一端部及び前記第1補助フィンの一方に形成された第1長孔と前記連結部材の前記第2方向の一端部及び前記第1補助フィンの他方に形成されて前記第1長孔に挿通される第1突起とからなる第1係合部と、前記連結部材の前記第2方向の他端部及び前記第2補助フィンの一方に形成された第2長孔と前記連結部材の前記第2方向の他端部及び前記第2補助フィンの他方に形成されて前記第2長孔に挿通される第2突起とからなる第2係合部を備え、前記メインフィンが前記ニュートラル状態から前記アッパー状態及び前記ロー状態のいずれか一方に傾動する際、前記第1係合部は前記第1補助フィンを前記メインフィンに連動させるとともに前記第2係合部は前記第2補助フィンを前記メインフィンに連動させず、前記メインフィンが前記ニュートラル状態から前記アッパー状態及び前記ロー状態のいずれか他方に傾動する際、前記第2係合部は前記第2補助フィンを前記メインフィンに連動させるとともに前記第1係合部は前記第1補助フィンを前記メインフィンとに連動させないものであり、前記第1壁部及び前記連結部材のいずれか一方には突部が形成され、他方には前記突部が係合して前記連結部材の移動をガイドするガイド溝が形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、リテーナ内には、メインフィンと第1補助フィン及び第2補助フィンからなる3枚のフィンが、第1方向に延びる軸線周りに傾動可能に、第1方向と直交する第2方向に並設されている。メインフィンと第1補助フィン及び第2補助フィンは連動機構を介して接続されており、連動機構は連結部材と第1係合部及び第2係合部を備えている。そして、メインフィンがニュートラル状態からアッパー状態及びロー状態のいずれか一方に傾動すると、第2係合部は第2補助フィンをメインフィンに連動させない。そのため、メインフィンが連動機構を介して傾動しても、リテーナの第1壁部側に位置する第2補助フィンの傾動が規制される。また、メインフィンがニュートラル状態からアッパー状態及びロー状態のいずれか他方に傾動すると、第1係合部は第1補助フィンをメインフィンに連動させない。そのため、メインフィンが連動機構を介して傾動しても、リテーナの第1壁部側に位置する第1補助フィンの傾動が規制される。これにより、リテーナの第2方向への寸法を小さくすることが可能となり、空調用レジスタ6を薄型化することができる。そして、こうした薄型化された空調用レジスタ6がハンドルコラムの下部に設けられていることにより、乗員の身体の一部と干渉することを抑制することができる。さらに、連結部材が突部とガイド溝によってその移動がガイドされるため、連結部材をスムーズに移動させることができる。操作性に優れた空調用レジスタが得られる。
【0008】
上記の発明において、前記第1係合部は、前記連結部材の一端部に形成された第1長孔と前記第1補助フィンに形成されて前記第1長孔に挿通される第1突起であり、前記第2係合部は、前記連結部材の他端部に形成された第2長孔と前記第2補助フィンに形成されて前記第2長孔に挿通される第2突起であることが好ましい。
【0009】
上記の構成によれば、長孔が第2方向に延びる連結部材に形成されており、補助フィンには突起が形成されている。そのため、補助フィンの厚みを薄くすることができ、リテーナを薄型化することができる。
【0010】
上記の発明において、前記ガイド溝は、前記連結部材の移動軌跡に沿う形状に前記第1壁部に形成され、前記ガイド溝が延びる方向と直交する方向の寸法が、前記突部における同方向の寸法と略同じであることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、連結部材がガイド溝に沿うように移動するとともに、ガイド溝と交差する方向への移動が規制される。連結部材のガタつきを抑制することができ、連結部材をスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空調用レジスタの一層の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車両に空調用レジスタが組み込まれた状態を示す側面図。
【
図2】車両のハンドル部分を車両後方側から見た正面図。
【
図3】(a)は第1実施形態の空調用レジスタの構成部品の一部を示す分解斜視図、(b)は下流側リテーナの右側壁部を内面側から見た斜視図。
【
図6】
図5における6-6線に沿った空調用レジスタの断面構造を示す横断面図。
【
図7】
図5における7-7線に沿った空調用レジスタの断面構造を示す縦断面図であり、ニュートラル状態での空調用レジスタの縦断面図。
【
図8】
図7において、補助フィンの突部と連結部材の長孔との関係、ガイド溝と連結部材の突部との関係を示す説明図。
【
図9】
図5における7-7線に沿った空調用レジスタの断面構造を示す縦断面図であり、アッパー状態での空調用レジスタの縦断面図。
【
図10】
図9において、補助フィンの突部と連結部材の長孔との関係、ガイド溝と連結部材の突部との関係を示す説明図。
【
図11】
図5における7-7線に沿った空調用レジスタの断面構造を示す縦断面図であり、ロー状態での空調用レジスタの縦断面図。
【
図12】
図11において、補助フィンの突部と連結部材の長孔との関係、ガイド溝と連結部材の突部との関係を示す説明図。
【
図13】第2実施形態の空調用レジスタの構成部品の一部を示す分解斜視図。
【
図14】(a)は連結部材を表面側から見た正面図、(b)は連結部材を裏面側から見た斜視図。
【
図16】(a)はニュートラル状態での補助フィンの突部と連結部材の長孔との関係、ガイド溝と連結部材の突部との関係を示す説明図、(b)はアッパー状態での補助フィンの突部と連結部材の長孔との関係、ガイド溝と連結部材の突部との関係を示す説明図、(c)はロー状態での補助フィンの突部と連結部材の長孔との関係、ガイド溝と連結部材の突部との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両に用いられる薄型の空調用レジスタに具体化した第1実施形態について、
図1~
図12を参照して説明する。
【0015】
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の空調用レジスタ6は、ハンドル1の軸をカバーするハンドルコラム2下部に組み付けられている。この空調用レジスタ6の主な機能は、一般的な空調用レジスタと同様、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の向きを調整すること、空調用空気の吹き出しを遮断すること等である。
【0017】
図2に示すように、ハンドル1は、エアバッグやホーンスイッチ等が内部に収容されたホーンカバー3が中央に配置され、ホーンカバー3から車幅方向に2本のスポーク4が延びる形状とされている。空調用レジスタ6から吹き出された空調用空気は、主に、ホーンカバー3、スポーク4、リム5の下半部分との間に形成された空間を介して乗員に吹き付けられる。
【0018】
図3~
図5に示すように、第1実施形態の空調用レジスタ6は、ケース10、リテーナ20、上流側フィン群、下流側フィン群、操作ノブ50、連動機構60を備えている。以下では、空調用レジスタ6を構成する各部の構成について説明する。なお、
図3、
図4ではケース10を省略して示している。
【0019】
<ケース10>
図6、
図7等に示すように、ケース10は、空調用レジスタ6の外殻部分を構成する部材である。ケース10は、前後方向に延び、かつ車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな略四角筒状をなしている。ケース10の前方の端部は開放され、後方の端部には、車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな開口11が形成されている。
【0020】
<リテーナ20>
図3及び
図4に示すように、リテーナ20は、前後方向に延び、かつ両端が開放された四角筒状をなしており、ケース10内に配置されている。リテーナ20の車幅方向の寸法は、上下方向の寸法よりも大きい。リテーナ20は、上流側リテーナ21、下流側リテーナ22を備えている。上流側リテーナ21は、リテーナ20の上流側部分を構成する部材である。下流側リテーナ22は、上流側リテーナ21の下流側に配置されており、自身の上流側端部において上流側リテーナ21の下流側端部に連結されている。
【0021】
図6に示すように、リテーナ20の内部空間は、空調装置から送られてくる空調用空気Aの流路(以下「通風路12」という)を構成している。ここで、通風路12での空調用空気の通風方向に直交する面上において、互いに直交する2方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とする。本実施形態では、車幅方向を第1方向とし、上下方向を第2方向としている。なお、本明細書では、「通風方向」は、上流側フィン群及び下流側フィン群によって向きを変えられる前に空調用空気が流れる方向、すなわちリテーナ20の各壁部に沿う方向をいうものとする。また、空調用レジスタ6の各部の位置関係を説明するに当たり、通風路12に近づく側を「内側」、「内方」等といい、通風路12から遠ざかる側を「外側」、「外方」等というものとする。
【0022】
通風路12は、リテーナ20の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、互いに平行な状態で車幅方向(第1方向)に対向する右側壁部20a及び左側壁部20bと、互いに平行な状態で上下方向(第2方向)に対向する上壁部20c及び下壁部20dとからなる。
【0023】
図3(a)に示すように、下流側リテーナ22では、上壁部20cが下流側で上方へ膨出しており、下壁部20dが下流側で下方へ膨出している。上流側を一般壁部22aとし、一般壁部22aに対し隣接し上下方向に膨出している下流側を膨出壁部22bとする。
【0024】
下流側リテーナ22の膨出壁部22bにおける右側壁部20aの上下方向中間位置には、下流端から上流側に凹む形状の軸受部23が設けられており、軸受部23の上下には、軸受部23を挟むような位置に一対の軸受部24が設けられている。また、下流側リテーナ22の膨出壁部22bにおける左側壁部20bには、3つの孔からなる軸受部25が上下方向に並設されている。さらに、上流側リテーナ21における上壁部20c及び下壁部20dには、下流端から上流側に凹む形状の軸受部26が複数(本実施形態では7つ)設けられている。下流側リテーナ22の膨出壁部22bにおける上壁部20c及び下壁部20dの右端部には、それぞれ透孔27が貫設されている。
【0025】
<ベゼル29>
ベゼル29は、空調用レジスタ6の意匠面を構成する部材であり、リテーナ20の最下流側に位置し、下流側リテーナ22に下流側から挿入されて連結されている。ベゼル29の横長長方形状をなす開口は、通風路12の下流端を構成し、空調用空気の吹出口13となっている。
【0026】
<上流側フィン群>
図3(a)に示すように、上流側フィン群は、通風路12内の上流側に配列された複数(本実施形態では7枚)の上流側フィン30からなる。各上流側フィン30は、それぞれ通風路12内で上下方向(第2方向)へ延びる板状体によって構成されている。複数の上流側フィン30は、車幅方向(第1方向)には等間隔で互いに平行に離間した状態で配設されている。
【0027】
ここで、複数の上流側フィン30を区別するために、車幅方向(第1方向)についての中央部に位置するものを「上流側フィン31」といい、それ以外のものを「上流側フィン32」というものとする。
【0028】
各上流側フィン31,32の上下方向(第2方向)についての両方の端面からは、支軸33がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。各支軸33は、通風方向については、上流側フィン31,32の略中央部に位置している。各上流側フィン31,32の両支軸33は、上記軸受部26により上壁部20c及び下壁部20dに対し、車幅方向(第1方向)へ傾動可能に支持されている。
【0029】
上流側フィン31の下流側部分には透孔部34が設けられ、透孔部34よりも下流側部分は、上下方向(第2方向)に延びる棒状の伝達部35となっている。
図6に示すように、この伝達部35は後述する操作ノブ50のフォーク部51によって挟み込まれている。透孔部34は、上流側フィン31の車幅方向(第1方向)への傾動に伴うフォーク部51との干渉を回避するためのものであり、上流側フィン32には設けられていない。
【0030】
図3(a)及び
図4に示すように、上流側フィン31、32の上側の支軸33は、上壁部20cから上下方向(第2方向)についての外方へ突出しており、その外端部には、支軸33を起点として、支軸33に直交する方向へ延びる長尺状のアーム36が形成されている。アーム36における支軸33から偏倚した箇所である上流端からは、係合部としての連結軸37が、上下方向(第2方向)についての外方へ突出している。上流側フィン31、32毎の連結軸37は、リテーナ20外で車幅方向(第1方向)に延びる長尺状の連結部材38によって連結されている。そして、これらの上流側フィン31,32、支軸33、アーム36、連結軸37、連結部材38等により、全ての上流側フィン32を上流側フィン31に同期した状態で傾動させる平行リンク機構が構成されている。
【0031】
<下流側フィン群>
図3(a)に示すように、下流側フィン群は、通風路12内の下流側に配列された3枚の下流側フィン40を備えている。下流側フィン40は、1枚の下流側メインフィン(以下「メインフィン」という)41と、メインフィン41を挟むように上下方向(第2方向)に並設された一対の下流側補助フィン(以下「補助フィン」という)42、43とからなる。これらのメインフィン41及び補助フィン42、43は、それぞれ通風路12内で車幅方向(第1方向)へ延びる横長の板状体によって構成されている。
【0032】
メインフィン41の右端面からは、支軸44が同方向についての外方に向けて突出しており、左端面からは、支軸45が同方向についての外方に向けて突出している。支軸44、45は、メインフィン41の下流端に位置している。
図6に示すように、メインフィン41は、シム28が取り付けられた支軸44が上記軸受部23に係合するとともに、支軸45が上記軸受部25に係合することにより、上下方向(第2方向)への傾動可能に支持されている。
【0033】
図7等に示すように、各補助フィン42、43は、通風方向の寸法がメインフィン41の通風方向の寸法よりも小さく形成されている。上側の補助フィン42は、上壁部20cとメインフィン41との間に配置され、下側の補助フィン43は、メインフィン41と下壁部20dとの間に配置されている。
図3(a)及び
図8等に示すように、各補助フィン42、43の車幅方向(第1方向)についての両端面からは、支軸46が同方向についての外方に向けて突出している。各支軸46は、各補助フィン42、43の下流端に位置している。各補助フィン42、43は、各支軸46が上記軸受部25に係合することにより、上下方向(第2方向)への傾動可能に支持されている。
【0034】
<操作ノブ50>
図3(a)及び
図6に示すように、操作ノブ50は、吹出口13からの空調用空気の吹き出し方向を調整する際に乗員によって操作される部材であり、上記メインフィン41上に、車幅方向(第1方向)へのスライド可能に外嵌されている。操作ノブ50は、メインフィン41とともに上下方向(第2方向)へ傾動可能であり、メインフィン41上をスライドして車幅方向(第1方向)へ変位可能である。
【0035】
操作ノブ50を上下方向(第2方向)へ傾動させると、操作ノブ50が外嵌されたメインフィン41が操作ノブ50とともに上下方向(第2方向)に傾動させられる。そして、後に説明する連動機構60を介して、補助フィン42及び補助フィン43も上下方向(第2方向)に傾動させられる。
【0036】
図6に示すように、操作ノブ50の上流端には、上流側へ向けて延びる二股状のフォーク部51が設けられている。このフォーク部51は、操作ノブ50の車幅方向(第1方向)への動き(スライド)を上流側フィン31に伝達するためのものである。操作ノブ50をメインフィン41に沿ってスライドさせると、フォーク部51及び上記伝達部35を介して上流側フィン31に同方向の力が加えられ、上流側フィン31が両支軸33を支点として車幅方向(第1方向)へ傾動させられる。そして、上記平行リンク機構を介して上流側フィン32も車幅方向(第1方向)へ傾動させられる。
【0037】
<連動機構60>
連動機構60は、メインフィン41の傾動を各補助フィン42、43に伝達し、一方の補助フィン42、43をメインフィン41と連動させて同一角度で傾動させるとともに、他方の補助フィン43、42をメインフィン41と連動させないための機構である。
【0038】
図3(a)に示すように、メインフィン41の右端面からは駆動軸65が外方に向けて突出している。
図6に示すように、駆動軸65は、メインフィン41の支軸44の上流側であって、右端面における上流端と下流端との略中央部分に位置している。また、各補助フィン42、43の右端面からは駆動軸66、67が外方に向けて突出している。駆動軸66、67は、各補助フィン42、43の支軸45、46の上流側であって、右端面の下流端に位置している。
【0039】
各駆動軸65、66、67は、メインフィン41及び各補助フィン42、43と右側壁部20aとの間に配置された連結部材61によって連結されている。
図3(a)に示すように、連結部材61は、第2方向(上下方向)に長い細長板状に形成されている。連結部材61の上下方向の略中央部には駆動孔64が形成されており、駆動孔64にメインフィン41の駆動軸65が係合されている。連結部材61の上部には長孔62が形成されており、下部には長孔63が形成されている。
図8等に示すように、上部の長孔62は、通風方向の下流側かつ斜め下方へ向けて膨らむ円弧状に形成されており、上側の補助フィン42の駆動軸66が長孔62に移動可能に係合されている。また、下部の長孔63は、通風方向の下流側かつ斜め上方へ向けて膨らむ円弧状に形成されており、下側の補助フィン43の駆動軸67が長孔63に移動可能に係合されている。
【0040】
図3(b)に示すように、下流側リテーナ22の右側壁部20aの内面には、軸受部23の上流側に偏倚した位置にガイド溝68が凹設されている。また、連結部材61の駆動孔64から上方へ偏倚した位置には、外方へ向けて突出するガイド軸69が形成されている。ガイド軸69は、ガイド溝68内を移動可能に係合されている。ガイド溝68は、通風方向の上流側へ向けて膨らむ円弧状に形成されている。ガイド溝68の形状は、連結部材61の移動軌跡に沿う形状とされ、ガイド溝68が延びる方向と直交する方向の寸法は、ガイド軸69における同方向の寸法と略同じとされている。
【0041】
連動機構60は、メインフィン41及び各補助フィン42、43に形成された駆動軸65、66、67、連結部材61に形成された駆動孔64、長孔62、63、ガイド軸69、及び下流側リテーナ22に形成されたガイド溝68等によって構成されている。連動機構60の構成により、連結部材61は、駆動孔64及び駆動軸65を介してメインフィン41に支持されるとともに、ガイド軸69及びガイド溝68を介して右側壁部20aに支持されている。そして、連結部材61は、駆動軸65がメインフィン41の支軸44の周りを旋回するとともに、ガイド軸69がガイド溝68内を移動することで、略上下方向に延びる姿勢を維持しながら上下方向に平行移動(昇降)することが可能である。
【0042】
次に、第1実施形態の空調用レジスタ6の作用について説明する。
図7に示すように、下流側リテーナ22は、一般壁部22aと、その一般壁部22aの下流側に隣接するとともに上下方向に膨出した形状の膨出壁部22bによって構成されている。ここで、メインフィン41及び補助フィン42、43が一般壁部22aに対し平行な状態を、「ニュートラル状態」というものとする。上側の膨出壁部22bとベゼル29とによって囲まれた空間は、上側の補助フィン42が、上記ニュートラル状態と、それよりも上側への傾動を許容する傾動可能空間STを構成している。表現を変えると、傾動可能空間STは、補助フィン42が一般壁部22aよりも通風路12から遠ざかる側(上側)へ傾動するのを許容する。また、下側の膨出壁部22bとベゼル29とによって囲まれた空間は、下側の補助フィン43が、上記ニュートラル状態と、それよりも下側への傾動を許容する傾動可能空間SBを構成している。表現を変えると、傾動可能空間SBは、補助フィン43が一般壁部22aよりも通風路12から遠ざかる側(下側)へ傾動するのを許容する。
【0043】
図7及び
図8は、メインフィン41がニュートラル状態にされた空調用レジスタ6の各部を示している。このときには、
図8に示すように、ガイド軸69はガイド溝68の上下方向の中央部に位置している。連結部材61の上端部が上側の傾動可能空間STに入り込み、下端部が下側の傾動可能空間SBに入り込んでいる。
【0044】
また、上側の補助フィン42の駆動軸66は長孔62の上端部に位置し、下側の補助フィン43の駆動軸67は長孔63の下端部に位置している。そのため、傾動可能空間ST,SB内の各補助フィン42,43は、一般壁部22aに対し平行な状態(ニュートラル状態)となる。一般壁部22aの内壁面と補助フィン42、43の内面と同一平面上に位置する。
【0045】
従って、上下の両一般壁部22a間を通過した空調用空気Aは、各補助フィン42、43から抵抗を殆ど受けることなく、メインフィン41と補助フィン42、43との間を流れる。この際、空調用空気Aは、メインフィン41及び補助フィン42、43の内面に沿って、少ない圧力損失で通風方向の下流側へ真っ直ぐ流れて吹出口13から吹き出す。
【0046】
また、各傾動可能空間ST,SBは、通風路12との境界部分で補助フィン42、43によって塞がれた状態又はそれに近い状態となる。そのため、傾動可能空間ST,SBに流入する空調用空気Aは少ない。
【0047】
上記の状態から、操作ノブ50の通風方向における下流端に対し、上方へ向かう力を加えると、
図9及び
図10に示すように、メインフィン41が自身の支軸44を支点として反時計回り方向へ傾動させられ、下流側ほど高くなるように傾斜する。ここで、メインフィン41及び補助フィン42、43が下流側ほど高くなる状態、つまり、上壁部20cに対して近接した状態となることを「アッパー状態」というものとする。
【0048】
メインフィン41の上記傾動に伴い、駆動軸65がメインフィン41の支軸44の周りを反時計回り方向へ旋回する。この駆動軸65の動きは連結部材61に伝達される。連結部材61から突出するガイド軸69は、ガイド溝68に沿う方向には動くことができるが、それ以外の方向には動くことができない。ガイド軸69は、ガイド溝68の下半部においてガイド溝68に沿って下方へ移動する。メインフィン41の駆動軸65と、ガイド軸69との2点で支持されている連結部材61は、メインフィン41の傾動に伴い、略上下方向に延びる姿勢を維持しながら下降する。駆動軸65とガイド軸69とによる支持により、連結部材61は移動時のガタつきが抑制されて安定する。
【0049】
図9及び
図10に示すように、メインフィン41の下流側が上壁部20cに近づくように傾動させられるアッパー状態とされると、メインフィン41の傾動方向後側の補助フィン42では、駆動軸66が長孔62の上端壁面によって押圧される。本実施形態では、メインフィン41がニュートラル状態に対し角度θ1(15°)未満アッパー側に傾動される期間には、上側の補助フィン42の駆動軸66が長孔62の上端壁面によって下方へ押圧されて、駆動軸66は、補助フィン42の支軸46の周りを、反時計回り方向へ旋回する。そのため、メインフィン41の傾動方向後側に位置する上側の補助フィン42は、メインフィン41の傾動に同期して、メインフィン41と同一方向へ同一角度傾動する。
【0050】
メインフィン41の傾動方向前側の補助フィン43では、メインフィン41がニュートラル状態に対し角度θ1(15°)未満傾動される期間では、下側の補助フィン43の駆動軸67に対しては、長孔63の側壁面から摩擦係合力が加わる。この力により、駆動軸67は長孔63の下端部に位置した状態で下方へ押圧される。駆動軸67は、補助フィン43の支軸46の周りを、反時計回り方向へ上記の角度旋回する。そのため、メインフィン41の傾動方向前側に位置する下側の補助フィン43は、角度θ1(15°)未満の間は、メインフィン41と同一方向へ同一角度傾動する。補助フィン43は、ニュートラル状態に対し角度θ1傾斜した状態まではメインフィン41の傾動に同期して、同メインフィン41と同じ角度傾動させられて、傾動可能空間SB内部に入り込む。
【0051】
メインフィン41が角度θ1よりさらに傾斜するように傾動されると、メインフィン41の傾動方向後側の補助フィン42では、駆動軸66が長孔62の上端壁面によって押圧され続ける。この押圧によって、補助フィン42は、メインフィン41の傾動に同期して、同メインフィン41と同じ角度傾動させられる。
【0052】
また、メインフィン41のさらなる傾動によりガイド軸69がガイド溝68に沿ってさらに下方へ移動する。そして、ガイド軸69がガイド溝68の下端縁に達すると、ガイド軸69がそれ以上下方へ移動することが規制される。これにより、連結部材61のそれ以上の下降が規制され、メインフィン41及び補助フィン42のそれ以上の傾動が規制される。このとき、メインフィン41は、ニュートラル状態に対し採り得る最大傾斜角度(角度θ2)で傾斜させられている。本実施形態では、メインフィン41の角度θ2は35°に設定されている。
【0053】
一方、メインフィン41の傾動方向前側の補助フィン43では、駆動軸67が長孔63の側壁面との摩擦係合力に抗して長孔63内を移動する。こうした状態は、傾動可能空間SB内部に入り込んだ補助フィン43が、下流側リテーナ22の下壁部20dに接触することによっても起こる。そして、メインフィン41がニュートラル状態に対して最大傾斜角度である角度θ2傾斜した状態となったとき、長孔63内を移動した駆動軸67は長孔63の上端壁面に当接した状態となる。つまり、メインフィン41がニュートラル状態に対して角度θ1から角度θ2まで傾斜する間は、駆動軸67が長孔63内を移動可能とされる。これにより、補助フィン43がメインフィン41と連動されず、補助フィン43の傾動が規制される。
【0054】
このとき、連結部材61の下端部は、下流側リテーナ22の膨出壁部22bの下壁部20dに形成された透孔27内に入り込む。透孔27は下降する連結部材61の下端部との干渉を防いで連結部材61の移動を許容するために機能する。
【0055】
図9に示すように、通風路12を流れる空調用空気Aは、メインフィン41と上側の補助フィン42との間の流路を、メインフィン41の上面と補助フィン42の内面とに沿って流れる。空調用空気Aは、流れ方向をメインフィン41及び補助フィン42の傾斜方向に変えられ、吹出口13から斜め上方へ吹き出す。
【0056】
アッパー状態から操作ノブ50に対し下方へ向かう力が加えられると、各部が上記とは逆の動作を行ない、メインフィン41及び両補助フィン42、43がそれぞれニュートラル状態に戻される。
【0057】
メインフィン41のニュートラル状態から、操作ノブ50の通風方向における下流端に対し、下方へ向かう力を加えると、
図11及び
図12に示すように、メインフィン41が自身の支軸44を支点として時計回り方向へ傾動させられ、下流側ほど低くなるように傾斜する。ここで、メインフィン41及び補助フィン42、43が下流側ほど低くなる状態、つまり、下壁部20d対して近接した状態となることを「ロー状態」というものとする。
【0058】
メインフィン41の上記傾動に伴い、駆動軸65がメインフィン41の支軸44の周りを時計回り方向へ旋回する。この駆動軸65の動きは連結部材61に伝達される。連結部材61から突出するガイド軸69は、ガイド溝68に沿う方向には動くことができるが、それ以外の方向には動くことができない。ガイド軸69は、ガイド溝68の上半部においてガイド溝68に沿って上方へ移動する。メインフィン41の駆動軸65と、ガイド軸69との2点で支持されている連結部材61は、メインフィン41の傾動に伴い、略上下方向に延びる姿勢を維持しながら上昇する。
【0059】
図11及び
図12に示すように、メインフィン41の下流側が下壁部20dに近づくように傾動させられるロー状態とされると、メインフィン41の傾動方向後側の補助フィン43では、駆動軸67が長孔63の下端壁面によって押圧される。本実施形態では、メインフィン41がニュートラル状態に対し角度θ1(15°)未満ロー側に傾動される期間には、下側の補助フィン43の駆動軸67が長孔63の下端壁面によって上方へ押圧されて、駆動軸67は、補助フィン43の支軸46の周りを、時計回り方向へ旋回する。そのため、メインフィン41の傾動方向後側に位置する下側の補助フィン43は、メインフィン41の傾動に同期して、メインフィン41と同一方向へ同一角度傾動する。
【0060】
メインフィン41の傾動方向前側の補助フィン42では、メインフィン41がニュートラル状態に対し角度θ1(15°)未満傾動される期間では、上側の補助フィン42の駆動軸66に対しては、長孔62の側壁面から摩擦係合力が加わる。この力により、駆動軸66は長孔62の上端部に位置した状態で下方へ押圧される。駆動軸66は、補助フィン42の支軸46の周りを、時計回り方向へ上記の角度旋回する。そのため、メインフィン41の傾動方向前側に位置する上側の補助フィン42は、角度θ1(15°)未満の間は、メインフィン41と同一方向へ同一角度傾動する。補助フィン42は、ニュートラル状態に対し角度θ1傾斜した状態まではメインフィン41の傾動に同期して、同メインフィン41と同じ角度傾動させられて、傾動可能空間ST内部に入り込む。
【0061】
メインフィン41が角度θ1よりさらに傾斜するように傾動されると、メインフィン41の傾動方向後側の補助フィン43では、駆動軸67が長孔63の下端壁面によって押圧され続ける。この押圧によって、補助フィン43は、メインフィン41の傾動に同期して、同メインフィン41と同じ角度傾動させられる。
【0062】
また、メインフィン41のさらなる傾動によりガイド軸69がガイド溝68に沿ってさらに上方へ移動する。そして、ガイド軸69がガイド溝68の上端縁に達すると、ガイド軸69がそれ以上上方へ移動することが規制される。これにより、連結部材61のそれ以上の上昇が規制され、メインフィン41及び補助フィン43のそれ以上の傾動が規制される。このとき、メインフィン41は、ニュートラル状態に対し採り得る最大傾斜角度(角度θ2)で傾斜させられている。
【0063】
一方、メインフィン41の傾動方向前側の補助フィン42では、駆動軸66が長孔62の側壁面との摩擦係合力に抗して長孔62内を移動する。こうした状態は、傾動可能空間ST内部に入り込んだ補助フィン42が、下流側リテーナ22の上壁部20cに接触することによっても起こる。そして、メインフィン41がニュートラル状態に対して最大傾斜角度である角度θ2傾斜した状態となったとき、長孔62内を移動した駆動軸66は長孔62の下端壁面に当接した状態となる。つまり、メインフィン41がニュートラル状態に対して角度θ1から角度θ2まで傾斜する間は、駆動軸66が長孔62内を移動可能とされることにより、補助フィン42がメインフィン41と連動されず、補助フィン42の傾動が規制される。
【0064】
このとき、連結部材61の上端部は、下流側リテーナ22の膨出壁部22bの上壁部20cに形成された透孔27内に入り込む。透孔27は上昇する連結部材61の上端部との干渉を防いで連結部材61の移動を許容するために機能する。
【0065】
図11に示すように、通風路12を流れる空調用空気Aは、メインフィン41と下側の補助フィン43との間の流路を、メインフィン41の下面と補助フィン43の内面とに沿って流れる。空調用空気Aは、流れ方向をメインフィン41及び補助フィン43の傾斜方向に変えられ、吹出口13から斜め下方へ吹き出す。
【0066】
ロー状態から操作ノブ50に対し上方へ向かう力が加えられると、各部が上記とは逆の動作を行ない、メインフィン41及び両補助フィン42、43がそれぞれニュートラル状態に戻される。
【0067】
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)メインフィン41及び補助フィン42、43の傾動を連動させる連動機構60は、メインフィン41に接続されてその傾動を補助フィン42、43に伝達する連結部材61と、長孔62に駆動軸66が係合してなる係合部と、長孔63に駆動軸67が係合してなる係合部を備えている。そして、メインフィン41がニュートラル状態からアッパー状態に傾動する際、長孔62に駆動軸66が係合してなる係合部は、上側の補助フィン42をメインフィン41に連動して傾動させ、長孔63に駆動軸67が係合してなる係合部は、下側の補助フィン43をメインフィン41と連動させない。そのため、下側の補助フィン43のメインフィン41に連動する傾動が規制され、補助フィン43が傾動するための厚みをリテーナ20に設けなくてもよい。空調用レジスタ6の薄型化を図ることができる。
【0068】
同様に、メインフィン41がニュートラル状態からロー状態に傾動する際、長孔63に駆動軸67が係合してなる係合部は、下側の補助フィン43をメインフィン41に連動して傾動させ、長孔62に駆動軸66が係合してなる係合部は、上側の補助フィン42をメインフィン41と連動させない。そのため、上側の補助フィン42のメインフィン41に連動する傾動が規制され、補助フィン42が傾動するための厚みをリテーナ20に設けなくてもよい。空調用レジスタ6の薄型化を図ることができる。
【0069】
(2)長孔62、63は上下方向に延びる細長板状の連結部材61に形成され、長孔62、63に係合する突起としての駆動軸66、67が補助フィン42、43の端面に形成されている。そのため、補助フィン42、43側に長孔62、63を形成する態様に比べて、補助フィン42、43の厚みを薄くすることができる。空調用レジスタ6の薄型化を図ることができる。
【0070】
(3)メインフィン41は1枚で構成されており、連結部材61に形成された突部としてのガイド軸69が、リテーナ20の右側壁部20aに形成されたガイド溝68に係合するように構成されている。そのため、連結部材61の駆動孔64に接続されるメインフィン41が1枚のみであっても、駆動孔64とメインフィン41の駆動軸65との接続、ガイド溝68とガイド軸69との係合による2点で支持される構造となり、連結部材61を安定して平行移動させることができる。連結部材61のガタつきを抑制して連結部材61をスムーズに移動させることができる。操作性を向上させることができる。
【0071】
(4)ガイド溝68は、連結部材61の移動軌跡に沿う形状に形成され、ガイド溝68が延びる方向と直交する方向の寸法が、ガイド軸69における同方向の寸法と略同じとされている。そのため、ガイド軸69がガイド溝68と交差する方向への移動が記載され、連結部材61のガタつきを抑制することができる。
【0072】
(5)連結部材61に形成された突部としてのガイド軸69は、リテーナ20の右側壁部20aに形成されたガイド溝68と係合することにより、連結部材61がガイドされる。そのため、連結部材61をガイドするための部材を別体とする場合に比べて、空調用レジスタ6を構成する部材点数を少なくすることができる。
【0073】
(6)本実施形態の空調用レジスタ6は、ハンドルコラム下に適用される。薄型の空調用レジスタ6をハンドルコラム下に適用することにより、乗員の身体の一部が空調用レジスタ6と干渉することが抑制される。また、空調用レジスタ6がインストルメントパネルに配置されている場合に比べて、乗員により近い場所から空調用空気を吹き出させることができる。そのため、空調用レジスタ6からの空調用空気が乗員に達しやすい。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明を車両に用いられる薄型の空調用レジスタに具体化した第2実施形態について、
図13~
図16を参照して説明する。
【0075】
第2実施形態の空調用レジスタ7も第1実施形態の空調用レジスタ6と同様、ハンドルコラム2の下部に配置されるものであり、ケース110、リテーナ120、上流側フィン群、下流側フィン群、操作ノブ150、連動機構70を備えている。以下では第1実施形態の空調用レジスタ6との相違点を中心に説明する。
【0076】
図13に示すように、空調用レジスタ7は、下流側リテーナ122、下流側フィン群、連動機構70の構成が空調用レジスタ6と相違している。なお、空調用レジスタ7の連動機構70以外の各構成については、空調用レジスタ6の各構成に「100」と足した番号に変えて説明する。
【0077】
<下流側リテーナ122>
図13に示すように、下流側リテーナ122の膨出壁部122bにおける右側壁部120aには、3つの孔からなる軸受部123、124が上下方向に並設されている。軸受部123と軸受部124は同形状とされている。また、左側壁部120bにも、3つの孔からなる軸受部125が上下方向に並設されている。
【0078】
<下流側フィン群>
図13に示すように、下流側フィン群は、通風路112内の下流側に配列された3枚の下流側フィン140を備えている。下流側フィン140は、1枚のメインフィン141と、メインフィン141を挟むように上下方向(第2方向)に並設された一対の補助フィン142、143とからなる。
【0079】
メインフィン141の右端面からは支軸144が外方に向けて突出し、左端面からは支軸145が外方に向けて突出している。支軸144、145は、メインフィン41の下流端に位置している。支軸144が軸受部123に係合し、支軸145が軸受部125に係合することにより、上下方向(第2方向)への傾動可能に支持されている。
【0080】
<連動機構70>
図15に示すように、連動機構70は、下流側リテーナ122の右側壁部120aの外面で動作するように組み付けられている。
【0081】
連動機構70も連動機構60と同様、メインフィン141の傾動を各補助フィン142、143に伝達し、一方の補助フィン142、143をメインフィン141と連動させて同一角度で傾動させるとともに、他方の補助フィン143、142をメインフィン141と連動させないための機構である。
【0082】
図13に示すように、メインフィン141の右端面には、支軸144に直交する方向へ延びる長尺状のアームが形成されており、アームにおける支軸144から偏倚した箇所である上流端からは、係合部としての駆動軸75が、車幅方向(第1方向)についての外方へ突出している。同様に、補助フィン142、143の右端面には、支軸146に直交する方向へ延びる長尺状のアームが形成されており、アームにおける支軸146から偏倚した箇所である上流端からは、係合部としての駆動軸76、77が、車幅方向(第1方向)についての外方へ突出している。なお、
図13では、第1実施形態の空調用レジスタ6と形状の異なる下流側リテーナ122、下流側フィン群、連動機構70のみを示している。
【0083】
メインフィン141の駆動軸75は、メインフィン141の上流端と下流端との中央部に位置しており、補助フィン142、143の駆動軸76、77は、補助フィン142、143の上流端に位置している。各駆動軸75、76、77は、右側壁部120aの外側に配置された連結部材71によって連結されている。
【0084】
図13及び
図14に示すように、連結部材71は、第2方向(上下方向)に少し長い板状に形成されている。連結部材71の上下方向の略中央部には駆動孔74が形成されており、駆動孔74にメインフィン41の駆動軸75が係合されている。連結部材71は、駆動軸75の周りで回動可能に係合されている。
【0085】
図14に示すように、連結部材71の上部には長孔72が形成されており、下部には長孔73が形成されている。上側の長孔72には、上側の補助フィン142の駆動軸76が移動可能に係合され、下側の長孔73には、下側の補助フィン143の駆動軸77が移動可能に係合されている。なお、右側壁部120aの外側に配置された連結部材71において、右側壁部120aとは反対側の面を表面(
図14(a)に示す面)とし、右側壁部120a側の面を裏面(
図14(b)に示す面)とする。
【0086】
上側の長孔72は、第1孔部72a及び第2孔部72bの組み合わせによって構成されている。第1孔部72aは、その下流端において第2孔部72bの上流端に繋がっている。第1孔部72aは、メインフィン141の傾動に伴う連結部材71の変位(傾動)が、上側の補助フィン142に伝達されるのを抑制して補助フィン142の傾動を規制する非伝達領域を構成するものであり、連結部材71の主面が延びる方向の外方に向けて膨らむ円弧状に形成されている。第1孔部72aの下流側端縁72cと駆動孔74との距離D1は、第1孔部72a及び第2孔部72bの境界部分72dと駆動孔74との距離D2より短く形成されている。
【0087】
一方、第2孔部72bは、メインフィン141の傾動に伴う連結部材71の変位(傾動)を、補助フィン142に伝達して補助フィン142をメインフィン141と連動して傾動させる伝達領域を構成するものである。第2孔部72bは、駆動孔74を中心とし、連結部材71の主面が延びる方向の外方へ向けて膨らむ円弧状に形成されている。第2孔部72bの上流側端縁72eと駆動孔74との距離D3は、第1孔部72a及び第2孔部72bの境界部分72dと駆動孔74との距離D2と同一である。
【0088】
下側の長孔73は、第1孔部73a及び第2孔部73bの組み合わせによって構成されている。第1孔部73aは、その下流端において第2孔部73bの上流端に繋がっている。第1孔部73aは、メインフィン141の傾動に伴う連結部材71の変位(傾動)が、下側の補助フィン43に伝達されるのを抑制して補助フィン143の傾動を規制する非伝達領域を構成するものであり、連結部材71の主面が延びる方向の外方に向けて膨らむ円弧状に形成されている。第1孔部73aの下流側端縁73cと駆動孔74との距離D4は、第1孔部73a及び第2孔部73bの境界部分73dと駆動孔74との距離D5より短く形成されている。
【0089】
一方、第2孔部73bは、メインフィン141の傾動に伴う連結部材71の変位(傾動)を、補助フィン143に伝達して補助フィン143をメインフィン141と連動して傾動させる伝達領域を構成するものである。第2孔部73bは、駆動孔74を中心とし、連結部材71の主面が延びる方向の外方へ向けて膨らむ円弧状に形成されている。第2孔部73bの上流側端縁73eと駆動孔74との距離D6は、第1孔部73a及び第2孔部73bの境界部分73dと駆動孔74との距離D5と同一である。
【0090】
図13に示すように、下流側リテーナ122の右側壁部120aの外面には、軸受部123の上流側に偏倚した位置にガイド溝78が凹設されている。また、
図14(b)に示すように、連結部材71の裏面における駆動孔74から下流側へ偏倚した位置には、外方へ向けて突出するガイド軸79が形成されている。ガイド軸79は、ガイド溝78内を移動可能に係合されている。ガイド溝78は、空調用空気Aの通風方向に沿って延びる長孔状に形成されている。ガイド溝78の形状は、連結部材71(ガイド軸79)の移動軌跡に沿う形状であり、ガイド溝78が延びる方向と直交する方向の寸法は、ガイド軸79における同方向の寸法と略同じとされている。
【0091】
連動機構70は、メインフィン141及び各補助フィン142、143に形成された駆動軸75、76、77、連結部材71に形成された駆動孔74、長孔72、73、ガイド軸79、及び下流側リテーナ122に形成されたガイド溝78等によって構成されている。連動機構70の構成により、連結部材71は、駆動孔74及び駆動軸75を介してメインフィン141に支持されるとともに、ガイド軸79及びガイド溝78を介して右側壁部120aに支持されている。そして、連結部材71は、駆動軸75がメインフィン141の駆動軸75の周りを旋回するとともに、ガイド軸79がガイド溝78内を移動することで、連結部材71は移動時のガタつきが抑制されて安定して支持されている。
【0092】
次に、第2実施形態の空調用レジスタ7の作用について説明する。
図16(a)は、メインフィン141がニュートラル状態にされた空調用レジスタ7の連動機構70の状態を示している。なお、
図16(a)~(c)は、第1実施形態での説明とは逆に、空調用レジスタ7を右側壁部120a側から見た状態で示している。
【0093】
図16(a)に示すニュートラル状態では、ガイド軸79はガイド溝78の上流側端縁に位置している。また、上側の補助フィン142の駆動軸76は長孔72における第1孔部72a及び第2孔部72bの境界部分72dに位置し、下側の補助フィン143の駆動軸77は長孔73における第1孔部73a及び第2孔部73bの境界部分73dに位置している。このとき、傾動可能空間ST,SB内に位置している各補助フィン142,143は、一般壁部122aに対して平行な状態(ニュートラル状態)となっている。一般壁部122aの内壁面と補助フィン142、143の内面は同一平面上に位置する。従って、空調用空気Aは、メインフィン141及び補助フィン142、143の内面に沿って、少ない圧力損失で通風方向の下流側へ真っ直ぐ流れて吹出口から吹き出す。
【0094】
上記の状態から、操作ノブ150の通風方向における下流端に対し、上方へ向かう力を加えると、
図16(b)に示すように、メインフィン141が自身の支軸144を支点として時計回り方向へ傾動させられ、下流側ほど高くなるように傾動する。
【0095】
メインフィン141の上記傾動に伴い、駆動軸75がメインフィン141の支軸144の周りを時計回り方向へ旋回する。この駆動軸75の動きは連結部材71に伝達される。連結部材71から突出するガイド軸79は、ガイド溝78に沿って下流側へ移動するがガイド溝78の形成方向と交差する方向への移動は規制される。メインフィン141の駆動軸75と、ガイド軸79との2点で支持されている連結部材71は、メインフィン141の傾動に伴い、駆動軸75を中心として回動する。駆動軸75とガイド軸79とによる支持により、連結部材71は移動時のガタつきが抑制されて安定する。
【0096】
また、上側の補助フィン142では、駆動軸76が長孔72の第2孔部72b内を上流側に向かって移動する。第2孔部72bは、駆動孔74を中心とする円弧状に形成されて上記距離D2と上記距離D3が同一とされている。そのため、上側の補助フィン142は、駆動軸76がメインフィン141の駆動軸75との間に一定の距離を保ちながら、メインフィン141と同じ角度で連動して傾動する。そして、補助フィン142の駆動軸76が第2孔部72bの上流側端縁72eに到達すると、連結部材71のそれ以上の傾動が規制され、補助フィン142はメインフィン141とともに最大角度で傾動された状態となる。
【0097】
一方、下側の補助フィン143では、駆動軸77が長孔73の第1孔部73a内を下流側に向かって移動する。第2孔部73bは、連結部材71の主面が延びる方向の外方に向けて膨らむ円弧状に形成されているが、上記距離D4が上記距離D5より短く形成されている。そのため、メインフィン141の傾動が進むに連れて、下側の補助フィン143の駆動軸77とメインフィン141の駆動軸75との距離が狭められていく。つまり、メインフィン141が傾動させられてその下流端が下壁部120dに近づいたとしても、下側の補助フィン143の下流端の下壁部120d側への傾動が規制されることになる。そして、メインフィン141が上側の補助フィン142と連動して最大角度で傾動された状態となったとき、下側の補助フィン143の駆動軸77は、第1孔部73aの下流側端縁73cに到達する。
【0098】
図16(b)に示すアッパー状態から操作ノブ150に対し下方へ向かう力が加えられると、各部が上記とは逆の動作を行ない、メインフィン141及び両補助フィン142、143がそれぞれニュートラル状態に戻される。
【0099】
図16(a)に示すニュートラル状態から、操作ノブ150の通風方向における下流端に対し、下方へ向かう力を加えると、
図16(c)に示すように、メインフィン141が自身の支軸144を支点として反時計回り方向へ傾動させられ、下流側ほど低くなるように傾動する。
【0100】
メインフィン141の上記傾動に伴い、駆動軸75がメインフィン141の支軸144の周りを反時計回り方向へ旋回する。この駆動軸75の動きは連結部材71に伝達される。また、連結部材71から突出するガイド軸79は、ガイド溝78に沿って下流側へ移動するがガイド溝78の形成方向と交差する方向への移動は規制される。これにより、連結部材71は移動時のガタつきが抑制されて安定する。
【0101】
また、下側の補助フィン143では、駆動軸77が長孔73の第2孔部73b内を上流側に向かって移動する。第2孔部73bは、駆動孔74を中心とする円弧状に形成されて上記距離D5と上記距離D6が同一とされている。そのため、下側の補助フィン143は、駆動軸77がメインフィン141の駆動軸75との間に一定の距離を保ちながら、メインフィン141と同じ角度で連動して傾動する。そして、補助フィン143の駆動軸77が第2孔部73bの上流側端縁73eに到達すると、連結部材71のそれ以上の傾動が規制され、補助フィン143はメインフィン141とともに最大角度で傾動された状態となる。
【0102】
一方、上側の補助フィン142では、駆動軸76が長孔72の第1孔部72a内を下流側に向かって移動する。第1孔部72aは、連結部材71の主面が延びる方向の外方に向けて膨らむ円弧状に形成されているが、上記距離D1が上記距離D2より短く形成されている。そのため、メインフィン141の傾動が進むに連れて、上側の補助フィン142の駆動軸76とメインフィン141の駆動軸75との距離が狭められていく。つまり、メインフィン141が傾動させられてその下流端が上壁部120cに近づいたとしても、上側の補助フィン142の下流端の上壁部120c側への傾動が規制されることになる。そして、メインフィン141が下側の補助フィン143と連動して最大角度で傾動された状態となったとき、上側の補助フィン142の駆動軸76は、第1孔部72aの下流側端縁72cに到達する。
【0103】
図16(c)のロー状態から操作ノブ150に対し上方へ向かう力が加えられると、各部が上記とは逆の動作を行ない、メインフィン141及び両補助フィン142、143がそれぞれニュートラル状態に戻される。
【0104】
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1)~(6)と同様の効果が得られる。
上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
【0105】
・下流側リテーナ22、122に一般壁部22a、122aと膨出壁部22b、122bを形成して、下流側の上壁部20c、120c及び下壁部20d、120dが上下方向に膨出する形状としたがこれに限定されない。膨出壁部22b、122bが形成されておらず、リテーナ20、120の上流側から下流側に至るまで形状が変化しないものであってもよい。
【0106】
・第1実施形態の空調用レジスタ6では、メインフィン41がアッパー状態及びロー状態とされたとき、角度θ1(15゜)までは補助フィン42、43がともにメインフィン41に同期して傾動されるように設定したがこれに限定されない。角度θ1の値を適宜変更することもできる。0゜としてもよい。この場合、アッパー状態とされたときには、補助フィン43は傾動当初からメインフィン41に同期することなくその傾動が規制されるようにすればよい。これは、長孔63を、駆動軸67との間に摩擦係合力が作用しない程度の形状に形成すればよい。同様に、ロー状態とされたときには、補助フィン42は傾動当初からメインフィン41に同期することなくその傾動が規制されるようにすればよい。これは、長孔62を、駆動軸66との間に摩擦係合力が作用しない程度の形状に形成すればよい。このようにすると、補助フィン42、43の傾動が当初から規制される分、リテーナ20の上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0107】
・第1実施形態の空調用レジスタ6でのメインフィン41、補助フィン42、43の採りうる最大傾斜角度である角度θ2は35゜に限定されない。それ以上であってもよく、それ以下であってもよい。
【0108】
・空調用レジスタ6、7は、車幅方向に第1方向を一致させるように設置する場合に限らない。例えば、車幅方向に第2方向を一致させるように設置してもよい。
・上記空調用レジスタ6、7は、メインフィン41、141に操作ノブ50、150が設けられていないタイプの空調用レジスタにも適用可能である。
【0109】
・上記空調用レジスタ6、7は、ケース10、110が省略されたタイプの空調用レジスタにも適用可能である。
・連結部材61の形状は第2方向(上下方向)に長い細長板状でなくてもよい。上下端部に長孔62、63が形成され、中央部に駆動孔64が形成された板状であればその形状は特に限定されない。
【0110】
・第1実施形態の空調用レジスタ6の連結部材61を、下流側リテーナ22の右側壁部20aの外側に組み付けるようにしてもよい。この場合、ガイド溝68を右側壁部20aの外面に形成すればよい。また、第2実施形態の空調用レジスタ7の連結部材71を、下流側リテーナ122の右側壁部120aの内側に組み付けるようにしてもよい。この場合、ガイド溝78を右側壁部120aの内面に形成すればよい。
【0111】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記連結部材は前記第2方向に長い細長板状に形成されている。
(ロ)前記第1係合部は、前記連結部材の前記第2方向の一端部に形成された第1長孔と前記第1補助フィンに形成されて前記第1長孔に挿通される第1突起であり、前記第2係合部は、前記連結部材の前記第2方向の他端部に形成された第2長孔と前記第2補助フィンに形成されて前記第2長孔に挿通される第2突起であり、前記第1長孔は、前記メインフィンの傾動を前記第1補助フィンに伝達する伝達領域と前記メインフィンの傾動を前記第1補助フィンに伝達しない非伝達領域を備え、前記第2長孔は、前記メインフィンの傾動を前記第2補助フィンに伝達する伝達領域と前記メインフィンの傾動を前記第2補助フィンに伝達しない非伝達領域を備えている。
【符号の説明】
【0112】
10…ケース、20、120…リテーナ、20a、120a…右側壁部、20b、120b…左側壁部、20c、120c…上壁部、20d、120d…下壁部、21、121…上流側リテーナ、22、122…下流側リテーナ、30、130…上流側フィン、40、140…下流側フィン、41、141…メインフィン、42、43、142、143…補助フィン、50、150…操作ノブ、60、70…連動機構、61、71…連結部材、62、63、72、73…長孔(係合部)、66、67、76、77…駆動軸(突起、係合部)、68、78…ガイド溝、69、79…ガイド軸(突部)、A…空調用空気、SB、ST…傾動可能空間。