(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ゴルフクラブのフィッティング補助装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220809BHJP
A63B 53/00 20150101ALI20220809BHJP
【FI】
A63B69/36 541Z
A63B69/36 541Q
A63B53/00 B
(21)【出願番号】P 2018201081
(22)【出願日】2018-10-25
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217423(JP,A)
【文献】特開2006-218078(JP,A)
【文献】特開2018-089403(JP,A)
【文献】特開2017-127458(JP,A)
【文献】特開2006-091313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0296078(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0074068(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B49/00-60/64
A63B69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータがユーザーに適したゴルフクラブである推奨クラブをフィッティングするのを補助するフィッティング補助装置であって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイに接続される制御部と
を備え、
前記制御部は、
ゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類の中から、前記ユーザーの特徴に合致する分類であるユーザー分類の選択を受け付ける第1選択画面を作成し、前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させる第1選択部と、
ゴルフクラブの特徴を分類する複数のクラブ分類の中から、前記ユーザーに推奨されるべき前記推奨クラブの特徴を表す分類である推奨クラブ分類の選択を受け付ける第2選択画面を作成し、前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させる第2選択部と、
前記第1選択画面を介して選択された前記ユーザー分類を理由とし、前記第2選択画面を介して選択された前記推奨クラブ分類を結果として、前記ユーザー分類と前記推奨クラブ分類とを関連付ける原因結果情報を作成し、前記原因結果情報を出力する提示部と
を含む、フィッティング補助装置。
【請求項2】
前記提示部は、前記原因結果情報として、前記ユーザー分類を理由とし、前記推奨クラブ分類を結果とするセンテンスを作成する、
請求項1に記載のフィッティング補助装置。
【請求項3】
前記原因結果情報は、前記ディスプレイ又は別のディスプレイ上に出力される、
請求項1又は2に記載のフィッティング補助装置。
【請求項4】
前記複数のゴルファー分類を階層的に整理したゴルファー分類階層情報を記憶する記憶部
をさらに備え、
前記第1選択部は、前記ゴルファー分類階層情報を参照して、前記第1選択画面上において複数の第1分類を表示し、前記複数の第1分類の中から特定の第1分類の選択を受け付け、前記特定の第1分類が選択されると、前記特定の第1分類に属する複数の第2分類を表示し、前記複数の第2分類の中から特定の第2分類の選択を受け付ける、
請求項1から3のいずれかに記載のフィッティング補助装置。
【請求項5】
前記複数のゴルファー分類は、前記ゴルファーがショットを行うときの前記ゴルファーの挙動、ゴルフクラブの挙動及びゴルフボールの挙動、前記ゴルファーが現在使用しているゴルフクラブの属性、前記ゴルファーの練習量、並びに前記ゴルファーの好みの少なくとも1つを表す分類を含む、
請求項1から4のいずれかに記載のフィッティング補助装置。
【請求項6】
前記複数のクラブ分類は、ゴルフクラブの属性、ヘッドの属性、シャフトの属性及びグリップの属性の少なくとも1つを表す分類を含む、
請求項1から5のいずれかに記載のフィッティング補助装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ユーザーに対する複数の問診項目を表示するとともに、前記複数の問診項目のそれぞれに対する回答の入力を受け付ける問診画面を作成し、前記ユーザーに向けて前記ディスプレイ上に表示させる問診部
をさらに備え、
前記提示部は、前記問診画面を介して入力された前記複数の問診項目のそれぞれに対する前記回答をまとめて表示する問診結果画面を作成し、前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させる、
請求項1から6のいずれかに記載のフィッティング補助装置。
【請求項8】
前記複数の問診項目は、前記ユーザーの年齢、性別、探しているゴルフクラブの種類、ゴルフ歴、ラウンド数、練習量、平均スコア、ベストスコア、ベストスコアの更新年、弾道に関する自己評価、現在使用しているゴルフクラブに関する悩み、及び現在使用しているゴルフクラブのモデルの少なくとも1つに関する項目を含む、
請求項7に記載のフィッティング補助装置。
【請求項9】
オペレータがユーザーに適したゴルフクラブである推奨クラブをフィッティングするのを補助するフィッティング補助プログラムであって、ディスプレイに接続されるコンピュータに、
ゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類の中から、前記ユーザーの特徴に合致する分類であるユーザー分類の選択を受け付ける第1選択画面を作成し、前記第1選択画面を前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させるステップと、
ゴルフクラブの特徴を分類する複数のクラブ分類の中から、前記ユーザーに推奨されるべき前記推奨クラブの特徴を表す分類である推奨クラブ分類の選択を受け付ける第2選択画面を作成し、前記第2選択画面を前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させるステップと、
前記第1選択画面を介して選択された前記ユーザー分類を理由とし、前記第2選択画面を介して選択された前記推奨クラブ分類を結果として、前記ユーザー分類と前記推奨クラブ分類とを関連付ける原因結果情報を作成し、前記原因結果情報を出力するステップと
を実行させる、フィッティング補助プログラム。
【請求項10】
オペレータがユーザーに適したゴルフクラブである推奨クラブをフィッティングするフィッティング方法であって、
請求項1から8のいずれかに記載のフィッティング補助装置を用意するステップと、
前記オペレータが、前記ディスプレイ上に表示される前記第1選択画面を介して、前記ユーザー分類を入力するステップと、
前記オペレータが、前記ディスプレイ上に表示される前記第2選択画面を介して、前記推奨クラブ分類を入力するステップと、
前記オペレータが、前記出力された原因結果情報を前記ユーザーに提示するステップと、
を含む、フィッティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのフィッティング補助装置、フィッティング補助プログラム及びフィッティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ用品の販売店やゴルフスクール等においては、ユーザーにゴルフクラブを試打させ、フィッターと呼ばれる専門のスタッフ(以下、オペレータという)がこのときのショットを観察し、ユーザーに適したゴルフクラブ(以下、推奨クラブという)を選択すること(所謂、フィッティング)が行われている。こうしたフィッティングの場面では、特許文献1のように、ユーザーのショットをカメラ等の計測装置により計測し、このときの計測データに基づきコンピュータがユーザーのショットを解析した結果が参照されることもしばしばある。
【0003】
コンピュータによる解析の結果が利用される場合においても、無人化されたシステムによりフィッティングが行われるのではなく、一般的には、依然としてオペレータがユーザーに付き添い、推奨クラブが決定される。このような場面では、オペレータは、自身の知識及び経験に基づいて、ユーザーのショットの様々な点を観察する。そして、オペレータは、最終的に決定した推奨クラブのモデルを診断表に書き込み、これをユーザーに手渡して、フィッティングが完了する。オペレータは、診断表の自由記述欄等に、任意でユーザーのショットを観察したときの所見を書き込むこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような従来のフィッティングの場面では、オペレータは、推奨クラブを具体的に特定してユーザーに提案することはできるものの、なぜその推奨クラブを選択したのかをユーザーに明確に伝えることができていない。診断表に書き込まれる所見は、所詮任意であって書き込まれるとは限らないし、書き込まれたとしても自由記述形式であるため、その内容が推奨クラブを選択した理由に関するものであるとは限らない。また、仮に推奨クラブを選択した理由について何らかのコメントが書き込まれたとしても、書き込みの内容が推奨クラブを選択した理由であるとユーザーが理解できるとは限らない。例えば、オペレータが、ユーザーのショットに関し、「スイング中のローテーションが多い」「ヘッド速度が50m/s以上ある」ことを確認し、これらの理由からシャフトの重量が70g台で、ヘッドが重めのドライバーを選択したとする。このとき、所見として、「スイング中のローテーションが多い」「ヘッド速度が50m/s以上ある」と記載されているだけでは、ユーザーには、同記載と推奨クラブが選択されたこととの因果関係が不明である。これでは、オペレータがユーザーに最適なゴルフクラブを選択することができていたとしても、フィッティングの結果に対するユーザーの納得性を高めることができない。
【0006】
また、上記のとおりの従来のフィッティング方法では、オペレータが推奨クラブを決定する理由も、オペレータによりまちまちである。つまり、経験の浅いオペレータには、ユーザーのどのような特徴に注目してフィッティングを行えばよいかの指針が与えられず、ユーザーに最適なゴルフクラブを選択することが難しい。
【0007】
本発明は、オペレータにフィッティングを行う際の指針を示すことができるとともに、フィッティングの結果に対するユーザーの納得性を高めることができるゴルフクラブのフィッティング補助装置、フィッティング補助プログラム及びフィッティング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点に係るフィッティング補助装置は、オペレータがユーザーに適したゴルフクラブである推奨クラブをフィッティングするのを補助するフィッティング補助装置であって、ディスプレイと、前記ディスプレイに接続される制御部とを備える。前記制御部は、ゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類の中から、前記ユーザーの特徴に合致する分類であるユーザー分類の選択を受け付ける第1選択画面を作成し、前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させる第1選択部と、ゴルフクラブの特徴を分類する複数のクラブ分類の中から、前記ユーザーに推奨されるべき前記推奨クラブの特徴を表す分類である推奨クラブ分類の選択を受け付ける第2選択画面を作成し、前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させる第2選択部と、前記第1選択画面を介して選択された前記ユーザー分類を理由とし、前記第2選択画面を介して選択された前記推奨クラブ分類を結果として、前記ユーザー分類と前記推奨クラブ分類とを関連付ける原因結果情報を作成し、前記原因結果情報を出力する提示部とを含む。
【0009】
第2観点に係るフィッティング補助装置は、第1観点に係るフィッティング補助装置であって、前記提示部は、前記原因結果情報として、前記ユーザー分類を理由とし、前記推奨クラブ分類を結果とするセンテンスを作成する。
【0010】
第3観点に係るフィッティング補助装置は、第1観点又は第2観点に係るフィッティング補助装置であって、前記原因結果情報は、前記ディスプレイ又は別のディスプレイ上に出力される。
【0011】
第4観点に係るフィッティング補助装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係るフィッティング補助装置であって、前記複数のゴルファー分類を階層的に整理したゴルファー分類階層情報を記憶する記憶部をさらに備える。前記第1選択部は、前記ゴルファー分類階層情報を参照して、前記第1選択画面上において複数の第1分類を表示し、前記複数の第1分類の中から特定の第1分類の選択を受け付け、前記特定の第1分類が選択されると、前記特定の第1分類に属する複数の第2分類を表示し、前記複数の第2分類の中から特定の第2分類の選択を受け付ける。
【0012】
第5観点に係るフィッティング補助装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係るフィッティング補助装置であって、前記複数のゴルファー分類は、前記ゴルファーがショットを行うときの前記ゴルファーの挙動、ゴルフクラブの挙動及びゴルフボールの挙動、前記ゴルファーが現在使用しているゴルフクラブの属性、前記ゴルファーの練習量、並びに前記ゴルファーの好みの少なくとも1つを表す分類を含む。
【0013】
第6観点に係るフィッティング補助装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係るフィッティング補助装置であって、前記複数のクラブ分類は、ゴルフクラブの属性、ヘッドの属性、シャフトの属性及びグリップの属性の少なくとも1つを表す分類を含む。
【0014】
第7観点に係るフィッティング補助装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係るフィッティング補助装置であって、前記制御部は、前記ユーザーに対する複数の問診項目を表示するとともに、前記複数の問診項目のそれぞれに対する回答の入力を受け付ける問診画面を作成し、前記ユーザーに向けて前記ディスプレイ上に表示させる問診部をさらに備える。前記提示部は、前記問診画面を介して入力された前記複数の問診項目のそれぞれに対する前記回答をまとめて表示する問診結果画面を作成し、前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させる。
【0015】
第8観点に係るフィッティング補助装置は、第7観点に係るフィッティング補助装置であって、前記複数の問診項目は、前記ユーザーの年齢、性別、探しているゴルフクラブの種類、ゴルフ歴、ラウンド数、練習量、平均スコア、ベストスコア、ベストスコアの更新年、弾道に関する自己評価、現在使用しているゴルフクラブに関する悩み、及び現在使用しているゴルフクラブのモデルの少なくとも1つに関する項目を含む。
【0016】
第9観点に係るフィッティング補助プログラムは、オペレータがユーザーに適したゴルフクラブである推奨クラブをフィッティングするのを補助するプログラムであって、ディスプレイに接続されるコンピュータに、以下のステップを実行させる。
(1)ゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類の中から、前記ユーザーの特徴に合致する分類であるユーザー分類の選択を受け付ける第1選択画面を作成し、前記第1選択画面を前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させるステップ
(2)ゴルフクラブの特徴を分類する複数のクラブ分類の中から、前記ユーザーに推奨されるべき前記推奨クラブの特徴を表す分類である推奨クラブ分類の選択を受け付ける第2選択画面を作成し、前記第2選択画面を前記オペレータに向けて前記ディスプレイ上に表示させるステップ
(3)前記第1選択画面を介して選択された前記ユーザー分類を理由とし、前記第2選択画面を介して選択された前記推奨クラブ分類を結果として、前記ユーザー分類と前記推奨クラブ分類とを関連付ける原因結果情報を作成し、前記原因結果情報を出力するステップ
【0017】
第10観点に係るフィッティング方法は、オペレータがユーザーに適したゴルフクラブである推奨クラブをフィッティングするフィッティング方法であって、以下のステップを含む。
(1)第1観点から第8観点のいずれかに係るフィッティング補助装置を用意するステップ
(2)前記オペレータが、前記ディスプレイ上に表示される前記第1選択画面を介して、前記ユーザー分類を入力するステップ
(3)前記オペレータが、前記ディスプレイ上に表示される前記第2選択画面を介して、前記推奨クラブ分類を入力するステップ
(4)前記オペレータが、前記出力された原因結果情報を前記ユーザーに提示するステップ
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1選択画面上にゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類が表示され、オペレータは、これらの中から、ユーザーの特徴に合致するユーザー分類を選択することができる。よって、オペレータは、フィッティング時に注目すべき様々な点が、第1選択画面上に複数のゴルファー分類として与えられ、これらをフィッティングを行う際の指針とすることができる。また、オペレータにより選択されたユーザー分類と、同じくオペレータにより選択されたユーザーに推奨されるべき推奨クラブの特徴を表す推奨クラブ分類とを、前者を理由とし、後者を結果として関連付ける原因結果情報が出力される。よって、これを見たユーザーは、フィッティングの結果に対する納得性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフィッティング補助装置を含むフィッティングシステムの全体構成を示す図。
【
図2】
図1のフィッティングシステムの電気的構成を示すブロック図。
【
図8】ゴルファー分類階層情報の構造を説明する図。
【
図11】原因結果情報を表示する確認画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブのフィッティング補助装置、フィッティング補助プログラム及びフィッティング方法について説明する。
【0021】
<1.フィッティングシステムの全体構成>
図1に、本実施形態に係るゴルフクラブのフィッティング補助装置6を含むフィッティングシステム100の全体構成を示し、
図2に、その電気的構成を示す。フィッティングシステム100は、多数のゴルフクラブの中からユーザーGに適した1又は複数本のゴルフクラブを選択する、言い換えると、ユーザーGに1又は複数本のゴルフクラブをフィッティングするのを補助するためのシステムである。フィッティングは、フィッターと呼ばれる専門のスタッフ(以下、オペレータという)Fが、ユーザーGが1又は複数本の試打用のゴルフクラブ(以下、テストクラブと呼ぶ)4を試打する様子を観察しながら、最終的にユーザーGに推奨されるべき、ユーザーGに適したゴルフクラブ(以下、推奨クラブという)を決定することで実施される。
【0022】
フィッティングシステム100は、オペレータF及びユーザーGが必要事項を入力するためのフィッティング補助装置6を含み、フィッティング補助装置6は、オペレータFとユーザーGとのやりとりを補助する。また、フィッティングシステム100は、ユーザーGがテストクラブを試打する様子を計測する計測装置2と、計測装置2により収集された計測データを解析するコンピュータ1とをさらに含む。コンピュータ1は、計測データに基づいてユーザーGのショットを解析し、その解析結果をオペレータF及びユーザーGに向けて表示する。オペレータFは、コンピュータ1から提示されるユーザーGのショットの解析結果を参考にしながら、フィッティングを進める。
【0023】
以下、テストクラブ4、計測装置2、コンピュータ1及びフィッティング補助装置6の構成について説明した後、フィッティングシステム100を用いて実施されるフィッティングの流れについて説明する。
【0024】
<2.各部の構成>
<2-1.テストクラブ>
テストクラブ4は、一般的なゴルフクラブと同様に、シャフト40と、シャフト40の一端に設けられたヘッド41と、シャフト40の他端に設けられたグリップ42とから構成される。テストクラブ4と総称するが、テストクラブ4としては、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド及びアイアン等の様々なクラブ種類の、様々な番手のゴルフクラブが用意される。また、テストクラブ4としては、同じクラブ種類及び同じ番手であっても、モデルが異なり、仕様の異なる複数のゴルフクラブが用意される。
【0025】
<2-2.計測装置>
計測装置2は、ゴルフ用品の販売店やゴルフスクール等の専門の場所において、ユーザーGが試打を行う打席P1に導入されており、打席P1に立つユーザーGのショットを計測する。計測装置2により計測された計測データは、計測装置2に接続されているコンピュータ1に送信される。
【0026】
図2に示すように、本実施形態に係る計測装置2は、慣性センサユニット3及びカメラシステム5を含む。ただし、計測装置2の構成は、これに限られず、ユーザーGのショットを解析するのに適した計測データを計測可能なものであれば、特に限定されない。ユーザーGは、カメラシステム5が据え置かれている打席P1において、慣性センサユニット3が取り付けられているテストクラブ4の試打を行う。打席P1には、ショットマット58が敷かれており、このショットマット58上でユーザーGは試打を行う。
【0027】
<2-2-1.慣性センサユニット>
慣性センサユニット3は、
図1に示す通り、テストクラブ4のグリップ42に取り付けられており、スイング中のテストクラブ4の挙動を計測する。ただし、慣性センサユニット3は、ヘッド41やシャフト40等の別の箇所に取り付けることもできる。慣性センサユニット3は、ユーザーGのスイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。慣性センサユニット3は、テストクラブ4に対して着脱自在であってもよいし、取り外し不能に固定されていてもよい。
【0028】
図2に示すように、慣性センサユニット3には、加速度センサ31、角速度センサ32及び地磁気センサ33が搭載されている。これらのセンサ31~33はそれぞれ、これらのセンサ31~33の取付位置を原点とするxyz局所座標系での加速度、角速度及び地磁気のデータを検出する三軸センサである。慣性センサユニット3には、これらのセンサ31~33から出力される計測データを外部のコンピュータ1に送信するための通信装置34も搭載されている。なお、本実施形態では、通信装置34は、スイング動作の妨げにならないように無線式であるが、ケーブルを介して有線式にコンピュータ1に接続するようにしてもよい。
【0029】
<2-2-2.カメラシステム>
図1及び
図2に示す通り、カメラシステム5は、複数台のカメラ51及び52と、複数台のストロボ53、53、54及び54とを備えており、ストロボ式の撮影を行う。カメラ51は、インパクト前後のヘッド41及びボール60の様子を上方から撮影できるように、ユーザーGの正面側において支持台57に固定されており、アドレス時のボール60の斜め上方に配置されている。ストロボ53及び53も、支持台57に固定されており、カメラ51の下方に配置されている。また、カメラ52は、カメラ51とは異なる位置からインパクト前後のヘッド41及びボール60の様子を撮影できるように、ユーザーGの正面側においてアドレス時のボール60の前方に配置されている。ストロボ54及び54は、カメラ52の左右に配置されている。ゴルフボール60には、カメラ51及び52により撮影された画像データからボール60の挙動を抽出し易いように、適宜、点状、線状等の形状のマーカーが付されている。
【0030】
また、カメラシステム5は、投光器55A及び55Bと、受光器56A及び56Bとを備えており、投光器55A及び受光器56Aが1つのタイミングセンサを構成し、投光器55B及び受光器56Bがもう1つのタイミングセンサを構成している。これらのタイミングセンサにより生成されるタイミング信号は、ストロボ53、53、54及び54の発光及びそれに続くカメラ51及び52の撮影のタイミングを決定するのに使用される。
【0031】
さらに、カメラシステム5は、以上の装置51~56Bの動作を制御するための制御装置50も備えている。制御装置50は、CPU、ROM及びRAM等を有しており、以上の装置51~56Bの他、コンピュータ1の通信部15にも接続されている。
【0032】
投光器55A及び55Bは、ユーザーGの正面側の地面付近において、カメラ51の下方に配置されている。一方、受光器56A及び56Bは、打席P1に立つユーザーGの足のつま先付近に配置されている。投光器55A及び受光器56Aは、ユーザーGの背から腹に向かう方向に概ね平行な直線上に配置されており、互いに対向している。投光器55B及び受光器56Bについても同様である。投光器55A及び55Bは、ゴルフスイング中、常時、それぞれ受光器56A及び56Bに向けて光を照射しており、受光器56A及び56Bがこれを受光する。しかし、テストクラブ4が投光器55A及び55Bと受光器56A及び56Bとの間を通過するタイミングでは、投光器55A及び55Bからの光がテストクラブ4により遮られるため、受光器56A及び56Bはこれを受光することができない。受光器56A及び56Bはこのタイミングを検出し、これを受けてタイミング信号を生成する。制御装置50は、タイミング信号が生成された時刻を基準として、一定の時間、ストロボ53、53、54及び54に発光を命令するとともに、カメラ51及び52に撮影を命令する。カメラ51及び52により撮影された画像データは、計測データとして制御装置50に送信され、制御装置50からさらにコンピュータ1に送信される。
【0033】
<2-3.コンピュータ>
コンピュータ1は、その名のとおり、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。
図2に示す通り、コンピュータ1には、プログラム13aがインストールされている。プログラム13aは、コンピュータ1が読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体から、或いはコンピュータ1が接続されるLANやインターネット等の通信ネットワーク上の端末から取得される。プログラム13aは、コンピュータ1に後述する動作を実行させる。
【0034】
コンピュータ1は、ディスプレイ11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11~15は、互いにバス線等の通信線16を介して接続されており、相互に通信可能である。ディスプレイ11は、コンピュータ1の本体(制御部14等を収容する筐体)に一体的に組み込まれていても、外付けであってもよい。
【0035】
記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置から構成することができる。記憶部13内には、プログラム13aが格納されている他、計測装置2から送信されてくる計測データが保存される。制御部14は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内のプログラム13aを読み出して実行することにより、記憶部13内の計測データに基づいてユーザーGのショットを解析する。通信部15は、LANやインターネット等の通信ネットワークとの接続を確立する通信インターフェースとして機能し、この通信ネットワークを介して、計測装置2やフィッティング補助装置6等の外部のデバイスとの間でのデータの送受信を可能にする。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、コンピュータ1に対する主としてオペレータFからの操作を受け付ける。ディスプレイ11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、制御部14によるショットの解析結果及びフィッティングの結果等をオペレータF及びユーザーGに対し表示する。
【0036】
<2-4.フィッティング補助装置>
フィッティング補助装置6は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ノート型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータとして実現される。
図2に示す通り、フィッティング補助装置6には、プログラム63aがインストールされている。プログラム63aは、フィッティング補助装置6が読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体から、或いはフィッティング補助装置6が接続されるLANやインターネット等の通信ネットワーク上の端末から取得される。プログラム63aは、フィッティング補助装置6に後述する動作を実行させる。
【0037】
フィッティング補助装置6は、ディスプレイ61、入力部62、記憶部63、制御部64及び通信部65を備える。これらの部61~65は、互いにバス線等の通信線66を介して接続されており、相互に通信可能である。ディスプレイ61は、フィッティング補助装置6の本体(制御部64等を収容する筐体)に一体的に組み込まれていても、外付けであってもよい。
【0038】
記憶部63は、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成することができる。記憶部63内には、プログラム63aが格納されている他、後述されるゴルファー分類階層情報63b及びクラブ分類階層情報63cが格納されており、さらにオペレータF及びユーザーGにより入力される各種データが保存される。制御部64は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部64は、記憶部63内のプログラム63aを読み出して実行することにより、仮想的に問診部64a、第1選択部64b、第2選択部64c及び提示部64dとして動作する。これらの部64a~64dの動作の詳細は、後述する。通信部65は、LANやインターネット等の通信ネットワークとの接続を確立する通信インターフェースとして機能し、この通信ネットワークを介して、コンピュータ1等の外部のデバイスとの間でのデータの送受信を可能にする。入力部62は、タッチパネル、キーボード、マウス等で構成することができ、フィッティング補助装置6に対するオペレータF及びユーザーGからの操作を受け付ける。ディスプレイ61は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、後述する画面等をオペレータF及びユーザーGに対し表示する。
【0039】
<3.フィッティングの流れ>
以下、
図3を参照しつつ、フィッティングシステム100を用いて実施されるフィッティングの流れについて説明する。
【0040】
まず、ユーザーGの問診が行われる(ステップS1)。オペレータFは、問診に使用するフィッティング補助装置6を用意し、フィッティング補助装置6上でプログラム63aを起動する。オペレータFは、
図4に示すようなユーザーG向けの問診画面W1をディスプレイ61上に表示させ、ユーザーGにフィッティング補助装置6を手渡す。問診画面W1は、入力部62を介しての所定の操作を受けて、問診部64aにより作成され、ディスプレイ61上に表示される。
【0041】
問診画面W1は、ユーザーGに対する複数の問診項目を表示するとともに、複数の問診項目のそれぞれに対する回答の入力を受け付ける画面である。これに限定されないが、ここでいう問診項目には、ユーザーGの年齢、性別、探しているゴルフクラブの種類、ゴルフ歴、(例えば1年あたりの)ラウンド数、(例えば1月あたりの)練習量、平均スコア、ベストスコア、ベストスコアの更新年、弾道に関する自己評価、現在使用しているゴルフクラブに関する悩み、及び現在使用しているゴルフクラブのモデルの少なくとも1つに関する項目が含まれる。
図4に示すように、問診項目に対する回答は、選択形式で入力することができる。例えば、同図の通り、問診項目である「年齢」に対しては、問診画面W1上に回答の選択肢である「10代以下」「20代」「30代」・・・「70代」「80代以上」にそれぞれ対応するオブジェクトが表示される。そして、ユーザーGがこれらのオブジェクトをクリック等の態様により選択すると、選択されたオブジェクトに対する回答が選択される。問診項目に応じて、択一的な選択が要求される場合と、複数選択が可能な場合とがある。また、少なくとも一部の問診項目に対する回答は、自由記述形式で入力可能であってもよい。
【0042】
ユーザーGによる全ての問診項目に対する回答の入力が終了すると、提示部64dは、
図5に示すような問診結果画面W2を作成し、これをユーザーGに向けてディスプレイ61上に表示させる。問診結果画面W2は、問診画面W1を介して入力された複数の問診項目のそれぞれに対する回答をまとめて表示する画面であり、ユーザーGはこれを見て、自身の入力内容を確認する。ユーザーGは、入力内容に誤りがあれば、適宜修正した後、オペレータFにフィッティング補助装置6を手渡す。オペレータFは、問診結果画面W2を見て、同画面W2に一覧表示されているユーザーGに関する基本情報を把握し、フィッティングの参考にする。よって、問診結果画面W2は、オペレータF向けの画面でもある。
【0043】
問診が終了すると、オペレータFは、以上のユーザーGに関する基本情報を参考にしながら、ユーザーGに試打させるテストクラブ4を選択する(ステップS2)。ユーザーGは、オペレータFにより選択されたテストクラブ4を打席P1において試打し、オペレータFは、このときのショットの様子を観察する(ステップS3)。ユーザーGによるショットは、1本のテストクラブ4に対し1又は複数回実施される。
【0044】
オペレータFが自身の眼でショットの様子を観察する(ステップS3)のと並行して、計測装置2は、ユーザーGの各ショットを計測した計測データを収集する(ステップS4)。より具体的には、テストクラブ4がスイングされ、ボール60が打撃されると、このショット時の少なくともアドレスからインパクトまでのグリップ42の加速度、角速度及び地磁気の計測データが、慣性センサユニット3により計測される。これらの計測データは、慣性センサユニット3からコンピュータ1に送信され、記憶部13内に格納される。また、慣性センサユニット3による計測と並行して、カメラシステム5が、このショット時のインパクト前後のヘッド41及びボール60の近傍の様子を写す画像データを撮影する。これらの画像データも計測データとして、制御装置50を介してコンピュータ1に送信され、記憶部13内に格納される。
【0045】
また、コンピュータ1の制御部14は、新たに1ショット分の計測データが記憶部13内に格納される度に、当該計測データを解析する(ステップS5)。より具体的には、制御部14は、記憶部13内の計測データを解析することにより、ショットの解析結果として、様々なショット特性値を算出する。本実施形態では、ショット特性値として、インパクト直前のヘッドスピード、インパクト直後のボールスピード、ミート率(ヘッドスピードに対するボールスピードの割合)、上下打ち出し角、バックスピン量、左右打ち出し角(左右振れ角ともいう)、サイドスピン量、左右方向の飛距離(左右ブレともいう)、キャリーのみの飛距離、キャリー及びランの合計の飛距離、フェースの開き量、ヘッド41の軌道角、及びフェース面上における打点(左右の打点)が算出される。また、ショットの解析結果として、ボール60の軌道も算出される。ただし、これらは例示であり、ここで挙げたショットの解析項目の全てが算出される必要はないし、他の解析項目が算出されてもよい。なお、上記のような計測データに基づく上記のようなショットの解析項目の算出方法としては、様々知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0046】
以上のショットの解析結果は、
図6に示すように、解析結果画面W3上に表示される。解析結果画面W3は、ディスプレイ11上に表示される。より具体的には、解析結果画面W3上には、ショット特性値を一覧表示するためのテーブルT1が配置されている。そして、1ショット分のショット特性値が新たに算出される度に、このテーブルT1にそれらのショット特性値が入力される。さらに、テーブルT1の下には、同じショットに対応するボール60の軌道を表すグラフィックT2が表示される。テーブルT1及びグラフィックT2は、テストクラブ4毎に表示される。テーブルT1内では、同じテストクラブ4での1打目のショット特性値のセットが1行目に、2打目のショット特性値のセットが2行目に表示され、3打目以降も同様である。また、グラフィックT2においても、同じテストクラブ4でのショットの数だけ、ボール60の軌道が表示される。テーブルT1の最下段の行には、同じテストクラブ4に対する複数回のショットでのショット特性値の平均値が表示される。ショット特性値の平均値は、新たなショット特性値のセットが算出される度に、制御部14により算出される。
【0047】
オペレータFは、解析結果画面W3上に表示されるユーザーGのショット特性値を参考にしつつ、ユーザーGのショットを自身の目で観察しながら、ユーザーGの特徴(主として、ユーザーGのショットに関する特徴)を判断し、これをフィッティング補助装置6に入力する(ステップS6)。このとき、オペレータFは、入力部62を介して所定の操作を行うことにより、
図7に示すようなオペレータF向けの第1選択画面W4をディスプレイ61上に表示させる。第1選択画面W4は、オペレータFによる所定の操作を受けて、第1選択部64bにより作成され、ディスプレイ61上に表示される。
【0048】
第1選択画面W4は、ゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類を表示するとともに、これらの複数のゴルファー分類の中から、ユーザーGの特徴に合致する分類であるユーザー分類の選択を受け付ける画面である。これに限定されないが、ここでいうゴルファー分類には、ゴルファーがショットを行うときのゴルファーの挙動、ゴルフクラブの挙動及びゴルフボールの挙動、ゴルファーが現在使用しているゴルフクラブの属性、ゴルファーの練習量、並びにゴルファーの好みの少なくとも1つを表す分類を含む。ユーザー分類は、オペレータFがユーザーに推奨クラブを選択する理由として入力される。
【0049】
第1選択画面W4上では、ユーザー分類は、選択形式で入力することができ、選択肢となる複数のゴルファー分類は、階層的に表示される。ゴルファー分類は、記憶部63内にゴルファー分類階層情報63bとして階層的に整理されており、第1選択部64bは、これを参照することにより、第1選択画面W4を作成する。
図8は、ゴルファー分類階層情報63bの構造を説明する図である。同図に示すように、本実施形態では、ゴルファー分類は、3階層に整理されている。そして、第1階層に対応する第1分類と、第2階層に対応する第2分類と、第3階層に対応する第3分類とを組み合わせることにより、1つのゴルファー分類が特定される。
【0050】
これに限定されないが、ゴルファー分類階層情報63bの第1分類には、
図7及び
図8に示されるように、「アドレス」「トップ」「ダウンスイング」「インパクト」「スイング傾向」「ヘッド速度」「弾道傾向」「ミス傾向」「クラブ」「ゴルフ傾向」の10個の項目がある。第1分類の各項目には、第2分類に属する複数の項目がツリー状に関連付けられており、さらに第2分類に属する各項目には、第3分類に属する複数の項目がツリー状に関連付けられている。
図7に示されるように、例えば、第1分類に属する「ダウンスイング」の項目には、「スイング軌道」「フェース角」「ローテーション」「ブロー角」「コックのため」「コック角」「スイングテンポ」「スイングタイプ」の8つの項目が関連付けられており、このうち、「ローテーション」の項目には、「多い」「少ない」の2つの項目が関連付けられている。
【0051】
ユーザー分類の入力時、第1選択部64bは、以上のようなゴルファー分類階層情報63bを参照して、第1選択画面W4上において複数の第1分類を表示し、複数の第1分類の中から特定の第1分類の選択を受け付ける。そして、オペレータFにより特定の第1分類が選択されると、第1選択画面W4上においてその特定の第1分類に属する複数の第2分類を表示し、複数の第2分類の中から特定の第2分類の選択を受け付ける。さらに、オペレータFにより特定の第2分類が選択されると、第1選択画面W4上においてその特定の第2分類に属する複数の第3分類を表示し、複数の第3分類の中から特定の第3分類の選択を受け付ける。
図7では、オペレータFが、第1分類として「ダウンスイング」を、第2分類として「ローテーション」を、第3分類として「多い」を選択したときの例が示されている。そして、このような選択により、「ダウンスイング時のローテーションが多い」というユーザーGの特徴を表すユーザー分類が入力される。なお、ユーザー分類は、ユーザーGがフィッティングの対象としているドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド及びアイアン等の様々なクラブ種類ごとに入力される。また、オペレータFは、第1選択画面W4を介して、1つのクラブ種類に対し、1又は複数のユーザー分類を入力することができる。1つのクラブ種類に対する入力可能なユーザー分類の数は、例えば、1つだけ、2つまで、3つまでと予め定められていてもよいし、数の制限は特になくてもよい。
【0052】
オペレータFは、ユーザー分類を入力する一方で、ユーザーGに適したゴルフクラブの特徴を判断し、これをフィッティング補助装置6に入力する(ステップS7)。このとき、オペレータFは、入力部62を介して所定の操作を行うことにより、
図9に示すようなオペレータF向けの第2選択画面W5をディスプレイ61上に表示させる。第2選択画面W5は、オペレータFによる所定の操作を受けて、第2選択部64cにより作成され、ディスプレイ61上に表示される。
【0053】
第2選択画面W5は、ゴルフクラブの特徴を分類する複数のクラブ分類を表示するとともに、これらの複数のクラブ分類の中から、ユーザーGに推奨されるべき推奨クラブの特徴を表す分類である推奨クラブ分類の選択を受け付ける画面である。これに限定されないが、ここでいうクラブ分類には、ゴルフクラブの属性、ヘッドの属性、シャフトの属性及びグリップの属性の少なくとも1つを表す分類を含む。
【0054】
第2選択画面W5上では、推奨クラブ分類は、選択形式で入力することができ、選択肢となる複数のクラブ分類は、階層的に表示される。クラブ分類は、記憶部63内にクラブ分類階層情報63cとして階層的に整理されており、第2選択部64cは、これを参照することにより、第2選択画面W5を作成する。
図10は、クラブ分類階層情報63cの構造を説明する図である。同図に示すように、本実施形態では、クラブ分類は、3階層に整理されている。そして、第1階層に対応する第1分類と、第2階層に対応する第2分類と、第3階層に対応する第3分類とを組み合わせることにより、1つのクラブ分類が特定される。
【0055】
これに限定されないが、クラブ分類階層情報63cの第1分類には、
図9及び
図10に示されるように、「モデル」「ヘッド」「シャフト」「グリップ」「クラブ」「調整仕様」の6つの項目がある。第1分類の各項目には、第2分類に属する複数の項目がツリー状に関連付けられており、さらに第2分類に属する各項目には、第3分類に属する複数の項目がツリー状に関連付けられている。
図9に示されるように、例えば、第1分類に属する「クラブ」の項目には、「重量」「バランス」「慣性モーメント」の3つの項目が関連付けられており、このうち、「バランス」の項目には、「B6」・・・「B9」「C1」「C2」・・・等の多数の項目が関連付けられている。
【0056】
推奨クラブ分類の入力時、第2選択部64cは、以上のようなクラブ分類階層情報63cを参照して、第2選択画面W5上において複数の第1分類を表示し、複数の第1分類の中から特定の第1分類の選択を受け付ける。そして、オペレータFにより特定の第1分類が選択されると、第2選択画面W5上においてその特定の第1分類に属する複数の第2分類を表示し、複数の第2分類の中から特定の第2分類の選択を受け付ける。さらに、オペレータFにより特定の第2分類が選択されると、第2選択画面W5上においてその特定の第2分類に属する複数の第3分類を表示し、複数の第3分類の中から特定の第3分類の選択を受け付ける。
図9では、オペレータFが、第1分類として「クラブ」を、第2分類として「バランス」を、第3分類として「B6」を選択したときの例が示されている。そして、このような選択により、「ゴルフクラブのバランスがB6」という、ユーザーGに推奨されるべきゴルフクラブの特徴を表す推奨クラブ分類が入力される。なお、推奨クラブ分類は、ユーザーGがフィッティングの対象としているドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド及びアイアン等の様々なクラブ種類ごとに入力される。また、
図10に示されているクラブ分類階層情報63cは、ドライバー用の情報であり、実際には、クラブ分類階層情報63cは、クラブ種類ごとに用意される。また、オペレータFは、第2選択画面W5を介して、1つのクラブ種類に対し、1又は複数の推奨クラブ分類を入力することができる。1つのクラブ種類に対する入力可能な推奨クラブ分類の数は、例えば、1つだけ、2つまで、3つまでと予め定められていてもよいし、数の制限は特になくてもよい。
【0057】
なお、ユーザーGによる試打は、オペレータFが選択した1又は複数本のテストクラブ4に対し実施され、さらに1本のテストクラブ4は複数回試打され得る。よって、ステップS2~S7は、実際には、
図3に示される順序で実行されるとは限らない。例えば、ステップS6及びステップS7は、一部のテストクラブ4が選択され(ステップS2)、これらのテストクラブ4の試打に対するステップS3~S4が実行された後にはじめて実行されてもよいし、オペレータFにより選択された全てのテストクラブ4に対する試打が終了した後に入力されてもよい。
【0058】
全ての試打が終了し、推奨クラブ分類が入力されると、提示部64dが、原因結果情報を作成する(ステップS8)。原因結果情報とは、第1選択画面W4を介して選択されたユーザー分類を理由とし、第2選択画面W5を介して選択された推奨クラブ分類を結果として、これらの分類を関連付ける情報である。本実施形態では、原因結果情報として、ユーザー分類を理由とし、推奨クラブ分類を結果とする意味を有するセンテンスが自動作成される。例えば、ドライバーに関し、ユーザー分類として、「ダウンスイング中のローテーションが多い」「ヘッド速度が50m/s以上」という情報が入力され、推奨クラブ分類として、「シャフト重量が70g台」「ヘッドが重め」という情報が入力されていた場合には、「ダウンスイング中のローテーション量が多く、ヘッド速度が50m/s以上ですので、シャフトの重量が70g台、ヘッドが重めのドライバーをお勧めします。」というセンテンスが自動作成される。センテンスは、テーブル形式のゴルファー分類階層情報63b及びクラブ分類階層情報63cに含まれる「説明文」「連結句」の列の内容に基づいて作成される。すなわち、これらの階層情報63b及び63c中、ゴルファー分類及びクラブ分類の各分類には、当該分類の意味を示す説明文と、当該分類を原因又は結果としてセンテンスを完成させるために必要な、説明文の間をつなぐ連結句とが対応付けられている。提示部64dは、これらの列を参照し、選択されたユーザー分類と推奨クラブ分類とを結びつけるセンテンスを作成する。
【0059】
続いて、提示部64dは、以上の原因結果情報を表示する確認画面W6(
図11参照)を作成し、ディスプレイ61上に表示させる(ステップS9)。確認画面W6は、主としてオペレータFに向けて作成され、オペレータFが入力した内容に基づく原因結果情報を確認するための画面である。オペレータFは、入力内容に誤りがあれば、適宜修正した後、「完了」ボタン(
図11参照)押す等して原因結果情報を承認すると、原因結果情報がコンピュータ1に送信される。これを受けて、コンピュータ1側では、制御部14が、原因結果情報を含む各種情報をフィッティングの結果としてまとめたフィッティング結果画面W7(
図12参照)を作成し、これをディスプレイ11上に表示させる(ステップS10)。フィッティング結果画面W7は、ショットの解析結果も勘案して作成することができる。
【0060】
例えば、フィッティング結果画面W7には、原因結果情報の他、フィッティングの結果として、推奨クラブ分類に合致する推奨クラブ及び/又はその部品(以下、推奨クラブ/部品ということがある)を特定する情報(モデルや型番等)が表示される。具体的には、記憶部13内には、様々なラインナップのゴルフクラブ及び/又はその部品を特定する情報が、それぞれの属性情報に関連付けて記憶されている。そして、制御部14は、記憶部13内のこの情報に推奨クラブ分類を照合することにより、推奨クラブ/部品を特定する。
【0061】
オペレータFは、ディスプレイ11上に表示されるフィッティング結果画面W7をユーザーGに提示し、ともに確認しながら、フィッティングの結果について話をする。これにより、一連のフィッティングに関する処理は終了する。
【0062】
以上のフィッティング方法によれば、第1選択画面W4上にゴルファーの特徴を分類する複数のゴルファー分類が表示される。オペレータFは、これらの中から、推奨クラブを選択する理由として、ユーザーGの特徴に合致するユーザー分類を選択する。このとき、第1選択画面W4上に表示される複数のゴルファー分類は、フィッティング時に注目すべき点をオペレータFに教示する。よって、オペレータFは、これらの分類をフィッティングを行う際の指針とすることができる。また、オペレータFにより選択されたユーザー分類と推奨クラブ分類とを、前者を理由とし、後者を結果として関連付ける原因結果情報が出力される。よって、これを見たユーザーGは、フィッティングの結果に対する納得性を高めることができる。
【0063】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0064】
<4-1>
上記実施形態では、原因結果情報が、フィッティング補助装置6のディスプレイ61上において、オペレータF向けの確認画面W6上に表示された。しかしながら、同ディスプレイ61上に、ユーザーG向けの原因結果情報が表示されてもよい。例えば、上記のフィッティング結果画面W7が提示部64dにより作成され、コンピュータ1のディスプレイ11に代えて又は加えて、フィッティング補助装置6のディスプレイ61上に表示されてもよい。
【0065】
<4-2>
上記実施形態では、計測装置2で計測され、コンピュータ1で解析されたユーザーGのショット特性値を参考にして、フィッティングが行われた。しかしながら、計測装置2及びコンピュータ1を省略し、オペレータFがフィッティング補助装置6を使用しつつ、自身が観察した内容のみからフィッティングを行ってもよい。この場合、変形例4-1のように、原因結果情報を含むフィッティング結果画面W7をフィッティング補助装置6のディスプレイ61上に表示させ、これをユーザーGとともに確認すればよい。
【符号の説明】
【0066】
100 フィッティングシステム
1 コンピュータ
11 ディスプレイ
2 計測装置
4 テストクラブ(ゴルフクラブ)
6 フィッティング補助装置
61 ディスプレイ
63a プログラム(フィッティング補助プログラム)
63b ゴルファー分類階層情報
63c クラブ分類階層情報
64 制御部
64a 問診部
64b 第1選択部
64c 第2選択部
64d 提示部
7 スキャナ(読取り装置)
G ユーザー(ゴルファー)
F オペレータ
W1 問診画面
W2 問診結果画面
W3 解析結果画面
W4 第1選択画面
W5 第2選択画面
W6 確認画面(原因結果情報を含む)
W7 フィッティング結果画面