(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】信号制御パラメータ生成装置、信号制御パラメータ生成方法、および信号制御パラメータ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/08 20060101AFI20220809BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G08G1/08 A
G08G1/01 A
G08G1/08 C
(21)【出願番号】P 2018216593
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 透
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-192050(JP,A)
【文献】特開2011-197751(JP,A)
【文献】特開2016-186822(JP,A)
【文献】特開2016-115249(JP,A)
【文献】特開2002-319088(JP,A)
【文献】特開2012-190162(JP,A)
【文献】特開2013-206098(JP,A)
【文献】特開2006-004270(JP,A)
【文献】特開2011-022649(JP,A)
【文献】特開昭63-136200(JP,A)
【文献】国際公開第2009/150528(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行軌跡情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得した前記走行軌跡情報から、
歩行者用信号灯器が設置された交差点を
前記車両が左折したときの部分走行軌跡情報を抽出する部分軌跡抽出部と、
前記部分軌跡抽出部に抽出された前記部分走行軌跡情報を
基に、左折時に歩行者の影響を受けたかどうかを推定する推定部と、
前記推定部によって推定された推定結果を交差点別に集計する集計部と、
前記集計部の集計結果に応じて、信号制御パラメータを生成するパラメータ生成部と、を備え、
前記部分走行軌跡情報は、前記交差点の前に設定された始点から、前記交差点の先に設定された終点までの前記車両の軌跡を示す情報であ
り、
前記推定部は、前記交差点に進入した後に、横断歩道の前で停止した車両が、前記横断歩道を通過した後に加速していれば、左折時に歩行者の影響を受けていると推定し、
前記パラメータ生成部は、左折時に歩行者の影響を受けた車両の割合が基準値に達した前記交差点に設置されている前記歩行者用信号灯器の青時間を短縮した信号制御パラメータを生成する、信号制御パラメータ生成装置。
【請求項2】
前記部分軌跡抽出部は、前記車両が前記交差点を左折したと
き、前記始点から前記終点に至るまでに要した走行時間が予め決められた走行基準時間を超えた場合、前記車両が前記交差点を左折したときの前記部分走行軌跡情報を抽出する、請求項1に記載の信号制御パラメータ生成装置。
【請求項3】
前記走行時間は、前記車両が前記交差点を左折したときの前記始点から前記終点に至るまでに要した時間から、前記車両が信号によって
交差点の手前で停止した時間を考慮した時間である、請求項2に記載の信号制御パラメータ生成装置。
【請求項4】
前記パラメータ生成部は、左折時に歩行者の影響を受けたと推定された前記車両が前記始点から前記終点に至るまでに要した走行時間の平均時間に応じて、前記歩行者用信号灯器の青時間の短縮時間を決定する、請求項1~3のいずれかに記載の信号制御パラメータ生成装置。
【請求項5】
前記集計部は、推定結果を、時間帯別に集計し、
前記パラメータ生成部は、前記時間帯別に集計された集計結果に基づいて、前記信号制御パラメータを生成する、請求項1~
4のいずれかに記載の信号制御パラメータ生成装置。
【請求項6】
前記集計部が集計した集計結果に基づいて、注意情報を出力する出力部を備える、請求項1~
5のいずれかに記載の信号制御パラメータ生成装置。
【請求項7】
取得した車両の走行軌跡情報から、
歩行者用信号灯器が設置された交差点を
前記車両が左折したときの部分走行軌跡情報を抽出する部分軌跡抽出ステップと、
前記部分軌跡抽出ステップに抽出された前記部分走行軌跡情報を
基に、左折時に歩行者の影響を受けたかどうかを推定する推定ステップと、
前記推定ステップで推定し
た走行状態に応じて、前記部分走行軌跡情報を交差点別に集計する集計ステップと、
前記集計ステップの集計結果に応じて、信号制御パラメータを生成するパラメータ生成ステップと、をコンピュータが実行し、
前記部分走行軌跡情報は、前記交差点の前に設定された始点から、前記交差点の先に設定された終点までの前記車両の軌跡を示す情報であ
り、
前記推定ステップは、前記交差点に進入した後に、横断歩道の前で停止した車両が、前記横断歩道を通過した後に加速していれば、左折時に歩行者の影響を受けていると推定するステップであり、
前記パラメータ生成ステップは、左折時に歩行者の影響を受けた車両の割合が基準値に達した前記交差点に設置されている前記歩行者用信号灯器の青時間を短縮した信号制御パラメータを生成するステップである、信号制御パラメータ生成方法。
【請求項8】
取得した車両の走行軌跡情報から、
歩行者用信号灯器が設置された交差点を
前記車両が左折したときの部分走行軌跡情報を抽出する部分軌跡抽出ステップと、
前記部分軌跡抽出ステップに抽出された前記部分走行軌跡情報を
基に、左折時に歩行者の影響を受けたかどうかを推定する推定ステップと、
前記推定ステップで推定し
た走行状態に応じて、前記部分走行軌跡情報を交差点別に集計する集計ステップと、
前記集計ステップの集計結果に応じて、信号制御パラメータを生成するパラメータ生成ステップと、をコンピュータに実行させ、
前記部分走行軌跡情報は、前記交差点の前に設定された始点から、前記交差点の先に設定された終点までの前記車両の軌跡を示す情報であ
り、
前記推定ステップは、前記交差点に進入した後に、横断歩道の前で停止した車両が、前記横断歩道を通過した後に加速していれば、左折時に歩行者の影響を受けていると推定するステップであり、
前記パラメータ生成ステップは、左折時に歩行者の影響を受けた車両の割合が基準値に達した前記交差点に設置されている前記歩行者用信号灯器の青時間を短縮した信号制御パラメータを生成するステップである、信号制御パラメータ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交差点に設置されている信号機を信号制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交通管制センタ内に設置され、交通流を円滑にする交通管制のために、車両の交通量に基づく交通パラメータを算出する交通パラメータ算出装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
交通パラメータ算出装置は、車両感知器によって計測された車両数を用いて、交通パラメータを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両のドライバーは、交差点で左折するとき、当該車両が交差点に進入する方向に横断歩道を横断している歩行者がいると、その歩行者を安全に横断させるために、横断歩道の手前で車両を一時停止させる。したがって、左折車両が多い交差点において、歩行者の横断が左折車両の通行を多く妨げる場合は、左折車両の停止時間が長くなり、交通流を低下させる。
【0006】
この発明の目的は、交差点において、車両の左折側の歩行者による交通流の低下を抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の信号制御パラメータ生成装置は、上記目的を達するために、以下のように構成している。
【0008】
情報取得部は、車両(例えば、プローブ車両)の走行軌跡情報を取得する。ここでいう、走行軌跡情報は、例えば、位置情報、日時情報及び速度情報を含む。部分軌跡抽出部は、情報取得部で取得した走行軌跡情報から、当該車両が交差点を左折したときの部分走行軌跡情報(左折時の部分走行軌跡情報)を抽出する。左折時の部分走行軌跡情報は、車両が交差点に進入する交差点の流入側に設定された始点から、車両が交差点を左折して交差点を通過する流出側に設定された終点までの走行軌跡を示す情報である。推定部は、部分軌跡抽出部に抽出された左折時の部分走行軌跡情報を用いて車両の走行状態を推定する。推定部は、例えば、車両の停止(走行状態)が歩行者によるものであるか先詰まりによるものであるかを推定する。集計部は、推定部が推定した推定結果を交差点別に集計する。パラメータ生成部は、例えば、歩行者の影響による車両の停止の割合が高ければ、歩行者用信号灯器の青点灯時間を減らし、車両のみが通行できる時間を増やすような、信号制御パラメータを生成する。
【0009】
この構成では、左折車両の停止時間が短くなり、より多くの車両が交差点を左折することができる。したがって、この構成では、交差点において、車両が左折する場合、左折側の横断歩道に歩行者がいることによる交通流の低下を抑えることができる。
【0010】
また、部分軌跡抽出部は、車両が実際に交差点を左折したときの始点から終点に至るまでに要した走行時間が、予め決められた走行基準時間を超えた場合、当該車両が交差点を左折したときの部分走行軌跡情報を抽出することが好ましい。ここでいう走行基準時間は、予め決められた基準値(時間)である。要するに、部分軌跡抽出部は、走行時間が走行基準時間を超えていれば、車両の走行状態(例えば、停止)が歩行者及び先詰まりのいずれかによるものであると判定する。この場合、車両が交差点に進入する手前(以下の説明では、単に交差点の手前という。)で車両用信号灯器の表示が停止(例えば、赤点灯)を示していれば、左折先の状況に関係なく停止線の手前で停止する。そこで、部分軌跡抽出部は、車両が、車両用信号灯器によって停止した場合、走行基準時間と、この停止した時間を考慮した走行時間とを比較する。
【0011】
このような構成にすることで、部分軌跡抽出部が抽出する情報量が少なくなり、走行状態を推定する推定処理も少なくなるので、部分軌跡抽出部及び推定部を含むCPUの負荷を軽減することができる。
【0012】
推定部は、左折する車両が交差点に進入した後に、当該車両の左折側の横断歩道の手前で停止した場合、横断歩道を通過後における当該車両の走行状態によって、車両が横断歩道の手前で停止したことが歩行者によるものであるかどうかを推定するのがよい。
【0013】
このように構成することで、推定部の処理をより簡易的にすることができる。
【0014】
また、歩行者が横断歩道を横断していれば、ドライバーは、車両を横断歩道の手前で停止させる。この場合、推定部は、当該車両が当該横断歩道を通過した後に加速していれば、この車両の停止が歩行者によるものであると推定することが好ましい。言い換えると、推定部は、車両が横断歩道を通過した後、加速していなければ(例えば、停止)、車両が横断歩道の手前で停止したことが左折先の先詰まりによるものであると推定する。
【0015】
このように構成することで、車両の停止が歩行者によるものかどうかをより正確に推定することができる。
【0016】
また、集計部は、推定結果を時間帯別に集計することが好ましい。この場合、パラメータ生成部は、時間帯別に集計された集計結果に基づいて、信号制御パラメータを生成する。
【0017】
このように構成することで、時間帯別に、歩行者の横断が車両の左折に与える影響を把握することができ、時間帯に応じた信号制御パラメータを生成することができる。
【0018】
出力部は、集計部が集計した集計結果を用いて、適宜左折する車両のドライバーに注意を促す注意情報を、例えば、交通情報板に、出力することが好ましい。
【0019】
このような構成にすることで、ドライバーに注意を促すことができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、交差点において、車両の左折側の歩行者による交通流の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】交通管制システムの主要部の構成を示すブロック図である。
【
図3】センタ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(A)は、交差点における推定結果の一例を示す図であり、
図4(B)は、推定結果に基づく集計結果の一例を示す図である。
【
図5】歩行者用信号灯器の青点灯短縮情報を示す図である。
【
図7】センタ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】走行軌跡抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】推定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】集計処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】パラメータ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】変形例に係る部分軌跡抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
<1.適用例>
図1は、この発明の実施形態に係る交通管制システムの主要部の構成を示すブロック図である。この例に係る交通管制システムは、センタ装置1と、信号制御機2と、交通信号灯器3と、を備える。
【0024】
センタ装置1は、交通管制センタに設けられている。センタ装置1は、複数の交差点、例えば、管理エリア内に位置する各交差点Is1、Is2、に設置されている交通信号灯器3の信号制御パラメータを生成する。信号制御パラメータは、交通信号灯器3の点灯タイミングを表すサイクル、スプリット及びオフセットを決定するパラメータである。センタ装置1は、各交差点Is1、Is2の交通量に応じた信号制御パラメータを生成して、信号制御機2に信号制御パラメータを送信する。この例でいう交通量は、交差点Is1、Is2を通過する車両の台数(量)である。
【0025】
センタ装置1は、通信網、例えば、広域通信網、を介して、各交差点Is1、Is2に設けられている信号制御機2と通信可能に接続されている。また、センタ装置1は、例えば、ネットワークを介して車両(例えば、プローブ車両4)から走行軌跡情報を取得する。ここでいうセンタ装置1が、この発明に係る信号制御パラメータ生成装置である。
【0026】
なお、交通管制システムにおいて、交差点は3つ以上であってもよいし、交通管制システムは、3つ以上の交差点のそれぞれに設置された信号制御機及び交通信号灯器を備えていてもよい。ここでは、説明の簡略化のために、2つの交差点のみを示している。
【0027】
信号制御機2は、制御対象の交差点(例えば、交差点Is1、Is2)に設置されている交通信号灯器3の点灯制御を行う。なお、信号制御機2は、制御対象の交差点が1つであるとは限らない。例えば、信号制御機2は、隣接する2つの交差点を制御対象の交差点とする場合もある。
【0028】
図2は、交差点(以下の説明では、交差点Is1を代表して説明する。)を示す概略図である。この例では、
図2において、車両が上下方向に走行する道路を主道路、車両が左右方向に走行する道路を従道路として説明する。交差点Is1に設置されている交通信号灯器3は、歩行者用信号灯器3aa、3ab及び車両用信号灯器3ba、3bbを含む。
【0029】
歩行者用信号灯器3aa、3abは、各横断歩道に、歩行者の横断方向毎に設けられている。歩行者用信号灯器3aaは、
図2において、横断方向が上下方向である横断歩道に設けられている。要するに、歩行者用信号灯器3aaは、従道路を横断する横断歩道に設けられている。また、歩行者用信号灯器3abは、
図2において、横断方向が左右方向である横断歩道に設けられている。要するに、歩行者用信号灯器3abは、主道路を横断する横断歩道に設けられている。
【0030】
車両用信号灯器3ba、3bbは、交差点Is1への車両の進入方向毎に設けられている。車両用信号灯器3baは、主道路を走行する車両に対して設けられている。また、車両用信号灯器3bbは、従道路を走行する車両に対して設けられている。
【0031】
センタ装置1は、プローブ車両4の走行軌跡情報を取得する。この例における、走行軌跡情報は、例えば、位置情報、日時情報及び速度情報を含む。プローブ車載器は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部を介してプローブ車両4の位置(例えば、経度及び緯度)情報を取得する。そして、プローブ車載器は、例えば、取得した位置情報を時刻及び速度に係る情報に対応付けておく。
【0032】
なお、プローブ車両4は、例えば、プローブ車載器と通信部を有しており、プローブ車載器で取得した走行軌跡情報を通信端末から定期的にセンタ装置1に送信してもよい。また、プローブ車両4は、記憶媒体、例えば、USBメモリ、SDカードに走行軌跡情報を記憶させておいてもよい。この場合、例えば、記憶媒体が車載器から通信端末に移されることで、センタ装置1は、走行軌跡情報を、インターネット等の通信回線を介して取得する。
【0033】
センタ装置1は、従来、交通量によって、一定の期間(5分毎)に予め設定された信号制御パラメータを選択する。この信号制御パラメータは、通常、横断歩道を横断する歩行者を考慮したものではない。交差点においては、信号制御パラメータの見直しが長期間行われないものも存在する。プローブ車両4のドライバーは、例えば、交差点を左折するとき、従道路を横断する横断歩道(以下の説明では、単に左折側の横断歩道という。)に歩行者6がいると、その歩行者6を安全に横断させるために、横断歩道の手前で停止させる。したがって、左折車両が多い交差点において、歩行者の横断が左折車両の通行を多く妨げる場合、左折車両の停止時間が長くなり、交通流を低下させる。
【0034】
この例に係るセンタ装置1は、プローブ車両4の走行軌跡情報を用いて、交通流の低下を解消する。センタ装置1は、歩行者6による左折車両への影響を考慮した信号制御パラメータを生成する。具体的には、センタ装置1は、その時点における信号制御パラメータの歩行者用信号灯器3aaのスプリットのみを変更した信号制御パラメータを新たな信号制御パラメータとして生成する。例えば、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を短縮し、車両用信号灯器3baの青点灯時間を変えないようにすると、交差点Is1において、車両だけが交差点Is1を通過することができる時間が長くなる。すなわち、交差点Is1において、より多くの車両が歩行者6の影響を受けることなく左折することができる。
【0035】
<2.構成例>
図3は、センタ装置1の主要部の構成を示すブロック図である。
図4(A)は、交差点Is1における推定結果の一例を示す図である。
図4(B)は、推定結果に基づく集計結果の一例を示す図である。
図5は、歩行者用信号灯器3aaの青点灯短縮情報d1を示す図である。
【0036】
センタ装置1は、
図3に示すように、制御ユニット11と、情報取得部12と、信号制御通信部13と、注意情報出力部14とを備えている。以下の説明では、交差点Is1において、主道路(
図2における下側)から従道路(
図2における左側)に向かって左折するプローブ車両4について説明する。
【0037】
情報取得部12は、プローブ車両4の走行軌跡に係る走行軌跡情報を取得する。
【0038】
制御ユニット11は、部分軌跡抽出部111と、推定部112と、集計部113と、パラメータ生成部114とを備えている。
【0039】
部分軌跡抽出部111は、情報取得部12で取得したプローブ車両4の走行軌跡情報から、プローブ車両4が交差点Is1を左折したときの部分走行軌跡情報を抽出する。より具体的には、部分軌跡抽出部111は、交差点Is1において、プローブ車両4が、主道路(
図2における上側又は下側)から従道路に向かって左折したときの部分走行軌跡情報と、従道路(
図2における右側又は左側)から主道路に向かって左折したときの部分走行軌跡情報とを抽出する。以下の説明では、プローブ車両4が、交差点Is1において、主道路(
図2における下側)から従道路(
図2における左側)に向かって左折したときの部分走行軌跡情報を用いて説明する。
【0040】
プローブ車両4が交差点Is1を左折したときの部分走行軌跡情報(以下の説明では、左折時の部分走行軌跡情報という。)は、プローブ車両4が流入する流入側(
図2における下側)の始点51から、プローブ車両4が左折して交差点Is1、Is2を流出する流出側(
図2における左側)の終点52に至るまでの走行軌跡を示す情報である(
図2参照)。
【0041】
なお、この例における始点51は、停止線から50m手前に設定されている。また、この例における終点52は、交差点Is1、Is2を通過した位置から30m先に設定されている。ただし、上述の始点51及び終点52の位置は、一例であって、これに限定されない。
【0042】
推定部112は、抽出した左折時の部分走行軌跡情報を用いて、左折するプローブ車両4が交差点Is1に進入した後に、プローブ車両4の左折側の横断歩道の手前で停止した場合、横断歩道を通過後における当該プローブ車両4の走行状態によって、プローブ車両4が横断歩道の手前で停止したことが歩行者6によるものであるかどうかを推定する。
【0043】
推定部112は、例えば、交差点Is1において、プローブ車両4が横断歩道の手前で停止したと判定し、かつ横断歩道の通過後にプローブ車両4が加速していると判定すれば、プローブ車両4の横断歩道の手前での停止が歩行者6によるものであると推定する。言い換えると、推定部112は、プローブ車両4の走行状態が歩行者6の影響を受けたと推定する。
【0044】
推定部112は、プローブ車両4が横断歩道の手前で停止していないと判定すれば、プローブ車両4の走行状態が歩行者6の影響を受けていないと推定する。また、推定部112は、プローブ車両4が横断歩道の手前で停止していても、横断歩道の通過後にプローブ車両4が加速していないと判定すれば、プローブ車両4の走行状態が歩行者6の影響を受けていないと推定する。
【0045】
また、推定部112は、推定した走行状態をプローブ車両4を特定する車両IDに対応づける。この場合、推定部112は、車両ID及び推定結果に、交差点Is1を識別する交差点ID、始点51通過日時及び始点51から終点52に至るまでに要した走行時間を対応づける。
【0046】
集計部113は、交差点Is1について、推定された推定結果を集計する。この例でいう推定結果とは、推定された走行状態に、車両ID、交差点ID、通過日時及び走行時間を対応づけたものである。
図4(A)で示される推定結果の走行状態のパターンAは、歩行者6の影響を受けていない走行状態を示す。
図4(A)で示される推定結果の走行情報のパターンBは、歩行者6の影響を受けた走行状態を示す。
【0047】
また、集計部113は、
図4(A)、(B)に示すように、例えば、交差点Is1において、推定結果を時間帯別に集計する。集計部113は、例えば、1か月の間に、12時から18時までに左折した全てのプローブ車両4の台数(量)(
図4(B)で示される合計台数)に対するパターンBのプローブ車両4の台数(量)(
図4(B)で示されるパターンBの台数)の割合を算出する。これにより、集計部113は、時間帯別に交通量を把握し、時間帯に応じた信号制御パラメータを生成することができる。
【0048】
そして、集計部113は、パターンBのプローブ車両4が予め決められていた割合を超えていれば、パターンBのプローブ車両4の走行時間から、平均走行時間tavを、算出する。
【0049】
この例でいう、予め決められていた割合とは、交通流の低下(渋滞)を示す基準値である。すなわち、パターンBのプローブ車両4の台数の割合が予め決められていた割合を超えていれば、交通流が低下しているといえる。
【0050】
パラメータ生成部114は、
図5に示すように、平均走行時間tavに歩行者用信号灯器(例えば、歩行者用信号灯器3aa)の青点灯短縮時間tp1~tp8が対応付けられた青点灯短縮情報d1を用いて信号制御パラメータを生成する。
【0051】
パラメータ生成部114は、交差点Is1において、平均走行時間tavが例えば24secの場合、平均走行時間tav「20~25」に対応する青点灯短縮時間tp5を参照する。パラメータ生成部114は、今使用されている歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間からtp5減じた新たな青点灯時間を算出する。
【0052】
歩行者用信号灯器3aaには、歩行者6が横断歩道を渡りきるのに要する最小限の時間(以下の説明では、最小青点灯時間という。)が予め設定されている。パラメータ生成部114は、新たな青点灯時間と最小青点灯時間とを比較して、新たな青点灯時間が最小青点灯時間よりも長ければ、新たな青点灯時間に応じて、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を変更する。すなわち、パラメータ生成部114は、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間が、新たな青点灯時間となるように、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を短縮する。パラメータ生成部114は、その時点における信号制御パラメータの歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を短縮し、車両用信号灯器3baの青点灯時間を変えないようにした信号制御パラメータを新たな信号制御パラメータとして生成する。
【0053】
また、新たな青点灯時間が最小青点灯時間よりも短かければ、最小青点灯時間に応じて、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を変更する。ただし、最小青点灯時間に応じて、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間がその時点における信号制御パラメータの青点灯時間と同じであれば、パラメータ生成部114は、新たな信号制御パラメータを生成しない。
【0054】
図6は、現示階梯図を示す図である。
図6で示される現示階梯図は、
図2に示した交差点Is1の交通信号灯器3の現示階梯図である。階梯ステップ1、2は、現示が主道路側の車両及び従道路を横断する歩行者であるフェーズΦ1である。階梯ステップ3、4は、現示が主道路側の車両であるフェーズΦ2である。階梯ステップ5、6は、現示が主道路側の右折車両であるフェーズΦ3である。また、階梯ステップ7は、交差点内に位置する車両や歩行者を捌くために、全ての交通信号灯器3を赤信号にする階梯ステップである。階梯ステップ8、9は、現示が従道路側の車両及び主道路を横断する歩行者であるフェーズΦ4である。また、階梯ステップ10、11は、現示が従道路側の車両であるフェーズΦ5である。さらに、階梯ステップ12、13は、現示が従道路側の右折車両であるフェーズΦ6である。また、階梯ステップ14は、交差点Is1内に位置する車両や歩行者を捌くために、全ての交通信号灯器3を赤信号にする階梯ステップである。
【0055】
パラメータ生成部114は、
図6で示される現示階梯図の階梯ステップ1の時間を短縮する。したがって、フェーズΦ1の時間が短くなるので、フェーズΦ2の時間が長くなる。
【0056】
なお、青点灯短縮時間tp1~tp8は、交差点Is1に設定されている任意の秒数(0秒を含む)である。また、
図5で示される青点灯短縮情報d1は、例えば、センタ装置1の記憶部に予め記憶されている。また、
図5で示される平均走行時間tav「1~5」は、1sec以上5sec未満のことを示し、他の欄の記載も同様の意味を示す。
【0057】
パラメータ生成部114は、生成した新たな信号制御パラメータを、信号制御通信部13を介して、信号制御機2に送信する。
【0058】
信号制御通信部13は、信号制御機2と通信網を介して通信可能に接続されている。信号制御通信部13は、パラメータ生成部114で生成された信号制御パラメータを所定の期間毎に交差点Is1、Is2に送信する。
【0059】
注意情報出力部14は、例えば、車両の左折側にいる歩行者6によって当該車両が停止することで交通流が低下した時間帯に、注意を促す注意情報を交通情報板(図示せず)に出力する。交通情報板は、注意情報を受け取ると、文字、又は画像を表示して、車両のドライバーに注意を促す。
【0060】
センタ装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明に係る信号制御パラメータ生成プログラムを実行したときに、部分軌跡抽出部111、推定部112、集計部113、およびパラメータ生成部114として動作する。また、メモリは、この発明に係る信号制御パラメータ生成プログラムを展開する領域や、この信号制御パラメータ生成プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明に係る信号制御パラメータ生成方法を実行するコンピュータである。
【0061】
<3.動作例>
センタ装置1の動作ついて
図7~
図11を参照して説明する。
図7は、センタ装置1の動作を示すフローチャートである。
図8は、走行軌跡抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図9は、推定処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、集計処理の一例を示すフローチャートである。
図11は、パラメータ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0062】
センタ装置1の動作の一例について
図7を参照して説明する。センタ装置1は、情報取得部12からプローブ車両4の走行軌跡情報を取得する(S1)。センタ装置1の部分軌跡抽出部111は、左折時の部分走行軌跡情報を抽出する部分軌跡抽出処理を行う(S2)。センタ装置1の推定部112は、走行状態を推定する推定処理を行う(S3)。センタ装置1の集計部113は、推定結果を集計する集計処理を行う(S4)。そして、センタ装置1のパラメータ生成部114は、信号制御パラメータを生成するパラメータ生成処理を行う(S5)。
【0063】
なお、この例に係るセンタ装置1の動作は一例であって、これに限定されない。センタ装置1は、S1~S5を一連で動作させなくてもよく、各S1~S5を個別に動作させてもよい。
【0064】
走行軌跡抽出処理の一例について
図8を参照して説明する。なお、以下に示す走行軌跡抽出処理は、一例であって、これに限定されない。
【0065】
部分軌跡抽出部111は、地図データに走行軌跡情報を対応付ける(S21)。部分軌跡抽出部111は、プローブ車両4が地図上の位置情報から交差点Is1で左折したプローブ車両4の左折時の部分走行軌跡情報を抽出する(S22)。
【0066】
推定処理の一例について
図9を参照して説明する。なお、以下に示す推定処理は、一例であって、これに限定されない。
【0067】
推定部112は、左折時の部分走行軌跡情報から、交差点Is1において、プローブ車両4が左折側の横断歩道の手前で停止したと判定し、横断歩道の通過後に加速したと判定した場合(S31:Yes、S32:Yes)、プローブ車両4の走行状態(横断歩道手の手前での停止)が歩行者6の影響を受けたと推定する(S33)。推定部112は、推定した走行状態を、車両ID、交差点ID、交差点の始点51の通過日時、及び走行時間を対応づける(S35)。
【0068】
一方、推定部112は、プローブ車両4が左折側の横断歩道の手前で停止していないと判定した場合(S31:No)、又は横断歩道通過後に加速していないと判定した場合(S32:No)、プローブ車両4の走行状態が、歩行者6の影響を受けていないと推定する(S34)。推定部112は、処理をS35に移行する。
【0069】
集計処理の一例について
図10を参照して説明する。なお、以下に示す集計処理は、一例であって、これに限定されない。また、S41とS42の処理はこの順番に限らず、逆の順番であってもよい。
【0070】
集計部113は、推定結果を交差点毎に集計する(S41)。集計部113は、交差点Is1について、時間帯(例えば、12時か18時の間(
図4(A)、(B)参照))に左折したプローブ車両4の合計台数に対するするパターンBのプローブ車両4の台数の割合を算出する(S42)。集計部113は、算出された割合が予め決められていた基準値を超えていれば(S43:Yes)、パターンBのプローブ車両4の走行時間の平均走行時間tavを算出する(S44)。
【0071】
パラメータ生成処理の一例について、
図11を参照して説明する。なお、以下に示す集計処理は、一例であって、これに限定されない。
【0072】
パラメータ生成部114は、集計部113が集計した各交差点Is1における平均走行時間tavに対応する歩行者用信号灯器3aaの青点灯短縮時間tp1~8を決定する(S51)。パラメータ生成部114は、その時点における信号制御パラメータの歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間から対応する青点灯短縮時間tp1~tp8を減じた新たな青点灯時間を算出する(S52)。パラメータ生成部114は、新たな青点灯時間と青点灯最小時間とを比較する(S53)。パラメータ生成部114は、新たな青点灯時間が最小青点灯時間を超えていれば(S53:Yes)、その時点における信号制御パラメータを、新たな青点灯時間に応じて、この歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を変更した新たな信号制御パラメータを生成する(S54)。
【0073】
一方、パラメータ生成部114は、新たな青点灯時間が最小青点灯時間よりも短ければ、(S53:No)、その時点における信号制御パラメータを、最小青点灯時間に応じて、この歩行者用信号灯器3aaのスプリットを変更した新たな信号制御パラメータとして生成する(S55)。
【0074】
なお、パラメータ生成部114は、新たな青点灯時間と最小青点灯時間とが同じであれば、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を変更する必要がないので、新たな信号制御パラメータを生成しなくてもよい。
【0075】
センタ装置1は、車両用信号灯器3baの青点灯時間を変更せずに、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を短縮するので、フェーズΦ2(
図6参照)の時間が実質上長くなる。すなわち、従道路を横断する横断歩道の歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間が短くなれば、主道路を走行する車両が交差点Is1を通過する時間が長くなる。これにより、歩行者用信号灯器3aaの青点灯時間を短縮する前と比較して、より多くの車両(主道路を走行する車両)が、交差点Is1、Is2を左折することができる。したがって、センタ装置1は、交差点Is1、Is2において、車両の停止が歩行者6によることで発生する交通流の低下を抑えることができる。
【0076】
なお、上述例では、主道路(
図2における下側)から従道路(
図2における左側)に向かって左折するプローブ車両4の例で説明しているが、これに限定されない。また、始点51及び終点52は、ドライバー等が視認できるように道路の路面にマーキングを施しておく必要はない。
【0077】
<4.変形例>
この変形例に係るセンタ装置1の部分軌跡抽出処理の一例について
図12を参照して説明する。
図12は、変形例に係る部分軌跡抽出処理の一例である。この変形例の部分軌跡抽出処理は、抽出した左折時の部分走行軌跡情報の内容が上述の実施例に係る部分軌跡抽出処理と異なる。
【0078】
なお、
図12におけるS61は、
図8のS21と同じ処理なので、説明を省略する。また、この変形例では、交差点Is1の例で説明するがこの例に限定されず、交差点Is2の例でもよい。また、上述の例と同じ構成に関しては、説明を省略する。
【0079】
この変形例に係るセンタ装置1の部分軌跡抽出部111は、取得した走行軌跡情報から交差点Is1で左折したプローブ車両4が始点51から終点52に至るまでに実際に要した第1走行時間(S62)を算出する。部分軌跡抽出部111は、第1走行時間と、予め決められた第1走行基準時間とを比較する(S63)。ここでいう、第1走行基準時間は、車両が始点51から終点52に至るまでに要する基準値(時間)である。すなわち、部分軌跡抽出部111は、第1走行時間が第1走行基準時間を超えていれば、プローブ車両4の走行状態(例えば、停止)が歩行者6及び先詰まりのいずれかによるものであると判定する。
【0080】
部分軌跡抽出部111は、プローブ車両4の第1走行時間が第1走行基準時間を超えていれば(S63:Yes)、第1走行時間が第1走行基準時間を超えているプローブ車両4が交差点Is1を左折したときの部分走行軌跡情報を抽出する(S64)。
【0081】
この変形例のセンタ装置1は、部分軌跡抽出部111が抽出する情報量が少なくなり、走行状態を推定する推定処理も少なくなるので、部分軌跡抽出部111及び推定部112を含むCPUの負荷を軽減できる。
【0082】
また、別の変形例に係るセンタ装置1の部分軌跡抽出部111は、プローブ車両4が車両用信号灯器3baによって停止した時間を考慮していることが、上述の実施例及び上述の変形例と異なる。この場合、プローブ車両4が交差点Is1の手前で車両用信号灯器3baの表示が停止(例えば、赤点灯)を示していれば、左折先の状況に関係なく、ドライバーはプローブ車両4を停止させる。そこで、この変形例に係る部分軌跡抽出部111は、ドライバーがプローブ車両4を車両用信号灯器3baによって停止線と始点51との間で停止させた場合、プローブ車両4の停止位置から終点52に至るまでに要する第2走行基準時間を、以下の式(1)を用いて算出する。
(式1)第2走行基準時間=停止位置から終点52までの距離/歩行者の影響を受けない場合の停止位置から終点52までの平均速度
【0083】
そして、部分軌跡抽出部111は、例えば、第2走行基準時間を用いて、プローブ車両4の前方にいる車両が歩行者6及び先詰まりによって停止しているか、又は赤点灯で停止しているのかを推定する。部分軌跡抽出部111は、例えば、プローブ車両4の以下の式(3)で算出される第2走行時間と、第2走行基準時間とを比較する。なお、プローブ車両4が信号待ちのよる停止の状態から走行を開始した場合、この走行を開始した当該プローブ車両4の出発時刻が計測されなければ、例えば、部分軌跡抽出部111は、走行時間を推定する。第2走行時間は、この推定された走行時間である。また、以下でいう平均出発時刻とは、以下の式(2)で示されるように、車両用信号灯器3baが青信号に切り替わった後における当該プローブ車両4の停止位置に応じた平均的な出発時刻である。
(式2):平均出発時刻=車両用信号灯器3baの青開始時刻+(停止線までの距離/発進波速度)
(式3):第2走行時間=終点52の通過時刻-平均出発時刻
【0084】
部分軌跡抽出部111は、第2走行時間が第2走行基準値を超えていれば、プローブ車両4の走行状態(例えば、停止)が歩行者6及び先詰まりのいずれかによるものであると判定し、このプローブ車両4の左折時の部分走行軌跡情報を抽出する。
【0085】
この変形例のセンタ装置1は、部分軌跡抽出部111が抽出する情報量が少なくなり、走行状態を推定する推定処理も少なくなるので、部分軌跡抽出部111及び推定部112を含むCPUの負荷を軽減できる。また、この変形例のセンタ装置1は、プローブ車両4について、信号待ちによる停止時間を排除して、走行状態が歩行者6の影響を受けたかどうかを推定する。これにより、この変形例のセンタ装置1は、プローブ車両4の前方にいる左折車両が歩行者6の影響によって左折するのに時間が長くなっていることで、当該プローブ車両4が間接的に歩行者6の影響を受けたと推定することができる。
【0086】
また、この変形例に係る部分軌跡抽出部111は、プローブ車両4が車両用信号灯器3baによって停止したと判定した場合、第1走行時間から赤信号で停止した停止時間を減じた第2走行時間を算出してもよい。
【0087】
また、別の変形例に係るセンタ装置1は、推定処理の前に、部分軌跡抽出部が抽出した左折時の走行軌跡情報を交差点別に区別してもよい。
【0088】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0089】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
【0090】
<付記>
車両(4)の走行軌跡情報を取得する情報取得部(12)と、前記情報取得部(12)で取得した前記走行軌跡情報から、当該車両(4)が交差点(Is1、Is2)を左折したときの部分走行軌跡情報を抽出する部分軌跡抽出部(111)と、前記部分軌跡抽出部(111)に抽出された前記部分走行軌跡情報を用いて前記車両(4)の走行状態を推定した推定部(112)と、前記推定部(112)によって推定された前記走行状態に応じて、前記部分走行軌跡情報を交差点(Is1、Is2)別に集計する集計部(113)と、前記集計部(113)の集計結果に応じて、信号制御パラメータを生成するパラメータ生成部(114)と、を備え、前記部分走行軌跡情報は、前記交差点(Is1、Is2)の前に設定された始点(51)から、前記交差点(Is1、Is2)の先に設定された終点(52)までの前記車両(4)の軌跡を示す情報である、信号制御パラメータ生成装置(1)。
【符号の説明】
【0091】
Is1,Is2…交差点
1…センタ装置(信号制御パラメータ生成装置)
4…プローブ車両(車両)
6…歩行者
12…情報取得部
51…始点
52…終点
111…部分軌跡抽出部
112…推定部
113…集計部
114…パラメータ生成部