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特許7119974医用画像表示装置及び医用画像表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】医用画像表示装置及び医用画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220809BHJP
   G16H 30/40 20180101ALI20220809BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A61B6/00 350M
A61B6/00 330A
A61B6/00 360B
G16H30/40
G06T1/00 290A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018234290
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020092949
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 英一
【審査官】宮川 数正
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196693(JP,A)
【文献】特開2017-018681(JP,A)
【文献】特開平07-037056(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141067(WO,A1)
【文献】特開2013-103023(JP,A)
【文献】特開2015-200695(JP,A)
【文献】特開2016-047294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055,6/00-6/14
G06T 1/00-1/40,3/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
元画像前記元画像を解析して得られる解析画像一体化したデータの形で画像解析装置より取得する取得手段と、
前記一体化したデータから前記解析画像を抽出する抽出手段と、
前記一体化したデータから抽出した前記解析画像と前記抽出手段が前記解析画像を抽出した後に残る前記元画像の少なくとも一方の画像に画像処理を施す画像処理手段と、
前記抽出手段が前記解析画像を抽出した後に残る前記元画像又は前記画像処理手段が前記元画像に画像処理を施して得られた処理済み元画像に、前記抽出手段が抽出した前記解析画像又は前記画像処理手段が前記解析画像に画像処理を施して得られた処理済み解析画像を重畳して処理済み重畳画像を生成する重畳手段と、を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記画像処理として、階調処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
ユーザーが操作可能な操作部と、
階調処理のパラメーターとなる複数の異なる数値をプリセットとして格納する記憶部と、を備え、
前記画像処理手段は、
前記ユーザーが前記操作部に行った操作に基づいて前記プリセット格納手段から対応するプリセットを取得し、取得したプリセットに基づいて階調処理を行うことを特徴とする請求項に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記画像処理として、透過度を変化させる透過度変更処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記画像処理として、表示する際の色相を変更する色相変更処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記元画像は、複数のフレーム画像を有する動態画像であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、前記画像処理として、各画素の信号値にそれぞれ画素の過去所定期間における特定の信号値を反映させることで残像画像を生成する残像画像生成処理を施すことを特徴とする請求項に記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記画像処理として、周波数強調処理又は輪郭抽出処理を施すことを特徴とする請求項に記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
前記画像処理手段は、処理対象の解析画像が胸部の動態画像である場合に、前記画像処理として、呼気動作時の色相と吸気動作時の色相とをそれぞれ異ならせる色相変更処理を施すことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の医用画像表示装置。
【請求項10】
元画像を生成する撮影装置と、
前記撮影装置が生成した前記元画像を解析して解析画像を生成し、前記元画像及び前記解析画像を出力する画像解析装置と、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の医用画像表示装置と、を備えることを特徴とする医用画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示装置及び医用画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影装置で生成された医用画像は、そのまま医師の手元にある医用画像表示装置(PCや携帯端末等)に表示され、医師の診断に用いられる。
医用画像に対しては、アノテーション等の付加情報を、医用画像表示装置で重畳表示することが従来行われている。DICOM規格においても、6000番台オーバーレイと呼ばれる機能により、図形やテキスト情報等を深度1bitのオーバーレイとして重畳表示することができるようになっている。
また、近年は撮影装置で生成された医用画像を、まず画像解析装置に送り、専門の担当者による解析を経た後、その解析結果と共に医用画像表示装置へ送るようにすることで、医用画像と解析結果を共に医用画像表示装置に表示して医師の診断に供する場合がある。
その際、図形や文字情報の代わりに、例えば医用画像を解析して得られた解析画像を元の医用画像である元画像に重畳した重畳画像を画像解析装置で生成し、医用画像表示装置で表示することも行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、動画表示しているオリジナル解析結果画像の上に、透過度を調整可能な位相合わせ解析結果画像の特定の1フレーム(例えば、極大点のフレーム)を重ねて表示する動態解析システムについて記載されている。これにより、視線を動かすことなく、肺野領域内における解析結果の位相のずれ、及び血流や換気の異常部分があるか否かを同時に確認することが可能となる。
また、特許文献2には、換気機能に係る特徴量及び肺血流機能に係る特徴量のそれぞれに応じた輝度値もしくは色で表した換気機能と肺血流機能の双方のマップを併せて表示する動態画像解析装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-018681号公報
【文献】特開2016-047294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在DICOMで規格化されている方法では、1bit以上の深さのオーバーレイを表現できないため、上述した重畳画像は、解析画像が元画像に埋め込まれた重畳画像の形で生成することになる。このため、従来の医用画像表示装置では、解析画像の特定領域を見やすくするために解析画像の階調を変更しようとすると、背後に重畳されている元画像の階調も一緒に変化してしまうため、解析画像と元画像の両方を同時に適切な階調で観察することができない、という課題があった。
一方、医用画像を解析する画像解析装置は、こうした解析画像のみの階調変更が可能となっているものが多い。しかし、階調を変更する度に、重畳画像を画像解析装置に送信し、変更後の重畳画像を受信して表示するのでは、画像解析装置で画像を再作成する必要があり手間と時間がかかり過ぎてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、元画像に、元画像を解析して得られた解析画像が重畳された重畳画像を用いて診断を行う際に、医師が、その場で時間をかけることなく解析画像のみを見やすくできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、
元画像前記元画像を解析して得られる解析画像一体化したデータの形で画像解析装置より取得する取得手段と、
前記一体化したデータから前記解析画像を抽出する抽出手段と、
前記一体化したデータから抽出した前記解析画像と前記抽出手段が前記解析画像を抽出した後に残る前記元画像の少なくとも一方の画像に画像処理を施す画像処理手段と、
前記抽出手段が前記解析画像を抽出した後に残る前記元画像又は前記画像処理手段が前記元画像に画像処理を施して得られた処理済み元画像に、前記抽出手段が抽出した前記解析画像又は前記画像処理手段が前記解析画像に画像処理を施して得られた処理済み解析画像を重畳して処理済み重畳画像を生成する重畳手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重畳画像を用いて診断を行う際に、医師が、その場で時間をかけることなく解析画像のみを見やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一(第二)実施形態に係る医用画像表示システムを表すブロック図である。
図2図1の医用画像表示システムが備える画像解析装置を表すブロック図である。
図3図1の医用画像表示システムが備える医用画像表示装置を表すブロック図である。
図4】第一実施形態に係る医用画像表示装置が実行する処理の流れを表す図である。
図5】第二実施形態に係る医用画像表示装置が実行する処理の流れを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0011】
<第一実施形態>
初めに、本発明の第一実施形態について、図1~4を参照しながら説明する。
なお、図1~3における括弧書きの符号は、後述する第二実施形態のものである。
【0012】
〔放射線撮影システム〕
まず、本実施形態に係る医用画像表示システム100の概略構成について説明する。図1は医用画像表示システム100を表すブロック図である。
【0013】
本実施形態の医用画像表示システム100は、図1に示すように、撮影装置1と、コンソール2と、画像解析装置3と、医用画像表示装置4と、を備えている。
これらは、通信ネットワーク5を介して互いに通信可能となっている。
また、医用画像表示システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等と接続することが可能となっている。
【0014】
撮影装置1は、後述する画像解析装置3で解析する医用画像を生成することが可能なものであればよく、例えば放射線発生装置が発生させた放射線に応じた放射線画像を生成する放射線画像撮影装置等を用いることができる。
なお、撮影装置を、通信ネットワーク5に直接接続するのではなく、コンソール2や画像解析装置3等)を介して接続するようにしてもよい。
また、撮影装置1から他の装置2,3への医用画像の転送は、通信ネットワーク5を介して行うのではなく、記憶媒体やケーブルを用いて行うようにしてもよい。
【0015】
コンソール2は、PCや専用の装置で構成されている。
また、コンソール2は、他の装置等(HISやRIS等)から取得した検査情報や操作者による操作に基づいて、各種撮影条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、フレームレート等)を撮影装置等に設定することが可能となっている。
【0016】
画像解析装置3は、PCや専用の装置、クラウド上の仮想サーバー等で構成されている。
また、画像解析装置3は、撮影装置から取得した医用画像を解析して解析画像を生成し、医用画像及び解析画像を出力することが可能となっている。
以下、解析画像の元となる医用画像を「元画像I0」と称する。
この画像解析装置3の詳細については後述する。
【0017】
本実施形態における医用画像表示装置4は、PCや携帯端末、専用の装置等で構成されている。
この医用画像表示装置4の詳細についても後述する。
【0018】
〔画像解析装置〕
次に、上記医用画像表示システム100が備える画像解析装置3の具体的構成について説明する。図2は画像解析装置3を表すブロック図である。
【0019】
本実施形態に係る画像解析装置3は、図2に示すように、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、を備えている。
【0020】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部31のCPUは、記憶部33に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、画像解析装置3各部の動作を集中制御する。
【0021】
通信部32は、無線モジュール等で構成され、通信ネットワーク5(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して接続された他の装置等1,2,4との間で各種信号や各種データを送受信することが可能となっている。
【0022】
記憶部33は、不揮発性の半動態メモリーやハードディスク等により構成され、制御部31が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、記憶部33は、各種画像(元画像や解析画像)を記憶することが可能となっている。
【0023】
このように構成された画像解析装置3の制御部31は、以下のような機能を有している。
例えば、制御部31は、元画像のデータを、通信部32を介して他の装置等(撮影装置1、コンソール2等)から取得する機能を有している。
ここで取得される元画像には、静止画像と、複数のフレーム画像を有する動態画像と、が含まれる。
【0024】
また、制御部31は、取得した元画像を解析し、解析画像を生成する機能を有している。
具体的には、特定成分差分処理、特定成分追跡処理、特定信号変化量抽出処理、特定類似波形パターン抽出処理、集積画像差分処理といった各種処理のうちの少なくともいずれかの処理を行う。
【0025】
このうち「特定成分差分処理」は、撮影対象部位における特定領域(例えば肺野内の肋骨や鎖骨)の信号値を低減することにより、特定領域以外の領域の視認性を高める処理である。
また、「特定成分追跡処理」は、撮影対処部位における特定領域(例えば横隔膜)の移動量や速度を算出したり、二つの異なる特定領域の間(例えば肺尖と横隔膜との間)の距離を算出したりする処理である。
また、「特定信号変化量抽出処理」は、信号値の変化量を色の違いにより可視化する処理である。
また、「特定類似波形パターン抽出処理」は、特定の信号変化との類似度を色の違いにより可視化する処理である。
また、「集積画像差分処理」は、最大信号値の集積画像と最小信号値の集積画像の差分を表示することにより、撮影内での信号変化の総量を可視化する処理である。
なお、これらの解析は、複数組み合わせて施すことも可能である。
【0026】
また、制御部31は、解析画像のデータを、通信部32を介して医用画像表示装置4へ送信する機能を有している。
本実施形態においては、元画像及び解析画像を、元画像に解析画像が一体化した重畳画像Iorgのデータ(以下、重畳画像データDorg図4参照))の形で出力するようになっている。
【0027】
〔医用画像表示装置〕
次に、上記医用画像表示システムが備える医用画像表示装置4の具体的構成について説明する。図3は医用画像表示装置4を表すブロック図、図4は医用画像表示装置4が実行する処理の流れを表す図である。
【0028】
本実施形態に係る医用画像表示装置4は、図3に示すように、制御部41と、通信部42と、記憶部43と、表示部44と、操作部45と、を備えている。
【0029】
制御部41や通信部42は、画像解析装置3における制御部31や通信部32と同様に構成されている。
【0030】
記憶部43は、不揮発性の半動態メモリーやハードディスク等により構成され、制御部41が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、記憶部43は、撮影装置1から取得した元画像I0のデータ(以下、元画像データD0)や、画像解析装置3が生成した解析画像Iのデータ(以下、解析画像データD)、自身が画像処理を施すことによって得られる処理済み元画像のデータ、処理済み解析画像Iのデータ(以下、処理済み解析画像データD)、処理済み重畳画像Iのデータ(以下、処理済み重畳画像データD)を記憶することが可能となっている。
なお、記憶部43に、後述する階調処理のパラメーターとなる複数の異なる数値をプリセットとして格納しておくようにしてもよい。
【0031】
表示部44は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や各種情報等を表示するようになっている。
【0032】
操作部45は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部44の表面に積層されたタッチパネル等によって操作者が操作可能に構成されている。
そして、操作部45は、操作者によってなされた操作に基づく各種信号を制御部31に出力する。
なお、医用画像表示装置4に操作部45を備えるのではなく、コンソール2や画像解析装置3等に操作部を設けるようにしてもよい。
【0033】
このように構成された医用画像表示装置4の制御部41は、以下のような機能を有している。
例えば、制御部41は、元画像I0及び元画像I0を解析して得られる解析画像Iを他の装置から取得する機能を有している。
上述したように、本実施形態においては、画像解析装置3が、元画像及び解析画像を、元画像I0に解析画像Iが一体化した重畳画像データDorgの形で出力するようになっているため、本実施形態に係る制御部41は、例えば図4に示すような、元画像I0及び解析画像Iを重畳画像データDorgの形で取得するようになっている。
すなわち、制御部41は、本発明における取得手段をなす。
【0034】
また、本実施形態に係る制御部41は、重畳画像データDorgから解析画像Iを抽出する機能を有している。
例えば、元画像I0がRF(Radio Fluoroscopy)画像であり、その解析画像Iが青色で表現される場合、これらはモノクローム画像であるため、後述する階調処理を施す前の解析画像Iにおける各画素の信号値は、下記式(1-1)~(1-3)を用いて算出することができる。
0=0・・(1-1)
0=0・・(1-2)
0=Borg-Rorg・・(1-3)
ここで、R0は解析画像Iの赤色成分、G0は解析画像Iの緑色成分、B0は解析画像Iの青色成分、Rorgは重畳画像Iorgの赤色成分、Borgは重畳画像Iorgの青色成分である。
【0035】
また、元画像I0における各画素の信号値は、下記式(2-1)~(2-3)を用いて算出することができる。
R0=Rorg・・(2-1)
G0=Gorg・・(2-2)
B0=Borg-B・・(2-3)
ここで、R0は元画像I0の赤色成分、G0は元画像I0の緑色成分、B0は元画像I0の青色成分、Rorgは重畳画像Iorgの赤色成分、Gorgは重畳画像Iorgの緑色成分、Borgは重畳画像Iorgの青色成分である。
こうした演算を行うことで、図4に示すように、重畳画像データDorgが元画像データD0と解析画像データDとに分離される。
制御部41は、上述したような機能を有することにより、本発明における抽出手段をなす。
【0036】
また、本実施形態に係る制御部41は、抽出した解析画像Iと解析画像Iを抽出した後に残る元画像I0の一方の画像に所定の画像処理を施す、又は元画像I0と解析画像Iの両方の画像に異なる画像処理をそれぞれ施す機能を有している。
本実施形態においては、画像処理として、階調処理、透過率変更処理、色相変更処理、残像画像生成処理、周波数強調処理、輪郭抽出処理のうちの少なくともいずれかの処理を施すようになっている。
【0037】
例えば、画像処理として階調処理を施す場合には、制御部41は、まず、処理を行う際に用いる各種パラメーターの設定を受け付ける。ユーザーが操作部45等を介してパラメーターを設定すると、制御部41は、例えば下記式(3)を用いて、処理済み解析画像における各画素の信号値を算出する。
=l×S0+m・・(3)
ここで、S0は解析画像Iの赤色、緑色、青色の各信号値(R0,G0,B0)、Sは処理済み解析画像Iの赤色、緑色、青色の各信号値(R,G,B)、lは傾き、mはオフセットである。
ここで、例えばl=2.0、m=0に設定すると、信号値の変化が強調されるため、微小な変化を分かり易くすることができる。
【0038】
なお、元画像I0と解析画像Iの両方に階調処理を施す場合には、それぞれに適用するパラメーターの値を異ならせるようにする。
また、こうしたlの値とmの値の組み合わせを複数種類プリセットとして記憶部43に格納しておくとともに、各プリセットを操作部45に対応付けておくことで、ユーザーが操作部45に行った操作に基づいて記憶部43から対応するプリセットを取得し、取得したプリセットに基づいて階調処理を行うようにしてもよい。
【0039】
透過度変更処理は、透過度を変化させる処理である。
この透過度変更処理を施す場合には、制御部41は、まず、処理対象の画像の透過度α(%)の設定を受け付ける。ユーザーが操作部45等を介して透過度αを設定すると、制御部41は、例えば下記式(4)を用いて、重畳画像Iorgにおける各画素の信号値を算出する。
S=S×α/100+Sorg×(1-α/100)・・(4)
ここで、Sは重畳画像Iorgの赤色、緑色、青色の各信号値、Sは処理済み解析画像Iの赤色、緑色、青色の各信号値、αは透過率である。
なお、元画像I0と解析画像Iの両方に透過度変更処理を施す場合には、それぞれに設定する透過度αの値を異ならせるようにする。
【0040】
色相変更処理は、表示する際の色相を変更する処理である。
色相変更処理を行う場合には、制御部41は、まず、色相の設定を受け付ける。ユーザーが操作部45等を介して色相を設定すると、制御部41は、対象の画像の信号値を、設定された色相となるよう調整する。
なお、元画像I0と解析画像Iの両方に色相変更処理を施す場合には、それぞれに設定する色相を異ならせるようにする。
また、色相変更処理を施す対象の医用画像が胸部の動態画像である場合に、呼気動作時の色相と吸気動作時の色相とをそれぞれ異ならせるようにしてもよい。動態画像(特に動態解析が施された解析導体画像等)は、表示が経時変化して静止画よりも見にくくなるため、このような構成とすることは、導体画像を見やすくする上で効果的である。
【0041】
残像画像生成処理は、各画素の信号値にそれぞれの画素の過去所定時間における特定の信号値を反映させることで残像画像を生成する処理である。
特定の信号値には、信号値の最大値、最小値、当該信号値に所定の補正をかけた補正信号値の最大値、最小値等が含まれる。
残像画像生成処理を行う場合には、制御部41は、処理対象の動態画像の中から過去所定期間における複数のフレームの同一位置の画素の信号値を参照し、その中で最大又は最小の信号値を当該画素の信号値として採用する。もしくは、過去所定期間における複数のフレームの同一位置の画素の信号値において、過去のフレームと現在のフレームとの時間の差の大きさに応じて信号値を減じた値の中で最大の信号値を使ってもよい。
【0042】
周波数強調処理は、画像の特定領域におけるエッジ部分の周波数を強調することにより特定領域を鮮明にする処理である。
また、輪郭抽出処理は、処理対象の画像を、被写体の輪郭線だけが写った画像に変換する処理である。
【0043】
こうした演算を行うことで、図4に示したように、解析画像データDから処理済み解析画像データDが生成されたり、元画像データD0から処理済み元画像データが生成されたりする。
本実施形態に係る制御部41は、上述したような機能を有することにより、本発明における画像処理手段をなす。
【0044】
また、制御部41は、解析画像Iを抽出した後に残る元画像I0又は元画像I0に画像処理を施して得られた処理済み元画像に、抽出した解析画像I又は解析画像Iに画像処理を施して得られた処理済み解析画像を重畳して処理済み重畳画像Iを生成する機能を有している。
本実施形態においては、例えば下記式(5)を用いて、処理済み重畳画像Iにおける各画素の信号値を算出する。
S=S+α×S0・・(5)
ここで、Sは処理済み重畳画像Iの赤色、緑色、青色の各信号値、αはブレンド係数、S0は元画像I0の赤色、緑色、青色の各信号値である。
【0045】
この演算を行うことにより、図4に示したように、元画像I0に処理済み解析画像Iが重畳された処理済み重畳画像Iが生成されたり、処理済み元画像に解析画像Iが重畳された処理済み重畳画像Iが生成されたり、処理済み元画像に処理済み解析画像Iが重畳された処理済み重畳画像Iが生成されたりする。
すなわち、本実施形態に係る制御部41は、本発明における重畳手段をなす。
【0046】
また、制御部41は、生成した処理済み重畳画像Iを表示部44に表示させる機能を有している。
例えば、処理済み重畳画像Iを生成する前に解析画像Iに階調処理を施す場合には、例えば図4に示したように、画像解析装置3から取得直後の初期パラメーターで解析された解析画像Iにおいては、左右の肺野の解析結果A,Aに差異が見られないが、階調処理によって表示をするか否かの閾値を下げることで、医用画像表示装置4で表示する段階の重畳画像は、左右の肺野の解析結果A,A(表示される範囲)に差異を生じさせる(図4には右肺の解析結果の表示範囲が狭くなる場合を例示)といった表示が可能となる。これにより、より詳細な診断が可能となる。
また、画像処理として透過度変更処理を施すことで、元画像I0に対し、例えば特定成分差分処理を施すことにより生成された肋骨減弱画像を重ねて表示する際に、肋骨減弱画像の向こうに元画像I0が透けて見える重畳画像を表示することができる。
本実施形態に係る制御部41は、上述したような機能を有することにより、本発明における表示制御手段をなす。
【0047】
以上、本実施形態に係る医用画像表示装置4の具体的構成について説明してきたが、医用画像表示装置4が有する上記各種機能の少なくとも一部は、コンソール2や他の表示部を有する装置等に持たせるようにしてもよい。
【0048】
以上、本実施形態に係る医用画像表示システム100によれば、元画像I0に解析画像Iが重畳された重畳画像における元画像I0と解析画像Iのうち一方の画像の画質が他方の画質に対して変化するため、解析画像Iを相対的に見やすくすることができる。
また、医用画像表示装置4は、PCや携帯端末等で構成されるため、医師が診断を行う場所に配置することができるし、元画像I0や解析画像Iを画像解析装置3へ転送することなく、これらの少なくとも一方に自ら画像処理を施すことができるため、医師が、その場で時間をかけることなく解析画像Iのみを見やすくすることができる。
【0049】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図1~3,5を参照しながら説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係る医用画像表示システム100A(図1参照)は、画像解析装置3A(図1,3参照)から医用画像表示装置4(図1,3参照)へ転送される元画像I0及び解析画像Iのデータ形式が、上記第一実施形態に係る医用画像表示システム100と異なる。
【0051】
具体的には、本実施形態に係る画像解析装置3Aは、記憶部33Aに記憶されているプログラムが上記第一実施形態の画像解析装置3と異なっている。
これにより、上記第一実施形態の画像解析装置3が、元画像I0及び解析画像Iを、元画像I0に解析画像Iが重畳された重畳画像Iorg(重畳画像データDorg)の形で出力するようになっていたのに対し、本実施形態に係る画像解析装置3Aの制御部31は、元画像I0及び解析画像Iを、別々の独立データ(元画像データD0と解析画像データD)の形で出力するようになっている。
なお、具体的な解析の内容は、上記第一実施形態のものと同様である。
【0052】
また、本実施形態に係る医用画像表示装置4Aは、記憶部43Aに記憶されているプログラムが上記第一実施形態の医用画像表示装置4と異なっている。
これにより、上記第一実施形態の医用画像表示装置4が、元画像I0及び解析画像Iを、元画像I0に解析画像Iが重畳された重畳画像Iorgの形で取得するようになっていたのに対し、本実施形態に係る医用画像表示装置4の制御部41は、元画像I0及び解析画像Iを、例えば図5に示すように、別々の独立データD0,Dの形で取得するようになっている。
このため、本実施形態に係る医用画像表示装置4Aは、上記第一実施形態の医用画像表示装置4が有していた抽出手段としての機能を有していない。
【0053】
また、制御部41は、取得した元画像I0と解析画像Iの一方の画像に所定の画像処理を施す、又は元画像I0と解析画像Iの両方の画像に異なる画像処理をそれぞれ施す機能を有している。
なお、具体的な画像処理の内容は、上記第一実施形態のものと同様である。
すなわち、本実施形態に係る制御部41も、本発明における画像処理手段をなす。
【0054】
また、制御部41は、取得した元画像I0又は元画像I0に画像処理を施して得られた処理済み元画像に、取得した解析画像I又は解析画像Iに画像処理を施して得られた処理済み解析画像Iを重畳して処理済み重畳画像Iを生成する機能を有している。
なお、具体的な処理済み重畳画像Iの生成方法は、上記第一実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態に係る制御部41も、本発明における重畳手段をなす。
【0055】
以上、本実施形態に係る医用画像表示システム100Aによれば、上記第一実施形態の医用画像表示システム100と同様に、元画像I0に解析画像Iが重畳された重畳画像Iorgにおける元画像I0と解析画像Iのうち一方の画像の画質が他方の画質に対して変化するため、解析画像Iを相対的に見やすくすることができる。
また、医用画像表示装置4Aは、PCや携帯端末等で構成されるため、医師が診断を行う場所に配置することができるし、元画像I0や解析画像Iを画像解析装置3Aへ転送することなく、これらの少なくとも一方に自ら画像処理を施すことができるため、医師が、その場で時間をかけることなく解析画像Iのみを見やすくすることができる。
【符号の説明】
【0056】
100,100A 医用画像表示システム
1 撮影装置
2 コンソール
3,3A 画像解析装置
31 制御部
32 通信部
33,33A 記憶部
4,4A 医用画像表示装置
41 制御部
42 通信部
43,43A 記憶部
44 表示部
45 操作部
5 通信ネットワーク
,A 解析結果
D 処理済み重畳画像データ
D0 元画像データ
解析画像データ
org 重畳画像データ
処理済み解析画像データ
I 処理済み重畳画像
I0 元画像
解析画像
org 重畳画像
処理済み解析画像
図1
図2
図3
図4
図5