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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】X線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61B6/00 300D
A61B6/00 300X
A61B6/00 320Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018242091
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020103335
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】代田 健
(72)【発明者】
【氏名】坂口 淳平
(72)【発明者】
【氏名】奥村 皓史
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-125580(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042483(WO,A1)
【文献】特開2008-061765(JP,A)
【文献】特開2007-098126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0313561(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0087479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線照射部と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線照射部および前記X線検出部のうち少なくとも一方を移動可能に支持する移動体と、
前記移動体を移動させる駆動部と、
前記移動体を移動させる軸を選択するための操作または前記移動体の位置合わせのためのガイドの照射を点灯させる操作を受け付ける操作ボタンの操作と、前記移動体の現在位置および目的位置に基づき目的位置から遠ざかる方向に前記移動体に力が加えられたことと、のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動体を手動で移動させる際の前記駆動部によるアシスト量を変更する制御を行う制御部と、を備える、X線撮影装置。
【請求項2】
操作者による前記移動体を移動させるための操作力を検知する力検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記力検知部により検知された操作力に応じて、前記移動体を手動で移動させる際の前記駆動部によるアシスト量を調整するとともに、前記操作ボタンの操作と、前記移動体の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいても、アシスト量を調整する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記移動体は、水平方向の2軸および上下方向の1軸に移動可能に構成されており、
前記操作ボタンは、前記移動体の移動のための操作を受け付ける第1操作ボタンと、第2操作ボタンとを含み、
前記第1操作ボタンは、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、いずれかの1軸の移動のロックを解除するための操作を受け付け、
前記第2操作ボタンは、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、2軸以上の移動のロックを解除するための操作を受け付け、
前記制御部は、前記第2操作ボタンの操作により2軸以上の移動のロックが解除された場合に、前記第1操作ボタンの操作により1軸の移動のロックが解除された場合よりも、前記移動体を手動で移動させる際の前記駆動部によるアシスト量を大きくする制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記X線照射部によるX線の照射範囲を示すガイドを照射するガイド照明をさらに備え、
前記操作ボタンは、前記移動体の位置合わせのための操作を受け付ける、前記ガイド照明のガイドの照射を点灯させるガイド照明ボタンを含み、
前記制御部は、前記ガイド照明ボタンの操作により前記ガイド照明が点灯された場合に、前記ガイド照明が点灯されていない場合よりも、前記移動体を手動で移動させる際の前記駆動部によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記制御部は、操作力に対するアシスト量の比であるアシスト係数を、2段階に切り替えて、アシスト量を変更する制御を行うように構成されている、請求項3または4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記移動体の現在位置から目的位置までの距離に基づいて、前記移動体を手動で移動させる際の前記駆動部によるアシスト量を変更する制御を行うように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記制御部は、目的位置から遠ざかる方向に前記移動体に力が加えられた場合に、目的位置に近づく方向に前記移動体に力が加えられた場合よりも、前記移動体を手動で移動させる際の前記駆動部によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記駆動部は、モータを含み、
前記制御部は、前記操作ボタンの操作と、前記移動体の現在位置および目的位置とのうち少なくとも1つに基づいて、前記移動体を手動で移動させる際の前記モータの駆動制御を変更して前記駆動部によるアシスト量を変更する制御を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、被写体にX線を照射する放射線源と、被写体を透過したX線を検出する放射線検出手段と、放射線源を移動させるモータと、放射線源を手動で移動させる際にモータの駆動により放射線源の移動のアシストを行う制御部と、を備える放射線撮影装置(X線撮影装置)が知られている。この特許文献1の放射線撮影装置では、放射線源を手動で移動させる際に、放射線源の移動方向が繰り返し反転された場合に、モータによるアシスト量が小さくなるように構成されている。つまり、放射線源を手動で移動させる際に、移動当初は大きく素早く移動させるためにアシスト量が大きくされ、目的位置に近づくと位置を微調整するためにアシスト量が小さくされる。この際に、制御部は、放射線源の移動方向が繰り返し反転されたことに基づいて目的位置に近づいたことを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-227376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の放射線撮影装置(X線撮影装置)では、放射線源を手動で移動させる際に、位置を微調整するためにモータによるアシスト量を小さくさせようとした場合に、放射線源の移動方向を繰り返し反転させて往復移動させる必要がある。このため、モータによるアシスト量を変化させる場合の操作が煩雑であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、X線照射部およびX線検出部のうち少なくとも一方を移動可能に支持する移動体を手動で移動させる際に、駆動部によるアシスト量を簡単な操作で変更させることが可能なX線撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるX線撮影装置は、被検体にX線を照射するX線照射部と、被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、X線照射部およびX線検出部のうち少なくとも一方を移動可能に支持する移動体と、移動体を移動させる駆動部と、移動体を移動させる軸を選択するための操作または移動体の位置合わせのためのガイドの照射を点灯させる操作を受け付ける操作ボタンの操作と、移動体の現在位置および目的位置に基づき目的位置から遠ざかる方向に移動体に力が加えられたことと、のうち少なくとも1つに基づいて、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を変更する制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面によるX線撮影装置では、上記のように、移動体の移動のための操作または移動体の位置合わせのための操作を受け付ける操作ボタンの操作と、移動体の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいて、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を変更する制御を行う制御部を設ける。これにより、操作ボタンの操作に基づいて移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を変更させる場合、操作ボタンの操作を行うだけで駆動部によるアシスト量を変更させることができる。また、移動体の現在位置および目的位置に基づいて移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を変更させる場合、たとえば、目的位置が現在位置に近づいた場合に、自動的に駆動部によるアシスト量を変更させることができる。これらの結果、X線照射部およびX線検出部のうち少なくとも一方を移動可能に支持する移動体を手動で移動させる際に、駆動部によるアシスト量を簡単な操作で変更させることができる。
【0009】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、操作者による移動体を移動させるための操作力を検知する力検知部をさらに備え、制御部は、力検知部により検知された操作力に応じて、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を調整するとともに、操作ボタンの操作と、移動体の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいても、アシスト量を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検知された操作力に応じてアシスト量を調整することにより、操作者が力を加えた量に応じてアシスト量を大きくすることができるので、移動体を手動で移動させる際の操作性を向上させることができる。また、操作ボタンの操作に基づいてアシスト量を調整することにより、操作ボタンの操作を行うだけでアシスト量を容易に変更させることができる。また、移動体の現在位置および目的位置に基づいてアシスト量を調整することにより、現在位置と目的位置との距離が大きく移動体を迅速に移動させたい場合に、アシスト量を大きくすることができるとともに、現在位置と目的位置との距離が小さくなり移動体を精度よく移動させたい場合に、アシスト量を小さくすることができる。
【0010】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、移動体は、水平方向の2軸および上下方向の1軸に移動可能に構成されており、操作ボタンは、移動体の移動のための操作を受け付ける第1操作ボタンと、第2操作ボタンとを含み、第1操作ボタンは、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、いずれかの1軸の移動のロックを解除するための操作を受け付け、第2操作ボタンは、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、2軸以上の移動のロックを解除するための操作を受け付け、制御部は、第2操作ボタンの操作により2軸以上の移動のロックが解除された場合に、第1操作ボタンの操作により1軸の移動のロックが解除された場合よりも、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を大きくする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第2操作ボタンの操作により2軸以上の移動のロックが解除されて、移動体を大きく移動させたい場合に、アシスト量を大きくすることができる。また、2軸以上の移動による調整後、第1操作ボタンの操作により1軸の移動のロックが解除されて、移動体の位置の微調整を行う場合に、アシスト量を小さくすることができる。
【0011】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、X線照射部によるX線の照射範囲を示すガイドを照射するガイド照明をさらに備え、操作ボタンは、移動体の位置合わせのための操作を受け付ける、ガイド照明のガイドの照射を点灯させるガイド照明ボタンを含み、制御部は、ガイド照明ボタンの操作によりガイド照明が点灯された場合に、ガイド照明が点灯されていない場合よりも、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ガイド照明ボタンの操作によりガイド照明が点灯されて、移動体の位置の微調整を行う場合に、アシスト量を小さくすることができるので、移動体を容易かつ精度よく移動させて微調整を行うことができる。
【0012】
上記操作ボタンが第1操作ボタンおよび第2操作ボタンを含む構成、または、操作ボタンがガイド照明ボタンを含む構成において、好ましくは、制御部は、操作力に対するアシスト量の比であるアシスト係数を、2段階に切り替えて、アシスト量を変更する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、2段階のアシスト比によりアシスト量を変更させることができるので、3段階以上に切り替える場合に比べて、制御部の処理負担を軽減することができる。
【0013】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、制御部は、移動体の現在位置から目的位置までの距離に基づいて、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を変更する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、移動体の目的位置までの距離に基づいてアシスト量を変更することにより、現在位置と目的位置との距離が大きく移動体を迅速に移動させたい場合に、アシスト量を大きくすることができるとともに、現在位置と目的位置との距離が小さくなり移動体を精度よく移動させたい場合に、アシスト量を小さくすることができる。これにより、移動体を目的位置にスムーズに移動させることができる。
【0014】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、制御部は、目的位置から遠ざかる方向に移動体に力が加えられた場合に、目的位置に近づく方向に移動体に力が加えられた場合よりも、移動体を手動で移動させる際の駆動部によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、目的位置から遠ざかる方向への移動体の移動を重くすることができるとともに、目的位置に近づく方向への移動体の移動を軽くすることができるので、移動体を目的位置に向けて誘導することができる。
【0015】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、駆動部は、モータを含み、制御部は、操作ボタンの操作と、移動体の現在位置および目的位置とのうち少なくとも1つに基づいて、移動体を手動で移動させる際のモータの駆動制御を変更して駆動部によるアシスト量を変更する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、モータの駆動制御を変更することにより、アシスト量を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、X線照射部およびX線検出部のうち少なくとも一方を移動可能に支持する移動体を手動で移動させる際に、駆動部によるアシスト量を簡単な操作で変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態によるX線撮影装置の全体構成を示した模式図である。
図2】一実施形態によるX線撮影装置のブロック図である。
図3】一実施形態によるX線撮影装置の移動体の正面図である。
図4】一実施形態によるX線撮影装置の移動体を示した斜視図である。
図5】一実施形態によるX線撮影装置の切替手段の一例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(X線撮影装置の構成)
図1図5を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100の構成について説明する。
【0020】
図1では、撮影室110に設置された天井懸垂型のX線撮影装置100の例を示している。X線撮影装置100は、X線管1と、X線検出部2と、保持機構3とを備えている。天井懸垂型のX線撮影装置100では、撮影室110の天井に配置された保持機構3によって、X線管1を有する移動体4が天井から吊り下げるように保持される。移動体4は、保持機構3によって撮影室110内で移動可能に保持されている。なお、X線管1は、特許請求の範囲の「X線照射部」の一例である。
【0021】
また、X線撮影装置100は、医用X線撮影装置であり、撮影対象である被検体120(患者)をX線撮影するように構成されている。X線撮影装置100は、被検体120を横たわらせた姿勢(臥位)で撮影を行うための撮影テーブル5と、被検体120を起立させた姿勢(立位)で撮影を行うための撮影スタンド6とを備えている。
【0022】
X線管1は、被検体120にX線を照射するように構成されている。X線管1は、所定の電圧が印加されることにより、X線を照射するように構成されている。
【0023】
撮影テーブル5および撮影スタンド6には、それぞれX線検出部2が移動可能に保持されている。X線検出部2は、たとえばフラットパネルディテクタ(FPD)を含んでいる。X線検出部2は、被検体120を透過したX線を検出するように構成されている。保持機構3は、少なくとも、撮影テーブル5を用いた臥位での撮影位置(図1の実線参照)と、撮影スタンド6を用いた立位での撮影位置(図1の二点鎖線参照)との間で、移動体4を移動させることが可能である。
【0024】
臥位の撮影では、移動体4が、撮影テーブル5のX線検出部2と上下方向に対向する位置に配置され、上下方向に対向するX線管1とX線検出部2との間で、撮影テーブル5上に横臥された被検体120が撮影される。立位の撮影では、移動体4が、撮影スタンド6のX線検出部2と水平方向に対向する位置に配置され、水平方向に対向するX線管1とX線検出部2との間で、撮影スタンド6の前に起立した被検体120が撮影される。また、X線撮影装置100は、持ち運び可能なX線検出部2を撮影室110内の任意の位置に配置し、移動体4をX線検出部2と対向する位置に移動させることにより、任意の姿勢の被検体120を任意の方向から撮影可能な一般撮影(姿勢を特定しない撮影)を行うことが可能である。
【0025】
また、X線撮影装置100は、制御部7、入力装置8を備えている。図2に示すように、制御部7は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを備えている。制御部7は、X線管1およびX線検出部2によるX線撮影の制御や、移動体4の移動に関する制御を行う。入力装置8は、X線撮影に関わる入力操作を受け付ける機能を有する。入力操作は、X線撮影の撮影条件設定や、X線照射の開始指示などである。
【0026】
図1に示すように、移動体4は、X線管1を移動可能に支持している。具体的には、移動体4は、X線管1と、コリメータ11とを含んでいる。X線管1は、図示しない電源から高電圧が印加されることによりX線を発生させる。コリメータ11は、位置調整可能な複数の遮蔽板(コリメータリーフ)を有し、X線管1からのX線の一部を遮蔽することにより、X線の照射野を調整する機能を有する。また、移動体4には、把持部35(図3参照)が設けられている。また、移動体4には、操作ボタン41が設けられている。また、移動体4には、力検知部38と、ガイド照明39とが設けられている。
【0027】
保持機構3は、移動体4を複数方向に移動可能に保持する移動機構31を含んでいる。
【0028】
移動機構31により移動体4が移動できる複数方向は、互いに直交する水平および垂直の各並進方向を含むことができる。図4に示すように、鉛直(垂直)方向をZ方向とし、水平方向で互いに直交する2方向をX方向、Y方向とすると、各並進方向は、これらのX方向、Y方向およびZ方向のうち、1つまたは複数である。つまり、移動体4は、水平方向の2軸および上下方向の1軸に移動可能に構成されている。
【0029】
また、移動機構31により移動体4が移動できる複数方向は、互いに直交する水平軸回りおよび垂直軸回りの各回転方向を含むことができる。各回転方向は、鉛直(垂直)軸回りの回転方向、および、水平方向で互いに直交する2つの軸回りの回転方向のうち、1つまたは複数である。複数方向は、3つの並進方向(X方向、Y方向およびZ方向)と、上下方向(Z方向)の回転軸線回りの回転方向(η方向)と、水平方向の回転軸線回りの回転方向(θ方向)との、合計5方向を含む。
【0030】
移動機構31は、図1に示すように、走行機構32と、支柱33と、回転保持部34とを含む。走行機構32は、撮影室110の天井に設けられている。走行機構32は、支柱33(移動体4)をX方向およびY方向に並進移動可能に支持する。
【0031】
支柱33は、移動体4を垂直方向へ並進移動可能に保持する。支柱33は、走行機構32に取り付けられたベース部331から吊り下がるように設けられ、Z方向に伸縮可能である。これらの構成により、移動機構31は、移動体4を3つの並進方向(X方向、Y方向およびZ方向)へ移動可能に保持する。
【0032】
また、支柱33の先端(下端)には、回転保持部34が設けられている。支柱33は、回転保持部34を垂直軸(Z軸)回りのη方向に回転移動可能に支持する。Z軸は、支柱33の中心軸線に一致する。回転保持部34は、一端側が支柱33に接続されると共に、他端側が支柱33の半径方向(R軸方向)にオフセットした位置で上方に立ち上がる形状を有している。回転保持部34は、上方に立ち上がる位置において移動体4を支持している。
【0033】
また、回転保持部34は、移動体4を水平軸(R軸)回りのθ方向に回転移動可能に保持している。R軸は、支柱33の半径方向(水平方向)である。これらの構成により、移動機構31は、移動体4を2つの回転方向(ηおよびθ方向)へ移動可能に保持する。
【0034】
なお、移動機構31は、把持部35を含んでいる。把持部35は、移動体4に設けられ、移動体4と一体的に回転移動するように回転保持部34に支持されている。また、把持部35は、移動体4と一体的に移動するように支柱33に支持されている。つまり、把持部35は、回転保持部34を介して支柱33に保持され、移動体4と一体となって複数方向(X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向)に移動する。操作者は、把持部35を持って力を加えることにより、移動体4を複数方向(X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向)に移動させることができる。
【0035】
また、保持機構3は、操作者による移動体4を移動させるための操作力を検知する力検知部38を備えている。また、保持機構3は、図5に示すように、移動体4の各方向(X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向)の移動を規制するロック機構36と、移動体4を各方向(X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向)に移動させるモータ37とを備えている。また、保持機構3は、移動体4の各方向(X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向)の移動量を検出するエンコーダ371を備えている。なお、モータ37は、特許請求の範囲の「駆動部」の一例である。
【0036】
図5に示すように、ロック機構36は、複数方向の各々に対応して設けられ、移動体4の移動をロックする複数の電磁ロック361を含む。各電磁ロック361は、複数方向の各々における、移動体4の移動を解除可能にロックするように構成されている。
【0037】
電磁ロック361は、X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向の複数方向に個別に設けられている。各電磁ロック361は、X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向の各々のロック/ロック解除を個別に切り替えることが可能である。これにより、ロック機構36は、複数方向の各々への移動体4の移動を許可する状態(ロック解除状態)と、各方向への移動体4の移動を禁止する状態(ロック状態)とに切り替え可能に構成されている。
【0038】
モータ37は、X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向の複数方向に個別に設けられている。また、エンコーダ371は、X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向の複数方向に個別に設けられている。各エンコーダ371は、各軸方向における移動体4の位置を検出する。各エンコーダ371の出力信号に基づいて、移動体4のX線管1の現在位置(X方向、Y方向、Z方向の各位置、および、η方向、θ方向の各回転角度)を求めることが可能である。
【0039】
ロック機構36の動作は、駆動回路311を介して、制御部7によって制御される。また、各エンコーダ371の出力信号は、駆動回路311を介して制御部7に送られ、位置情報として動作制御に用いられる。また、各モータ37の動作は、駆動回路311を介して、制御部7によって制御される。
【0040】
力検知部38(図2参照)は、移動体4に加えられた力の方向を検知する。より具体的には、力検知部38は、把持部35に加えられた水平および垂直の各並進方向(X方向、Y方向、Z方向)の力を検知するように構成されている。また、力検知部38は、把持部35に加えられた水平軸(R軸)回りおよび垂直軸(Z軸)回りの各回転方向(θ、η方向)の力を検知するように構成されている。
【0041】
具体的には、力検知部38は、把持部35と回転保持部34との間に配置されている。力検知部38は、たとえば、力覚センサを含んでいる。力検知部38は、制御部7に接続されており、力検知部38により検知された操作力は信号に変換されて、制御部7に送信される。
【0042】
ガイド照明39は、X線管1によるX線の照射範囲を示すガイドを照射する。具体的には、ガイド照明39は、コリメータ11により制限されたX線管1によるX線の照射範囲を光により投影して示すように構成されている。ガイド照明39は、LED(発光ダイオード)を含んでいる。操作者は、ガイド照明39のガイドに基づいて、移動体4の位置を調整して、X線の照射位置を調整する。また、操作者は、ガイド照明39のガイドに基づいて、コリメータ11を調整して、X線の照射範囲を調整する。
【0043】
図3に示すように、移動体4には、複数の操作ボタン41が設けられている。また、移動体4には、表示部42が設けられている。操作ボタン41は、第1操作ボタン411、412、413と、第2操作ボタン416とを含んでいる。また、操作ボタン41は、回動操作ボタン414、415を含んでいる。また、操作ボタン41は、ガイド照明ボタン417を含んでいる。
【0044】
操作ボタン41は、移動体4の移動のための操作を受け付けるように構成されている。第1操作ボタン411、412、413は、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、いずれかの1軸の移動のロックを解除するための操作を受け付ける。第1操作ボタン411は、水平方向のうちX方向の移動体4の移動のロックを解除するための操作を受け付ける。第1操作ボタン412は、水平方向のうちY方向の移動体4の移動のロックを解除するための操作を受け付ける。第1操作ボタン413は、上下方向(Z方向)の移動体4の移動のロックを解除するための操作を受け付ける。また、第2操作ボタン416は、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、2軸以上の移動のロックを解除するための操作を受け付ける。具体的には、第2操作ボタン416は、X方向、Y方向およびZ方向の移動のロックを解除するための操作を受け付ける。
【0045】
ガイド照明ボタン417は、移動体4の位置合わせのための操作を受け付ける。具体的には、ガイド照明ボタン417は、ガイド照明39のガイドの照射を点灯させるための操作を受け付ける。
【0046】
制御部7は、移動体4の移動を制御するように構成されている。具体的には、オートポジショニング制御において、制御部7は、移動体4を所定の位置および姿勢に移動させる制御を行うように構成されている。また、パワーアシスト制御において、制御部7は、操作者が手動で移動体4を移動させる際に、移動体4を移動させるパワーアシストを行う制御を行うように構成されている。
【0047】
制御部7は、パワーアシスト制御では、操作者が手動で移動体4を移動させる操作力を力検知部38により検知して取得する。そして、制御部7は、取得した操作力を、移動体4の自重、姿勢による影響を補正して、X方向、Y方向、Z方向の操作力に変換する。そして、制御部7は、変換した操作力に対してアシスト比を乗じたトルクが発生するようにモータ37を駆動するように制御する。たとえば、制御部7は、(1)式に基づいて、モータ37をαfhのアシスト量により駆動する制御を行う。
Ma=fh-Fr+αfh・・・(1)
ただし、Mは、移動体4および移動機構31を含む移動部分の質量であり、aは、加速度である。また、fhは、操作力であり、Frは、抵抗力である。また、αは、操作力に対するアシスト量の比であるアシスト係数である。Mは、たとえば、数百kgである。また、αは、たとえば、2~10程度である。つまり、操作力に対して2倍~10倍程度の力がアシストされる。
【0048】
ここで、本実施形態では、制御部7は、移動体4の移動のための操作または移動体4の位置合わせのための操作を受け付ける操作ボタン41の操作と、移動体4の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいて、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を変更する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、力検知部38により検知された操作力に応じて、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を調整するとともに、操作ボタン41の操作と、移動体4の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいても、アシスト量を調整する制御を行うように構成されている。
【0049】
つまり、制御部7は、移動体4を大きく移動させようとしている場合に、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を大きくするように構成されている。また、制御部7は、移動体4を精度よく移動させようとしている場合に、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を小さくするように構成されている。
【0050】
また、制御部7は、第2操作ボタン416の操作により2軸以上の移動のロックが解除された場合に、第1操作ボタン411、412または413の操作により1軸の移動のロックが解除された場合よりも、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を大きくする制御を行うように構成されている。つまり、制御部7は、操作される操作ボタン41に応じてアシスト量を変更するように構成されている。ここで、通常、移動体4を大きく動かす動作は立位撮影と臥位撮影とを切り替える場合に必要とされる。この場合、まず、3軸同時にロックを解除する第2操作ボタン416を操作して所定位置の近くまで移動させる。その後、1軸のみロックを解除する第1操作ボタン411、412または413を操作して所定位置への精密な位置決めをする。したがって、制御部7は、3軸同時にロックを解除する第2操作ボタン416が操作された場合は、アシスト量を大きくする。また、制御部7は、1軸のみロックを解除する第1操作ボタン411、412または413が操作された場合は、アシスト量を小さくする。これにより、移動体4を大きく移動させる動作と、細かく移動させる動作との両立が可能になる。なお、一般撮影装置はストレッチャーでの撮影など用途が多岐に渡るため、1軸しか動かさないが大きく動かしたい場合も想定される。ある軸に対してロックを解除するボタンを複数個所に割り当てることが可能であれば、一方のボタンの操作では、アシスト量を大きくし、他方のボタンの操作では、アシスト量を小さくするようにしてもよい。
【0051】
また、制御部7は、ガイド照明ボタン417の操作によりガイド照明39が点灯された場合に、ガイド照明39が点灯されていない場合よりも、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成されている。つまり、所定位置に近付き、撮影部位に対して精密な位置決めを行う際は、X線照射野を確認するためにガイド照明39(コリメータランプ)が点灯される。そこで、制御部7は、ガイド照明39を点灯させる操作が行われた場合に、X線管1の位置を微調整する場合と判断して、アシスト量を小さくする。
【0052】
また、制御部7は、操作力に対するアシスト量の比であるアシスト係数を、2段階に切り替えて、アシスト量を変更する制御を行うように構成されている。つまり、制御部7は、アシスト量を小さくする場合、アシスト係数を小さい値に設定し、アシスト量を大きくする場合、アシスト係数を大きい値に設定する。たとえば、アシスト係数が大きい場合は、アシスト係数が小さい場合の2~3倍程度に設定される。
【0053】
また、制御部7は、移動体4の現在位置から目的位置までの距離に基づいて、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を変更する制御を行うように構成されている。具体的には、立位撮影と臥位撮影を切り替える場合に、あらかじめ入力装置8により撮影メニューを選択してから対応するX線検出部2に対向する位置まで移動体4(X線管1)を移動させる。その際に、X線検出部2とSID(焦点受像機間距離)や高さを合わせるため、X線管1と撮影テーブル5または撮影スタンド6との位置はポテンショメータやエンコーダによって検出可能である。制御部7は、移動体4の現在位置を取得して、選択された撮影メニューで使用するX線検出部2とX線管1との距離を取得する。そして、制御部7は、移動体4の現在位置から目的位置までの距離に応じてアシスト量を変更する。つまり、制御部7は、距離が大きければアシスト量を大きくし、距離が小さければアシスト量を小さくする。なお、距離の大小をしきい値により判定して、アシスト量をしきい値に基づいて変更してもよい。また、距離が近づくにつれて、徐々にアシスト量を小さくしてもよい。また、一定の距離までは、アシスト量を一定として、一定の距離からさらに距離が近づくにつれて、徐々にアシスト量を小さくしてもよい。また、距離に応じて段階的にアシスト量を小さくしてもよい。
【0054】
また、制御部7は、目的位置から遠ざかる方向に移動体4に力が加えられた場合に、目的位置に近づく方向に移動体4に力が加えられた場合よりも、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成されている。これにより、目的位置に吸い込まれていくような操作感にすることが可能である。
【0055】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0056】
本実施形態では、上記のように、移動体4の移動のための操作または移動体4の位置合わせのための操作を受け付ける操作ボタン41の操作と、移動体4の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいて、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を変更する制御を行う制御部7を設ける。これにより、操作ボタン41の操作に基づいて移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を変更させる場合、操作ボタン41の操作を行うだけでモータ37によるアシスト量を変更させることができる。また、移動体4の現在位置および目的位置に基づいて移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を変更させる場合、目的位置が現在位置に近づいた場合に、自動的にモータ37によるアシスト量を変更させることができる。これらの結果、X線管1を移動可能に支持する移動体4を手動で移動させる際に、モータ37によるアシスト量を簡単な操作で変更させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7を、力検知部38により検知された操作力に応じて、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を調整するとともに、操作ボタン41の操作と、移動体4の現在位置および目的位置と、のうち少なくとも1つに基づいても、アシスト量を調整する制御を行うように構成する。これにより、検知された操作力に応じてアシスト量を調整することにより、操作者が力を加えた量に応じてアシスト量を大きくすることができるので、移動体4を手動で移動させる際の操作性を向上させることができる。また、操作ボタン41の操作に基づいてアシスト量を調整することにより、操作ボタン41の操作を行うだけでアシスト量を容易に変更させることができる。また、移動体4の現在位置および目的位置に基づいてアシスト量を調整することにより、現在位置と目的位置との距離が大きく移動体4を迅速に移動させたい場合に、アシスト量を大きくすることができるとともに、現在位置と目的位置との距離が小さくなり移動体4を精度よく移動させたい場合に、アシスト量を小さくすることができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7を、第2操作ボタン416の操作により2軸以上の移動のロックが解除された場合に、第1操作ボタン411、412または413の操作により1軸の移動のロックが解除された場合よりも、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を大きくする制御を行うように構成する。これにより、第2操作ボタン416の操作により2軸以上の移動のロックが解除されて、移動体4を大きく移動させたい場合に、アシスト量を大きくすることができる。また、2軸以上の移動による調整後、第1操作ボタン411、412または413の操作により1軸の移動のロックが解除されて、移動体4の位置の微調整を行う場合に、アシスト量を小さくすることができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7を、ガイド照明ボタン417の操作によりガイド照明39が点灯された場合に、ガイド照明39が点灯されていない場合よりも、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成する。これにより、ガイド照明ボタン417の操作によりガイド照明39が点灯されて、移動体4の位置の微調整を行う場合に、アシスト量を小さくすることができるので、移動体4を容易かつ精度よく移動させて微調整を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7を、操作力に対するアシスト量の比であるアシスト係数を、2段階に切り替えて、アシスト量を変更する制御を行うように構成する。これにより、2段階のアシスト比によりアシスト量を変更させることができるので、3段階以上に切り替える場合に比べて、制御部7の処理負担を軽減することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7を、移動体4の現在位置から目的位置までの距離に基づいて、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を変更する制御を行うように構成する。これにより、移動体4の目的位置までの距離に基づいてアシスト量を変更することにより、現在位置と目的位置との距離が大きく移動体4を迅速に移動させたい場合に、アシスト量を大きくすることができるとともに、現在位置と目的位置との距離が小さくなり移動体4を精度よく移動させたい場合に、アシスト量を小さくすることができる。これにより、移動体4を目的位置にスムーズに移動させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7を、目的位置から遠ざかる方向に移動体4に力が加えられた場合に、目的位置に近づく方向に移動体4に力が加えられた場合よりも、移動体4を手動で移動させる際のモータ37によるアシスト量を小さくする制御を行うように構成する。これにより、目的位置から遠ざかる方向への移動体4の移動を重くすることができるとともに、目的位置に近づく方向への移動体4の移動を軽くすることができるので、移動体4を目的位置に向けて誘導することができる。
【0063】
(変形例)
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0064】
たとえば、上記実施形態では、天井懸垂型のX線撮影装置(天井懸垂型の保持機構)の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天井懸垂型以外の構成であってもよい。たとえば、床上走行型のX線撮影装置に本発明を適用してもよい。また、Cアーム式のX線撮影装置に本発明を適用してもよいし、近接透視台に本発明を適用してもよい。また、車輪を備えたカート型のX線撮影装置に本発明を適用してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、移動体がX線管(X線照射部)を移動可能に支持する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、移動体がX線照射部およびX線検出部の両方を移動可能に支持してもよいし、移動体がX線検出部を移動可能に支持してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、移動機構が、5軸方向(X方向、Y方向、Z方向、η方向、θ方向)の複数方向に移動体を移動可能に保持する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、移動機構が5方向以外の方向に移動体を移動可能であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第2操作ボタンは、X軸、Y軸、Z軸の3軸のロックを解除するための操作を受け付ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2操作ボタンは、水平方向の2軸および上下方向の1軸のうち、2軸以上の移動のロックを解除するための操作を受け付けてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、制御部が撮影室の外部に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部は、撮影室の内部に配置されてよいし、移動体や移動機構に内蔵されていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 X線管(X線照射部)
2 X線検出部
4 移動体
7 制御部
37 モータ(駆動部)
38 力検知部
39 ガイド照明
41 操作ボタン
100 X線撮影装置
120 被検体
411、412、413 第1操作ボタン
416 第2操作ボタン
417 ガイド照明ボタン
図1
図2
図3
図4
図5