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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】エンジンの排気装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20220809BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220809BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20220809BHJP
   F01N 13/18 20100101ALI20220809BHJP
【FI】
F01N13/08 D
F01N3/28 301V
F01N3/24 B
F01N3/24 E
F01N3/24 C
F01N13/18
F01N13/08 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019002385
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020112067
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】北畠 啓史
(72)【発明者】
【氏名】倉増 拓
(72)【発明者】
【氏名】高群 保
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-150821(JP,A)
【文献】中国実用新案第207225073(CN,U)
【文献】特開平10-244844(JP,A)
【文献】国際公開第2014/168072(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 3/28
F01N 3/24
F01N 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンが排出した排気ガスを流下させる排気マニホールドと、
該排気マニホールドにおける下流側の端部に連結された触媒と、
前記触媒を支持する触媒支持構造体とを備えたエンジンの排気装置であって、
前記触媒支持構造体は、
前記触媒に配設された上側支持部材と、
該上側支持部材の車両下方に配置されるとともに、パワートレインまたは車体に締結固定された下側支持部材とで構成され、
前記下側支持部材は、
前記上側支持部材が載置固定される平面を有する載置部と、
前記載置部に載置された前記上側支持部材に、先端が平面視で重合するように、前記載置部に対して車両上方に所定間隔を隔てた位置から突設された平面視略板状の庇部とを備え、
前記載置部と前記庇部との間に前記上側支持部材を挿入する方向を組付け方向として、
前記庇部は、
組付け方向とは逆向きの逆方向に向かうほど、前記載置部に対する車両上下方向間隔が漸次広くなるように形成された
エンジンの排気装置。
【請求項2】
前記下側支持部材の前記載置部は、
前記排気マニホールドの前記端部に対して車両上方に位置する形状に形成された
請求項1に記載のエンジンの排気装置。
【請求項3】
前記触媒は、
前記排気マニホールドの前記端部に連結される第1触媒と、
該第1触媒に連結される第2触媒とで構成され、
前記第1触媒と前記第2触媒は、
平面視略L字状に連結された
請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気装置。
【請求項4】
前記排気マニホールドの前記端部と前記触媒は、Vクランプで連結された
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のエンジンの排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエンジンの排気ガスを浄化する触媒が、触媒支持構造体を介してパワートレインに支持されたようなエンジンの排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両のエンジンで発生した排気ガスを車外へ向けて案内放出する排気装置には、排気ガスに含まれる有害物質や粒子状物質を浄化する浄化装置として触媒が装着されている。
例えば、特許文献1におけるエンジンの排気装置には、排気マニホールドにおける下流側の端部に連結された三次元触媒と、三次元触媒に連結されたガソリン・パティキュレート・フィルターとが、有害物質や粒子状物質を浄化する触媒として配設されている。
【0003】
さらに、特許文献1では、三次元触媒、及びガソリン・パティキュレート・フィルターからなる触媒を、エンジン、及び変速機に設けた3つの支持部によって支持している。
具体的には、特許文献1の触媒は、三次元触媒を支持する第1支持部(第2接続管支持部)、ガソリン・パティキュレート・フィルターの左側を支持する第2支持部(下側第2GPF支持部材)、及びガソリン・パティキュレート・フィルターの右側を支持する第3支持部(変速機)に載置固定されている。
【0004】
ところで、特許文献1の触媒を排気マニホールドに組付ける場合、排気マニホールドの端部に対する触媒の位置を合わせながら、触媒を3つの支持部に載置することになる。
しかしながら、特許文献1のような触媒は、その重量が重くなり易いだけでなく、平面視における重心位置が、排気マニホールドと触媒との連結部、及び3つの支持部で囲われた範囲の平面視略中央とは異なる位置に位置し易い。
【0005】
このため、例えば、特許文献1において、3つの支持部に触媒を仮組みした場合、排気マニホールドの端部と第2支持部とを結ぶ仮想直線を回転軸として触媒が回動することになる。そうすると、排気マニホールドと触媒とに隙間が生じて、排気マニホールドに対する触媒の組付け性が低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、触媒の回動を規制する回り止めを支持部に設けることが考えられるが、単に支持部に回り止めを設けた場合、回り止めによって視認性が低下して、所望される位置に触媒を載置できないだけでなく、触媒の載置やボルト締結が回り止めによって阻害され、排気マニホールドに対する触媒の組付け性が向上しないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-150821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、触媒の回動規制と、排気マニホールドに対する触媒の組付け性向上とを両立できるエンジンの排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車両のエンジンが排出した排気ガスを流下させる排気マニホールドと、該排気マニホールドにおける下流側の端部に連結された触媒と、前記触媒を支持する触媒支持構造体とを備えたエンジンの排気装置であって、前記触媒支持構造体は、前記触媒に配設された上側支持部材と、該上側支持部材の車両下方に配置されるとともに、パワートレインまたは車体に締結固定された下側支持部材とで構成され、前記下側支持部材は、前記上側支持部材が載置固定される平面を有する載置部と、前記載置部に載置された前記上側支持部材に、先端が平面視で重合するように、前記載置部に対して車両上方に所定間隔を隔てた位置から突設された平面視略板状の庇部とを備え、前記載置部と前記庇部との間に前記上側支持部材を挿入する方向を組付け方向として、前記庇部は、組付け方向とは逆向きの逆方向に向かうほど、前記載置部に対する車両上下方向間隔が漸次広くなるように形成されたことを特徴とする。
この発明により、触媒の回動規制と、排気マニホールドに対する触媒の組付け性向上とを両立することができる。
【0010】
具体的には、触媒が回動開始した際、触媒と一体的に回動開始する上側支持部材が、下側支持部材に設けた庇部に接触することで、エンジンの排気装置は、触媒の回動を規制することができる。
これにより、エンジンの排気装置は、触媒の回動によって、排気マニホールドの端部と触媒とに隙間が生じることを抑えて、排気マニホールドの端部と触媒との連結を容易にすることができる。
【0011】
さらに、載置部に載置された上側支持部材に対して、先端が平面視で重合するように庇部が形成されているため、エンジンの排気装置は、庇部による載置部の視認性低下を抑えることができる。このため、エンジンの排気装置は、触媒の載置やボルト締結が庇部によって阻害されることを防止できる。
【0012】
加えて、庇部は、組付け方向とは逆方向に向かうほど、載置部に対する車両上下方向間隔が漸次広くなるように形成されている、すなわち、組付け方向へ向かうほど、載置部に対する車両上下方向間隔が漸次狭くなるように形成されている。
【0013】
このため、エンジンの排気装置は、上側支持部材の挿入口を大きく確保できるとともに、組付け方向への上側支持部材の移動を庇部が案内することができる。これにより、エンジンの排気装置は、重量が重い触媒であっても、載置部と庇部との間への上側支持部材の挿入を容易にすることができる。
従って、エンジンの排気装置は、触媒の回動規制と、排気マニホールドに対する触媒の組付け性向上とを両立することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記下側支持部材の前記載置部は、前記排気マニホールドの前記端部に対して車両上方に位置する形状に形成されてもよい。
この発明により、エンジンの排気装置は、触媒の回動を確実に規制できるとともに、排気マニホールドに対する触媒の組付け性をより向上することができる。
具体的には、例えば、排気マニホールドの端部よりも車両下方に載置部が位置する下側支持部材の場合、載置部の視認性が触媒によって低下するおそれがある。
【0015】
これに対して、排気マニホールドの端部よりも車両上方に載置部が位置する下側支持部材としたことにより、エンジンの排気装置は、触媒による載置部の視認性低下を防止することができる。
【0016】
さらに、エンジンの排気装置は、排気マニホールドの端部を回転軸の一端とする触媒の回動を、排気マニホールドの端部と略同じ車両上下方向位置に載置部が位置する下側支持部材に比べて、早期にかつ確実に規制することができる。
【0017】
従って、エンジンの排気装置は、排気マニホールドの端部よりも車両上方に載置部が位置する下側支持部材により、触媒の回動を確実に規制できるとともに、排気マニホールドに対する触媒の組付け性をより向上することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記触媒は、前記排気マニホールドの前記端部に連結される第1触媒と、該第1触媒に連結される第2触媒とで構成され、前記第1触媒と前記第2触媒は、平面視略L字状に連結されてもよい。
この発明により、エンジンの排気装置は、回動に対して不利な位置に重心が位置する触媒であっても、触媒の回動規制と、排気マニホールドに対する触媒の組付け性向上とを両立することができる。
【0019】
具体的には、平面視略L字状に第1触媒と第2触媒とが連結されているため、触媒の重心位置が、回動に対して不利な位置に位置することになる。
そこで、庇部を下側支持部材に設けたことにより、エンジンの排気装置は、回動に対して不利な位置に重心が位置する触媒であっても、触媒の回動を規制することができる。
【0020】
さらに、エンジンの排気装置は、上側支持部材を下側支持部材の庇部によって支持できるため、回動が規制された上側支持部材の状態を安定させることができる。このため、エンジンの排気装置は、例えば、上側支持部材と下側支持部材とを容易に締結することができる。
従って、エンジンの排気装置は、回動に対して不利な位置に重心が位置する触媒であっても、触媒の回動規制と、排気マニホールドに対する触媒の組付け性向上とを両立することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記排気マニホールドの前記端部と前記触媒は、Vクランプで連結されてもよい。
この発明により、エンジンの排気装置は、排気マニホールドの端部と触媒とをボルトで締結する場合に比べて、部品点数を抑えて、排気マニホールドの端部と触媒とを連結することができる。
【0022】
さらに、エンジンの排気装置は、上側支持部材の回動によって、排気マニホールドの端部と触媒との隙間が拡大することを阻止できるため、Vクランプを用いた連結を容易にすることができる。
従って、エンジンの排気装置は、排気マニホールドの端部と触媒とをVクランプで連結したことにより、部品点数の増加を抑えて、排気マニホールドに対する触媒の組付け性をさらに確実に向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、触媒の回動規制と、排気マニホールドに対する触媒の組付け性向上とを両立できるエンジンの排気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】エンジンの排気装置を平面視で示す平面図。
図2】排気マニホールド、及び触媒を背面視で示す背面図。
図3】第1支持構造体の外観を示す外観斜視図。
図4】第2支持構造体、及び第3支持構造体の外観を示す外観斜視図。
図5】分解状態における第3支持構造体の外観を示す分解斜視図。
図6】第3支持構造体を右側面視で示す右側面図。
図7】第3支持構造体を平面視で示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の車両1は、例えば、ガソリンなどを燃料とする横置きエンジン2(以下、「エンジン2」と呼ぶ)を、車両前部に備えた前輪駆動の車両である。このような車両1におけるエンジン2の排気装置について、図1から図7を用いて詳しく説明する。
【0026】
なお、図1はエンジン2の排気装置4の平面図を示し、図2は排気マニホールド5、及び触媒6の背面図を示し、図3は第1の触媒支持構造体30の外観斜視図を示し、図4は第2の触媒支持構造体50、及び第3の触媒支持構造体70の外観斜視図を示し、図5は分解状態における第3の触媒支持構造体70の分解斜視図を示し、図6は第3の触媒支持構造体70の右側面図を示し、図7は第3の触媒支持構造体70の平面図を示している。
【0027】
また、図示を明確にするため、図2中において、エンジン2、及び変速機3の詳細な図示を省略し、図5及び図6中において、ボルト73の図示を省略している。
また、図中において、矢印Fr及び矢印Rrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。さらに、矢印Rh及び矢印Lhは車幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示している。
【0028】
まず、本実施形態の車両1は、図1に示すように、パワートレインとして、車幅方向に4つの気筒を有するエンジン2と、エンジン2の車幅方向左側に連結された変速機3とを車両前部に備えている。
さらに、車両1は、図1に示すように、エンジン2から排出された排気ガスを車両後部へ流下させる排気装置4として、排気マニホールド5、触媒6、プリサイレンサー7、及びメインサイレンサー8が、排気管9を介して車両前方から、この順番でエンジン2の背面に連結されている。
【0029】
エンジン2は、図2に示すように、車幅方向を回転軸とするクランク軸(図示省略)を回転自在に支持するエンジンブロック21と、エンジンブロック21の上面に装着されたシリンダヘッド22と、シリンダヘッド22の上面に装着されたヘッドカバー23と、エンジンブロック21の下面に装着されたオイルパン24とで構成されている。
【0030】
具体的には、エンジンブロック21は、図2に示すように、クランク軸を車両上方から支持するアッパブロック25と、クランク軸を車両下方から支持するロアブロック26とで構成されている。
なお、アッパブロック25には、詳細な図示を省略するが、車幅方向に所定間隔を隔てて配置された4つの気筒と、クランク軸を収容可能な空間とが連通した内部空間を有する形状に形成されている。このアッパブロック25には、ピストン、及びコンロッドなどが配設されている。
【0031】
また、シリンダヘッド22は、詳細な図示を省略するが、燃焼室の上部、燃焼室に供給される空気の流入路である複数の吸気ポート、及び燃焼室で発生した排気ガスの排出路である複数の排気ポートが形成されている。
【0032】
また、排気マニホールド5は、図1及び図2に示すように、シリンダヘッド22の背面に装着され、各排気ポートから車両後方へ向けて排出された排気ガスが、車幅方向右側で合流するよう構成されている。
具体的には、排気マニホールド5は、図2に示すように、シリンダヘッド22の背面に装着固定されるフランジ部5aと、フランジ部5aを介してシリンダヘッド22の各排気ポートに連通する複数のパイプ部5bと、各パイプ部5bが集合した部分である集合部5cとで構成されている。
【0033】
この集合部5cは、図1及び図2に示すように、排気マニホールド5の車幅方向右側において、シリンダヘッド22よりも車両下方の位置まで延設されたのち、車幅方向左側へ向けて延設されている。さらに、車幅方向左側へ向けて延設された集合部5cの先端には、触媒6が連結される略円形状のフランジ部(図示省略)が設けられている。
【0034】
なお、集合部5cのフランジ部には、排気ガスを車幅方向右から車幅方向左へ流下する排気ガスを排出する出口である略円形状の出口開口(図示省略)が開口形成されている。
すなわち、排気マニホールド5は、エンジン2の各排気ポートから車両後方へ向けて排出された排気ガスを、集合部5cで集合させたのち、車幅方向右側、車両下方、車幅方向左側の順に流下させるように形成されている。
【0035】
また、触媒6は、図1及び図2に示すように、排気マニホールド5における下流側の端部であるフランジ部に連結され、フランジ部の出口開口から排出された排気ガスを、さらに車幅方向左側へ流下させたのち、車両後方へ向けて偏向する平面視略L字状に構成されている。
【0036】
この触媒6は、図1及び図2に示すように、排気マニホールド5に連結される略円形状のフランジ部(図示省略)を有する第1触媒61と、第1触媒61に連結された第2触媒62と、第1触媒61、及び第2触媒62を一体的に覆う遮熱板63とで構成されている。
【0037】
具体的には、第1触媒61は、図1及び図2に示すように、例えば、三次元触媒などであって、エンジン2の背面側に配置されるとともに、車幅方向の右から左へ排気ガスが流下可能に構成されている。この第1触媒61は、図1及び図2に示すように、図示を省略した略円形状のフランジ部が、排気マニホールド5のフランジ部にVクランプ10を介して連結されている。
【0038】
なお、周知技術のため、その詳細な説明を省略するが、Vクランプ10は、断面略V字状の内面を有する略円環状のホースクランプであって、周方向に締め上げることで、排気マニホールド5のフランジ部と第1触媒61のフランジ部とを車幅方向に密着させるように構成されている。
【0039】
一方、第2触媒62は、図1及び図2に示すように、例えば、ガソリン・パティキュレート・フィルターなどであって、第1触媒61の車両後方側に近接して配置されるとともに、第1触媒61からの排気ガスが、車両後方、かつ車両下方へ向けて流下可能に構成されている。
【0040】
この第2触媒62は、図2に示すように、車幅方向右側の後部に一体的に連結された蛇腹配管64、及び蛇腹配管64に連結された排気管9を介して、車両後方のプリサイレンサー7に連結されている。
さらに、第2触媒62には、図2に示すように、排気ガスの一部をエンジン2に再循環させるための配管であって、車両前後方向に延びるEGR配管65の後端が、車幅方向左側の後部に一体的に連結されている。
このような構成のため、触媒6は、その重心位置が、第2触媒62における車幅方向右側の後部に位置している。
【0041】
上述した触媒6は、図2から図4に示すように、第2触媒62の車幅方向右側を支持する第1の触媒支持構造体30と、第2触媒62の車幅方向左側を支持する第2の触媒支持構造体50と、第1触媒61の車幅方向左側を支持する第3の触媒支持構造体70とを介して、エンジン2及び変速機3に連結されている。
【0042】
第1の触媒支持構造体30は、図2及び図3に示すように、排気マニホールド5のフランジ部に対して、車両後方、かつ僅かに車両下方の位置に配設され、第2触媒62の車幅方向右側と、アッパブロック25の背面とを連結している。
【0043】
この第1の触媒支持構造体30は、図2及び図3に示すように、アッパブロック25の背面に締結固定された第1の下側支持部材31と、第1の下側支持部材31の先端に締結固定された中間支持部材32と、中間支持部材32に締結固定されるとともに、第2触媒62の車幅方向右側に接合された第1の上側支持部材33とで構成されている。
【0044】
具体的には、第1の下側支持部材31は、図3に示すように、例えば、鋳物製の支持部材であって、アッパブロック25の背面に当接する取付け部31aと、取付け部31aから車両後方へ延びるアーム部31bとで一体形成されている。この第1の下側支持部材31は、図2に示すように、取付け部31aが、アッパブロック25の背面における車幅方向右側下部に締結固定されている。
【0045】
中間支持部材32は、図3に示すように、例えば、プレス成形された金属製の支持部材であって、略平坦な上面である上面部と、上面部の車幅方向左側から垂設した左側面部とを有する背面視逆L字状に形成されている。
なお、中間支持部材32は、図2及び図3に示すように、排気マニホールド5の出口開口における径方向中心よりも車両下方に、上面部が位置するように形成されている。
そして、中間支持部材32は、図3に示すように、左側面部が、第1の下側支持部材31のアーム部31bの先端に締結固定されている。
【0046】
第1の上側支持部材33は、図3に示すように、例えば、プレス成形された金属製の支持部材であって、略平坦な下面である下面部と、下面部の前端、及び後端からそれぞれ立設した前壁部、及び後壁部とを有する側面視略逆門型形状に形成されている。
【0047】
この第1の上側支持部材33は、遮熱板63に設けた開口を介して、第2触媒62の右側面下部に接合されている。
そして、第1の上側支持部材33は、図3に示すように、その下面部が、中間支持部材32の上面部に締結固定されている。
【0048】
また、第2の触媒支持構造体50は、図2及び図4に示すように、第1の触媒支持構造体30に対して、触媒6を挟んだ車幅方向左側に配設され、第2触媒62の車幅方向左側と、変速機3のコンバータハウジング3aとを連結している。
【0049】
この第2の触媒支持構造体50は、図4に示すように、変速機3のコンバータハウジング3aに締結固定された第2の下側支持部材51と、第2の下側支持部材51の先端に締結固定されるとともに、第2触媒62を支持する第2の上側支持部材52とで構成されている。
【0050】
具体的には、第2の下側支持部材51は、図4に示すように、例えば、鋳物製の支持部材であって、コンバータハウジング3aに締結固定される車両上下方向に長い取付け部51aと、取付け部51aの上部、及び下部からそれぞれ車両後方へ延設した一対のアーム部51bと、一対のアーム部51bの先端に設けた車両上下方向に延びる略円柱状の端部51cとで側面視略三角形状に形成されている。
【0051】
この第2の下側支持部材51の端部51cは、その上面が略平坦な面であって、第2の上側支持部材52を締結する締結部材が螺合するネジ孔(図示省略)が車両上下方向に開口形成されている。
なお、第2の下側支持部材51は、端部51cの上面が、第1の触媒支持構造体30における中間支持部材32の上面に対して、車両下方に位置するように形成されている。
【0052】
第2の上側支持部材52は、図4に示すように、例えば、プレス成形された金属製の支持部材であって、略平坦な下面である下面部と、下面部の前端、及び後端からそれぞれ立設した前壁部、及び後壁部とを有する側面視略逆門型形状に形成されている。
【0053】
この第2の上側支持部材52は、前壁部、及び後壁部がEGR配管65に接合され、EGR配管65を介して第2触媒62を支持している。
そして、第2の上側支持部材52は、図4に示すように、その下面部が、第2の下側支持部材51の上面部に締結固定されている。
【0054】
また、第3の触媒支持構造体70は、図2及び図4に示すように、第2の触媒支持構造体50に対して車両後方、かつ車両上方の位置に配設され、第1触媒61の車幅方向左側とアッパブロック25の背面とを連結している。
【0055】
具体的には、第3の触媒支持構造体70は、図4に示すように、第1触媒61における車幅方向左側に接合された第3の上側支持部材71と、第3の上側支持部材71に上部が締結固定されるとともに、アッパブロック25の背面に下部が締結固定される第3の下側支持部材72とで構成されている。
【0056】
第3の上側支持部材71は、図5に示すように、例えば、プレス成形された金属製の支持部材であって、第3の下側支持部材72に螺合するボルト73(図4参照)が挿通する挿通孔711aが開口形成された座面部711と、第1触媒61の上面における車幅方向左側に接合される上部接合部712と、第1触媒61における車幅方向左側の側面に接合される下部接合部713とで構成されている。
【0057】
この第3の上側支持部材71は、図5に示すように、略平板状の上側板材74と、背面視逆L字状の下側板材75とで構成され、上側板材74における車幅方向左側の平板部分と、下側板材75における車両上下方向に厚みを有する部分とを車両上下方向に接合することで、座面部711を構成している。
【0058】
さらに、第3の上側支持部材71は、図5に示すように、上側板材74と下側板材75とが接合された状態において、上側板材74における車幅方向右側の平板部分が上部接合部712を構成し、下側板材75における車幅方向に厚みを有する部分が下部接合部713を構成している。
【0059】
一方、第3の下側支持部材72は、図5に示すように、例えば、鋳物製の支持部材であって、第3の上側支持部材71の座面部711が載置固定される載置部721と、載置部721から車両下方に垂設された取付け部722、及びリブ部723と、載置部721から車両上方に立設された縦壁部724、及び後壁部725と、縦壁部724から突設された庇部726とで一体形成されている。
【0060】
載置部721は、図5から図7に示すように、車両上下方向に所定の厚みと、略平坦な上面とを有する略平板状に形成されている。この載置部721の上面には、図5に示すように、平面視における車両後方、かつ車幅方向右側に、ボルト73が螺合するネジ孔721aが開口形成されている。
【0061】
なお、載置部721の上面は、排気マニホールド5のフランジ部よりも車両上方に位置するように形成されている。より詳しくは、載置部721の上面は、排気マニホールド5の集合部5cにおける出口開口の径方向中心をとおって車幅方向に延びる略水平な仮想直線よりも車両上方よりの位置に位置するように形成されている。
【0062】
取付け部722は、図5及び図6に示すように、車両前後方向に所定の厚みと、アッパブロック25の背面に当接する前面とを有する略平板状であって、載置部721の後端から車両下方へ向けて垂設されている。この取付け部722は、アッパブロック25に設けたネジ孔(図示省略)に螺合するボルト(図示省略)が挿通するボルト挿通孔722aが、車両上下方向に所定間隔を隔てて2つ開口形成されている。
【0063】
リブ部723は、図5に示すように、載置部721における車幅方向左側の下面と、取付け部722の背面とを連結する側面視略逆三角形状に形成されている。
縦壁部724は、図5から図7に示すように、車幅方向に所定の厚みを有して、載置部721における車幅方向左側の縁端から車両上方へ向けて立設されている。
【0064】
後壁部725は、図5から図7に示すように、載置部721の上面における後端と、縦壁部724における後端とを連結する側面視略三角形状に形成されている。
なお、後壁部725は、図7に示すように、平面視において、車幅方向右側の端部が、第3の上側支持部材71における座面部711の車両前方側に位置するように形成されている。
【0065】
庇部726は、図5から図7に示すように、載置部721に載置固定された第3の上側支持部材71の座面部711よりも車両上方の位置から車幅方向右側へ突設されている。
この庇部726は、図6に示すように、側面視において、車両前方側で載置部721の上面に対面する水平部分726aと、車両後方側で載置部721の上面に対して傾斜した状態で対面する傾斜部分726bと、水平部分726aの前端を縦壁部724に連結するように立設した前リブ726cと、傾斜部分726bの後端を縦壁部724に連結するように立設した後リブ726dとで形成されている。
【0066】
水平部分726aは、図6に示すように、側面視において、車両上下方向に厚みを有する平板状であって、載置部721に載置固定された第3の上側支持部材71の座面部711に対して、車両上方に所定間隔を隔てた位置に形成されている。
【0067】
さらに、水平部分726aは、図7に示すように、平面視において、その先端が、第3の上側支持部材71における座面部711の先端に重なり合う車幅方向の長さで突設されている。
より詳しくは、水平部分726aは、平面視において、その先端が、ボルト73よりも車幅方向左側の座面部711に重なり合うように突設されている。
【0068】
なお、詳細な図示を省略するが、水平部分726aの下面は、背面視において、車幅方向右側の縁端に対して車幅方向左側の縁端が僅かに車両下方に位置するように、緩やかに傾斜した傾斜面に形成されている。換言すると、水平部分726aの下面は、載置部721の上面に対する車両上下方向の間隔が車幅方向右側へ向かうほど、緩やかに広くなる傾斜面に形成されている。
【0069】
傾斜部分726bは、図6に示すように、側面視において、水平部分726aから車両後方、かつ車両上方へ向けて延設されている。すなわち、傾斜部分726bは、図6に示すように、側面視において、前端に対して後端が車両上方に位置するように、載置部721の上面に対する車両上下方向間隔が、車両後方に向うほど漸次広くなるように形成されている。
【0070】
さらに、傾斜部分726bは、図7に示すように、平面視において、その先端が平面視略円弧状になるよう突設されている。換言すると、傾斜部分726bは、平面視において、第3の上側支持部材71の座面部711との重合範囲が、車両後方に向うほど緩やかに小さくなる形状に形成されている。
【0071】
次に、上述した構成の触媒6を、エンジン2、変速機3、及び排気マニホールド5に連結する際の組立工程について、簡単に説明する。
なお、触媒6には、第1の触媒支持構造体30における第1の上側支持部材33、第2の触媒支持構造体50における第2の上側支持部材52、及び第3の触媒支持構造体70における第3の上側支持部材71が予め接合されているものとする。
【0072】
まず、エンジン2に、排気マニホールド5、第1の触媒支持構造体30における第1の下側支持部材31、及び第3の触媒支持構造体70における第3の下側支持部材72を予め締結固定する。
さらに、変速機3に、第2の触媒支持構造体50における第2の下側支持部材51を予め締結固定するとともに、第1の触媒支持構造体30における第1の下側支持部材31に、中間支持部材32を締結固定する。
【0073】
その後、第1の上側支持部材33、第2の上側支持部材52、及び第3の上側支持部材71が接合された触媒6を、組付け方向である車両後方から車両前方へ向けて、エンジン2の背面に接近させる。この際、第3の下側支持部材72の載置部721と庇部726との間に、第3の上側支持部材71の座面部711を車両後方から車両前方に挿入するように、触媒6をエンジン2の背面に接近させる。
【0074】
このように、第3の下側支持部材72の載置部721と庇部726との間に、第3の上側支持部材71を挿入することで、第3の下側支持部材72の庇部726が、第3の上側支持部材71の車両前方への移動を案内する。すなわち、第3の下側支持部材72の庇部726が、触媒6の車両前方への移動を案内する。
【0075】
そして、触媒6のフランジ部と排気マニホールド5のフランジ部との位置を合わせて、第1の上側支持部材33、第2の上側支持部材52、及び第3の上側支持部材71を、それぞれ中間支持部材32、第2の下側支持部材51、及び第3の下側支持部材72に載置する。
【0076】
この際、触媒6の重心位置が車幅方向右側の後部に位置するため、排気マニホールド5の集合部5cにおける出口開口の径方向中心と、第2の下側支持部材51の上面部とを結ぶ仮想直線を回転軸として、第1触媒61が車両上方へ向かうように、触媒6が回動開始する。
【0077】
触媒6が回動開始すると、第3の下側支持部材72の庇部726に、第3の上側支持部材71の座面部711が車両下方から接触するため、触媒6の回動が規制される。これにより、位置合わせした際の触媒6のフランジ部と排気マニホールド5のフランジ部との隙間を維持できる。そして、触媒6のフランジ部と排気マニホールド5のフランジ部との隙間が維持された状態において、Vクランプ10を周方向に締め付けることで、触媒6と排気マニホールド5とを連結する。
【0078】
以上のように、車両1のエンジン2が排出した排気ガスを流下させる排気マニホールド5と、排気マニホールド5における下流側のフランジ部に連結された触媒6と、触媒6を支持する第3の触媒支持構造体70とを備えたエンジン2の排気装置4は、第3の触媒支持構造体70が、触媒6に配設された第3の上側支持部材71と、第3の上側支持部材71の車両下方に配置されるとともに、エンジンブロック21に締結固定された第3の下側支持部材72とで構成され、第3の下側支持部材72が、第3の上側支持部材71が載置固定される平面を有する載置部721と、載置部721に載置された第3の上側支持部材71に、先端が平面視で重合するように、載置部721に対して車両上方に所定間隔を隔てた位置から突設された平面視略板状の庇部726とを備え、載置部721と庇部726との間に第3の上側支持部材71を挿入する方向を組付け方向として、庇部726が、組付け方向とは逆向きの逆方向(車両後方)に向かうほど、載置部721に対する車両上下方向間隔が漸次広くなるように形成されたことにより、触媒6の回動規制と、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性向上とを両立することができる。
【0079】
具体的には、触媒6が回動開始した際、触媒6と一体的に回動開始する第3の上側支持部材71が、第3の下側支持部材72に設けた庇部726に接触することで、エンジン2の排気装置4は、触媒6の回動を規制することができる。
これにより、エンジン2の排気装置4は、触媒6の回動によって、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6とに隙間が生じることを抑えて、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6との連結を容易にすることができる。
【0080】
さらに、載置部721に載置された第3の上側支持部材71に対して、先端が平面視で重合するように庇部726が形成されているため、エンジン2の排気装置4は、庇部726による載置部721の視認性低下を抑えることができる。このため、エンジン2の排気装置4は、触媒6の載置やボルト締結が庇部726によって阻害されることを防止できる。
【0081】
加えて、庇部726は、組付け方向とは逆方向(車両後方)に向かうほど、載置部721に対する車両上下方向間隔が漸次広くなるように形成されている、すなわち、組付け方向(車両前方)へ向かうほど、載置部721に対する車両上下方向間隔が漸次狭くなるように形成されている。
【0082】
このため、エンジン2の排気装置4は、第3の上側支持部材71の挿入口を大きく確保できるとともに、組付け方向(車両前方)への第3の上側支持部材71の移動を庇部726が案内することができる。これにより、エンジン2の排気装置4は、重量が重い触媒6であっても、載置部721と庇部726との間への第3の上側支持部材71の挿入を容易にすることができる。
従って、エンジン2の排気装置4は、触媒6の回動規制と、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性向上とを両立することができる。
【0083】
また、第3の下側支持部材72の載置部721が、排気マニホールド5のフランジ部に対して車両上方に位置する形状に形成されたことにより、エンジン2の排気装置4は、触媒6の回動を確実に規制できるとともに、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性をより向上することができる。
【0084】
具体的には、例えば、排気マニホールド5のフランジ部よりも車両下方に載置部721が位置する第3の下側支持部材72の場合、載置部721の視認性が触媒6によって低下するおそれがある。
【0085】
これに対して、排気マニホールド5のフランジ部よりも車両上方に載置部721が位置する第3の下側支持部材72としたことにより、エンジン2の排気装置4は、触媒6による載置部721の視認性低下を防止することができる。
【0086】
さらに、エンジン2の排気装置4は、排気マニホールド5のフランジ部を回転軸の一端とする触媒6の回動を、排気マニホールド5のフランジ部と略同じ車両上下方向位置に載置部721が位置する第3の下側支持部材72に比べて、早期にかつ確実に規制することができる。
【0087】
従って、エンジン2の排気装置4は、排気マニホールド5のフランジ部よりも車両上方に載置部721が位置する第3の下側支持部材72により、触媒6の回動を確実に規制できるとともに、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性をより向上することができる。
【0088】
また、触媒6が、排気マニホールド5のフランジ部に連結される第1触媒61と、第1触媒61に連結される第2触媒62とで構成され、第1触媒61と第2触媒62とが、平面視略L字状に連結されたことにより、エンジン2の排気装置4は、回動に対して不利な位置に重心が位置する触媒6であっても、触媒6の回動規制と、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性向上とを両立することができる。
【0089】
具体的には、平面視略L字状に第1触媒61と第2触媒62とが連結されているため、触媒6の重心位置が、回動に対して不利な位置に位置することになる。
そこで、庇部726を第3の下側支持部材72に設けたことにより、エンジン2の排気装置4は、回動に対して不利な位置に重心が位置する触媒6であっても、触媒6の回動を規制することができる。
【0090】
さらに、エンジン2の排気装置4は、第3の上側支持部材71を第3の下側支持部材72の庇部726によって支持できるため、回動が規制された第3の上側支持部材71の状態を安定させることができる。このため、エンジン2の排気装置4は、第3の上側支持部材71と第3の下側支持部材72とを容易に締結することができる。
従って、エンジン2の排気装置4は、回動に対して不利な位置に重心が位置する触媒6であっても、触媒6の回動規制と、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性向上とを両立することができる。
【0091】
また、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6とが、Vクランプ10で連結されたことにより、エンジン2の排気装置4は、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6とをボルトで締結する場合に比べて、部品点数を抑えて、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6とを連結することができる。
【0092】
さらに、エンジン2の排気装置4は、第3の上側支持部材71の回動によって、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6との隙間が拡大することを阻止できるため、Vクランプ10を用いた連結を容易にすることができる。
【0093】
従って、エンジン2の排気装置4は、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6とをVクランプ10で連結したことにより、部品点数の増加を抑えて、排気マニホールド5に対する触媒6の組付け性をさらに確実に向上することができる。
【0094】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の排気マニホールドにおける下流側の端部は、実施形態の排気マニホールド5のフランジ部に対応し、
以下同様に、
触媒支持構造体は、第3の触媒支持構造体70に対応し、
上側支持部材は、第3の上側支持部材71に対応し、
パワートレインは、エンジン2、及び変速機3に対応し、
下側支持部材は、第3の下側支持部材72に対応し、
組付け方向は、車両後方から車両前方に対応し
逆方向は、車両前方から車両後方に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0095】
例えば、上述した実施形態において、横置きのエンジン2を用いてエンジン2の排気装置4を説明したが、これに限定せず、例えば後輪駆動車の車両前部に配置される縦置きのエンジンであってもよい。
また、第1の触媒支持構造体30を、第1の下側支持部材31、中間支持部材32、及び第1の上側支持部材33で構成したが、これに限定せず、第1の下側支持部材31と中間支持部材32とを一体形成して、第1の下側支持部材としてもよい。
【0096】
また、触媒6の組付け方向を、車両後方から車両前方へ向かう方向としたが、これに限定せず、エンジン2のレイアウトや、排気マニホールド5の集合部5cにおける排気出口の開口方向に応じて、適宜の方向を組付け方向としてもよい。例えば、車幅方向左から車幅方向右へ向かう方向を組付け方向としてもよい。この際、第3の下側支持部材72の庇部726を、組付け方向に応じた形状になるように形成する。
【0097】
また、庇部726を有する第3の触媒支持構造体70としたが、これに限定せず、第1の触媒支持構造体30、または/および第2の触媒支持構造体50が、庇部を有する構成であってもよい。
また、排気マニホールド5のフランジ部と触媒6のフランジ部をVクランプで連結したが、これに限定せず、ボルトなどで締結固定する構成であってもよい。
【0098】
また、第1の触媒支持構造体30、及び第3の触媒支持構造体70がエンジン2の背面に連結され、第2の触媒支持構造体50が変速機3のコンバータハウジング3aに連結された構成としたが、これに限定せず、例えば、車体を構成する適宜の車体骨格部材に連結された触媒支持構造体であってもよい。
【0099】
また、第1の触媒支持構造体30が、触媒6における車幅方向右側後部を支持し、第2の触媒支持構造体50が、触媒6における車幅方向左側後部を支持し、第3の触媒支持構造体70が、触媒6における車幅方向左側前部を支持する構成としたが、これに限定せず、触媒6を支持可能であれば、触媒6の適宜の位置を支持する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…車両
2…エンジン
3…変速機
4…排気装置
5…排気マニホールド
6…触媒
10…Vクランプ
61…第1触媒
62…第2触媒
70…第3の触媒支持構造体
71…第3の上側支持部材
72…第3の下側支持部材
721…載置部
726…庇部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7