(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】電磁接触器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/30 20060101AFI20220809BHJP
H01H 50/38 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01H50/30 B
H01H50/38 A
H01H50/30 E
(21)【出願番号】P 2019040960
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 充哉
(72)【発明者】
【氏名】足立 日出央
(72)【発明者】
【氏名】中 康弘
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 裕也
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116257(JP,A)
【文献】特開2017-168383(JP,A)
【文献】国際公開第2011/115049(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料で形成した収納容器の中に、一対の固定接触子及び前記一対の固定接触子に接離可能な長尺な可動接触子が収納されている接点機構と、
前記接点機構の可動接触子が前記一対の固定接触子に接離する進退方向に前記可動接触子を駆動する電磁石ユニットと、
前記可動接触子が進退する際の回動変位を規制する摺動ガイドと、を備え、
前記摺動ガイドは、金属材料で形成され、
基板部と、
前記基板部から直交する方向に延在する複数のガイド片と、
前記基板部から前記ガイド片が延在する方向に対して逆側に突出している複数の弾性支持片と、を備え、
前記複数のガイド片は、前記収納容器内で前記可動接触子の幅方向の両側に配置され、
前記基板部及び前記複数の弾性支持片は、前記
収納容器の容器底部に配置されており、
前記複数の弾性支持片が、前記容器底部と前記容器底部に対向する前記電磁石ユニットの収納容器側部材とに挟持されて弾性変形し、当該複数の弾性支持片の弾性復元力が、前記基板部を前記容器底部側に押し付ける力として作用することを特徴とする電磁接触器。
【請求項2】
前記基板部は、長方形の板状に形成され、前記複数のガイド片は、前記基板部の2つの長辺の一方側から互いに対向して延在する第1及び第2ガイド片と、前記基板部の2つの長辺の他方側から互いに対向して延在する第3及び第4ガイド片と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の電磁接触器。
【請求項3】
前記基板部の2つの短辺から2つの前記弾性支持片が形成されていることを特徴とする請求項2記載の電磁接触器。
【請求項4】
前記基板部の2つの長辺から2つの前記弾性支持片が形成されていることを特徴とする請求項2記載の電磁接触器。
【請求項5】
前記基板部の一方の長辺から2つ以上の前記弾性支持片が形成され、前記基板部の他方の長辺から2つ以上の前記弾性支持片が形成されていることを特徴とする請求項2記載の電磁接触器。
【請求項6】
前記第1及び第2ガイド片に対して長辺の一方側の外側の位置に、前記基板部から前記弾性支持片が形成されているとともに、前記第3及び第4ガイド片に対して長辺の他方側の外側の位置に、前記基板部から前記弾性支持片が形成されていることを特徴とする請求項2記載の電磁接触器。
【請求項7】
前記基板部の一部に、前記複数の弾性支持片が延在している方向と同一方向に凸状に折曲された基板側弾性支持片が形成されており、
前記接点機構及び前記電磁石ユニットを一体に組み込んだ際に、前記基板側弾性支持片が、前記容器底部と前記容器底部に対向する前記電磁石ユニットの収納容器側部材とに挟持されて弾性変形し、当該基板側弾性支持片の弾性復元力が、前記基板部を前記容器底部側に押し付ける力として作用することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の電磁接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の固定接触子及び可動接触子の接離動作によって電流路の開閉を行う電磁接触器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器は、固定接点及び可動接点を有する接点機構と、この接点機構を駆動する電磁石ユニットとを備えている。
接点機構は、絶縁材料で形成した収納容器の中に、一対の固定接触子及び長尺な可動接触子を収納し、可動接触子は、一対の固定接触子の対向方向に長手方向が延在するとともに、長手方向の両端にそれぞれ可動接点が形成されている。
接点機構は、電磁石ユニットと一体に組み込むことで、可動接触子の中央部を支持する可動軸が電磁石ユニットに連結され、電磁石ユニットの駆動により可動接触子が進退すると、接点機構の可動接点が固定接点に接離して電流路の開閉が可能となる。
【0003】
電磁石ユニットの駆動により進退する可動接触子は、可動軸の軸周りに回動しやすく、可動接点と固定接点の対向関係がずれるので好ましくない。通常は、可動接触子が回動しようとすると、接点機構の収納容器の内壁に可動接触子の幅方向端面が当接することで、可動接触子の回動が規制される。しかし、可動接触子が進退する際に、可動接触子と収納容器の内壁との間で摺動磨耗が発生し、絶縁材料の磨耗粉が接点部間に介在すると、導通不良の原因になるおそれがある。
そこで、特許文献1では、接点機構に摺動ガイドを装着し、収納容器の内部に、可動接触子の幅方向の両端面で対向して可動接触子の進退方向に沿って延在する複数の金属性のガイド片を配置している。
【0004】
この摺動ガイドは、金属板を打ち抜き及び折り曲げ加工した部材であり、基板部と、基板部の周囲から折り曲げられた4本のガイド片を備えている。また、収納容器の底には、ガイド片を内部に挿通させる複数の貫通孔が形成されている。収納容器の底の貫通孔から複数のガイド片を挿通し、収納容器の内部にガイド片を配置し、収納容器の底に基板部を配置して摺動ガイドを装着する。
これにより、可動接触子が進退するときに、収納容器の内部に配置したガイド片に可動接触子の幅方向が接触するため導通不良を回避して電流路の信頼性を確保することができる。
【0005】
ここで、接点機構と電磁石ユニットを一体に組み込む際には、収納容器の底に当接している摺動ガイドの基板部に、合成ゴムなどの弾性体からなる緩衝部材を重ねて配置し、収納容器の底及び電磁石ユニットの接点機構側部材で基板部及び緩衝部材を挟み込んだ状態で接点機構と電磁石ユニットを一体化している。
緩衝部材は、基板部を収納容器の底に押し付けることで摺動ガイドを収納容器に確実に固定するとともに、接点機構の可動接点が固定接点に接離する際に収納容器に伝達される衝撃を吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、接点機構と電磁石ユニットを一体に組み込む際に緩衝部材を装着することは、部品点数及び組み立て工数が増加するので、製造コストの面で問題がある。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、摺動ガイドの固定機能と、接点機構の可動接点が固定接点に接離する際の収納容器の衝撃吸収機能を備えると同時に、部品点数及び組み立て工数を減少させて製造コストの低減化を図ることができる電磁接触器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電磁接触器は、絶縁材料で形成した収納容器の中に、一対の固定接触子及び一対の固定接触子に接離可能な長尺な可動接触子が収納されている接点機構の可動接触子が一対の固定接触子に接離する進退方向に前記可動接触子を駆動させる電磁石ユニットと、可動接触子が進退する際の回動変位を規制する摺動ガイドと、を備えている。摺動ガイドは、金属材料で形成され、基板部と、基板部から直交する方向に延在する複数のガイド片と、基板部からガイド片が延在する方向に対して逆側に突出している複数の弾性支持片と、を備えている。複数のガイド片は、収納容器の容器内で可動接触子の幅方向の両側に配置されている。そして、基板部及び複数の弾性支持片は、容器底部に配置されており、複数の弾性支持片が、容器底部と容器底部に対向する電磁石ユニットの収納容器側部材とに挟持されて弾性変形し、当該複数の弾性支持片の弾性復元力が、基板部を容器底部側に押し付ける力として作用するようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電磁接触器によれば、摺動ガイドの固定機能と、接点機構の可動接点が固定接点に接離する際の収納容器の衝撃吸収機能を備えると同時に、部品点数及び組み立て工数を減少させて製造コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の摺動ガイドを備えた電磁接触器を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の電磁接触器を構成する絶縁筒部の形状を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の絶縁筒部と、絶縁筒部に装着される摺動ガイドを示す図である。
【
図4】第1実施形態の摺動ガイドの形状を示す図である。
【
図5】接点機構及び電磁石ユニットを一体に組み込んだ際の絶縁筒部に装着された第1実施形態の摺動ガイドを示す図である。
【
図6】第2実施形態の摺動ガイドの形状を示す図である。
【
図7】第3実施形態の摺動ガイドの形状を示す図である。
【
図8】第4実施形態の摺動ガイドの形状を示す図である。
【
図9】第5実施形態の摺動ガイドの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の第1から第5実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す第1から第5実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
[第1実施形態の電磁接触器]
図1から
図5に示す本発明に係る第1実施形態の電磁接触器1は、接点機構2と、この接点機構2を駆動する電磁石ユニット20とを備えている。
接点機構2は接点収納ケース4に収納されており、接点収納ケース4は、金属製の角筒体5と、この角筒体5の上端を閉塞する例えばセラミックや合成樹脂材などの絶縁材料により形成した絶縁基板6とを備えている。
【0013】
角筒体5は、下部に形成したフランジ部7が電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21にシール接合されて固定されている。絶縁基板6には、貫通孔9,10が所定間隔をあけて形成されている。
接点機構2は、絶縁基板6に導体部11,12を介して固定されている一対の固定接触子13,14(以下、第1固定接触子13、第2固定接触子14と称する)と、これら第1及び第2固定接触子13,14に設けた第1及び第2固定接点13a,14aに第1及び第2可動接点15a,15bが対向している可動接触子15とを備えている。
【0014】
可動接触子15は、電磁石ユニット20の可動プランジャ22に固定された連結軸23に支持されており、可動接触子15の中央部に連結軸23を挿通する貫通孔24が形成されている。
連結軸23の長手方向の中央部には外方に突出するフランジ部25が形成されており、可動接触子15の貫通孔24に連結軸23を上端から挿入することで、可動接触子15の中央下部をフランジ部25に当接し、連結軸23の上部から接触スプリング26を挿入する。そして、連結軸23の上端に固定したCリング27で接触スプリング26の上端を固定することで、接触スプリング26が可動接触子15に対して所定の付勢力を付与している。
【0015】
また、接点収納ケース4の角筒体5の内周面には、有底角筒状に形成された絶縁筒部18が配設されている。この絶縁筒部18は、絶縁性の例えば合成樹脂を成形することによって形成され、金属製の角筒体5に対するアークの影響を遮断する絶縁機能を有する。
電磁石ユニット20は、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク28を有し、この磁気ヨーク28の底板部の中央部に固定プランジャ29が配置され、この固定プランジャ29の外側にスプール30が配置されている。
スプール30は、固定プランジャ29を挿通する中央円筒部31と、この中央円筒部31の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部32と、中央円筒部31の上端部から半径方向外方に突出する上フランジ部33とで構成されている。そして、中央円筒部31、下フランジ部32及び上フランジ部33で構成される収納空間に励磁コイル34が巻装されている。
【0016】
磁気ヨーク28の開放端となる上端に固定した上部磁気ヨーク21には、中央部にスプール30の中央円筒部31に対向する貫通孔21aが形成されている。
スプール30の中央円筒部31内に挿入された固定プランジャ29の上部は、有底筒状に形成されたキャップ35で覆われ、このキャップ35の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部35aが上部磁気ヨーク21の下面にシール接合されている。これによって、キャップ35が上部磁気ヨーク21の貫通孔21aを介して連通される密封容器が形成される。
【0017】
キャップ35の内部に、最下部に復帰スプリング36を配置した可動プランジャ22が上下に摺動可能に挿入される。この可動プランジャ22には、上部磁気ヨーク21から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部22aが形成されている。
上部磁気ヨーク21の上面に、環状に形成された駆動用永久磁石37が可動プランジャ22の周鍔部22aを囲むように固定されている。この駆動用永久磁石37は上下方向すなわち厚み方向に例えば上端側をN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。
駆動用永久磁石37の上端面に、駆動用永久磁石37と同一外形で可動プランジャ22の周鍔部22aの外径より小さい内径の貫通孔38を有する補助ヨーク39が固定されており、この補助ヨーク39の下面に、可動プランジャ22の周鍔部22aが接触している。
【0018】
接点機構2を構成する可動接触子15は、導電性のある材料とした
図1の左右方向に長尺な導電板であり、長手方向の中央部に連結軸23が連結されており、長手方向の両端側の下面に、第1可動接点15a及び第2可動接点15bが形成されている。
接点機構2を構成する第1固定接触子13及び第2固定接触子14は、導電性のある材料からなる側面視C字形状の導電板であり、可動接触子15の長手方向の両端側に離間し、絶縁基板6に導体部11,12を介して固定されている。
【0019】
第1固定接触子13は、可動接触子15の第1可動接点15a側に配置されており、可動接触子15の第1可動接点15aに下側から対向し、第1固定接点13aを上面に設けた第1導電板部13bと、可動接触子15から離れた第1導電板部13bの端部から折り曲げられて上方に延在している第2導電板部13cと、第2導電板部13cの上端から折り曲げられて可動接触子15の上方に延在している第3導電板部13dと、を備えている。
また、第2固定接触子14は、可動接触子15の第2可動接点15b側に配置されており、可動接触子15の第2可動接点15bに下側から対向し、第2固定接点14aを上面に設けた第1導電板部14bと、可動接触子15から離れた第1導電板部14bの端部から折り曲げられて上方に延在している第2導電板部14cと、第2導電板部14cの上端から折り曲げられて可動接触子15の上方に延在している第3導電板部14dと、を備えている。
【0020】
第1固定接触子13には、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー16が装着され、第2固定接触子14にも、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー17が装着されている。これにより、第1固定接触子13の内周面では、第1固定接点13aのみが露出し、第2固定接触子14の内周面では、第2固定接点14aのみが露出している。
また、第1固定接触子13の第2導電板部13cの内側面及び第2固定接触子14の第2導電板部14cの内側面を覆うように、平面から見てC字状の磁性体板19a,19bが装着されている。これにより、第1導電板部13b、14bを流れる電流によって発生する磁場をシールドすることができる。
【0021】
そして、可動接触子15は、釈放位置で、長手方向の両端側に位置する可動接点15a,15aと、固定接触子13,14の固定接点13a,14aが、所定間隔を保って離間した状態となる。
また、可動接触子15は、投入位置で、可動接点15a,15bが、固定接触子13,14の固定接点13a,14aに、接触スプリング26による所定の接触圧で接触するように設定されている。
【0022】
そして、上部磁気ヨーク21と、上部磁気ヨーク21の上面に接合された接点収納ケース4と、上部磁気ヨーク21の下面に接合され、内部に可動プランジャ22を収容するキャップ35とにより、接点機構2、連結軸23及び可動プランジャ22を収容する密封された収容室を構成している。この密封された接点収納ケース4内に、水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF
6等のガスが封入されている。
ここで、接点収納ケース4の内部に配置した絶縁筒部18には、可動接触子15の進退方向に沿って延びて可動接触子の回動変位を規制する摺動ガイド50が配置されており、
図1に示すように、絶縁筒部18の底板部41と補助ヨーク39との間には、摺動ガイド50を構成する基板部51及び弾性支持片58,59が配置されている。
【0023】
次に、摺動ガイド50の構成及び配置について、
図2から
図5を参照して説明する。
図2に示すように、絶縁筒部18は、角筒部40と、この角筒部40の下面側を閉塞する底板部41とで構成される。角筒部40の内部には、短辺方向で対向する1対の壁部42、43が、長手方向に2組形成されている。2組の壁部42、43には、下端部が底板部41に一体に連結している共に、内部に配置される可動接触子15の幅方向端面に対向する平坦な支持面44が形成されている。
【0024】
図3に示すように、底板部41には凹部45が設けられており、凹部45の底部45aには、可動接触子15に連結される連結軸23を挿通する貫通孔46が形成され、貫通孔46の周囲に円形突起47が形成されている。そして、円形突起47の周囲の底部45aに、4箇所のガイド片貫通孔48が形成されている。
摺動ガイド50は、金属板を打ち抜き及び折り曲げて形成したものであり、
図3及び
図4に示すように、長方形板状の基板部51と、基板部51の面を打ち抜いて形成した突起係合孔52と、が形成されている。
【0025】
また、基板部51の2つの長辺の一方側には、基板部51から直角に折曲された板状の第1及び第2ガイド片53,54が、互いの面を対向させながら立ち上がっている。また、基板部51の2つの長辺の他方側に、第1及び第2ガイド片53,54に対して同一方向に基板部51から直角に折曲された板状の第3及び第4ガイド片55,56が、互いの面を対向させながら立ち上がっている。そして、これら第1~第4ガイド片53~56の先端に、外側に向けて湾曲する円弧形状の当接部57が形成されている。
また、基板部51の2つの短辺には、第1~第4ガイド片53~56が立ち上がっている方向に対して逆側の方向に傾斜するように折曲された弾性支持片58,59が形成されている。
【0026】
図5は、摺動ガイド50を絶縁筒部18に装着し、接点機構2及び電磁石ユニット20を一体化するために角筒体5のフランジ部7と上部磁気ヨーク21とを固定したときの摺動ガイド50の配置を示すものである。
摺動ガイド50の第1~第4ガイド片53~56を絶縁筒部18の4箇所のガイド片貫通孔48に挿入すると、絶縁筒部18の内部に移動した第1~第4ガイド片53~56は、それぞれの当接部57が壁部42、43の支持面44に接触する。そして、第1及び第3ガイド片53,55が、絶縁筒部18に配置されている可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向し、第2及び第4ガイド片54,56が、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向する。
【0027】
また、摺動ガイド50の基板部51は凹部45の底部45aに沿って配置され、摺動ガイド50の弾性支持片58,59は、底部45aから離間する方向に突出して配置される。
そして、角筒体5のフランジ部7と電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21とを固定すると、摺動ガイド50の基端部51及び補助ヨーク39の間の距離(L1)が弾性支持片58,59の変形前の高さより小さく設定されているので、底部45aと補助ヨーク39の上面の間に配置された弾性支持片58,59は弾性変形し、底部45a及び補助ヨーク39の上面を押圧する方向に弾性復元力F1を発生する。
【0028】
このように、弾性変形した弾性支持片58,59が絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク39の上面を押圧する弾性復元力F1を発生することで、弾性支持片58,59が短辺から突出している基板部51が、絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着した状態で、摺動ガイド50が絶縁筒部18の底板部41に固定される。
ここで、本発明に記載されている収納容器が絶縁筒部18に対応し、本発明に記載されている容器底部が底部45aに対応し、本発明に記載されている電磁石ユニットの収納容器側部材が電磁石ユニット20の補助ヨーク39に対応している。
【0029】
次に、第1実施形態の電磁接触器1の動作を説明する。
今、電磁石ユニット20の励磁コイル34が無励磁状態にあって、電磁石ユニット20で可動プランジャ22を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。
この釈放状態では、可動プランジャ22が復帰スプリング36によって、上部磁気ヨーク21から離れる上方向に付勢される。これと同時に、駆動用永久磁石37の磁力による吸引力が補助ヨーク39に作用し、可動プランジャ22の周鍔部22aが吸引される。このため、可動プランジャ22の周鍔部22aの上面が補助ヨーク39の下面に接触している。
【0030】
このため、可動プランジャ22に連結軸23を介して連結されている接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して上方に所定距離だけ離間している。このため、第1固定接触子13及び第2固定接触子14の間の電流路が遮断状態にあり、接点機構2が開極状態となっている。
この釈放状態から、電磁石ユニット20の励磁コイル34に通電すると、この電磁石ユニット20で励磁力が発生し、可動プランジャ22を復帰スプリング36の付勢力及び駆動用永久磁石37の吸引力に抗して下方に押し下げる。この可動プランジャ22の下降が、周鍔部22aの下面が上部磁気ヨーク21の上面に当たることで停止する。
【0031】
このように、可動プランジャ22が下降することにより、可動プランジャ22に連結軸23を介して連結されている可動接触子15も下降し、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して接触スプリング26の接触圧で接触して投入状態となる。
【0032】
ここで、電磁石ユニット20の励磁力発生により可動接触子15が下降して投入状態となる場合、或いは、復帰スプリング36の付勢力及び駆動用永久磁石37の吸引力により可動接触子15が上昇して釈放状態となる場合には、可動接触子15が連結軸23回りに回動しようとする。そのとき、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド50の第1ガイド片53及び第3ガイド片55が一方の端面に当接し、或いは、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片54及び第4ガイド片56が他方の端面に当接する。このように、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が摺動ガイド50の第1~第4ガイド片53~56に規制されながら下降及び上昇を行う。
【0033】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入状態時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14に接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達される。この絶縁筒部18に伝達された衝撃は、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片58,59が吸収する。
【0034】
したがって、第1実施形態の電磁接触器1によると、可動接触子15が投入状態、或いは釈放状態となる際に、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド50の第1ガイド片53及び第3ガイド片55が一方の端面に当接し、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片54及び第4ガイド片56が他方の端面に当接し、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が規制される。これにより、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して一定の接触面積で接触することができる。
【0035】
また、可動接触子15が第1~第4ガイド片53~56に接触しているため、導通不良を回避して電流路の信頼性を確保することができる。
また、絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置された摺動ガイド50の弾性支持片58,59が弾性復元力F1を発生することで、基板部51が絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着されているので、絶縁筒部18の底板部41に、摺動ガイド50を確実に固定することができる。
【0036】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14bに接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達されると、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片58,59が衝撃を吸収することができる。
また、収納容器のガタツキを防止することもでき、組込時の不安定さを解消することができる。
【0037】
さらに、摺動ガイド50の弾性変形した弾性支持片58,59が、摺動ガイド50の絶縁筒部18に固定する機能と、接点機構2の投入時に発生する衝撃を吸収する機能及びガタツキ防止機構を同時に備えており、従来の電磁接触器のような絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置した緩衝部材が不要となり、部品点数及び組み立て工数を減少させ、電磁接触器1の製造コストの低減化を図ることができる。
【0038】
[第2実施形態の摺動ガイド]
次に、
図6に示すものは、本発明に係る第2実施形態の摺動ガイド60を示すものである。なお、
図1から
図5で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
第2実施形態の摺動ガイド60は、第1実施形態の摺動ガイド50と同様に、金属板を打ち抜き及び折り曲げて形成したものである。
摺動ガイド60は、長方形板状の基板部61と、基板部61の面を打ち抜いて形成した突起係合孔62と、を備えている。
【0039】
また、摺動ガイド60は、基板部61の2つの長辺の一方側に形成され、互いの面を対向させながら基板部61から立ち上がっている板状の第1及び第2ガイド片63,64と、基板部61の2つの長辺の他方側に形成され、第1及び第2ガイド片63,64に対して同一方向に基板部61から立ち上がり、互いの面を対向させている板状の第3及び第4ガイド片65,66とを、備えている。
また、第1~第4ガイド片63~66の先端には、外側に向けて湾曲する円弧形状の当接部67が形成されている。
【0040】
また、摺動ガイド60は、基板部61の2つの長辺に、第1~第4ガイド片63~66が立ち上がっている方向に対して逆側の方向に傾斜するように折曲された弾性支持片68,69が形成されている。
さらに、摺動ガイド60の基板部61には、短辺方向の中央部において長辺方向に延在し、弾性支持片68,69と同一方向に折曲されたV字形状の基板側弾性支持片70が形成されている。
【0041】
第2実施形態の摺動ガイド60は、第1~第4ガイド片63~66を絶縁筒部18の4箇所のガイド片貫通孔48に挿入すると、絶縁筒部18の内部に移動した第1~第4ガイド片63~66は、それぞれの当接部67が壁部42、43の支持面44に接触する。そして、第1及び第3ガイド片63,65が、絶縁筒部18に配置されている可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向し、第2及び第4ガイド片64,66が、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向する。
そして、摺動ガイド60の基板部61は絶縁筒部18の凹部45の底部45aに配置され、摺動ガイド60の弾性支持片68,69は、底部45aから離間する方向に突出して配置される。
【0042】
角筒体5のフランジ部7と電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21とを固定すると、摺動ガイド60の基端部61及び補助ヨーク39の間の距離(L1)が、弾性支持片68,69の変形前の高さより小さく設定され、基板部61に形成した変形前の基板側弾性支持片70の突出高さより小さく設定されているので、底部45aと補助ヨーク39の上面の間に配置された弾性支持片68,69、基板側弾性支持片70は弾性変形し、底部45a及び補助ヨーク39の上面を押圧する方向に弾性復元力を発生する。
このように、弾性変形した弾性支持片68,69及び基板側弾性支持片70が絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面を押圧する弾性復元力を発生することで、基板部61が、絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着した状態で、摺動ガイド60が絶縁筒部18の底板部41に固定される。
【0043】
次に、第2実施形態の摺動ガイド60を配置した電磁接触器1の作用について説明する。
電磁石ユニット20の励磁力発生により可動接触子15が下降して投入状態となる場合、或いは、復帰スプリング36の付勢力及び駆動用永久磁石37の吸引力により可動接触子15が上昇して釈放状態となる場合には、可動接触子15が連結軸23回りに回動しようとする。そのとき、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド60の第1ガイド片63及び第3ガイド片65が一方の端面に当接し、或いは、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片64及び第4ガイド片66が他方の端面に当接する。このように、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が摺動ガイド60の第1~第4ガイド片63~66に規制されながら下降及び上昇を行う。
【0044】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入状態時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14bに接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達される。この絶縁筒部18に伝達された衝撃は、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片68,69及び基板側弾性支持片70が吸収する。
【0045】
したがって、第2実施形態の摺動ガイド60を備えた電磁接触器1によると、可動接触子15が投入状態、或いは釈放状態となる際に、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド60の第1ガイド片63及び第3ガイド片65が一方の端面に当接し、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片64及び第4ガイド片66が他方の端面に当接し、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が規制される。これにより、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して一定の接触面積で接触することができる。
【0046】
また、可動接触子15が第1~第4ガイド片63~66に接触しているため、導通不良を回避して電流路の信頼性を確保することができる。
また、絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置された摺動ガイド60の弾性支持片68,69及び基板側弾性支持片70が弾性復元力を発生することで、基板部61が絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着されているので、絶縁筒部18の底板部41に、摺動ガイド60を確実に固定することができる。
【0047】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14bに接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達されると、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片68,69及び基板側弾性支持片70が衝撃を吸収することができる。
また、収納容器のガタツキを防止することもでき、組込時の不安定さを解消することができる。
【0048】
さらに、摺動ガイド50の弾性変形した弾性支持片68,69及び基板側弾性支持片70が、摺動ガイド60の絶縁筒部18に固定する機能と、接点機構2の投入時に発生する衝撃を吸収する機能及びガタツキ防止機構を同時に備えており、部品点数及び組み立て工数を減少させ、電磁接触器1の製造コストの低減化を図ることができる。
【0049】
[第3実施形態の摺動ガイド]
次に、
図7は、第3実施形態の摺動ガイド80を示すものである。
第3実施形態の摺動ガイド80は、金属板を打ち抜き及び折り曲げて形成したものであり、長方形板状の基板部81と、基板部81の面を打ち抜いて形成した突起係合孔82と、基板部81から立ち上がっている板状の第1及び第2ガイド片83,84と、第1及び第2ガイド片83,84に対して同一方向に基板部81から立ち上がり、互いの面を対向させている板状の第3及び第4ガイド片85,86とを、備えている。
【0050】
また、第1~第4ガイド片83~86の先端には、外側に向けて湾曲する円弧形状の当接部87が形成されている。
また、摺動ガイド80は、基板部81の一方の長辺に、第1~第4ガイド片83~86が立ち上がっている方向に対して逆側の方向に傾斜するように折曲された弾性支持片88a,88bが形成され、基板部61の他方の長辺に、弾性支持片88a,88bと同一方向に傾斜するように折曲された弾性支持片89a,89bが形成されている。
【0051】
第3実施形態の摺動ガイド80は、第1~第4ガイド片83~86を絶縁筒部18の4箇所のガイド片貫通孔48に挿入すると、絶縁筒部18の内部に移動した第1~第4ガイド片83~86は、それぞれの当接部87が壁部42、43の支持面44に接触する。そして、第1及び第3ガイド片83,85が、絶縁筒部18に配置されている可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向し、第2及び第4ガイド片84,86が、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向する。
そして、摺動ガイド80の基板部81を絶縁筒部18の凹部45の底部45aに沿って配置すると、摺動ガイド80の弾性支持片88a,88b,89a,89bは、底部45aから離間する方向に突出して配置される。
【0052】
角筒体5のフランジ部7と電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21とを固定すると、摺動ガイド80の基端部81及び補助ヨーク39の間の距離(L1)が、弾性支持片88a,88b,89a,89bの変形前の高さより小さく設定されているので、底部45aと補助ヨーク39の上面の間に配置された弾性支持片88a,88b,89a,89bは弾性変形し、底部45a及び補助ヨーク39の上面を押圧する方向に弾性復元力を発生する。
このように、弾性変形した弾性支持片88a,88b,89a,89bが絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面を押圧する弾性復元力を発生することで、基板部81が、絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着した状態で、摺動ガイド80が絶縁筒部18の底板部41に固定される。
【0053】
第3実施形態の摺動ガイド80を備えた電磁接触器1によると、可動接触子15が投入状態、或いは釈放状態となる際に、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド80の第1ガイド片83及び第3ガイド片85が一方の端面に当接し、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片84及び第4ガイド片86が他方の端面に当接し、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が規制される。これにより、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して一定の接触面積で接触することができる。
【0054】
また、可動接触子15が第1~第4ガイド片83~86に接触しているため、導通不良を回避して電流路の信頼性を確保することができる。
また、絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置された摺動ガイド80の弾性支持片88a,88b,89a,89bが弾性復元力を発生することで、基板部81が絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着されているので、絶縁筒部18の底板部41に、摺動ガイド80を確実に固定することができる。
【0055】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14bに接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達されると、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片88a,88b,89a,89bが衝撃を吸収することができる。
また、収納容器のガタツキを防止することもでき、組込時の不安定さを解消することができる。
【0056】
また、第3実施形態の摺動ガイド80は、4箇所の弾性支持片88a,88b,89a,89bを備えており、2箇所の弾性支持片58,59を備えた第1実施形態の摺動ガイド50と比較して、弾性復元力が大きく設定されるので、摺動ガイド80の固定力と絶縁筒部18に伝達される衝撃の吸収能力を高めることができる。
さらに、摺動ガイド80の弾性変形した弾性支持片88a,88b,89a,89bが、摺動ガイド80の絶縁筒部18に固定する機能と、接点機構2の投入時に発生する衝撃を吸収する機能及びガタツキ防止機構を同時に備えているので、部品点数及び組み立て工数を減少させ、電磁接触器1の製造コストの低減化を図ることができる。
【0057】
[第4実施形態の摺動ガイド]
次に、
図8は、第4実施形態の摺動ガイド90を示すものである。
第4実施形態の摺動ガイド90も、金属板を打ち抜き及び折り曲げて形成したものであり、長方形板状の基板部91と、基板部91の面を打ち抜いて形成した突起係合孔92と、基板部91から立ち上がっている板状の第1及び第2ガイド片93,94と、第1及び第2ガイド片93,94に対して同一方向に基板部91から立ち上がり、互いの面を対向させている板状の第3及び第4ガイド片95,96とを、備えている。
【0058】
また、第1~第4ガイド片93~96の先端には、外側に向けて湾曲する円弧形状の当接部97が形成されている。
また、摺動ガイド90は、基板部91の一方の短辺側に、第1,第2ガイド片93、94より外側の位置で第1,第2ガイド片93、94の立ち上がり方向に対して逆側の方向に傾斜するように折曲された弾性支持片98a,98bが形成されている。また、基板部91の他方の短辺側に、第3,第4ガイド片95、96より外側の位置で第3,第4ガイド片95、96の立ち上がり方向に対して逆側の方向に傾斜するように折曲された弾性支持片99a,99bが形成されている。
【0059】
第4実施形態の摺動ガイド90は、第1~第4ガイド片93~96を絶縁筒部18の4箇所のガイド片貫通孔48に挿入すると、絶縁筒部18の内部に移動した第1~第4ガイド片93~96は、それぞれの当接部97が壁部42、43の支持面44に接触する。そして、第1及び第3ガイド片93,95が、絶縁筒部18に配置されている可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向し、第2及び第4ガイド片94,96が、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向する。
そして、摺動ガイド90の基板部91を絶縁筒部18の凹部45の底部45aに沿って配置すると、摺動ガイド90の弾性支持片98a,98b,99a,99bは、底部45aから離間する方向に突出して配置される。
【0060】
角筒体5のフランジ部7と電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21とを固定すると、摺動ガイド60の基端部61及び補助ヨーク39の間の距離(L1)が、弾性支持片98a,98b,99a,99bの変形前の高さより小さく設定されているので、底部45aと補助ヨーク39の上面の間に配置された弾性支持片98a,98b,99a,99bは弾性変形し、底部45a及び補助ヨーク39の上面を押圧する方向に弾性復元力を発生する。
このように、弾性変形した弾性支持片98a,98b,99a,99bが絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面を押圧する弾性復元力を発生することで、基板部91が、絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着した状態で、摺動ガイド90が絶縁筒部18の底板部41に固定される。
【0061】
第4実施形態の摺動ガイド90を備えた電磁接触器1によると、可動接触子15が投入状態、或いは釈放状態となる際に、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド90の第1ガイド片93及び第3ガイド片95が一方の端面に当接し、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片94及び第4ガイド片96が他方の端面に当接し、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が規制される。これにより、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して一定の接触面積で接触することができる。
【0062】
また、可動接触子15が第1~第4ガイド片93~96に接触しているため、導通不良を回避して電流路の信頼性を確保することができる。
また、絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置された摺動ガイド80の弾性支持片98a,98b,99a,99bが弾性復元力を発生することで、基板部81が絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着されているので、絶縁筒部18の底板部41に、摺動ガイド90を確実に固定することができる。
【0063】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14bに接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達されると、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片98a,98b,99a,99bが衝撃を吸収することができる。
また、収納容器のガタツキを防止することもでき、組込時の不安定さを解消することができる。
【0064】
また、第4実施形態の摺動ガイド90は、第1~第4ガイド片93~96に対して長辺方向の外側に弾性支持片98a,98b,99a,99bが形成され、弾性支持片98a,98bと弾性支持片99a,99bとの間隔が広く設定されているので、絶縁筒部18の底板部41に対する押し付け力を高めることができる。
さらに、摺動ガイド90の弾性変形した弾性支持片98a,98b,99a,99bが、摺動ガイド90の絶縁筒部18に固定する機能と、接点機構2の投入時に発生する衝撃を吸収する機能及びガタツキ防止機構を同時に備えているので、部品点数及び組み立て工数を減少させ、電磁接触器1の製造コストの低減化を図ることができる。
【0065】
[第5実施形態の摺動ガイド]
次に、
図9は、第5実施形態の摺動ガイド100を示すものである。
第5実施形態の摺動ガイド100も、金属板を打ち抜き及び折り曲げて形成したものであり、長方形板状の基板部101と、基板部101の面を打ち抜いて形成した突起係合孔102と、基板部101から立ち上がっている板状の第1及び第2ガイド片103,104と、第1及び第2ガイド片103,104に対して同一方向に基板部101から立ち上がり、互いの面を対向させている板状の第3及び第4ガイド片105,106とを、備えている。
【0066】
また、第1~第4ガイド片103~106の先端には、外側に向けて湾曲する円弧形状の当接部107が形成されている。
また、摺動ガイド100は、基板部101の一方の短辺側に、第1,第2ガイド片103、104より外側の位置で第1,第2ガイド片103、104の立ち上がり方向に対して逆側の方向に凸状に湾曲するように折曲された弾性支持片108a,108bが形成されている。また、基板部101の他方の短辺側に、第3,第4ガイド片105、106より外側の位置で第3,第4ガイド片105、106の立ち上がり方向に対して逆側の方向に凸状に湾曲するように折曲された弾性支持片109a,109bが形成されている。
【0067】
第5実施形態の摺動ガイド100は、第1~第4ガイド片103~106を絶縁筒部18の4箇所のガイド片貫通孔48に挿入すると、絶縁筒部18の内部に移動した第1~第4ガイド片103~106は、それぞれの当接部97が壁部42、43の支持面44に接触する。そして、第1及び第3ガイド片103,105が、絶縁筒部18に配置されている可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向し、第2及び第4ガイド片104,106が、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向する。
そして、摺動ガイド100の基板部101を絶縁筒部18の凹部45の底部45aに沿って配置すると、摺動ガイド100の弾性支持片108a,108b,109a,109bは、底部45aから離間する方向に突出して配置される。
【0068】
角筒体5のフランジ部7と電磁石ユニット20の上部磁気ヨーク21とを固定すると、摺動ガイド60の基端部61及び補助ヨーク39の間の距離(L1)が、弾性支持片108a,108b,109a,109bの変形前の高さより小さく設定されているので、底部45aと補助ヨーク39の上面の間に配置された弾性支持片108a,108b,109a,109bは弾性変形し、底部45a及び補助ヨーク39の上面を押圧する方向に弾性復元力を発生する。
このように、弾性変形した弾性支持片108a,108b,109a,109bが絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面を押圧する弾性復元力を発生することで、基板部101が、絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着した状態で、摺動ガイド100が絶縁筒部18の底板部41に固定される。
【0069】
第5実施形態の摺動ガイド100を備えた電磁接触器1によると、可動接触子15が投入状態、或いは釈放状態となる際に、可動接触子15の幅方向の一方の端面に対向して配置された摺動ガイド100の第1ガイド片103及び第3ガイド片105が一方の端面に当接し、可動接触子15の幅方向の他方の端面に対向して配置された第2ガイド片104及び第4ガイド片106が他方の端面に当接し、可動接触子15は、連結軸23回りの回動が規制される。これにより、接点機構2の可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14aに対して一定の接触面積で接触することができる。
【0070】
また、可動接触子15が第1~第4ガイド片103~106に接触しているので、導通不良を回避して電流路の信頼性を確保することができる。
また、絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置された摺動ガイド100の弾性支持片108a,108b,109a,109bが弾性復元力を発生することで、基板部81が絶縁筒部18の底部45aに押し付けられて密着されているので、絶縁筒部18の底板部41に、摺動ガイド100を確実に固定することができる。
【0071】
また、電磁石ユニット20の励磁力発生による接点機構2の投入時に、可動接触子15の第1可動接点15a,第2可動接点15bが、第1固定接触子13の第1固定接点13a、第2固定接触子14の第2固定接点14bに接触する際の衝撃が絶縁筒部18に伝達されると、弾性変形した状態で絶縁筒部18の底部45a及び補助ヨーク49の上面の間に配置されている弾性支持片108a,108b,109a,109bが衝撃を吸収することができる。
また、収納容器のガタツキを防止することもでき、組込時の不安定さを解消することができる。
【0072】
また、第5実施形態の摺動ガイド100は、第1~第4ガイド片103~106に対して長辺方向の外側に弾性支持片108a,108b,109a,109bが形成され、弾性支持片108a,108bと弾性支持片109a,109bとの間隔が広く設定されているので、絶縁筒部18の底板部41に対する押し付け力を高めることができる。
さらに、摺動ガイド100の弾性変形した弾性支持片108a,108b,109a,109bが、摺動ガイド100の絶縁筒部18に固定する機能と、接点機構2の投入時に発生する衝撃を吸収する機能及びガタツキ防止機構を同時に備えているので、部品点数及び組み立て工数を減少させ、電磁接触器1の製造コストの低減化を図ることができる。
【0073】
なお、
図6で示した第2実施形態の摺動ガイド60は、基板部61に基板側弾性支持片70を形成しているが、他の第1、第3~5実施形態の基板部に基板側弾性支持片70を形成しても、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 電磁接触器
2 接点機構
4 接点収納ケース
5 角筒体
6 絶縁基板
7 フランジ部
9,10 貫通孔
11,12 導体部
13 第1固定接触子
13a 第1固定接点
13b 第1導電板部
13c 第2導電板部
13d 第3導電板部
14 第2固定接触子
14a 第2固定接点
14b 第1導電板部
14c 第2導電板部
14d 第3導電板部
15 可動接触子
15a 第1可動接点
15b 第2可動接点
16,17 絶縁カバー
18 絶縁筒部
19a,19b 磁性体板
20 電磁石ユニット
21 上部磁気ヨーク
21a 貫通孔
22 可動プランジャ
23 連結軸
24 貫通孔
25 フランジ部
26 接触スプリング
27 Cリング
28 磁気ヨーク
29 固定プランジャ
30 スプール
31 中央円筒部
32 下フランジ部
33 上フランジ部
34 励磁コイル
35 キャップ
36 復帰スプリング
37 駆動用永久磁石
38 貫通孔
39 補助ヨーク
40 角筒部
41 底板部
42、43 壁部
44 支持面
45 凹部
45a 底部
46 貫通孔
47 円形突起
48 ガイド片貫通孔
50 摺動ガイド
51 基板部
52 突起係合孔
53 第1ガイド片
54 第2ガイド片
55 第3ガイド片
56 第4ガイド片
57 当接部
58,59 弾性支持片
60 摺動ガイド
61 基板部
62 突起係合孔
63 第1ガイド片
64 第2ガイド片
65 第3ガイド片
66 第4ガイド片
67 当接部
68,69 弾性支持片
70 基板側弾性支持片
80 摺動ガイド
81 基板部
82 突起係合孔
83 第1ガイド片
84 第2ガイド片
85 第3ガイド片
86 第4ガイド片
87 当接部
88a,88b,89a,89b 弾性支持片
90 摺動ガイド
91 基板部
92 突起係合孔
93 第1ガイド片
94 第2ガイド片
95 第3ガイド片
96 第4ガイド片
97 当接部
98a,98b,99a,99b 弾性支持片
100 摺動ガイド
101 基板部
102 突起係合孔
103 第1ガイド片
104 第2ガイド片
105 第3ガイド片
106 第4ガイド片
107 当接部
108a,108b,109a,109b 弾性支持片