(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】無線機
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20220809BHJP
H04B 1/40 20150101ALI20220809BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H04M1/00 H
H04B1/40
H04B1/04 L
(21)【出願番号】P 2019045366
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 正臣
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-312266(JP,A)
【文献】特開2000-307769(JP,A)
【文献】特開2003-008746(JP,A)
【文献】特開2010-130058(JP,A)
【文献】特開2002-111520(JP,A)
【文献】特開2011-166660(JP,A)
【文献】特開2016-100766(JP,A)
【文献】特開2006-191631(JP,A)
【文献】特表2008-516538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00-31/00
H04B1/02-1/04
1/38-1/58
7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を送信する送信動作と音声を受信する受信動作とを一定の時間間隔で自動的に繰り返す動作モードを備え、
前記動作モードが実行中にマイクから音声が入力された場合、前記入力された音声を録音する音声記録部と、
前記動作モードが実行中の送信動作時に、入力された音声を送信する送信制御部と、
前記音声記録部での記録を制御する録音制御部と、
を備え、
前記送信制御部は、送信動作時に、前記マイクから音声が入力されない場合、前記音声記録部に録音された音声を送信することを特徴とする無線機。
【請求項2】
前記録音制御部は、前記音声記録部に先に録音された音声を、前記マイクから入力された新たな音声で置き換えて録音することを特徴とする請求項1に記載の無線機。
【請求項3】
前記送信制御部は、先に録音された音声から順次送信することを特徴とする請求項1に記載の無線機。
【請求項4】
前記マイクを通じて、所定の閾値以上の音声レベルの音声を検出した場合に、前記マイクから音声が入力されたと判定する音声入力判定部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項5】
前記録音制御部は、外部機器からの信号に基づき、前記音声記録部に録音された音声の少なくとも一部の削除、または、前記音声記録部への音声の録音を停止することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項6】
前記動作モードは、外部機器からの信号に基づき終了することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の無線機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の時間間隔で音声を送信する送信動作と音声を受信する受信動作とを自動的に繰り返す動作モードを備えた無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTT(Push To Talk)スイッチを備えた無線機が知られている。この種の無線機は、PTTスイッチが押されていない状態では他の無線機からの音声の受信を待ち受け、PTTスイッチが押されると、マイクから入力された音声を他の無線機に送信することができる。また、この種の無線機には緊急通報機能を有するものがあり、予め設定された時間間隔で、音声の送信動作と受信動作とを交互に自動的に繰り返し、送信動作時にPTTスイッチを押さずとも音声を送信し会話をすることができる。一方、緊急通報機能に関する別の技術として、緊急時に送信者が発話できない場合に関する技術が特許文献1、2に記載されている。特許文献1、2によれば、緊急時に送信者が発話できなくなることを想定して、予め録音された音声を緊急通報時に送信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-312266号公報
【文献】特開平6-30158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の技術では、送信者が発話できない場合に送信される音声は予め録音された情報であった。しかしながら、緊急時にはなるべく最新の情報を送信することが望まれる。すなわち、送信者の直近の発話を相手先に伝えることが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、送信者が発話できない状況であっても、直近の情報を相手先に伝えることができる無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る無線機は、音声を送信する送信動作と音声を受信する受信動作とを一定の時間間隔で自動的に繰り返す動作モードを備え、動作モードが実行中にマイクから音声が入力された場合、入力された音声を録音する音声記録部と、動作モードが実行中の送信動作時に、入力された音声を送信する送信制御部と、音声記録部での記録を制御する録音制御部と、を備え、送信制御部は、送信動作時に、マイクから音声が入力されない場合、音声記録部に録音された音声を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる無線機は、音声を送信する送信動作と音声を受信する受信動作とを一定の時間間隔で自動的に繰り返す動作モードを備え、この動作モードが実行中に音声が入力された場合には、入力された音声を録音して送信することで、緊急状態の送信者の負担を軽減しつつ、送信者の状況を相手先に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る無線機を備えた無線通信システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、緊急通報モードにおける無線機の基本動作を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、音声が入力された際の無線機の動作を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る無線機の緊急通報モード時の動作を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る無線機を備えた無線通信システムの概略構成図であり、
図2は、無線機の機能ブロック図である。無線通信システム1は、
図1に示すように、複数台(
図1では3台)の無線機10と、これら無線機10に接続される基地局(外部機器)30とを備える。無線通信システム1は、複数台の無線機10と基地局30とを中継する中継局(不図示)含んでもよい。基地局30は、いずれかの無線機10から受信した音声データを含む信号を通信圏A内に存在する他の無線機10に送信する。また、基地局30は、通信圏A内に存在する無線機10に向けて該無線機10の動作を制御するための信号を送信することもできる。無線機10は、基地局30を介して、例えば、半二重無線通信を行う。この半二重無線通信は、データの送信と受信を同時に行えず、時間を区切って送信および受信の一方しか行うことができない無線通信の形態である。
図1の例では、無線通信システム1には、3台の無線機10が含まれているが、これに限らず、無線通信システム1に含まれる無線機10の台数は任意である。また、
図1で無線機10同士は基地局や中継局を介して通信を行う例を示しているが、基地局や中継局を介さず、無線機10同士、直接通信を行う形態も含まれる。
【0011】
無線機10は移動型無線機であり、ユーザが通信をしたまま通信圏A内を移動することが可能である。無線機10は、
図2に示すように、制御部11と、無線通信回路12と、記憶部13と、音声記録部14と、PTTスイッチ15と、緊急スイッチ16と、マイクロフォン(マイク)17と、スピーカ18とを備える。本実施形態の無線機10は、PTTスイッチ15が押されていない状態では他の無線機10からの音声の受信を待ち受け、PTTスイッチ15が押されると、入力された音声を他の無線機10に送信する通常動作モード、及び、緊急スイッチ16が押されると、一定の時間で音声を送信する送信動作と音声を受信する受信動作とを自動的に繰り返す緊急通報モードを実行するように構成されている。緊急通報モードでは、PTTスイッチ15を送信の度に操作する必要がなく、送信者の緊急状況を容易、かつ確実に伝達することができる。
【0012】
制御部11は、マイクロプロセッサまたはマイクロコンピュータで構成することができる。制御部11は、機能的な内部構成として、中央制御部20、通信制御部(送信制御部)21、録音制御部22及び音声入力判定部23を有する。これら中央制御部20、通信制御部21、録音制御部22及び音声入力判定部23は、ソフトウェア(コンピュータプログラム)で構成されていてもよいし、ハードウェアで構成されていてもよい。さらに、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせて構成してもよい。
【0013】
中央制御部20は、無線機10の動作全般を制御し、例えば、緊急スイッチ16が押されると緊急通報モードに移行して動作を制御する。通信制御部21は、無線通信回路12の動作を制御する。例えば、緊急通報モードでは、無線通信回路12を一定の時間で音声を送信する送信動作と、音声を受信する受信動作とを自動的に繰り返すように制御する。録音制御部22は、緊急通報モード時に、マイクロフォン17を通じて入力された音声を音声記録部14に録音(記憶)する動作、または、音声記録部14から削除する動作を制御する。音声入力判定部23は、マイクロフォン17を通じて音声が入力されたか否かを判定する。具体的には、音声入力判定部23は、所定の閾値以上の音声レベルの音声を検出した場合に、マイクロフォン17から音声が入力されたと判定する。
【0014】
無線通信回路12は、無線による基地局30との音声データの送受信を処理するものであり、音声データを送受信するアンテナ12Aが接続されている。記憶部13は、各種のデータや動作プログラムを記憶する。記憶部13には、通常動作モードプログラムと緊急通報モードプログラムとが記憶されている。音声記録部14は、マイクロフォン17を通じて入力された音声を録音(記憶)する。これらの記憶部13及び音声記録部14は、例えば、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子を用いることができるが、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置であってもよい。また、記憶部13及び音声記録部14は、別体としてもよいし、領域を分けて一体的に形成してもよい。
【0015】
PTTスイッチ15は、他の無線機10と通信するために無線機10を送信状態とするための押しボタンである。緊急スイッチ16は、主に基地局30に対して、一定の時間で音声を送信する送信動作と、音声を受信する受信動作とを自動的に繰り返す緊急通報モードに移行するための押しボタンである。この緊急スイッチ16は、通常時に誤って操作しない場所に設けられ、
図1に示す無線機10の上面部にアンテナ12Aと並んで配置されている。マイクロフォン17は、入力された音声を電気信号に変換する。スピーカ18は、受信した電気信号を音声に変換して出力する。
【0016】
次に、緊急通報モードが実行された際の無線機10の動作について説明する。
図3は、緊急通報モードにおける無線機の基本動作を模式的に示す図である。
図4は、音声が入力された際の無線機の動作を模式的に示す図である。
図5及び
図6は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。本実施形態では、無線機10のユーザは、例えば警察官であり、緊急事態として警察官が銃撃によって負傷した状況を想定する。
【0017】
上記したように、無線機10の緊急スイッチ16が押されると、中央制御部20は記憶部13に記憶された緊急通報モードプログラムを実行し、緊急通報モードに移行して無線機10の動作を制御する。具体的には、
図3に示すように、無線機10(通信制御部21)は、n秒間(一定の時間)、基地局30に音声を送信する送信動作SAと、n秒間(一定の時間)基地局30または基地局30を介した他の無線機10(
図1)からの音声を受信する受信動作RAを自動的に交互に繰り返す。このように、緊急通報モードでは、送信動作SAと受信動作RAとが交互に繰り返されるため、送信動作SAは、n秒の間隔をあけて周期的に開始される。送信動作SA及び受信動作RAを実施される時間(n秒間)は、それぞれ任意に設定することができ、例えば、送信動作SAの時間を受信動作RAの時間よりも長く設定してもよい。
【0018】
緊急通報モードが実行されると、音声入力判定部23は、送信動作SAのタイミング(時間内)でマイクロフォン17を通じて音声の入力があるかを監視する。具体的には、音声入力判定部23は、所定の閾値以上の音声レベルの音声を検出した場合に、マイクロフォン17から音声が入力されたと判定する。この構成によれば、無線機10の周囲の雑音が誤って入力される事態を防止することができ、ユーザが発した音声の入力の有無を判定できる。
【0019】
図4に示すように、送信動作SAのタイミングでマイクロフォン17を通じて音声『SOS!×××付近で撃たれた』の入力があった場合、無線機10(通信制御部21)は、この入力された音声『SOS!×××付近で撃たれた』の音声データ41を基地局30に送信する。また、無線機10(録音制御部22)は、
図5に示すように、入力された音声『SOS!×××付近で撃たれた』の音声データ41を音声記録部14に記録(録音)する。
【0020】
ここで、警察官が銃撃によって負傷した場合のように、負傷により喋れなくなった(マイクロフォン17を通じて音声の入力ができなくなった)場合、無線機10を通じて、送信者(警察官)の状況を相手先(基地局30、他の無線機10)に伝達できない状況となる。このため、本構成では、次回以降の送信動作SAにおいて、この送信動作SAの開始から所定時間(m秒;0≦m<nの範囲で任意に設定できるものとする)音声の入力が無かったと判定された場合、無線機10(通信制御部21)は、音声記録部14に記録された音声データ41を送信する。この場合、音声データ41は、送信動作SAが終了するまで繰り返し再生して送信される。この構成によれば、ユーザは、少なくとも一度、マイクロフォン17に向けて喋るだけで良いため、緊急の状態にあるユーザの負担を軽減しつつ、送信者の状況を相手先に容易に伝達することができる。
【0021】
更に、それ以降の送信動作SA中に、マイクロフォン17を通じて新たな音声『犯人は△△方面へ逃走』の入力があった場合、無線機10(録音制御部22)は、
図6に示すように、入力された新たな音声『犯人は△△方面へ逃走』の音声データ42を、先に記録された音声データ41(
図5)に置き換えて(上書きして)音声記録部14に記録(録音)する。また、無線機10(通信制御部21)は、音声記録部14に記録された新たな音声データ42を送信する。この場合にも、新たな音声データ42は、送信動作SAが終了するまで繰り返し再生して送信される。この構成によれば、送信者の状況変化に迅速に対応して、送信者の状況変化を相手先に容易に伝達することができる。
【0022】
なお、本実施形態では、基地局30(外部機器)から所定の操作信号を受信した場合、無線機10(録音制御部22)は、受信した操作信号に基づいて、音声記録部14に録音された音声データの少なくとも一部の削除、または、音声記録部14への新たな音声データの録音を停止するようになっている。この構成によれば、例えば、長時間に亘って同じ音声データが繰り返し再生されている場合や、無線機10の周囲で発した大きな音によって音声記録部14に記録された音声データが置き換えられる事態を防止できる。また、音声記録部14に記録された音声データの代わりに、無線機10の周囲の音をリアルタイムで送信することにより、無線機10の周囲の環境を確認することもできる。さらに、基地局30から受信した操作信号により緊急通報モードを解除して通常モードに移行してもよい。
【0023】
また、本実施形態では、送信動作SAのタイミングでマイクロフォン17を通じて入力された音声を音声記録部14に記録しているが、受信動作RAのタイミングでマイクロフォン17を通じて入力された音声データを音声記録部14に記録してもよい。この構成によれば、ユーザが受信動作RAのタイミングで発した音声データを記録し、この音声データを基地局30に送信することができるため、送信者の状況を相手先に確実に伝達することができる。
【0024】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る無線機の緊急通報モード時の動作について説明する。
図7は、実施形態2に係る無線機の緊急通報モード時の動作を模式的に示す図である。
図8は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。
図9は、音声記録部に記憶された音声データを模式的に示す図である。本実施形態においても、無線機10のユーザは、警察官であり、緊急事態として警察官が銃撃によって負傷した状況を想定する。無線機10の構成は、上記した実施形態1と同一であるため説明は省略する。実施形態2では、音声記録部14に記憶される音声データの取り扱いが異なる。
【0025】
無線機10の緊急スイッチ16が押されると、実施形態1と同様に、無線機10(通信制御部21)は、n秒間(一定の時間)、基地局30に音声を送信する送信動作SAと、n秒間(一定の時間)基地局30または基地局30を介した他の無線機10(
図1)からの音声を受信する受信動作RAを自動的に交互に繰り返す。また、音声入力判定部23は、送信動作SAのタイミング(時間内)でマイクロフォン17を通じて音声の入力があるかを監視する。
【0026】
図7に示すように、送信動作SAのタイミングでマイクロフォン17を通じて音声『SOS!×××付近で撃たれた』の入力があった場合、無線機10(通信制御部21)は、この入力された音声『SOS!×××付近で撃たれた』の音声データ41を基地局30に送信する。また、無線機10(録音制御部22)は、
図8に示すように、入力された音声『SOS!×××付近で撃たれた』の音声データ41と、該音声データ41が入力された時刻『2018/3/25 13:25:40』の時刻データ50とを紐づけて音声記録部14に記録(録音)する。なお、無線機10(通信制御部21)は、時刻データ50をテキストデータとして基地局30に送信してもよい。
【0027】
次回以降の送信動作SAにおいて、この送信動作SAの開始から所定時間(m秒;0≦m<nの範囲で任意に設定できるものとする)音声の入力が無かったと判定された場合、無線機10(通信制御部21)は、音声記録部14に記録された音声データ41を送信する。この場合、音声データ41は、送信動作SAが終了するまで繰り返し再生して送信される。
【0028】
次に、それ以降の送信動作SA中に、マイクロフォン17を通じて新たな音声『至急救急車の手配願う』の入力があった場合、無線機10(録音制御部22)は、
図8に示すように、入力された新たな音声『至急救急車の手配願う』の音声データ43を、先に記録された音声データ41に追加して音声記録部14に記録(録音)する。この新たな音声『至急救急車の手配願う』の音声データ43も、該音声データ43が入力された時刻『2018/3/25 13:30:10』の時刻データ51と紐づけられて音声記録部14に記録(録音)される。
【0029】
音声記録部14に新たな音声データ43が記録されると、無線機10(通信制御部21)は、音声記録部14に記録された先の音声データ41及び新たな音声データ43を送信する。この場合、無線機10(通信制御部21)は、時刻データに基づいて、先に記録された音声データから順次送信する。この構成によれば、時系列に従って音声データが送信されるため、送信者の状況変化を相手先に容易に伝達することができる。
【0030】
無線機10(通信制御部21)は、
図7に示すように、先の音声データ41及び新たな音声データ43を、送信動作SAが終了するまで繰り返し再生して送信することができる。この構成によれば、送信者の状況変化を相手先に確実に伝達することができる。また、無線機10(通信制御部21)は、複数の音声データの再生時間(記録時間)の合計が送信動作SAの時間(n秒間)を超える場合には、最も時刻データの古い音声データを除いて送信してもよい。この構成によれば、比較的直近の音声データを送信することができ、送信者の直近の状況を相手先に伝達することができる。
【0031】
なお、本実施形態においても、基地局30(外部機器)から所定の操作信号を受信した場合、無線機10(録音制御部22)は、受信した操作信号に基づいて、音声記録部14に録音された音声データの少なくとも一部の削除、または、音声記録部14への新たな音声データの録音を停止するようになっている。特に、本実施形態のように、複数の音声データが繰り返し送信される構成では、古い音声データを削除することにより、送信者の直近の状況を共有することができる。また、音声記録部14に記録された音声データの代わりに、無線機10の周囲の音をリアルタイムで送信することにより、無線機10の周囲の現在の環境を確認することもできる。さらに、基地局30から受信した操作信号により緊急通報モードを解除して通常モードに移行してもよい。
【0032】
また、本実施形態においても、受信動作RAのタイミングでマイクロフォン17を通じて入力された音声データを時刻データと紐づけて音声記録部14に記録してもよい。この構成によれば、緊急スイッチ16が押された後の音声データを逐一記録して基地局30に送信できるため、送信者の状況変化を相手先に確実に伝達することができる。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態に係る無線機10は、音声を送信する送信動作SAと音声を受信する受信動作RAとを一定の時間間隔で自動的に繰り返す緊急通報モードを実行可能に構成され、この緊急通報モードが実行中にマイクロフォン17から音声が入力された場合、入力された音声を録音する音声記録部14と、緊急通報モードが実行中の送信動作SA時に入力された音声を送信する通信制御部21と、音声記録部14の動作を制御する録音制御部22と、を備え、通信制御部21は、次回以降の送信動作SA時に、マイクロフォン17から音声が入力されない場合、音声記録部14に録音された音声データを送信するため、緊急状態のユーザの負担を軽減しつつ、送信者であるユーザの状況を相手先に伝達することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、録音制御部22は、音声記録部14に先に記録された音声データに、マイクロフォン17から入力された新たな音声データを置き換えて記録するため、常に最新の音声データを送信することができ、送信者の最新の状況を相手先に伝達することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、録音制御部22は、音声記録部14に先に記録された音声データに、マイクロフォン17から入力された新たな音声データを追加して記録するため、複数の音声データを送信することができ、送信者の状況変化を相手先に伝達することができる。
【0036】
更に、本実施形態によれば、通信制御部21は、音声記録部14に先に記録された音声データから順次送信するため、時系列に従って音声データを送信することができ、送信者の状況変化を相手先に容易かつ確実に伝達することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、録音制御部22は、緊急通報モードが実行中の受信動作RA時に、マイクロフォン17から音声が入力された場合、この入力された音声データを音声記録部14に記録するため、送信動作SA時以外の送信者の状況を相手先に伝達することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、マイクロフォン17を通じて、所定の閾値以上の音声レベルの音声を検出した場合に、マイクロフォン17から音声が入力されたと判定する音声入力判定部23を備えるため、無線機10の周囲の雑音が誤って入力される事態を防止することができ、ユーザが発した音声の入力の有無を正確に判定できる。
【0039】
また、本実施形態によれば、録音制御部22は、基地局30からの信号に基づき、音声記録部14に記録された音声データの少なくとも一部の削除、または、音声記録部14への音声データの記録を停止するため、例えば、長時間に亘って同じ音声データが繰り返し再生されている場合や、無線機10の周囲で発した大きな音によって音声記録部14に記録された音声データが置き換えられる事態を防止できる。また、例えば、複数の音声データを記録し、これら複数の音声データを繰り返し再生している場合には、古い音声データを削除することにより、送信者の直近の状況を共有することができる。また、本実施形態によれば、中央制御部20は、基地局30から受信した操作信号により緊急通報モードを解除して通常モードに移行するため、無線機10の操作性の向上を図ることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 無線通信システム
10 無線機
11 制御部
12 無線通信回路
14 音声記録部
15 PTTスイッチ
16 緊急スイッチ
17 マイクロフォン(マイク)
20 中央制御部
21 通信制御部
22 録音制御部
23 音声入力判定部
30 基地局(外部機器)
41、42、43 音声データ
50、51 時刻データ
RA 受信動作
SA 送信動作