(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】車両用パイプ保持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/10 20060101AFI20220809BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220809BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16B7/04 301G
F16B2/08 A
F16B2/08 E
(21)【出願番号】P 2019049156
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 功次郎
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-045184(JP,U)
【文献】特開2011-133003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/10
F16B 7/04
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二以上のパイプを車両に保持するための車両用パイプ保持具であって、
樹脂製であり、前記パイプの一つを保持するための第1保持部と、前記パイプの他の一つを保持するための第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部とを連結する保持連結部と、を有する保持部材と、
金属製かつ前記保持部材とは別体であり、車両に取付けられる車両取付部と、前記保持連結部が挿通される挿通開口と、を有する取付金具と、を有し、
前記保持部材と前記取付金具との組付時において、前記取付金具は前記第1保持部と前記第2保持部との間に配置され
、
前記第2保持部および前記保持連結部が前記挿通開口に挿通されることで、前記取付金具と前記保持部材とが一体化され、
前記第1保持部は前記取付金具の一面側に位置し、前記第2保持部は前記取付金具の他面側に位置する、車両用パイプ保持具。
【請求項2】
前記取付金具における前記挿通開口の周縁部は、無端の環状をなす、請求項1に記載の車両用パイプ保持具。
【請求項3】
前記第1保持部は、周壁に第1スリットを有するC字の環状をなし、
前記取付金具は、前記組付時において前記第1スリットを覆う周壁カバー部を有する、請求項1または請求項2に記載の車両用パイプ保持具。
【請求項4】
前記保持部材と前記取付金具とは、前記保持部材の前記第1スリットおよび前記取付金具の前記周壁カバー部を挟んだ2箇所で互いに固定される、請求項3に記載の車両用パイプ保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二以上のパイプを車両に保持するための車両用パイプ保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には燃料を始めとする各種の流体が導入される。したがって車両には、これらの流体の流路となる各種のパイプが配設される。これらのパイプは、互いの干渉や他部材との干渉を抑制するために車両に保持される。
【0003】
特許文献1には、パイプを車体側部材に保持するためのパイプ保持具が開示されている。当該パイプ保持具は、パイプを保持する樹脂製の保持具本体と、当該保持具本体に装着されパイプを支持する金属製の取付金具と、によって、パイプを車体側部材に保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の実施例では、上記のパイプ保持具によって2つのパイプP1およびP2を車体側部材BMに保持している。特許文献1の実施例のパイプ保持具は、樹脂製の保持具本体によってパイプP1およびP2を保持し、金属製の取付金具によって当該保持具本体を車体側部材BMに取付けるものである。特許文献1の実施例のパイプ保持具によると、パイプP1およびP2を直接保持する保持具本体を小さな寸法誤差で形成することができ、かつ、保持具本体で保持したパイプの自重を、剛性の大きい金属製の取付金具で受けることができる。
【0006】
ところで、近年、車両に搭載される各種の装置や部材に対する小型化の要求は高まる一方であり、車両用のパイプ保持具についても更なる小型化が要求されている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、二以上のパイプを車両に保持するための車両用パイプ保持具の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の車両用パイプ保持具は、
二以上のパイプを車両に保持するための車両用パイプ保持具であって、
樹脂製であり、前記パイプの一つを保持するための第1保持部と、前記パイプの他の一つを保持するための第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部とを連結する保持連結部と、を有する保持部材と、
金属製かつ前記保持部材とは別体であり、車両に取付けられる車両取付部と、前記保持連結部が挿通される挿通開口と、を有する取付金具と、を有し、
前記保持部材と前記取付金具との組付時において、前記取付金具は前記第1保持部と前記第2保持部との間に配置される、車両用パイプ保持具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用パイプ保持具は小型である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けた様子を模式的に表す説明図である。
【
図2】実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材を模式的に表す説明図である。
【
図3】実施例1の車両用パイプ保持具における取付金具を模式的に表す説明図である。
【
図4】実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けている様子を模式的に表す説明図である。
【
図5】実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けた様子を模式的に表す説明図である。
【
図6】実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材中間体を模式的に表す説明図である。
【
図7】実施例2の車両用パイプ保持具における取付金具を模式的に表す説明図である。
【
図8】実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けている様子を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の車両用パイプ保持具を具体的に説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0012】
本発明の車両用パイプ保持具は、樹脂製の保持部材と金属製の取付金具とを有する。
本発明の車両用パイプ保持具においては、樹脂製の保持部材の第1保持部および第2保持部によって、各々、一つずつのパイプを保持することで、二以上のパイプを一つに束ねる。そして、当該第1保持部および第2保持部の間に配置した金属製の取付金具によって、保持部材および二以上のパイプを車体に取付ける。第1保持部および第2保持部の間に配置した取付金具は、少なくとも二つのパイプの間で車両用パイプ保持具全体を補強する芯材としても機能する。このため、本発明の車両用パイプ保持具は、二以上のパイプを安定に保持でき、かつ小型化することが可能である。
以下、本発明の車両用パイプ保持具を部分毎に説明する。
【0013】
保持部材は、第1保持部、第2保持部および保持連結部を有する。
本発明の車両用パイプ保持具は、二以上のパイプを車両に保持するための保持具である。したがって本発明の車両用パイプ保持具は、保持部材の第1保持部によって当該二以上のパイプの一つを保持し、第2保持部によって当該二以上のパイプの他の一つを保持する。当該第1保持部および第2保持部は保持連結部によって連結される。したがって、保持部材における各部分は、第1保持部-保持連結部-第2保持部の順に配列する。
【0014】
なお、いうまでもないが、本発明の車両用パイプ保持具における保持部材は、上記第1保持部、保持連結部および第2保持部に加えて、さらに他のパイプを保持するための第3保持部、第4保持部等を有しても良い。この場合、第3保持部等は、保持連結部によって第1保持部および第2保持部に連結されても良いが、これに限定されない。例えば、第3保持部等は、第1保持部または第2保持部に直接一体化されても良い。または、第3保持部等は、保持連結部以外の連結部によって上記第1保持部、保持連結部および第2保持部の何れかに連結されても良い。
保持部材は1部材であっても良いし、二以上の分体が一体化されたものであっても良い。
【0015】
既述したように、第1保持部および第2保持部は、各々別々のパイプを保持する。以下、必要に応じて、第1保持部に保持されるパイプを第1パイプと称する場合がある。同様に、第2保持部に保持されるパイプを第2パイプと称する場合がある。
【0016】
第1保持部は、第1パイプを保持し得る形状であればよい。具体的には、第1保持部は、有端または無端の環状であるのが好ましい。環状をなす第1保持部は、その環の内部に第1パイプを保持し得る。なお、ここでいう環状とは、外形が円形であるものに限定されず、その外形が3以上の多角形状であっても良いし、不定形状であっても良い。
【0017】
第1パイプを保持する作業性を考慮すると、第1保持部は有端の環状、つまり、周壁にスリットを有するC字の環状をなすのが好ましい。第1保持部における当該周壁のスリットを第1スリットと称する。
C字の環状をなす第1保持部においては、その周壁にある第1スリットによって、環の内外が連絡される。このため、第1保持部に第1パイプを保持する際には、当該第1スリットを第1パイプの差し込み口として利用できる。
【0018】
第1保持部は無端の環状であっても良い。例えば、保持部材を2つの部分で構成し、各部分に第1保持部の一部を構成する半環状の部分を各々設けても良い。この場合には、第1パイプを挟んで2つの部分を一体化することで、無端の環状をなす第1保持部を形成しつつ第1保持部の環の内部に第1パイプを保持し得る。
【0019】
また、例えば、第1保持部により第1パイプの端部を保持する場合等には、保持部材が1部材であり、かつ、第1保持部が無端の環状であっても良い。この場合、第1保持部に第1パイプを保持する際には、単に、第1保持部の環の内部に第1パイプを挿し込めば良い。
【0020】
第2保持部もまた、第1保持部と同様に、無端の環状であっても良いし、有端の環状であっても良い。
【0021】
保持部材に用いる樹脂の種類は特に限定せず、一種の樹脂材料のみを用いても良いし、二種以上の樹脂材料を併用しても良い。
保持部材に好適な樹脂材料として、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS)等を例示できる。
このうち、ポリアセタール等の摺動特性に優れる樹脂材料を用いる場合には、取付金具による保持部材の摩耗が抑制されて、本発明の車両用パイプ保持具の耐久性が向上する利点がある。
【0022】
上記の樹脂材料には、必要に応じて、着色材や補強繊維材に代表される各種の配合材を配合しても良い。さらには、保持部材には他部材を一体化しても良い。ここでいう他部材として、例えば、ゴム等の弾性材料からなるクッション材や、板バネ等の付勢部材等が例示される。当該他部材は、接着等の方法により保持部材に固着一体化しても良いし、インサート成形等の方法により保持部材の成形時に一体化しても良い。
【0023】
保持連結部の形状は特に問わないが、保持連結部には、後述する取付金具の挿通開口に挿通可能な程度、つまり取付金具の厚さ程度の長さが必要とされる。ここでいう保持連結部の長さとは、保持連結部のうち第1保持部と第2保持部とを連結する部分の長さを意味し、第1保持部と第2保持部との距離と言い換えることができる。
【0024】
本発明の車両用パイプ保持具においては、保持部材の第1保持部および第2保持部により第1パイプおよび第2パイプを保持し、かつ、当該第1パイプおよび第2パイプの間に金属製の取付金具を介在させる。したがって、本発明の車両用パイプ保持具における取付金具は、第1パイプおよび第2パイプを、これらの近くで支えることができ、第1パイプや第2パイプが走行時等に多少位置変化や変形しても、取付金具はこれらを安定して支え得る。
【0025】
また、保持連結部の長さが短ければ短い程、第1パイプおよび第2パイプは互いの近くかつ取付金具の近くに位置する。したがって、保持連結部の長さが短ければ、第1パイプおよび第2パイプに許される位置変化量や変形量は小さく、第1パイプおよび第2パイプが位置変化等することで取付金具に作用する力もまた小さくなる。取付金具に作用する力が小さければ、取付金具に対して車両から離れる方向の力、例えば取付金具の後述する車両取付部を中心とするねじり方向のモーメントが作用したとしても、第1パイプおよび第2パイプは本発明の車両用パイプ保持具によって車両に安定して保持される。
【0026】
保持連結部の長さが短いと、取付金具の厚さを薄くする必要がある。このため、取付金具の剛性や強度を考慮すると、保持連結部の長さはある程度長い方が好ましい。一方、使用時、すなわち、本発明の車両用パイプ保持具によって第1パイプおよび第2パイプを車両に保持したときの安定性を考慮すると、第1パイプおよび第2パイプは互いに近い位置で保持されるのが良いと考えられる。この点を考慮すると、保持連結部の長さは短い方が好ましい。両者を勘案した保持連結部の長さの好ましい範囲として、1mm~15mm、1.5mm~10mm、2mm~6.5mmの各範囲を挙げることができる。
【0027】
取付金具は、金属製であり、上記した保持部材とは別体であり、かつ、使用時には保持部材と組付けられる。
取付金具は、車両に取付けられる車両取付部と、前記保持連結部が挿通される挿通開口とを有するものであれば良く、その形状は特に限定されない。取付金具は、例えば、鋳物であっても良いし、必要に応じて曲げ加工された金属板であっても良い。軽量化を考慮すると、取付金具は曲げ加工された金属板であるのが好ましい。
【0028】
取付金具の厚さは特に限定しないが、充分な剛性や強度を確保し、かつ、軽量化を実現する観点から、取付金具の厚さの好ましい範囲として、1mm~15mm、1.5mm~10mm、2mm~6.5mmの各範囲を挙げることができる。
【0029】
取付金具の車両取付部は、車両に取付けられる部分であり、車両に直接的または間接的に取付けられる形状であれば良い。例えば車両取付部は、クリップ状であっても良いし、ボルトやビスが挿通される貫通孔状であっても良い。
【0030】
取付金具の挿通開口には保持部材の保持連結部が挿通される。したがって、挿通開口には、内部に保持連結部を収容できるだけの大きさが必要である。取付金具における挿通開口の周縁部は、有端の環状をなしても良いし、無端の環状をなしても良い。つまり、挿通開口は、外部に連絡するスリットを有する開口であっても良いし、外部から隔てられた単なる開口であっても良い。
【0031】
取付金具における挿通開口の周縁部が有端の環状をなす場合、つまり、挿通開口がスリットを有する場合、保持部材と取付金具との組付け作業時には、保持部材の保持連結部は当該スリットを通じて挿通開口に収容される。このため、挿通開口の周縁部が有端の環状をなす場合には、保持部材と取付金具との組付け作業が容易になる。
【0032】
取付金具における挿通開口の周縁部が無端の環状をなす場合には、挿通開口の周縁部が挿通開口の全周にわたって連続する環状をなし、挿通開口はその周縁部においては外部から隔てられる。この場合、保持部材と取付金具との組付け作業時には、保持部材の第1保持部または第2保持部を挿通開口に挿通して、保持連結部を挿通開口に収容する。この場合には、本発明の車両用パイプ保持具によって第1パイプおよび第2パイプを車両に保持した使用時において、保持部材が取付金具から外れ難いために、本発明の車両用パイプ保持具によって第1パイプおよび第2パイプを車両に安定して保持できる利点がある。
なお、この場合には、上記の組付け作業時に保持部材の第1保持部または第2保持部を挿通開口に挿通するために、挿通開口は内部に第1保持部または第2保持部を収容できるだけの大きさが必要となる。
【0033】
取付金具は、単に第1保持部と第2保持部との間で保持連結部を挿通開口に収容するだけであっても良いが、第1保持部とともに第1パイプを保持しても良い。例えば、第1保持部が上記したように周壁に第1スリットを有するC字の環状をなす場合、取付金具は当該第1スリットを覆う周壁カバー部を有しても良い。この場合、第1保持部の外形を小さくすることができ、本発明の車両用パイプ保持具の更なる小型化を実現し得る。
【0034】
保持部材の第1保持部が第1スリットを有し取付金具が周壁カバー部を有する場合、第1パイプを取付金具によっても安定して保持するためには、周壁カバー部が保持部材に固定されるのが好ましい。具体的には、この場合、保持部材と取付金具とは、保持部材の第1スリットおよび取付金具の周壁カバー部の近傍で互いに固定されるのが好ましく、当該保持部材の第1スリットおよび取付金具の周壁カバー部を挟んだ2箇所で互いに固定されるのがより好ましい。この場合の保持部材と取付金具との固定方法は特に限定されず、両者は取外しできないように不可逆的に固定されても良いし、取外し自在であるように可逆的に固定されても良い。この場合の保持部材と取付金具との固定方法として、係合、嵌合、接着、溶着等を例示できる。
【0035】
なお、本発明の車両用パイプ保持具における取付金具は周壁カバー部を必須とするものでなく、第1保持部が上記したC字の環状をなす場合にも取付金具が周壁カバー部を有さなくても良い。
【0036】
取付金具は金属製であれば良く、取付金具に用いる金属の種類は特に限定しない。取付金具に用いる金属は、単一の金属元素からなるものであっても良いし、二種以上の金属元素を含む合金であっても良い。取付金具は、めっきや塗装等の表面処理を施されていても良い。
取付金具に好適な金属材料として、ステンレススチール、鉄、アルミニウム、チタン等を例示できる。
【0037】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用パイプ保持具を説明する。
【0038】
(実施例1)
実施例1の車両用パイプ保持具は、車両における車体の下方に配策される3つのパイプを保持するための部材である。
図1は実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けた様子を模式的に表す説明図である。
図2は実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材を模式的に表す説明図であり、
図3は実施例1の車両用パイプ保持具における取付金具を模式的に表す説明図である。
図4は実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けている様子を模式的に表す説明図である。
以下、実施例1において上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。
【0039】
図1に示すように、実施例1の車両用パイプ保持具は、保持部材1および取付金具5を有し、当該保持部材1と取付金具5とが組付けられてなる。
保持部材1は、POM製であり、
図1および
図2に示すように、第1保持部10、第2保持部20、保持連結部40、第3保持部30、第1組付基部41、第2組付基部42、第1係合爪43、第2係合爪44および他部材係合爪71を有する。
【0040】
図1に示すように、第1保持部10は、環の内部に第1パイプ91を保持する部分であり、その周壁に第1スリット11を有する、略C字の環状をなす。第1スリット11は第1保持部10における左側かつ下側に位置する。
【0041】
第1保持部10の周壁を第1周壁12と称する。第1周壁12は、第1一般部13と2つの第1弾接部14とを有する。2つの第1弾接部14は、各々、第1周壁12のうち第1スリット11の周方向における両端部に隣接する部分であり、第1一般部13は第1周壁12のその他の部分である。
【0042】
2つの第1弾接部14は、第1一般部13と連続的に形成され、略円弧状に湾曲した鰭状をなす。各第1弾接部14は、第1一般部13側の部分である第1基部14bと、第1スリット11側の部分である第1端部14eと、を有する。各第1弾接部14における第1基部14bの厚さは、第1端部14eの厚さよりも薄い。このため各第1弾接部14は、第1基部14bを境に弾性変形可能である。
図1に示すように、第1パイプ91を保持すると、第1弾接部14が弾性変形して、第1保持部10はやや拡径する。そして第1保持部10は、第1弾接部14の弾性によって第1パイプ91を把持する。
【0043】
第2保持部20は、環の内部に第2パイプ92を保持する部分であり、その周壁に第2スリット21を有する略C字の環状をなす。第2保持部20は第1保持部10よりも下側に位置し、第2スリット21は第2保持部20における左側に位置する。
第2保持部20の周壁を第2周壁22と称する。第2周壁22は、第2一般部23と1つの第2弾接部24とを有する。当該第2弾接部24は、第2周壁22のうち第2スリット21の周方向における2端部のうち、第1保持部10から遠い側の端部に隣接する部分である。
【0044】
第2一般部23は第2周壁22のその他の部分である。第2弾接部24は、第2保持部20の内側に向けて折り返された形状をなし、第2一般部23側の部分である第2基部24bと、第2スリット21側の部分でありかつ第2一般部23に対して折り返された第2端部24eと、を有する。
第2弾接部24における第2基部24bの厚さは第2端部24eの厚さよりも薄く、第2弾接部24もまた第2基部24bを境に弾性変形可能である。
【0045】
第2パイプ92を第2保持部20で保持すると、第2弾接部24は折り畳まれた状態となり、その弾性復帰力によって第2パイプ92を第2弾接部24自身から離れる方向、すなわち、第1パイプ91側に押圧する。
【0046】
図2に示すように、保持連結部40は、第1保持部10と第2保持部20との間にあり、第1保持部10と第2保持部20とを連結する。実施例1の保持連結部40の長さLHは5mmであり、第1保持部10と第2保持部20とは近い位置にある。
【0047】
第3保持部30は、
図1に示すように環の内部に第3パイプ93を保持する部分であり、
図1および
図2に示すように第1保持部10の右側に一体化されている。実施例1の車両用パイプ保持具において、第1保持部10および第3保持部30は後述する取付金具5の上側に位置し、第2保持部20は当該取付金具5の下側に位置する。
【0048】
第3保持部30は、その周壁に第3スリット31を有する略C字の環状をなす。第3保持部30の周壁を第3周壁32と称する。第3周壁32は、第3一般部33と2つの第3弾接部34とを有する。当該第3弾接部34は、第3周壁32のうち第3スリット31の周方向における両端部に各々隣接する。
【0049】
二つの第3弾接部34は、第3保持部30の内側に向けて折り返された形状をなし、第3一般部33側の部分である第3基部34bと、第3スリット31側の部分でありかつ第3一般部33に対して折り返された第3端部34eと、を有する。第3弾接部34における第3基部34bの厚さもまた第3端部34eの厚さよりも薄く、第3弾接部34もまた第3基部34bを境に弾性変形可能である。
第3保持部30に第3パイプ93を保持すると、第3弾接部34は折り畳まれた状態となる。当該第3弾接部34の弾性復帰力により、第3パイプ93は二つの第3弾接部34によって把持される。
【0050】
第1組付基部41は第1保持部10に一体化され、第2組付基部42は第1保持部10および第3保持部30に一体化されている。
第1組付基部41は、略板状をなし、第1保持部10の上端部かつ左端部からさらに左側、すなわち、
図1に示す取付端部95に向けて延びる。第1組付基部41には、下方に向けて突起する爪状をなす第1係合爪43が設けられている。
第2組付基部42は、略板状をなし、第1保持部10の下端部と第3保持部30の下端部との間に架け渡されている。第2組付基部42には、下側に向けて突起する爪状をなす第2係合爪44が設けられている。
さらに、第2保持部20の下端部には、下側に向けて突起する爪状をなす他部材係合爪71が設けられている。第1係合爪43、第2係合爪44および他部材係合爪71は、略同形状であり、略同方向に向けて突起する。
【0051】
取付金具5は、保持部材1とは別体であり、ステンレススチール製であり、
図1および
図3に示すように略板状をなす。取付金具5は、車両取付部50、第1組付部55、周壁カバー部60、および、第2組付部65を有する。
【0052】
車両取付部50は左右に延びる略平板状をなし、
図3に示すように、当該車両取付部50をその厚さ方向に貫通する取付孔51を有する。
図1に示すように、実施例1のパイプ保持具は、車両取付部50の取付孔51に挿通されたネジ75を介して、車両の取付端部95に取付けられる。
【0053】
図1及び
図4に示すように、第1組付部55は略L字の板状をなし、車両取付部50の右側に連続し、車両取付部50に対して一段下がった階段状をなす。
さらに、
図4に示すように、取付金具5は前後方向においても曲げられた断面略U字状をなす。このため取付金具5の長手方向、すなわち、前後方向に向けた強度はさらに高められている。取付金具5の厚さ(板厚)は5mmである。
【0054】
第1組付部55は、
図3及び
図4に示すように、当該第1組付部55をその厚さ方向に貫通する第1係合孔56を有する。
【0055】
周壁カバー部60は、
図1に示すように、第1組付部55の右側に連続し、第1組付部55から先ず下方に延びさらに右方に延びる湾曲または屈曲形状をなす。周壁カバー部60は、
図3に示すように、当該周壁カバー部60をその厚さ方向に貫通する挿通開口61を有する。
第2組付部65は、
図1に示すように、周壁カバー部60の右側に連続しさらに右側に延びる略平板状をなす。第2組付部65は、
図3に示すように、当該第2組付部65をその厚さ方向に貫通する第2係合孔66を有する。
【0056】
図3に示すように、車両取付部50における取付孔51の周縁部、第1組付部55における第1係合孔56の周縁部、周壁カバー部60における挿通開口61の周縁部、および、第2組付部65における第2係合孔66の周縁部は、各々無端の環状をなす。
【0057】
図1に示す保持部材1と取付金具5との組付時において、取付金具5の挿通開口61に保持部材1の保持連結部40が挿通されて、取付金具5の周壁カバー部60は第1保持部10と第2保持部20との間に配置される。
【0058】
第1保持部10および第3保持部30は略L字状をなす取付金具5の内側に配置され、第2保持部20は当該取付金具5の外側に配置されるともいえる。より具体的には、実施例1の車両用パイプ保持具における第2保持部20は、取付金具5の下方に垂下する。このため、取付金具5によって第2保持部20を支持する必要はない。このことにより、実施例1の車両用パイプ保持具によると、第1保持部10および第3保持部30を安定して保持でき、かつ、取付金具5を小型化することが可能である。
【0059】
さらに、実施例1の車両用パイプ保持具においては、第2保持部20が他部材係合爪71によって図略の他部材に固定される。このことにより、第2保持部20は取付金具5の外部にあるものの、第1保持部10および第3保持部30と同様に、取付金具5に対して安定的に保持される。なお、本発明の車両用パイプ保持具において、他部材係合爪71は必須ではない。例えば、保持連結部40の長さを短くする等、本発明のパイプ保持具における各部分の形状や位置関係を調整することで、組付け時における第2保持部20の安定性を十分に確保することが可能である。
【0060】
また、取付金具5の周壁カバー部60を第1保持部10と第2保持部20との間に配置したことで、第1パイプ91及び第2パイプ92の間において保持部材1が取付金具5によって補強される。
このように取付金具5が芯材すなわち内部の補強構造としても機能するために、大型の取付金具5を用いなくても、車両用パイプ保持具に強度が充分に確保され、取付金具5の小型化、ひいては車両用パイプ保持具全体の小型化が可能となる。
【0061】
また、上記の組付時において、取付金具5の周壁カバー部60は、第1保持部10とともに第1パイプ91をその径方向外側から覆う。
より具体的には、第1保持部10は、既述したようにその左側かつ下側に位置する第1スリット11を有する。取付金具5は第1保持部10と第2保持部20との間に配置され、当該取付金具5の周壁カバー部60は第1スリット11の左側かつ下側に配置される。したがって周壁カバー部60は、第1パイプ91の径方向外側において第1スリット11を覆う、または、周壁カバー部60は第1保持部10とともに第1パイプ91を保持するといえる。
こうすることで、樹脂製の第1保持部10だけで第1パイプ91を保持する場合に比べて、第1保持部10を小型化でき、かつ、第1パイプ91を安定して保持することが可能である。
【0062】
第1係合爪43および第2係合爪44は、
図1中の下方に向けて突起する。したがって、
図4に示すように、第1係合爪43は上方から下方に向けて取付金具5の第1係合孔56に挿し込まれ、第2係合爪44もまた上方から下方に向けて取付金具5の第2係合孔66に挿し込まれる。ここで、各図に示す上下方向は鉛直方向と一致するため、第1係合孔56に係合した第1係合爪43は、保持部材1の自重によって下方すなわち第1係合孔56との係合方向に押さえつけられる。第2係合孔66に係合した第2係合爪44も同様に、第2係合孔66との係合方向に押さえつけられる。このため実施例1の車両用パイプ保持具によると、保持部材1と取付金具5とが強固に組付けられて、第1パイプ91および第2パイプ92をより安定して保持できる。つまり、実施例1の車両用パイプ保持具によると、パイプの安定的な保持機能と、車両用パイプ保持具の小型化と、が高い水準で両立される。
【0063】
また、
図1に示すように、実施例1の車両用パイプ保持具は、車両の取付端部95に対して、下方から上方に向けてネジ止めされる。この取付方向は、第1係合爪43と第1係合孔56との係合方向、および、第2係合爪44と第2係合孔66との係合方向と一致する。つまり、実施例1の車両用パイプ保持具が車両の取付端部95に対して取付けられる際に、第1係合爪43と第1係合孔56との係合、および、第2係合爪44と第2係合孔66との係合は、ともに補強される。このことによっても、実施例1の車両用パイプ保持具における保持部材1と取付金具5とは強固に組付けられ、実施例1の車両用パイプ保持具は更なる小型化が可能になる。
【0064】
また、上記の第1係合孔56と第1係合爪43との係合、および、第2係合孔66と第2係合爪44との係合により、保持部材1と取付金具5とが組付けられるため、実施例1の車両用パイプ保持具では、保持部材1と取付金具5とが、第1スリット11および周壁カバー部60を間に挟んだ2箇所で互いに固定される。このことにより、周壁カバー部60及び第1保持部10による第1パイプ91の保持が、より安定して為される。
【0065】
ところで、実施例1の車両用パイプ保持具で保持する3つのパイプ、すなわち、第1パイプ91、第2パイプ92および第3パイプ93のうちで、第1パイプ91の外径は最も大きい。実施例1の車両用パイプ保持具では、この第1パイプ91を保持する第1保持部10を、3つの保持部、すなわち、第1保持部10、第2保持部20および第3保持部30のうちで車両取付部50の最も近くに配置した。
【0066】
第1パイプ91は大径であり、その内部に多量の流体が流通するために、比較的位置変化し易い。そして当該第1パイプ91を保持する第1保持部10には、車両用パイプ保持具における他の部分に比べて、大きな外力が作用し易い。
車両取付部50は、取付端部95に取付けられる部分であり、車両用パイプ保持具のなかで最も堅固に固定される部分である。換言すると、車両取付部50は、車両用パイプ保持具のなかで最も位置変化し難い部分である。このように位置変化し難い車両取付部50の近傍に、上記したように大きな外力が作用する可能性のある第1保持部10を配置したことで、実施例1の車両用パイプ保持具では、第1保持部10を車両取付部50で補強でき、第1保持部10により第1パイプ91を安定して保持できる。
【0067】
このような実施例1の車両用パイプ保持具によると、小型でありながらも、大径な第1パイプ91を安定に保持することが可能である。また、実施例1の車両用パイプ保持具においては、第1パイプ91~第3パイプ93のうちで二番目に外径の大きな第2パイプ92を保持する第2保持部20について、取付金具5を介した第1保持部10の逆側に配置した。このため、第2パイプ92もまた車両取付部50の比較的近くに配置され、安定して保持される。
【0068】
既述したように第2保持部20に保持された第2パイプ92は、第2弾接部24によって、第1パイプ91側に押圧される。このため、第1パイプ91と第2パイプ92との間には取付金具5が介在するものの、当該第1パイプ91および第2パイプ92は実施例1の車両用パイプ保持具によって安定的に一体に束ねられる。
【0069】
実施例1の車両用パイプ保持具では、周壁カバー部60における挿通開口61の周縁部を無端の環状としたが、これを有端の環状としても良い。つまり、周壁カバー部60における挿通開口61の周縁部にスリットを設け、当該スリットを介して保持部材1と取付金具5との組付けを行っても良い。この場合には、保持部材1と取付金具5との組付け作業性が向上する利点がある。これに対して、実施例1の車両用パイプ保持具では、周壁カバー部60における挿通開口61の周縁部を無端の環状としたことで、保持部材1と取付金具5との組付状態を安定的に維持することが可能である。換言すると、実施例1の車両用パイプ保持具では、保持部材1と取付金具5との組付状態を耐久性高く維持でき、第1パイプ91及び第2パイプ92をより安定的に保持できる利点がある。
【0070】
(実施例2)
実施例2の車両用パイプ保持具は、実施例1の車両用パイプ保持具と同様に、車両における車体の下方に配策される3つのパイプを保持するための部材である。
図5は実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けた様子を模式的に表す説明図である。
図6は実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材中間体を模式的に表す説明図であり、
図7は実施例2の車両用パイプ保持具における取付金具を模式的に表す説明図である。
図8は実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材と取付金具とを組付けている様子を模式的に表す説明図である。
以下、実施例2において上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。
【0071】
図5に示すように、実施例2の車両用パイプ保持具は、実施例1の車両用パイプ保持具と同様に、保持部材1および取付金具5を有し、当該保持部材1と取付金具5とが組付けられてなる。実施例1と同様に、保持部材1はPOM製であり、取付金具5はステンレススチール製である。
【0072】
保持部材1は、
図5に示すように、第1保持部10、第2保持部20、保持連結部40、第3保持部30、第1係合爪43、第2係合爪44及び第3係合爪45を有する。
保持部材1は、
図6に示すように、一体に成形された二つの部分が薄肉の部分で一体化された、所謂インテグラルヒンジ状の保持部材中間体49で構成される。上記の二つの部分の一方を第1部分46と称し、他方を第2部分47と称する。第1部分46と第2部分47とを繋ぐ薄肉の部分をヒンジ部48と称する。
【0073】
図6に示す第1部分46は、略半環状の第1主保持部15、略半環状の第3主保持部35、保持部材係合爪18、第1係合爪43、第2係合爪44および第3係合爪45を有する。第2部分47は、略半環状の第1副保持部16、略板状の第3副保持部36、保持部材係合孔19、および第2保持部20を有する。第1部分46と第2部分47とがヒンジ部48を中心に折り曲げられることで、
図6に示す保持部材中間体49は、
図5に示す保持部材1となる。
【0074】
より具体的には、第1部分46の第1主保持部15と第2部分47の第1副保持部16とが組み合わされて、無端の略環状をなす第1保持部10が形成される。また、第1部分46の第3主保持部35と第2部分47の第3副保持部36とが組み合わされて、無端の略環状をなす第3保持部30が形成される。第3主保持部35の端部には爪状の第3係合爪45が設けられ、当該第3係合爪45は第3副保持部36の端部と係合する。また、第1部分46のうち第1主保持部15と第3主保持部35との境界部分には、爪状の保持部材係合爪18が設けられている。第2部分47のうち第1副保持部16と第3副保持部36との境界部分には、貫通孔状をなしかつ保持部材係合爪18と係合可能な保持部材係合孔19が設けられている。
図5に示すように、保持部材係合爪18と保持部材係合孔19とが係合し、かつ、第3係合爪45が第3副保持部36の端部と係合することで、第1部分46と第2部分47とは一体化され、第1保持部10及び第3保持部30が固定される。
【0075】
図5に示すように、実施例2の車両用パイプ保持具の保持部材1における、第1保持部10、第2保持部20および第3保持部30の位置関係は、実施例1の車両用パイプ保持具の保持部材1における、第1保持部10、第2保持部20および第3保持部30の位置関係と概略同じである。
図5に示す保持部材1は、第1保持部10によって第1パイプ91を保持し、第2保持部20によって第2パイプ92を保持し、第3保持部30によって第3パイプ93を保持する。
このうち、第1保持部10および第3保持部は、上記したように第1部分46と第2部分47とが一体化される際に、第1パイプ91および第3パイプ93を各々挟み込んで保持するともいえる。
【0076】
第2保持部20は周壁に第2スリット21を有する略C字の環状をなす。第2スリット21は、第2保持部20の下側に配置される。
第1係合爪43および第2係合爪44は、上下に配列し、各々、第1主保持部15の左端から更に左側に突起する。
【0077】
図6に示すように、保持連結部40は、第2部分47の第1副保持部16と第2保持部20との間にある。当該保持連結部40は、
図5に示す保持部材1において、第1保持部10と第2保持部20とを連結する部分である。
図6に示す実施例2の保持連結部40の長さLHは5mmである。
【0078】
取付金具5は、
図5および
図8に示すように、保持部材1とは別体であり、略板状をなす。取付金具5は、車両取付部50、第1組付部55および周壁カバー部60を有する。
このうち車両取付部50は、左右に延びる略平板状をなし、
図7に示すように、当該車両取付部50をその厚さ方向に貫通する取付孔51を有する。
図5及び
図7に示すように、第1組付部55は上下に延びる略平板状をなし、車両取付部50の右側に連続する。第1組付部55は、上下方向に延びかつ当該第1組付部55をその厚さ方向に貫通する第1係合孔56を有する。
【0079】
周壁カバー部60は、
図5に示すように、左右に延びる略平板状をなし、第1組付部55の右側に連続する。周壁カバー部60は、
図7および
図8に示すように、左右方向に延びかつ当該周壁カバー部60をその厚さ方向に貫通する挿通開口61を有する。
【0080】
図7に示すように、車両取付部50における取付孔51の周縁部は無端の環状をなす。
図8に示すように、第1組付部55における第1係合孔56の周縁部もまた無端の環状をなす。これに対して、
図7および
図8に示すように、挿通開口61は右側において外部に連絡するスリット状をなす。したがって、周壁カバー部60における挿通開口61の周縁部は有端の環状をなすといえる。
【0081】
図5に示すように、実施例2の車両用パイプ保持具においても、保持部材1と取付金具5との組付け作業時において、取付金具5の挿通開口61に保持部材1の保持連結部40が挿通される。したがって、取付金具5は第1保持部10と第2保持部20との間に配置され、当該取付金具5によって車両用パイプ保持具がその内部から補強される。したがって、実施例2の車両用パイプ保持具においてもまた、車両用パイプ保持具全体の強度が向上し、車両用パイプ保持具が小型化可能となる。
【0082】
実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材1と取付金具5とを組付ける際には、
図8に示すように、スリット状をなす取付金具5の挿通開口61の右側に保持部材1の保持連結部40をあてがい、保持部材1を左側に向けてスライドさせる。すると、保持部材1の保持連結部40が挿通開口61に挿通された状態で、保持部材1の第1係合爪43および第2係合爪44が取付金具5の第1係合孔56に挿し込まれ、第1係合爪43および第2係合爪44が第1係合孔56に係合する。さらに、保持部材1を上記したように左側にスライドさせると、保持連結部40だけでなく第3係合爪45の下端部45eもまた、取付金具5の挿通開口61に挿通され、当該下端部45eが挿通開口61に係合する。このため、実施例2の車両用パイプ保持具においては、保持部材1と取付金具5とを組付ける際に、保持部材1の第1部分46と第2部分47とが取付金具5によって更に強固に一体化される。
【0083】
実施例2の車両用パイプ保持具では、第1保持部10および第3保持部30が各々無端の環状をなす。このため、第1パイプ91および第3パイプ93は第1保持部10および第3保持部30によってより安定に保持される。
【0084】
また、実施例2の車両用パイプ保持具においては、第1部分46と第2部分47とを折り曲げ、かつ、第3主保持部35の保持部材係合爪18と第3副保持部36の保持部材係合孔19とを係合させることで、第1部分46と第2部分47とが一体化した保持部材1を形成している。
実施例2の車両用パイプ保持具における保持部材1は、比較的硬質なPOM製であるため、車両用パイプ保持具の製造時における折り曲げ作業の途中、或いは、インテグラルヒンジ状をなす保持部材中間体49の状態での搬送時等に、ヒンジ部48近傍で破損する場合がある。しかし実施例2の車両用パイプ保持具においては、上記したように、保持部材1の第1部分46と第2部分47とが取付金具5によって強固に一体化されるため、たとえ保持部材1がヒンジ部48近傍で破損して第1部分46と第2部分47とに分割されたとしても、実施例2の車両用パイプ保持具によるパイプの保持機能に大きな影響はない。
【0085】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0086】
1:保持部材 10:第1保持部
11:第1スリット 12:第1周壁(第1保持部の周壁)
13:第1一般部 14:第1弾接部
20:第2保持部 40:保持連結部
5:取付金具 50:車両取付部
60:周壁カバー部 61:挿通開口
91:パイプ(第1パイプ) 92:パイプ(第2パイプ)
95:車両(取付端部)