(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】物品収容棚
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20220809BHJP
A47B 47/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B65G1/14 B
A47B47/02 B
(21)【出願番号】P 2019066948
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 豊
(72)【発明者】
【氏名】上田 信
(72)【発明者】
【氏名】堂場 直樹
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-014791(JP,A)
【文献】特公昭51-000905(JP,B1)
【文献】特開2000-050971(JP,A)
【文献】特開2003-104524(JP,A)
【文献】特表平07-508186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
A47B 47/02
A47B 57/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定の並び方向に並ぶ一対の支柱部材と、一対の前記支柱部材を連結するように前記並び方向に沿って配置される複数の梁部材と、を備え、
複数の前記梁部材は、上下方向に並ぶ状態で配置されると共に互いに平行に配置されている物品収容棚であって、
複数の前記梁部材は、第1梁部材と第2梁部材とを含み、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記並び方向と交差する方向を交差方向とし、前記並び方向における前記支柱部材に対して前記梁部材が存在する方向を並び方向第1側として、
前記第1梁部材は、前記支柱部材の前記並び方向第1側を向く第1支柱面部に対向し且つ前記第1支柱面部に当接する第1対向面部と、前記支柱部材の前記交差方向を向く第2支柱面部に対向し且つ前記第2支柱面部に当接する第2対向面部と、前記第2対向面部に設けられた第1係合部と、を備え、
前記第2梁部材は、前記第1支柱面部に対向する第3対向部と、前記第2支柱面部に対向し且つ前記第2支柱面部に当接する第4対向面部と、前記第4対向面部に設けられた第2係合部と、を備え、
前記支柱部材の前記第2支柱面部には、前記第1係合部が係合する第1被係合部と前記第2係合部が係合する第2被係合部とが設けられ、
前記第3対向部は、前記第1支柱面部に対して前記並び方向に離間している、物品収容棚。
【請求項2】
前記第1梁部材は、前記並び方向に沿う姿勢の第1梁本体部と、第1連結部と、を備え、
前記第1連結部は、前記第1対向面部と前記第2対向面部と前記第1係合部とを備えると共に、前記第1梁本体部の前記並び方向の両端部の夫々に溶接により連結され、
前記第2梁部材は、前記並び方向に沿う姿勢の第2梁本体部と、第2連結部と、を備え、
前記第2連結部は、前記第
4対向面部と前記第2係合部とを備えると共に、前記第2梁本体部の前記並び方向の両端部の夫々に締結部材により連結されている、請求項1に記載の物品収容棚。
【請求項3】
前記第3対向部は、前記第2梁本体部の前記並び方向の端部に形成されている、請求項2に記載の物品収容棚。
【請求項4】
複数の前記梁部材は、2本以上の前記第1梁部材を含み、
前記上下方向に隣接する前記第1梁部材の間に1本以上の前記第2梁部材が設置されている、請求項1から3の何れか一項に記載の物品収容棚。
【請求項5】
複数の前記梁部材は、3本以上の前記第1梁部材を含み、
前記上下方向に隣接する一対の前記第1梁部材の間隔である梁間隔が、上側へ向かうに従って大きくなっている、請求項1から4の何れか一項に記載の物品収容棚。
【請求項6】
複数の前記梁部材のうち、最も上側に設置されている前記梁部材と最も下側に設置されている前記梁部材との夫々が前記第1梁部材である、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品収容棚。
【請求項7】
前記第1係合部及び前記第1被係合部の少なくとも一方は、前記第1係合部が前記第1被係合部に対して相対的に下方へ移動しながら係合することに伴って前記第1対向面部を前記第1支柱面部へ押し付ける側へ移動させる案内機構を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品収容棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定の並び方向に並ぶ一対の支柱部材と、一対の前記支柱部材を連結するように前記並び方向に沿って配置される複数の梁部材と、を備え、複数の前記梁部材は、上下方向に並ぶ状態で配置されると共に互いに平行に配置されている物品収容棚に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。かかる物品収容棚の従来例が、特開2002-051846号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の物品収容棚では、梁部材(ビーム4)は、支柱部材(支柱2)の第1支柱面部(側板部材11a)に対向し且つ第1支柱面部に当接する第1対向面部(側板部19b)と、支柱部材の第2支柱面部(外板部材10)に対向し且つ第2支柱面部に当接する第2対向面部(前板部20)と、第2対向面部に設けられた係合部(係止用突起21)と、を備えている。支柱部材の第2支柱面部には、係合部が係合する被係合部(差込孔13)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した物品収容棚では、梁部材は、第2対向面部が支柱部材の第2支柱面部に接触することに加えて、第1対向面部が支柱部材の第1支柱面部に接触している。特に、上述した物品収容棚では、係合部を被係合部に係合させるに伴って、嵌合部(15a)と側板部(19a)とによって側板部(19a)を嵌合部から離れるように案内することで、第1対向面部を第1支柱面部に押し付ける側に移動させる。これによって、第1対向面部と第1支柱面部との間に生じる接触圧を大きくできるようになっている。このように第1対向面部と第1支柱面部とが接触していると、梁部材を支柱部材に強固に連結することができるものの、物品収容棚に収容する物品の高さの変更に応じて梁部材の間隔を変更する場合等に、梁部材が支柱部材から取り外すことが困難であった。一方、梁部材の支柱部材に対する連結の強度を弱めることで、梁部材の取り外しが行い易く構成とすることは可能であるが、その場合、物品収容棚の剛性を確保することが難しくなる。
【0005】
そこで、梁部材の取り外しを容易なものとしながら剛性を確保し易い物品収容棚の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品収容棚の特徴構成は、規定の並び方向に並ぶ一対の支柱部材と、一対の前記支柱部材を連結するように前記並び方向に沿って配置される複数の梁部材と、を備え、複数の前記梁部材は、上下方向に並ぶ状態で配置されると共に互いに平行に配置され、
複数の前記梁部材は、第1梁部材と第2梁部材とを含み、前記上下方向に沿う上下方向視で前記並び方向と交差する方向を交差方向とし、前記並び方向における前記支柱部材に対して前記梁部材が存在する方向を並び方向第1側として、前記第1梁部材は、前記支柱部材の前記並び方向第1側を向く第1支柱面部に対向し且つ前記第1支柱面部に当接する第1対向面部と、前記支柱部材の前記交差方向を向く第2支柱面部に対向し且つ前記第2支柱面部に当接する第2対向面部と、前記第2対向面部に設けられた第1係合部と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1支柱面部に対向する第3対向部と、前記第2支柱面部に対向し且つ前記第2支柱面部に当接する第4対向面部と、前記第4対向面部に設けられた第2係合部と、を備え、前記支柱部材の前記第2支柱面部には、前記第1係合部が係合する第1被係合部と前記第2係合部が係合する第2被係合部とが設けられ、前記第3対向部は、前記第1支柱面部に対して前記並び方向に離間している点にある。
【0007】
これらの特徴構成によれば、第1被係合部を第1被係合部に係合して第1梁部材を支柱部材に連結した状態では、第1梁部材の第2対向面部が支柱部材の第2支柱面部に接触することに加えて、第1梁部材の第1対向面部が支柱部材の第1支柱面部に接触している。そのため、第1梁部材を支柱部材に強固に連結できる。また、第2被係合部を第2被係合部に係合して第2梁部材を支柱部材に連結した状態では、第2梁部材の第4対向面部が支持部材の第2支柱面部に接触するものの、第2梁部材の第3対向部は支持部材の第1支柱面部に接触しない。そのため、支持部材に対する第2梁部材の連結の強度は第1梁部材に比べて低くなるものの第2梁部材を支柱部材から取り外し易くなる。そして、第1梁部材を支柱部材に強固に連結することで物品収容棚の剛性を確保し易くできると共に、第2梁部材の支持部材に対する連結の強度を低くすることで支柱部材から第2梁部材を取り外すことが容易となる。これにより、支柱部材に対する第2梁部材の連結位置を変更して梁部材の間隔を変更することが容易になる。従って、本構成によれば、梁部材の取り外しを容易なものとしながら物品収容棚の剛性を確保し易い構成が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】第1梁部材と支柱部材との連結箇所を示す横断平面図
【
図8】第2梁部材と支柱部材との連結箇所を示す横断平面図
【
図11】別の実施形態における第2梁部材の要部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
物品収容棚の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1から
図4に示すように、物品収容棚100は、規定の並び方向Yに並ぶ状態で立設された複数本の支柱部材1と、並び方向Yに隣接する一対の支柱部材1を連結するように並び方向Yに沿って配置される複数の梁部材2と、を備えている。以下、上下方向Zに沿う上下方向視で並び方向Yに対して交差する方向を交差方向Xとする。尚、並び方向Yは、水平方向の一方向である。本実施形態では、交差方向Xは、上下方向視で並び方向Yに対して直交する方向である。
【0010】
図2に示すように、並び方向Yに並ぶ複数の支柱部材1と、一対の支柱部材1を連結する複数の梁部材2と、で棚構成体3が形成されている。この棚構成体3は、交差方向Xに間隔を空けた状態で一対設置されており、一対の棚構成体3に亘って、ラチス4や棚部材5が設置されている。ラチス4は、交差方向Xに並ぶ一対の支柱部材1を連結するように配置されている。棚部材5は、交差方向Xに並ぶ一対の梁部材2に亘って配置されている。物品Wは、棚部材5によって下方から支持された状態で収容される。
【0011】
図1及び
図4に示すように、並び方向Yに隣接する一対の支柱部材1は、上下方向Zに並ぶ状態で配置されると共に互いに平行に配置されている複数の梁部材2によって連結されている。これら複数の梁部材2は、第1梁部材10と第2梁部材20とを含んでいる。複数の梁部材2は、2本以上の第1梁部材10と少なくとも1本の第2梁部材20とを含んでいる。本実施形態では、複数の梁部材2は、3本の第1梁部材10と11本の第2梁部材20とで構成されている。
【0012】
図1に示すように、複数の梁部材2のうち、最も上側に設置されている梁部材2と最も下側に設置されている梁部材2の夫々が第1梁部材10である。そして、上下方向Zに隣接する第1梁部材10の間に1本以上の第2梁部材20が設置されている。本実施形態では、最も上側に設置されている第1梁部材10(以下、上側の第1梁部材10と称する場合がある)と、最も下側に設置されている第1梁部材10(以下、下側の第1梁部材10と称する場合がある)と、の間にも第1梁部材10(以下、中間の第1梁部材10と称する場合がある)が設置されている。そして、上下方向Zに隣接する上側の第1梁部材10と中間の第1梁部材10との間に、1本以上の第2梁部材20が設置されている。本実施形態では、上側の第1梁部材10と中間の第1梁部材10との間に、7本の第2梁部材20が設置されている。また、上下方向Zに隣接する中間の第1梁部材10と下側の第1梁部材10との間に、1本以上の第2梁部材20が設置されている。本実施形態では、中間の第1梁部材10と下側の第1梁部材10との間に、4本の第2梁部材20が設置されている。
【0013】
そして、上下方向Zに隣接する一対の第1梁部材10の間隔である梁間隔Lが、上側へ向かうに従って大きくなっている。本実施形態では、上側の第1梁部材10と中間の第1梁部材10との梁間隔Lである第1梁間隔L1は、中間の第1梁部材10と下側の第1梁部材10との梁間隔Lである第2梁間隔L2より大きくなっている。
【0014】
次に、第1梁部材10及び第2梁部材20について説明する。尚、第1梁部材10及び第2梁部材20について説明するにあたり、
図2から
図4に示すように、複数の支柱部材1のそれぞれについて、並び方向Yにおける支柱部材1に対して梁部材2が存在する方向を並び方向第1側Y1とし、その反対側を並び方向第2側Y2としている。説明を加えると、並び方向Yにおいて、複数の支柱部材1のそれぞれの並び方向Yの中間から、その支柱部材1に連結されている梁部材2の並び方向Yの中間に向かう方向を並び方向第1側Y1とし、その反対側を並び方向第2側Y2としている。また、
図3及び
図4に示すように、複数の支柱部材1のそれぞれについて、交差方向Xにおける支柱部材1に対してラチス4が存在する方向を交差方向第2側X2とし、その反対側を交差方向第1側X1としている。
【0015】
図5及び
図7に示すように、第1梁部材10は、支柱部材1の並び方向第1側Y1を向く第1支柱面部1Aに対向する第1対向面部10Aと、支柱部材1の交差方向第1側X1を向く第2支柱面部1Bに対向する第2対向面部10Bと、第2対向面部10Bに設けられた第1係合部10Cと、を備えている。本実施形態では、
図7に示すように、第1対向面部10Aは、第1支柱面部1Aに当接し、第2対向面部10Bは、第2支柱面部1Bに当接している。
【0016】
図2及び
図5に示すように、第1梁部材10は、並び方向に沿う姿勢の第1梁本体部11と、第1連結部12と、を備えている。第1連結部12は、第1対向面部10Aと第2対向面部10Bと第1係合部10Cとを備えている。また、第1連結部12は、第1梁本体部11の並び方向Yの両端部の夫々に溶接により連結されている。
【0017】
図5及び
図7に示すように、第1梁本体部11は、柱状に形成されている。本実施形態では、第1梁本体部11は、押出成形によって角柱状に形成された枠材により構成されている。第1連結部12は、上下方向視でL字状に形成された板状の部材により構成されている。本実施形態では、第1連結部12は、交差方向X及び上下方向Zに沿う平板状の第1部分12Aと並び方向Y及び上下方向Zに沿う平板状の第2部分12Bとを備えている。
【0018】
第1部分12Aにおける並び方向第2側Y2を向く面に第1対向面部10Aが形成されている。第2部分12Bの交差方向第2側X2を向く面に第2対向面部10Bが形成されている。また、第1部分12Aにおける並び方向第1側Y1を向く面に第1連結面部12Cが形成されており、第1梁本体部11における並び方向第2側Y2を向く面に第1端面部11Aが形成されている。第1連結部12は、第1連結面部12Cを第1端面部11Aに接触させた状態でこれらを互いに溶接して接合したことにより、溶接部13を介して第1梁本体部11の端部に連結されている。
【0019】
図6及び
図8に示すように、第2梁部材20は、第1支柱面部1Aに対向する第3対向部20Aと、第2支柱面部1Bに対向する第4対向面部20Bと、第4対向面部20Bに設けられた第2係合部20Cと、を備えている。本実施形態では、
図8に示すように、第3対向部20Aは、第1支柱面部1Aに対して並び方向Yに離間し、第4対向面部20Bは、第2支柱面部1Bに当接している。
【0020】
図2及び
図6に示すように、第2梁部材20は、並び方向Yに沿う姿勢の第2梁本体部21と、第2連結部22と、を備えている。第2連結部22は、第4対向面部20Bと第2係合部20Cとを備えている。また、第2連結部22は、第2梁本体部21の並び方向の両端部の夫々に締結部材23により連結されている。第2梁本体部21は、第3対向部20Aを備えている。
【0021】
図6及び
図8に示すように、第2梁本体部21は、柱状に形成されている。本実施形態では、第2梁本体部21は、押出成形によって角柱状に形成された枠材により構成されている。尚、本実施形態では第2梁本体部21は、第1梁本体部11と同じ形状とされている。第2連結部22は、上下方向視で直線状に形成された平板状の部材により構成されている。本実施形態では、第2連結部22は、並び方向Y及び上下方向Zに沿う平板状の部材により構成されており、第3部分22Aと、この第3部分22Aに対して並び方向第2側Y2に位置する第4部分22Bと、を備えている。
【0022】
第2梁本体部21における並び方向第2側Y2の端部に第3対向部20Aが形成されている。第4部分22Bの交差方向第2側X2を向く面に第4対向面部20Bが形成されている。第3部分22Aにおける交差方向第2側X2を向く面に第2連結面部22Cが形成されている。第2梁本体部21における交差方向第1側X1を向く面に第2端面部21Aが形成されている。第2連結部22は、第2連結面部22Cを第2端面部21Aに接触させた状態で締結部材23により第2梁本体部21の端部に連結されている。本実施形態では、締結部材23として、リベットを用いている。
【0023】
図9に示すように、支柱部材1の第2支柱面部1Bには、第1係合部10Cが係合する第1被係合部1Cと第2係合部20Cが係合する第2被係合部1Dとが設けられている。本実施形態では、第2支柱面部1Bに被係合部6が設けられており、この被係合部6は、第1係合部10Cと第2係合部20Cとがいずれも係合可能に構成されている。つまり、被係合部6は、第1係合部10Cが係合する場合は第1被係合部1Cとして機能し、第2係合部20Cが係合する場合は第2被係合部1Dとして機能する。本実施形態では、被係合部6は、第2支柱面部1Bを交差方向Xに貫通する開口部とされている。
【0024】
第1係合部10Cは、被係合部6に対して上方から係合する形状に形成されている。本実施形態では、
図5及び
図7に示すように、第1係合部10Cは、第2対向面部10Bから交差方向第2側X2に突出すると共に下方に突出する形状の舌片により構成されている。詳しくは、第2対向面部10Bに、交差方向第2側X2に貫通するU字状の開口部が形成されており、当該開口部によって囲まれた部分を、第2対向面部10Bに対して交差方向第2側X2にオフセットさせることで、第1係合部10Cが形成されている。また、本実施形態では、第1連結部12は第1係合部10Cを複数備えており、
図5に示す例では、第1連結部12は第1係合部10Cを4つ備えている。
【0025】
図9に示すように、第1係合部10Cを被係合部6に差し込んで第1連結部12の第2対向面部10Bを支柱部材1の第2支柱面部1Bに接触させた後、第1梁部材10を支柱部材1に対して下方に移動させることで、第1係合部10Cを被係合部6に係合させる。第1梁部材10は、並び方向Yの両端部に備えられている一対の第1連結部12の夫々において上述の如く第1係合部10Cを被係合部6に係合されることで、支柱部材1に固定されている。
図9に示すように、第2部分12Bには、抜け止め部材7を挿入するための第1挿入孔14が形成されている。この第1挿入孔14は、第1係合部10Cが被係合部6に係合された状態で、交差方向視で第1係合部10C内に位置するように形成されている。従って、この状態では、抜け止め部材7を第1挿入孔14に挿入することで、当該抜け止め部材7は第1係合部10Cにも挿入される。そのため、第1係合部10Cが被係合部6に係合された状態で抜け止め部材7が第1挿入孔14に挿入されていることで、第1係合部10Cが被係合部6に対して上方に移動することが規制される。これによって、振動等によって意図せず第1梁部材10が支柱部材1から外れることが規制されている。
【0026】
第2係合部20Cは、第1係合部10Cと同様に構成されている。本実施形態では、第2梁部材20は、第2係合部20Cを複数備えており、
図6に示す例では、第2梁部材20は第2係合部20Cを3つ備えている。また、第4部分22Bには、第1連結部12の第2部分12Bと同様、抜け止め部材7を挿入するための第2挿入孔(図示せず)が形成されている。
【0027】
図9に示すように、第1係合部10C及び第1被係合部1Cの少なくとも一方は、第1係合部10Cが第1被係合部1Cに対して相対的に下方へ移動しながら係合することに伴って第1対向面部10Aを第1支柱面部1Aへ押し付ける側へ移動させる案内機構8を備えている。
【0028】
本実施形態では、第1係合部10Cと第1被係合部1Cとのうちの第1被係合部1Cが、案内機構8を備えている。説明を加えると、被係合部6の内面F、詳しくは、第1係合部10Cを被係合部6に係合した状態において第1係合部10Cに対して並び方向第1側Y1に位置して並び方向第2側Y2を向く内面Fが、下方に向かうに従って並び方向第2側Y2に向かう方向に傾斜した傾斜面とされている。
図9に示すように、第1係合部10Cを被係合部6に差し込んだ後、第1梁部材10を支柱部材1に対して下方に移動させると、第1係合部10Cが内面Fによって並び方向第2側Y2に移動するように案内され、これによって第1連結部12が支柱部材1に対して並び方向第2側Y2に移動し、第1対向面部10Aが第1支柱面部1Aへ押し付けられる側へ移動する。このように、第1被係合部1Cは、案内機構8として機能している。そのため、
図7及び
図9に示すように、第1係合部10Cを被係合部6に差し込むときは、第1対向面部10Aは第1支柱面部1Aに対して並び方向第1側Y1に離間しているが、第1係合部10Cを被係合部6に係合させた状態では、第1対向面部10Aは第1支柱面部1Aに接触している。
【0029】
図示は省略するが、第2係合部20Cと被係合部6とにも同様の案内機構8が構成されている。本実施形態では、
図7及び
図8に示すように、第3対向部20Aと第2係合部20Cとの並び方向Yの間隔は、第1対向面部10Aと第1係合部10Cとの並び方向Yの間隔より広い。そのため、第2係合部20Cを被係合部6に係合させた状態でも第3対向部20Aは第1支柱面部1Aに対して並び方向第1側Y1に離間している。
【0030】
2.その他の実施形態
次に、物品収容棚のその他の実施形態について説明する。
【0031】
(1)上記の実施形態では、第1梁本体部11と第1連結部12とを溶接により連結する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第1梁本体部11と第1連結部12とを締結部材23により連結した構成としてもよく、1つの部材を切削加工することにより第1梁本体部11と第1連結部12とが形成された構成としてもよい。
【0032】
(2)上記の実施形態では、第2梁本体部21と第2連結部22とを締結部材23により連結する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第2梁本体部21と第2連結部22とが溶接により連結された構成としてもよく、1つの部材を切削加工することにより第2梁本体部21と第2連結部22とが形成された構成としてもよい。なお、上記の実施形態では、締結部材23として、リベットを用いた構成を例として説明したが、これには限定されず、例えば、締結部材23としてボルト等、他の部材を用いてもよい。
【0033】
(3)上記の実施形態では、第2梁本体部21の並び方向Yの端部に第3対向部20Aを形成する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第2連結部22を第1連結部12と同様に上下方向視でL字状に形成し、その第2連結部22における並び方向第2側Y2の端部によって第3対向部20Aを形成する構成としてもよい。
【0034】
(4)上記の実施形態では、上下方向Zに隣接する第1梁部材10の間に4本又は7本の第2梁部材20を設置する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、
図10(a),(c),(d)に示すように上下方向Zに隣接する第1梁部材10の間に4本や7本以外の本数の第2梁部材20を設置する構成や、上下方向Zに隣接する第1梁部材10の間に第2梁部材20を設置しない構成としてもよい。尚、
図10(b)は、上記実施形態における物品収容棚100の模式図である。
【0035】
(5)上記の実施形態では、複数の梁部材2に3本の第1梁部材10を含む構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、複数の梁部材2に1本、2本(
図10(a)参照)、又は4本以上(
図10(c)及び(d)参照)の第1梁部材10を含む構成でもよい。例えば、
図10(c)に示すように、5本の第1梁部材10と16本の第2梁部材20とを備える構成において、4つの梁間隔Lのそれぞれに配置される第2梁部材20の本数が、下側から順に、2本、3本、4本、7本となるように構成されていても良い。
【0036】
(6)上記の実施形態では、最も上側に設置されている梁部材2と最も下側に設置されている梁部材2との夫々を第1梁部材10とする構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、最も上側に設置されている梁部材2と最も下側に設置されている梁部材2とのうちの一方又は双方を第2梁部材20とする構成としてもよい。
【0037】
(7)上記の実施形態では、一対の第1梁部材10の間隔である梁間隔Lが上側に向かうに従って大きくなるように複数の第1梁部材10を設置する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、複数の梁間隔Lの内の一部又は全部が同じ間隔となるように複数の第1梁部材10を設置する構成としてもよい。例えば、
図10(d)に示すように、8本の第1梁部材10と21本の第2梁部材20とを備える構成において、7つの梁間隔Lのそれぞれに配置される第2梁部材20の本数が、下側から順に、1本、2本、2本、3本、3本、4本、6本となるように構成されていても良い。或いは、梁間隔Lが上側に向かうに従って小さくなるように複数の第1梁部材10を設置してもよい。
【0038】
(8)上記の実施形態では、第1被係合部1Cに案内機構8を備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第1被係合部1Cに加えて又は代えて、第1係合部10Cに、案内機構8を備える構成としてもよい。また、第1被係合部1C及び第1係合部10C以外の箇所に案内機構8が設けられた構成としてもよい。或いは、支柱部材1及び第1梁部材10が、案内機構8を備えない構成であってもよい。
【0039】
(9)上記の実施形態では、第1梁本体部11と第2梁本体部21とで同じ梁本体部を用いる構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第2梁本体部21として第1梁本体部11と異なる梁本体部を用いてもよい。
図11に示す例では、第2梁本体部21として、第1梁本体部11に比べて上下方向Zや交差方向Xの幅が小さい梁本体部を用いている。この第2梁本体部21は、第1梁本体部11に比べて軽量に構成されている。
【0040】
(10)上記の実施形態では、第1連結部12を上下方向視でL字状に形成すると共に第2連結部22を上下方向視で直線状に形成する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第1連結部12を上下方向視でL字状以外の形状に形成してもよく、第2連結部22を上下方向視で直線状以外の形状に形成してもよい。また、第1連結部12や第2連結部22に備える係合部の数を適宜変更してもよい。また、例えば、第2連結部22の交差方向視での形状を
図11に示す形状に形成する等、第1連結部12や第2連結部22の交差方向視での形状を適宜変更してもよい。
【0041】
(11)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0042】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品収容棚の概要について説明する。
【0043】
物品収容棚は、規定の並び方向に並ぶ一対の支柱部材と、一対の前記支柱部材を連結するように前記並び方向に沿って配置される複数の梁部材と、を備え、複数の前記梁部材は、上下方向に並ぶ状態で配置されると共に互いに平行に配置され、
複数の前記梁部材は、第1梁部材と第2梁部材とを含み、前記上下方向に沿う上下方向視で前記並び方向と交差する方向を交差方向とし、前記並び方向における前記支柱部材に対して前記梁部材が存在する方向を並び方向第1側として、前記第1梁部材は、前記支柱部材の前記並び方向第1側を向く第1支柱面部に対向し且つ前記第1支柱面部に当接する第1対向面部と、前記支柱部材の前記交差方向を向く第2支柱面部に対向し且つ前記第2支柱面部に当接する第2対向面部と、前記第2対向面部に設けられた第1係合部と、を備え、前記第2梁部材は、前記第1支柱面部に対向する第3対向部と、前記第2支柱面部に対向し且つ前記第2支柱面部に当接する第4対向面部と、前記第4対向面部に設けられた第2係合部と、を備え、前記支柱部材の前記第2支柱面部には、前記第1係合部が係合する第1被係合部と前記第2係合部が係合する第2被係合部とが設けられ、前記第3対向部は、前記第1支柱面部に対して前記並び方向に離間している。
【0044】
本構成によれば、第1被係合部を第1被係合部に係合して第1梁部材を支柱部材に連結した状態では、第1梁部材の第2対向面部が支柱部材の第2支柱面部に接触することに加えて、第1梁部材の第1対向面部が支柱部材の第1支柱面部に接触している。そのため、第1梁部材を支柱部材に強固に連結できる。また、第2被係合部を第2被係合部に係合して第2梁部材を支柱部材に連結した状態では、第2梁部材の第4対向面部が支持部材の第2支柱面部に接触するものの、第2梁部材の第3対向部は支持部材の第1支柱面部に接触しない。そのため、支持部材に対する第2梁部材の連結の強度は第1梁部材に比べて低くなるものの第2梁部材を支柱部材から取り外し易くなる。そして、第1梁部材を支柱部材に強固に連結することで物品収容棚の剛性を確保し易くできると共に、第2梁部材の支持部材に対する連結の強度を低くすることで支柱部材から第2梁部材を取り外すことが容易となる。これにより、支柱部材に対する第2梁部材の連結位置を変更して梁部材の間隔を変更することが容易になる。従って、本構成によれば、梁部材の取り外しを容易なものとしながら物品収容棚の剛性を確保し易い構成が実現できる。
【0045】
ここで、前記第1梁部材は、前記並び方向に沿う姿勢の第1梁本体部と、第1連結部と、を備え、前記第1連結部は、前記第1対向面部と前記第2対向面部と前記第1係合部とを備えると共に、前記第1梁本体部の前記並び方向の両端部の夫々に溶接により連結され、前記第2梁部材は、前記並び方向に沿う姿勢の第2梁本体部と、第2連結部と、を備え、前記第2連結部は、前記第4対向面部と前記第2係合部とを備えると共に、前記第2梁本体部の前記並び方向の両端部の夫々に締結部材により連結されていると好適である。
【0046】
本構成によれば、第1梁本体部と第1連結部とを溶接により連結することで、第1梁本体部と第1連結部とを締結部材によって連結する場合に比べて、第1梁部材の強度を高め易い。そして、このような第1梁部材を支柱部材に強固に連結することで、物品収容棚の剛性を更に確保し易くなる。また、第2梁本体部と第2連結部とを締結部材により連結することで、第2梁本体部と第2連結部とを溶接によって連結する場合に比べて、第2梁部材の製造工程を簡略化し易くなる。そして、このような第2梁部材を複数の梁部材の一部として用いることで、物品収容棚の製造工程の簡略化を図ることができる。
【0047】
また、前記第3対向部は、前記第2梁本体部の前記並び方向の端部に形成されていると好適である。
【0048】
本構成によれば、第2梁本体部の端部が第2支柱面部に対向するように第2梁本体部を設置することで、第2梁本体部の端部を加工することなく当該端部を第3対向部とすることができる。そのため、第2梁部材の構成を簡素にすることが可能となる。また、第2梁部材の製造工程を簡略化し易くなる。
【0049】
また、複数の前記梁部材は、2本以上の前記第1梁部材を含み、前記上下方向に隣接する前記第1梁部材の間に1本以上の前記第2梁部材が設置されていると好適である。
【0050】
本構成によれば、上下方向に隣接する第1梁部材の間に第2梁部材を設置することで、上下方向に並ぶ梁部材の間隔を変更し易くしつつ、第1梁部材を上下方向に分散して設置することで物品収容棚の剛性を適切に確保し易くすることができる。
【0051】
また、複数の前記梁部材は、3本以上の前記第1梁部材を含み、前記上下方向に隣接する一対の前記第1梁部材の間隔である梁間隔が、上側へ向かうに従って大きくなっていると好適である。
【0052】
本構成によれば、梁部材に作用する曲げモーメントが比較的小さい物品収容棚の上部については、第1梁部材の上下方向の間隔を大きくし、梁部材の間隔の変更の容易性を確保できる構成とすると共に、梁部材に作用する曲げモーメントが比較的大きい物品収容棚の下部については、第1梁部材の上下方向の間隔を小さくし、物品収容棚の剛性を確保し易い構成とすることができる。従って、本構成によれば、梁部材の間隔を変更することを容易なものとしながら物品収容棚の剛性を確保し易い構成が実現できる。
【0053】
また、複数の前記梁部材のうち、最も上側に設置されている前記梁部材と最も下側に設置されている前記梁部材との夫々が前記第1梁部材であると好適である。
【0054】
本構成によれば、複数の梁部材の最も上側と最も下側とに第1梁部材を設置することで、物品収容棚の剛性を確保し易い構成となっている。また、最も下側の梁部材や最も上側の梁部材は、収容する物品の高さの変更等によっても位置を変更する必要性が低いために、最も上側と最も下側とに第1梁部材を設置したとしても梁部材の間隔の変更し易さを維持することが可能となる。
【0055】
また、前記第1係合部及び前記第1被係合部の少なくとも一方は、前記第1係合部が前記第1被係合部に対して相対的に下方へ移動しながら係合することに伴って前記第1対向面部を前記第1支柱面部へ押し付ける側へ移動させる案内機構を備えていると好適である。
【0056】
本構成によれば、第1係合部を第1被係合部に係合させるに伴って、第1対向面部と第1支柱面部との間に生じる接触圧を大きくすることができる。従って、第1梁部材の支柱部材に対する連結の強度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示に係る技術は、規定の並び方向に並ぶ一対の支柱部材と、一対の前記支柱部材を連結するように前記並び方向に沿って配置される複数の梁部材と、を備えた物品収容棚に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1:支柱部材
1A:第1支柱面部
1B:第2支柱面部
1C:第1被係合部
1D:第2被係合部
2:梁部材
6:案内機構
10:第1梁部材
10A:第1対向面部
10B:第2対向面部
10C:第1係合部
11:第1梁本体部
12:第1連結部
20:第2梁部材
20A:第3対向部
20B:第4対向面部
20C:第2係合部
21:第2梁本体部
22:第2連結部
23:締結部材
100:物品収容棚
X:交差方向
X1:交差方向第1側
X2:交差方向第2側
Y:並び方向
Z:上下方向