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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】方向性結合器
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/18 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
H01P5/18 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019142227
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021027426
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】関 健太
(72)【発明者】
【氏名】重野 靖
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金 良守
(72)【発明者】
【氏名】清水 克也
(72)【発明者】
【氏名】大澤 一仁
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-041206(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0351530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主線路と、
前記主線路と電磁気的に結合する第1副線路と、
前記主線路と電磁気的に結合し、前記第1副線路と長さが異なる第2副線路と、
前記主線路を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する結合端子と、
前記第1副線路と前記結合端子との接続、および、前記第2副線路と前記結合端子との接続を切り換える第1スイッチ回路と、
前記第1副線路および前記第2副線路の少なくとも一方を終端する終端回路と、
(1)前記第1副線路および前記第2副線路の少なくとも一方の一端と前記結合端子との接続かつ前記少なくとも一方の他端と前記終端回路との接続、および、(2)前記少なくとも一方の一端と前記終端回路との接続かつ前記少なくとも一方の他端と前記結合端子との接続、を切り換える第2スイッチ回路と、を備え、
前記第1スイッチ回路と前記第2スイッチ回路とは、同じ半導体ICに内蔵されている、
方向性結合器。
【請求項2】
前記第1スイッチ回路は、複数のスイッチ素子を含み、
前記第2スイッチ回路は、前記複数のスイッチ素子を含む、
請求項に記載の方向性結合器。
【請求項3】
前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路は、前記第1副線路および前記第2副線路の少なくとも一方において個別に設けられている、
請求項に記載の方向性結合器。
【請求項4】
前記終端回路は、前記第1副線路および前記第2副線路のそれぞれに対して個別に設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方向性結合器。
【請求項5】
主線路と、
前記主線路と電磁気的に結合する第1副線路と、
前記主線路と電磁気的に結合する第2副線路と、
前記主線路を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する結合端子と、を備え、
前記第1副線路と前記第2副線路とは長さが異なり、
前記第1副線路と前記結合端子との接続、および、前記第2副線路と前記結合端子との接続が切り換わり、
さらに、
装荷回路と、
前記第1副線路が前記結合端子に接続されている場合には、前記第1副線路の一端と前記装荷回路とを非接続とし、前記第1副線路が前記結合端子に接続されていない場合には、前記第1副線路の一端と前記装荷回路とを接続する第3スイッチ回路と、を備え、
前記第1副線路の電気長と、前記第1副線路および前記装荷回路の合成回路の電気長とは、異なる
向性結合器。
【請求項6】
前記装荷回路は、前記第3スイッチ回路とグランドとの間に直列配置されたキャパシタである、
請求項に記載の方向性結合器。
【請求項7】
主線路と、
前記主線路と電磁気的に結合する第1副線路と、
前記主線路と電磁気的に結合し、前記第1副線路と長さが異なる第2副線路と、
前記主線路を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する結合端子と、
前記第1副線路と前記結合端子との接続、および、前記第2副線路と前記結合端子との接続を切り換える第1スイッチ回路と、
一端が前記第1副線路の一端に接続された装荷線路と、を備え、
前記第1スイッチ回路は、
前記装荷線路と前記結合端子との間に設けられた第1シリーズスイッチと、
前記第1シリーズスイッチとグランドとの間に設けられた第1シャントスイッチと、を含み、
前記装荷線路の他端は前記第1シリーズスイッチに接続され、
前記第1副線路が前記結合端子に接続されている場合には、前記第1シリーズスイッチを導通状態とし、かつ、前記第1シャントスイッチを非導通状態とし、
前記第1副線路が前記結合端子に接続されていない場合には、前記第1シリーズスイッチを非導通状態とし、かつ、前記第1シャントスイッチを導通状態とする
向性結合器。
【請求項8】
主線路と、
前記主線路と電磁気的に結合する第1副線路と、
前記主線路と電磁気的に結合し、前記第1副線路と長さが異なる第2副線路と、
前記主線路を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する結合端子と、
前記第1副線路と前記結合端子との接続、および、前記第2副線路と前記結合端子との接続を切り換える第1スイッチ回路と、
前記第1副線路および前記第2副線路の少なくとも一方を終端する終端回路と、
(1)前記第1副線路および前記第2副線路の少なくとも一方の一端と前記結合端子との接続かつ前記少なくとも一方の他端と前記終端回路との接続、および、(2)前記少なくとも一方の一端と前記終端回路との接続かつ前記少なくとも一方の他端と前記結合端子との接続、を切り換える第2スイッチ回路と、
前記主線路との結合度が、前記主線路と前記第1副線路との結合度よりも小さい装荷線路と、を備え、
前記装荷線路の一端は前記第1副線路の一端および他端のうち少なくとも一方に接続され、
前記第2スイッチ回路は、
前記装荷線路と前記結合端子との間に設けられた第2シリーズスイッチと、
前記第2シリーズスイッチとグランドとの間に設けられた第2シャントスイッチと、を含み、
前記装荷線路の他端は前記第2シリーズスイッチに接続され、
前記第1副線路が前記結合端子に接続されている場合には、前記第2シリーズスイッチを導通状態とし、かつ、前記第2シャントスイッチを非導通状態とし、
前記第1副線路が前記結合端子に接続されていない場合には、前記第2シリーズスイッチを非導通状態とし、かつ、前記第2シャントスイッチを導通状態とする
向性結合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性結合器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、入力端子から出力端子に向けて高周波を伝搬させる主線路と、当該主線路と電磁気的に結合する副線路と、を備えた方向性結合器が開示されている。副線路の一端には検波端子が接続され、他端には終端抵抗が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-27617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の方向性結合器では、例えば、低周波数帯で所望の結合度に調整すると、高周波数帯で上記所望の結合度以上となり主線路の挿入損失が不要に増大する。一方、高周波数帯で所望の結合度に調整すると、低周波数帯では結合度が不足する。つまり、従来の方向性結合器では、低周波数帯および高周波数帯を含む所定の周波数帯域にわたり安定した結合度および挿入損失を確保できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、所定の周波数帯域にわたり安定した結合度および挿入損失を有する方向性結合器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る方向性結合器は、主線路と、前記主線路と電磁気的に結合する第1副線路と、前記主線路と電磁気的に結合する第2副線路と、前記主線路を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する結合端子と、を備え、前記第1副線路と前記第2副線路とは長さが異なり、前記第1副線路と前記結合端子との接続、および、前記第2副線路と前記結合端子との接続が切り換わる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の周波数帯域にわたり安定した結合度および挿入損失を有する方向性結合器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図2】実施の形態に係る方向性結合器の結合度および挿入損失の周波数特性を示すグラフである。
図3】変形例1に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図4】変形例2に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図5】変形例3に係る方向性結合器の実装構成の一例を示す斜視図である。
図6】実施の形態に係る方向性結合器のスイッチの構成の一例を示す回路図である。
図7】変形例4に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図8】変形例5に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図9】変形例6に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図10】変形例7に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図11】変形例8に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図12】変形例9に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図13】変形例10に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図14】変形例11に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
図15】変形例11に係る方向性結合器において、シリーズスイッチのオフ容量が装荷されない場合、および、オフ容量が装荷された場合の結合度および挿入損失を示すグラフである。
図16】変形例12に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態およびその変形例について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態およびその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態およびその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態およびその変形例における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
【0010】
(実施の形態)
[1.方向性結合器1の回路構成]
図1は、実施の形態に係る方向性結合器1の機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1は、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路13と、終端回路14と、を備える。主線路10と副線路11とは、互いに電磁気的に結合しており、主線路10と副線路12とは、互いに電磁気的に結合している。
【0011】
主線路10の一端および他端は、それぞれ、入力ポート110(RFin)および出力ポート120(RFout)に接続されている。
【0012】
副線路11は、第1副線路の一例であり、一端111および他端112を有している。また、副線路12は、第2副線路の一例であり、一端121および他端122を有している。副線路11と副線路12とは、長さが異なる。副線路11および12の長さの定義については後述する。
【0013】
結合端子130は、主線路10を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する端子である。具体的には、結合端子130は、主線路10と電磁気的に結合する副線路11および12の一方を伝送する信号を、検波信号として出力する。
【0014】
終端回路14は、スイッチ回路13を介して副線路11または12に接続され、副線路11または12を終端させる回路である。なお、終端回路14は、終端インピーダンスが可変する終端回路であってもよい。
【0015】
スイッチ回路13は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、端子13a、13b、13c、13d、13eおよび13fを有する。端子13aは結合端子130に接続され、端子13bは終端回路14に接続され、端子13cは他端112に接続され、端子13dは他端122に接続され、端子13eは一端121に接続され、端子13fは一端111に接続されている。また、端子13aは端子13c~13fのいずれかと接続可能であり、端子13bは端子13c~13fのいずれかと接続可能である。逆に言えば、端子13cは端子13aまたは13bと接続可能であり、端子13dは端子13aまたは13bと接続可能であり、端子13eは端子13aまたは13bと接続可能であり、端子13fは端子13aまたは13bと接続可能である。
【0016】
例えば、端子13aと端子13cとが接続され、端子13bと端子13fとが接続されることで、副線路11の他端112が結合端子130に接続され、副線路11の一端111が終端回路14に接続される。また、端子13aと端子13fとが接続され、端子13bと端子13cとが接続されることで、副線路11の一端111が結合端子130に接続され、副線路11の他端112が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路13は、副線路11の一端111および他端112と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。従って、方向性結合器1は、スイッチ回路13の切り換え動作に応じて、主線路10を入力ポート110から出力ポート120に向かって伝送する信号(進行波)、および、主線路10を出力ポート120から入力ポート110に向って伝送する信号(反射波)のいずれかを、結合端子130から検波信号として出力できる。また、このとき、端子13dおよび13eは、いずれの端子とも接続されないことにより、副線路11および12のうち、副線路11が結合端子130に接続される。
【0017】
また、例えば、端子13aと端子13dとが接続され、端子13bと端子13eとが接続されることで、副線路12の他端122が結合端子130に接続され、副線路12の一端121が終端回路14に接続される。また、端子13aと端子13eとが接続され、端子13bと端子13dとが接続されることで、副線路12の一端121が結合端子130に接続され、副線路12の他端122が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路13は、副線路12の一端121および他端122と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。また、このとき、端子13cおよび13fは、いずれの端子とも接続されないことにより、副線路11および12のうち、副線路12が結合端子130に接続される。
【0018】
上記接続構成によれば、スイッチ回路13は、結合端子130と接続される副線路を選択する第1スイッチ回路として機能する。さらに、スイッチ回路13は、副線路11および12の少なくとも一方の方向性(進行波および反射波のうちいずれの信号を出力するか)を切り換える第2スイッチ回路としても機能する。
【0019】
なお、本実施の形態に係る方向性結合器1において、副線路11と副線路12とは、主線路10を挟んで配置されている。これによれば、副線路11と副線路12との距離を確保できるので、副線路11と副線路12とのアイソレーションを向上させることが可能となる。
【0020】
ここで、副線路の長さについて定義しておく。副線路の長さとは、以下で定義される副線路の一端から副線路の他端まで延びる配線導体の長さを指す。
【0021】
副線路は、主線路に沿って設けられ、当該主線路との第1距離が略一定の第1区間に配置された配線導体と定義される。このとき、第1区間の両側に位置する第2区間の配線導体は、主線路との距離が第1距離よりも大きい第2距離であり、副線路の一端および他端は、配線導体の主線路までの距離が第1距離から第2距離へ変化する地点である。
【0022】
あるいは、副線路は、主線路に沿って設けられ、線幅が略一定の第1幅を有する第1区間に配置された配線導体と定義される。このとき、第1区間の両側に位置する第2区間の配線導体の線幅は、第1幅とは異なる第2幅であり、副線路の一端および他端は、配線導体の線幅が第1幅から第2幅へ変化する地点である。
【0023】
あるいは、副線路は、主線路に沿って設けられ、膜厚が略一定の第1膜厚を有する第1区間に配置された配線導体と定義される。このとき、第1区間の両側に位置する第2区間の配線導体の膜厚は、第1膜厚とは異なる第2膜厚であり、副線路の一端および他端は、配線導体の膜厚が第1膜厚から第2膜厚へ変化する地点である。
【0024】
あるいは、副線路は、主線路に沿って設けられ、主線路との結合度が略一定の第1結合度を有する第1区間に配置された配線導体と定義される。このとき、第1区間の両側に位置する第2区間の配線導体の結合度は、第1結合度よりも小さい第2結合度であり、副線路の一端および他端は、配線導体の結合度が第1結合度から第2結合度へ変化する地点である。
【0025】
[2.方向性結合器1の周波数特性]
図2は、実施の形態に係る方向性結合器1の結合度および挿入損失の周波数特性を示すグラフである。図2の(a)には、副線路11および12の結合度の周波数特性が示され、図2の(b)には、副線路11または12が選択された場合の主線路10の挿入損失の周波数特性が示されている。
【0026】
図2の(a)に示すように、副線路12が選択される場合には、2GHz付近で約24dBの結合度を得ている。一方、副線路11が選択される場合には、900MHz付近で約24dBの結合度を得ている。
【0027】
また、図2の(b)に示すように、副線路11が選択される場合には、主線路10の2GHz付近での挿入損失は約0.12dBであるが、副線路12が選択される場合には、主線路10の2GHz付近での挿入損失を約0.05dBに低減できる。また、副線路11が選択される場合には、主線路10の900MHz付近での挿入損失は約0.04dBとなる。
【0028】
図2の(a)および(b)に示すように、副線路11および12の長さが異なることにより、副線路11および12の結合度の周波数依存性が異なる。また、副線路11および12の選択により、主線路10の挿入損失の周波数特性が異なる。
【0029】
この周波数特性を利用して、例えば、1.0GHzよりも低周波数側の帯域(1.0GHz未満の周波数帯域)では、スイッチ回路13において、端子13aと端子13cとを接続し、端子13bと端子13fとを接続することにより、副線路11と結合端子130とを接続する。また、1.0GHzよりも高周波数側の帯域(1.0GHz以上の周波数帯域)では、スイッチ回路13において、端子13aと端子13dとを接続し、端子13bと端子13eとを接続することにより、副線路12と結合端子130とを接続する。
【0030】
これによれば、副線路11および12のうち、高周波数側の帯域で副線路12を選択することで、不要に大きな結合度となることを抑制できるので、主線路10の挿入損失を低減できる。また、低周波数側の帯域で副線路11を選択することで、結合度の低下を抑制しつつ、主線路10の挿入損失を低く維持できる。つまり、所望の周波数帯において、所望の結合度を、主線路10の挿入損失を不要に増大させることなく実現することが可能となる。
【0031】
さらに、スイッチ回路13の接続形態により、非選択の副線路を結合端子130および終端回路14に接続しないことで、挿入損失の増大を抑制できる。特に、非選択の副線路をスイッチの開放により切り離すことで、挿入損失の増大を最小限とすることが可能となる。
【0032】
よって、低周波数側の帯域および高周波数側の帯域を含む所定の周波数帯域にわたり、安定した結合度および挿入損失を有する方向性結合器1を提供することが可能となる。
【0033】
[3.方向性結合器1Aの回路構成]
図3は、変形例1に係る方向性結合器1Aの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Aは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路13と、終端回路14と、を備える。主線路10と副線路11とは、互いに電磁気的に結合しており、主線路10と副線路12とは、互いに電磁気的に結合している。本変形例に係る方向性結合器1Aは、実施の形態に係る方向性結合器1と比較して、副線路11および12の配置関係のみが異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Aについて、実施の形態に係る方向性結合器1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0034】
副線路11と副線路12とは、主線路10に対して同じ側に配置されている。これによれば、副線路11から結合端子130までの配線と副線路12から結合端子130までの配線とを、主線路10に対して同じ側に配置できるので、配線長を短縮できる。
【0035】
よって、低周波数側の帯域および高周波数側の帯域を含む所定の周波数帯域にわたり、安定した結合度および挿入損失を有する小型の方向性結合器1Aを提供することが可能となる。
【0036】
[4.方向性結合器1Bの回路構成]
図4は、変形例2に係る方向性結合器1Bの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Bは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路21および22と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Bは、実施の形態に係る方向性結合器1と比較して、スイッチ回路21および22の構成が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Bについて、実施の形態に係る方向性結合器1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0037】
スイッチ回路21は、第1スイッチ回路の一例であり、端子21a、21b、21c、21d、21eおよび21fを有する。スイッチ回路22は、第2スイッチ回路の一例であり、端子22a、22b、22c、22d、22eおよび22fを有する。
【0038】
端子21aは端子22aに接続され、端子21bは端子22bに接続されている。また、端子21cは他端112に接続され、端子21dは他端122に接続され、端子21eは一端121に接続され、端子21fは一端111に接続されている。また、端子22cおよび22eは結合端子130に接続され、端子22dおよび22fは終端回路14に接続されている。また、端子21aは端子21cおよび21dと接続可能であり、端子21bは端子21eおよび21fと接続可能である。また、端子22aは端子22cおよび22dと接続可能であり、端子22bは端子22eおよび22fと接続可能である。
【0039】
例えば、端子21aと端子21cとが接続され、端子21bと端子21fとが接続されることで、副線路11の他端112が端子22aに接続され、副線路11の一端111が端子22bに接続される。また、端子21aと端子21dとが接続され、端子21bと端子21eとが接続されることで、副線路12の他端122が端子22aに接続され、副線路12の一端121が端子22bに接続される。つまり、スイッチ回路21は、副線路11とスイッチ回路22との接続、および、副線路12とスイッチ回路22との接続を切り換える。つまり、スイッチ回路21は、結合端子130と接続される副線路を選択する第1スイッチ回路として機能する。また、このとき、端子21dおよび21eは、いずれの端子とも接続されないことにより、主線路10の挿入損失の増加をより抑制できる。
【0040】
また、例えば、端子22aと端子22cとが接続され、端子22bと端子22fとが接続されることで、副線路11の他端112が結合端子130に接続され、副線路11の一端111が終端回路14に接続される。また、端子22aと端子22dとが接続され、端子22bと端子22eとが接続されることで、副線路11の一端111が結合端子130に接続され、副線路11の他端112が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路22は、副線路11の一端111および他端112と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。つまり、スイッチ回路22は、副線路11および12の少なくとも一方の方向性を切り換える第2スイッチ回路として機能する。これにより方向性結合器1Bは、双方向の(進行波および反射波双方の)検波が可能となる。
【0041】
つまり、本変形例に係る方向性結合器1Bは、副線路を選択するスイッチ回路21(第1スイッチ回路)と、方向性を切り換えるスイッチ回路22(第2スイッチ回路)とを独立させた回路構成を有している。これにより、副線路選択の制御と、方向性切り換えの制御とを独立して実行できるので、制御プログラムの構成を平易化できる。
【0042】
[5.方向性結合器1Cの実装構成]
図5は、変形例3に係る方向性結合器1Cの実装構成の一例を示す斜視図である。本変形例に係る方向性結合器1Cは、実施の形態に係る方向性結合器1と回路構成が同じであり、具体的な実装構成が開示されている点が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Cについて、実施の形態に係る方向性結合器1と同じ回路構成については説明を省略し、実装構成を中心に説明する。
【0043】
方向性結合器1Cは、実装基板32と、半導体IC33と、樹脂部材34とで構成されている。
【0044】
実装基板32は、例えば、導体パターンが形成された複数の層で構成された多層基板であり、層32a、32b、32c、32dおよび32eを含む。層32a、32b、32c、32dおよび32eは、この順で積層されている。
【0045】
実装基板32としては、例えば、樹脂系のプリント基板が用いられ、実装基板32を構成する誘電体としては、BTレジン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー樹脂、およびポリイミド樹脂などの単体、または、これらとガラス繊維および他のフィラーとともに用いられる。また、実装基板32としては、例えば、ガラスセラミック基板も用いられる。実装基板32の導体パターンとしては銅箔、銅あるいは銀の厚膜、または銅、銀および他の金属との合金膜や複合膜が用いられる。
【0046】
層32aの裏面(半導体IC33側とは反対の面)側には、入力ポート110および出力ポート120である外部接続電極が形成されている。層32bには、副線路11に相当する導体配線が形成されている。層32cには、主線路10に相当する導体配線が形成されている。層32dには、副線路12に相当する導体配線が形成されている。層32eには、副線路11または12に接続された端子321、322、323および324が配置されている。
【0047】
層32bに配置された副線路11の一端111は、ビア導体を介して層32eに配置された端子321に接続され、他端112は、ビア導体を介して層32eに配置された端子322に接続されている。層32cに配置された主線路10の一端は、ビア導体を介して層32aに配置された入力ポート110に接続され、主線路10の他端は、ビア導体を介して層32aに配置された出力ポート120に接続されている。層32dに配置された副線路12の一端121は、ビア導体を介して層32eに配置された端子324に接続され、他端122は、ビア導体を介して層32eに配置された端子323に接続されている。このように、方向性結合器1Cが複数の層からなる積層体を含んで構成される場合、副線路11、12の一端および他端はそれぞれ、層間を結ぶビア導体と接続される部分と定義されてもよい。
【0048】
主線路10と副線路11とは、層32a~32eの積層方向から見て、少なくとも一部重複している。また、主線路10と副線路12とは、上記積層方向から見て、少なくとも一部重複している。ここで、副線路11と副線路12とは、長さが異なるので、主線路10に対する副線路11の結合度と、主線路10に対する副線路12の結合度とが異なる。
【0049】
半導体IC33は、スイッチ回路13およびスイッチ回路13の導通および非導通を制御する制御回路を内蔵し、実装基板32上に実装されている。半導体IC33の裏面側(実装基板32側)には、端子321~324と接続される端子13c~13fが配置されている。半導体IC33は、例えば、はんだバンプで実装基板32にフリップチップ実装され、樹脂部材34で覆われている。樹脂部材34は、例えば、エポキシ系樹脂であり、半導体IC33はトランスファーモールドされる。なお、樹脂部材34として、アンダーフィル樹脂を併用してもよい。また、樹脂部材34の天面と側面の少なくとも一部に金属シールド膜31が形成されていてもよい。
【0050】
終端回路14は、実装基板32内の導体パターンで形成されていてもよいし、実装基板32上に実装されたチップ状のインダクタおよびコンデンサで形成されていてもよい。終端回路14が可変型の終端回路である場合には、可変シャント抵抗器、可変シャントキャパシタ、および可変インダクタと抵抗素子とが直列接続されたシャント回路、の3種類のうち必要なものが並列接続された構成であってもよい。なお、可変動作は、トランジスタを用いたスイッチで、所望の回路要素を接続または切断することで実行される。
【0051】
なお、主線路10、副線路11および12は、実装基板32にではなく、半導体IC33内部に形成されていてもよい。
【0052】
上記の実装構成によれば、実装基板32に、主線路10、副線路11および12を内蔵することで、実装基板32内のスペースを有効活用できるようになる。また、半導体IC33内にはこれらの線路を設けないので、半導体IC33をより小型化できる。また、高出力の高周波信号に対して線形性の良い実装基板32内のみに主線路10が配設され、半導体IC33が高出力の信号を伝送することを回避できるので、主線路10を伝送する高周波信号の歪を最小限とすることができ、半導体IC33のたわみや熱応力などに対する実装信頼性を高くすることが可能となる。また、主線路10は実装基板32内に配置され、半導体IC33への接続がないため、半導体IC33を流れる信号が切断される恐れが低くなるため、信頼性を高くすることができる。
【0053】
また、主線路10、副線路11および12の線幅などの加工精度は、半導体IC33内にこれらの線路を設けた場合と比較して、低くなりやすく特性ばらつきが起こりやすいが、可変型の終端回路14などを設けて調整可能とすることで、方向性などの特性ばらつきの発生を抑制できる。
【0054】
図6は、実施の形態に係る方向性結合器1のスイッチの構成の一例を示す回路図である。方向性結合器1のスイッチ回路13は、複数のスイッチで構成されており、図6に示されたスイッチ200は、例えば、スイッチ回路13を構成する複数のスイッチの1つを例示したものである。
【0055】
図6に示すように、スイッチ200は、スイッチ素子211、212および213で構成されている。スイッチ素子211、212および213のそれぞれは、図6の下段に示すように、複数のトランジスタが多段接続された構成となっている。トランジスタの多段接続数は、必要とされる耐電圧により決定される。各スイッチ素子の導通および非導通は、抵抗素子を介してゲート端子へ印加される制御電圧により制御される。また、直流信号および交流信号の通過特性を補償すべく、各トランジスタにキャパシタおよび抵抗素子が適宜接続される。
【0056】
本実施の形態に係るスイッチ回路では、良好なアイソレーション特性を確保すべく、2つの直列接続されたスイッチ素子211および212と、スイッチ素子211および212の接続ノードとグランドとの間に接続されたスイッチ素子213とで構成される。つまり、スイッチ200は、シリーズ/シャント/シリーズのT型スイッチを構成している。
【0057】
例えば、スイッチ200を非導通状態とする場合、スイッチ素子211および212を非導通とし、スイッチ素子213を導通状態とすることにより、スイッチ200のアイソレーション特性を向上できる。
【0058】
また、スイッチ200を非導通状態とする場合、スイッチ素子211および212を非導通とし、スイッチ素子213も非導通状態とすることにより、スイッチ200の挿入損失の増加を抑制できる。
【0059】
なお、本実施の形態に係るスイッチ回路を構成するスイッチは、シリーズ/シャントまたはシャント/シリーズのL型スイッチであってもよい。
【0060】
[6.方向性結合器1Dの回路構成]
図7は、変形例4に係る方向性結合器1Dの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Dは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路21、23および24と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Dは、変形例2に係る方向性結合器1Bと比較して、スイッチ回路23および24の構成が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Dについて、変形例2に係る方向性結合器1Bと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0061】
スイッチ回路21は、第1スイッチ回路の一例であり、端子21a、21b、21c、21d、21eおよび21fを有する。スイッチ回路23は、第2スイッチ回路の一例であり、端子23a、23b、23c、23d、23eおよび23fを有する。スイッチ回路24は、第2スイッチ回路の一例であり、端子24a、24b、24c、24d、24eおよび24fを有する。
【0062】
端子21aは結合端子130に接続され、端子21bは終端回路14に接続されている。また、端子21cは端子24cおよび24eに接続され、端子21dは端子23dおよび23fに接続され、端子21eは端子23cおよび23eに接続され、端子21fは端子24dおよび24fに接続されている。また、端子23aは他端122に接続され、端子23bは一端121に接続されている。また、端子24aは他端112に接続され、端子24bは一端111に接続されている。また、端子21aは端子21cおよび21dと接続可能であり、端子21bは端子21eおよび21fと接続可能である。また、端子23aは端子23cおよび23dと接続可能であり、端子23bは端子23eおよび23fと接続可能である。また、端子24aは端子24cおよび24dと接続可能であり、端子24bは端子24eおよび24fと接続可能である。
【0063】
例えば、端子23aと端子23cとが接続され、端子23bと端子23fとが接続されることで、副線路12の他端122が端子21eを介して終端回路14に接続され、副線路12の一端121が端子21dを介して結合端子130に接続される。また、端子23aと端子23dとが接続され、端子23bと端子23eとが接続されることで、副線路12の一端121が端子21eを介して終端回路14に接続され、副線路12の他端122が端子21dを介して結合端子130に接続される。つまり、スイッチ回路23は、副線路12の一端121および他端122と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。つまり、スイッチ回路23は、副線路12の方向性を切り換える第2スイッチ回路として機能する。これにより方向性結合器1Dは、双方向の検波が可能となる。
【0064】
また、例えば、端子24aと端子24cとが接続され、端子24bと端子24fとが接続されることで、副線路11の他端112が端子21cを介して結合端子130に接続され、副線路11の一端111が端子21fを介して終端回路14に接続される。また、端子24aと端子24dとが接続され、端子24bと端子24eとが接続されることで、副線路11の一端111が端子21cを介して結合端子130に接続され、副線路11の他端112が端子21fを介して終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路24は、副線路11の一端111および他端112と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。つまり、スイッチ回路24は、副線路11の方向性を切り換える第2スイッチ回路として機能する。これにより方向性結合器1Dは、双方向の検波が可能となる。
【0065】
つまり、本変形例に係る方向性結合器1Dは、副線路12の方向性を切り換えるスイッチ回路23(第2スイッチ回路)と、副線路11の方向性を切り換えるスイッチ回路24(第2スイッチ回路)とを独立させた回路構成を有している。言い換えれば、副線路11に対して、スイッチ回路21とスイッチ回路24とを個別に設けており、かつ、副線路12に対して、スイッチ回路21とスイッチ回路23とを個別に設けている。これにより、選択されない副線路は、方向性切り換え用スイッチ(第2スイッチ回路)と、副線路選択用スイッチ(第1スイッチ回路)との2段階で、結合端子130と切り離される。このため、選択されない副線路からの不要信号を、高アイソレーションにより遮断できる。なお、図7の接続例では、選択されない副線路12が、スイッチ回路23および21の2段階により高アイソレーションで切り離されている。
【0066】
なお、方向性結合器1Dにおいては、スイッチ回路23、24をそれぞれ独立させた回路構成とすることで第1スイッチ回路と第2スイッチ回路とを副線路11、12に対して個別に設けているが、第1スイッチ回路をそれぞれ独立させた回路構成とすることで第1スイッチ回路と第2スイッチ回路とを副線路11、12に対して個別に設けてもよい。また、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路との双方をそれぞれ独立させた回路構成とすることで、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路とを副線路11、12に対して個別に設けてもよい。
【0067】
[7.方向性結合器1Eの回路構成]
図8は、変形例5に係る方向性結合器1Eの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Eは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路25および26と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Eは、変形例2に係る方向性結合器1Bと比較して、スイッチ回路25および26の構成が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Eについて、変形例2に係る方向性結合器1Bと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0068】
スイッチ回路25は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、端子25a、25b、25c、25d、25eおよび25fを有する。端子25aは他端122に接続され、端子25bは一端121に接続され、端子25cおよび25eは結合端子130に接続され、端子25dおよび25fは終端回路14に接続されている。また、端子25aは端子25cおよび25dと接続可能であり、端子25bは端子25eおよび25fと接続可能である。
【0069】
例えば、端子25aと端子25cとが接続され、端子25bと端子25fとが接続されることで、副線路12の他端122が結合端子130に接続され、副線路12の一端121が終端回路14に接続される。また、端子25aと端子25dとが接続され、端子25bと端子25eとが接続されることで、副線路12の一端121が結合端子130に接続され、副線路12の他端122が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路25は、副線路12の一端121および他端122と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0070】
上記接続構成によれば、スイッチ回路25は、結合端子130と副線路12との接続および非接続を切り換える第1スイッチ回路として機能し、かつ、副線路12の方向性を切り換える第2スイッチ回路としても機能する。
【0071】
スイッチ回路26は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、端子26a、26b、26c、26d、26eおよび26fを有する。端子26aは他端112に接続され、端子26bは一端111に接続され、端子26cおよび26eは結合端子130に接続され、端子26dおよび26fは終端回路14に接続されている。また、端子26aは端子26cおよび26dと接続可能であり、端子26bは端子26eおよび26fと接続可能である。
【0072】
例えば、図8に示すように、端子26aと端子26cとが接続され、端子26bと端子26fとが接続されることで、副線路11の他端112が結合端子130に接続され、副線路11の一端111が終端回路14に接続される。また、端子26aと端子26dとが接続され、端子26bと端子26eとが接続されることで、副線路11の一端111が結合端子130に接続され、副線路11の他端112が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路26は、副線路11の一端111および他端112と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0073】
上記接続構成によれば、スイッチ回路26は、結合端子130と副線路11との接続および非接続を切り換える第1スイッチ回路として機能し、かつ、副線路11の方向性を切り換える第2スイッチ回路としても機能する。
【0074】
これによれば、スイッチ回路25および26のそれぞれが、方向性切り換え用スイッチ(第2スイッチ回路)と副線路選択用スイッチ(第1スイッチ回路)とを兼用するので、スイッチ回路の規模を小さくできる。
【0075】
[8.方向性結合器1Fの回路構成]
図9は、変形例6に係る方向性結合器1Fの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Fは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路25、26および27と、終端回路15および16と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Fは、変形例5に係る方向性結合器1Eと比較して、終端回路15および16、ならびにスイッチ回路27の構成が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Fについて、変形例5に係る方向性結合器1Eと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0076】
終端回路15は、スイッチ回路25を介して副線路12に接続され、副線路12を終端させる回路である。なお、終端回路15は、終端インピーダンスが可変する終端回路であってもよい。終端回路16は、スイッチ回路26を介して副線路11に接続され、副線路11を終端させる回路である。なお、終端回路16は、終端インピーダンスが可変する終端回路であってもよい。
【0077】
スイッチ回路27は、端子27a、27bおよび27cを有し、結合端子130と副線路11との接続、および、結合端子130と副線路12との接続を切り換える。
【0078】
端子27cは端子25cおよび25eに接続され、端子27bは端子26cおよび26eに接続され、端子27aは結合端子130に接続されている。
【0079】
これによれば、選択されない副線路は、スイッチ回路25または26と、スイッチ回路27との2段階で、結合端子130と切り離される。このため、選択されない副線路からの不要信号を、高アイソレーションにより遮断できる。なお、図9の接続例では、選択されない副線路12が、スイッチ回路25および27の2段階により高アイソレーションで切り離されている。
【0080】
また、終端回路15および16を、一旦調整すれば、副線路11および12の選択を切換えても、その都度、終端回路を再調整しなくてもよいので、終端制御を簡素化できる。さらに、高速に副線路を時分割切り換えしても終端回路器の損失負荷を軽減および分散できる。
【0081】
[9.方向性結合器1Gの回路構成]
図10は、変形例7に係る方向性結合器1Gの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Gは、主線路10と、副線路11、12および83と、結合端子130と、スイッチ回路25、26および28と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Gは、変形例5に係る方向性結合器1Eと比較して、副線路83およびスイッチ回路28が付加されている点が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Gについて、変形例5に係る方向性結合器1Eと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0082】
副線路83は、一端131および他端132を有している。主線路10と副線路83とは、互いに電磁気的に結合している。副線路11と副線路12と副線路83とは、長さが異なる。本変形例では、副線路11は副線路12よりも長く、副線路12は副線路83よりも長い。
【0083】
また、本変形例では、副線路11と副線路12とは、主線路10を挟んで配置されている。また、副線路11と副線路83とは、主線路10を挟んで配置されている。つまり、副線路12と副線路83とは、主線路10に対して同じ側に配置されている。なお、副線路11、12および83の主線路10に対する配置に対しては、これに限られない。
【0084】
スイッチ回路28は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、端子28a、28b、28c、28d、28eおよび28fを有する。端子28aは他端132に接続され、端子28bは一端131に接続され、端子28cおよび28eは結合端子130に接続され、端子28dおよび28fは終端回路14に接続されている。また、端子28aは端子28cおよび28dと接続可能であり、端子28bは端子28eおよび28fと接続可能である。
【0085】
例えば、端子28aと端子28cとが接続され、端子28bと端子28fとが接続されることで、副線路83の他端132が結合端子130に接続され、副線路83の一端131が終端回路14に接続される。また、端子28aと端子28dとが接続され、端子28bと端子28eとが接続されることで、副線路83の一端131が結合端子130に接続され、副線路83の他端132が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路28は、副線路83の一端131および他端132と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0086】
上記接続構成によれば、スイッチ回路28は、結合端子130と副線路83との接続および非接続を切り換える第1スイッチ回路として機能し、かつ、副線路83の方向性を切り換える第2スイッチ回路としても機能する。
【0087】
本変形例に係る方向性結合器1Gは、例えば、副線路83を高周波数帯域、副線路12を中周波数帯域、副線路11を低周波数帯域に適用することができる。
【0088】
スイッチ回路25、26および28のそれぞれが、方向性切り換え用スイッチ(第2スイッチ回路)と副線路選択用スイッチ(第1スイッチ回路)とを兼用するので、スイッチ回路の規模を小さくしつつ、高周波数帯域、中周波数帯域、および低周波数帯域を含む広帯域において所望の結合度範囲と低い挿入損失を維持できる。
【0089】
[10.方向性結合器1Hの回路構成]
図11は、変形例8に係る方向性結合器1Hの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Hは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路29と、終端回路14と、可変整合回路17と、可変減衰回路18と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Hは、変形例5に係る方向性結合器1Eと比較して、スイッチ回路29の構成、ならびに、可変整合回路17および可変減衰回路18が付加されている点が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Hについて、変形例5に係る方向性結合器1Eと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0090】
スイッチ回路29は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、端子29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g、29h、29j、29k、29mおよび29nを有する。端子29aは他端112に接続され、端子29bは他端122に接続され、端子29cは一端121に接続され、端子29dは一端111に接続されている。また、端子29e、29g、29jおよび29mは可変整合回路17および可変減衰回路18を介して結合端子130に接続され、端子29f、29h、29kおよび29nは終端回路14に接続されている。また、端子29aは端子29eおよび29fと接続可能であり、端子29bは端子29gおよび29hと接続可能であり、端子29cは端子29jおよび29kと接続可能であり、端子29dは端子29mおよび29nと接続可能である。
【0091】
例えば、図11に示すように、端子29aと端子29eとが接続され、端子29dと端子29nとが接続されることで、副線路11の他端112が可変整合回路17および可変減衰回路18を介して結合端子130に接続され、副線路11の一端111が終端回路14に接続される。また、例えば、端子29aと端子29fとが接続され、端子29dと端子29mとが接続されることで、副線路11の一端111が可変整合回路17および可変減衰回路18を介して結合端子130に接続され、副線路11の他端112が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路29は、副線路11の一端111および他端112と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0092】
また、例えば、端子29bと端子29gとが接続され、端子29cと端子29kとが接続されることで、副線路12の他端122が可変整合回路17および可変減衰回路18を介して結合端子130に接続され、副線路12の一端121が終端回路14に接続される。また、例えば、端子29bと端子29hとが接続され、端子29cと端子29jとが接続されることで、副線路12の一端121が可変整合回路17および可変減衰回路18を介して結合端子130に接続され、副線路12の他端122が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路29は、副線路12の一端121および他端122と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0093】
さらに、スイッチ回路29は、副線路11と結合端子130との接続、および、副線路12と結合端子130との接続を切り換える。
【0094】
可変整合回路17は、結合端子130とスイッチ回路29との間に配置されている。可変整合回路17は、例えば、インダクタおよびキャパシタなどの受動素子ならびにスイッチで構成されている。可変整合回路17は、検波したい周波数帯域に応じて、インピーダンスおよび位相などを可変することで、可変整合回路17からスイッチ回路29側を見たインピーダンスと、可変整合回路17から結合端子130側を見たインピーダンスとを整合させることが可能である。
【0095】
可変減衰回路18は、可変整合回路17と結合端子130との間に接続されている。可変減衰回路18の減衰率を調整することで、検波対象の周波数帯域に応じて変化する検波信号の大きさを平準化し、検波精度を安定化できる。
【0096】
上記構成によれば、検波対象の周波数ポイントに対しても、進行および反射の方向に対しても、副線路11および12を切り換え、また可変減衰回路18を適切に調整することで、所望の結合度を得ることができる。また、検波対象の周波数ポイントに対しても、進行および反射の方向に対しても、終端回路14と可変整合回路17とを適切に調整することで、所望の方向性を得ることができる。
【0097】
なお、副線路11および12と結合端子130との間に、可変フィルタが配置されていてもよい。
【0098】
[11.方向性結合器1Jの回路構成]
図12は、変形例9に係る方向性結合器1Jの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Jは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路41および42と、装荷回路51、52、53および54と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Jは、変形例5に係る方向性結合器1Eと比較して、スイッチ回路41および42の構成、ならびに、装荷回路51~54が付加されている点が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Jについて、変形例5に係る方向性結合器1Eと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0099】
装荷回路51は、スイッチ回路41とグランドとの間に配置され、副線路11に接続されることで、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷回路51との合成回路の電気長を長くするための回路である。装荷回路52は、スイッチ回路41とグランドとの間に配置され、副線路11に接続されることで、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷回路52との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0100】
装荷回路53は、スイッチ回路42とグランドとの間に配置され、副線路12に接続されることで、副線路12の電気長に対して、副線路12と装荷回路53との合成回路の電気長を長くするための回路である。装荷回路54は、スイッチ回路42とグランドとの間に配置され、副線路12に接続されることで、副線路12の電気長に対して、副線路12と装荷回路54との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0101】
スイッチ回路41は、第1スイッチ回路の一例であり、かつ第2スイッチ回路の一例であり、かつ第3スイッチ回路の一例であり、端子41a、41b、41c、41d、41e、41f、41gおよび41hを有する。端子41aは他端112に接続され、端子41bは一端111に接続され、端子41cは装荷回路52に接続され、端子41dおよび41fは結合端子130に接続され、端子41eおよび41gは終端回路14に接続され、端子41hは装荷回路51に接続されている。また、端子41aは端子41c、41dおよび41eと接続可能であり、端子41bは端子41f、41gおよび41hと接続可能である。
【0102】
スイッチ回路42は、第1スイッチ回路の一例であり、かつ第2スイッチ回路の一例であり、かつ第3スイッチ回路の一例であり、端子42a、42b、42c、42d、42e、42f、42gおよび42hを有する。端子42aは他端122に接続され、端子42bは一端121に接続され、端子42cは装荷回路54に接続され、端子42dおよび42fは結合端子130に接続され、端子42eおよび42gは終端回路14に接続され、端子42hは装荷回路53に接続されている。また、端子42aは端子42c、42dおよび42eと接続可能であり、端子42bは端子42f、42gおよび42hと接続可能である。
【0103】
例えば、端子41aと端子41dとが接続され、端子41bと端子41gとが接続されることで、副線路11の他端112が結合端子130に接続され、副線路11の一端111が終端回路14に接続される。また、例えば、端子41aと端子41eとが接続され、端子41bと端子41fとが接続されることで、副線路11の一端111が結合端子130に接続され、副線路11の他端112が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路41は、副線路11の一端111および他端112と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0104】
この状態で、スイッチ回路42において、例えば、端子42aと端子42cとが接続され、端子42bと端子42hとが接続されることで、副線路12の他端122が装荷回路54に接続され、副線路12の一端121が装荷回路53に接続される。この接続状態によれば、副線路11と結合端子130とが接続された状態で、結合端子130と接続されていない副線路12を主線路10と結合させ、かつ、副線路12と装荷回路53と装荷回路54との合成回路を所定の電気長を有する線路として用いることが可能となる。これにより、上記合成回路を、当該合成回路の共振周波数を減衰極とする、帯域除去フィルタとして動作させることができる。
【0105】
また、例えば、端子42aと端子42dとが接続され、端子42bと端子42gとが接続されることで、副線路12の他端122が結合端子130に接続され、副線路12の一端121が終端回路14に接続される。また、例えば、端子42aと端子42eとが接続され、端子42bと端子42fとが接続されることで、副線路12の一端121が結合端子130に接続され、副線路12の他端122が終端回路14に接続される。つまり、スイッチ回路42は、副線路12の一端121および他端122と結合端子130および終端回路14との接続を切り換える。
【0106】
この状態で、図12に示す接続状態のように、スイッチ回路41において、例えば、端子41aと端子41cとが接続され、端子41bと端子41hとが接続されることで、副線路11の他端112が装荷回路52に接続され、副線路11の一端111が装荷回路51に接続される。この接続状態によれば、副線路12と結合端子130とが接続された状態で、結合端子130と接続されていない副線路11を主線路10と結合させ、かつ、副線路11と装荷回路51と装荷回路52との合成回路を所定の電気長を有する線路として用いることが可能となる。これにより、上記合成回路を、当該合成回路の共振周波数を減衰極とする帯域除去フィルタとして動作させることができる。
【0107】
さらに、スイッチ回路41および42は、副線路11と結合端子130との接続、および、副線路12と結合端子130との接続を切り換える。
【0108】
なお上記合成回路は、主線路10、副線路11および12以外の配線およびスイッチなどを構成要素として含んでもよい。
【0109】
上記合成回路の構成によれば、例えば、主線路10を伝送する高周波信号の高調波などの不要波を減衰させることが可能となる。また、帯域除去フィルタとして、選択されない副線路を適用するため、回路規模をほとんど変えずに帯域除去機能を追加できる。また、新たな回路要素の追加が無いため、基本波帯での挿入損失の増加を抑制できる。
【0110】
なお、装荷回路51~54としては、伝送線路のほか、キャパシタンス成分、インダクタンス成分を有する回路素子、または、これらの合成回路、さらには、グランド短絡回路が挙げられる。
【0111】
[12.方向性結合器1Kの回路構成]
図13は、変形例10に係る方向性結合器1Kの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Kは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路43、44および45と、装荷回路53および54と、装荷線路61、62、63および64と、キャパシタ71および72と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Kは、変形例9に係る方向性結合器1Jと比較して、スイッチ回路43、44および45の構成、ならびに、装荷線路61~64が付加されている点が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Kについて、変形例9に係る方向性結合器1Jと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0112】
装荷線路61は、変形例9に係る装荷回路51と実質的に同じ機能を有し、副線路11の一端111とスイッチ回路43との間に配置され、副線路11が結合端子130に接続されていない場合に、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷線路61との合成回路の電気長を長くするための回路である。装荷線路62は、変形例9に係る装荷回路52と同じ機能を有し、副線路11の他端112とスイッチ回路44との間に配置され、副線路11が結合端子130に接続されていない場合に、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷線路62との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0113】
なお、例えば、装荷線路61と主線路10との結合度は、副線路11と主線路10との結合度よりも小さく、装荷線路62と主線路10との結合度は、副線路11と主線路10との結合度よりも小さい。装荷線路61と主線路10との結合度は副線路11と主線路10との結合度と同等、あるいは、大きくてもよく、装荷線路62と主線路10との結合度は副線路11と主線路10との結合度と同等、あるいは、大きくてもよい。装荷線路61、62と主線路10との結合度の、副線路11と主線路10との結合度に対する大きさに応じて、方向性結合器1Kの挿入損失なども変動する。
【0114】
装荷線路63は、変形例9に係る装荷回路53と実質的に同じ機能を有し、副線路12の一端121とスイッチ回路45との間に配置され、副線路12が結合端子130に接続されていない場合に、副線路12の電気長に対して、副線路12と装荷線路63との合成回路の電気長を長くするための回路である。装荷線路64は、変形例9に係る装荷回路54と同じ機能を有し、副線路12の他端122とスイッチ回路45との間に配置され、副線路12が結合端子130に接続されていない場合に、副線路12の電気長に対して、副線路12と装荷線路64との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0115】
なお、例えば、装荷線路63と主線路10との結合度は、副線路12と主線路10との結合度よりも小さく、装荷線路64と主線路10との結合度は、副線路12と主線路10との結合度よりも小さい。装荷線路63と主線路10との結合度は副線路11と主線路10との結合度と同等、あるいは、大きくてもよく、装荷線路64と主線路10との結合度は副線路11と主線路10との結合度と同等、あるいは、大きくてもよい。装荷線路63、64と主線路10との結合度の、副線路11と主線路10との結合度に対する大きさに応じて、方向性結合器1Kの挿入損失なども変動する。
【0116】
キャパシタ71は、スイッチ回路43とグランドとの間に配置され、副線路11が結合端子130に接続されていない場合に、副線路11と装荷線路61との合成回路の電気長に対して、副線路11と装荷線路61とスイッチ回路43とキャパシタ71との合成回路の電気長を調整するための回路である。キャパシタ72は、スイッチ回路44とグランドとの間に配置され、副線路11が結合端子130に接続されていない場合に、副線路11と装荷線路62との合成回路の電気長に対して、副線路11と装荷線路62とスイッチ回路44とキャパシタ72との合成回路の電気長を調整するための回路である。言い換えれば、キャパシタ71、72は、それぞれ、副線路11に接続されることで、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷線路61、62とスイッチ回路43、44とキャパシタ71、72との合成回路の電気長を異ならせる回路であり、装荷回路の一種である。
【0117】
装荷回路53は、スイッチ回路45とグランドとの間に配置されている。装荷回路53は、副線路11および装荷線路61に接続されることで、副線路11と装荷線路61との合成回路の電気長に対して、副線路11と装荷線路61と装荷回路53との合成回路の電気長を長くするための回路である。また、装荷回路53は、副線路12および装荷線路63に接続されることで、副線路12と装荷線路63との合成回路の電気長に対して、副線路12と装荷線路63と装荷回路53との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0118】
装荷回路54は、スイッチ回路45とグランドとの間に配置されている。装荷回路54は、副線路11および装荷線路62に接続されることで、副線路11と装荷線路62との合成回路の電気長に対して、副線路11と装荷線路62と装荷回路54との合成回路の電気長を長くするための回路である。また、装荷回路54は、副線路12および装荷線路64に接続されることで、副線路12と装荷線路64との合成回路の電気長に対して、副線路12と装荷線路64と装荷回路54との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0119】
例えば、スイッチ回路45により、副線路12が結合端子130に接続されている場合、スイッチ回路43および44により、グランド、装荷回路53、装荷線路61、副線路11、装荷線路62、装荷回路54、およびグランドで構成される第1合成回路が形成される。これにより、上記第1合成回路を、当該第1合成回路の共振周波数を減衰極とする、帯域除去フィルタとして動作させることができる。
【0120】
また、例えば、 スイッチ回路45により、副線路12が結合端子130に接続されている場合、スイッチ回路43および44により、グランド、キャパシタ71、装荷線路61、副線路11、装荷線路62、キャパシタ72、およびグランドで構成される第2合成回路が形成される。これにより、上記第2合成回路を、当該第2合成回路の共振周波数を減衰極とする、帯域除去フィルタとして動作させることができる。
【0121】
なお、上記の帯域除去フィルタを構成する合成回路にキャパシタ71および72を付加すると、帯域除去フィルタの減衰帯域(または減衰極)を、より低周波数側にシフトさせることが可能となる。つまり、方向性結合器1Kの回路規模をほとんど変えずに、帯域除去フィルタの減衰帯域を、より低く調整することができる。
【0122】
なお、キャパシタ71および72は、実装基板内の導体パターンで形成されていてもよいし、半導体IC内に形成されたMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタまたはMOM(Metal Oxide Metal)キャパシタであってもよい。さらに、キャパシタ71および72は、半導体IC内のトランジスタに付加されたキャパシタであってもよい。
【0123】
また、キャパシタ71および72のうちの少なくとも一方がなく、スイッチ回路43および44の少なくとも一方がグランドに直接接続されていてもよい。例えば、スイッチ回路43がグランドに直接接続されている場合、グランド、装荷線路61、副線路11、装荷線路62、キャパシタ72、およびグランドで構成される第3合成回路が形成される。キャパシタ71がないことで、第3合成回路の一端が短絡端となるため、第3共振回路の共振周波数を第3共振回路の両端が開放端である場合の約1/2とできる。つまり、新たに短絡部を設けなくても、スイッチ回路43のスイッチ構成を用いることで、短絡端を実現できる。なお、インダクタを経由させて接地することで、さらに共振周波数を低下させることも可能である。
【0124】
[13.方向性結合器1Lの回路構成]
図14は、変形例11に係る方向性結合器1Lの機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、方向性結合器1Lは、主線路10と、副線路11および12と、結合端子130と、スイッチ回路46および47と、装荷線路61、62、63および64と、終端回路14と、を備える。本変形例に係る方向性結合器1Lは、変形例5に係る方向性結合器1Eと比較して、スイッチ回路46および47の具体的回路構成が開示されている点、ならびに、装荷線路61~64が付加されている点が異なる。以下、本変形例に係る方向性結合器1Lについて、変形例5に係る方向性結合器1Eと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0125】
装荷線路61は、変形例10に係る装荷線路61と実質的に同じ機能を有し、副線路11の一端111とスイッチ回路46との間に配置され、副線路11が結合端子130に接続されていない場合に、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷線路61との合成回路の電気長を長くするための回路である。装荷線路62は、変形例10に係る装荷線路62と実質的に同じ機能を有し、副線路11の他端112とスイッチ回路46との間に配置され、副線路11が結合端子130に接続されていない場合に、副線路11の電気長に対して、副線路11と装荷線路62との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0126】
なお、装荷線路61と主線路10との結合度は、副線路11と主線路10との結合度よりも小さく、装荷線路62と主線路10との結合度は、副線路11と主線路10との結合度よりも小さい。
【0127】
装荷線路63は、変形例10に係る装荷線路63と実質的に同じ機能を有し、副線路12の一端121とスイッチ回路47との間に配置され、副線路12が結合端子130に接続されていない場合に、副線路12の電気長に対して、副線路12と装荷線路63との合成回路の電気長を長くするための回路である。装荷線路64は、変形例10に係る装荷線路64と実質的に同じ機能を有し、副線路12の他端122とスイッチ回路47との間に配置され、副線路12が結合端子130に接続されていない場合に、副線路12の電気長に対して、副線路12と装荷線路64との合成回路の電気長を長くするための回路である。
【0128】
なお、装荷線路63と主線路10との結合度は、副線路12と主線路10との結合度よりも小さく、装荷線路64と主線路10との結合度は、副線路12と主線路10との結合度よりも小さい。
【0129】
スイッチ回路46は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、変形例5に係るスイッチ回路26と同様に4つのスイッチで構成されている。スイッチ回路46は、上記4つのスイッチの具体的回路構成を示すものであり、当該4つのスイッチのそれぞれは、図6に示されたスイッチ200と同様の回路構成を有し、シリーズスイッチ46s/シャントスイッチ46p/シリーズスイッチ46sのT型スイッチを構成している。
【0130】
スイッチ回路47は、第1スイッチ回路の一例および第2スイッチ回路の一例であり、変形例5に係るスイッチ回路25と同様に4つのスイッチで構成されている。スイッチ回路47は、上記4つのスイッチの具体的回路構成を示すものであり、当該4つのスイッチのそれぞれは、図6に示されたスイッチ200と同様の回路構成を有し、シリーズスイッチ/シャントスイッチ/シリーズスイッチのT型スイッチを構成している。
【0131】
例えば、図14に示すように、スイッチ回路47により、副線路12と結合端子130とが接続されているとする。この場合、副線路12と接続されていない副線路11では、シリーズスイッチ46sを全て非導通状態とし、シャントスイッチ46pを全て導通状態としている。このとき、グランド、シャントスイッチ46p(導通状態)、シリーズスイッチ46s(非導通状態)、装荷線路61、副線路11、装荷線路62、シリーズスイッチ46s(非導通状態)、シャントスイッチ46p(導通状態)、グランドという第4合成回路が形成される。上記第4合成回路には、シリーズスイッチ46sのオフ容量が装荷される。このシリーズスイッチ46sのオフ容量により、副線路11の共振周波数よりも低周波数であって、副線路12で検波させる信号の周波数より2~3倍以上高い高調波周波数を上記第4合成回路の共振周波数とできる。これにより、主線路10を伝送する高調波などの不要信号を減衰させることが可能となる。
【0132】
なお、スイッチ回路46において、4つのシャントスイッチ46pのうちの一部を非導通状態としてもよい。これにより、シリーズスイッチ46sのオフ容量値を減少させて共振周波数を高くする調整が可能となる。
【0133】
図15は、本変形例に係る方向性結合器1Lにおいて、シリーズスイッチ46sのオフ容量が装荷されない場合(図15の(a))、および、当該オフ容量が装荷された場合(図15の(b))の結合度および主線路10の挿入損失を示すグラフである。同図の(a)では、主線路10を伝送する高調波などの不要信号を減衰させるような特性はみられないのに対して、同図の(b)では、3.9GHz帯の不要波を減衰させる特性がみられる。
【0134】
なお、スイッチ回路46および47は、シリーズ/シャント/シリーズのT型スイッチで構成されているが、シリーズ/シャントまたはシャント/シリーズのL型スイッチで構成されてもよい。
【0135】
スイッチの順番として、シリーズスイッチが副線路側に配置され、シャントスイッチが結合端子130側または終端回路14側に配置された場合に、不要波を減衰させる周波数を調整し低下させる効果が得られる。他方、スイッチの順番として、シャントスイッチが副線路側に配置され、シリーズスイッチが結合端子130側または終端回路14側に配置された場合にも、シャントスイッチのオンで装荷線路61、副線路11、装荷線路62の合成回路が両端短絡の1/2波長共振器の一部として不要波を減衰させることが可能となる。両端部の短絡で装荷容量の効果が効かなくなるので周波数を調整し上昇させる効果が得られる。ただしその際、結合状態も変化するので、通過帯域における挿入損失および減衰帯域における減衰量にも大きな変化が生じやすい。
【0136】
[14.変形例12に係る方向性結合器の回路構成]
図16は、実施の形態の変形例12に係る方向性結合器の機能的な構成の一例を示す回路図である。同図に示すように、本変形例に係る方向性結合器は、カプラ1Mおよび1Nと、スイッチ81A、81B、81C、82A、82Bおよび82Cと、可変減衰回路18A、18Bおよび18Cと、結合端子130A、130Bおよび130Cと、を備える。
【0137】
カプラ1Mは、主線路10と、副線路11および12と、スイッチ回路23および24と、可変終端回路14Aおよび14Bと、スイッチ22A、22B、48Aおよび48Bと、を備える。
【0138】
副線路11は、第1副線路の一例であり、その両端は、方向性を切り換えるスイッチ回路24に接続されている。副線路12は、第2副線路の一例であり、その両端は、方向性を切り換えるスイッチ回路23に接続されている。
【0139】
可変終端回路14Aは、スイッチ回路24に接続され、可変終端回路14Bは、スイッチ回路23に接続されている。
【0140】
スイッチ22Aは、スイッチ回路24と集合ノードn1との間に接続された、シリーズ/シャント/シリーズのT型スイッチで構成されている。スイッチ48Aは、スイッチ回路24とスイッチ22Aとの接続ノードとグランドとの間に接続されている。
【0141】
スイッチ22Bは、スイッチ回路23と集合ノードn1との間に接続された、シリーズ/シャント/シリーズのT型スイッチで構成されている。スイッチ48Bは、スイッチ回路23とスイッチ22Bとの接続ノードとグランドとの間に接続されている。
【0142】
スイッチ22Aおよび22Bは、副線路を選択するスイッチを構成している。また、スイッチ48Aおよび48Bは、アイソレーション改善用のシャントスイッチである。
【0143】
集合ノードn1には、カプラ1Mとカプラ1Nとが接続されている。なお、カプラ1Nは、カプラ1Mと同様の回路構成を有している。
【0144】
スイッチ81A、81Bおよび81Cのそれぞれは、カプラ1Mおよび1Nと、結合端子130A、130Bおよび130Cとの接続を切り換える、シリーズ/シャント/シリーズのT型スイッチで構成されている。
【0145】
可変減衰回路18A、18Bおよび18Cのそれぞれは、抵抗素子およびスイッチで構成されている。可変減衰回路18Aはスイッチ81Aと結合端子130Aとの間に接続され、可変減衰回路18Bはスイッチ81Bと結合端子130Bとの間に接続され、可変減衰回路18Cはスイッチ81Cと結合端子130Cとの間に接続されている。
【0146】
スイッチ82Aは結合端子130Aと可変減衰回路18Aとの接続ノードとグランドとの間に接続されており、スイッチ82Bは結合端子130Bと可変減衰回路18Bとの接続ノードとグランドとの間に接続されており、スイッチ82Cは結合端子130Cと可変減衰回路18Cとの接続ノードとグランドとの間に接続されている。なお、スイッチ82A、82Bおよび82Cは、常時、非導通状態のシャントスイッチである。
【0147】
上記構成によれば、副線路11および12の切り換えが可能なことで、結合度を、広い周波数範囲で所望の範囲に制御することが可能となる。また、1つの主線路10を広い周波数範囲の信号で共用できるようになることで、例えば、必要に応じて第1の通信方式の信号または第2の通信方式の信号が通るような使い方も可能となる。また、複数の結合端子130A、130Bおよび130Cをスイッチ81A、81Bおよび81Cで切り換え可能としていることで、例えば、第1の通信方式の送受信機(トランシーバ)または第2の通信方式の送受信機へ、所望の結合端子を介して検波信号を供給することが可能となる。なお、第1の通信方式の信号および第2の通信方式の信号は、例えば、2G(第2世代移動通信システム)、3G(第3世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)、および(第5世代移動通信システム)の変復調方式における各周波数帯のセルラー(携帯電話)信号であってもよいし、各周波数帯の無線LANの信号であってもよい。
【0148】
さらに、スイッチ82A、82Bおよび82Cは、過大な電圧が結合端子130A、130Bおよび130Cに印加された場合に、開放状態となっているトランジスタが電圧降伏して不用の電荷を接地に流して電圧降下させることで、方向性結合器を含む主要回路が静電気破壊することを防止できる。
【0149】
また、スイッチ48A、48Bがスイッチ回路23、24とスイッチ22A、22Bとの間の接続ノードとグランドとの間に設けられていることで、方向性結合器1M、1Nのアイソレーション特性をより向上することができる。
【0150】
[15.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る方向性結合器1は、主線路10と、主線路10と電磁気的に結合する副線路11と、主線路10と電磁気的に結合する副線路12と、主線路10を伝送する高周波信号に対応する検波信号を出力する結合端子130と、を備え、副線路11と副線路12とは長さが異なり、副線路11と結合端子130との接続、および、副線路12と結合端子130との接続が切り換わる。
【0151】
これにより、動作対象の周波数帯域にわたり適切な結合度を実現し易くなるため、挿入損失の増加を抑制できる。
【0152】
また、方向性結合器1は、さらに、副線路11と結合端子130との接続、および、副線路12と結合端子130との接続を切り換えるスイッチ回路13を備えてもよい。
【0153】
これにより、使用しない副線路を結合端子130から切り離すことができるため、挿入損失の増加をより抑制できる。
【0154】
また、方向性結合器1は、副線路11および12の少なくとも一方を終端する終端回路14と、(1)副線路11および副線路12の少なくとも一方の一端と結合端子130との接続かつ上記少なくとも一方の他端と終端回路14との接続、および、(2)上記少なくとも一方の一端と終端回路14との接続かつ上記少なくとも一方の他端と結合端子130との接続、を切り換えるスイッチ回路13を備えてもよい。
【0155】
これにより、副線路にて双方向の検波を行うことができる。
【0156】
また、副線路を選択する第1スイッチ回路は、複数のスイッチ素子を含み、方向性を切り換える第2スイッチ回路は、第1スイッチ回路に含まれる複数のスイッチ素子を含んでもよい。
【0157】
つまり、複数のスイッチ素子は、第1スイッチ回路および第2スイッチ回路で兼用されている。実施の形態に係る方向性結合器1では、スイッチ回路13が1スイッチ回路および第2スイッチ回路を兼ねている。これにより、第1スイッチ回路および第2スイッチ回路を小型化できる。
【0158】
また、方向性結合器1Bおよび1Dにおいて、第1スイッチ回路および第2スイッチ回路は、副線路11および12の少なくとも一方において個別に設けられていてもよい。
【0159】
これにより、選択されていない副線路を、第1スイッチ回路および第2スイッチ回路の2段階で切り離すことができるため、アイソレーション特性をより向上できる。
【0160】
また、方向性結合器1Fにおいて、終端回路は、副線路11および12のそれぞれに対して個別に設けられていてもよい。
【0161】
これにより、終端回路の調整を簡素化できる。また、終端回路が分割配置されて熱源が分散するため、熱による特性劣化が生じ難くなる。
【0162】
また、方向性結合器1Jは、装荷回路51および52と、副線路11が結合端子130に接続されている場合には、副線路11の一端と装荷回路51および52と非接続とし、副線路11が結合端子130に接続されていない場合には、副線路11の一端と装荷回路51および52とを接続するスイッチ回路41と、を備え、副線路11の電気長と、副線路11、装荷回路51および52の合成回路の電気長とは、異なってもよい。
【0163】
これにより、選択されていない副線路11を帯域除去フィルタとして機能させて、高調波等不要の信号による影響を抑制できる。
【0164】
また、方向性結合器1Kにおいて、さらに、スイッチ回路43および44とグランドとの間に直列配置されたキャパシタ71および72を備えてもよい。
【0165】
これにより、共振周波数を低めに設定できるため、より広帯域に不要波を抑制できる。
【0166】
また、方向性結合器1Lは、さらに、主線路10との結合度が、主線路10と副線路11との結合度よりも小さい装荷線路61および62を備え、装荷線路61および62の一端は副線路11の一端に接続され、スイッチ回路46は、装荷線路61および62と結合端子130との間に設けられたシリーズスイッチ46sと、シリーズスイッチ46sとグランドとの間に設けられたシャントスイッチ46pと、を含み、装荷線路61および62の他端はシリーズスイッチ46sに接続され、副線路11が結合端子130に接続されている場合には、シリーズスイッチ46sを導通状態とし、かつ、シャントスイッチ46pを非導通状態とし、副線路11が結合端子130に接続されていない場合には、シリーズスイッチ46sを非導通状態とし、かつ、シャントスイッチ46pを導通状態としてもよい。
【0167】
これにより、副線路11が結合端子130に接続されていない場合には、シリーズスイッチ46sはオフ容量として作用し、不使用の副線路11を、装荷線路61、62およびシリーズスイッチ46sとともに、帯域除去フィルタとして機能させて、高調波等不要の信号による影響を抑制できる。さらに、シリーズスイッチ46sのオフ容量により、共振周波数を低めに設定できるため、容易に不要波を抑制できる。
【0168】
(その他の実施の形態など)
以上、本実施の形態に係る方向性結合器について、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本発明に係る方向性結合器は、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態および変形例に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記方向性結合器を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0169】
例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る方向性結合器において、図面に開示された各回路素子および信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子および配線などが挿入されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、方向性結合器として広く利用できる。
【符号の説明】
【0171】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1J、1K、1L 方向性結合器
1M、1N カプラ
10 主線路
11、12、83 副線路
13、21、22、23、24、25、26、27、28、29、41、42、43、44、45、46、47 スイッチ回路
13a、13b、13c、13d、13e、13f、21a、21b、21c、21d、21e、21f、22a、22b、22c、22d、22e、22f、23a、23b、23c、23d、23e、23f、24a、24b、24c、24d、24e、24f、25a、25b、25c、25d、25e、25f、26a、26b、26c、26d、26e、26f、27a、27b、27c、28a、28b、28c、28d、28e、28f、29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g、29h、29j、29k、29m、29n、41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h、321、322、323、324 端子
14、15、16 終端回路
14A、14B 可変終端回路
17 可変整合回路
18、18A、18B、18C 可変減衰回路
22A、22B、48A、48B、81A、81B、81C、82A、82B、82C、200 スイッチ
32 実装基板
32a、32b、32c、32d、32e 層
33 半導体IC
34 樹脂部材
46p シャントスイッチ
46s シリーズスイッチ
51、52、53、54 装荷回路
61、62、63、64 装荷線路
71、72 キャパシタ
110 入力ポート
111、121、131 一端
112、122、132 他端
120 出力ポート
130、130A、130B、130C 結合端子
211、212、213 スイッチ素子
n1 集合ノード
図1
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