IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サタケの特許一覧

<>
  • 特許-光学式選別機 図1
  • 特許-光学式選別機 図2
  • 特許-光学式選別機 図3
  • 特許-光学式選別機 図4
  • 特許-光学式選別機 図5
  • 特許-光学式選別機 図6
  • 特許-光学式選別機 図7
  • 特許-光学式選別機 図8
  • 特許-光学式選別機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】光学式選別機
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20220809BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019224775
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021090934
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知幸
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520662(JP,A)
【文献】特開2008-302314(JP,A)
【文献】特開2016-118455(JP,A)
【文献】特開2009-240876(JP,A)
【文献】特開2017-026624(JP,A)
【文献】特開2017-219425(JP,A)
【文献】特開2011-033449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式選別機であって、
移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に光を放出する間欠的光源と、
前記移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた前記光を複数の間欠光用走査期間で検出する光学センサと、
前記光学センサによって取得された信号に基づいて、前記一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、
前記間欠的光源を制御する光源制御部と
を備え、
前記光源制御部は、
前記複数の間欠光用走査期間のうちの少なくとも一つの間欠光用走査期間において前記間欠的光源を点灯させる場合には、前記少なくとも一つの間欠光用走査期間の各々において、前記間欠的光源から放出された光が、その一つ前の間欠光用走査期間で検出されることを防ぐために、
前記間欠的光源が点灯される点灯期間と、前記間欠的光源が消灯される消灯期間と、が存在し、かつ、
前記少なくとも一つの間欠光用走査期間の開始から遅れたタイミングで前記点灯期間が始まるように、
前記間欠的光源を制御するように構成された
光学式選別機。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式選別機であって、
前記光源制御部は、前記間欠的光源から放出された光が、その一つ後の間欠光用走査期間で検出されることを防ぐために、前記少なくとも一つの間欠光用走査期間の終了よりも早いタイミングで前記点灯期間が終了するように前記間欠的光源を制御するように構成された
光学式選別機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学式選別機であって、
前記間欠的光源は、前記複数の選別対象物の移送経路に対する第1の側に配置され、第1の光を放出する第1の間欠的光源と、前記第1の側と反対の第2の側に配置され、前記第1の光と同一の波長を有する第2の光を放出する第2の間欠的光源と、を備え、
前記光学センサは、前記第1の側に配置される第1の光学センサと、前記第2の側に配置される第2の光学センサと、を備え、
前記複数の間欠光用走査期間は、第1の間欠光用走査期間と第2の間欠光用走査期間とを備え、
前記光源制御部は、前記第1の間欠光用走査期間において前記第1の間欠的光源が点灯し、かつ、前記第2の間欠的光源が点灯せず、前記第2の間欠光用走査期間において前記第1の間欠的光源が点灯せず、かつ、前記第2の間欠的光源が点灯するように前記第1の間欠的光源および前記第2の間欠的光源を制御するように構成された
光学式選別機。
【請求項4】
請求項3に記載の光学式選別機であって、
前記第1の光および前記第2の光は、赤色の光である
光学式選別機。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の光学式選別機であって、
前記間欠的光源は、
前記第1の側に配置され、前記第1の光とは異なる波長を有する第3の光を放出する第3の間欠的光源と、
前記第2の側に配置され、前記第3の光と同一の波長を有する第4の光を放出する第4の間欠的光源と
を備え、
前記光源制御部は、前記第1の間欠光用走査期間および前記第2の間欠光用走査期間の両方において点灯するように前記第3の間欠的光源および前記第4の間欠的光源を制御するように構成された
光学式選別機。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式選別機であって、
前記第3の光および前記第4の光の各々は、緑色の光と青色の光とを含む
光学式選別機。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の光学式選別機であって、
前記間欠的光源は、前記光として、不可視波長領域内の波長を有する不可視光を放出し、
前記光学センサは、前記不可視光を検出する不可視光用光学センサとして構成され、
前記光学式選別機は、さらに、
前記移送中の複数の選別対象物に向けて可視波長領域内の波長を有する可視光を放出する可視光源と、
前記一つの選別対象物に関連付けられた前記可視光を複数の可視光用走査期間で検出する可視光用光学センサと、
を備え、
前記判定部は、前記不可視光用光学センサによって取得された信号と、前記可視光用光学センサによって取得された信号と、に基づいて前記異物および/または前記不良品の判定を行うように構成され、
前記間欠光用走査期間および前記可視光用走査期間は、互いに異なる長さの時間によってそれぞれ定義された
光学式選別機。
【請求項8】
請求項7に記載の光学式選別機であって、
前記間欠光用走査期間は、前記可視光用走査期間のN倍(Nは2以上の整数)となるように設定された
光学式選別機。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の光学式選別機であって、
前記不可視光は近赤外光である
光学式選別機。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の光学式選別機であって、
前記光学センサはCMOSセンサであり、
前記点灯期間は、前記CMOSセンサにおける電荷の読み出しの開始と同時に終了するか、または、前記読み出しの開始よりも遅く、かつ、前記電荷の読み出しの完了よりも早いタイミングで終了する
光学式選別機。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の光学式選別機であって、
前記間欠的光源は、第1の波長範囲内の第1の波長を有する第1の光を放出する第1の間欠的光源と、前記第1の波長とは異なる、前記第1の波長範囲内の第2の波長を有する第2の光を放出する第2の間欠的光源と、を備え、
前記光学式選別機は、さらに、前記第1の波長範囲外の第2の波長範囲内の第3の波長を有する第3の光を前記移送中の複数の選別対象物に向けて放出する追加的光源を備え、
前記光学センサは、前記第1の波長範囲内に所定以上の感度を有する第1の受光素子と、前記第2の波長範囲内に所定以上の感度を有する第2の受光素子と、入射される光を、前記第1の波長範囲内の光と前記第2の波長範囲内の光とに分光する分光器と、を一体的に有し、
前記複数の間欠光用走査期間は、第1の間欠光用走査期間と第2の間欠光用走査期間とを備え、
前記光源制御部は、前記第1の間欠光用走査期間において、前記第1の間欠的光源が点灯し、前記第2の間欠的光源が点灯せず、前記追加的光源が点灯するように前記間欠的光源および前記追加的光源を制御するとともに、前記第2の間欠光用走査期間において、前記第1の間欠的光源が点灯せず、前記第2の間欠的光源が点灯し、前記追加的光源が点灯するように前記間欠的光源および前記追加的光源を制御するように構成された
光学式選別機。
【請求項12】
光学式選別機であって、
移送中の複数の選別対象物に向けて、不可視波長領域内の波長を有する第1の光を放出する第1の光源と、
前記移送中の複数の選別対象物に向けて、可視波長領域内の波長を有する第2の光を放出する第2の光源と、
前記移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた第1の光を複数の第1の走査期間で検出する第1の光学センサと、
前記一つの選別対象物に関連付けられた第2の光を複数の第2の走査期間で検出する第2の光学センサと、
前記第1の光学センサによって取得された信号と、前記第2の光学センサによって取得された信号と、に基づいて、前記一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と
を備え、
前記第1の走査期間および前記第2の走査期間は、互いに異なる長さの時間によってそれぞれ定義された
光学式選別機。
【請求項13】
請求項12に記載の光学式選別機であって、
前記第1の走査期間は、前記第2の走査期間のN倍(Nは2以上の整数)となるように設定された
光学式選別機。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の光学式選別機であって、
前記第1の光は近赤外光である
光学式選別機。
【請求項15】
光学式選別機であって、
第1の波長範囲内の第1の波長を有する第1の光を移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に放出する第1の光源と、
前記第1の波長範囲内の第2の波長を有する第2の光を前記移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に放出する第2の光源と、
前記第1の波長範囲外の第2の波長範囲内の第3の波長を有する第3の光を前記移送中の複数の選別対象物に向けて放出する第3の光源と、
光学センサと
を備え、
前記光学センサは、前記第1の波長範囲内に所定以上の感度を有する第1の受光素子と、前記第2の波長範囲内に所定以上の感度を有する第2の受光素子と、入射される光を、前記第1の波長範囲内の光と前記第2の波長範囲内の光とに分光する分光器と、を一体的に有し、
前記光学センサは、前記移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた前記第1の光および前記第2の光の一方と、前記一つの選別対象物に関連付けられた前記第3の光と、を、第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間で検出し、
前記光学式選別機は、さらに、
前記光学センサによって取得された信号に基づいて、前記一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、
前記第1の走査期間において前記第1の光源が点灯し、前記第2の光源が点灯せず、前記第3の光源が点灯し、前記第2の走査期間において前記第1の光源が点灯せず、前記第2の光源が点灯し、前記第3の光源が点灯するように、前記第1の光源、前記第2の光源および前記第3の光源を制御する光源制御部と
を備える
光学式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
選別対象物に光を照射した際に光学センサによって得られる光情報を使用して、選別対象物に含まれる異物や不良品を判別して除去する光学式選別装置が従来から知られている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-240876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の光学式選別装置は、改良の余地を残している。例えば、特許文献1に記載の光学式選別機は、米粒についての胴割粒の判別精度を向上させることができるものの、玄米または精白米についての他の種類の不良粒(例えば、シラタ、青未熟粒、着色粒など)の判別精度向上のために、あるいは、玄米および精白米以外の粒状物(例えば、籾、他の種類の穀粒(麦粒など)、豆類(大豆、ひよこ豆、枝豆など)、樹脂(ペレット等)、ゴム片等)を被選別物とした場合の判別精度向上のために、改良の余地を残している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本発明の第1の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に光を放出する間欠的光源と、移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた光を複数の間欠光用走査期間で検出する光学センサと、光学センサによって取得された信号に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、間欠的光源を制御する光源制御部と、を備えている。光源制御部は、複数の間欠光用走査期間のうちの少なくとも一つの間欠光用走査期間において間欠的光源を点灯させる場合には、少なくとも一つの間欠光用走査期間の各々において、間欠的光源が点灯される点灯期間と、間欠的光源が消灯される消灯期間と、が存在し、かつ、少なくとも一つの間欠光用走査期間の開始から遅れたタイミングで点灯期間が始まるように、間欠的光源を制御するように構成される。
【0007】
かかる光学式選別機によれば、少なくとも一つの間欠光用走査期間の開始のタイミングでは、間欠的光源は消灯している。このため、ある間欠光用走査期間において間欠的光源から放出された光が、その一つ前の間欠光用走査期間で検出されることがない。例えば、第1の間欠光用走査期間と、第1の間欠光用走査期間に後続する第2の間欠光用走査期間と、を想定した場合、第2の間欠光用走査期間の開始(換言すれば、第1の間欠光用走査期間の終了)と同時に間欠的光源が消灯から点灯に切り替わると、第2の間欠光用走査期間の開始と同時に放出された光が第1の間欠光用走査期間での検出結果にノイズとして混入する可能性がある。一方、本形態によれば、そのような事象が生じないので、判定部による判定精度を向上させることができる。
【0008】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、光源制御部は、少なくとも一つの間欠光用走査期間の終了よりも早いタイミングで点灯期間が終了するように間欠的光源を制御するように構成される。かかる形態によれば、少なくとも一つの間欠光用走査期間の終了のタイミングでは、間欠的光源は消灯している。このため、ある間欠光用走査期間において間欠的光源から放出された光が、その一つ後の間欠光用走査期間で検出されることがない。例えば、第1の間欠光用走査期間と、第1の間欠光用走査期間に後続する第2の間欠光用走査期間と、を想定した場合、第1の間欠光用走査期間の終了(換言すれば、第2の間欠光用走査期間の開始)と同時に間欠的光源が点灯から消灯に切り替わると、第1の間欠光用走査期間の終了時に放出された光が第2の間欠光用走査期間での検出結果にノイズとして混入する可能性がある。一方、本形態によれば、そのような事象が生じないので、判定部による判定精度を向上させることができる。
【0009】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、間欠的光源は、複数の選別対象物の移送経路に対する第1の側に配置され、第1の光を放出する第1の間欠的光源と、第1の側と反対の第2の側に配置され、第1の光と同一の波長を有する第2の光を放出する第2の間欠的光源と、を備えている。光学センサは、第1の側に配置される第1の光学センサと、第2の側に配置される第2の光学センサと、を備えている。複数の間欠光用走査期間は、第1の間欠光用走査期間と第2の間欠光用走査期間とを備えている。光源制御部は、第1の間欠光用走査期間において第1の間欠的光源が点灯し、かつ、第2の間欠的光源が点灯せず、第2の間欠光用走査期間において第1の間欠的光源が点灯せず、かつ、第2の間欠的光源が点灯するように第1の間欠的光源および第2の間欠的光源を制御するように構成される。かかる形態によれば、第1の間欠光用走査期間では、第1の側の第1の光学センサは、第1の光に基づく反射光(選別対象物で反射された光)を検出し、第2の側の第2の光学センサは、第1の光に基づく透過光(選別対象物を透過した光)を検出する。第2の間欠光用走査期間では、第1の側の第1の光学センサは、第2の光に基づく透過光を検出し、第2の側の第2の光学センサは、第2の光に基づく反射光を検出する。このため、判定部は、選別対象物の両側(つまり、第1の側および第2の側)の透過画像(透過光によって表される画像)および反射画像(反射光によって表される画像)に基づいて、異物および/または不良品を判定することができる。したがって、選別対象物についての片側の透過画像および反射画像に基づく場合と比べて、判定部による判定精度を向上させることができる。例えば、選別対象物の一方側(つまり、第1の側および第2の側の一方)のみに不良部分が存在する場合であっても、異物および/または不良品を精度良く判定することができる。
【0010】
本発明の第4の形態によれば、第3の形態において、第1の光および第2の光は、赤色の光である。かかる形態によれば、赤色の透過光および反射光に基づいて、異物および/または不良品を精度良く判定することができる。例えば、選別対象物が米である場合には、シラタの判別を精度良く行うことができる。
【0011】
本発明の第5の形態によれば、第3または第4の形態において、間欠的光源は、第1の側に配置され、第1の光とは異なる波長を有する第3の光を放出する第3の間欠的光源と、第2の側に配置され、第3の光と同一の波長を有する第4の光を放出する第4の間欠的光源と、を備えている。光源制御部は、第1の間欠光用走査期間および第2の間欠光用走査期間の両方において点灯するように第3の間欠的光源および第4の間欠的光源を制御するように構成される。かかる形態によれば、第1の間欠光用走査期間および第2の間欠光用走査期間の両方において、第1の光学センサは、第3の光に基づく反射光と、第4の光に基づく透過光と、を一緒に検出し、第2の光学センサは、第3の光に基づく透過光と、第4の光に基づく反射光と、を一緒に検出する。このため、判定部は、選別対象物の両側の、第3の光および第4の光に基づく反射透過画像(反射光と透過光とが合成された光が表す画像)に基づいて、異物および/または不良品を判定することができる。したがって、判別部によって判別できる異物および/または不良品の種類を増やすことができる。しかも、第3の間欠的光源および第4の間欠的光源の各々は第1の間欠光用走査期間および第2の間欠光用走査期間の両方において点灯するので、反射透過画像についての分解能も低下しない。
【0012】
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、第3の光および第4の光の各々は、緑色の光と青色の光とを含む。かかる形態によれば、緑色および青色の反射透過画像に基づいて、異物および/または不良品を判定することができる。例えば、選別対象物が米である場合には、着色粒の判別を精度良く行うことができる。
【0013】
本発明の第7の形態によれば、第1または第2の形態において、間欠的光源は、光として、不可視波長領域内の波長を有する不可視光を放出する。光学センサは、不可視光を検出する不可視光用光学センサとして構成される。光学式選別機は、さらに、移送中の複数の選別対象物に向けて可視波長領域内の波長を有する可視光を放出する可視光源と、一つの選別対象物に関連付けられた可視光を複数の可視光用走査期間で検出する可視光用光学センサと、を備えている。判定部は、不可視光用光学センサによって取得された信号と、可視光用光学センサによって取得された信号と、に基づいて異物および/または不良品の判定を行うように構成される。間欠光用走査期間および可視光用走査期間は、互いに異なる長さの時間によってそれぞれ定義される。かかる形態によれば、不可視光の検出、および、可視光の検出に適した走査期間をそれぞれ設定することができる。例えば、不可視光が近赤外光である場合、一般的に、光学センサによる近赤外光の受光感度は、可視光の受光感度よりも小さいので、間欠光用走査期間が可視光用走査期間よりも長く設定されてもよい。こうすれば、可視光用光学センサの分解能を低下させることなく(換言すれば、可視光に基づく判定精度を低下させることなく)、判定部による判定に十分な信号強度が得られるように近赤外光を検出することができる。
【0014】
本発明の第8の形態によれば、第7の形態において、間欠光用走査期間は、可視光用走査期間のN倍(Nは2以上の整数)となるように設定される。かかる形態によれば、一つの選別対象物についての最初の間欠光用走査期間の開始のタイミングと、最初の可視光用走査期間の開始のタイミングと、が同時になるように設定すれば、一つの選別対象物についての最後の間欠光用走査期間の終了のタイミングと、最後の可視光用走査期間の終了のタイミングと、が同時になる。このため、判定部において、同一の選別対象物に関して、第1の光学センサによって取得された信号に基づく画像と、第2の光学センサによって取得された信号に基づく画像と、を容易に対応付けることができる。したがって、判定部における演算処理を簡素化できる。
【0015】
本発明の第9の形態によれば、第7または第8の形態において、不可視光は近赤外光である。かかる形態によれば、可視光用光学センサの分解能を低下させることなく、判定部による判定に十分な信号強度が得られるように近赤外光を検出することができる。
【0016】
本発明の第10の形態によれば、第1ないし第9のいずれかの形態において、光学センサはCMOSセンサである。点灯期間は、CMOSセンサにおける電荷の読み出しの開始と同時に終了するか、または、読み出しの開始よりも遅く、かつ、電荷の読み出しの完了よりも早いタイミングで終了する。かかる形態によれば、電荷の読み出し期間中の少なくとも一部が消灯期間として設定されるので、電荷が蓄積されることがない電荷の読み出し期間中に間欠的光源が無駄に点灯することを抑制できる。
【0017】
本発明の第11の形態によれば、第1または第2の形態において、間欠的光源は、第1の波長範囲内の第1の波長を有する第1の光を放出する第1の間欠的光源と、第1の波長とは異なる、第1の波長範囲内の第2の波長を有する第2の光を放出する第2の間欠的光源と、を備えている。光学式選別機は、さらに、第1の波長範囲外の第2の波長範囲内の第3の波長を有する第3の光を移送中の複数の選別対象物に向けて放出する追加的光源を備えている。光学センサは、第1の波長範囲内に所定以上の感度を有する第1の受光素子と、第2の波長範囲内に所定以上の感度を有する第2の受光素子と、入射される光を、第1の波長範囲内の光と第2の波長範囲内の光とに分光する分光器と、を一体的に有している。複数の間欠光用走査期間は、第1の間欠光用走査期間と第2の間欠光用走査期間とを備えている。光源制御部は、第1の間欠光用走査期間において、第1の間欠的光源が点灯し、第2の間欠的光源が点灯せず、追加的光源が点灯するように間欠的光源および追加的光源を制御するとともに、第2の間欠光用走査期間において、第1の間欠的光源が点灯せず、第2の間欠的光源が点灯し、追加的光源が点灯するように間欠的光源および追加的光源を制御するように構成される。かかる形態によれば、波長が互いに異なる3種類の光(つまり、上記の第1の光、第2の光および第3の光)を一つの光学センサによって検出することができる。その結果、光学式選別機を低コスト化できる。しかも、第3の光は、第1の間欠光用走査期間と第2の間欠光用走査期間との両方で放出されるので、第3の光についての十分な検出強度を確保することができる。
【0018】
本発明の第12の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、移送中の複数の選別対象物に向けて第1の光を放出する第1の光源であって、選別対象物の移送経路に対する第1の側に配置される第1の光源と、移送中の複数の選別対象物に向けて、第1の光と同一の波長を有する第2の光を放出する第2の光源であって、第1の側と反対の第2の側に配置される第2の光源と、第1の側に配置され、移送中の複数の選別対象物の一つの選別対象物に関連付けられた第1の光または第2の光を、第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間で検出する第1の光学センサと、第2の側に配置され、一つの選別対象物に関連付けられた第1の光または第2の光を複数の走査期間で検出する第2の光学センサと、第1の光学センサおよび第2の光学センサによって取得された信号に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、第1の走査期間において第1の光源が点灯し、かつ、第2の光源が点灯せず、第2の走査期間において第1の光源が点灯せず、かつ、第2の光源が点灯するように第1の光源および第2の光源を制御する光源制御部と、を備えている。かかる形態によれば、第3の形態と同様の効果を得ることができる。
【0019】
本発明の第13の形態によれば、第12の形態において、第1の光および第2の光は、赤色の光である。かかる形態によれば、第4の形態と同様の効果を得ることができる。
【0020】
本発明の第14の形態によれば、第12または第13の形態において、光学式選別機は、第1の側に配置され、第1の光とは異なる波長を有する第3の光を放出する第3の光源と、第2の側に配置され、第3の光と同一の波長を有する第4の光を放出する第4の光源と、を備えている。光源制御部は、第1の走査期間および第2の走査期間の両方において点灯するように第3の光源および第4の光源を制御するように構成される。かかる形態によれば、第5の形態と同様の効果を得ることができる。
【0021】
本発明の第15の形態によれば、第14の形態において、第3の光および第4の光の各々は、緑色の光と青色の光とを含む。かかる形態によれば、第6の形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
本発明の第16の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、移送中の複数の選別対象物に向けて、不可視波長領域内の波長を有する第1の光を放出する第1の光源と、移送中の複数の選別対象物に向けて、可視波長領域内の波長を有する第2の光を放出する第2の光源と、移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた第1の光を複数の第1の走査期間で検出する第1の光学センサと、一つの選別対象物に関連付けられた第2の光を複数の第2の走査期間で検出する第2の光学センサと、第1の光学センサによって取得された信号と、第2の光学センサによって取得された信号と、に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、を備えている。第1の走査期間および第2の走査期間は、互いに異なる長さの時間によってそれぞれ定義される。かかる形態によれば、第7の形態と同様の効果を得ることができる。
【0023】
本発明の第17の形態によれば、第16の形態において、第1の走査期間は、第2の走査期間のN倍(Nは2以上の整数)となるように設定される。かかる形態によれば、第8の形態と同様の効果を得ることができる。
【0024】
本発明の第18の形態によれば、第16または第17の形態において、第1の光は近赤外光である。かかる形態によれば、第9の形態と同様の効果を得ることができる。
【0025】
本発明の第19の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に光を放出する光源と、移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた光を複数の走査期間で検出するCMOSセンサと、CMOSセンサによって取得された信号に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、光源を制御する光源制御部と、を備えている。光源制御部は、複数の走査期間のうちの少なくとも一つの走査期間において光源を点灯させる場合には、少なくとも一つの走査期間の各々において、光源が点灯される点灯期間と、光源が消灯される消灯期間と、が存在し、点灯期間が、CMOSセンサにおける電荷の読み出しの開始と同時に終了するか、または、読み出しの開始よりも遅く、かつ、電荷の読み出しの完了よりも早いタイミングで終了するように、光源を制御するように構成される。かかる形態によれば、第10の形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
本発明の第20の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、第1の波長範囲内の第1の波長を有する第1の光を移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に放出する第1の光源と、第1の波長範囲内の第2の波長を有する第2の光を移送中の複数の選別対象物に向けて間欠的に放出する第2の光源と、第1の波長範囲外の第2の波長範囲内の第3の波長を有する第3の光を移送中の複数の選別対象物に向けて放出する第3の光源と、光学センサと、を備えている。光学センサは、第1の波長範囲内に所定以上の感度を有する第1の受光素子と、第2の波長範囲内に所定以上の感度を有する第2の受光素子と、入射される光を、第1の波長範囲内の光と第2の波長範囲内の光とに分光する分光器と、を一体的に有している。光学センサは、移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた第1の光および第2の光の一方と、一つの選別対象物に関連付けられた第3の光と、を、第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間で検出する。光学式選別機は、さらに、光学センサによって取得された信号に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、第1の走査期間において第1の光源が点灯し、第2の光源が点灯せず、銭第3の光源が点灯し、第2の走査期間において第1の光源が点灯せず、第2の光源が点灯し、第3の光源が点灯するように第1の光源、第2の光源および第3の光源を制御する光源制御部と、を備えている。かかる形態によれば、第11の形態と同様の効果を奏する。
【0027】
本発明の第21の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、第1の波長範囲内の第1の波長を有する第1の光を移送中の複数の選別対象物に向けて放出する第1の光源と、第1の波長範囲内の第2の波長を有する第2の光を移送中の複数の選別対象物に向けて放出する第2の光源と、第1の波長範囲外の第2の波長範囲内の第3の波長を有する第3の光を移送中の複数の選別対象物に向けて放出する第3の光源と、第2の波長範囲内の第4の波長を有する第4の光を移送中の複数の選別対象物に向けて放出する第4の光源と、光学センサと、を備えている。光学センサは、第1の波長範囲内に所定以上の感度を有する第1の受光素子と、第2の波長範囲内に所定以上の感度を有する第2の受光素子と、入射される光を、第1の波長範囲内の光と第2の波長範囲内の光とに分光する分光器と、を一体的に有している。光学センサは、移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた第1の光、第2の光、第3の光および第4の光のうちの三つの光を、第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間で検出する。光学式選別機は、さらに、光学センサによって取得された信号に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行う判定部と、第1のモードおよび第2のモードのうちの選択されたモードで、第1の光源、第2の光源、第3の光源および第4の光源を制御する光源制御部と、を備えている。第1のモードでは、第1の走査期間において、第1の光源が点灯し、第2の光源が点灯せず、第3の光源および第4の光源のうちの一方の光源が点灯し、第3の光源および第4の光源のうちの他方の光源が点灯せず、第2の走査期間において、第1の光源が点灯せず、第2の光源が点灯し、一方の光源が点灯し、他方の光源が点灯しない。第2のモードでは、第1の走査期間において、第1の光源および第2の光源のうちの一方の光源が点灯し、第1の光源および第2の光源のうちの他方の光源が点灯せず、第3の光源が点灯し、第4の光源が点灯せず、第2の走査期間において、第1の光源および第2の光源のうちの一方の光源が点灯し、第1の光源および第2の光源のうちの他方の光源が点灯せず、第3の光源が点灯せず、第4の光源が点灯する。かかる形態によれば、第11の形態と同様の効果を奏する。しかも、第1のモードおよび第2のモードの一方を選択することによって、選別対象物の種類に応じて、または、選別すべき異物および/または不良品の種類に応じて、使用する光の波長を変更することができる。
【0028】
上述の諸形態は、公知の他の光学式選別機の構成と組み合わせて実現されてもよい。例えば、第1の形態は、移送中の複数の選別対象物に向けて連続的に光を放出する連続的光源と、連続的光源から放出される光を検出する光学センサと、を有する従来の光学式選別機の構成と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態による光学式選別機の概略構成を示す模式図である。
図2】光学センサの走査期間と、光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
図3】一つの選別対象物と、走査ナンバーと、の関係を示す説明図である。
図4】第2実施形態による光学式選別機の概略構成を示す模式図である。
図5】光学センサの走査期間と、光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
図6】第3実施形態による光学式選別機の概略構成を示す模式図である。
図7】光学センサの概略構成を示す模式図である。
図8】第1のモードにおける、光学センサの走査期間と、光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
図9】第2のモードにおける、光学センサの走査期間と、光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての光学式選別機(以下、単に選別機と呼ぶ)10の概略構成を示す模式図である。本実施形態では、選別機10は、選別対象物(以下、単に対象物と呼ぶ)90としての米から異物(例えば、小石、泥、ガラス片など)および不良品(例えば、未熟粒、着色粒など)を選別するために使用される。ただし、対象物90は、米に限られるものではなく、任意の粒状物(例えば、米以外の穀物、プラスチックなど)であってもよい。
【0031】
図1に示すように、選別機10は、光学検出部20と、貯留タンク71と、フィーダ72と、シュート73と、良品排出樋74と、不良品排出樋75と、エジェクタ76と、制御装置80と、を備えている。制御装置80は、選別機10の動作全般を制御する。制御装置80は、光源制御部81および判定部82としても機能する。制御装置80の機能は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現されてもよいし、専用回路によって実現されてもよい。光源制御部81および判定部82は、一体的な一つの装置によって実現されてもよい。例えば、光源制御部81および判定部82は、一つのCPUによって実現される二つの機能であってもよい。あるいは、光源制御部81および判定部82は、それぞれ個別の装置として実現されてもよい。制御装置80の機能の詳細については後述する。
【0032】
貯留タンク71は、対象物90を一時的に貯留する。フィーダ72は、貯留タンク71に貯留された対象物90をシュート73上に供給する。光学検出部20は、シュート73から滑り落ちた対象物90に対して光を照射し、対象物90に関連付けられた光(具体的には、対象物90を透過した透過光、および/または、対象物90によって反射された反射光)を検出する。光学検出部20からの出力、すなわち、検出された光の強度を表すアナログ信号は、AC/DCコンバータ(図示省略)によってデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、制御装置80に入力される。制御装置80は、入力された光の検出結果(つまり画像)に基づいて、判定部82の処理として、対象物90が良品(つまり、品質が相対的に高い米粒)であるか、それとも、異物(つまり、米粒ではないもの)ないし不良品(つまり、品質が相対的に低い米粒)であるかを判定する。この判定は、対象物90の各々について行われる。
【0033】
対象物90が異物または不良品であると判定された場合、エジェクタ76は、当該対象物90に向けてエア77を噴射する。これによって、対象物90は、吹き飛ばされ、シュート73からの落下軌道から逸脱して不良品排出樋75に導かれる。一方、対象物90が良品であると判定された場合、エア77は噴射されない。このため、良品であると判定された対象物90は、落下軌道を変えることなく、良品排出樋74に導かれる。
【0034】
以下、光学検出部20および制御装置80の詳細について説明する。図1に示すように、光学検出部20は、第1の光源30aと、第2の光源30bと、第3の光源40a,50aと、第4の光源40b,50bと、第1の光学センサ60aと、第2の光学センサ60bと、を備えている。
【0035】
第1の光源30aは、移送中の(つまり、シュート73から落下中の)複数の対象物90に向けて第1の光31aを放出する。同様に、第2の光源30bは、移送中の複数の対象物90に向けて第2の光31bを放出する。本実施形態では、第1の光31aは赤色の光である。第2の光31bは、第1の光31aと同一の波長を有している。つまり、第2の光31bも赤色の光である。このため、第1の光源30aおよび第2の光源30bを赤色光源30a,30bとも呼ぶ。また、第1の光31aおよび第2の光31bを赤色光31a,31bとも呼ぶ。
【0036】
第3の光源40a,50aは、移送中の複数の対象物90に向けて第3の光41a,51aをそれぞれ放出する。第4の光源40b,50bは、移送中の複数の対象物90に向けて第4の光41b,51bをそれぞれ放出する。第3の光41a,51aは、第1の光31aとは異なる波長を有している。本実施形態では、第3の光41aは緑色の光であり、第3の光51aは青色の光である。第4の光41b,51bは、第3の光41a,51aと同一の波長をそれぞれ有している。つまり、第4の光41bは緑色の光であり、第4の光51bは青色の光である。このため、第3の光源40aおよび第4の光源40bを緑色光源40a,40bとも呼ぶ。また、第3の光41aおよび第4の光41bを、それぞれ緑色光41a,41bとも呼ぶ。同様に、第3の光源50aおよび第4の光源50bを青色光源50a,50bとも呼び、第3の光51aおよび第4の光51bを青色光51a,51bとも呼ぶ。
【0037】
本実施形態では、第1の光源30a、第2の光源30b、第3の光源40a,50aおよび第4の光源40b,50bは、LEDである。図1では第1の光源30a、第2の光源30b、第3の光源40a,50aおよび第4の光源40b,50bの数は、それぞれ一つであるものとして示されているが、これらの光源のうちの少なくとも一部の光源の数は、複数であってもよい。
【0038】
第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bは、移送中の複数の対象物90のうちの一つの対象物90に関連付けられた光を検出する。第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bは、本実施形態では、カラーCCDセンサであり、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ個別に検出可能である。ただし、第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bは、カラーCMOSセンサなどの他の形式のカラーセンサであってもよい。さらに、第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bは、本実施形態ではラインセンサであるが、エリアセンサであってもよい。
【0039】
第1の光源30a、第3の光源40a,50aおよび第1の光学センサ60aは、対象物90の移送経路(換言すれば、シュート73からの落下軌跡)に対して一方側(フロント側とも呼ぶ)に配置されている。一方、第2の光源30b、第4の光源40b,50bおよび第2の光学センサ60bは、対象物90の移送経路に対して他方側(リア側とも呼ぶ)に配置されている。
【0040】
フロント側の第1の光学センサ60aは、フロント側の第1の光源30aから放出され、対象物90で反射された赤色光31a(反射赤色光31aとも呼ぶ)と、フロント側の第3の光源40aから放出され、対象物90で反射された緑色光41a(反射緑色光41aとも呼ぶ)と、フロント側の第3の光源50aから放出され、対象物90で反射された青色光51a(反射青色光51aとも呼ぶ)と、リア側の第2の光源30bから放出され、対象物90を透過した赤色光31b(透過赤色光31bとも呼ぶ)と、リア側の第4の光源40bから放出され、対象物90を透過した緑色光41b(透過緑色光41bとも呼ぶ)と、リア側の第4の光源50bから放出され、対象物90を透過した青色光51b(透過青色光51bとも呼ぶ)と、を検出可能である。
【0041】
リア側の第2の光学センサ60bは、リア側の第2の光源30bから放出され、対象物90で反射された赤色光31b(反射赤色光31bとも呼ぶ)と、リア側の第4の光源40bから放出され、対象物90で反射された緑色光41b(反射緑色光41bとも呼ぶ)と、リア側の第4の光源50bから放出され、対象物90で反射された青色光51b(反射青色光51bとも呼ぶ)と、フロント側の第1の光源30aから放出され、対象物90を透過した赤色光31a(透過赤色光31aとも呼ぶ)と、フロント側の第3の光源40aから放出され、対象物90を透過した緑色光41a(透過緑色光41aとも呼ぶ)と、布団と側の第3の光源50aから放出され、対象物90を透過した青色光51a(透過青色光51aとも呼ぶ)と、を検出可能である。
【0042】
周知のように、第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bは、一つの対象物90について複数の走査を行う。換言すれば、第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bは、一つの対象物90に関連付けられた光を複数の走査期間の各々で検出する。走査期間とは、一つの走査の開始から終了までの時間である。各走査で得られた画像を合成することにより、当該一つの対象物90の全体画像が取得される。「走査期間」は、光学センサがCCDセンサである場合には、受光素子が電荷の蓄積を開始してから、電荷の蓄積を終了するまでの時間として定義され得る。「走査期間」は、光学センサがCMOSセンサである場合には、受光素子が電荷の蓄積を開始してから、蓄積した電荷を出力するまでの時間として定義され得る。
【0043】
かかる光学検出部20は、制御装置80によって制御される。光源制御部81は、予め定められた規則に従って、第1の光源30a、第2の光源30b、第3の光源40a,50aおよび第4の光源40b,第4の光源50bを制御する。図2は、第1の光学センサ60a,60bの走査期間と、これらの光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。図2において、「R」は、赤色光源30aまたは赤色光源30bを表している。同様に、「G」は、緑色光源40aまたは緑色光源40bを表しており、「B」は、青色光源50aまたは青色光源50bを表している。
【0044】
図3は、一つの対象物90と、第1の光学センサ60aおよび第2の光学センサ60bの走査ナンバー(何回目の走査であるかを表す数字)と、の関係を示す説明図である。図3に示すように、本実施形態では、一つの対象物90について8回(説明を簡素化するために、実際よりも少ない回数であるものとして例示している)の走査によって画像データが取得される。図3に示される1~8の数字は、該当する領域の画像データが取得される走査のナンバーを示している。例えば、「1」が付された領域は、1回目の走査によって画像データが取得されることを示している。図2において、「走査No.」は、図3に示された走査ナンバーに対応している。
【0045】
図2に示すように、フロント側の赤色光源30aは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ所定時間、点灯され(図中にONと示されている)、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない(図中にOFFと示されている)。一方、リア側の赤色光源30bは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ所定時間、点灯され、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。このように、赤色光源30aおよび赤色光源30bは、一つの走査期間内では、いずれか一方のみが点灯するように、交互に点灯される。換言すれば、赤色光源30aおよび赤色光源30bは、互いに対して排他的に点灯される。
【0046】
フロント側の緑色光源40aおよび青色光源50aは、全ての走査期間の各々において、所定時間、点灯される。同様に、リア側の緑色光源40bおよび青色光源50bは、全ての走査期間の各々において、所定時間、点灯される。
【0047】
このような点灯態様によれば、フロント側の第1の光学センサ60aでは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、反射赤色光31aと、反射緑色光41aと透過緑色光41bとが合成された光と、反射青色光51aと透過青色光51bとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、第1の光学センサ60aを介して、赤色の反射画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。本願において、反射画像とは、反射光のみによって表される画像をいう。透過画像とは、透過光のみによって表される画像をいう。反射透過画像とは、反射光と透過光とが合成された光によって表される画像をいう。
【0048】
また、フロント側の第1の光学センサ60aでは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、透過赤色光31bと、反射緑色光41aと透過緑色光41bとが合成された光と、反射青色光51aと透過青色光51bとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、第1の光学センサ60aを介して、赤色の透過画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。
【0049】
一方、リア側の第2の光学センサ60bでは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、透過赤色光31aと、反射緑色光41bと透過緑色光41aとが合成された光と、反射青色光51bと透過青色光51aとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、第2の光学センサ60bを介して、赤色の透過画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。
【0050】
また、リア側の第2の光学センサ60bでは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、反射赤色光31bと、反射緑色光41bと透過緑色光41aとが合成された光と、反射青色光51bと透過青色光51aとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、第2の光学センサ60bを介して、赤色の反射画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。
【0051】
判定部82は、このようにして取得される赤色の反射画像および透過画像、緑色の反射透過画像、および、青色の反射透過画像を用いて、異物および/または不良品の判定を行う。具体的には、図3において奇数の走査ナンバーが付された領域によって構成されるフロント側赤色反射画像、偶数の走査ナンバーが付された領域によって構成されるフロント側赤色透過画像、奇数の走査ナンバーが付された領域によって構成されるリア側赤色透過画像、偶数の走査ナンバーが付された領域によって構成されるリア側赤色反射画像、1~8の走査ナンバーが付された領域によって構成されるフロント側緑色反射透過画像、1~8の走査ナンバーが付された領域によって構成されるフロント側青色反射透過画像、1~8の走査ナンバーが付された領域によって構成されるリア側青色反射透過画像、および、1~8の走査ナンバーが付された領域によって構成されるリア側青色反射透過画像が取得されるので、判定部82は、これらの画像の全部または一部と、予め定められた閾値と、を比較することによって、異物および/または不良品の判定を行う。この判定手法には、公知の任意の判定手法を採用可能である。
【0052】
上述した選別機10によれば、フロント側の赤色光源30aおよびリア側の赤色光源30bのうちの一方のみが点灯する走査期間と、他方のみが点灯する走査期間と、が設定されている。このため、判定部82は、フロント側の赤色の透過画像および反射画像と、リア側の赤色の透過画像および反射画像と、に基づいて、異物および/または不良品の判定を行うことができる。したがって、フロント側およびリア側のいずれか一方の赤色の透過画像および反射画像に基づく場合と比べて、判定精度を向上させることができる。赤色の透過画像および反射画像は、対象物90が米である場合には、例えば、シラタの判別に適している。シラタは、一般的には、粒全体に亘って白濁していることが多いが、白濁した部分を部分的に有する場合もある。このような白濁した部分を部分的に有するシラタ(つまり、対象物90)がシュート73から落下する際、当該対象物90の向きによっては、白濁した部分は、フロント側およびリア側のいずれか一方の透過画像または反射画像にしか現れないことがある。上述した選別機10によれば、そのような場合であっても、白濁した部分を検出して、対象物90がシラタであると判別できる。
【0053】
また、選別機10によれば、フロント側およびリア側の両方の緑色の反射透過画像と、フロント側およびリア側の両方の青色の反射透過画像と、を取得できるので、判定部82によって判別できる異物および/または不良品の種類を増やすことができる。緑色の反射透過画像および青色の反射透過画像は、対象物90が米である場合には、例えば、着色粒の判別に適している。しかも、全ての走査期間において、緑色光源40aと緑色光源40bとが点灯するので、緑色の反射透過画像についての分解能も低下しない。この点は、青色の反射透過画像についても同様である。
【0054】
図2に示すように、光源制御部81は、少なくとも一つの走査期間内にいずれかの光源を点灯させる場合(例えば、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてフロント側の赤色光源30aを点灯させる場合)、当該走査期間内において、当該光源が点灯される点灯期間と、当該光源が消灯される消灯期間と、が存在するように、当該光源を制御する。例えば、図2の例では、フロント側の赤色光源30aに関して、3回目の走査期間のうち、走査期間の開始時点T0から時点T1までは消灯期間であり、時点T1から時点T2までは点灯期間であり、時点T2から、走査期間の終了時点T3までは消灯期間である。
【0055】
さらに、光源制御部81は、少なくとも一つの走査期間内にいずれかの光源を点灯させる場合、当該走査期間の開始から遅れたタイミングで点灯期間が始まるように、当該光源を制御する。例えば、図2の例では、3回目の走査期間において、フロント側の赤色光源30aは、走査期間の開始時点T0から遅れたタイミング(つまり、時点T1)で点灯期間が始まるように点灯される。換言すれば、走査期間の開始時点T0においては、赤色光源30aは消灯している。このため、3回目の走査期間においてフロント側の赤色光源30aから放出された赤色光31aが、その一つ前の走査期間(つまり、2回目の走査期間)において、第1の光学センサ60aまたは第2の光学センサ60bによって検出されることがない。具体的には、仮に、3回目の走査期間において開始時点T0(これは、2回目の走査期間の終了時点でもある)でフロント側の赤色光源30aが点灯すると、3回目の走査期間の開始と同時に放出された赤色光31aが、2回目の走査期間における第1の光学センサ60aまたは第2の光学センサ60bによる検出結果にノイズとして混入する可能性がある。一方、本実施形態によれば、そのような事象が生じないので、判定部82による判定精度を向上させることができる。ここでは、フロント側の赤色光源30aを例として説明したが、この点は、フロント側の赤色光源30aに限らず、全ての光源に共通する。
【0056】
さらに、光源制御部81は、少なくとも一つの走査期間内にいずれかの光源を点灯させる場合、当該走査期間の終了よりも早いタイミングで点灯期間が終了するように当該光源を制御する。例えば、図2の例では、3回目の走査期間において、フロント側の赤色光源30aは、走査期間の終了時点T3よりも早い時点T2で点灯から消灯に切り替わっている。このため、3回目の走査期間においてフロント側の赤色光源30aから放出された赤色光31aが、その一つ後の走査期間(つまり、4回目の走査期間)において、第1の光学センサ60aまたは第2の光学センサ60bによって検出されることがない。したがって、判定部82による判定精度を向上させることができる。ここでは、フロント側の赤色光源30aを例として説明したが、この点は、フロント側の赤色光源30aに限らず、全ての光源に共通する。
【0057】
上述した実施形態は、種々の変形が可能である。例えば、赤色光源30a,30bに代えて、他の光源から放出される光の波長と干渉しない任意の波長を有する光を放出する光源が、フロント側およびリア側に設けられ、フロント側とリア側との間で交互に点灯されてもよい。例えば、緑色光源40a,40bが交互に点灯されてもよいし、青色光源50a,50bが交互に点灯されてもよい。また、上述の例では、全ての光源が間欠的に光を放出したが、緑色光源40a,40bおよび/または青色光源50a,50bは、全ての走査期間にわたって連続的に点灯してもよい。また、赤色光源30a,30bは、少なくとも一つの走査期間において点灯する場合には、当該少なくとも一つの走査期間の開始時点T0から終了時点T3まで連続的に点灯してもよい。
【0058】
B.第2実施形態:
本発明の第2実施形態による光学式選別機(以下、単に選別機と呼ぶ)100について以下に説明する。選別機100は、第1実施形態の光学検出部20に代えて光学検出部120を備えている点と、第1実施形態の制御装置80に代えて制御装置180を備えている点と、が第1実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図4は、選別機100の概略構成を示す模式図である。図4では、図示する構成要素のうち、第1実施形態(図1)と同一の構成要素については、第1実施形態に付した符号と同一の符号を付している。図4に示すように、光学検出部120は、第1の光源130a,130bと、第2の光源140a,140bと、第1の光学センサ150aと、第2の光学センサ160a,160bと、を備えている。
【0059】
第1の光源130a,130bは、不可視波長領域内の波長を有する第1の光131a,131bを移送中の対象物90に向けて、それぞれ放出する。本実施形態では、第1の光131a,131bは、近赤外波長領域内の波長(例えば、1550nm)の波長を有している。このため、第1の光源130a,130bを近赤外光源130a,130bとも呼び、第1の光131a,131bを近赤外光131a,131bとも呼ぶ。第2の光源140a,140bは、可視波長領域内の波長を有する第2の光141a,141bを移送中の対象物90に向けて、それぞれ放出する。本実施形態では、第2の光141a,141bは、赤色、緑色および青色の波長を含む白色光である。このため、第2の光源140a,140bを可視光源140a,140bとも呼び、第2の光141a,141bを可視光141a,141bとも呼ぶ。本実施形態では、第1の光源130a,131bおよび第2の光源140a,140bは、LEDである。図4では第1の光源130a,131bおよび第2の光源140a,140bの数は、それぞれ一つであるものとして示されているが、これらの光源のうちの少なくとも一部の光源の数は、複数であってもよい。
【0060】
第1の光学センサ150aは、移送中の複数の対象物90のうちの一つの対象物90に関連付けられた近赤外光131a,131bを検出する。このため、第1の光学センサ150aを近赤外光用光学センサ150aとも呼ぶ。近赤外光用光学センサ150aは、複数の第1の走査期間の各々で近赤外光131aおよび/または近赤外光131bを検出するように構成される。第2の光学センサ160a,160bは、移送中の複数の対象物90のうちの一つの対象物90に関連付けられた可視光141a,141bを検出する。このため、第2の光学センサ160a,160bを可視光用光学センサ160a,160bとも呼ぶ。可視光用光学センサ160a,160bは、複数の第2の走査期間の各々で可視光141aおよび/または可視光141bを検出するように構成される。近赤外光用光学センサ150aはCMOSセンサである。可視光用光学センサ160a,160bは、本実施形態ではカラーCCDセンサであり、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ個別に検出可能である。可視光用光学センサ160a,160bとして、CMOSセンサが使用されてもよい。
【0061】
近赤外光源130a、可視光源140a、近赤外光用光学センサ150aおよび可視光用光学センサ160aは、フロント側に配置されている。一方、近赤外光源130b、可視光源140bおよび可視光用光学センサ160bはリア側に配置されている。フロント側の近赤外光用光学センサ150aは、フロント側の近赤外光源130aから放出され、対象物90で反射された近赤外光131aと、リア側の近赤外光源130bから放出され、対象物90を透過した近赤外光131bと、を検出可能である。フロント側の可視光用光学センサ160aは、フロント側の可視光源140aから放出され、対象物90で反射された可視光141aと、リア側の可視光源140bから放出され、対象物90を透過した可視光141bと、を検出可能である。リア側の可視光用光学センサ160bは、フロント側の可視光源140aから放出され、対象物90を透過した可視光141aと、リア側の可視光源140bから放出され、対象物90で反射された可視光141bと、を検出可能である。
【0062】
かかる光学検出部120は、制御装置180によって制御される。光源制御部181は、予め定められた規則に従って、第1の光源130a,130bおよび第2の光源140a,140bを制御する。図5は、これらの光源の点灯タイミングを示すタイミングチャートである。図5において、「White」は、可視光源140aまたは可視光源140bを表しており、「NIR」は、近赤外光源130aまたは近赤外光源130bを表している。「RGB走査No.」とは、可視光用光学センサ160a,160bの走査ナンバーを表している。また、「NIR走査No.」とは、近赤外光用光学センサ150aの走査ナンバーを表している。図5は、説明を簡素化するために、一つの対象物90について16回の走査によって、可視光141a,141bに基づく画像データが取得され、一つの対象物90について4回の走査によって、近赤外光131a,131bに基づく画像データが取得されるとの前提で、各光源の点灯タイミングを示している。
【0063】
図5に示すように、近赤外光用光学センサ150aのための第1の走査期間と、可視光用光学センサ160a,160bのための第2の走査期間とは、互いに異なる長さの時間によってそれぞれ定義されている。このため、近赤外光131a,131bの検出に適した第1の走査期間と、可視光141a,141bの検出に適した第2の走査期間と、をそれぞれ個別に設定することができる。本実施形態では、第1の走査期間は、第2の走査期間よりも長い時間として設定されている。一般的に、近赤外光用光学センサの近赤外光に対する感度は、可視光用光学センサの可視光に対する感度よりも小さい。このため、第1の走査期間を第2の走査期間よりも長く設定することによって、判定部82による判定のために十分な信号強度が得られるように近赤外光131a,131bを検出することができる。しかも、近赤外光131a,131bの検出に起因して第2の走査期間が長く設定されることがないので、可視光用光学センサ160a,160bの分解能が低下することがない。
【0064】
さらに、本実施形態では、第1の走査期間は、第2の走査期間のN倍(Nは2以上の整数)に設定される。図5に示す例では、N=4である。このように、第1の走査期間が第2の走査期間のN倍である場合、一つの対象物90についての最初の第1の走査期間の開始のタイミング(つまり、図5のNIR走査No.1の開始のタイミング)と、最初の第2の走査期間の開始のタイミング(つまり、図5のRGB走査No.1の開始のタイミング)と、が同時になるように設定すれば、一つの対象物90についての最後の第1の走査期間の終了のタイミング(つまり、図5のNIR走査No.4の終了のタイミング)と、最後の第2の走査期間の終了のタイミング(つまり、図5のRGB走査No.16の終了のタイミング)と、が同時になる。このため、判定部82において、同一の対象物90に関して、近赤外光用光学センサ150aによって取得された信号に基づく画像と、可視光用光学センサ160a,160bによって取得された信号に基づく画像と、を容易に対応付けることができる。したがって、判定部82における演算処理を簡素化できる。本実施形態では、近赤外光用光学センサ150aはCMOSセンサであり、可視光用光学センサ160a,160bはCCDセンサであるが、近赤外光用光学センサ150aおよび可視光用光学センサ160a,160bに同一形式のセンサを採用すれば、同一の対象物90についての最後の走査で得られる信号の出力タイミングを近赤外光用光学センサ150aと可視光用光学センサ160a,160bとの間で同じにすることができる。
【0065】
図5に示すように、フロント側の可視光源140aおよびリア側の可視光源140bは、全ての走査期間に亘って常時、点灯される。フロント側の近赤外光源130aは、奇数の走査ナンバーを有する第1の走査期間においてのみ、所定期間、点灯され、偶数の走査ナンバーを有する第1の走査期間においては全く点灯されない。一方、リア側の近赤外光源130bは、偶数の走査ナンバーを有する第1の走査期間においてのみ所定時間、点灯され、奇数の走査ナンバーを有する第1の走査期間においては全く点灯されない。このように、近赤外光源130a,130bは、一つの第1の走査期間内では、いずれか一方のみが点灯するように、交互に点灯される。このため、可視光用光学センサ160a,160bによって、全ての第2の走査期間において、赤色光、緑色光および青色光の各々の反射透過画像が取得される。また、近赤外光用光学センサ150aによって、奇数の走査ナンバーを有する第1の走査期間では、近赤外光131aに基づく反射画像が取得され、偶数の走査ナンバーを有する第1の走査期間では、近赤外光131bに基づく透過画像が取得される。判定部82は、こうして取得された画像に基づいて、異物および/または不良品の判別を行う。
【0066】
近赤外光源130a,130bは、一つの第1の走査期間内において点灯する場合、第1の走査期間の開始時点T0から時点T1までは消灯期間であり、時点T1から時点T2までは点灯期間であり、時点T2から、第1の走査期間の終了時点T3までは消灯期間である。この点は、第1実施形態における各光源の点灯態様と同じである。
【0067】
周知のように、CMOSセンサは、1つの走査期間内で、電荷の蓄積動作と、蓄積された電荷の読み出し動作と、を順次行う。上述の通り、近赤外光用光学センサ150aはCMOSセンサであり、図5では、近赤外光用光学センサ150aにおいて電荷の蓄積動作を行う期間を期間TE1として、また、電荷の読み出し動作を行う期間を期間TE2として示している。本実施形態では、近赤外光源130a,130bの点灯タイミングは、近赤外光用光学センサ150aの期間TE1,TE2に基づいて決定される。具体的には、所定の第1の走査期間において近赤外光源130aまたは近赤外光源130bを点灯させる場合、点灯から消灯に切り替わるタイミング(図5に示す時点T2)は、近赤外光用光学センサ150aにおける電荷の読み出しの開始(期間TE2の開始)と同時に設定されている。換言すれば、近赤外光用光学センサ150aは、電荷の蓄積に寄与する期間TE1でのみ点灯され、電荷の蓄積に寄与しない期間TE2の間は消灯される。このような設定によれば、近赤外光源130a,130bが、電荷の蓄積に寄与することなく無駄に点灯されることがない。代替実施形態では、点灯から消灯に切り替わるタイミング(時点T2)は、近赤外光用光学センサ150aにおける電荷の読み出しの開始(期間TE2の開始)よりも遅く、電荷の読み出しの完了(期間TE2の終了)よりも早いタイミングであってもよい。こうしても、近赤外光源130a,130bの無駄な点灯を抑制する効果がある程度、得られる。
【0068】
上述した第2実施形態は、種々の変形が可能である。例えば、近赤外光源130a,130bおよび近赤外光用光学センサ150aに代えて、不可視波長領域内の任意の波長を有する光を放出する光源と、その光を検出する光学センサが使用されてもよい。また、可視光源140a,140bは、第2の走査期間の各々で点灯期間と消灯期間とが存在するように間欠的に点灯されてもよい。また、白色光を放出する可視光源140a,140bに代えて、可視波長領域内の任意の波長を有する光を放出する一つ以上の光源が、フロント側および/またはリア側に設けられてもよい。また、フロント側の近赤外光用光学センサ150aに加えて、または、代えて、リア側に近赤外光用光学センサが設けられてもよい。
【0069】
C.第3実施形態:
本発明の第3実施形態による光学式選別機(以下、単に選別機と呼ぶ)200について以下に説明する。選別機200は、第1実施形態の光学検出部20に代えて光学検出部220を備えている点と、第1実施形態の制御装置80に代えて制御装置280を備えている点と、が第1実施形態と異なっている。以下、第3の実施形態について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図6は、選別機100の概略構成を示す模式図である。図6では、図示する構成要素のうち、第1実施形態(図1)と同一の構成要素については、第1実施形態に付した符号と同一の符号を付している。図6に示すように、光学検出部220は、第1の光源230a,230bと、第2の光源240a,240bと、第3の光源250a,250bと、第4の光源260a,260bと、光学センサ270a,270bと、を備えている。
【0070】
第1の光源230a,230bは、第1の波長範囲内の第1の波長(本実施形態では、750nm)を有する第1の光231a,231bを移送中の複数の対象物90に向けて、それぞれ放出する。本実施形態では、第1の光源230a,230bの出力ピークは、750nmのところにある。第2の光源240a,240bは、第1の波長範囲内の第2の波長(本実施形態では、870nm)を有する第2の光241a,241bを移送中の複数の対象物90に向けて、それぞれ放出する。本実施形態では、第2の光源240a,240bの出力ピークは、870nmのところにある。第3の光源250a,250bは、第1の波長範囲外の第2の波長範囲内の第3の波長(本実施形態では、1200nm)を有する第3の光251a,251bを移送中の複数の対象物90に向けて、それぞれ放出する。本実施形態では、第3の光源250a,250bの出力ピークは、1200nmのところにある。第4の光源260a,260bは、第2の波長範囲内の第4の波長(本実施形態では、1550nm)を有する第4の光261a,261bを移送中の複数の対象物90に向けて、それぞれ放出する。本実施形態では、第4の光源260a,260bの出力ピークは、1550nmのところにある。本実施形態では、第1ないし第4の光源はLEDである。図1では、各光源の数は、それぞれ一つであるものとして示されているが、これらの光源のうちの少なくとも一部の光源の数は、複数であってもよい。
【0071】
図7は、光学センサ270a,270bの概略構成を示す模式図である。光学センサ270a,270bは同一の構成を有しているので、図7では、光学センサ270aの構成要素と、270bの構成要素と、を併記している。光学センサ270a,270bは、分光器271a,271bと、第1の受光素子272a,272bと、第2の受光素子273a,273bと、をそれぞれ備えている。分光器271a,271bは、入射される光L0を、上述の第1の波長範囲(750nmと870nmとを含む波長領域)内の光L1と、上述の第2の波長範囲(1200nmと1550nmとを含む波長領域)内の光L2と、に分光する。第1の受光素子272a,272bは、第1の波長範囲内に所定以上の感度を有しており、光L1を受光するように配置されている。ここでの所定以上の感度とは、判定部82での判定に十分な感度であり、有効感度とも呼ぶ。第2の受光素子273a,273bは、第2の波長範囲内に有効感度を有しており、光L2を受光するように配置されている。このため、例えば、第1の光231b(λP=750nm)または第2の光241b(λP=870nm)が分光器271aに入射されると、第1の光231bまたは第2の光241bは、第1の受光素子272aによって検出される。同様に、第3の光251b(λP=1200nm)または第4の光261b(λP=1550nm)が分光器271aに入射されると、第3の光251bまたは第4の光261bは、第2の受光素子273aによって検出される。
【0072】
第1の光源230a、第2の光源240a、第3の光源250a、第4の光源260aおよび光学センサ270aは、フロント側に配置されており、第1の光源230b、第2の光源240b、第3の光源250b、第4の光源260bおよび光学センサ270bは、リア側に配置されている。フロント側の光学センサ270aは、フロント側の第1の光源230aから放出され、対象物90で反射された第1の光231aと、第2の光源240aから放出され、対象物90で反射された第2の光241aと、第3の光源250aから放出され、対象物90で反射された第3の光251aと、第4の光源260aから放出され、対象物90で反射された第4の光261aと、リア側の第1の光源230bから放出され、対象物90を透過した第1の光231bと、リア側の第2の光源240bから放出され、対象物90を透過した第2の光241bと、リア側の第3の光源250bから放出され、対象物90を透過した第3の光251bと、リア側の第4の光源260bから放出され、対象物90を透過した第4の光261bと、を検出可能である。リア側の光学センサ270bは、フロント側の第1の光源230aから放出され、対象物90を透過した第1の光231aと、第2の光源240aから放出され、対象物90を透過した第2の光241aと、第3の光源250aから放出され、対象物90を透過した第3の光251aと、第4の光源260aから放出され、対象物90を透過した第4の光261aと、リア側の第1の光源230bから放出され、対象物90で反射された第1の光231bと、リア側の第2の光源240bから放出され、対象物90で反射された第2の光241bと、リア側の第3の光源250bから放出され、対象物90で反射された第3の光251bと、リア側の第4の光源260bから放出され、対象物90で反射された第4の光261bと、を検出可能である。
【0073】
かかる光学検出部220は、制御装置280によって制御される。光源制御部281は、予め定められた規則に従って、第1ないし第4の光源を制御する。本実施形態では、光源制御部281は、第1のモード283および第2のモード284のうちの選択された一方のモードによって第1ないし第4の光源を制御する。モードの選択は、選別機100が備えるユーザインタフェース(図示省略)を介してユーザによって行われる。
【0074】
図8は、第1のモード283における、光学センサ270a,270bの走査期間と、各光源の点灯タイミングと、を示すタイミングチャートである。第1のモード283では、図示するように、フロント側の第1の光源230aおよびリア側の第1の光源230bは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ、所定期間、点灯され、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。フロント側の第2の光源240aおよびリア側の第2の光源240bは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ、所定期間、点灯され、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。フロント側の第3の光源250aおよびリア側の第3の光源250bは、全ての走査期間に亘って常時、点灯される。フロント側の第4の光源260aおよびリア側の第4の光源260bは、全ての走査期間に亘って常時、消灯される。
【0075】
かかる第1のモード283によれば、光学センサ270a,270bの両方において、奇数の走査ナンバーを有する走査期間では、第1の光231a,231bに基づく反射透過画像が得られ、偶数の走査ナンバーを有する走査期間では、第2の光241a,241bに基づく反射透過画像が得られる。さらに、光学センサ270a,270bの両方において、全ての走査期間において、第3の光251a,251bに基づく反射透過画像が得られる。
【0076】
この第1のモード283によれば、第1の受光素子272a,272bの有効感度内の2種類の波長の光(第1の光231a,231bおよび第2の光241a,241b)を放出する第1の光源230a,230bおよび第2の光源240a,240bを交互に点灯させることによって、1つの第1の受光素子272a,272bによって、2種類の波長の光を検出できる。さらに、第2の受光素子273a,273bの有効感度内の1種類の波長の光(第3の光251a,251b)を放出する第3の光源250a,250bを点灯させることによって、当該1種類の波長の光を第2の受光素子273a,273bで検出できる。つまり、光学センサ270a,270bの各々で、3種類の波長の光を検出することができる。
【0077】
図9は、第2のモード284における、光学センサ270a,270bの走査期間と、各光源の点灯タイミングと、を示すタイミングチャートである。第2のモード284では、図示するように、第1の光源230a,230bは、全ての走査期間に亘って常時、点灯される。第2の光源240a,240bは、全ての走査期間に亘って常時、消灯される。第3の光源250a,250bは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ、所定期間、点灯され、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。第4の光源260a,260bは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ、所定期間、点灯され、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。
【0078】
かかる第2のモード284によれば、光学センサ270a,270bの両方において、奇数の走査ナンバーを有する走査期間では、第3の光251a,251bに基づく反射透過画像が得られ、偶数の走査ナンバーを有する走査期間では、第4の光261a,261bに基づく反射透過画像が得られる。さらに、光学センサ270a,270bの両方において、全ての走査期間において、第2の光241a,241bに基づく反射透過画像が得られる。この第2のモード284によっても、第1のモード283と同様に、光学センサ270a,270bの各々で3種類の波長の光を検出することができる。
【0079】
かかる選別機200によれば、3種類の波長の光を一つの光学センサによって検出することができるので、選別機200を低コスト化できる。しかも、3種類の波長の光のうちの一つは、連続的に放出されるので、十分な検出強度を確保することができる。しかも、第1のモード283および第2のモード284の一方を選択することによって、対象物90の種類に応じて、または、選別すべき異物および/または不良品の種類に応じて、使用する光の波長を変更することができる。
【0080】
上述した第3実施形態は、種々の変更が可能である。例えば、第1のモード283では、第3の光源250a,250bに代えて、第4の光源260a,260bが点灯されてもよい。同様に、第2のモード284では、第1の光源230a,230bに代えて、第2の光源240a,240bが点灯されてもよい。また、第1のモード283において、第3の光源250a,250bは、複数の走査期間の各々で点灯期間と消灯期間とが存在するように間欠的に点灯してもよい。こうしても、第3の光源250a,250bに基づいて得られる画像の分解能を、他の光源に基づいて得られる画像よりも大きくできる。同様に、第2のモード284において、第1の光源230a,230bは、複数の走査期間の各々で点灯期間と消灯期間とが存在するように間欠的に点灯してもよい。また、第1ないし第4の波長の光源から放出される光の波長は、任意に設定され得る。また、光源制御部281は、第1のモード283および第2のモード284のうちの一方のみで各光源を制御してもよい。この場合、点灯しない光源(例えば、第1のモード283では第4の光源260a,260b)は省略可能である。
【0081】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。例えば、上述した間欠的に点灯する光源は、当該光源が放出する光を受光する光学センサの走査期間の開始時点から点灯してもよい。あるいは、対象物90を移送する手段として、シュート73に代えて、コンベヤが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10...光学式選別機
20...光学検出部
30a...第1の光源(赤色光源)
30b...第2の光源(赤色光源)
31a...第1の光(赤色光)
31b...第2の光(赤色光)
40a...第3の光源(緑色光源)
40b...第4の光源(緑色光源)
41a...第3の光(緑色光)
41b...第4の光(緑色光)
50a...第3の光源(青色光源)
50b...第4の光源(青色光源)
51a...第3の光(青色光)
51b...第4の光(青色光)
60a...第1の光学センサ
60b...第2の光学センサ
71...貯留タンク
72...フィーダ
73...シュート
74...良品排出樋
75...不良品排出樋
76...エジェクタ
77...エア
80...制御装置
81...光源制御部
82...判定部
90...選別対象物
100...光学式選別機
120...光学検出部
130a,130b...第1の光源(近赤外光源)
131a,131b...第1の光(近赤外光)
140a,140b...第2の光源(可視光源)
141a,141b...第2の光(可視光)
150a...第1の光学センサ(近赤外光用光学センサ)
160a,160b...第2の光学センサ(可視光用光学センサ)
180...制御装置
181...光源制御部
200...光学式選別機
220...光学検出部
230a,230b...第1の光源
231a,231b...第1の光
240a,240b...第2の光源
241a,241b...第2の光
250a,250b...第3の光源
251a,251b...第3の光
260a,260b...第4の光源
261a,261b...第4の光
270a,270b...光学センサ
271a,271b...分光器
272a,272b...第1の受光素子
273a,273b...第2の受光素子
280...制御装置
281...光源制御部
283...第1のモード
284...第2のモード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9