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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】情報記録体、および、個人証明体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20220809BHJP
   B42D 25/328 20140101ALI20220809BHJP
   G11B 7/24012 20130101ALI20220809BHJP
   G11B 7/24038 20130101ALI20220809BHJP
【FI】
G02B5/18
B42D25/328 100
G11B7/24012
G11B7/24038
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019520267
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2018019708
(87)【国際公開番号】W WO2018216700
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2017100848
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 和代
(72)【発明者】
【氏名】南川 直樹
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/191755(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/200030(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/010548(WO,A1)
【文献】特表2007-531906(JP,A)
【文献】特表2010-500186(JP,A)
【文献】特開2011-123365(JP,A)
【文献】特表2012-507039(JP,A)
【文献】特開2008-105226(JP,A)
【文献】特表2010-518432(JP,A)
【文献】特開平07-098752(JP,A)
【文献】特開2013-242601(JP,A)
【文献】特開2010-237335(JP,A)
【文献】特開2014-164059(JP,A)
【文献】特開2015-129943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
B42D 25/328
G11B 7/24012
G11B 7/24038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光線の照射による炭化性を有した記録層であって、炭化していない非記録区域と、前記非記録区域に囲まれ、かつ炭化している記録区域と、を備え、前記記録区域が所定の情報を示す前記記録層と、
前記記録層の厚さ方向から見て、前記記録区域の全体と重なり、かつ、前記記録区域よりも広い領域に、二次元的に並ぶ複数の凸面であって、前記凸面の並ぶピッチが190nm以上580nm以下である前記複数の凸面を含み、かつ、光透過性を有するレリーフ層と、
前記厚さ方向から見て、前記記録区域の全体と重なり、かつ、前記領域で前記複数の凸面を覆う金属層であって、前記金属層は主として金属からなり、前記厚さ方向から見て、前記記録区域と一致し、かつ、光透過性を有した変質区域と、前記厚さ方向から見て、前記非記録区域と一致し、かつ、前記変質区域以外の部分である非変質区域とを含む前記金属層と、を備え、
前記レリーフ層および前記金属層が、前記変質区域と、前記厚さ方向から見て前記変質区域と一致する前記レリーフ層の一部とを含む第1部分と、前記非変質区域と、前記厚さ方向から見て前記非変質区域と一致する前記レリーフ層の一部とを含む第2部分と、を含む光学セキュリティパッチを構成し、
前記光学セキュリティパッチは、前記厚さ方向から見たときに、前記第1部分が前記第1部分に入射した光を透過するとともに、前記第2部分が前記第2部分に入射した光を吸収することによって前記記録区域を隠蔽し、かつ、前記厚さ方向と交差する方向から見たときに、前記光学セキュリティパッチに入射する光を、前記第1部分と前記第2部分とが回折光として射出する
情報記録体。
【請求項2】
前記情報記録体は、
前記厚さ方向から見て前記光学セキュリティパッチと重なり、かつ、前記光学セキュリティパッチよりも外側に広がる大きさを有し、かつ、所定の色を有した有色層をさらに備え、前記有色層は、前記厚さ方向から見て、前記光学セキュリティパッチと重なり、かつ、前記光学セキュリティパッチよりも外側に広がる空間を区画する貫通孔を含む
請求項1に記載の情報記録体。
【請求項3】
前記厚さ方向から見て、前記複数の凸面は、前記レリーフ層の全体にわたって2次元的に位置し、
前記厚さ方向から見て、前記金属層は、全ての前記凸面を覆い、
前記記録区域は、前記厚さ方向から見て、前記レリーフ層の縁と当該縁の内側とに位置する部分を含む内側記録区域であり、
前記情報記録体は、前記厚さ方向から見て、前記レリーフ層の前記縁よりも外側に位置して、前記内側記録区域に連なる部分を含む外側記録区域をさらに備える
請求項1または2に記載の情報記録体。
【請求項4】
前記金属層は、アルミニウム、ニッケル、および、鉄から構成される群から選択されるいずれか1つから主としてなり、
前記記録区域は、黒色を有する
請求項1からのいずれか一項に記載の情報記録体。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の情報記録体を備え、
前記情報記録体は、特定の個人に属する個人情報を示す
個人証明体。
【請求項6】
前記個人証明体は、
前記情報記録体を支持するとともに、可撓性を有したキャリアフィルムと、
前記キャリアフィルムに対して前記情報記録体が位置する側とは反
対側に位置する接着層と、をさらに備える
請求項に記載の個人証明体。
【請求項7】
請求項1に記載の情報記録体を備え、
前記情報記録体は、特定の個人に属する個人情報を示し、
前記記録区域は、前記情報として前記個人情報を示す内側記録区域であり、
前記厚さ方向から見て、前記レリーフ層の縁よりも外側に位置し、前記内側記録区域が含む前記個人情報と同一の個人情報を示す外側記録区域をさらに備える
個人証明体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録体、および、個人証明体に関する。
【背景技術】
【0002】
カードやパスポートなどの個人証明体として、レーザー炭化層と、ホログラム層とを備える個人証明体が知られている。レーザー炭化層は、特定の波長を有したレーザー光線を吸収することによって、黒色に変色する特性を有している。レーザー炭化層には、特定の個人に属する情報として、個人の顔画像などが書き込まれている。ホログラム層は、ホログラム層が有する屈折率の変化や凹凸構造によって、回折光によって形成される像を示すように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/050223号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした個人証明体では、個人証明体が有する意匠性を高めることが求められている。
【0005】
なお、個人証明体として用いられる情報記録体に限らず、レーザー光線の照射によって炭化した部分と、回折光を射出するように構成された部分とを備える情報記録体であって、遊技用などの個人認証とは異なる用途に用いられる情報記録体においても上述した事情は共通している。
本発明は、意匠性を高めることを可能とした情報記録体、および、個人証明体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための情報記録体は、レーザー光線の照射によって炭化する特性と光透過性とを有した非記録区域と、前記非記録区域部に囲まれ、かつ、前記レーザー光線の照射による炭化によって所定の情報を示す記録区域とを備えた記録層と、前記記録層の厚さ方向から見て、前記記録区域の全体と重なり、かつ、前記記録区域よりも広い領域に、二次元的に並ぶ複数の凸面であって、前記凸面の並ぶピッチが190nm以上580nm以下である前記複数の凸面を含み、かつ、光透過性を有するレリーフ層と、前記厚さ方向から見て、前記記録区域の全体と重なり、かつ、前記領域で前記複数の凸面を覆う金属層であって、前記金属層は主として金属からなり、前記厚さ方向から見て、前記記録区域の全体と重なり、かつ、光透過性を有した変質区域と、前記変質区域以外の部分である非変質区域とを含む前記金属層と、を備える。前記レリーフ層および前記金属層が、前記変質区域と、前記厚さ方向から見て前記変質区域と一致する前記レリーフ層の一部とを含む第1部分と、前記非変質区域と、前記厚さ方向から見て前記非変質区域と一致する前記レリーフ層の一部とを含む第2部分と、を含む光学セキュリティパッチを構成する。前記厚さ方向から見たときに、前記第1部分が前記第1部分に入射した光を透過するとともに、前記第2部分が前記第2部分に入射した光を吸収することによって前記記録区域を隠蔽し、かつ、前記厚さ方向と交差する方向から見たときに、前記光学セキュリティパッチに入射する光を、前記第1部分と前記第2部分とが回折光として射出する。
【0007】
上記課題を解決するための個人証明体は、上記情報記録体を備え、前記情報記録体は、特定の個人に属する個人情報を示す情報記録体を備える。
上記構成によれば、情報記録体を記録層の厚さ方向から見たときには、記録層が含む記録区域が光学セキュリティパッチによって隠蔽されるため、記録区域は観察者によって視認されにくい。これに対して、記録層の厚さ方向と交差する方向から見たときには、光学セキュリティパッチが回折光を射出するため、回折光の色と記録区域の色とのコントラストによって、記録区域が観察者によって視認されることの可能な状態になる。このように、情報記録体によれば、情報記録体を観察する方向を変えたときに、情報記録体が示す像を変えることができ、結果として、情報記録体の意匠性が高められる。
【0008】
上記課題を解決するための個人証明体は、上記情報記録体を備え、特定の個人に属する個人情報を示し、前記記録区域は、前記情報として前記個人情報を示す内側記録区域であり、前記厚さ方向から見て、前記レリーフ層の縁よりも外側に位置し、前記内側記録区域が含む前記個人情報と同一の個人情報を示す外側記録区域をさらに備える。
【0009】
上記構成によれば、個人証明体の観察者は内側記録区域には気付きにくい。そのため、個人証明体において、外側記録区域は改竄されたとしても、内側記録区域は改竄されない可能性が高い。それゆえに、外側記録区域の情報と、内側記録区域の情報との齟齬によって、個人証明体が改竄されたか否かを判断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報記録体および個人証明体の第1実施形態における個人証明体の表面と対向する平面視での個人証明体の構造を示す平面図。
図2】第1例の個人証明体の構造であって図1のI-I線に沿う構造を示す断面図。
図3】第2例の個人証明体の構造であって図1のI-I線に沿う構造を示す断面図。
図4】第3例の個人証明体の構造であって図1のI-I線に沿う構造を示す断面図。
図5】光学セキュリティパッチの構造を記録層の一部とともに示す斜視図。
図6】光学セキュリティパッチが有するレリーフ層の機能を説明するための模式図。
図7】個人証明体の作用を説明するための作用図。
図8】個人証明体の作用を説明するための作用図。
図9】個人証明体の製造に用いられる転写箔の構造を示す断面図。
図10】個人証明体の製造方法における転写工程を示す工程図。
図11】個人証明体の製造方法における印刷工程を示す工程図。
図12】個人証明体の製造方法における積層工程を示す工程図。
図13】個人証明体の製造方法における照射工程を示す工程図。
図14】個人証明体の変形例における記録層の構造における一部を示す部分平面図。
図15】個人証明体の変形例における作用を説明するための作用図。
図16】個人証明体の変形例における作用を説明するための作用図。
図17】情報記録体および個人証明体の第2実施形態における個人証明体の構造の一部を示す部分断面図。
図18】個人証明体を記録層の厚さ方向から見たときの個人証明体の構造の一部を示す部分平面図。
図19】個人証明体の第3実施形態における個人証明体の構造を示す断面図。
図20】個人証明体の第4実施形態における個人証明体の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1から図13を参照して、情報記録体、および、個人証明体を具体化した本発明の第1実施形態を説明する。以下では、個人証明体の構成、個人証明体の作用、個人証明体の製造方法、個人証明体が備える各部の形成材料、および、実施例を順に説明する。
【0012】
[個人証明体の構成]
図1から図6を参照して、個人証明体の構成を説明する。
図1が示すように、個人証明体10は板状である。個人証明体10は、個人証明体10を構成する1つの面である表面10Fを含んでいる。個人証明体10の表面10Fと対向する平面視において、個人証明体10は、第1画像PIC1、第2画像PIC2、および、第3画像PIC3を示している。第1画像PIC1および第2画像PIC2は、個人証明体10の所有者を特定するための情報を含む画像である。
【0013】
第1画像PIC1は所有者の肖像である。第2画像PIC2は、所有者の国籍、氏名、生年月日、あるいは、個人番号のいずれか一つ、または、これらの組合せを含んでいる。第1画像PIC1は、所有者の肖像以外の画像であってもよく、顔画像のみであってもよい。第2画像PIC2は、上述した以外の情報を含んでもよく、性別などを含んでもよい。
【0014】
第3画像PIC3は、個人証明体10の名称である。なお、第3画像PIC3は、個人証明体10の名称とは異なる情報を含む画像であってもよい。第2画像PIC2および第3画像PIC3は、アルファベットまたは数字のいずれかまたは両方を含んでいる。なお、第2画像PIC2および第3画像PIC3は、記号、および、アルファベットとは異なる他の文字を含んでもよい。
【0015】
個人証明体10は、光学セキュリティパッチ11を備えている。光学セキュリティパッチ11は、表面10Fと対向する平面視において、表面10Fを介して視認される。光学セキュリティパッチ11の輪郭は円形である。光学セキュリティパッチ11の輪郭は楕円でもよい。なお、光学セキュリティパッチ11の輪郭は、多角形状などの円形状とは異なる形状でもよい。また、表面10Fと対向する平面視において、光学セキュリティパッチ11は、第1画像PIC1、第2画像PIC2、および、第3画像PIC3のいずれにも重なっていない。光学セキュリティパッチ11は、表面10Fと対向する平面視において、これら画像の少なくとも1つに重なっていてもよい。
【0016】
図2から図4は、図1のI-I線に沿う個人証明体10の断面構造を示している。なお、図2から図4では、個人証明体10を構成する各部を図示する便宜上、各部の厚さや大きさが誇張されている。図2から図4では、特に、光学セキュリティパッチの構成を図示する便宜上、光学セキュリティパッチの厚さおよび大きさが、個人証明体10の他の部分に比べてより誇張されている。また、以下では、個人証明体10の断面構造として互いに異なる3つの例を順に説明する。
【0017】
[第1例]
図2が示すように、個人証明体10は、光学セキュリティパッチ11と記録層12とを備えている。記録層12は、記録区域12aと記録区域12a以外の部分ととからなる。記録区域12aは、レーザー光線の照射による炭化性を有した非記録区域、すなわち記録区域12a以外の部分に囲まれて、レーザー光線の照射による炭化によって所定の情報を示す部分である。
【0018】
光学セキュリティパッチ11は、レリーフ層21と金属層22とを備えている。レリーフ層21は、記録層12の厚さ方向から見て、記録区域12aの全体と重なり、かつ、記録区域12aの外側に向けて広がる領域に、二次元的に並ぶ複数の凸面21aを含んでいる。言い換えれば、レリーフ層21は、記録層12の厚さ方向から見て、記録区域12aの全体と重なり、かつ、記録区域12aよりも広い領域に、二次元的に並ぶ複数の凸面21aを含んでいる。複数の凸面21aにおいて、凸面21aの並ぶピッチが250nm以上500nm以下である。レリーフ層21は、光透過性とできる。
【0019】
金属層22は、記録層12の厚さ方向から見て、記録区域12aの全体と重なり、かつ、記録区域12aの外側に向けて広がる領域で複数の凸面21aを覆っている。言い換えれば、金属層22は、記録層12の厚さ方向から見て、記録区域12aの全体と重なり、かつ、記録区域12aよりも広い領域で複数の凸面21aを覆っている。金属層22の主は金属である。金属層22は、変質区域22aと非変質区域22bとを含んでいる。変質区域22aは、記録層12の厚さ方向から見て、記録区域12aの全体と重なり、かつ、光透過性である。非変質区域22bは、金属層22における変質区域22a以外の部分である。変質区域22aは、金属を主成分とする金属層22のなかで、レーザー光線の照射によって金属層が変質した区域である。変質区域22aは、金属酸化物や金属層がない区域などである。変質区域22aの光透過性は、非変質区域22bの光透過性よりも高い。
【0020】
金属層22の主成分は、アルミニウム、ニッケル、または、鉄から構成される群から選択されるいずれか1つ、または、これらの合金とできる。この場合には、記録区域12aは、黒色を有することができる。金属層22において、80質量%以上の成分が金属であり、金属層22は、金属以外の成分として酸素、炭素などを含んでもよい。
【0021】
金属層22は、レリーフ層21の一部または全部を覆っている。金属層22は、レリーフ層21に金属などの無機を堆積することで形成できる。金属層22を堆積した後に、金属層22をエッチングすることでレリーフ層21の一部を覆うように金属層22を形成できる。金属層22の堆積には、真空蒸着、スパッタ、化学堆積を適用できる。また、個人証明体10は、レリーフ層21上にさらに透明反射層を備えてもよい。透明反射層は、金属層22とレリーフ層21の間、または、金属層22に対するレリーフ層21と反対側に位置することができる。透明反射層は、無機物とできる。透明反射層の無機物は、金属化合物、ケイ素化合物とできる。金属化合物は、金属酸化物、金属硫化物、フッ化金属、窒化金属とできる。金属化合物の金属はアルミニウム、チタン、亜鉛、スズとできる。ケイ素化合物は、酸化ケイ素とできる。透明反射層は、レリーフ層21の全体または一部を覆う。透明反射層は、レーザー光線により変質し変質透明反射層となることもできる。また、透明反射層は、レーザー光線により変質しなくてもよい。
【0022】
こうした構成では、金属層22が有する色と記録区域12aが有する色とが、観察者OBにはほぼ同じ色であると認識されやすい。そのため、個人証明体10を記録層12の厚さ方向から見たときに、観察者OBが記録区域12aを視認することがより難しくなる。
【0023】
光学セキュリティパッチ11は、変質区域22aと、記録層12の厚さ方向から見て変質区域22aと一致するレリーフ層21の一部とを含む第1部分11aと、非変質区域22bと、記録層12の厚さ方向から見て非変質区域22bと一致するレリーフ層21の一部とを含む第2部分11bと含んでいる。
【0024】
光学セキュリティパッチ11は、記録層12の厚さ方向から見たときに、光学セキュリティパッチ11の全体に入射する光のうち、第1部分11aが第1部分11aに入射した光を透過し、かつ、第2部分11bが第2部分11bに入射した光を吸収することによって記録区域12aを隠蔽するように構成されている。また、光学セキュリティパッチ11は、厚さ方向と交差する方向から見たときに、第1部分11aと第2部分11bとが回折光を射出するように構成されている。
【0025】
記録層12は、上述した記録区域12a以外にも、レーザー光線の照射によって炭化した部分を含んでいる。こうした部分は、個人証明体10の表面10Fと対向する平面視において、上述した第2画像PIC2を示す。このように、記録層12のなかでレーザー光線の照射によって炭化した部分には、記録層12の厚さ方向から見て、光学セキュリティパッチ11と重なる部分である記録区域12aと、光学セキュリティパッチ11とは重ならない部分である記録区域12a以外の部分とが含まれることが好ましい。また、記録層12の厚さ方向から見て、レーザー光線の照射によって炭化した部分の総面積において、記録区域12aの占める面積は30%以上70%以下であることが好ましい。
【0026】
個人証明体10は、さらに、裏面ラミネート層13、有色層14、および、表面ラミネート層15を備えている。裏面ラミネート層13、および、表面ラミネート層15は光透過性である。裏面ラミネート層13および表面ラミネート層15は、透明とできる。有色層14は着色されている。有色層14の色は、白色や淡色などとできる。裏面ラミネート層13は着色されていてもよい。
【0027】
個人証明体10において、裏面ラミネート層13、有色層14、記録層12、および、表面ラミネート層15が記載の順に積み重なっている。個人証明体10において、光学セキュリティパッチ11が、記録層12と表面ラミネート層15との間に位置している。言い換えれば、光学セキュリティパッチ11は、記録層12と表面ラミネート層15とによって内包されている。個人証明体10において、有色層14と記録層12との間には、印刷部16が位置している。印刷部16は、印刷によって形成された部分である。印刷部16は、インキやトナーを印刷し形成できる。
【0028】
印刷部16は、インキを印刷して形成される。印刷には、オフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷を適用できる。印刷部16を形成するためのインキは、印刷方法に応じて、オフセットインキ、活版インキ、または、グラビアインキとできる。印刷部16を形成するためのインキは、組成の違いに応じて、樹脂インキ、油性インキ、または、水性インキとできる。印刷部16を形成するためのインキは、乾燥方式の違いに応じて、酸化重合型インキ、浸透乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ、または、紫外線硬化型インキとできる。インキは顔料インキ、染料インキとできる。顔料インキは、無機顔料インキやポリマー顔料インキとできる。染料インキはアゾ染料インキなどとできる。印刷部16には、上述した第2画像PIC2の領域と、第3画像PIC3の領域とが含まれている。
【0029】
光学セキュリティパッチ11は、さらに接着層23を備えている。接着層23は金属層22に対してレリーフ層21とは反対側に位置している。金属層22は、レリーフ層21と金属層22とを含む積層体を記録層12に接着している。接着層23は光透過性である。接着層23は、接着層23に対して金属層22が位置する側とは反対側に位置する層が形成する像を透過する。
【0030】
[第2例]
図3が示すように、第2例の個人証明体10は、光学セキュリティパッチ11が、記録層12と表面ラミネート層15との間ではなく、有色層14と記録層12との間に位置している点で、第1例の個人証明体10とは異なっている。こうした第2例の個人証明体10においても、光学セキュリティパッチ11のうち、変質区域22aを含む第1部分11aが、記録層12の厚さ方向から見て記録区域12aと一致し、非変質区域22bを含む第2部分11bが、記録層12の厚さ方向から見て記録層12のなかで記録区域12a以外の部分と一致する。
【0031】
[第3例]
図4が示すように、第3例の個人証明体10は、記録層12と表面ラミネート層15との間に位置する第1光学セキュリティパッチ11Aと、有色層14と記録層12との間に位置する第2光学セキュリティパッチ11Bとを備えている。なお、第1光学セキュリティパッチ11Aは、第1例の個人証明体10が備える光学セキュリティパッチ11に等しい構成であり、第2光学セキュリティパッチ11Bは、第2例の個人証明体10が備える光学セキュリティパッチ11に等しい構成である。
【0032】
図5および図6を参照して、光学セキュリティパッチ11の構成をより詳しく説明する。第1例から第3例の個人証明体10に含まれる光学セキュリティパッチの間では、記録層12に対する位置が互いに異なるものの、光学セキュリティパッチの機能は共通している。そのため以下では、第1例の個人証明体10が備える光学セキュリティパッチ11について説明し、第2例および第3例の個人証明体10に含まれる光学セキュリティパッチについての説明を省略する。
【0033】
なお、図5では、レリーフ層21が含む複数の凸面21aを図示する便宜上、各凸面21aを記録層12から表面ラミネート層15に向けて突き出た凸部として示し、かつ、各凸部の大きさが誇張されている。また、図5では、光学セキュリティパッチ11が有する金属層22および接着層23の図示が省略されている。
【0034】
図5が示すように、レリーフ層21は複数の凸面21aを備え、複数の凸面21aは、上述したように2次元方向に沿って並んでいる。複数の凸面21aは、1次元方向あるいは2次元方向に沿って周期的に整列している。複数の凸面21aにおいて、1つの方向に沿って並ぶピッチPが190nm以上580nm以下であり、かつ、1つの方向と直交する方向に沿って並ぶピッチPも190nm以上580nm以下である。複数の凸面21aにおいて、凸面21aの頂点間の距離が、凸面21aの並ぶピッチPである。記録層12の厚さ方向から見て、複数の凸面21aは、レリーフ層21の全体または一部に2次元的に位置している。なお、金属層22は、全てまたは一部の凸面21aを覆っている。
【0035】
各凸面21aは略円錐面状を有している。凸面21aの大きさ、すなわち、凸面21aを記録層12に投影したときに、記録層12において区画される領域の大きさと、凸面21aの高さとは、すべての凸面21aにおいて等しいことが好ましい。
【0036】
ここで、各凸面21aが突き出る方向と直交する断面における屈折率は、断面におけるレリーフ層21と、レリーフ層21の周りに位置する部材との比によって決まる。また、凸面21aのピッチPが、おおよそ可視光が有する波長以下であれば、断面における屈折率は一様であると見なすことができる。凸面21aのピッチPは、可視光の中心波長以下である。具体的には、凸面21aのピッチPは、580nm以下とできる。凸面21aが突き出る方向と直交する断面では、レリーフ層21の占める割合が、レリーフ層21から接着層23に向かう方向に沿って次第に小さくなる一方で、凸面21aの周りに位置する部材が占める割合が次第に大きくなる。そのため、凸面21aが突き出る方向では、屈折率が大きく変わる部位が存在しないため、凸面21aに入射した光において、凸面21aでの反射や屈折が抑えられ、凸面21aに入射した光は凸面21aを透過する。
【0037】
また、凸面21aは金属を主成分とする金属層22によって覆われているため、凸面21aを透過した光は、金属層22に接することによって金属層22に吸収される。加えて、凸面21aと金属層22との境界において、凸面21aに入射した光は、多重反射するため、境界での反射の度に、凸面21aに入射した光の一部が金属層22によって吸収される。
【0038】
なお、金属層22のなかで、金属光沢を有する非変質区域22bにおいては、上述したような光の吸収が生じる一方で、透過性を有する変質区域22aにおいては、光の吸収はほぼ生じない。そのため、変質区域22aに入射した光は、変質区域22aを透過する。
【0039】
記録区域12aは、個人証明体10の所有者を特定するための情報である個人情報を示している。記録区域12aは、内側記録区域の一例である。記録区域12aは、個人情報として、上述した第2画像PIC2に含まれる個人番号を示している。すなわち、個人証明体10は、記録層12の厚さ方向から見て、レリーフ層21の縁よりも外側に位置し、記録区域12aが含む個人情報と同一の個人情報の外側記録区域の一例として第1画像PIC1が印刷された印刷部16を備えている。
【0040】
なお、記録区域12aの個人情報は、第1画像PIC1における複数の個人情報のいずれかと同一であればよく、上述した国籍、氏名、または、生年月日のいずれかひとつ、またはこれらの組合せであってもよい。また、記録区域12aの個人情報は、第2画像PIC2の個人情報と同一であってもよく、この場合には、記録区域12aは、所有者の肖像を示すことが可能であればよい。
【0041】
図6を参照して、レリーフ層21から射出される回折光について説明する。
図6は、可視光の中心波長、すなわち580nmよりも小さい周期を有した回折格子を模式的に示している。なお、図6では、説明および図示の便宜上、回折格子の射出する1次回折光として、赤色を有する回折光、緑色を有する回折光、および、青色を有する回折のみが示されている。
【0042】
回折格子において、m次回折光(m=0、±1、±2、・・・)の射出角βは、回折格子の溝の長さ方向に対して垂直な面内において光が進行するとき、以下の式(1)を用いて算出することができる。
d=mλ/(sinα-sinβ) … 式(1)
【0043】
式(1)において、dは回折格子の周期であり、mは回折次数であり、λは入射光の波長および回折光の波長である。また、αは0次回折光であって、透過光または正反射光の射出角である。すなわち、αの絶対値は入射光の入射角と等しく、反射型の回折格子では、入射光の入射方向と正反射光の射出方向とは、回折格子を正面視する方向である正面視方向に対して対称である。なお、正面視方向は、上述した個人証明体10において、記録層12の厚さ方向である。
【0044】
なお、回折格子が反射型であるとき、角度αは、0°以上90°未満である。正面視方向、すなわち0°が境界値であり、回折格子を斜め方向から照明するとき、正反射光の射出方向を含む角度の範囲が正の範囲であり、照明光の入射方向を含む角度の範囲が負の範囲である。回折光の射出方向が、正反射光の射出方向と同じ範囲に含まれるとき、すなわち、正の範囲に含まれるとき、角度βは正の値である。一方で、回折光の射出方向が、照明光の入射方向と同じ範囲に含まれるとき、すなわち、負の範囲に含まれるとき、角度βは負の値である。
【0045】
観察者が回折格子を正面視するとき、回折格子が射出する回折光のうち、観察者によって視認される像の表示に寄与する回折光は、射出角βが0°である回折光のみである。しかしながら、周期dが波長λよりも小さいとき、式(1)を満たす入射角αが存在しないため、回折格子を正面視している観察者は、回折光を視認することができない。このように、回折格子のうち、周期dの小さい回折格子、すなわち、周期dが波長λよりも小さい回折格子は、正面視方向に回折光を射出せず、かつ、周期dが波長λ程度である回折格子は、正面視方向に対してほぼ視認されない程度の回折光しか射出しない。
【0046】
周期的に配置された凸面21aは、回折格子となる。
図6が示すように、凸面21aによる回折格子DGは、可視光の最短波長の1/2よりも大きく、かつ、可視光の中心波長よりも小さい周期dを有している。すなわち、回折格子DGは、190nmよりも大きく、かつ、580nmよりも小さい周期dを有している。光源LSの放射する入射光ILは、互いに異なる波長を有した複数の光から構成される白色光であり、入射光ILが斜め方向から回折格子DGに入射するとき、回折格子DGは、正反射光または0次回折光である射出光RLを射出する。
【0047】
また、回折格子DGは、1次回折光として赤色の回折光DLr、緑色の回折光DLg、および、青色の回折光DLbを射出する。ただし、赤色の回折光DLrの射出角βr、緑色の回折光DLgの射出角βg、および、青色の回折光DLbの射出角βbは、いずれも負の値である。
【0048】
こうした理由から、光学セキュリティパッチ11は、記録層12の厚さ方向に、黒色の像、または、灰色の像を示す。なお、黒色とは、白色光を記録層12の厚さ方向から照射して、正反射光の強度を測定したとき、400nm以上700nmの範囲に含まれる全ての波長の光において、反射率が10%以下である状態である。また、灰色とは、白色光を記録層12の厚さ方向から照射して、正反射光の強度を測定したとき、400nm以上700nm以下の範囲に含まれる全ての波長の光において、反射率が10%よりも大きく約25%以下である状態である。
【0049】
光学セキュリティパッチ11に黒色を有した像を表示させる上では、凸面21aの高さが高いほど、凸面21aにおいて、凸面21aが突き出る方向に沿う屈折率の変化率が小さくなる点で好ましい。これに対して、凸面21aの高さが低いほど、凸面21aにおける反射率が高まり、光学セキュリティパッチ11が示す像の明度が高まる。結果として、光学セキュリティパッチ11は、灰色の像を示す。
【0050】
凸面21aのピッチPは、190nm以上580nm以下の範囲とできる。凸面21aの高さは、凸面21aにおけるピッチPの1/2以上とできる。凸面21aの高さがピッチPの1/2以上であれば、凸面21aは、記録層12の厚さ方向に対する入射光の反射を抑えることができる。また、凸面21aの高さは、ピッチP以下とできる。凸面21aの高さがピッチP以下であれば、凸面21aの形成が容易である。そのため、凸面21aの高さは、95nm以上580nm以下であることが好ましい。
【0051】
[個人証明体の作用]
図7および図8を参照して、個人証明体10の作用を説明する。以下では、記録区域12aが黒色を有した構成での個人証明体10の作用を説明する。
図7が示すように、観察者OBが、個人証明体10を記録層12の厚さ方向から見たときには、言い換えれば、表面10Fの法線方向から見たときには、光学セキュリティパッチ11の第2部分11bが光学セキュリティパッチ11に入射した光を吸収し、第1部分11aが光学セキュリティパッチ11に入射した光を透過する。そのため、光学セキュリティパッチ11のうち、表面10Fと対向する平面視において第2部分11bが位置する部分は、光の吸収のために黒色を有する区画として観察者OBに視認される。これに対して、光学セキュリティパッチ11のうち、表面10Fと対向する平面視において第1部分11aが位置する部分は、記録層12における記録区域12aが、変質区域22aを介して視認されるため、記録区域12aが有する色のために黒色を有する区画として観察者OBに視認される。
【0052】
それゆえに、記録層12が含む記録区域12aを光学セキュリティパッチ11が隠蔽し、観察者OBには、光学セキュリティパッチ11と、記録区域12aとが形成する単一の像が視認される。このように、個人証明体10を記録層12の厚さ方向から見たときには、記録区域12aの情報が潜像化される。
【0053】
一方で、図8が示すように、観察者OBが、個人証明体10を記録層12の厚さ方向と交差する方向から見たときには、言い換えれば、表面10Fの法線方向と交差する方向から見たときには、観察者OBは、光学セキュリティパッチ11から射出される回折光を視認することができる。このとき、光学セキュリティパッチ11のうち、第2部分11bが観察者OBに向けて回折光を射出し、また、第1部分11aも回折光を観察者OBに向けて射出する。ただし、第2部分11bは、非変質区域22bでの反射により輝度の高い回折光を射出する一方で、第1部分11aは、レリーフ層21の屈折率と変質区域22aの屈折率との違いによる反射光のみを射出するため、第1部分11aは、第2部分11bに比べて輝度の低い回折光しか射出しない。しかも、第1部分11aは透過性を有するため、第1部分11aを介して、第1部分11aの下層に位置する記録区域12aも観察者OBによって視認される。それゆえに、第2部分11bが射出する回折光の色と、第1部分11aが透過する記録区域12aの色とのコントラストによって、記録区域12aが観察者OBによって視認される。
【0054】
このように、個人証明体10によれば、個人証明体10を観察する方向を変えたときに、個人証明体10が示す像を変えることができ、結果として、個人証明体10の意匠性が高められる。
【0055】
ここで一般に、観察者が物品を観察するときであって、特に、光反射能および光散乱能が小さい物品であって、光吸収性の高い物品を観察するとき、観察者は、観察者の目に対する光源と物品との相対的な位置を正反射光が視認することのできる位置に合わせる。そのため、光学セキュリティパッチ11が上述した負の範囲内に回折光を射出することを知らない観察者は、回折光を視認することができない場合もある。この場合には、観察者は、光学セキュリティパッチ11が回折光を射出できることに気付きにくい。
【0056】
これに対して、上述した光学セキュリティパッチ11における凸面21aのピッチPよりも大きいピッチで並ぶ複数の凸面を備える光学セキュリティパッチでは、光学セキュリティパッチが正の範囲内に回折光を射出するため、光学セキュリティパッチが正の範囲内に回折光を射出することを知らない観察者であっても、回折光を視認する確率が高い。また、こうした光学セキュリティパッチでは、上述した正面視の方向と、回折光の射出される方向とが形成する角度が小さい。これによっても、光学セキュリティパッチから射出された回折光は、観察者によって視認されやすい。
【0057】
こうした理由から、個人証明体10の観察者は記録区域12aには気付きにくい。そのため、個人証明体10において、第1画像PIC1は改竄されたとしても、記録区域12aは改竄されない可能性が高い。それゆえに、第1画像PIC1の情報と、記録区域12aの情報との齟齬によって、個人証明体10が改竄されたか否かを判断することが可能である。
【0058】
[個人証明体の製造方法]
図9から図13を参照して、個人証明体10の製造方法を説明する。以下では、第1例から第3例の個人証明体10のうち、第1例の個人証明体10の製造方法を詳しく説明する。また、個人証明体10の製造方法を説明する前に、個人証明体10の製造に用いられる転写箔の構成を説明する。
【0059】
図9が示すように、転写箔30は、上述した光学セキュリティパッチ11と光学セキュリティパッチ11を支持するキャリアフィルム31とを備えている。光学セキュリティパッチ11は、キャリアフィルム31からの剥離が可能な状態でキャリアフィルム31に支持されている。転写箔30を形成するときには、まず、キャリアフィルム31を準備する。キャリアフィルム31はプラスチックフィルムとできる。キャリアフィルム31のうち、光学セキュリティパッチ11が形成される面には、キャリアフィルム31から光学セキュリティパッチ11を剥がれやすくするための処理が施されてもよい。
【0060】
次いで、キャリアフィルム31の1つの面にレリーフ層21を形成する。レリーフ層21を形成するときには、まず、レリーフ層21を形成するための塗膜をキャリアフィルム31に形成する。そして、塗膜のなかでキャリアフィルム31に接する面とは反対側の面に複数の凸面21aを形成するための原版を押し当てた状態で、あるいは、押し当てた後に塗膜を硬化させる。これにより、複数の凸面21aを含むレリーフ層21が形成される。レリーフ層21のうち、キャリアフィルム31に接する面とは反対側の面に金属層22を形成する。そして、金属層22のうち、レリーフ層21に接する面とは反対側の面に接着層23を形成する。金属層22は、堆積法で形成できる。堆積法はスパッタ法や真空蒸着法とできる。これにより、転写箔30を得ることができる。
【0061】
なお、転写箔30は、上述したレリーフ層21、金属層22、および、接着層23以外に、各層の間に位置する中間層を有してもよい。
【0062】
図10が示すように、個人証明体10を製造するには、記録層12を準備する。記録層12は、プラスチックシートとできる。プラスチックは、熱可塑プラスチックとできる。次いで、記録層12の表面12Fに、上述した転写箔30を用いて光学セキュリティパッチ11を転写する。尚、光学セキュリティパッチ11は、表面ラミネート層に転写箔30から転写してもよい。
【0063】
図11が示すように、有色層14を準備する。有色層14は、プラスチックシートとできる。プラスチックは、熱可塑プラスチックとできる。そして、有色層14の表面14Fに印刷部16を形成する。なお、記録層12の裏面に印刷部16を形成してもよいし、有色層14の表面14Fに印刷部16の一部を形成し、かつ、記録層12の裏面に印刷部16の残りの一部を形成してもよい。
【0064】
図12が示すように、裏面ラミネート層13および表面ラミネート層15を準備し、裏面ラミネート層13、有色層14、記録層12、および、表面ラミネート層15を記載の順に積み重ね、これらの層を一体化し積層体40を形成する。これらの層は、熱や圧力によって一体化させることができる。このとき、記録層12に位置する光学セキュリティパッチ11が、記録層12と表面ラミネート層15との間に挟まれるように、記録層12に表面ラミネート層15を積み重ねる。これにより、光学セキュリティパッチ11を内部に有する積層体40を得ることができる。
【0065】
図13が示すように、積層体の記録層12の表面ラミネート層15側から、表面ラミネート層15と光学セキュリティパッチ11とを介して、レーザー光線LBを記録層12の一部に照射する。レーザー光線LBは照射装置IEより照射される。これにより、レーザー光線LBが照射された記録層12に記録区域12aが形成される。これと同時に、レーザー光線LBが照射された光学セキュリティパッチ11の金属層22の一部は変質区域22aとなる。レーザー光線LBが照射された金属層22の一部は、レーザー光線LBから与えられるエネルギーによって変質する。
【0066】
表面ラミネート層15および光学セキュリティパッチ11を介して記録層12にレーザー光線LBを照射するときには、レーザー光線LBの焦点の位置および出力を、記録層12に記録区域12aを形成することが可能であり、かつ、金属層22の一部を変質させることが可能であるように設定すればよい。
【0067】
ここで、レーザー光線LBの照射によって記録層12と金属層22とに与えられるエネルギーが所定の大きさを超えると、記録層12の厚さ方向から見て、金属層22において変質する部分の面積が、記録層12において炭化する部分の面積よりも大きくなる。そのため、記録層12の厚さ方向から見て、変質区域22aの有する面積と、記録区域12aの有する面積とを同じにする上では、記録区域12aの縁を形成するために記録層12に照射するレーザー光線LBのエネルギーを、記録区域12aの縁よりも内側を形成するために記録層12に照射するレーザー光線LBのエネルギーよりも小さくすればよい。記録層12のなかで記録区域12aの内側から縁に対応する部位に対して、記録区域12aの内側から縁に向けてレーザー光線LBのエネルギーが小さくなるように、記録層12にレーザー光線LBを照射すればよい。照射するレーザー光線LBの出力は、0.1W以上1W以下の範囲とできる。照射するレーザー光線LBのパルス幅は、10n秒以上1μ秒以下の範囲とできる。記録区域12aの光学濃度(OD値)は、1.0以上2.0以下の範囲とできる。記録区域12aの光学濃度(OD値)は、レーザーでの描画のスピードで制御できる。
【0068】
レーザー光線LBは、記録層12の厚さ方向に沿って照射されるため、光学セキュリティパッチ11のなかで、記録層12の厚さ方向から見て1つの記録区域12aと1つの変質区域22aとが一致するように、記録区域12aと変質区域22aとが形成される。これにより、図2を参照して先に説明した第1例の個人証明体10を得ることができる。
【0069】
なお、第2例の個人証明体10を形成するときには、積層体40を形成するときに、光学セキュリティパッチ11が、有色層14と記録層12との間に挟まれるように、有色層14に記録層12を積み重ねればよい。そして、表面ラミネート層15を介して、記録層12にレーザー光線LBを照射すればよい。このとき、レーザー光線LBの焦点の位置および出力を、記録層12に記録区域12aを形成することが可能であり、かつ、記録層12の下層に位置する金属層22の一部を変質させることが可能であるように設定すればよい。
【0070】
第3例の個人証明体10を形成するときには、記録層12の表面12Fに転写箔30を用いて第1光学セキュリティパッチ11Aを転写し、かつ、記録層12の裏面に転写箔30を用いて第2光学セキュリティパッチ11Bを転写すればよい。そして、積層体40を形成するときには、第1光学セキュリティパッチ11Aが記録層12と表面ラミネート層15との間に挟まれ、かつ、第2光学セキュリティパッチ11Bが有色層14と記録層12との間に挟まれるように、有色層14、記録層12、および、表面ラミネート層15を積み重ねればよい。
【0071】
また、記録層12にレーザー光線LBを照射するときには、表面ラミネート層15と第1光学セキュリティパッチ11Aとを介して記録層12にレーザー光線LBを照射すればよい。このとき、レーザー光線LBの焦点の位置および出力を、記録層12に記録区域12aを形成することが可能であり、かつ、第1光学セキュリティパッチ11Aにおける金属層22の一部と、第2光学セキュリティパッチ11Bにおける金属層22の一部とを変質することが可能であるように設定すればよい。
【0072】
[各部の形成材料]
個人証明体10を構成する各部を形成するための材料を説明する。
[ラミネート層]
裏面ラミネート層13および表面ラミネート層15は、プラスチックシートとできる。プラスチックシートは、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、PEN(ポリエチレンナフタレート)シート、PP(ポリプロピレン)シート、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、非晶性ポリエステル(PET‐G)シート、ポリカーボネート(PC)シートとできる。このうち、個人証明体用のカードやパスポートの基材としてPCVシート、PET‐Gシート、PCシートは、熱や圧力によって一体化する加工が容易である。
【0073】
各ラミネート層の厚さは、50μm以上400μm以下とできる。各ラミネート層の厚さが50μm以上であることによって、各ラミネート層が取り扱いやすくなる程度に各ラミネート層の物理的な強度が高まるため、印刷部16を形成するときなどに各ラミネート層に皺が生じることが抑えられる。また、各ラミネート層の厚さが400μm以下であることによって、個人証明体10を製造するときに、各ラミネート層が有する厚さのばらつきや撓みの影響が大きくなることが抑えられる。なお、各ラミネート層の厚さは、75μm以上100μm以下とできる。
【0074】
[記録層]
記録層12には、所定の波長を有したレーザー光線の照射によって炭化する特性を有したプラスチックシートとできる。記録層12は、ポリカーボネートを主材料とし、添加剤としてレーザー光線を吸収するエネルギー吸収体を含有したものとできる。こうしたシートは、例えばSABIC社のLEXANシリーズSD8B94などである(LEXANは登録商標)。
【0075】
記録層12の厚さは、裏面ラミネート層13および表面ラミネート層15と同様の理由から、50μm以上400μm以下とできる。または、記録層12の厚さは、75μm以上100μm以下とできる。
【0076】
[有色層]
有色層14は、プラスチックシートとできる。プラスチックシートの材料には、裏面ラミネート層13および表面ラミネート層15と同じ種類の材料が適用できる。また、有色層14のプラスチックシートは、着色剤を含有してもよい。着色剤は染料、顔料などである。
【0077】
有色層14の厚さは、裏面ラミネート層13および表面ラミネート層15と同様の理由から、50μm以上400μm以下とできる。または、有色層14の厚さは、75μm以上100μm以下とできる。
【0078】
[印刷部]
印刷部16は、個人証明体10に所定の情報を与えるために、色を有し、また、文字や絵柄などの形状を有している。
【0079】
印刷部16は、インキを印刷して形成される。印刷には、オフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷を適用できる。印刷部16を形成するためのインキは、印刷方法に応じて、オフセットインキ、活版インキ、または、グラビアインキとできる。印刷部16を形成するためのインキは、組成の違いに応じて、樹脂インキ、油性インキ、水性インキとできる。印刷部16を形成するためのインキは、乾燥方式の違いに応じて、酸化重合型インキ、浸透乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ、紫外線硬化型インキとできる。
【0080】
また、印刷部16を形成するインキは、個人証明体10に対する光の入射角度、または、個人証明体10を観察する角度に応じて色が変わる機能性インキとできる。機能性インキは、光学的変化インキ(Optical Variable Ink)、カラーシフトインキ、パールインキなどである。
【0081】
なお、トナーを用いた電子写真法によって印刷部16を形成することもできる。電子写真法によって印刷部16を形成するときには、帯電性を有したプラスチック粒子に黒鉛または顔料などの色粒子を付着させたトナーを準備し、帯電による静電気を利用して、トナーを被印刷体に転写させる。そして、トナーが転写された被印刷体を加熱することによって、被印刷体にトナーを定着させる。これにより、上述した各ラミネート層や記録層12に印刷部16を形成することができる。
【0082】
[キャリアフィルム]
転写箔30のキャリアフィルム31は、プラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムは、PENフィルム、PPフィルムとできる。フィルムの材料は、キャリアフィルム31上にレリーフ層21が形成されるときに、キャリアフィルム31にかかる熱やキャリアフィルムが接する溶剤によって、キャリアフィルム31の変形しにくく、変質しにくい材料とできる。なお、キャリアフィルム31は、紙、合成紙、プラスチック複層紙、または、樹脂含浸紙としてもよい。
【0083】
キャリアフィルム31の厚さは4μm以上とできる。キャリアフィルム31の厚さは12μm以上50μm以下とできる。キャリアフィルム31の厚さが4μm以上であることによって、キャリアフィルム31が取り扱いやすい程度にキャリアフィルム31の物理的な強度が高まる。
【0084】
[レリーフ層]
レリーフ層21の材料は、熱可塑樹脂、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂とできる。熱可塑樹脂は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、ビニル樹脂の単体、これらの混合、これらの複合体、これらの共重合樹脂とできる。熱硬化樹脂は、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂とできる。紫外線硬化樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂の単体、これらの混合、これらの複合体、これらの共重合樹脂とできる。レリーフ層21の厚さは、1μm以上5μm以下である。
【0085】
レリーフ層21の材料は、硬化ポリマーとしてもよい。硬化ポリマーは、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマーの硬化物とできる。このうち、モノマーは、1,6‐ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどとできる。オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどとできる。ポリマーは、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂とできる。
【0086】
[金属層]
金属層22は、金属を主としてなる。金属層22の金属は、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銅、または、スズの単体またはその合金とできる。金属層22の金属として、アルミニウム、ニッケル、または、鉄の単体、またはこれらの合金は、加工しやすい。金属層22は、堆積法で形成できる。金属層22の堆積法は、真空蒸着法、またはスパッタ法とできる。金属層22の厚さは、50Å以上3000Å以下とできる。または、金属層22の厚さは、200Å以上1000Å以下とできる。金属層22の厚さが200Å以上1000Å以下であれば、レーザーでの加工が容易となる。
【0087】
[接着層]
接着層23は、接着剤を主成分とする。接着剤は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂とできる。接着層23は、改質剤を含有できる。改質剤は、接着性付与剤、充填剤、軟化剤、熱光安定剤、酸化防止剤の単体、これらの混合とできる。
【0088】
接着性付与剤は、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂の単体、これらの混合、これらの共重合樹脂とできる。充填剤は、亜鉛華、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムとできる。軟化剤は、プロセスオイル、液状ゴム、可塑剤とできる。熱光安定剤は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミンとできる。酸化防止剤は、アニリド、フェノール、ホスファイト、チオエステルとできる。
【0089】
接着層23の厚さは、0.1μm以上10μm以下とできる。また、接着層23の厚さは、1μm以上5μm以下とできる。
【0090】
接着層23の形成では、剥離材の1つの面に接着剤を塗布し、接着剤を乾燥させる。次いで、接着剤と金属層22とを貼り合わせる。その後、剥離材を接着剤から取り外すことによって、金属層22に接着層23を形成することができる。
【0091】
接着剤は、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーターなどの塗工機で塗布できる。
【0092】
[実施例]
[実施例1]
個人証明体を製造する前に、光学セキュリティパッチを含む転写箔を形成した。転写箔を形成するときには、キャリアフィルムとして25μmの厚さを有したPETフィルム(ルミラー25T60、東レ(株)製)(ルミラーは登録商標)を準備した。
【0093】
次いで、以下の組成を有したレリーフ層用インキを、PETフィルムの1つの面にグラビア印刷で塗布することによって、2μmの厚さを有した塗膜を形成した。そして、塗膜に含まれる溶剤を揮発させることによって塗膜から除去した後、塗膜のなかでキャリアフィルムに接する面とは反対側の面に金属円筒板を押し当てることによって、ロール形成加工を行った。これにより、複数の凸面を形成した。このとき、プレス圧力を2Kgf/cmに設定し、プレス温度を240℃に設定し、プレススピードを10m/minに設定した。
【0094】
レリーフ層のうち、キャリアフィルムに接する面とは反対側の面に、500Åの厚さを有したアルミニウム層を金属層として形成した。アルミニウム層は、真空蒸着で形成した。次いで、アルミニウム層のなかで、レリーフ層に接する面とは反対側の面に、以下の組成を有した接着層用インキを塗布することによって、4μmの厚さを有した塗膜を形成した。その後、塗膜に含まれる溶剤を揮発させることによって塗膜から除去することで接着層を形成した。これにより、光学セキュリティパッチを含む転写箔を得た。
【0095】
[レリーフ層用インキ]
高分子メタクリル(PMMA)樹脂 2部
低粘性ニトロセルロース 12部
シクロヘキサノン 10部
【0096】
[接着層用インキ]
ポリエステル樹脂 20部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 50部
【0097】
100μmの厚さを有した記録層(LEXAN SD8B94、SABIC(株)製)を準備し、記録層の表面にホットスタンプ転写機で光学セキュリティパッチを転写した。このとき、転写温度を120℃に設定し、転写時間を1秒間に設定した。
【0098】
400μmの厚さを有した有色層(LEXAN SD8B24、SABIC(株)製)、200μmの厚さを有した裏面ラミネート層(LEXAN SD8B14、SABIC(株)製)、および、100μmの厚さを有した表面ラミネート層(LEXAN SD8B14、SABIC(株)製)を準備した。そして、有色層の表面に黒色のインキで印刷部を形成した。
【0099】
次いで、裏面ラミネート層、有色層、記録層、および、表面ラミネート層を、光学セキュリティパッチが記録層と表面ラミネート層との間に挟まれる記載の順に積み重ねた。そして、これらに熱圧を加えてラミネートし、カード状に整形することによって光学セキュリティパッチを内部に含む積層体を得た。なお、ラミネートにおける温度を200℃に設定し、圧力を80N/cmに設定し、時間を25分に設定した。
【0100】
1064nmの波長を有したレーザー光線を出力するファイバーレーザー型のレーザー照射装置で、積層体が有する記録層に対して、表面ラミネート層が位置する側からレーザー光線を照射した。これにより、記録層の内部に記録区域を形成し、実施例1の個人証明体を得た。
【0101】
実施例1の個人証明体を個人証明体の厚さ方向から観察すると、記録層のなかで、光学セキュリティパッチに重なる部分に形成された記録区域を視認することができないことが認められた。これに対して、実施例1の個人証明体を個人証明体の厚さ方向と交差する方向から観察すると、光学セキュリティパッチが射出する回折光が視認でき、これにより、回折光と記録区域とのコントラストの差によって、記録区域を視認することができることが認められた。実施例1の個人証明体から光学セキュリティパッチを取り出すと、個人証明体を観察する方向に関わらず、記録区域を視認することができることが認められた。
【0102】
[実施例2]
金属層の形成材料をアルミニウムからニッケルに変える以外は、実施例1と同様の方法によって実施例2の個人証明体を得た。実施例2の個人証明体によっても、実施例1の個人証明体と同等の効果が得られることが認められた。
【0103】
以上説明したように、情報記録体、および、個人証明体の第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)個人証明体10を観察する方向を変えたときに、個人証明体10が示す像を変えることができる。そのため、個人証明体10の意匠性が高められる。
【0104】
(2)金属層22が有する色と記録区域12aが有する色とが、観察者OBにはほぼ同じ色であると認識されやすい。そのため、個人証明体10を記録層12の厚さ方向から見たときに、観察者OBが記録区域12aを視認することがより難しくなる。
【0105】
(3)個人証明体10の観察者OBは記録区域12aには気付きにくい。そのため、個人証明体10において、第1画像PIC1は改竄されたとしても、記録区域12aは改竄されない可能性が高い。それゆえに、第1画像PIC1の情報と、記録区域12aの情報との齟齬によって、個人証明体10が改竄されたか否かを判断することが可能にもなる。
【0106】
なお、上述した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・個人証明体10は図14から図16を参照して説明する構成であってもよい。
すなわち、図14が示すように、記録層12は、内側記録区域12a1と外側記録区域12a2とを含んでいる。内側記録区域12a1および外側記録区域12a2は、いずれも記録層12に対するレーザー光線LBの照射によって形成された区域である。内側記録区域12a1は、記録層12の厚さ方向から見て、レリーフ層21の縁21e、言い換えれば光学セキュリティパッチ11の縁11eと、この縁11eの内側とに位置する。外側記録区域12a2は、光学セキュリティパッチ11の縁11eよりも外側に位置する。また、図14が示すように、外側記録区域12a2と内側記録区域12a1とは、光学セキュリティパッチ11の縁11eで連なってもよい。
【0107】
図14の内側記録区域12a1と外側記録区域12a2との各々は、記録層12の表面12Fと対向する平面視において、互いに連なる3つの円環によって構成される単一の像における一部である。なお、内側記録区域12a1および外側記録区域12a2は、光学セキュリティパッチ11の縁11eを跨って単一の像を形成していれば、上述したような幾何学的な形状を有してもよいし、文字、数字、および、絵柄のいずれかを形成してもよい。
【0108】
図15が示すように、個人証明体10を記録層12の厚さ方向から見たときには、光学セキュリティパッチ11の縁11eよりも外側に位置する外側記録区域12a2は観察者によって視認される一方で、光学セキュリティパッチ11の縁11eおよび縁11eの内側に位置する内側記録区域12a1は観察者によって視認されない。
【0109】
これに対して、図16が示すように、個人証明体10を記録層12の厚さ方向と交差する方向から見たときには、内側記録区域12a1および外側記録区域12a2によって形成される単一の像が、光学セキュリティパッチ11が射出する回折光とともに観察者によって視認される。
【0110】
上述した構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(4)個人証明体10を記録層12の厚さ方向から見たときには、外側記録区域12a2の像のみが観察者によって視認される。一方で、個人証明体10を記録層12の厚さ方向と交差する方向から見たときには、内側記録区域12a1の一部と外側記録区域12a2の一部とが連なることによって形成される像が観察者によって視認される。それゆえに、個人証明体10を視認する方向が変わることによって、個人証明体10が示す像を変えることができ、ひいては、個人証明体10の意匠性を高めることができる。
【0111】
なお、外側記録区域12a2は、記録層12に対するレーザー光線の照射によって形成された区域でなくてもよい。外側記録区域12a2は、記録層12の表面12Fに、印刷により形成された区域であってもよい。また、外側記録区域12a2は、記録層12の表面12Fに、溶融熱転写や昇華熱転写で形成された区域でもよい。
【0112】
・内側記録区域の一例である記録区域12aの情報は、上述した個人情報に限らず、個人情報以外の情報であってもよい。こうした構成では、記録区域12aの情報は、文字、数字、図形、または、絵柄の少なくとも1つから構成されていればよい。
【0113】
・記録区域12aが有する色は上述した黒色に限らず、灰色であって、黒色よりも明度が高い一方で、彩度は黒色と等しい色であってもよい。上述したように、記録層12の厚さ方向から見て、光学セキュリティパッチ11は、灰色を有した像を形成することが可能であるため、光学セキュリティパッチ11によって記録区域12aを隠蔽することは可能である。
【0114】
・金属層22は、記録区域12aの全体と重なり、かつ、記録区域12aの外側に向けて広がる領域で複数の凸面21aを覆っていれば、全ての凸面21aではなく、複数の凸面21aにおける一部を覆っていてもよい。金属層22が複数の凸面21aの一部のみを覆う形状である場合には、金属層22が複数の凸面21aの全てを覆う場合と比べて、金属層22を形成するためにより高度な加工技術が必要とされる。また、個人証明体10における意匠性がより精緻になる。そのため、個人証明体10が有する偽造を抑える効果をより高めることができる。
【0115】
なお、複数の凸面21aの一部を覆う金属層22は、以下の方法で形成できる。まず、複数の凸面21aの全てを覆う金属層を形成し、次いで、金属層上の一部に所定のパターンを有する被覆層を形成する。被覆層は、印刷、塗布、または、堆積で形成できる。そして、被覆層が有するパターンに応じて、金属層の一部を選択的に除去することによって、複数の凸面21aの一部を覆う金属層22を形成することができる。
【0116】
なお、被覆層を形成する材料は、紫外線の露光によって溶解性が高まる、あるいは、溶解性が低くなる樹脂とできる。こうした樹脂材料を金属層上に塗布し、樹脂材料に対してパターン状に紫外線を露光した後、被覆層を現像する。これにより、紫外線の露光パターンと同様のパターン状を有した被覆層、あるいは、紫外線の露光パターンを反転させたパターン状を有した被覆層を形成することができる。また、金属層の一部に溶解性の樹脂を塗布した後に、金属層の全体を覆う被覆層を形成してもよい。そして、樹脂および樹脂上形成された被覆層の一部を、樹脂を溶解するための溶剤で金属層上から除去してもよい。これにより、パターン状の被覆層を形成することができる。また、被覆層には、第1部分と第2部分とを含む被覆層としてもよい。第1部分におけるエッチング液の透過性は、第2部分におけるエッチング液の透過性と異なる。こうした被覆層によって、被覆層のエッチング液の透過性の差によって、金属層の一部を選択的にエッチングすることができる。
【0117】
・情報記録体は、上述した個人証明体10に限らず、遊技用に用いられる情報記録体、各種のチケットとして用いられる情報記録体、物品を装飾する目的で用いられる情報記録体、または、情報記録体そのものが鑑賞の対象である情報記録体などに適用することも可能である。
【0118】
[第2実施形態]
図17および図18を参照して、本発明における情報記録体および個人証明体の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて、金属層の構成が異なる。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明し、かつ、第2実施形態において第1実施形態と共通する構成には第1実施形態と同一の符号を付すことによって、その詳しい説明を省略する。また以下では、個人証明体の構成、および、個人証明体の作用を順に説明する。
【0119】
[個人証明体の構成]
図17を参照して、個人証明体の構成を説明する。図17では、個人証明体の断面構造のなかで、光学セキュリティパッチを含む部分が拡大して示されている。
【0120】
図17が示すように、個人証明体50は、第1実施形態の個人証明体10と同様、記録層12と光学セキュリティパッチ51とを備え、記録層12の表面12Fの一部に光学セキュリティパッチ51が位置している。光学セキュリティパッチ51は、レリーフ層21、金属層52、および、接着層23を備えている。
【0121】
金属層52は、変質区域52aと非変質区域52bとから構成されている。変質区域52aは、記録層12の厚さ方向から見て記録区域12aと一致する領域の縁の全体を取り囲んでいる。言い換えれば、変質区域52aは、記録層12の表面12Fと対向する平面視において、記録区域12aの全体と重なり、かつ、記録区域12aと重なる領域の縁からはみ出す大きさを有している。そのため、変質区域52aは、下層である記録層12のなかで、所定の色を有した記録区域12aを透過するとともに、記録区域12aを取り囲む部分も透過する。
【0122】
光学セキュリティパッチ51は、変質区域52aと、第1部分51aと、非変質区域52bと、第2部分51bとを含んでいる。第1部分51aは、レリーフ層21の一部であって、記録層12の厚さ方向から見て変質区域52aと一致する部分である。第2部分51bは、レリーフ層21の一部であって、記録層12の厚さ方向から見て非変質区域52bと一致する部分である。
【0123】
なお、上述したように、レーザー光線の照射によって記録層12と、金属層22とに与えられるエネルギーが所定の大きさを超えると、記録層12の厚さ方向から見て、金属層22の変質した面積が、記録層12の炭化した面積よりも大きくなる。そのため、金属層52を介して記録層12に照射するレーザー光線のエネルギーを所定の大きさ以上とすることによって、変質区域52aと記録区域12aとを形成することができる。
【0124】
[個人証明体の作用]
図18を参照して、個人証明体50の作用を説明する。なお、図18には、個人証明体50が記録層12の厚さ方向から視認されたときの光学セキュリティパッチ51の状態が示されている。
【0125】
図18が示すように、個人証明体50が記録層12の厚さ方向から視認されたときには、光学セキュリティパッチ51の全体に入射した光のうち、第2部分51bに入射した光を第2部分51bが吸収する。そのため、第2部分51bは、観察者によって黒色を有した部分として視認され、かつ、記録層12のなかで第2部分51bの下層である部分は、観察者によって視認されない。
【0126】
これに対して、光学セキュリティパッチ51の全体に入射した光のうち、第1部分51aに入射した光を第1部分51aが透過する。そのため、記録層12のなかで、第1部分51aの下層である部分が、第1部分51aを介して視認される。それゆえに、記録区域12a、および、記録層12の表面12Fと対向する平面視において記録区域12aを取り囲む部分が視認される。結果として、観察者には、記録区域12aを取り囲む部分が記録区域12aを縁取る像が、変質区域52aを介して視認される。
【0127】
以上説明したように、情報記録体および個人証明体の第2実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(5)個人証明体50を記録層12の厚さ方向から見たときには、記録区域12aの周りを取り囲む部分が記録区域12aを縁取る像が、変質区域52aを介して観察者によって視認される。これに対して、個人証明体50を記録層12の厚さ方向と交差する方向から見たときには、記録区域12aと記録区域12aの周りを取り囲む部分とによって形成される像が、回折光によって形成される像で取り囲まれた像が観察者によって視認される。
【0128】
なお、上述した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・個人証明体50は、第1実施形態において説明した第2例の個人証明体10の構成、および、第3例の個人証明体10の構成と組み合わせて実施することが可能である。すなわち、光学セキュリティパッチ51は、有色層14と記録層12との間のみに位置してもよいし、記録層12と表面ラミネート層15との間と、有色層14と記録層12との間に1つずつ位置してもよい。
【0129】
[第3実施形態]
図19を参照して、本発明における情報記録体および個人証明体の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、上述した第1実施形態と比べて、有色層の構成が異なる。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明し、かつ、第3実施形態において第1実施形態と共通する構成には第1実施形態と同一の符号を付すことによって、その詳しい説明を省略する。
【0130】
図19が示すように、個人証明体60において、裏面ラミネート層13、有色層61、記録層12、および、表面ラミネート層15が記載の順に積み重なり、かつ、光学セキュリティパッチ11が、記録層12と表面ラミネート層15との間に位置している。有色層61は、記録層12の厚さ方向から見て、光学セキュリティパッチ11と重なり、かつ、光学セキュリティパッチ11よりも外側に広がる大きさを有し、かつ、色を有している。有色層61は、記録層12の厚さ方向から見て、光学セキュリティパッチ11の全体と重なり、かつ、光学セキュリティパッチ11の周方向における全体において光学セキュリティパッチ11よりも外側に広がる空間を区画する貫通孔61aを含んでいる。
【0131】
貫通孔61aには、貫通孔61aを埋める充填部62が位置している。充填部62を形成するための材料は例えば樹脂である。充填部62は、記録層12、表面ラミネート層15、および、裏面ラミネート層13と同様、光透過性を有する。充填部62は、有色層61の色とは異なる色でもよい。なお、貫通孔61aには充填部62が位置していなくてもよい。
【0132】
貫通孔61aに充填部62が位置することによって、個人証明体60の表面60Fおよび裏面60Rの少なくとも一方のなかで、貫通孔61aと重なる領域に窪みが形成されることが抑えられる。
【0133】
以上説明した情報記録体、および、個人証明体の第3実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)記録層12の厚さ方向から見て、光学セキュリティパッチ11よりも外側の領域のなかで、有色層61が位置する領域は、有色層61の色を有する領域として視認される一方で、有色層61が位置しない領域は、有色層61の色を有しない領域として視認されるため、個人証明体60の有する意匠性がさらに高められる。
【0134】
なお、上述した第3実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・貫通孔61aは、記録層12の厚さ方向から見て光学セキュリティパッチ11の一部と重なっていてもよく、この場合には、光学セキュリティパッチ11の周方向における一部において、光学セキュリティパッチ11よりも外側に広がる空間を区画していればよい。こうした構成であっても、記録層12の厚さ方向から見て、光学セキュリティパッチ11よりも外側の領域のなかで有色層61が位置しない領域は、有色層61の色を有しない領域として視認されるため、上述した(6)に準じた効果を得ることはできる。
【0135】
・個人証明体60は、第1実施形態における第2例の個人証明体10の構成、および、第3例の個人証明体10の構成と組み合わせて実施することができる。すなわち、個人証明体60が備える光学セキュリティパッチ11は、有色層61における貫通孔61a内に位置してもよい。あるいは、個人証明体60は第1光学セキュリティパッチ11Aと第2光学セキュリティパッチ11Bとを備え、第1光学セキュリティパッチ11Aが表面ラミネート層15と記録層12との間に位置し、かつ、第2光学セキュリティパッチ11Bが有色層61における貫通孔61a内に位置してもよい。いずれの場合にも、貫通孔61aには、充填部62が位置してもよいし、位置しなくてもよい。
【0136】
・個人証明体60は、第2実施形態の個人証明体50の構成と組み合わせて実施することが可能である。すなわち、個人証明体60が備える光学セキュリティパッチ11が、第2実施形態の個人証明体50が備える光学セキュリティパッチ51であってもよい。
【0137】
[第4実施形態]
図20を参照して、情報記録体および個人証明体の第4実施形態を説明する。第4実施形態は、上述した第1実施形態と比べて、裏面側キャリアフィルムの構成が異なる。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明し、かつ、第4実施形態において第1実施形態と共通する構成には第1実施形態と同一の符号を付すことによって、その詳しい説明を省略する。また以下では、個人証明体の構成、および、個人証明体を構成する各部の形成材料を説明する。
【0138】
[個人証明体の構成]
図20を参照して、個人証明体の構成を説明する。
図20が示すように、個人証明体70は、光学セキュリティパッチ11、表面ラミネート層15、および、記録層12に加えて、第1接着層71、ラベル基材72、および、第2接着層73を備えている。個人証明体70において、第1接着層71、ラベル基材72、第2接着層73、記録層12、および、表面ラミネート層15が記載の順に積み重なり、印刷部16は、ラベル基材72と第2接着層73との間に位置している。
【0139】
このように、個人証明体70は、表面ラミネート層15と記録層12とを支持するとともに、可撓性を有したキャリアフィルムの一例であるラベル基材72と、ラベル基材72に対して表面ラミネート層15および記録層12が位置する側とは反対側に位置する第1接着層71とを備えている。こうした構成によれば、個人証明体70に可撓性を与えることができるため、個人証明体70の貼り付け先の形状における自由度が高まる。
【0140】
第2接着層73は光透過性である。ラベル基材72および第1接着層71は光透過性でなくてもよいし、光透過性であってもよい。
【0141】
[各部の形成材料]
個人証明体70の各形成材料を説明する。以下では、個人証明体70のうち、第1実施形態の個人証明体10とは異なる構成の材料について説明する。
【0142】
[第1接着層]
第1接着層71の材料は、上述した接着層23の材料を適用できる。第1接着層71の厚さは、1μm以上300μm以下とできる。また、第1接着層71の厚さは、5μm以上100μm以下とできる。
【0143】
[ラベル基材]
ラベル基材72は、プラスチックフィルムまたは紙とできる。ラベル基材72のプラスチックフィルムまたは紙は、上述した有色層14のプラスチックシートよりも剛性が低い。プラスチックフィルムは、PETフィルム、PENフィルム、PPフィルムとできる。また、ラベル基材72の紙は、合成紙、プラスチック複層紙、樹脂含浸紙、板紙、段ボール、金属蒸着紙、熱転写紙とできる。なお、プラスチックフィルムや紙の材料は、ラベル基材72に印刷部16を形成するときに、ラベル基材72にかかる熱や圧力、および、ラベル基材72が接する溶剤によって、ラベル基材72が変形しにくく、変質しにくい材料とできる。
【0144】
ラベル基材72の厚さは40μm以上200μm以下とできる。また、ラベル基材72の厚さは、50μm以上120μm以下とできる。ラベル基材72の厚さが40μm以上であることによって、ラベル基材72が取り扱いやすい程度にラベル基材72の物理的な強度が高まる。また、ラベル基材72の厚さが200μm以下であることによって、ラベル基材72、ひいては、ラベル基材72を備える個人証明体70に可撓性を与えることができる。
【0145】
[第2接着層]
第2接着層73の材料には、上述した接着層23の材料を適用できる。第2接着層73の厚さは、0.1μm以上10μm以下とできる。また、第2接着層73の厚さは、1μm以上5μm以下とできる。
【0146】
以上説明したように、情報記録体、および、個人証明体の第4実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)個人証明体70に可撓性を与えることができるため、個人証明体70の貼り付け先の形状における自由度が高まる。
【0147】
なお、上述した第4実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・個人証明体70は、第1実施形態において説明した第2例の個人証明体10の構成、および、第3例の個人証明体10の構成と組み合わせて実施することが可能である。すなわち、光学セキュリティパッチ11は記録層12と第2接着層73との間のみに位置してもよいし、記録層12と表面ラミネート層15との間と、第2接着層73と記録層12との間に1つずつ位置してもよい。
【0148】
・個人証明体70は、第2実施形態の個人証明体50の構成と組み合わせて実施することが可能である。すなわち、個人証明体70が備える光学セキュリティパッチ11が、第2実施形態の個人証明体50が備える光学セキュリティパッチ51であってもよい。
【0149】
上記実施形態1から実施形態4は、組合せることができる。
上記実施形態、および、変形例から導かれる技術的思想を付記する。
[付記1]
レーザー光線の照射によって炭化する特性と透過性とを有した領域に囲まれて前記レーザー光線の照射による炭化によって所定の情報を示す記録区域を備えた記録層と、
前記記録層の厚さ方向において、前記記録区域の全体と重なり、かつ、前記記録区域の外側に向けて広がる金属層であって、前記金属層の主成分が金属であり、前記厚さ方向において、前記記録区域の全体と重なり、かつ、前記厚さ方向において前記記録区域と重なる領域の縁の全体を取り囲むとともに透過性を有した変質区域と、前記変質区域以外の部分である非変質区域とを含む前記金属層と、を備える
情報記録体。
【0150】
上記構成によれば、情報記録体の厚さ方向から見て、記録区域を取り囲む部分が記録区域を縁取る像が、変質区域を介して観察者に視認される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20