(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20220809BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220809BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220809BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20220809BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20220809BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20220809BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20220809BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/55 101
H01M50/209
H01G2/02 101E
H01G11/82
H01G11/84
H01G11/74
(21)【出願番号】P 2019525428
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2018022300
(87)【国際公開番号】W WO2018230523
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2017118223
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】▲つる▼田 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】和田 彬
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098575(WO,A1)
【文献】特開平08-077994(JP,A)
【文献】特開2014-013661(JP,A)
【文献】特開2004-200024(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147134(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
H01G 2/02
H01G 11/74-11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向に並んで配置された複数の蓄電素子と、
前記蓄電素子の端子部に対応した開口を有する絶縁部材と、
複数の前記蓄電素子の端子部の一部である電極端子同士を電気的に接続する接続部材と、を備え、
前記絶縁部材は、
前記端子部の外周に沿う壁部であって前記開口をなす壁部と、前記開口内において、前記蓄電素子の前記端子部の側面に当接する位置決め部
とを有し、
前記蓄電素子は、電極体と、前記電極体が収容された容器とを有する扁平な電池であり、
複数の前記蓄電素子のそれぞれは、前記第一の方向に前記容器の長側面を向け、かつ前記第一の方向に直交する第二の方向に前記容器の短側面を向けて配置されており、
前記位置決め部は、
前記壁部から突出する突起であって、前記第二の方向に平行な前記端子部の側面に当接する突起である
蓄電装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記端子部の側面に当接する当接部と、前記当接部から離れるにしたがって前記端子部の側面から離れるように傾斜する傾斜部と、を有する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓄電装置の製造方法であって、
前記絶縁部材の内面が上方を向くように配置する工程と、
前記蓄電素子の前記端子部が下方を向いた姿勢で、前記絶縁部材の前記開口に前記端子部を進入させて、前記絶縁部材に設けられた位置決め部を、前記端子部の側面に当接させる工程と、を有する
蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と、蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と、蓄電素子を収容する外装体とを備えた蓄電装置が知られている。このような外装体には、収容した蓄電素子を保持する中蓋としての絶縁部材が備えられている(例えば特許文献1参照)。絶縁部材には、蓄電素子の電極端子を露出させる開口が備えられており、この開口を介して電極端子に接続部材(バスバー)が接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電素子の電極端子においては、個体差によって蓄電素子本体との相対的な位置ズレがある。このため、蓄電素子を絶縁部材に保持させたとしても、電極端子が位置ズレしてしまう。位置ズレした電極端子に接続部材または電気部品(例えば、回路基板、温度センサや電圧センサ)の一部を電気的に接続する際には、接続部材または電気部品の一部を変形させなければ安定した接続が確保できないために、作業性を低下させる一因にもなる。
【0005】
このため、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、蓄電素子の端子部と絶縁部材との位置ズレを抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、蓄電素子の端子部に対応した開口を有する絶縁部材と、を備え、絶縁部材及び蓄電素子の端子部の一方は、絶縁部材の開口内において、他方の側面に当接する位置決め部を有する。
【0007】
絶縁部材及び端子部の一方には、絶縁部材の開口内において他方の側面に当接する位置決め部が設けられているので、絶縁部材と端子部との相対的な位置ズレを位置決め部にて抑制することができる。
【0008】
蓄電装置は、第一の方向に並んで配置された複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子の端子部の一部である電極端子同士を電気的に接続する接続部材とを備え、位置決め部は、開口内において第一の方向及び当該第一の方向に直交する第二の方向の少なくとも一方に向けて突出した突起であってもよい。
【0009】
位置決め部は、開口内において第一の方向及び第二の方向の少なくとも一方に向けて突出した突起である。位置決め部が第一の方向に向けて突出した突起である場合には、当該突起は、開口内における第一の方向に交差した第二の方向に平行な他方の側面に当接することができる。これにより、第一の方向における絶縁部材と端子部との相対的な位置ズレを抑制することができる。位置決め部が第二の方向に向けて突出した突起である場合には、当該突起は、開口内における第一の方向に平行な他方の側面に当接することができる。これにより、第二の方向における絶縁部材と端子部との相対的な位置ズレを抑制することができる。このように、絶縁部材と端子部との相対的な位置ズレが抑制されていると、接続部材を電極端子に接続する際においても、接続部材を変形させなくてもよくなり、作業性を高めることが可能である。
【0010】
蓄電素子は、電極体と、電極体が収容された容器とを有する扁平な電池であり、第一の方向に並んで配置された複数の蓄電素子を備え、複数の蓄電素子のそれぞれは、第一の方向に容器の長側面を向け、かつ第一の方向に直交する第二の方向に容器の短側面を向けて配置されており、位置決め部は、第二の方向に平行な前記他方の側面に当接する突起であってもよい。
【0011】
位置決め部は、第二の方向に平行な他方の側面に当接するので、第一の方向における絶縁部材と端子部との相対的な位置ズレを抑制することができる。蓄電素子においては、倒れやすい方向である第一の方向の移動が、位置決め部によって規制されているので、組み立て中あるいは組み立て後の蓄電素子の倒れ込みを抑制することができる。
【0012】
位置決め部は、他方の側面に当接する当接部と、当接部から離れるにしたがって他方の側面から離れるように傾斜する傾斜部と、を有してもよい。
【0013】
位置決め部には、当接部から離れるにしたがって他方の面から離れるように傾斜する傾斜部が備えられているので、絶縁部材と蓄電素子とを組み付ける際に、当該傾斜部が他方の部材を案内することになる。したがって、絶縁部材と蓄電素子との組付け時の作業性を高めることができる。これにより、位置決め部による位置決めをスムーズに行うことができる。
【0014】
本発明の蓄電装置の製造方法は、蓄電素子の端子部に対応した開口を有する絶縁部材を用いた蓄電装置の製造方法であって、絶縁部材の内面が上方を向くように配置する工程と、蓄電素子の端子部が下方を向いた姿勢で、絶縁部材の開口に端子部を進入させて、絶縁部材及び端子部の一方に設けられた位置決め部を他方の側面に当接させる工程と、を有する。
【0015】
内面が上方を向いて配置された絶縁部材に対して、蓄電素子の端子部を下方に向けて絶縁部材の開口に進入させて、絶縁部材または端子部の一方に設けられた位置決め部が他方に当接するので、絶縁部材と端子部との相対的な位置ズレを抑制することができる。これにより、絶縁部材と端子部とを容易に位置合わせしながら絶縁部材の内面に蓄電素子を配置することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電素子の端子部と絶縁部材との位置ズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る保持部材をZ軸方向プラス側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る保持部材をZ軸方向マイナス側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る保持部材が接続部材を保持した状態を、Z軸方向プラス側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る接続部材用開口の周囲構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る接続部材用開口の周囲構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る保持部材と蓄電素子との位置決め時の一工程を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る保持部材と蓄電素子との位置決め時の一工程を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る接続部材用開口の周囲構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態及びその変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0019】
以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をY軸方向と定義する。蓄電装置の外装体本体と蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバー(接続部材)と基板との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(以下実施の形態では、直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
【0020】
(実施の形態)
[1 蓄電装置1の全般的な説明]
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電装置1の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0021】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置1は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリとして用いられる。
【0022】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、蓋体11及び外装体本体12からなる外装体10と、外装体10内方に収容される複数の蓄電素子20、接続部材30、保持部材40及び基板50とを備えている。
【0023】
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、複数の蓄電素子20、接続部材30、保持部材40及び基板50等の外方に配置され、これら蓄電素子20等を所定の位置で保持し、衝撃などから保護する。
【0024】
ここで、外装体10は、外装体10の蓋体を構成する蓋体11と、外装体10の本体を構成する外装体本体12とを有している。蓋体11は、外装体本体12の開口を閉塞する扁平な矩形状の部材であり、正極側の外部端子13及び負極側の外部端子14を有している。外部端子13及び14は、蓄電素子20と電気的に接続されており、蓄電装置1は、この外部端子13及び14を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外装体本体12は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電素子20等を収容する。
【0025】
なお、外部端子13及び14は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。外装体10のその他の部位は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。外装体10は、これにより、蓄電素子20等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0026】
蓄電素子20は、電気を充電し、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角形)の形状を有しており、本実施の形態では、4つの蓄電素子20がY軸方向に配列されている。なお、蓄電素子20の形状や、配列される蓄電素子20の個数は限定されない。蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0027】
具体的には、蓄電素子20は、金属製の容器21を備え、容器21の蓋部分には、一対の端子部22(正極端子部及び負極端子部)が設けられている。一対の端子部22は、容器21の蓋部分から、接続部材30に向けて(上方、つまりZ軸方向プラス側に向けて)突出して配置されている。端子部22は、接続部材30が接続される電極端子221(正極端子及び負極端子)と、電極端子221と容器21とを絶縁する絶縁部222とを備えている。端子部22の電極端子221が、接続部材30を介して外部端子13、14に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。本実施の形態では、隣り合う蓄電素子20の正極端子と負極端子とが反転するように、各蓄電素子20が配置されている。
【0028】
なお、容器21の蓋部分には、電解液を注液する注液部や、容器21内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁等が設けられていてもよい。容器21の内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0029】
容器21の本体部分は、上端部が開放された扁平な箱形状に形成されている。容器21の本体部分における最も面積が大きい側面が長側面であり、当該長側面よりも面積が小さい側面が短側面である。容器21の本体部分の長側面はY軸方向を向いており、短側面はX軸方向を向いている。
【0030】
接続部材30は、保持部材40上に配置された状態で、複数の蓄電素子20の電極端子221同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。接続部材30は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されてもよい。
【0031】
本実施の形態では、接続部材30は3つ備えられている。これら3つの接続部材30は、4つの蓄電素子20の電極端子221(正極端子及び負極端子)に接続される接続部材である。4つの蓄電素子20の電極端子221のうち、接続部材30が接続されていない電極端子221には、図示しないバスバーを介して、外部端子13、14に接続されている。これにより、外部端子13、14と4つの蓄電素子20とが、3つの接続部材とバスバーとによって直列に接続されている。
【0032】
保持部材40は、複数の蓄電素子20の上方に配置された状態で、基板50、蓄電素子20及び接続部材30や、その他配線類等(図示せず)を保持する電装品トレーである。保持部材40は、基板50、蓄電素子20及び接続部材30等と他の部材との絶縁、及び、当該基板50及び接続部材30等の位置規制を行うことができる。保持部材40は、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により形成され得る。保持部材40の詳細については後述する。
【0033】
基板50は、保持部材40上に載置されて、保持部材40に固定される制御基板である。具体的には、基板50は、制御回路(図示せず)を有しており、複数の蓄電素子20の充電状態や放電状態、電圧値、電流値、温度などの各種情報を取得したり、リレーのオン、オフを制御したり、他の機器と通信を行ったりする。
【0034】
[2 保持部材と端子部と接続部材との位置関係]
次に、保持部材40と、端子部22と、接続部材30との位置関係を踏まえつつ、各部材の具体的構成について説明する。まず、保持部材40の具体的構成について説明する。
【0035】
図3は、実施の形態に係る保持部材40をZ軸方向プラス側から見た斜視図である。
図4は、実施の形態に係る保持部材40をZ軸方向マイナス側から見た斜視図である。
【0036】
図3及び
図4に示すように、保持部材40には、各蓄電素子20の端子部22のそれぞれに対応する位置に、当該端子部22を露出させる開口41が形成されている。つまり、保持部材40は、蓄電素子20の端子部22に対応した開口41を有する絶縁部材である。具体的には、保持部材40には、平面視略矩形状の開口41が2行4列で合計8つ、配列されている。ここで、行方向はX軸方向であり、列方向はY軸方向である。同列に並ぶ2つの開口41には、一つの蓄電素子20の一対の端子部22が配置されている。
図4に示すように、開口41の各行の間には、蓄電素子20のガス排出弁から排出された排気ガスを、蓄電装置1外まで流すガス流路49が形成されている。
【0037】
なお、保持部材40の内側の天面においては、開口41及びガス流路49を避けた領域が概ね平面に形成されている。この平面領域は、蓄電素子20を保持部材40に接着するための接着剤が塗布される接着領域48である。保持部材40の内側の天面には、列方向に延設する一対の当壁47が接着領域48の平面からZ軸方向に突出している。言い換えれば、保持部材40の内側の天面においては、接着領域48が当壁47から一段凹んでいる。一対の当壁47は、開口41の各行と、ガス流路49との間に配置されている。
【0038】
図5は、実施の形態に係る保持部材40が接続部材30を保持した状態を、Z軸方向プラス側から見た斜視図である。
図5に示すように、8つの開口41には、接続部材30が配置される接続部材用開口41aと、バスバー(図示省略)が配置されるバスバー用開口41bがある。接続部材用開口41aは、Y軸方向で隣り合う2つが一組となっており、一組の接続部材用開口41aに対して一つの接続部材30が配置される。X軸方向マイナス側の行においては、4つの開口41の全てが接続部材用開口41aである。X軸方向マイナス側の行では、二組分の接続部材用開口41aが設けられている。一方、X軸方向プラス側の行においては、両端の開口41がバスバー用開口41bであり、残りの開口41が接続部材用開口41aである。X軸方向プラス側の行では、一組分の接続部材用開口41aが設けられている。接続部材用開口41aは一組毎に囲壁43aによって囲まれている。バスバー用開口41bは一つ毎に囲壁43bによって囲まれている。囲壁43a内には、X軸方向に長尺な梁部44が架け渡されている。この囲壁43aと梁部44とによって囲まれた2つの空間が、一組の接続部材用開口41aとなる。
【0039】
このように、接続部材用開口41aをなす囲壁43a及び梁部44と、バスバー用開口41bをなす囲壁43bとには、端子部22に直接当接して当該端子部22の位置決めをする複数の位置決め部46が設けられている。
【0040】
この位置決め部46について詳細に説明する。ここでは、一組の接続部材用開口41a内における位置決め部46について説明し、バスバー用開口41b内における位置決め部46についての説明は省略する。
【0041】
図6及び
図7は、実施の形態に係る接続部材用開口41aの周囲構造を示す断面図である。具体的には、
図6は、
図5におけるVI-VI線を含むYZ平面に平行な切断面を見た断面図である。
図7は、
図5におけるVII-VII線を含むZX平面に平行な切断面を見た断面図である。
図6及び
図7では、蓄電素子20を断面図で示しておらず、蓄電素子20の外形を図示している。
【0042】
図5~
図7に示すように、囲壁43aにおいて、X軸方向に延設する内壁面を第一壁面431とし、Y軸方向に延設する内壁面を第二壁面432とする。梁部44において、X軸方向に延設する内壁面を第三壁面433とする。
【0043】
一つの接続部材用開口41aは、第一壁面431に2つの位置決め部46がX軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。第一壁面431の位置決め部46は、接続部材用開口41aの内方に向かうように、Y軸方向(第一方向)に向けて突出した突起である。一つの接続部材用開口41aには、対向する一対の第二壁面432に、それぞれ一つの位置決め部46が設けられている。第二壁面432の位置決め部46は、接続部材用開口41aの内方に向かうように、X軸方向(第二方向)に向けて突出した突起である。一つの接続部材用開口41aには、第三壁面433に2つの位置決め部46がX軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。第三壁面433の位置決め部46は、梁部44から上方に向けて延在した状態で、接続部材用開口41aの内方に向かうように、Y軸方向に向けて突出した突起である。
【0044】
位置決め部46は、端子部22の側面に直接当接する当接部461と、当接部461に連続した傾斜部462とを備えている。傾斜部462は、当接部461から離れるにしたがって、端子部22の側面から離れるように傾斜している。つまり、傾斜部462は、接続部材用開口41aに端子部22を進入させる方向(Z軸方向プラス側)に進むにつれて、接続部材用開口41aの内側に向かうように傾斜している。傾斜部462がこのように傾斜しているので、接続部材用開口41aに端子部22を進入させる際に、当該端子部22を傾斜部462によって案内することが可能である。
【0045】
次に、接続部材30の具体的構成について説明する。
【0046】
図6及び
図7に示すように、接続部材30は、電極端子221と対向する一対の対向部31と、一対の対向部31よりも蓄電素子20側へ屈曲する屈曲部32とを一体的に備えている。対向部31には、円形状の貫通孔311が形成されており、この貫通孔311を介して対向部31と電極端子221とが溶接される。屈曲部32は、一対の対向部31の間に配置されており、略cos波形状に形成されている。これにより、屈曲部32は、隣り合う一対の蓄電素子20の端子部22間に配置されることになる。接続部材30に屈曲部32が設けられていることで、接続部材30が熱膨張したとしても、その熱膨張時の応力を屈曲部32で吸収することができる。
【0047】
次に、端子部22の具体的構成について説明する。
【0048】
図6及び
図7に示すように、蓄電素子20の端子部22は、容器21の蓋部分の表面に配置されている。この容器21の蓋部分の表面が、端子部22が配置された端子配置面223である。端子配置面223の上方に、保持部材40の囲壁43a、43b及び梁部44が配置されている。梁部44の上方には、接続部材30の屈曲部32が配置されている。このように、接続部材30の屈曲部32と梁部44とが、蓄電素子20の端子配置面223上に重ねて配置されているので、これらを2つの蓄電素子20の容器21間に配置しなくてもよい。したがって、2つの蓄電素子20の間隔を狭めることができる。
【0049】
前述したように端子部22は、絶縁部222と、絶縁部222から上方に向けて突出した電極端子221とを備えている。電極端子221は、平面視略矩形状の角型端子である(
図2等参照)。正極側及び負極側の電極端子221は、全体としてアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で形成されている。負極側の電極端子221には、その上面から円状部29が突出している。円状部29は、銅または銅合金などから形成されている。
【0050】
絶縁部222は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により、平面視略矩形状に形成されている。この絶縁部222の外側面に対して、位置決め部46の当接部461が当接している。具体的には、
図6に示すようにYZ平面を見ると、接続部材用開口41a内においては、第一壁面431の位置決め部46の当接部461が、Y軸方向から絶縁部222に直接、当接している。接続部材用開口41a内においては、第三壁面433の位置決め部46の当接部461が、Y軸方向から絶縁部222へ直接に当接している。このように、絶縁部222は、第一壁面431の位置決め部46と、第三壁面433の位置決め部46とによって挟まれた状態となっている。
【0051】
一方、
図7に示すようにZX平面を見ると、接続部材用開口41a内においては、一方の第二壁面432の位置決め部46の当接部461が、X軸方向から絶縁部222に直接当接している。接続部材用開口41a内においては、他方の第二壁面432の位置決め部46の当接部461が、X軸方向から絶縁部222に直接当接している。このように、絶縁部222は、一対の第二壁面432のそれぞれの位置決め部46によって挟まれた状態となっている。これにより、絶縁部222は、複数の位置決め部46によって、X軸方向及びY軸方向で位置決めされている。
【0052】
[3 位置決め手順]
次に、保持部材40と、蓄電素子20との位置決めについて説明する。
【0053】
図8及び
図9は、実施の形態に係る保持部材40と蓄電素子20との位置決め時の一工程を示す斜視図である。
【0054】
図8に示すように、まず作業者は、保持部材40の内側の天面が上方を向くように、保持部材40を裏返して配置する。次いで、作業者は、保持部材40の接着領域48に接着剤Bを塗布する。
図8では、接着剤Bを網掛けで表している。
図8に示すように、接着剤Bは、保持部材40の内側の天面において、当壁47と、ガス流路49を避けた箇所に塗られている。つまり、ガス流路49と当壁47との間にも接着剤Bが塗られている。
【0055】
その後、作業者は、蓄電素子20を保持部材40に組み付ける。具体的には、作業者は、一対の端子部22が下方を向くように蓄電素子20の姿勢を調整してから、当該一対の端子部22を、行方向で並ぶ一対の開口41内に進入させる。進入時においては、端子部22は、位置決め部46の傾斜部462によって所定の位置に案内される。その後、蓄電素子20の容器21の蓋部分が、一対の当壁47に当接することで、それ以上の進入が規制される。なお、先に記述したとおり、保持部材40の内側の天面においては、接着領域48が当壁47からZ軸方向に向けて一段凹んでいる。その凹みに接着剤Bが配置され、蓄電素子20の容器21の蓋部分と、保持部材40の内側の天面との間において、適切な厚みで接着剤を保持することができる。
【0056】
このとき、複数の位置決め部46の当接部461が、端子部22に対してX軸方向及びY軸方向で直接に当接しているので、蓄電素子20が所定の位置で位置決めされることになる。特に、本実施の形態の蓄電素子20においてはY軸方向に倒れやすいが、位置決め部46によってY軸方向の移動が規制されているので、組み立て中あるいは、組み立て後であっても接着剤Bが硬化する前に蓄電素子20が倒れることを抑制できる。
【0057】
そして、残りの蓄電素子20を保持部材40に取り付けることで、
図9に示すように、保持部材40に対して4つの蓄電素子20が位置決めされた状態で接着されることになる。接着剤Bが硬化すると、作業者は、一体化された保持部材40と4つの蓄電素子20とを正規の姿勢(保持部材40が上方を向く姿勢)に配置しなおす。この状態で、作業者は、保持部材40の開口41から露出した各蓄電素子20の電極端子221に対して、接続部材30を溶接する。このとき、接続部材30と電極端子221とは、接続部材30の貫通孔311を介して溶接される。蓄電素子20における負極側の電極端子221では、円状部29が接続部材30の貫通孔311内に配置されている。このため、負極側においては、円状部29を避けた部分で、接続部材30と電極端子221とを溶接する。
【0058】
このように、溶接時においては、各蓄電素子20の電極端子221が位置決め部46によって所定の位置に配置されているので、接続部材30を変形させなくても、接続部材30と電極端子221とを容易に位置合わせすることができ、作業性もよい。
【0059】
本実施の形態では、裏返した状態の保持部材40に対して、蓄電素子20を組み付ける場合を例示して説明した。代替的に、裏返されていない保持部材40に対して、蓄電素子20を組み付けてもよい。つまり、正規の姿勢にある保持部材40の下方から、蓄電素子20を差し込むように組み付けてもよい。
【0060】
[4 効果の説明]
以上のように、本実施の形態によれば、蓄電装置1は、蓄電素子20と、蓄電素子20の端子部22に対応した開口41を有する保持部材40(絶縁部材)と、を備えている。保持部材40及び蓄電素子20の端子部22の一方は、保持部材40の開口41内において、他方の側面に当接する位置決め部46を有している。
【0061】
保持部材40及び端子部22の一方には、保持部材40の開口41内において他方の側面に当接する位置決め部46が設けられているので、保持部材40と端子部22との相対的な位置ズレを位置決め部46にて抑制することができる。
【0062】
蓄電装置1は、第一の方向(Y軸方向)に並んで配置された複数の蓄電素子20と、複数の蓄電素子20の端子部22の一部である電極端子221同士を電気的に接続する接続部材30をさらに備えている。位置決め部46は、開口41内において第一の方向及び当該第一の方向に直交する第二の方向(X軸方向)の少なくとも一方に向けて突出した突起である。
【0063】
位置決め部46は、開口41内において第一の方向及び第二の方向の少なくとも一方に向けて突出した突起である。位置決め部46が第一の方向に向けて突出した突起である場合には、当該突起は、開口41内における第一の方向に交差した第二の方向に平行な他方の側面に当接することができる。これにより、第一の方向における保持部材40と端子部22との相対的な位置ズレを抑制することができる。位置決め部46が第二の方向に向けて突出した突起である場合には、当該突起は、開口41内における第一の方向に平行な他方の側面に当接することができる。これにより、第二の方向における保持部材40と端子部22との相対的な位置ズレを抑制することができる。このように、保持部材40と端子部22との相対的な位置ズレが抑制されていると、保持部材40を介して接続部材30を電極端子221に接続する際においても、接続部材30を変形させなくてもよくなり、作業性を高めることができる。
【0064】
特に、蓄電装置1が二輪車用のバッテリである場合には、自動車用のバッテリよりも全体として小型となっている。このため、自動車用のバッテリと比べると、電極端子221における接続部材30との溶接箇所も面積が小さく、それだけ溶接の強度も低くなる。このように溶接の強度が低くなったとしても、接続部材30の変形が抑制されているので、安定した溶接を維持することが可能である。
【0065】
蓄電素子20は、電極体と、電極体が収容された容器21とを有する扁平な電池である。蓄電装置1は、第一の方向に並んで配置された複数の蓄電素子20を備えている。複数の蓄電素子20のそれぞれは、第一の方向に容器21の長側面を向け、かつ第一の方向に直交する第二の方向に容器21の短側面を向けて配置されている。位置決め部46は、第二の方向に平行な他方の側面に当接する突起である。
【0066】
位置決め部46は、第二の方向に平行な他方の側面に当接するので、第一の方向における保持部材40と端子部22との相対的な位置ズレを抑制することができる。蓄電素子20においては、倒れやすい方向である第一の方向の移動が、位置決め部46によって規制されているので、組み立て中あるいは組み立て後の蓄電素子20の倒れ込みを抑制することができる。位置決め部46による位置決めは組み立て後においても継続されているので、万が一接着剤Bによる接着が不十分であったとしても、振動等を起因とした蓄電素子20の傾きを抑制することも可能である。
【0067】
位置決め部46は、他方の側面に当接する当接部461と、当接部461から離れるにしたがって他方の側面から離れるように傾斜する傾斜部462と、を有している。
【0068】
位置決め部46には、当接部461から離れるにしたがって他方の面から離れるように傾斜する傾斜部462が備えられているので、保持部材40と蓄電素子20とを組み付ける際に、当該傾斜部462が他方の部材(本実施の形態では端子部22)を案内することになる。したがって、保持部材40と蓄電素子20との組付け時の作業性を高めることができる。これにより、位置決め部46による位置決めをスムーズに行うことができる。
【0069】
本発明の蓄電装置1の製造方法は、蓄電素子20の端子部22に対応した開口41を有する保持部材40(絶縁部材)を用いた蓄電装置1の製造方法であって、保持部材40の内面が上方を向くように配置する工程と、蓄電素子20の端子部22が下方を向いた姿勢で、保持部材40の開口41に端子部22を進入させて、保持部材40及び端子部22の一方に設けられた位置決め部46を他方の側面に当接させる工程と、を有する。
【0070】
内面が上方を向いて配置された保持部材40に対して、蓄電素子20の端子部22を下方に向けて保持部材40の開口41に進入させて、保持部材40または端子部22の一方に設けられた位置決め部46が他方に当接するので、保持部材40と端子部22との相対的な位置ズレを抑制することができる。これにより、保持部材40と端子部22とを容易に位置合わせしながら保持部材40の内面に蓄電素子20を配置することができる。
【0071】
(変形例)
上記実施の形態では、位置決め部46が保持部材40に設けられている場合を例示したが、変形例では、位置決め部が蓄電素子の端子部に設けられている場合について説明する。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0072】
図10は、変形例に係る接続部材用開口41aの周囲構造を示す断面図である。
図10は、
図6に対応する図である。
図10に示すように、保持部材40Aの接続部材用開口41aには、位置決め部が設けられていない。一方、蓄電素子20の端子部22aには、保持部材40Aに当接する位置決め部26が設けられている。具体的には、位置決め部26は、端子部22aの絶縁部222aの外周面に対して設けられた突起であり、保持部材40Aに向けてY軸方向に突出している。位置決め部26は、保持部材40Aの接続部材用開口41aをなす壁面に当接する当接部261と、当接部261に連続した傾斜部262とを備えている。傾斜部262は、当接部261から離れるにしたがって、接続部材用開口41aをなす壁面から離れるように傾斜している。つまり、傾斜部262は、接続部材用開口41aに端子部22aを進入させる方向(Z軸方向プラス側)に進むにつれて、接続部材用開口41aの内側に向かうように傾斜している。傾斜部262がこのように傾斜しているので、接続部材用開口41aに端子部22aを進入させる際に、当該端子部22aを傾斜部262によって案内することが可能である。
【0073】
なお、保持部材と端子部とのそれぞれに位置決め部を設けることも可能である。
【0074】
[その他]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及び変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0075】
上記実施の形態では、接続部材30が2つの蓄電素子20の電極端子221を接続する場合を例示したが、一つの接続部材で3つ以上の蓄電素子の電極端子を接続してもよい。
【0076】
上記実施の形態では、位置決め部46が突起である場合を例示した。代替的に、位置決め対象に対して当接して位置決めするのであれば、位置決め部の形状は如何様でもよい。開口41をなす壁面の全周を連続的あるいは断続的なテーパとした傾斜部分を位置決め部としてもよい。
【0077】
上記実施の形態では、接続部材30と電極端子221とを溶接により接合する場合を例示した。代替的に、接続部材30と電極端子221とは、その他の接合方法によって接合してもよい。その他の接合方法としては、ネジ止めなどの締結等が挙げられる。
【0078】
上記実施の形態では、電極端子221が平面視略矩形状である場合を例示した。代替的に、電極端子の形状は如何様でもよい。電極端子のその他の形状としては円柱状などが挙げられる。
【0079】
蓄電素子20の容器21に収容される電極体は、帯状の正極板と負極板の間に絶縁性のセパレータが配置されているため、正極板と負極板は電気的に絶縁されている。電極体は、負極板上にセパレータが配置され、このセパレータ上に正極板が配置され、この正極板上にさらにセパレータが配置された状態で巻回されて筒状に形成された巻回型であってもよい。巻回型としては、巻回軸を容器21の長手方向(X方向)に沿う姿勢で容器21に収容する所謂「縦巻き式」や、巻回軸を容器21の高さ方向(Z方向)に沿う姿勢で容器21内に収容する所謂「横巻き式」であってもよい。電極体は、巻回型に限られず、略四角形のシート形状に形成された複数の正極板、負極板、及びセパレータを容器21の短手方向(Y方向)に積層した積層型であってもよい。電極体を収容する外装体は、上記実施の形態に示した、アルミニウムやステンレスを用いた金属製の角形容器に限られず、フィルム状の材質で電極体を包装したパウチ型であってもよい。
【0080】
蓄電素子20の端子部22は、容器21の蓋部分に対して平行な姿勢で蓋部分の上に配置された平板状の端子形状としたが、蓄電素子の容器の端部において容器の内方から外方へ突出するタブ状の端子形状であってもよい。タブ状の端子は、特に上述したパウチ型の容器において採用することができる。タブ状の端子は、上記実施の形態で記載した接続部材30を用いることなく、隣り合う蓄電素子20のタブ状の端子同士を直接に溶接などの方法により固定することで、隣り合う蓄電素子を電気的に接続することができる。上述のように、電気的に接続された隣り合う端子部を上記絶縁部材の開口に配置する場合も本発明の範疇である。接続されたタブ状の端子部を有する蓄電素子であっても、絶縁部材との位置ズレを抑制する必要があり、本発明の位置決め部を採用することができる。具体的に、タブ状の端子の幅広面に垂直な方向から幅広面に直接、当接するように位置決め部を配置することもできるし、タブ状の端子の幅広面に平行な方向から端子部の端部(縁部)に直接、当接するように位置決め部を配置することもできる。端子部と絶縁部材との位置ズレを抑制することができるので、端子部に回路基板、温度センサや電圧センサを電気的に接続する場合に本発明の位置決め部は作業性を向上させることができる。
【0081】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1 蓄電装置
10 外装体
11 蓋体
12 外装体本体
13、14 外部端子
20 蓄電素子
21 容器
22、22a 端子部
26、46 位置決め部
29 円状部
30 接続部材
31 対向部
32 屈曲部
40、40A 保持部材(絶縁部材)
41 開口
41a 接続部材用開口
41b バスバー用開口
43a、43b 囲壁
44 梁部
47 当壁
48 接着領域
49 ガス流路
50 基板
221 電極端子
222、222a 絶縁部
223 端子配置面
261、461 当接部
262、462 傾斜部
311 貫通孔
431 第一壁面
432 第二壁面
433 第三壁面
B 接着剤