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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20220809BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220809BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220809BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220809BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20220809BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H05K9/00 R
H01L23/28 F
H01L23/30 R
H05K3/28 B
H05K3/28 G
H05K1/02 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020205772
(22)【出願日】2020-12-11
(62)【分割の表示】P 2017517943の分割
【原出願日】2016-05-10
(65)【公開番号】P2021061412
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2015096508
(32)【優先日】2015-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015243853
(32)【優先日】2015-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】大坪 喜人
(72)【発明者】
【氏名】山元 一生
【審査官】梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-130915(JP,A)
【文献】国際公開第2008/093414(WO,A1)
【文献】特開2010-056180(JP,A)
【文献】特開平04-058596(JP,A)
【文献】特開2004-260103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 3/28
H05K 1/02
H01L 23/00-23/10
H01L 23/28-23/31
H01L 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に電極が設けられた配線基板と、
前記配線基板の前記主面に実装された複数の部品と、
前記配線基板の前記主面に積層され、前記複数の部品を封止する封止樹脂層と、
前記封止樹脂層内において、前記複数の部品のうち所定の部品と他の部品との間に配置されたシールド壁とを備え、
前記シールド壁は、前記封止樹脂層に設けられた溝内に前記電極と接する導電材が充填されたものであり、さらに、前記配線基板の前記主面に立設され、前記電極と接する複数の金属ピンを有しており、
前記金属ピンの比抵抗は、前記導電材の比抵抗よりも低く、
前記シールド壁を断面視したときに、隣接する前記金属ピンの隙間には前記導電材が配置され、
前記複数の金属ピンそれぞれの上端は、前記封止樹脂層の前記配線基板の前記主面と反対側の面から露出している
ことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
前記シールド壁は、前記配線基板を平面視して、線状の形状に形成されるとともに、当該線は屈曲部を有し、
一部の前記金属ピンが、前記屈曲部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
記電極が、前記配線基板に形成されたグランド電極に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記シールド壁は、前記封止樹脂層に形成された溝を埋める金属膜を有し、前記金属膜の側面は前記複数の金属ピンの側面と接することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記金属膜における金属の純度は、前記金属ピンにおける金属の純度よりも低いことを特徴とする請求項4に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記シールド壁は、前記配線基板を平面視して、第1の幅を有する第1の線状部分と、前記第1の幅とは異なる第2の幅を有する第2の線状部分とを有し、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分との接点は前記屈曲部であることを特徴とする請求項2に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記金属膜と前記配線基板との間には、前記封止樹脂層が配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記シールド壁は、前記配線基板を平面視したときに線状をなすように形成され、
前記複数の金属ピンは、前記配線基板を平面視したときに、前記シールド壁がなす線に沿って配列されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記複数の金属ピンは、複数の第1金属ピンと、複数の第2金属ピンとを有し、
前記配線基板を平面視したときに、前記複数の第1金属ピンそれぞれの中心点を結ぶ連結線は前記シールド壁がなす前記線と略平行な線となり、
前記配線基板を平面視したときに、前記複数の第2金属ピンそれぞれの中心は、前記連結線からずれるとともに、前記複数の第2金属ピンそれぞれは、一の前記第1金属ピンとこれに隣接する前記第1金属ピンの間に位置していることを特徴とする請求項8に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
前記第2金属ピンの前記配線基板の前記主面と平行な方向の断面積は、前記第1金属ピンの前記配線基板の前記主面と平行な方向の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
前記シールド壁の前記配線基板を平面視したときに形成される線は、屈曲部または湾曲部を有することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に実装された部品を被覆する封止樹脂層と、封止樹脂層に積層されたシールド層とを備えるモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置などに搭載される高周波モジュールには、電磁波を遮蔽するためのシールド層が設けられる場合がある。この種のモジュールの中には、配線基板上に実装された部品がモールド樹脂で被覆され、該モールド樹脂の表面を被覆するようにシールド層が設けられるものがある。
【0003】
シールド層は、外部からのノイズを遮蔽するために設けられているが、配線基板に複数の部品が実装される場合は、これらの部品から発生するノイズが、他の部品に干渉するという問題がある。そこで、従来では、外部のみならず、実装部品間のノイズを相互に遮蔽するシールド層が設けられたモジュールが提案されている。例えば、図26に示すように、特許文献1に記載の高周波モジュール100は、配線基板101上に2つの部品102が実装され、両部品102がモールド樹脂層103により封止される。モールド樹脂層103の両部品間には、当該モールド樹脂層103を貫通するスリットSが形成される。シールド層104は、モールド樹脂層103の表面を被覆するとともにスリットSに充填される導電性樹脂により形成される。また、スリットSに充填された導電性樹脂は、配線基板101に形成されたグランド電極105に電気的に接続される。
【0004】
この場合、モールド樹脂層103の表面を被覆する導電性樹脂により、部品102に対する外部からのノイズを遮蔽できる。また、スリットSに充填された導電性樹脂により両部品間のノイズの相互干渉を防止することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-225620号公報(段落0025~0026、図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、高周波モジュールの高性能化に伴って、シールド層の特性のさらなる向上が要求されている。シールド特性の向上には、シールド層の低抵抗化や、シールド層とグランド電極との接続抵抗の低減が必要となる。しかしながら、上記したシールド層104を形成する導電性樹脂は、エポキシ樹脂に金属フィラなどを添加するなどして形成されるため、比抵抗が金属フィラ単体よりも高い。そこで、例えば、スパッタなどの成膜技術によりスリットS内を金属で充填することが考えられるが、スリットSが深くなると、底部にまで金属を成膜するのが困難となり、シールド層の低抵抗化が難しいという課題がある。
【0007】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、部品間のノイズの相互干渉を防止するシールド壁や、封止樹脂層の側面や表面を被覆するシールド層の低抵抗化を図ることにより、当該シールド壁、シールド層の特性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の高周波モジュールは、主面に電極が設けられた配線基板と、前記配線基板の前記主面に実装された複数の部品と、前記配線基板の前記主面に積層され、前記複数の部品を封止する封止樹脂層と、前記封止樹脂層内において、前記複数の部品のうち所定の部品と他の部品との間に配置されたシールド壁とを備え、前記シールド壁は、前記封止樹脂層に設けられた溝内に前記電極と接する導電材が充填されたものであり、さらに、前記配線基板の前記主面に立設され、前記電極と接する複数の金属ピンを有しており、前記金属ピンの比抵抗は、前記導電材の比抵抗よりも低く、前記シールド壁を断面視したときに、隣接する前記金属ピンの隙間には前記導電材が配置され、前記複数の金属ピンそれぞれの上端は、前記封止樹脂層の前記配線基板の前記主面と反対側の面から露出していることを特徴としている。
【0009】
この場合、部品間に配置されたシールド壁が、導電ペーストよりも比抵抗が低い金属ピンを有するため、シールド壁の低抵抗化を図ることができ、これにより、シールド壁によるシールド特性を向上することができる。また、部品間のシールド壁を成膜技術を用いて形成する場合のように、封止樹脂層に設けられた溝が深くなったときに、溝の底部までシールド膜が形成されないという問題も生じない。
【0010】
また、前記シールド壁は、前記配線基板を平面視して、線状の形状に形成されるとともに、当該線は屈曲部を有し、一部の前記金属ピンが、前記屈曲部に配置されていてもよい。なお、本発明において、平面視した場合に、「屈曲部」とは、シールド壁が90度に折れ曲がっている部分でなくてもよく、シールド壁が、「屈曲部」において鋭角を形成していてもよいし、鈍角を形成していてもよい。
【0011】
実装部品間のシールド壁は、レーザ加工で封止樹脂層に溝を形成し、当該溝に導電性ペーストを充填したりめっき処理などで金属を充填して形成される場合がある。シールド壁の平面視形状に屈曲部を有する場合、当該屈曲部へのレーザ照射時間がそれ以外の部分と比較して長くなるため、当該屈曲部に作用するレーザ光のトータルのエネルギーは、他の箇所と比較して多くなる。この場合、配線基板の配線電極が断線したり変形したりしてダメージを受ける。したがって、シールド壁の一部である金属ピンをレーザ溝の形成前に屈曲部に配置すると、レーザ光のエネルギーの配線基板に対する影響を低減できる。
【0012】
また、前記電極が、前記配線基板に形成されたグランド電極に接続されていてもよい。この場合、金属ピンの一端と電極とを例えば半田などで接続することができる。半田接続の場合、従来のように、封止樹脂層に形成した溝に導電性ペーストを充填してシールド壁を形成する構成と比較して、シールド壁とグランド電極との接続抵抗を低減できるため、シールド壁のシールド特性の向上を図ることができる。
【0013】
また、前記シールド壁は、前記封止樹脂層に形成された溝を埋める金属膜を有し、前記金属膜の側面は前記複数の金属ピンの側面と接していてもよい。この場合、金属ピンのみでシールド壁が構成される場合と比較してシールド壁のシールド特性の向上を図ることができる。
【0014】
また、前記金属膜における金属の純度は、前記金属ピンにおける金属の純度よりも低くてもよい。この場合、シールド壁の金属ピン以外の部分の金属の純度が金属ピンにおける金属の純度よりも低い構成を提供できる。
【0015】
また、前記シールド壁は、前記配線基板を平面視して、第1の幅を有する第1の線状部分と、前記第1の幅とは異なる第2の幅を有する第2の線状部分とを有し、前記第1の線状部分と前記第2の線状部分との接点は前記屈曲部であってもよい。この場合にも、屈曲部に作用するレーザ光のエネルギーは、他の箇所と比較して強くなる。ピンを屈曲部に配置することにより、レーザ光のエネルギーが屈曲部に集中するのを回避できる。
【0016】
また、前記金属膜と前記配線基板との間には、前記封止樹脂層が配置されていてもよい。この場合、ランド電極を、金属ピンを立てる部分のみに設ければよいため、シールド壁を設ける部分全体にランド電極を形成する場合と比較して、部品実装エリアを広く確保することができる。
【0017】
また、前記シールド壁は、前記配線基板を平面視したときに線状をなすように形成され、前記複数の金属ピンは、前記配線基板を平面視したときに、前記シールド壁がなす線に沿って配列されていてもよい。この構成によると、シールド壁が、比抵抗の低い金属ピンを複数有するため、シールド特性のさらなる向上を図ることができる。また、従来のシールド壁のように、封止樹脂層にレーザで溝を形成する場合は、溝形状に制約があるが、例えば、シールド壁を複数の金属ピンのみで形成した場合は、シールド壁用の溝を形成する必要がないため、このような制約がなく任意な形状のシールド壁を得ることができる。また、溝形成の際、レーザが配線基板にダメージを与えることがないため、配線基板の薄型化に対応できる。
【0018】
また、前記複数の金属ピンは、複数の第1金属ピンと、複数の第2金属ピンとを有し、前記配線基板を平面視したときに、前記複数の第1金属ピンそれぞれの中心点を結ぶ連結線は前記シールド壁がなす前記線と略平行な線となり、前記配線基板を平面視したときに、前記複数の第2金属ピンそれぞれの中心は、前記連結線からずれるとともに、前記複数の第2金属ピンそれぞれは、一の前記第1金属ピンとこれに隣接する前記第1金属ピンの間に位置していてもよい。
【0019】
例えば、シールド壁を金属ピンのみで形成する場合、部品間のシールド特性の向上を図るには、隣接する金属ピン間に隙間がないようにする必要がある。しかしながら、複数の金属ピンを隙間がないように1列に並べるのは困難である。この構成によると、例えば、各第1金属ピンを配置したあとに、各第2金属ピンを配置するようにすれば、隣接する金属ピン間に隙間が少ないシールド壁を容易に形成することができる。
【0020】
また、前記第2金属ピンの前記配線基板の前記主面と平行な方向の断面積は、前記第1金属ピンの前記配線基板の前記主面と平行な方向の断面積よりも小さくてもよい。この構成によると、隣接する金属ピン間の隙間を減らしてシールド特性を向上させつつ、シールド壁の小型化を図ることができる。
【0021】
また、前記シールド壁の前記配線基板を平面視したときに形成される線は、屈曲部または湾曲部を有していてもよい。この場合、部品の配置自由度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、部品間に配置されたシールド壁や、封止樹脂層の側面を覆うシールド層の一部が、導電ペーストよりも比抵抗が低い金属ピンで構成されるため、シールドの低抵抗化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図2図1のA-A矢視断面図である。
図3図1のシールド壁の変形例を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図5図4のB-B矢視断面図である。
図6図4のシールド壁の変形例を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図8】本発明の第4実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図9】本発明の第5実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図10】本発明の第6実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図11図10のC-C矢視断面図である。
図12】本発明の第7実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図13図12の金属ピンの配列を説明するための図である。
図14図12のシールド用電極の変形例を示す図である。
図15図12の金属ピンの変形例を示す図である。
図16図15の金属ピンを実装するためのランド電極を示す図である。
図17】本発明の第8実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図18】本発明の第9実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図19】本発明の第10実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図20図19のD-D矢視断面図である。
図21図19のシールド膜の変形例を示す図である。
図22図21のE-E矢視断面図である。
図23】本発明の第11実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図24】本発明の第12実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図25】本発明の第13実施形態にかかる高周波モジュールの平面図である。
図26】従来の高周波モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態にかかる高周波モジュール1aについて、図1および図2を参照して説明する。なお、図1は高周波モジュールの平面図、図2図1のA-A矢視断面図である。また、図1では、シールド膜6の天面部分および封止樹脂層4を図示省略している。
【0025】
この実施形態にかかる高周波モジュール1aは、図1および図2に示すように、配線基板2と、該配線基板2の上面2aに実装された複数の部品3a,3bと、配線基板2の上面2aに積層された封止樹脂層4と、封止樹脂層4の表面を被覆するシールド膜6と、封止樹脂層4内に設けられたシールド壁5とを備え、例えば、高周波信号が用いられる電子機器のマザー基板等に搭載される。
【0026】
配線基板2は、例えば、低温同時焼成セラミックやガラスエポキシ樹脂などで形成され、上面2a(本発明の「配線基板の主面」に相当)には、各部品3a,3bの実装用の実装電極(図示省略)や後述する金属ピン5aを実装するためのランド電極7が形成される。また、この実施形態では、配線基板2は多層構造を有し、内部には、各種配線電極8や複数のビア導体9が形成される。
【0027】
各ランド電極7、実装電極および配線電極8は、それぞれCuやAl等の配線電極として一般的に採用される金属で形成されている。また、各ビア導体9は、AgやCu等の金属で形成されている。なお、各ランド電極7や実装電極には、Ni/Auめっきがそれぞれ施されていてもよい。
【0028】
各部品3a~3eは、SiやGaAs等の半導体で形成された半導体素子や、チップインダクタ、チップコンデンサ、チップ抵抗等のチップ部品で構成される。
【0029】
封止樹脂層4は、配線基板2の上面2aと各部品3a,3bとを被覆するように配線基板2に積層される。封止樹脂層4は、エポキシ樹脂等の封止樹脂として一般的に採用される樹脂で形成することができる。
【0030】
シールド膜6は、配線基板2内の各種配線電極8や各部品3a~3eに対する外部からのノイズを遮蔽するためのものであり、封止樹脂層4の配線基板2の上面2aとの反対面4aおよび周側面4b、並びに配線基板2の側面2bを被覆するように封止樹脂層4に積層される。
【0031】
また、シールド膜6は、封止樹脂層4の表面に積層された密着膜と、密着膜に積層された導電膜と、導電膜に積層された保護膜とを有する多層構造で形成することができる。シールド膜6は、配線基板2の側面2bに露出した図示省略のグランド電極と電気的に接続されている。
【0032】
密着膜は、導電膜と封止樹脂層4との密着強度を高めるために設けられたものであり、例えば、SUSなどの金属で形成することができる。密着膜は、TiやCr、Ni等であってもよい。導電膜は、シールド膜6の実質的なシールド機能を担う層であり、例えば、Cu、Ag、Alのうちのいずれかの金属で形成することができる。保護膜は、導電膜が腐食したり、傷が付くのを防止するために設けられたものであり、例えば、SUSで形成することができる。なお、保護膜は、TiやCr、Ni等であってもよい。
【0033】
シールド壁5は、封止樹脂層4内で所定の部品3a~3e間に配置され、その一部が複数の金属ピン5aで構成されるとともに、残りの部分5bが導電性ペーストで構成される。具体的には、図1に示すように、この実施形態のシールド壁5は、配線基板2の上面2aの中央部に配置された3つの部品3a,3dを囲むように配置され、当該各部品3a,3dと他の部品3b,3c,3eとの間でノイズの相互干渉を防止する。また、シールド壁5は、その上端部がシールド膜6の天面と電気的に接続される。
【0034】
また、シールド壁5は、配線基板2の上面2aに垂直な方向から見た平面視(以下、平面視という)で線状に形成されるとともに、当該線は複数の屈曲部を有し、該屈曲部それぞれに金属ピン5aが配置される。各金属ピン5aの下端部は、いずれも配線基板2の上面2aに形成されたランド電極7に半田で接続(実装)される。各ランド電極7の少なくとも1つは、配線基板2の内部に形成された図示省略のグランド電極に接続されている。
【0035】
また、シールド壁5の残りの部分5bは、配線基板2の上面2aとの間に封止樹脂層4の樹脂が介在するように設けられる。
【0036】
各金属ピン5aは、Cu、Au、Ag、AlやCu系の合金など、配線電極として一般的に採用される金属材料からなる線材をせん断加工するなどして形成される。シールド壁5の残りの部分5bを形成する導電性ペーストは、例えば、Cu、Ag、Alのいずれかの金属フィラを含有する有機溶剤などで形成されている。
【0037】
(高周波モジュールの製造方法)
次に、高周波モジュール1aの製造方法について説明する。まず、各種配線電極8や
ビア導体9が形成された配線基板2を準備し、その上面2aに各部品3a~3eを半田実装などの周知の表面実装技術を用いて実装する。このとき、各金属ピン5aも半田を用いて実装する。
【0038】
次に、各部品3a~3eおよび各金属ピン5aを被覆するように、配線基板2の上面2aに封止樹脂層4を積層する。封止樹脂層4は、例えば、塗布方式、印刷方式、トランスファモールド方式、コンプレッションモールド方式などで形成することができる。
【0039】
次に、各金属ピン5aの上端が、封止樹脂層4の反対面4aに露出するように、封止樹脂層4の表面を研磨または研削する。
【0040】
次に、封止樹脂層4の反対面4a側からシールド壁5を配置する箇所にレーザを照射して溝を形成する。当該溝は、図2に示すように、配線基板2の上面2aに達しない程度の深さで形成する。なお、レーザ加工に代えて、ドリル加工により溝を形成してもよい。
【0041】
次に、塗布方式や印刷方式などにより、例えば、Cuフィラを含有する導電性ペーストを封止樹脂層4に形成した溝に充填して、シールド壁5を形成する。
【0042】
次に、スパッタ装置や真空蒸着装置を用いて、封止樹脂層4の表面(反対面4aおよび側面4b)および配線基板2の側面2bを被覆するようにシールド膜6を成膜して、高周波モジュール1aが完成する。なお、シールド壁5の各金属ピン5a以外の部分5bを、シールド膜6と同様の成膜技術を用いて形成してもよい。この場合、シールド膜6の成膜時に、併せて封止樹脂層4のシールド壁5用の溝を埋めるようにすればよい。
【0043】
したがって、上記した実施形態によれば、部品3a~3e間に配置されたシールド壁5の一部が、導電ペーストよりも比抵抗が低い金属ピン5aで構成されるため、シールド壁5の低抵抗化を図ることができ、これにより、シールド壁5によるシールド特性を向上することができる。また、部品3a~3e間のシールド壁5を成膜技術を用いて形成する場合のように、封止樹脂層4に設けられた溝が深くなったときに、シールド壁用の膜が溝の底部まで形成されないという問題も生じない。また、シールド壁と接続する配線導体を、金属ピンを立てる部分のみに設ければよいため、シールド壁部分すべてに配線導体を用意する場合と比較して部品実装エリアを広く確保できる。
【0044】
ところで、部品3a~3e間に配置されたシールド壁5は、レーザ加工で封止樹脂層4に溝を形成し、当該溝に導電性ペーストを充填したりめっき処理などで金属を充填して形成される場合がある。シールド壁5の平面視形状に屈曲部を有する場合、当該屈曲部には、溝形成時のレーザ光の熱エネルギーが他の箇所と比較して強く作用する。この場合、配線基板2の配線電極8が断線したり変形したりしてダメージを受ける。そこで、例えば、レーザ溝の形成前に当該屈曲部に金属ピン5aを配置すれば、レーザ光の熱エネルギーによる配線基板2の配線電極8に与えるダメージを低減することができる。また、ドリル加工でシールド壁5用の溝を形成する場合も同様に、屈曲部において配線基板2への衝撃が強くなるが、当該屈曲部に各金属ピン5aを配置することで、ドリル加工時の配線基板2への衝撃を低減することができる。
【0045】
また、各金属ピン5aの下端部を配線基板2のランド電極7に半田接続することにより、シールド壁5と配線基板2のグランド電極とが接続される。この構成によると、従来のように、封止樹脂層に形成した溝に導電性ペーストを充填してシールド壁を形成する構成と比較して、シールド壁5と配線基板2のグランド電極との接続抵抗を低減できるため、シールド壁5のシールド特性の向上を図ることができる。また、各金属ピン5aと各ランド電極7とを半田で接続することにより、従来と比較してシールド壁5と配線基板2との接続信頼性を向上することができる。
【0046】
(シールド壁5の変形例)
封止樹脂層4に形成するシールド壁5用の溝を、例えば、図3に示すように、配線基板2の上面2aに達するように形成してもよい。この場合、配線基板2の上面2aにおける、平面視でシールド壁5に重なる領域の略全てにシールド用電極10を形成し、該シールド用電極10に各金属ピン5aを実装する。この構成によると、シールド用電極10のレーザ光の反射効果により、レーザ加工によるシールド壁5用の溝形成時に、レーザ光の熱エネルギーに起因する配線基板2へのダメージを低減できる。
【0047】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態にかかる高周波モジュール1bについて、図4および図5を参照して説明する。なお、図4は高周波モジュール1bの平面図、図5図4のB-B矢視断面図である。また、図4では、シールド膜6の天面部分および封止樹脂層4を図示省略している。
【0048】
この実施形態の高周波モジュール1bが、図1および図2を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図4および図5に示すように、シールド壁50の構成が異なることである。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0049】
この場合、平面視において、シールド壁50の各屈曲部以外の箇所にも複数の金属ピン5aが配置される。また、配線基板2の上面2aには、各金属ピン5aの実装箇所それぞれにランド電極7が形成される。
【0050】
この構成によると、導電性ペーストよりも比抵抗が低い金属ピン5aの数を増やすことで、シールド壁50全体の抵抗値を下げることができるため、シールド壁50による部品3a~3e間のシールド特性をさらに向上できる。また、シールド壁50と配線基板2のグランド電極との接続抵抗をさらに低減できる。
【0051】
(シールド壁50の変形例)
封止樹脂層4に形成するシールド壁50用の溝を、例えば、図6に示すように、配線基板2の上面2aに達するように形成してもよい。また、図3に示したシールド壁5の変形例と同様に、配線基板2の上面2aにおける、平面視でシールド壁50に重なる領域の略全てにシールド用電極を形成し、該シールド用電極に各金属ピン5aを実装する構成であってもよい。また、図示していないが、シールド壁用の溝の下に、金属ピンを立てる部分の配線電極とは別の配線電極を設けてもよい。
【0052】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態にかかる高周波モジュール1cについて、図7を参照して説明する。なお、図7は高周波モジュール1cの平面図であって、図1に対応する図である。
【0053】
この実施形態にかかる高周波モジュール1cが、図1および図2を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図7に示すように、シールド壁51の構成が異なることである。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
第1実施形態のシールド壁5は、配線基板2の上面2aの中央部に配置された各部品3a,3dを囲むように配置される場合について説明したが、この実施形態のシールド壁51は、配線基板2の上面2aを2つの領域に区切るように配置される。このように、シールド壁51の配置は、相互干渉を防止したい部品3a~3eの配置に応じて適宜変更すればよい。
【0055】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態にかかる高周波モジュール1dについて、図8を参照して説明する。なお、図8は高周波モジュール1dの平面図であって、図1に対応する図である。
【0056】
この実施形態にかかる高周波モジュール1dが、図1および図2を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図8に示すように、シールド壁52の構成が異なることである。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0057】
この場合、シールド壁52は、相互干渉を防止したい部品間のみに配置される。具体的には、図8に示すように、シールド壁52は、配線基板2の上面2aの中央の部品3aとこれに隣接する部品3bの間に配置された平面視横長矩形状の部分(本発明の「第1の線状部分」に相当)と、部品3aと、これに隣接する部品3dおよび部品3cとの間に配置され、当該横長矩形状の部分と垂直方向に延びる平面視縦長矩形状の部分(本発明の「第2の線状部分」に相当)とが合成されたような平面視形状を有する。そして、これらの部分の接続部に金属ピン5aが配置される。また、シールド壁52の横長矩形状の部分の平面視での幅W1(本発明の「第1の幅」に相当)が、縦長矩形状の部分の幅W2(本発明の「第2の幅」に相当)よりも大きく形成される。なお、本発明においては、図8に示す横長矩形状の部分と縦長矩形状の部分との接続部のように、配線基板を平面視して、一方の矩形状部分の長辺に他方の矩形状部分の端部が接する接続部も、「屈曲部」と呼ぶ。また、図示はしないが、配線基板2を平面視して、2つの矩形状部分が交差する交差点も、「屈曲部」と呼ぶ。
【0058】
このように、相互干渉の防止が特に必要な部品間のみにシールド壁52を配置することで、配線基板2の上面2aの設計自由度の向上を図ることができる。また、横長矩形状の部分の幅W1を縦長矩形状の部分の幅W2よりも大きくすることで、横長矩形状の部分のシールド特性を縦長矩形状の部分よりも高めることができる。すなわち、部品間の相互干渉を防止するに当たり、要求されるシールド特性に応じてシールド壁52の幅を適宜変更すればよく、このようにすると、部品実装領域を確保しながら、部品間のノイズの相互干渉を効率的に防止することができる。
【0059】
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態にかかる高周波モジュール1eについて、図9を参照して説明する。なお、図9は高周波モジュール1eの平面図であって、図1に対応する図である。
【0060】
この実施形態にかかる高周波モジュール1eが、図8を参照して説明した第4実施形態の高周波モジュール1dと異なるところは、図9に示すように、シールド壁53の構成が異なることである。その他の構成は、第4実施形態の高周波モジュール1dと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0061】
この場合、図9に示すように、シールド壁53には、横長矩形状の部分と縦長矩形状の部分の接続部に加え、矩形状の両部分の端部それぞれにさらに金属ピン5aが配置される。
【0062】
この構成によると、第4実施形態のシールド壁52と比較して、シールド壁53を構成する金属ピン5aの数が増えるため、第4実施形態のシールド壁52と比較して、シールド壁53全体の抵抗値や配線基板2のグランド電極との接続抵抗を下げることができる。
【0063】
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態にかかる高周波モジュール1fについて、図10および図11を参照して説明する。なお、図10は高周波モジュール1fの平面図であって、図1に対応する図、図11図10のC-C矢視断面図である。
【0064】
この実施形態にかかる高周波モジュール1fが、図1および図2を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図10および図11に示すように、シールド壁54の構成が異なることと、金属ピン5aを実装する電極の形状が異なることと、部品3f~3iの配置構成が異なることである。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0065】
この場合、シールド壁54は、複数の金属ピン5aで構成され、配線基板2の上面2aを2つの領域に仕切るように配置される。このとき、図10に示すように、各金属ピン5aは、略隙間なく1列に配列されるとともに、配線基板2を平面視したときに折れ線状をなすように配列される。そのため、シールド壁54は、配線基板2を平面視したときに屈曲部を有する。また、配線基板2の上面2aには、金属ピン5aの実装用のランド電極7に代えて、図3に示したシールド用電極10と同様のシールド用電極10aが形成される。このシールド用電極10aは、金属ピン5aの配列方向に合せて、所定の幅を持った折れ線状に形成される。
【0066】
部品3f~3iは、図1等に示した部品3a~3eと同様、SiやGaAs等の半導体で形成された半導体素子や、チップインダクタ、チップコンデンサ、チップ抵抗等のチップ部品で構成される。
【0067】
この構成によると、シールド壁54が、比抵抗の低い複数の金属ピン5aで構成されるため、シールド特性のさらなる向上を図ることができる。また、従来の部品間のノイズの相互干渉の防止用のシールド壁のように、封止樹脂層にレーザでシールド壁用の溝を形成する場合は、溝形状に制約がある。しかしながら、シールド壁を複数の金属ピン5aのみで構成すると、シールド壁用の溝を形成する必要がないため、このような制約がなく任意な形状のシールド壁54を得ることができる。また、シールド壁54の形状の自由度が向上することで、部品3f~3iを配置させる際の自由度の向上を図ることができる。
【0068】
また、シールド壁用の溝に導電性ペーストを埋める構成では、導電性ペーストの溝への充填性の観点から、600μm程度を超える溝幅が必要になる場合があるが、金属ピン5aの場合はφ100μm程度から適用可能であり、600μmもの大きさは必要ない。また、シールド壁用の溝を、レーザを用いて封止樹脂層4を貫通する深さで形成する場合、配線基板2へのダメージを減らすためにシールド用電極10(図3参照)の幅を広くするのが好ましいが、金属ピン5aの場合は、実装に必要な幅でよく、溝形成の場合よりも幅を小さくできる。また、溝形成の場合は、レーザ光の部品3f~3iへの影響を避けるために部品をシールド壁用の溝からある程度離す必要があるが、レーザを使用しないシールド壁54の場合は、この距離も必要がない。したがって、部品3f~3iを容易にシールド壁56に近づけることができ、高周波モジュール1hの小型化を図ることができる。また、溝形成の際にレーザが配線基板2にダメージを与えるということが生じ得ないため、配線基板2の薄型化に対応できる。
【0069】
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態にかかる高周波モジュール1gについて、図12および図13を参照して説明する。なお、図12は高周波モジュール1gの平面図であって、図1に対応する図、図13図12の金属ピン5a1,5a2の配列を説明するための図である。なお、図13では配線基板2を平面視したときの一部の金属ピン5a1,5a2を図示している。
【0070】
この実施形態にかかる高周波モジュール1gが、図10および図11を参照して説明した第6実施形態の高周波モジュール1fと異なるところは、図12に示すように、シールド壁55を構成する金属ピン5a1,5a2の配列が異なることである。その他の構成は、第6実施形態の高周波モジュール1fと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0071】
この場合、シールド壁55が、複数の第1金属ピン5a1と、複数の第2金属ピン5a2で形成される。このとき、図14に示すように、各第1金属ピン5a1は、配線基板2を平面視したときに、ぞれぞれの中心点cp1を結ぶ連結線Lがシールド壁55のなす線と略平行な線となるように所定の間隔を空けて1列に配列される。一方、各第2金属ピン5a2は、それぞれの中心点cp2が連結線Lからずれるとともに、一の第1金属ピン5a1と、これに隣接する第1金属ピン5a1の間に位置するように、それぞれ第1金属ピン5a1に近接して配置される。換言すると、例えば、図13の連結線Lと垂直な方向からシールド壁55を見たときに、隣接する第1金属ピン5a1間には隙間が生じるが、この隙間を第2金属ピン5a2が塞ぐように配置される。各金属ピン5a1,5a2の実装は、まず各第1金属ピン5a1を所定の間隔で実装した後、各第1金属ピン5a1の隙間を埋めるように各第2金属ピン5a2を実装する。
【0072】
この構成によると、隣接する金属ピン5a1,5a2間に隙間が少ないシールド壁55を容易に形成するため、シールド特性のさらなる向上を図ることができる。
【0073】
なお、この実施形態では、各第2金属ピン5a2が、いずれも図13における連結線Lの右側で第1金属ピン5a1に近接して配置される場合について説明したが、各第2金属ピン5a2の一部または全部が当該連結線Lの左側で第1金属ピン5a1に近接して配置されていてもよい。また、シールド用電極10bの形状は、適宜変更することができる。例えば、図14に示すように、配線基板2の上面2aにおける各金属ピン5a1,5a2の実装位置それぞれに配置された、金属ピン5a1,5a2の断面(配線基板2の上面2aと平行な方向の断面:横断面)よりも一回り大きいランド電極が連なって一体化したような形状でシールド用電極10bを形成してもよい。このようにすると、各金属ピン5a1,5a2を半田実装する際、セルフアライメント効果を利用して所望の位置に容易に配置できる。
【0074】
また、図15に示すように、第2金属ピン5a2の径W10を、第1金属ピン5a1の径W20よりも小さくしてもよい。このようにすると、隣接する金属ピン5a1,5a2間の隙間を小さくしてシールド特性を向上しつつ、シールド壁55の幅W3を小さくすることができる。また、図16に示すように、この構成でもシールド用電極10cを、図14に示したシールド用電極10bと同様の形状に形成してもよい。
【0075】
<第8実施形態>
本発明の第8実施形態にかかる高周波モジュール1hについて、図17を参照して説明する。なお、図17は高周波モジュール1hの平面図であって、図1に対応する図である。
【0076】
この実施形態にかかる高周波モジュール1hが、図10および図11を参照して説明した第6実施形態の高周波モジュール1fと異なるところは、図17に示すように、シールド壁56を構成する金属ピン5aの数が異なることである。その他の構成は、第6実施形態の高周波モジュール1fと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0077】
この場合、図17に示すように、配線基板2を平面視したときに、シールド用電極10aの略全体に金属ピン5aが、シールド壁56の幅方向に複数個実装される。このようにすると、シールド壁56のシールド特性の向上を図ることができる。
【0078】
<第9実施形態>
本発明の第9実施形態にかかる高周波モジュール1iについて、図18を参照して説明する。なお、図18は高周波モジュール1iの平面図であって、図1に対応する図である。
【0079】
この実施形態にかかる高周波モジュール1iが、図10および図11を参照して説明した第6実施形態の高周波モジュール1fと異なるところは、図18に示すように、シールド壁57の構成が異なることと、シールド用電極10dの形状が異なることである。その他の構成は、第6実施形態の高周波モジュール1fと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0080】
この場合、各金属ピン5aは、シールド壁57が配線基板2を平面視したときに湾曲部を有するように配列される。また、シールド用電極10dは、金属ピン5aの配列方向に合せて、湾曲部を有する線状に形成される。
【0081】
この構成によると、配線基板2に実装する部品3f~3iの配置自由度の向上を図ることができる。
【0082】
<第10実施形態>
本発明の第10実施形態にかかる高周波モジュール1jについて、図19および図20を参照して説明する。なお、図19は高周波モジュール1jの平面図であって、図1に対応する図、図20図19のD-D矢視断面図である。
【0083】
この実施形態にかかる高周波モジュール1iが、図10および図11を参照して説明した第6実施形態の高周波モジュール1fと異なるところは、図19に示すように、シールド壁58の構成が異なることと、シールド層用電極10eの形状が異なることと、部品の配置構成が異なることである。その他の構成は、第6実施形態の高周波モジュール1fと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0084】
この場合、シールド壁58は、配線基板2の上面2aの中央付近に実装された1つの部品3jを囲むように形成される。また、シールド壁58は、複数の金属ピン5aで構成され、これらの金属ピン5aが部品3jの周囲を囲むように配列される。このとき、各金属ピン5aは、隣接する金属ピン5aとの間でほとんど隙間がない状態で配置される。シールド用電極10eは、各金属ピン5aの配置に合わせて、部品3jの周囲を囲むように環状に形成される。
【0085】
この構成によると、シールド壁58が所定の領域を囲むように形成される場合において、第6実施形態の高周波モジュール1fと同様の効果を得ることができる。
【0086】
(シールド膜の変形例)
高周波モジュール1jにおいて、シールド膜6が被覆する領域は、適宜変更することができる。例えば、図21および図22に示すように、シールド膜6が、封止樹脂層4の反対面4aにおける、シールド壁58が所定の部品3jを囲む領域のみを被覆するように形成されていてもよい。この場合、各金属ピン5aの上端面は、いずれもシールド膜6の周端部に接続される。この構成は、特定の部品3jのみをシールドしたい場合に好適である。ここで、図21図19のシールド膜の変形例を示す図で図1に対応する図、図22図21のE-E矢視断面図である。なお、このように、特定の部品3jのみをシールドする場合、当該特定の部品3jのみに封止樹脂層4を形成するようにしてもよい。
【0087】
<第11実施形態>
本発明の第11実施形態にかかる高周波モジュール1kについて、図23を参照して説明する。なお、図23は高周波モジュール1kの平面図であって、図1に対応する図である。
【0088】
この実施形態にかかる高周波モジュール1kが、図10および図11を参照して説明した第6実施形態の高周波モジュール1fと異なるところは、図23に示すように、シールド膜6と複数のシールド層用金属ピン5cとで形成されたシールド層60を備えることである。その他の構成は、第6実施形態の高周波モジュール1fと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0089】
この場合、複数のシールド層用金属ピン5cは、配線基板2の上面2aの周縁部に所定の間隔を空けて配置される。また、各シールド層用金属ピン5cは、配線基板2の上面2aを囲むように、当該上面2aの周縁に沿って配列される。また、配線基板2の上面2aの周縁部には、各シールド層用金属ピン5cの実装用のシールド層用金属ピン実装電極11が形成される。また、各シールド層用金属ピン5cとシールド膜とは電気的に接続されている。
【0090】
上述のように、シールド膜6がスパッタ法などで成膜すると、封止樹脂層4の周側面4bの膜厚が、封止樹脂層4の反対面4aよりも薄くなるため、当該周側面4b側のシールド特性が反対面4a側より悪くなる。そこで、配線基板2の上面2aの周縁部に実装された複数のシールド層用金属ピン5cで、シールド層60の一部を構成することで、当該周側面4b側のシールド特性の向上を図ることができる。以下、シールド層60のうち、封止樹脂層4の周側面4b側を被覆する部分を側面シールドといい、封止樹脂層4の反対面4a側を被覆する部分を天面シールドという場合もある。
【0091】
<第12実施形態>
本発明の第12実施形態にかかる高周波モジュール1mについて、図24を参照して説明する。なお、図24は高周波モジュール1mの平面図であって、図1に対応する図である。
【0092】
この実施形態にかかる高周波モジュール1mが、図23を参照して説明した第11実施形態の高周波モジュール1kと異なるところは、図24に示すように、シールド層61の構成が異なることである。その他の構成は、第6実施形態の高周波モジュール1fと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0093】
この場合、シールド層61は、複数のシールド層用金属ピン5cと、封止樹脂層4の反対面4aおよび各シールド層用金属ピン5cの上端面を被覆するシールド膜6とで形成されている。このとき、各シールド層用金属ピン5cは、隣接する他の金属ピン5cとの間に隙間が略無い状態で、配線基板2の上面2aの周縁に沿って1列に配列される。そして、シールド層61の側面シールドが、各シールド層用金属ピン5cのみで形成され、シールド膜6は、封止樹脂層4の反対面4aおよび各シールド層用金属ピン5cの上端面を被覆する。なお、各シールド層用金属ピン5cの表面に防錆膜を形成してもよい。このようにすると、シールド層用金属ピン5cが酸化してシールド特性が劣化するのを防止することができる。防錆膜としては、例えば、SUS等の金属を採用することができ、この場合は、シールド膜6の密着膜や保護膜形成時に併せて成膜するようにするとよい。
【0094】
この構成によると、シールド膜6は、膜厚を増やしやすい封止樹脂層4の反対面4aを被覆すればよくなるため、シールド膜6の成膜時間の短縮を図ることができる。また、天面シールドがそれほど重要でない場合は、シールド膜6を除くことができ、この場合は、スパッタ等の成膜プロセスが不要になるため、高周波モジュール1mの製造コストの低減を図ることができる。
【0095】
<第13実施形態>
本発明の第13実施形態にかかる高周波モジュール1nについて、図25を参照して説明する。なお、図25は高周波モジュール1nの平面図であって、図1に対応する図である。
【0096】
この実施形態にかかる高周波モジュール1nが、図24を参照して説明した第12実施形態の高周波モジュール1mと異なるところは、図25に示すように、シールド層62を構成する各シールド層用金属ピン5dの横断面の形状が異なることである。その他の構成は、第12実施形態の高周波モジュール1mと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0097】
この場合、各シールド層用金属ピン5dの配線基板2の上面2aと平行な方向の断面(横断面)が、いずれも直線部と曲線部とを有する半円状に形成される。また、各シールド層用金属ピン5dは、配線基板2を平面視したときに、いずれも直線部が配線基板2の上面2aの周縁の一部と重なるように配置される。
【0098】
このような各シールド層用金属ピン5dの横断面形状は、例えば、高周波モジュール1nを多数個取りする製造方法で形成することができる。具体的には、複数の配線基板2が、マトリクス状に配列された配線基板2の集合体の状態で、各高周波モジュール1nを製造し、最後にダイシングで高周波モジュール1n単体に個片化する。このとき、横断面が円形の複数のシールド層用金属ピン5dを、いずれも隣接する高周波モジュール1nの境界線を跨ぐように配列する。そうすると、各シールド層用金属ピン5dがダイシングにより2分され、横断面が半円状に形成されるとともに、直線部が配線基板2の上面2aの周縁の一部と重なるように配置されることになる。
【0099】
なお、本実施形態において、金属ピン5dの断面形状(配線基板2に平行な方向の断面形状)を矩形にしてもよい。この場合、ダイシングの位置ずれによって金属ピン間に隙間が発生する虞を少なくする事が出来る。また、ダイシングを行わずに固片に金属ピンを搭載する場合にも、矩形の断面形状を有する金属ピンを用いることにより、ピン間の隙間の発生を抑制できる。
【0100】
この構成によると、側面シールドが複数のシールド層用金属ピン5dで形成される高周波モジュール1を効率よく製造することができる。
【0101】
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、上記した各実施形態や変形例の構成を組合わせてもよい。
【0102】
また、上記した第1~第3実施形態では、シールド壁5,50,51が、平面視で屈曲部を有するように形成する場合について説明したが、シールド壁5,50,51は、屈曲部に代えて、平面視で、なだらかに曲がる湾曲部を有するように形成されていてもよい。
【0103】
本発明は、配線基板に実装された部品を被覆する封止樹脂層と、部品間のノイズの相互干渉を防止するシールド壁や、外部からの不要なノイズを遮蔽するシールド層とを備える種々の高周波モジュールに適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1a~1k,1m,1n 高周波モジュール
2 配線基板
3a~3i 部品
4 封止樹脂層
5,50~58 シールド壁
5a 金属ピン
5a1 第1金属ピン
5a2 第2金属ピン
5c,5d シールド層用金属ピン
6 シールド膜(シールド層)
7 ランド電極
10,10a~10e シールド用電極(ランド電極)
60~62 シールド層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26