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特許7120311流体残量管理装置、分析システム、流体残量管理方法および流体残量管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】流体残量管理装置、分析システム、流体残量管理方法および流体残量管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20220809BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20220809BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20220809BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G01N30/26 E
G01N30/02 Z
G01N30/86 V
G01N35/00 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020535381
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2018029685
(87)【国際公開番号】W WO2020031276
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】増田 真吾
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152305(WO,A1)
【文献】特開2010-085418(JP,A)
【文献】特開2011-117815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0182396(US,A1)
【文献】特開2001-083161(JP,A)
【文献】特開2012-237734(JP,A)
【文献】特開2000-121620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理装置であって、
前記一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測する予測部と、
前記予測部により予測された使用予定量の推移に基づいて前記流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定する判定部と、
前記一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定する第1の設定部と、
前記第1の設定部により設定された優先度に基づいて、前記残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更する第1の変更部とを備えた、流体残量管理装置。
【請求項2】
一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理装置であって、
前記一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測する予測部と、
前記予測部により予測された使用予定量の推移に基づいて前記流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定する判定部と、
複数の前記分析装置に優先度をそれぞれ設定する第2の設定部と、
前記第2の設定部により設定された優先度に基づいて、前記残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更する第2の変更部とを備えた、流体残量管理装置。
【請求項3】
前記判定部により判定された残量不足時期よりも前の時期に、前記流体源を交換すべきことを示す警告を報知する報知部をさらに備えた、請求項1または2記載の流体残量管理装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記一または複数の分析装置についての過去の流体の使用量の変化に基づいて前記使用予定量の推移を予測する、請求項1~3のいずれか一項に記載の流体残量管理装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記一または複数の分析装置の各々における分析スケジュールに基づいて前記使用予定量の推移を予測する、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体残量管理装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記判定部により判定された残量不足時期が前記特定時期内にある場合に、前記特定時期よりも前の時期に前記警告を報知する、請求項3記載の流体残量管理装置。
【請求項7】
流体源から供給される流体を用いて分析を行う1または複数の分析装置と、
前記流体源における流体の残量を管理する請求項1~6のいずれか一項に記載の流体残量管理装置とを備えた、分析システム。
【請求項8】
一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理方法であって、
前記一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、
前記予測された使用予定量の推移に基づいて前記流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、
前記一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定するステップと、
前記設定された優先度に基づいて、前記残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更するステップとを含む、流体残量管理方法。
【請求項9】
一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理方法であって、
前記一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、
前記予測された使用予定量の推移に基づいて前記流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、
複数の前記分析装置に優先度をそれぞれ設定するステップと、
前記設定された優先度に基づいて、前記残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更するステップとを含む、流体残量管理方法。
【請求項10】
前記判定された残量不足時期よりも前の時期に、前記流体源を交換すべきことを示す警告を報知するステップをさらに含む、請求項8または9記載の流体残量管理方法。
【請求項11】
前記報知するステップは、前記判定された残量不足時期が前記特定時期内にある場合に、前記特定時期よりも前の時期に前記警告を報知することを含む、請求項10記載の流体残量管理方法。
【請求項12】
一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理プログラムであって、
前記一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、
前記予測された使用予定量の推移に基づいて前記流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、
前記一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定するステップと、
前記設定された優先度に基づいて、前記残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更するステップとを、コンピュータに実行させる、流体残量管理プログラム。
【請求項13】
一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理プログラムであって、
前記一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、
前記予測された使用予定量の推移に基づいて前記流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、
複数の前記分析装置に優先度をそれぞれ設定するステップと、
前記設定された優先度に基づいて、前記残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更するステップとを、コンピュータに実行させる、流体残量管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体源における流体の残量を管理する流体残量管理装置、それを用いた分析システム、流体残量管理方法および流体残量管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスまたは液体のような流体を用いて分析を行う種々の分析装置が用いられている。例えば、特許文献1には、ガスクロマトグラフおよびこれに用いられる流体制御装置が記載されている。ガスクロマトグラフでは、キャリアガスとともに試料ガスがカラム内に供給されることにより分析が行われる。流体制御装置は、カラムへのキャリアガスの供給を制御する。キャリアガスとしては、例えばHe(ヘリウムガス)が用いられる。この場合、ガスクロマトグラフには、Heを貯蔵するガスボンベが接続される。
【文献】特開2016-57148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガスクロマトグラフでは、カラムにガスが流れていない状態でカラムが高温になると、液相の破壊が生じる。そのため、ガスの供給圧センサを有する流体制御装置では、供給圧センサにより検出される供給圧に基づいてガスボンベのガスが不足する前にエラーが発生された後、温度制御が停止される。それにより、カラムが保護される。
【0004】
しかしながら、供給圧センサを有しない流体制御装置では、ガスの供給圧の低下を検出することができない。例えば、ガスクロマトグラフの検出器が水素炎イオン化検出器(FID)またはフレームサーミオニック検出器(FTD)である場合には、検出器にガスが供給される。一般的に、検出器用の流体制御装置には、供給圧センサが設けられていない。そのため、検出器へ供給されるべきガスの不足によりガスクロマトグラフの分析が停止することを予知することができない。
【0005】
また、ガスボンベ内のガスの圧力は、調圧器により減圧された後にガスクロマトグラフに供給される。したがって、供給圧センサにより検出される圧力は、ガスクロマトグラフに供給されるガスの圧力であり、ガスボンベに残っているガスの圧力(残圧)ではない。したがって、供給圧センサにより検出される圧力に基づいてガスボンベ内の残量の傾向を認識することは困難である。
【0006】
また、1つのガスボンベに接続されているガスクロマトグラフの台数によって各供給圧センサにより検出される供給圧の低下によるエラーの発生からガスボンベ内のガスの残量が不足するまでの時間が異なる。1つのガスボンベに多数のガスクロマトグラフが接続されている場合は、供給圧の低下によるエラーの発生の直後にガスの不足が生じる場合がある。その結果、カラムの保護が間に合わない場合がある。
【0007】
さらに、ガスボンベに貯蔵されるガスの種類によっては、ガスボンベにセンサ等を含む電気系統を取り付けることが困難な場合がある。
【0008】
このような課題は、ガスクロマトグラフに限らず、ガスまたは液体のような流体を用いる他の分析装置においても生じ得る。
【0009】
本発明の目的は、流体源における流体の残量を直接検出することなく、かつ流体源に接続される分析装置の数に関わらず、流体源における流体の残量の不足時期を判定することが可能な流体残量管理装置、それを用いた分析システム、流体残量管理方法および流体残量管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に従う流体残量管理装置は、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理装置であって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測する予測部と、予測部により予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定する判定部と、一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定する第1の設定部と、第1の設定部により設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更する第1の変更部とを備える。
【0011】
本発明の他の局面に従う流体残量管理装置は、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理装置であって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測する予測部と、予測部により予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定する判定部と、複数の分析装置に優先度をそれぞれ設定する第2の設定部と、第2の設定部により設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更する第2の変更部とを備える。
【0012】
本発明の他の局面に従う流体残量管理方法は、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理方法であって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定するステップと、設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更するステップとを含む。
【0013】
本発明の他の局面に従う流体残量管理方法は、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理方法であって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、複数の分析装置に優先度をそれぞれ設定するステップと、設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更するステップとを含む
【0014】
本発明の他の局面に従う流体残量管理プログラムは、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理プログラムであって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定するステップと、設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更するステップとを、コンピュータに実行させる。
【0015】
本発明の他の局面に従う流体残量管理プログラムは、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理プログラムであって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップと、複数の分析装置に優先度をそれぞれ設定するステップと、設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更するステップとを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、流体源における流体の残量を直接検出することなく、かつ流体源に接続される分析装置の数に関わらず、流体源における流体の残量の不足時期を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は本発明の一実施の形態に係る分析システムの構成を示すブロック図である。
図2図2図1の分析装置の構成を示すブロック図である。
図3図3はスケジュールテーブルの一例を示す模式図である。
図4図4図1の流体残量管理装置の表示装置に表示される管理画面の一例を示す模式図である。
図5図5図1の流体残量管理装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図6図6は流体残量管理プログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
図7図7は流体残量管理プログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
図8図8は残量不足時期、交換時期および特定時期の関係を説明するための図である。
図9図9は残量不足時期、交換時期および特定時期の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係る流体残量管理装置、分析システム、流体残量管理方法および流体残量管理プログラムを図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(1)分析システムの構成
図1は本発明の一実施の形態に係る分析システムの構成を示すブロック図である。図1の分析システム100は、一または複数の分析装置1、および流体残量管理装置2を含む。本実施の形態では、流体残量管理装置2が複数の分析装置1に接続されている。以下、複数の分析装置1の各々を区別する場合には、複数の分析装置1をそれぞれ分析装置1a,1b,1cと呼ぶ。本実施の形態では、各分析装置1はガスクロマトグラフであり、流体はガスである。
【0032】
複数の分析装置1の各々は、ガスボンベ3a,3bに接続されている。ガスボンベ3a,3bは、調圧器(図示せず)を通して減圧されたガスを複数の分析装置1に供給する。ガスボンベ3aは例えばHe(ヘリウムガス)を貯蔵する。ガスボンベ3bは例えばH(水素ガス)を貯蔵する。複数の分析装置1は、分析室に設置されている。複数の分析装置1は同じ分析室に設置されてもよく、異なる分析室に設置されてもよい。ガスボンベ3a,3bは、分析室内に設置されてもよく、屋外に設置されてもよい。流体残量管理装置2は、データ処理装置21、記憶装置22、情報入力部23および表示装置24を含む。
【0033】
データ処理装置21は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)により構成され、例えばパーソナルコンピュータまたはサーバである。ROMは、流体残量管理プログラムを記憶する。また、データ処理装置21は、複数の分析装置1に接続されており、各分析装置1から後述するスケジュールテーブル等の種々の情報を取得するとともに、各分析装置1に種々の指令および種々の情報を与える。
【0034】
記憶装置22は、ハードディスク、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリまたはメモリカード等の記憶媒体を含み、後述するスケジュール情報等を記憶する。記憶装置22が流体残量管理プログラムを記憶してもよい。
【0035】
情報入力部23は、キーボード、ポインティングデバイス、通信インタフェース等を含み、各種情報またはデータ等を入力するために用いられる。情報入力部23がインターネット等の通信ネットワークに接続されている場合には、インターネット等から天気予報等の種々の情報を取得することができる。表示装置24は、液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等を含み、種々の情報および画像を表示する。
【0036】
(2)分析装置1の構成
図2図1の分析装置1の構成を示すブロック図である。図1の分析装置1は、分析制御部11、記憶部12、操作部13および表示部14を含む。分析制御部11は、CPU、RAMおよびROMにより構成される。記憶部12は、ハードディスク、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリまたはメモリカード等の記憶媒体を含み、後述するスケジュールテーブル等の種々の情報を記憶する。操作部13は、キーボード、ポインティングデバイス等を含み、各種情報またはデータ等を入力するために用いられる。表示部14は、液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等を含み、種々の情報および画像を表示する。
【0037】
分析装置1は、流量制御装置15,16、カラム17、試料気化室18および検出器19をさらに含む。流量制御装置15は、ガスボンベ3aから配管P1を通して供給されるヘリウムガスを例えばキャリアガスとして試料気化室18内に供給する。流量制御装置15には、キャリアガスの流量を検出する流量検出センサが設けられている。流量制御装置16は、ガスボンベ3aから配管P1を通して供給されるヘリウムガスをメイクアップガスとして検出器19に供給するとともにガスボンベ3bから配管P2を通して供給される水素ガスを検出器19に供給する。流量制御装置16には、メイクアップガスおよび水素ガスの流量をそれぞれ検出する流量センサが設けられている。
【0038】
本実施の形態では、検出器19として、水素炎イオン化検出器(FID)またはフレームサーミオニック検出器(FTD)が用いられる。なお、検出器19として電子捕獲型検出器(ECD)または熱伝導度検出器(TCD)が用いられる場合には、流量制御装置16には、ガスボンベ3aからのメイクアップガス(ヘリウムガス)のみが供給される。また、検出器19として炎光光度検出器(FPD)が用いられる場合には、流量検出装置16にはガスボンベ3bからの水素ガスのみが供給される。本実施の形態では、カラム17はキャピラリカラムであり、カラムオーブン17aに収容されている。
【0039】
分析の実行時には、試料溶液が試料気化室18内に導入される。試料溶液は試料気化室18内で所定の温度に加熱される。それにより、試料溶液中の成分が気化し、試料ガスとしてカラム17に導入される。試料ガスはキャリアガスとともにカラム17内を通過し、時間方向に分離された成分が検出器19に導入される。検出器19は、試料ガスに含まれる各成分の量に応じた検出信号を分析制御部11に出力する。
【0040】
流量制御装置15は、キャリアガスの流量を制御する。流量制御装置16は、メイクアップガスおよび水素ガスの流量を制御する。分析制御部11は、流量制御装置15,16の流量センサにより検出される各ガスの流量を時間的に積算することにより各ガスの使用量を算出する。また、分析制御部11は、各分析において使用される各ガスの使用量を後述する分析メソッドファイルに含まれるガスの流量およびガスの供給時間に基づいて算出することもできる。各ガスの使用量は記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶された各ガスの使用量は一定時間ごとまたは分析の実行ごと常時更新される。
【0041】
(3)スケジュールテーブル
図3はスケジュールテーブルの一例を示す模式図である。図3のスケジュールテーブルSTは、1つの分析装置1の分析スケジュールを示し、図2の記憶部12に記憶される。スケジュールテーブルSTには、1以上の分析スケジュールが登録されている。各分析スケジュールは、1以上の分析の内容を含む。図3の例では、スケジュールテーブルSTに複数の分析スケジュールを特定するスケジュール番号sa1,sa2が含まれる。複数のスケジュール番号sa1,sa2の分析スケジュールの各々が複数の分析を含む。図3のスケジュールテーブルSTにおける1行が1回の分析に対応している。各分析は、分析番号、試料名および分析メソッドファイル名等により特定される。分析メソッドファイルには、分析装置1の各部の動作条件等の分析条件が含まれる。分析条件は、例えば、キャリアガス、メイクアップガスおよび水素ガスの流量ならびに供給時間等を含む。図3の例では、スケジュール番号sa1の分析スケジュールにおいて、1番目の分析として、分析番号“a1”、試料名“A”および分析メソッドファイル名“Method_1”が登録され、2番目の分析として、分析番号“a2”、試料名“B”および分析メソッドファイル名“Method_1”が登録され、3番目の分析として、分析番号“a3”試料名“C”および分析メソッドファイル名“Method_1”が登録されている。また、スケジュール番号sa2の分析スケジュールにおいて、1番目の分析として、分析番号“b1”、試料名“D”および分析メソッドファイル名“Method_2”が登録され、2番目の分析として、分析番号“b2”、試料名“E”および分析メソッドファイル名“Method_2”が登録され、3番目の分析として、分析番号“b3”、試料名“F”および分析メソッドファイル名“Method_2”が登録されている。各分析メソッドファイルは記憶部12に記憶されている。
【0042】
図2の分析装置1の分析制御部11は、記憶部12に記憶されるスケジュールテーブルSTに従って1以上の分析スケジュールの各分析が順に実行されるように分析装置1の各部を制御する。表示部14には、記憶部12に記憶されたスケジュールテーブルSTが表示される。ユーザは、操作部13を用いてスケジュールテーブルSTに登録された分析スケジュールまたは分析を削除することができ、スケジュールテーブルSTに新たな分析スケジュールまたは分析を登録することができる。
【0043】
図1の流体残量管理装置2のデータ処理装置21は、複数の分析装置1からスケジュールテーブルSTを取得し、取得したスケジュールテーブルSTを統合することによりスケジュール情報を作成する。スケジュール情報は、複数の分析装置1について1以上の分析スケジュールの実行順序および分析スケジュールの優先度等を含む。スケジュール情報は、表示装置24により管理画面に表示される。
【0044】
(4)管理画面
図4図1の流体残量管理装置2の表示装置24に表示される管理画面の一例を示す模式図である。
【0045】
図4に示すように、管理画面ADには、複数の分析装置1a~1cの装置番号“1a”~“1c”が表示され、装置番号“1a”~“1c”にそれぞれ対応するチェックボックスCHa~CHcが表示されている。また、装置番号“1a”に対応するスケジュール番号“sa1”~“sa3”が表示され、装置番号“1b”に対応するスケジュール番号“sb1”~“sb3”が表示され、装置番号“1c”に対応するスケジュール番号“sc1”~“sc3”が表示されている。さらに、スケジュール番号“sa1”~“sa3”,“sb1”~“sb3”,“sc1”~“sc3”に対応するチェックボックスCHa1~CHa3,CHb1~CHb3,CHc1~CHc3がそれぞれ表示されている。チェックボックスにチェックが付されることにより、対応する分析装置1または対応する分析スケジュールが選択状態となる。チェックボックスのチェックが外されることにより、対応する分析装置1または対応する分析スケジュールが非選択状態となる。非選択状態の分析装置1は稼働されない。また、非選択状態の分析スケジュールは実行されない。
【0046】
管理画面ADには、装置番号“1a”~“1c”に対応する優先度の入力欄PR1~PR3が表示されている。また、スケジュール番号“sa1”~“sa3”,“sb1”~“sb3”,“sc1”~“sc3”に対応する優先度の入力欄PR11~PR13,PR21~PR23,PR31~PR33が表示されている。管理画面ADの最上部の表示欄30a,30bには、ガスボンベ3a,3bの交換時期が表示されている。また、表示欄30a,30bに対応して警告表示部31a,31bが表示されている。
【0047】
図4の例では、チェックボックスCHa~CHcにチェックが付されている。この場合、分析装置1a,1b,1cが稼働する。また、チェックボックスCHa1~CHa3,CHb1~CHb3,CHc1,CHc2にチェックが付され、チェックボックスCHc3が空欄となっている。この場合、分析装置1aにおいては、スケジュール番号“sa1~“sa3の分析スケジュールが順に実行される。分析装置1bにおいては、スケジュール番号“sb1~“sb3の分析スケジュールが順に実行される。分析装置1cにおいては、スケジュール番号“sc1,“sc2の分析スケジュールが順に実行され、スケジュール番号“sc3の分析スケジュールの実行は保留される。
【0048】
ユーザは、優先度の入力欄PR1~PR3,PR11~PR13,PR21~PR23,PR31~PR33に優先度を入力することができる。図4の例では、分析装置1aの優先度が分析装置1b,1cの優先度よりも高い。スケジュール番号“sa1の分析スケジュールの優先度はスケジュール番号“sb1およびスケジュール番号“sc1の分析スケジュールよりも高い。なお、データ処理装置21が、各分析装置1および各分析スケジュールの優先度を自動的に設定してもよい。
【0049】
(5)流体残量管理装置2の機能的な構成
図5図1の流体残量管理装置2の機能的な構成を示すブロック図である。
【0050】
図5に示すように、データ処理装置21は、特定時期取得部211、特定時期更新部212、残量初期値取得部213、使用量取得部214、残量算出部215および残量更新部216を含む。また、データ処理装置21は、使用予定量予測部217、残量不足時期判定部218、交換時期設定部219、交換時期予告部220、交換判定部221、交換時期到来判定部222、警告報知部223および実行時期変更部224を含む。さらに、データ処理装置21は、スケジュールテーブル取得部225、スケジュール情報作成部226、管理画面作成部227および優先度設定部228を含む。上記の構成要素(211~227)の機能は、CPUがROMまたは記憶装置22等の記憶媒体(記録媒体)に記憶されたコンピュータプログラムである流体残量管理プログラムを実行することにより実現される。なお、流体残量管理装置2の一部または全ての構成要素が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0051】
記憶装置22は、特定時期記憶部231、残量記憶部232、使用量変化記憶部233およびスケジュール情報記憶部234を含む。
【0052】
特定時期取得部211は、カレンダー情報に基づいて特定時期を取得する。この場合、特定時期は、土曜日、日曜日、祝日および休日である。また、特定時期取得部211は、インターネット等を通して天気予報を取得し、取得した天気予報に基づいて雨天日を特定時期として取得してもよい。特定時期記憶部231は、特定時期取得部211により取得された特定時期を記憶する。特定時期更新部212は、特定時期記憶部231に記憶された特定時期を更新する。例えば、特定時期更新部212は、年度が変わったときに新年度のカレンダー情報に基づいて特定時期を更新する。また、特定時期更新部212は、天気予報が更新されたときに特定時期を更新する。ユーザは、情報入力部23を用いて特定時期を設定または変更することができる。
【0053】
ユーザは、使用済みのガスボンベ3a,3bを新たなガスボンベ3a,3bと交換したときに、新たなガスボンベ3a,3bに貯蔵されるガスの量を残量初期値として情報入力部23を用いて入力する。ガスボンベ3a,3b内のガスの量はガスの体積またはガスの圧力で表される。残量初期値取得部213は、入力された残量初期値を取得する。残量記憶部232は、各ガスボンベ3a,3bの残量初期値を残量として記憶する。使用量取得部214は、各分析装置1から各ガスの使用量を取得する。この場合、各分析装置1が定期的に流体残量管理装置2に各ガスの使用量を送信し、使用量取得部214が受信した使用量を取得してもよい。あるいは、使用量取得部214が使用量の送信を各分析装置1に要求し、要求に従って各分析装置1により送信された使用量を使用量取得部214が取得してもよい。
【0054】
残量算出部215は、使用量取得部214により取得された各ガスの使用量に基づいて複数の分析装置1における各ガスの合計の使用量を算出する。残量更新部216は、残量算出部215により算出された合計の使用量を残量記憶部232に記憶された残量から減算することにより残量記憶部232に記憶される各ガスの残量を更新する。
【0055】
また、使用量変化記憶部233は、使用量取得部214により取得された各ガスの使用量の時間的な変化を記憶する。使用予定量予測部217は、使用量変化記憶部233に記憶された各ガスの使用量の変化に基づいて現時点以降の各ガスの使用予定量の推移(変化)を予測する。使用予定量の推移は、例えば1次または多次の関数で表される。あるいは、使用予定量予測部217は、各分析装置1から取得されたスケジュールテープSTにより特定される分析メソッドファイル内の各ガスの流量および供給時間に基づいて、現時点以降の各ガスの使用予定量の推移を予測する。
【0056】
残量不足時期判定部218は、残量記憶部232に記憶された各ガスの残量および使用予定量予測部217により予測された各ガスの使用予定量の推移に基いて各ガスボンベ3a,3bの残量の不足が発生する時期を残量不足時期として算出する。ここで、残量の不足とは、各ガスボンベ3a,3bの残量が0になる場合に限らず、各ガスボンベ3a,3bの残量が1回の分析スケジュールを完了するために必要な量に満たない場合をいう。
【0057】
交換時期設定部219は、残量不足時期判定部218により算出された残量不足時期と特定時期記憶部231に記憶された特定時期とに基づいて各ガスボンベ3a,3bの交換時期を設定する。残量交換時期が特定時期内にある場合には、交換時期が特定時期よりも所定日数前に設定される。なお、所定日数は、例えば、ガスボンベ3a,3bの在庫がない場合を想定して、ガスボンベ3a,3bの注文から接続までの時間を考慮して設定される。交換時期予告部220は、交換時期設定部219により設定された各ガスボンベ3a,3bの交換時期を図4の管理画面ADに表示させるように表示装置24を制御する。また、交換時期予告部220は、各ガスボンベ3a,3bの交換時期を各分析装置1の表示部14に表示させるように各分析装置1の分析制御部11に指令を与える。交換時期予告部220は、各ガスボンベ3a,3bの交換時期を表示装置24または表示部14に常時表示させてもよく、交換時期の到来時または到来時の所定日前から交換時期の到来時までの期間に表示させてもよい。
【0058】
スケジュールテーブル取得部225は、複数の分析装置1からスケジュールテーブルSTを取得する。スケジュール情報作成部226は、スケジュールテーブル取得部225により取得された複数の分析装置1のスケジュールテーブルSTを統合することによりスケジュール情報を作成する。スケジュール情報記憶部234は、スケジュール情報作成部226により作成されたスケジュール情報を記憶する。各分析装置1のユーザがスケジュールテーブルSTを更新した場合には、スケジュール情報作成部226は、スケジュールテーブル取得部225により取得されたスケジュールテーブルSTに基づいてスケジュール情報記憶部234に記憶されるスケジュール情報を更新する。
【0059】
管理画面作成部227は、スケジュール情報記憶部234に記憶されたスケジュール情報に基づいて管理画面ADを作成し、作成した管理画面ADを表示装置24に表示させる。ユーザが管理画面ADにおいてチェックボックスCHa~CHc,CHa1~CHa3,CHb1~CHb3,CHc1~CHc3のチェックの有無を変更した場合には、スケジュール情報作成部226がスケジュール情報記憶部234に記憶されるスケジュール情報を更新する。
【0060】
ユーザは、情報入力部23を用いて管理画面ADにおいて複数の分析装置1および複数の分析スケジュールに優先度を設定することができる。優先度設定部228は、情報入力部23により入力された優先度を各分析装置1および各分析スケジュールに設定する。
【0061】
交換判定部221は、複数の分析装置1に接続されたガスボンベ3a,3bが新たなガスボンベ3a,3bに交換されたか否かを判定する。例えば、ユーザは、各ガスボンベ3a,3bの交換を行った場合に、情報入力部23によりガスボンベ3aが交換されたことをデータ処理装置21に通知するとともに、情報入力部23により新たなガスボンベ3a,3bの残量初期値を入力する。
【0062】
交換時期到来判定部222は、ガスボンベ3a,3bの交換時期が到来したか否かを判定する。警告報知部223は、ガスボンベ3a,3bが交換されることなく交換時期が到来した場合に、使用済みのガスボンベ3a,3bを新たなガスボンベ3a,3bと交換すべきことを示す警告を表示装置24により報知する。また、警告報知部223は、各分析装置1の表示部14に警告を表示させてもよい。本実施の形態では、図4の警告表示部31a,31bの一方または両方が点滅する。なお、警告の報知方法は、本実施の形態の方法に限らず、警告が文字で表示されてもよく、音声により警告が報知されてもよい。
【0063】
実行時期変更部224は、警告表示部31a,31bの点滅後の一定期間内にガスボンベ3a,3bが交換されない場合に、優先度設定部228により設定された優先度に基づいて一部の分析装置1の稼働時期または一部の分析スケジュールの実行時期を変更する。具体的には、実行時期変更部224は、低い優先度を有する分析装置1の稼働を停止させるか、または低い優先度を有する分析スケジュールの実行を保留にする。それにより、各ガスの残量不足が生じることなく、高い優先度を有する分析装置1を稼働させることまたは高い優先度を有する分析スケジュールを実行することが可能となる。この場合、ガスボンベ3a,3bの交換時期が遅らされる。ガスボンベ3a,3bの交換後に停止していた分析装置1が稼働し、保留されていた分析スケジュールが実行される。
【0064】
(6)流体残量管理プログラム
図6および図7は流体残量管理プログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。また、図8および図9は残量不足時期、交換時期および特定時期の関係を説明するための図である。以下、ガスボンベ3aの流体残量管理方法を説明する。ガスボンベ3bの流体残量管理方法についても同様である。
【0065】
まず、図5の特定時期取得部211は、特定時期を取得し(ステップS1)、取得した特定時期を特定時期記憶部231に記憶させる(ステップS2)。本実施の形態では、特定時期は、土曜日、日曜日、祝日および休日ならびに天気予報による雨天日である。図8の例では、土曜日、日曜日および雨天日が特定時期SPである。
【0066】
ここで、ユーザは、使用済みのガスボンベ3aを新たなガスボンベ3aと交換すると、新たなガスボンベ3aに貯蔵されたガスの量を残量初期値として情報入力部23により入力する。残量初期値取得部213は、入力された残量初期値を取得し(ステップS3)、取得した残量初期値を残量として残量記憶部232に記憶させる(ステップS4)。
【0067】
次に、特定時期更新部212は、情報入力部23を通して特定時期が更新されたか否かを判定する(ステップS5)。例えば、情報入力部23を用いてユーザにより休日等の特定時期が変更されたか否かが判定される。また、天気予報が変化することにより雨天日が変更されたか否かが判定される。特定時期が更新されていない場合には、特定時期更新部212はステップS7に進む。特定時期が更新された場合には、特定時期更新部212は、特定時期記憶部231に記憶された特定時期を更新する(ステップS6)。
【0068】
使用量取得部214は、前回のガスの使用量の取得時から現時点までのガスの使用量を複数の分析装置1からそれぞれ取得する(ステップS7)。残量算出部215は、残量記憶部232に記憶された残量から複数の分析装置1における使用量の合計を減算することによりガスボンベ3aにおけるガスの残量を算出する(ステップS8)。残量更新部216は、残量記憶部232に記憶された残量を残量算出部215により算出された残量に更新する(ステップS9)。図8の例では、現時点よりも前の残量の変化が太い実線L1で示されている。
【0069】
スケジュールテーブル取得部225は、複数の分析装置1からスケジュールテーブルSTを取得する(ステップS10)。スケジュール情報作成部226は、取得された複数の分析装置1a~1cのスケジュールテーブルSTを統合することによりスケジュール情報を作成する(ステップS11)。スケジュール情報作成部226は、作成したスケジュール情報をスケジュール情報記憶部234に記憶させる(ステップS12)。管理画面作成部227は、スケジュール情報記憶部234に記憶されたスケジュール情報に基づいて管理画面ADを作成し、作成した管理画面ADを表示装置24に表示させる(ステップS13)。
【0070】
ユーザは、管理画面ADの入力欄PR1~PR3,PR11~PR13,PR21~PR23,PR31~PR33に情報入力部23により優先度を入力することができる。優先度設定部228は、管理画面AD上でユーザにより優先度が入力されたか否かを判定する(ステップS14)。優先度が入力された場合には、優先度設定部228は、スケジュール情報において各分析装置1または各分析スケジュールの優先度を設定する(ステップS15)。ステップS14において優先度が入力されていない場合には、ステップS15がスキップされる。
【0071】
スケジュール情報作成部226は、管理画面ADにおいて各分析装置1または各分析スケジュールの選択状態が変更されたか否かを判定する(ステップS16)。各分析装置1または各分析スケジュールの選択状態が変更された場合には、スケジュール情報作成部226はステップS11に戻り、スケジュール情報を更新する。その後、ステップS12~16の処理が行われる。
【0072】
スケジュールテーブル取得部225は、いずれかの分析装置1においてスケジュールテーブルSTが変更されたか否かを判定する(ステップS17)。例えば、ユーザは、図3のスケジュールテーブルSTにおいて分析スケジュールを追加、変更または削除することができる。いずれかの分析装置1においてスケジュールテーブルSTが変更された場合には、スケジュールテーブル取得部225はステップS10に戻り、変更後のスケジュールテーブルSTを取得する。その後、ステップS11~S17の処理が行われる。
【0073】
複数の分析装置1のいずれにおいてもスケジュールテーブルSTが変更されていない場合には、使用予定量予測部217は、現時点以降のガスの使用予定量の推移を予測する(ステップS18)。図8では、現時点以降のガスの使用予定量の推移が一点鎖線で示されている。
【0074】
残量不足時期判定部218は、残量記憶部232に記憶された残量および使用予定量予測部217により予測された使用予定量の推移に基づいて残量不足時期を算出する(ステップS19)。図8の例では、残量不足時期が特定時期SPの土曜日となる。
【0075】
交換時期設定部219は、残量不足時期が特定時期内であるか否かを判定する(ステップS20)。図8の例では、残量不足期間が特定時期SPの土曜日となる。残量不足時期が特定時期内である場合には、交換時期設定部219は、特定時期よりも所定日数前に交換時期を設定する(ステップS21)。図8の例では、交換時期が特定時期SPの土曜日の3日前の水曜日に設定される。
【0076】
残量不足時期が特定時期外である場合には、交換時期設定部219は、残量不足期間よりも所定日数前に交換時期を設定する(ステップS22)。交換時期予告部220は、交換時期設定部219により設定された交換時期を表示装置24により予告する(ステップS23)。例えば、図4の管理画面ADの表示欄30aにガスボンベ3aの交換時期が表示される。なお、各分析装置1の表示部14にガスボンベ3aの交換時期が表示されてもよい。また、交換時期が音声により予告されてもよい。
【0077】
次に、交換判定部221は、使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換されたか否かを判定する(ステップS24)。使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換された場合には、交換判定部221は、ステップS3に戻り、残量初期値取得部213が新たなガスボンベ3aの残量初期値を取得する。その後、ステップS4~S24の処理が行われる。
【0078】
使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換されていない場合には、交換時期到来判定部222は交換時期が到来したか否かを判定する(ステップS25)。交換時期が到来していない場合には、交換時期到来判定部222はステップS7に戻り、使用量取得部214が各分析装置1におけるガスの使用量を取得する。その後、ステップS8~S25の処理が行われる。
【0079】
ステップS25において交換時期が到来した場合には、警告報知部223は、表示装置24により警告を報知する(ステップS26)。図8の例では、使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換されずに交換時期が到来した場合に、交換時期に警告が報知される。具体的には、図4の管理画面ADの警告表示部31aが点滅する。また、各分析装置1の表示部14により警告が報知される。
【0080】
一定期間後、交換判定部221は、使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換されたか否かを判定する(ステップS27)。使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換された場合には、交換判定部221は、ステップS3に戻り、残量初期値取得部213が新たなガスボンベ3aの残量初期値を取得する。その後、ステップS4~S27の処理が行われる。
【0081】
ステップS27において、使用済みのガスボンベ3aが新たなガスボンベ3aに交換されていない場合には、実行時期変更部224は、優先度設定部228により設定された優先度に基づいて少なくとも一部の分析装置1の稼働時期または少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更する(ステップS28)。具体的には、低い優先度を有する分析装置1の稼働または低い優先度を有する分析スケジュールの実行が停止される。例えば、実行時期変更部224は、図4の管理画面ADにおいて低い優先度を有する分析装置1または分析スケジュールに対応するチェックボックスのチェックを外す。それにより、対応する分析装置1または対応する分析スケジュールが非選択状態となる。実行時期変更部224は、非選択状態となった分析装置1または非選択状態となった分析スケジュールに対応する分析装置1にスケジュールテーブルSTの変更を指示する。スケジュールテーブルSTが変更された後、実行時期変更部224は、ステップS10に戻り、スケジュールテーブル取得部225が変更後のスケジュールテーブルSTを取得する。その後、ステップS11~S28の処理が行われる。
【0082】
上記のステップS16において、管理画面ADのいずれかのチェックボックスのチェックが外されることによりいずれかの分析装置1またはいずれかの分析スケジュールが非選択状態に変更された場合には、図9に一点鎖線L2で示されるように、現時点以降の残量の推移が変更される。図9の例では、残量不足時期が図8の例における土曜日から翌週の木曜日に変更される。これにより、残量不足時期が特定時期SP外となる。この場合、交換時期が月曜日に再設定され、月曜日の交換時期が到来したときに警告が報知される。
【0083】
(7)実施の形態の効果
本実施の形態に係る流体残量管理装置2によれば、一または複数の分析装置1において現時点以降に使用されるガスの使用予定量の推移が予測され、予測された使用予定量の推移に基づいて残量不足時期が判定される。この場合、各ガスボンベ3a,3bにおけるガスの残量を直接検出することなく、かつ各ガスボンベ3a,3bに接続される分析装置1の数に関わらず、各ガスボンベ3a,3bにおけるガスの残量不足時期が判定される。また、各ガスボンベ3a,3bの交換時期に警告が報知される。それにより、ユーザは、各ガスボンベ3a,3bの交換を促される。したがって、ユーザは、各ガスボンベ3a,3bのガスの残量が不足する前に各ガスボンベ3a,3bの発注作業または交換作業を行うことができる。その結果、ガスの残量不足により分析が停止することが防止される。
【0084】
また、各ガスボンベ3a,3bの交換時期が予告される。それにより、ユーザは、各ガスボンベ3a,3bの交換時期を事前に把握することができる。
【0085】
残量不足時期が特定時期内にある場合には、特定時期よりも前の時期が交換時期として予告される。また、特定時期よりも前の交換時期が到来した場合に警告が報知される。それにより、特定時期において各ガスボンベ3a,3bの交換が困難な場合に、事前に各ガスボンベ3a,3bを交換することが可能となる。したがって、特定時期中に分析装置1が停止することが防止される。その結果、分析装置1のダウンタイムを低減することができる。
【0086】
また、各ガスボンベ3a,3bの残量不足時期よりも前に各ガスボンベ3a,3bが交換されていない場合に、低い優先度を有する分析装置1の稼働時期または低い優先度を有する分析スケジュールの実行時期が変更される。それにより、高い優先度を有する分析装置1の稼働を継続することまたは高い優先度を有する分析スケジュールを実行することが可能となる。その結果、分析装置1のダウンタイムを低減することができる。
【0087】
さらに、残量不足時期が特定時期から外れるように優先度に基づいて少なくとも一部の分析装置1の稼働時期または少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期が変更される。この場合、低い優先度を有する分析装置1が停止されることにより、または低い優先度を有する分析スケジュールの実行が保留されることにより、特定時期に各ガスボンベ3a,3bのガスの残量が不足することが防止される。それにより、高い優先度を有する分析装置1を特定時期に稼働させることが可能となり、または高い優先度を有する分析スケジュールを特定時期に実行することが可能となる。
【0088】
(8)他の実施の形態
(8-1)上記実施の形態では、流体がヘリウムガスおよび水素ガスであるが、液体がN(窒素ガス)、Ar(アルゴンガス)等の他のガスであってもよい。また、流体が液体炭素または液体窒素等の液体であってもよい。上記実施の形態では、分析装置1がガスクロマトグラフであるが、分析装置1はガスクロマトグラフに限らず、流体を用いた分析を行う他の分析装置であってもよい。例えば、本発明は、分析装置1が例えばガスクロマトグラフ質量分析装置、全有機体炭素計(TOC)、または超臨界流体クロマトグラフ(SFC)等である場合にも適用可能である。
【0089】
(8-2)上記実施の形態では、流体残量管理装置2が複数の分析装置1とは別個に設けられているが、いずれかの分析装置1が流体残量管理装置2を含んでいてもよい。
【0090】
(8-3)上記実施の形態では、設定された交換時期が到来したときに警告が報知されるが、交換時期の一定期間前から交換時期まで警告が報知されてもよい。
【0091】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記実施の形態におけるガスボンベ3a,3bが流体源の例であり、使用予定量予測部217が予測部の例であり、残量不足時期判定部218が判定部の例であり、警告報知部223が報知部の例である。また、優先度設定部228が第1または第2の設定部の例であり、実行時期変更部224が第1または第2の変更部の例である。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を実現する他の種々の要素を用いることができる。
(10)態様
(10-1)一態様に従う流体残量管理装置は、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理装置であって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測する予測部と、予測部により予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定する判定部とを備えてもよい。
その流体残量管理装置によれば、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移が予測され、予測された使用予定量の推移に基づいて残量不足時期が判定される。それにより、流体源における流体の残量を直接検出することなく、かつ流体源に接続される分析装置の数に関わらず、流体源における流体の残量の不足時期を判定することが可能となる。その結果、流体源における流体の残量が不足する前に流体源を交換することができるため、分析装置による分析が停止することを防止することができる。
(10-2)流体残量管理装置は、判定部により判定された残量不足時期よりも前の時期に、流体源を交換すべきことを示す警告を報知する報知部をさらに備えてもよい。この場合、ユーザは、流体源の交換を促される。それにより、ユーザは、流体源の流体の残量が不足する前に流体源を交換することができる。したがって、流体の残量不足により分析が停止することが防止される。
(10-3)予測部は、一または複数の分析装置についての過去の流体の使用量の変化に基づいて使用予定量の推移を予測してもよい。この場合、使用予定量の推移を容易に予測することができる。
(10-4)予測部は、一または複数の分析装置の各々における分析スケジュールに基づいて使用予定量の推移を予測してもよい。この場合、使用予定量の推移を比較的正確に予測することができる。
(10-5)報知部は、判定部により判定された残量不足時期が特定時期内にある場合に、特定時期よりも前の時期に警告を報知してもよい。この場合、特定時期において流体源の交換が困難な場合に、事前に流体源を交換することが可能となる。
(10-6)流体残量管理装置は、一または複数の分析装置における複数の分析スケジュールに優先度を設定する第1の設定部と、第1の設定部により設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析スケジュールの実行時期を変更する第1の変更部とをさらに備えてもよい。
この場合、低い優先度を有する分析スケジュールの実行時期が変更されることにより、特定時期に流体源の流体の残量が不足することが防止される。それにより、高い優先度を有する分析スケジュールを特定時期に実行することが可能となる。
(10-7)流体残量管理装置は、複数の分析装置に優先度をそれぞれ設定する第2の設定部と、第2の設定部により設定された優先度に基づいて、残量不足時期が特定時期から外れるように少なくとも一部の分析装置の稼働時期を変更する第2の変更部とをさらに備えてもよい。
この場合、低い優先度を有する分析装置の稼働時期が変更されることにより、特定時期に流体源の流体の残量が不足することが防止される。それにより、高い優先度を有する分析装置を特定時期に稼働させることが可能となる。
(10-8)他の態様に従う分析システムは、流体源から供給される流体を用いて分析を行う1または複数の分析装置と、流体源における流体の残量を管理する上記の流体残量管理装置とを備えてもよい。
この場合、流体源における流体の残量を直接検出することなく、かつ流体源に接続される分析装置の数に関わらず、流体源における流体の残量の不足時期を判定することが可能となる。それにより、流体源における流体の残量が不足する前に流体源を交換することができるため、分析装置による分析が停止することを防止することができる。
(10-9)さらに他の態様に従う流体残量管理方法は、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理方法であって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップとを含んでもよい。
その流体残量管理方法によれば、流体源における流体の残量を直接検出することなく、かつ流体源に接続される分析装置の数に関わらず、流体源における流体の残量の不足時期を判定することが可能となる。それにより、流体源における流体の残量が不足する前に流体源を交換することができるため、分析装置による分析が停止することを防止することができる。
(10-10)流体残量管理方法は、判定部により判定された残量不足時期よりも前の時期に、流体源を交換すべきことを示す警告を報知するステップをさらに含んでもよい。この場合、ユーザは、流体源の交換を促される。それにより、ユーザは、流体源の流体の残量が不足する前に流体源を交換することができる。したがって、流体の残量不足により分析が停止することが防止される。
(10-11)報知するステップは、判定された残量不足時期が特定時期内にある場合に、特定時期よりも前の時期に警告を報知することを含んでもよい。
(10-12)さらに他の態様に従う流体残量管理プログラムは、一または複数の分析装置に流体を供給する流体源における流体の残量を管理する流体残量管理プログラムであって、一または複数の分析装置において現時点以降に使用される流体の使用予定量の推移を予測するステップと、予測された使用予定量の推移に基づいて流体源の流体の残量が不足する残量不足時期を判定するステップとを、コンピュータに実行させてもよい。
その流体残量管理プログラムによれば、流体源における流体の残量を直接検出することなく、かつ流体源に接続される分析装置の数に関わらず、流体源における流体の残量の不足時期を判定することが可能となる。それにより、流体源における流体の残量が不足する前に流体源を交換することができるため、分析装置による分析が停止することを防止することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9