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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】送風機および室内機
(51)【国際特許分類】
   F04D 17/04 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
F04D17/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021031769
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大貴
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-136192(JP,U)
【文献】特開2010-007609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多翼ファンと、
回転軸を中心に前記多翼ファンを回転させる機構とを備え、
前記多翼ファンは、
前記回転軸に平行である軸方向に並ぶ複数の羽根車と、
前記回転軸に垂直である平面に沿うように配置される仕切板とを有し、
前記仕切板は、
前記複数の羽根車のうちの2つの羽根車を隔てる本体部分と、
前記本体部分の回転軸に垂直となる外周側を囲む外周部分とを有し、
前記外周部分は、前記仕切板の外周縁に近づくにつれ薄くなるように形成され、
前記仕切板の外周縁は、周方向に連続する複数の外周縁部分から形成され、
前記複数の外周縁部分のうちの第1外周縁部分の前記軸方向における第1位置は、前記複数の外周縁部分のうちの前記第1外周縁部分と異なる第2外周縁部分の前記軸方向における第2位置と異なり、
前記2つの羽根車の一方の羽根車は、
前記外周部分のうちの前記第1外周縁部分が形成される第1外周部分に固定される複数の第1翼と、
前記外周部分のうちの前記第2外周縁部分が形成される第2外周部分に固定される複数の第2翼とを有す
送風機。
【請求項2】
前記回転軸が前記平面に交差する中心点から前記第1外周縁部分の両端にそれぞれ伸ばした2つの直線の間の第1中心角の角度は、前記中心点から前記第2外周縁部分の両端にそれぞれ伸ばした2つの線分の間の第2中心角の角度と異なる
請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記多翼ファンは、前記平面に平行である他の平面に沿うように配置される他の仕切板をさらに有し、
前記他の仕切板は、
前記複数の羽根車のうちの前記2つの羽根車と異なる他の2つの羽根車を隔てる他の本体部分と、
前記他の本体部分の回転軸に垂直となる外周側を囲む他の外周部分とを有し、
前記他の外周部分は、前記他の仕切板の外周縁に近づくにつれ薄くなるように形成され、
前記他の仕切板の外周縁は、周方向に連続する他の複数の外周縁部分から形成され、
前記他の複数の外周縁部分のうちの第3外周縁部分の前記軸方向における第3位置は、前記他の複数の外周縁部分のうちの前記第3外周縁部分と異なる第4外周縁部分の前記軸方向における第4位置と異なる
請求項1または請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
前記他の外周部分の形状は、前記外周部分の形状と異なる
請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
熱交換器と、
前記熱交換器を通過する気流を生成する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の送風機
とを備える室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、送風機および室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
貫流ファンが設けられた空気調和機の室内機が知られている。貫流ファンは、軸方向に並ぶ複数の羽根車と、複数の羽根車を隔てる複数の仕切板とを備えている。送風機は、仕切板の周縁の断面が三角形状に形成されることにより、仕切板に衝突する空気の乱流や剥離現象を低減し、風量の増加および低騒音化を図ることができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-173587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
羽根車から送風される空気が軸方向と直交する方向に吹き出されるが、仕切板付近に形成された境界層の影響で、隣り合う仕切板間の幅に境界層厚さを減じた幅の気流が吹出されていた。当該気流の幅が狭くなることで、送風機の風量が低下してしまう。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、吹き出される空気を軸方向に拡散させる送風機および室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による送風機は、多翼ファンと、回転軸を中心に前記多翼ファンを回転させる機構とを備えている。前記多翼ファンは、前記回転軸に平行である軸方向に並ぶ複数の羽根車と、前記回転軸に垂直である平面に沿うように配置される仕切板とを有している。前記仕切板は、前記複数の羽根車のうちの2つの羽根車を隔てる本体部分と、前記本体部分における回転軸に垂直となる平面上の外周側を囲む外周部分とを有している。前記外周部分は、前記仕切板の外周縁に近づくにつれ薄くなるように形成されている。前記仕切板の外周縁は、周方向に連続する複数の外周縁部分から形成されている。前記複数の外周縁部分のうちの第1外周縁部分の前記軸方向における第1位置は、前記複数の外周縁部分のうちの前記第1外周縁部分と異なる第2外周縁部分の前記軸方向における第2位置と異なり、前記2つの羽根車の一方の羽根車は、前記外周部分のうちの前記第1外周縁部分が形成される第1外周部分に固定される複数の第1翼と、前記外周部分のうちの前記第2外周縁部分が形成される第2外周部分に固定される複数の第2翼とを有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の送風機および室内機は、風量の低下を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例の送風機が設けられた室内機を示す断面図である。
図2図2は、実施例の送風機を示す斜視図である。
図3図3は、仕切板を示す平面図である。
図4図4は、外周部分を示す断面図である。
図5図5は、外周部分と異なる他の外周部分を示す断面図である。
図6図6は、実施例の送風機の風量と入力量との関係を示し、比較例の送風機の風量と入力量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる送風機および室内機について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例
【0010】
実施例の送風機1は、図1に示されているように、空気調和機の室内機10に設けられている。図1は、実施例の送風機1が設けられた室内機10を示す断面図である。空気調和機は、室内機10を備え、図示されていない室外機を備えている。室外機は、屋外に設置されている。室内機10は、屋外から隔てられた空調室の壁面に設置されている。室内機10は、送風機1と筐体2と熱交換器3とを備えている。筐体2の内部には、空気通路5が形成されている。筐体2の上部には、空気通路5と筐体2の外部とを連通させる吸込み口6が形成されている。熱交換器3は、空気通路5に配置されている。送風機1は、空気通路5のうちの熱交換器3の下部に配置されている。送風機1が後述する機構により回転駆動することで、熱交換器3を通過する気流を生成する。なお、以下の説明では、図1視点において左側を筐体2の前面側、右側を筐体2の背面側と呼ぶ。
【0011】
送風機1は、ファンケーシング7と貫流ファン8とを備えている。ファンケーシング7は、筐体2の内部に配置され、または、筐体2と一体に形成され、筐体2に固定されている。ファンケーシング7には、送風路11と吹き出し口12とが形成されている。送風路11は、ファンケーシング7の内部に形成されている。送風路11の一端は、空気通路5のうちの送風機1と熱交換器3との間の領域に接続されている。吹き出し口12は、ファンケーシング7の下端に配置されている。送風路11の他端は、吹き出し口12に接続され、吹き出し口12を介して室内機10の筐体2の外部に接続されている。
【0012】
貫流ファン8は、送風路11に配置されている。ファンケーシング7は、前面側舌部14と背面側舌部15とを備えている。前面側舌部14は、筐体2の前面側に配置されている。背面側舌部15は、筐体2の背面側に配置されている。
【0013】
図2は、実施例の送風機1を示す斜視図である。貫流ファン8は、概ね棒状に形成され、筐体2の幅方向(図1視点における奥行き方向)に沿うように送風路11に配置され、回転軸16を中心に回転可能にファンケーシング7に支持されている。貫流ファン8は、複数の羽根車31と複数の仕切板32と第1端板33と第2端板34とを備えている。複数の羽根車31は、回転軸16に平行である軸方向35に並び、複数の仕切板32を介して互いに固定されている。複数の羽根車31のうちの1つの羽根車36は、複数の翼41を備えている。複数の翼41の各々は、図1に示すように軸方向35に垂直な断面が扁平な形状を有し、回転軸16から外周方向に向かうにつれて回転方向40に湾曲する形状を有している。複数の翼41は、それぞれ、回転軸16を中心とする円周方向に並び、回転軸16に平行である軸方向35に沿うように配置されている。複数の羽根車31のうちの羽根車36と異なる他の羽根車は、羽根車36と同様に、複数の翼41を備えている。
【0014】
複数の仕切板32は、それぞれ、概ね円板状に形成されている。複数の仕切板32は、それぞれ、軸方向35に垂直となるように、配置されている。複数の仕切板32の各々は、複数の羽根車31のうちの2つの羽根車の間に配置され、その2つの羽根車の複数の翼41に固定されている。
【0015】
第1端板33は、概ね円板状に形成されている。第1端板33は、軸方向35に垂直である平面に沿うように貫流ファン8の一端に配置され、複数の羽根車31のうちの一端に配置される第1羽根車37の複数の翼41に固定されている。第2端板34は、概ね円板状に形成されている。第2端板34は、軸方向35に垂直である平面に沿うように貫流ファン8の他端に配置され、複数の羽根車31のうちの他端に配置される第2羽根車38の複数の翼41に固定されている。
【0016】
前面側舌部14は、帯状に形成され、軸方向35に平行である直線に沿うように、かつ、貫流ファン8の外周面に沿うように、送風路11の前面側に配置されている。背面側舌部15は、帯状に形成され、軸方向35に沿うように、かつ、貫流ファン8の外周面に沿うように、送風路11の背面側に配置されている。
【0017】
送風機1は、図示されていないモータ部をさらに備えている。モータ部は、図1に示されているように、回転軸16を中心に貫流ファン8を予め定められた回転方向40に回転させる機構である。
【0018】
複数の仕切板32のうちの1つの仕切板42は、図3に示されているように、円板状に形成されている。図3は、仕切板42を示す平面図である。仕切板42は、回転軸16を中心とする円に仕切板42の外周縁43が沿うように配置されている。仕切板42は、本体部分44と外周部分45とを備えている。本体部分44には、孔46が形成されている。孔46は、回転軸16を中心とする円に孔46の縁が沿うように、仕切板42の中央に形成されている。外周部分45は、本体部分44の回転軸に垂直となる外周側を囲むように形成されている。外周部分45には、外周縁43が形成されている。
【0019】
外周部分45は、図3において一点鎖線で示す境界を隔てて周方向に連続する複数の外周部分48-1~48-4から形成されている。このとき、外周縁43は、図3において一点鎖線で示す境界を隔てて周方向に連続し、複数の外周部分48-1~48-4に対応する複数の外周縁部分49-1~49-4から形成されている。複数の外周縁部分49-1~49-4のうちの外周部分48-1に対応する外周縁部分49-1(第1外周縁部分)は、外周部分48-1に形成されている。複数の外周縁部分49-1~49-4のうちの外周部分48-2に対応する外周縁部分49-2(第2外周縁部分)は、外周部分48-2に形成されている。複数の外周縁部分49-1~49-4のうちの外周部分48-3に対応する外周縁部分49-3(第3外周縁部分)は、外周部分48-3に形成されている。複数の外周縁部分49-1~49-4のうちの外周部分48-4に対応する外周縁部分49-4(第4外周縁部分)は、外周部分48-4に形成されている。
【0020】
このとき、複数の外周縁部分49-1~49-4の長さは、互いに異なり、複数の外周縁部分49-1~49-4に対応する複数の中心角θ1~θ4の角度は、互いに異なっている。すなわち、外周縁部分49-1に対応する中心角θ1(第1中心角)は、仕切板42が沿う平面に回転軸16が交差する中心点50から外周縁部分49-1の両端にそれぞれ伸ばした2つの直線の間の角である。外周縁部分49-2に対応する中心角θ2(第2中心角)は、中心点50から外周縁部分49-2の両端にそれぞれ伸ばした2つの直線の間の角である。中心角θ2の角度は、中心角θ1の角度と異なっている。外周縁部分49-3に対応する中心角θ3(第3中心角)は、中心点50から外周縁部分49-3の両端にそれぞれ伸ばした2つの直線の間の角である。中心角θ3の角度は、中心角θ1の角度と異なり、中心角θ2の角度と異なっている。外周縁部分49-4に対応する中心角θ4(第4中心角)は、中心点50から外周縁部分49-4の両端にそれぞれ伸ばした2つの直線の間の角である。中心角θ4の角度は、中心角θ1の角度と異なり、中心角θ2の角度と異なり、中心角θ3と異なっている。
【0021】
図4は、外周部分48-1を示す断面図である。外周部分48-1は、外周縁部分49-1が尖るように形成され、すなわち、外周縁部分49-1に近づくにつれ薄くなるように、形成されている。このとき、外周部分48-1のうちのある部分の厚さは、その部分と外周縁部分49-1との間の距離に概ね比例している。さらに、外周部分48-1のうちの本体部分44に繋がる端の厚さは、本体部分44の厚さに等しい。
【0022】
図5は、外周部分48-1と異なる他の外周部分48-2を示す断面図である。外周部分48-2は、外周部分48-1と概ね同様に、外周縁部分49-2が尖るように形成され、すなわち、外周縁部分49-2に近づくにつれ薄くなるように、形成されている。このとき、外周部分48-2のうちのある部分の厚さは、その部分と外周縁部分49-2との間の距離に概ね比例している。さらに、外周部分48-2のうちの本体部分44に繋がる端の厚さは、本体部分44の厚さに等しい。外周縁部分49-2の軸方向35における位置(第2位置)は、外周縁部分49-1の軸方向35における位置(第1位置)と異なっている。
【0023】
外周部分48-3は、外周部分48-1と概ね同様に、外周縁部分49-3が尖るように形成されている。外周縁部分49-3の軸方向35における位置(第3位置)は、外周縁部分49-1の軸方向35における位置(第1位置)と異なり、外周縁部分49-2の軸方向35における位置(第2位置)と異なっている。外周部分48-4は、外周部分48-1と概ね同様に、外周縁部分49-4が尖るように形成されている。外周縁部分49-4の軸方向35における位置(第4位置)は、外周縁部分49-1の軸方向35における位置(第1位置)と異なり、外周縁部分49-2の軸方向35における位置(第2位置)と異なり、外周縁部分49-3の軸方向35における位置(第3位置)と異なっている。
【0024】
複数の仕切板32のうちの仕切板42と異なる他の仕切板は、仕切板42の外周部分が他の外周縁部分に置換され、他の部分は、仕切板42と同様に形成されている。その置換された外周部分の形状は、外周部分のうちの複数の中心角θ1~θ4に対応する複数の中心角が仕切板42の複数の中心角θ1~θ4と異なるように、仕切板42の外周部分の形状と異なっている。このように、複数の仕切板32は、複数の中心角θ1~θ4に対応する部分が異なるように、形状が互いに異なっている。
【0025】
空気調和機は、室内機10と室外機とに冷媒を循環させる。室外機は、冷媒と外気とを熱交換する。送風機1は、回転軸16を中心に貫流ファン8を回転方向Rに回転させる。送風機1は、貫流ファン8が回転することにより、空調室の空気を室内機10の吸込み口6から空気通路5に供給する。熱交換器3は、吸込み口6から空気通路5に供給された空気と冷媒とを熱交換し、空気通路5に供給された空気の温度を調節する。送風機1は、貫流ファン8が回転することにより、さらに、熱交換器3により温度が調節された空気を吹き出し口12から空調室に吹き出す。空気調和機は、このような動作により空調室を冷房または暖房することができる。
【0026】
熱交換器3により温度調節された空気が送風路11を流れるときに、送風路11を流れる空気の一部が複数の仕切板32の各々の外周縁43に衝突する。送風機1は、外周縁43が尖っていることにより、外周縁部分49-1~49-4において空気の衝突を和らげ、空気の衝突に起因する送風路11を流れる空気の乱流や剥離現象を低減することができ、空気が送風路11を流れるときの圧力損失を低減することができる。送風機1は、圧力損失が低減されることにより、図示しないモータ部が貫流ファン8を回転させるときに消費される電力を低減することができる。送風機1は、さらに、複数の仕切板32の表面付近は主流と比較して風速が遅い境界層が形成されるが、複数の仕切板32の外周縁43の軸方向35における位置が異なっていることにより、周方向に並ぶ翼41間を流れる主流の幅を広げることができる。室内機10は、複数の仕切板32のうちの隣り合う仕切板間を流れる主流の軸方向35の幅を広げることにより、送風機1を通過する空気の圧力損失を低減することができる。送風機1は、さらに、複数の外周縁部分49-1~49-4の長さが互いに異なっていることにより、ピッチ音の音圧エネルギーを低減できる。
【0027】
[比較例の送風機]
比較例の送風機は、既述の実施例の送風機1の複数の仕切板32が他の複数の仕切板に置換され、他の部分は、既述の実施例の送風機1と同じである。その置換された複数の仕切板は、外周部分の厚さが、一定であり、本体部分44の厚さに等しい。すなわち、その複数の仕切板の外周縁は、尖っておらず、外周縁には、回転軸16を中心軸とする円柱面に沿う端面が形成されている。
【0028】
図6は、実施例の送風機1の風量と入力量との関係を示し、比較例の送風機の風量と入力量との関係を示すグラフである。風量は、送風機1または比較例の送風機が単位時間当たりに吹き出し口12から吹き出す空気の量を示している。入力量は、空気が吹き出し口12から吹き出されるときに、送風機1または比較例の送風機が貫流ファンを回転させるために消費する電力を示している。曲線61は、送風機1の風量が大きいほど送風機1の入力量が大きくなることを示している。曲線62は、比較例の送風機の風量が大きいほど比較例の送風機の入力量が大きくなることを示している。曲線61と曲線62とは、送風機1の風量と比較例の送風機の風量とが等しいときに、送風機1の入力量が比較例の送風機の入力量より小さいことを示している。すなわち、曲線61と曲線62とは、送風機1が入力量を低減することができることを示している。曲線61と曲線62とは、さらに、貫流ファン8を通過する空気の圧力損失を送風機1が低減することを示している。
【0029】
[実施例の送風機1の効果]
実施例の送風機1は、貫流ファン8と、回転軸16を中心に貫流ファン8を回転させるモータ部とを備えている。貫流ファン8は、軸方向35に平行である軸方向35に並ぶ複数の羽根車31と、軸方向35に垂直である平面に沿うように配置される仕切板42とを備えている。仕切板42は、複数の羽根車31のうちの2つの羽根車を隔てる本体部分44と、本体部分44の回転軸に垂直となる外周側を囲む外周部分45とを備えている。外周部分45は、仕切板42の外周縁43に近づくにつれ薄くなるように形成され、すなわち、外周縁43は、尖っている。仕切板42の外周縁43は、周方向に連続する複数の外周縁部分49-1~49-4から形成されている。複数の外周縁部分49-1~49-4のうちの外周縁部分49-1の軸方向35における位置は、複数の外周縁部分49-1~49-4のうちの外周縁部分49-1と異なる外周縁部分49-2の軸方向35における位置と異なっている。
【0030】
このとき、実施例の送風機1は、仕切板42の外周縁43が尖っていることにより、空気が送風されるときの圧力損失を低減し、入力量を低減することができる。実施例の送風機1は、さらに、複数の外周縁部分49-1~49-4の軸方向35における位置が互いに異なっていることにより、複数の仕切板32のうちの隣り合う仕切板間を流れる主流の軸方向35の幅を広げることができる。実施例の送風機1が設けられた室内機10は、吹き出される空気が軸方向35に分散することにより、温度調節された空気を空調室に向けて広角に送ることができ、空調室を適切に冷房または暖房することができる。
【0031】
また、実施例の送風機1の外周縁部分49-1に対応する中心角θ1の角度は、外周縁部分49-2に対応する中心角θ2の角度と異なっている。中心角θ1は、仕切板42が沿う平面に回転軸16が交差する中心点50から外周縁部分49-1の両端にそれぞれ伸ばした2つの直線の間の角である。中心角θ2は、中心点50から外周縁部分49-2の両端にそれぞれ伸ばした2つの線分の間の角である。このとき、実施例の送風機1は、複数の外周縁部分49-1~49-4の各々の周方向の長さが互いに異なっていることにより、複数の仕切板32のうちの隣り合う仕切板間を流れる主流の軸方向35の幅を広げることができる。
【0032】
また、実施例の送風機1の貫流ファン8は、仕切板42が沿う平面に平行である他の平面に沿うように配置される他の仕切板をさらに備えている。その仕切板は、仕切板42と同様に、外周縁43が尖っており、すなわち、外周縁43に近づくにつれ薄くなるように形成されている。その仕切板の外周縁は、仕切板42の外周縁43と同様に、軸方向35における位置が互いに異なる複数の外周縁部分から形成されている。このとき、実施例の送風機1は、複数の外周縁部分49-1~49-4が形成されている仕切板が1つだけ設けられているものに比較して、送風される空気の圧力損失をより低減することができる。
【0033】
また、実施例の送風機1の複数の仕切板32は、複数の中心角θ1~θ4の角度が仕切板ごとに異なるように、形状が互いに異なっている。このとき、複数の外周縁部分49-1~49-4の軸方向35における位置は、複数の仕切板32ごとに同期することがない。このため、実施例の送風機1は、複数の外周縁部分49-1~49-4の軸方向35における位置が同期している他の送風機に比較して、複数の仕切板32のうちの隣り合う仕切板間を流れる主流の軸方向35の幅を広げることができる。
【0034】
ところで、既述の実施例の送風機1は、複数の中心角θ1~θ4が複数の仕切板32ごとに異なっているが、複数の仕切板32の形状が互いに等しくてもよい。送風機は、複数の仕切板32の形状が互いに等しい場合でも、既述の実施例の送風機1と同様に、送風される空気の圧力損失を低減することができる。
【0035】
ところで、既述の実施例の送風機1は、複数の中心角θ1~θ4が互いに異なるように複数の仕切板32が形成されているが、複数の中心角θ1~θ4が互いに等しくなるように複数の仕切板32が形成されてもよい。送風機は、複数の中心角θ1~θ4が互いに等しい場合でも、既述の実施例の送風機1と同様に、送風される空気の圧力損失を低減することができる。
【0036】
ところで、既述の実施例の送風機1は、複数の仕切板32の全部の外周縁43が尖っているが、複数の仕切版に外周縁43が尖っていない仕切板42が含まれていてもよい。送風機は、外周縁43が尖っていない仕切板が一部含まれている場合でも、既述の実施例の送風機1と同様に、送風される空気の圧力損失を低減することができる。
【0037】
ところで、既述の実施例の送風機1の複数の仕切板32は、空気を半径方向から吸い込んで他の半径方向に吹き出す貫流ファン8に設けられているが、貫流ファンと異なる多翼ファンに設けられてもよい。貫流ファン8としては、空気を軸方向から吸い込んで半径方向に吹き出す遠心ファンが例示される。このような送風機も、既述の実施例の送風機1と同様にして、送風される空気の圧力損失を低減することができる。
【0038】
ところで、既述の実施例の送風機1は、空気調和機の室内機10に利用されているが、室内機10と異なる他の装置に利用されてもよい。その装置としては、エアカーテン装置が例示される。
【0039】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 :送風機
2 :筐体
3 :熱交換器
5 :空気通路
6 :吸込み口
7 :ファンケーシング
8 :貫流ファン
10:室内機
11:送風路
12:吹き出し口
14:前面側舌部
15:背面側舌部
16:回転軸
31:複数の羽根車
32:複数の仕切板
33:第1端板
34:第2端板
35:軸方向
36:羽根車
42:仕切板
43:外周縁
44:本体部分
45:外周部分
48-1~48-4:複数の外周部分
49-1~49-4:複数の外周縁部分
50:中心点
【要約】
【課題】送風される空気の抵抗を低減する。
【解決手段】送風機は、貫流ファンと、回転軸を中心に貫流ファンを回転させるモータ部とを備えている。貫流ファンは、回転軸に平行である軸方向35に並ぶ複数の羽根車と、複数の羽根車のうちの2つの羽根車を隔てる仕切板42とを備えている。仕切板42は、本体部分44と、本体部分44を囲む外周部分とを備えている。外周部分は、仕切板42の外周縁に近づくにつれ薄くなるように形成されている。仕切板42の外周縁は、複数の外周縁部分から形成されている。複数の外周縁部分のうちの外周縁部分49-1の軸方向35における位置は、複数の外周縁部分のうちの外周縁部分49-1と異なる外周縁部分の軸方向35における位置と異なっている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6