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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/00 20060101AFI20220809BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20220809BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220809BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220809BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G08C15/00 D
E03F7/00
H04Q9/00 311J
H02J7/00 302C
H02J9/06 110
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021048058
(22)【出願日】2021-03-23
(62)【分割の表示】P 2019169935の分割
【原出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021106012
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2018175493
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】興津 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅彦
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-240621(JP,A)
【文献】特開2001-134881(JP,A)
【文献】特開2016-084991(JP,A)
【文献】特開2011-083057(JP,A)
【文献】特開平02-101937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
H04Q 9/00
H02J 7/00- 7/36
H02J 9/06
E03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置と、当該監視装置から送信された検出データを上位ネットワーク経由で受信する上位コンピュータと、を備えた監視システムであって、
前記監視装置は、
複数個の電池を有した電源部と、
監視対象の状態を計測する計測部と、
前記上位ネットワークとの間で無線通信によりデータ通信する通信部と、
前記電源部,前記計測部,前記通信部を制御する制御部と、を備え、
前記電源部の各電池は、それぞれ前記制御部との間に介在する開閉スイッチにより、当該制御部に対して電気的断続可能に接続されており、
前記制御部は、
前記各開閉スイッチを開閉操作する開閉操作機能部と、
前記制御部に対する前記電源部の状態を検出する電源管理機能部と、
前記計測部で計測されたデータを検出する計測部検出機能部と、
前記電源管理機能部および前記計測部検出機能部で検出した検出データを、前記通信部を介して前記上位ネットワークに送信する通信機能部と、
前記制御部を起動状態とスリープ状態とに交互に切り替える制御部切替機能部と、
を備え、前記開閉操作機能部によって前記各開閉スイッチの少なくとも一つが閉状態となり、当該閉状態によって前記制御部に電気的接続されている電池により、当該制御部が動作し、
前記電源管理機能部は、前記制御部に対する入力電圧を検出し、
前記制御部切替機能部は、前記電源管理機能部で検出した入力電圧値が所定の入力電圧閾値未満になった場合に、前記制御部を再起動してリセットし、
前記開閉操作機能部は、前記制御部切替機能部によるリセット回数がn回(nは任意で設定される1以上の整数)に達した場合に、前記制御部と電気的接続されていた電池に係る開閉スイッチを開状態にし、前記制御部と電気的遮断されていた電池に係る開閉スイッチを閉状態にし、
前記上位コンピュータは、前記監視装置の前記制御部に対する指令データを、前記上位ネットワーク経由で前記監視装置に送信し、
前記制御部の各機能部は、前記上位コンピュータからの指令データに基づいて動作可能であることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記電源管理機能部は、前記制御部の起動時に、前記各電池の出力電圧を検出し、
前記制御部は、前記検出した出力電圧値と所定の出力電圧閾値とを比較して、前記監視装置の運用に対する当該各電池の適否判定をすることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記電源管理機能部により検出した検出データと前記適否判定結果とに基づく前記各電池の設定情報データを読み出し自在に記録可能な記録部を、更に備え、
前記記録部は、
前記制御部を起動する場合の前記各電池の使用状態を設定情報データとして記録する起動時電池情報部と、
前記適否判定の後の各電池の使用状態を設定情報データとして記録する判定後電池情報部と、
前記各電池のメンテナンスの要否を設定情報データとして記録する電池枯渇情報部と、
を有していることを特徴とする請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
前記出力電圧閾値は、前記入力電圧閾値よりも大きいことを特徴とする請求項2または3記載の監視システム。
【請求項5】
前記制御部の外部から前記制御部切替機能部を操作して、前記スリープ状態の制御部を起動状態に起動復帰させる操作部を、更に備えたことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の監視システム。
【請求項6】
前記制御部切替機能部は、前記制御部を再起動してリセットした場合、当該制御部の各機能部のうち少なくとも一部を動作制限することを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の監視システム。
【請求項7】
前記開閉操作機能部は、前記制御部において、前記制御部切替機能部により各機能部が動作制限された起動状態での動作回数が所定回数に達した場合に、前記制御部と電気的接続されていた電池に係る開閉スイッチを開状態にし、前記制御部と電気的遮断されていた電池に係る開閉スイッチを閉状態にすることを特徴とする請求項記載の監視システム。
【請求項8】
前記制御部は、リセット回路を有し、
前記リセット回路は、前記制御部に対する入力電圧を検出し、当該入力電圧値が前記入力電圧閾値未満になった場合に、前記制御部を再起動してリセットすることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の監視システム。
【請求項9】
前記電源管理機能部は、前記各電池のうち一部が前記制御部と電気的接続され残りが前記制御部と電気的遮断されている状態で、当該電気的接続されている電池の出力電圧を検出し、
前記開閉操作機能部は、前記電気的接続されている電池の検出された出力電圧値において時間変化に対する降下率が所定値未満になった場合に、前記電気的接続されている電池に係る開閉スイッチを開状態にし、前記電気的遮断されている電池に係る開閉スイッチを閉状態にすることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の監視システム。
【請求項10】
前記各開閉スイッチの開閉状態を出力表示する出力部を、更に備え、
前記電源管理機能部は、前記開閉操作機能部による各開閉スイッチの開閉操作を検出し、当該検出データに基づいて前記出力部を出力表示させることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の監視システム。
【請求項11】
前記監視装置は、多機能型のマンホール蓋に設けられ、
前記マンホール蓋は、
管渠に連通するマンホールの地上側の開口部を閉塞する蓋本体と、
前記電源部と前記制御部とをそれぞれ収容する筺体と、
前記蓋本体の裏側に形成された補強部と、
前記補強部により仕切られて各筺体が別個に設置される複数の空間と、
を備えたことを特徴とする請求項1~10の何れかに記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに関するものであって、例えば各種設備の監視対象の状態等を検出し、この検出した検出データを通信回線を介して通信等する遠方監視技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
各種設備(例えば電源設備,変電所,上下水施設,中継所,移動体上の設備等)においては、当該設備の監視対象(例えば下水道管渠では、当該下水道管渠内の水位や流量等)を監視装置や通信回線を介して監視(例えば遠方監視等)する技術が適用され始めている。
【0003】
例えば、所望の設備に設置された監視装置により、当該設備の監視対象の状態を検出し、その検出した検出データを通信回線を介して上位ネットワーク等に送信する技術が知られている。
【0004】
監視対象の周辺等において電源供給が困難な場合には、例えば特許文献1のように複数個の電池(着脱自在な一次電池,二次電池等)を駆動源とした監視装置を適用することにより、当該監視対象を十分監視できることとなる。
【0005】
なお、特許文献1では、電池を充電する環境発電デバイスを備えた構成により、当該電池をメンテナンスフリーにすることが開示されているが、各電池の使用態様(例えば、各電池の全てを電源供給状態にするのか、何れかを待機状態にするのか等)やメンテナンス(例えば、各電池の充電,交換等)については、特に開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-10403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のような監視装置においては、電源供給が途絶えないようにし、監視対象を継続して監視できるようにすることが好ましい。
【0008】
しかしながら、特許文献1の監視装置のように単に複数個の電池を駆動源として備えた構成の場合、各電池の使用態様によっては、当該各電池のメンテナンスや監視対象の継続監視が困難となるおそれがある。
【0009】
本発明は、前述のような課題を鑑みてなされたものであって、監視装置のメンテナンス性や監視継続性の向上に貢献可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る監視システムは、前述のような課題の解決に貢献できるものであり、当該監視システムの一態様は、監視装置と、当該監視装置から送信された検出データを上位ネットワーク経由で受信する上位コンピュータと、を備えた監視システムである。
【0011】
監視装置は、複数個の電池を有した電源部と、監視対象の状態を計測する計測部と、上位ネットワークとの間で無線通信によりデータ通信する通信部と、電源部,計測部,通信部を制御する制御部と、を備えたものである。
【0012】
電源部の各電池は、それぞれ制御部との間に介在する開閉スイッチにより、当該制御部に対して電気的断続可能に接続されており、制御部は、各開閉スイッチを開閉操作する開閉操作機能部と、制御部に対する電源部の状態を検出する電源管理機能部と、計測部で計測されたデータを検出する計測部検出機能部と、電源管理機能部および計測部検出機能部で検出した検出データを、通信部を介して上位ネットワークに送信する通信機能部と、を備え、開閉操作機能部によって各開閉スイッチの少なくとも一つが閉状態となり、当該閉状態によって制御部に電気的接続されている電池により、当該制御部が動作する。
【0013】
そして、上位コンピュータは、監視装置の制御部に対する指令データを、上位ネットワーク経由で監視装置に送信し、制御部の各機能部は、上位コンピュータからの指令データに基づいて動作可能であることを特徴とするものである。
【0014】
また、電源管理機能部は、制御部の起動時に、各電池の出力電圧を検出し、制御部は、前記検出した出力電圧値と所定の出力電圧閾値とを比較して、監視装置の運用に対する当該各電池の適否判定をすることを特徴とするものでも良い。
【0015】
また、電源管理機能部により検出した検出データと適否判定結果とに基づく各電池の設定情報データを読み出し自在に記録可能な記録部を、更に備え、記録部は、制御部を起動する場合の各電池の使用状態を設定情報データとして記録する起動時電池情報部と、適否判定後の各電池の使用状態を設定情報データとして記録する判定後電池情報部と、各電池のメンテナンスの要否を設定情報データとして記録する電池枯渇情報部と、を有していることを特徴とするものでも良い。
【0016】
また、制御部は、当該制御部を起動状態とスリープ状態とに交互に切り替える制御部切替機能部を、更に備えたことを特徴とするものでも良い。
【0017】
また、制御部の外部から制御部切替機能部を操作して、スリープ状態の制御部を起動状態に起動復帰させる操作部を、更に備えたことを特徴とするものでも良い。
【0018】
また、電源管理機能部は、制御部に対する入力電圧を検出し、制御部切替機能部は、電源管理機能部で検出した入力電圧値が所定の入力電圧閾値未満になった場合に、制御部を再起動してリセットすること特徴とするものでも良い。
【0019】
また、開閉操作機能部は、制御部切替機能部によるリセット回数がn回(nは任意で設定される1以上の整数)に達した場合に、制御部と電気的接続されていた電池に係る開閉スイッチを開状態にし、制御部と電気的遮断されていた電池に係る開閉スイッチを閉状態にすることを特徴とするものでも良い。
【0020】
また、制御部切替機能部は、制御部を再起動してリセットした場合、当該制御部の各機能部のうち少なくとも一部を動作制限することを特徴とするものでも良い。
【0021】
また、開閉操作機能部は、制御部において、制御部切替機能部により各機能部が動作制限された起動状態での動作回数が所定回数に達した場合に、制御部と電気的接続されていた電池に係る開閉スイッチを開状態にし、制御部と電気的遮断されていた電池に係る開閉スイッチを閉状態にすることを特徴とするものでも良い。
【0022】
また、制御部は、リセット回路を有し、リセット回路は、制御部に対する入力電圧を検出し、当該入力電圧値が所定の入力電圧閾値未満になった場合に、制御部を再起動してリセットすることを特徴とするものでも良い。
【0023】
また、出力電圧閾値は、入力電圧閾値よりも大きいことを特徴とするものでも良い。
【0024】
また、電源管理機能部は、各電池のうち一部が制御部と電気的接続され残りが制御部と電気的遮断されている状態で、当該電気的接続されている電池の出力電圧を検出し、開閉操作機能部は、前記電気的接続されている電池の検出された出力電圧値において時間変化に対する降下率が所定値未満になった場合に、前記電気的接続されている電池に係る開閉スイッチを開状態にし、前記電気的遮断されている電池に係る開閉スイッチを閉状態にすることを特徴とするものでも良い。
【0025】
また、各開閉スイッチの開閉状態を出力表示する出力部を、更に備え、電源管理機能部は、開閉操作機能部による各開閉スイッチの開閉操作を検出し、当該検出データに基づいて出力部を出力表示させることを特徴とするものでも良い。
【0026】
また、監視装置は、多機能型のマンホール蓋に設けられ、マンホール蓋は、管渠に連通するマンホールの地上側の開口部を閉塞する蓋本体と、電源部と制御部とをそれぞれ収容する筺体と、蓋本体の裏側に形成された補強部と、補強部により仕切られて各筺体が別個に設置される複数の空間と、を備えたことを特徴とするものでも良い。
【発明の効果】
【0027】
以上示したように本発明によれば、監視装置のメンテナンス性や監視継続性の向上に貢献可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態の一例である監視システム1を説明するための概略構成図。
図2】監視装置10の主要な構成例を説明するための概略構成図。
図3図2に示した監視装置10の回路構成の一例を説明するための概略構成図。
図4】制御部Dに対する入力電圧の検出構成例を説明するための概略構成図。
図5図2に示した監視装置10の回路構成の他例を説明するための概略構成図。
図6】制御部Dの機能構成例を説明するための概略構成図。
図7】実施例1による電池A1,A2の放電特性図(図7(b)は、図7(a)の部分拡大図)
図8】実施例2による制御部Dの消費電流特性、制御部Dに対する入力電圧Viの変化特性、リセット回路によるリセット信号の変化特性を説明するためのタイムチャート図。
図9】実施例2による時間変化に対する消費電流変化特性を説明するための特性図。
図10】実施例3による時間変化に対する消費電流変化特性を説明するための特性図。
図11】実施例4によるメンテナンス方式を説明するためのフロー図。
図12】記録部Gの構成例を説明するための概略構成図。
図13図12の記録部Gを備えている監視装置10を運用した場合の監視方法例を示すフロー図。
図14】監視装置10の適用例を説明するための概略構成図(マンホール蓋11の裏側斜め方向から臨んだ図)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態の監視システムは、従来の監視装置のように単に複数個の電池を駆動源として備えた構成(以下、単に従来構成と適宜称する)によるものとは、全く異なるものである。
【0030】
すなわち、本実施形態は、複数個の電池を有した電源部と、監視対象の状態を計測する計測部と、上位ネットワークとの間で無線通信によりデータ通信する通信部と、電源部,計測部,通信部を制御する制御部と、を備えたものである。そして、電源部においては、各電池が、それぞれ制御部との間に介在する開閉スイッチを介して、当該制御部に対して電気的断続自在に接続され、制御部は、開閉操作機能部によって各開閉スイッチの少なくとも一つを閉状態にし、当該閉状態によって制御部に電気的接続されている電池により、当該制御部が動作(各機能部が適宜動作)する構成である。
【0031】
例えば、従来構成の場合、複数個の電池の全てを同時に使用することにより、電源供給量を増量させることは可能である。しかしながら、当該各電池は同時に枯渇状態となり、電池交換の時期を逸してしまうと、監視対象の監視が(例えば各電池を順番に使用した場合と比較して予備系への切替と言う概念が無いため)継続できなくなってしまうおそれがある。
【0032】
また、各電池が枯渇状態になる前に、当該各電池を取り外してメンテナンス(交換や充電等)する場合であっても、当該電池を取り外した場合に電源供給が途絶えてしまうため、監視対象の監視は継続できなくなる。
【0033】
特許文献1の場合、電池を環境発電デバイスにより充電する構成により、当該電池をメンテナンスフリーにすることが開示されているが、当該環境発電デバイスによる充電は監視装置の設置環境の影響を受け易い。このため、各電池が所望通りに充電されない場合があり、その結果、監視継続性が低くなってしまうおそれがある。
【0034】
一方、本実施形態による構成によれば、開閉操作機能部によって各開閉スイッチを適宜開閉操作できるため、電源部から制御部に対する電源供給が多重化(例えば各電池を順番に使用できるように多重化)された構成となる。これにより、例えば、各電池のうち一部を制御部に電気的接続して電源供給し、残りの電池を待機状態とすることができる。
【0035】
そして、電源供給していた電池が枯渇状態になった場合には、待機状態の電池を制御部に電気的接続して電源供給することにより、監視対象の監視を継続し、枯渇状態の電池においては、制御部から電気的遮断して所望のメンテナンスを実施することが可能となる。これにより、監視装置のメンテナンス性や監視継続性の向上に、貢献できることとなる。
【0036】
また、制御部の電源管理機能部により、当該制御部に対する電源部の状態(例えば電池の出力電圧、制御部に対する入力電圧,開閉スイッチの開閉状態等)を検出し、当該電源部の状態に応じて各電池を適宜使用した場合には、監視装置のメンテナンス性や監視継続性の向上に、より貢献できる可能性がある。
【0037】
本実施形態の監視システムは、前述したように各電池の開閉スイッチの少なくとも一つが閉状態となり、当該閉状態によって制御部に電気的接続されている電池により当該制御部が動作(各機能部を動作)する構成であれば、種々の分野(例えば各種設備で適用されている監視技術,電源技術,通信技術,制御技術等の分野)の技術常識を適宜適用して設計することが可能であり、その一例として以下に示すものが挙げられる。
【0038】
≪本実施形態の一例である監視システム1≫
図1は、本実施形態の一例である監視システム1を示すものである。図1の監視システム1では、所望の設備(例えば電源設備,変電所,上下水施設,中継所,移動体上の設備等;図示省略)に設置された監視装置(図1の描写ではマンホール蓋の裏側に設置された監視装置)10により、当該設備の監視対象(例えば上下水施設の場合には水量変化等)を監視できるようになっている。監視装置10の監視等により検出した検出データ(後述の制御部Dによって検出したデータ)は、無線通信により上位ネットワーク2経由で上位コンピュータ等に送信する。
【0039】
上位コンピュータの一例としては、上位サーバ,クラウドサーバ,監視制御室の監視卓等(図示省略)や、設備に係る保守員等の人間系が所持する通信端末装置(例えば携帯型のスマートデバイス,タブレット等のように入力や出力が可能な各種装置)3が挙げられる。このような上位コンピュータによれば、単に監視装置10から送信された検出データを上位ネットワーク2経由で受信するだけでなく、例えば後述の制御部Dに対する指令信号を、上位ネットワーク2経由で当該監視装置10に送信することも可能となる。
【0040】
≪監視装置10の主要部および回路構成の一例≫
監視装置10においては、例えば図2に示すように、複数個の電池を有した電源部Aと、監視対象の状態を計測する計測部Bと、上位ネットワーク2との間で無線通信によりデータ通信する通信部Cと、電源部A,計測部B,通信部Cを制御する制御部Dと、を主として備えた構成が挙げられる。なお、図1に示すものと同様のものには、同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0041】
図2に示した監視装置10は、例えば図3に示すように、電源部A,計測部B,通信部Cをそれぞれ制御部Dに接続した回路構成とすることが挙げられる。図3に示す電源部Aでは、2つの電池A1,A2を備えており、制御部Dに対する電源供給を多重化(図2では二重化)した構成となっている。電池A1,A2には、メンテナンス可能なものであれば種々の態様を適用することが可能であり、一般的に知られている一次電池,二次電池を適宜適用することが挙げられる。
【0042】
電池A1,A2において、それぞれ制御部Dとの間に半導体スイッチング素子等の開閉スイッチA11,A21が介在し、当該開閉スイッチA11,A21により制御部Dに対して電気的断続可能に接続されている。
【0043】
電池A1,A2と開閉スイッチA11,A21との間の電源配線a1,a2には、当該電池A1,A2の出力電圧を検出する電圧センサA12,A22のセンシング配線b1、b2が接続され、当該電圧センサA12,A22で検出した出力電圧値を、監視バス配線c1、c2により制御部Dで検出できるように構成されている。
【0044】
また、開閉スイッチA11,A21と制御部Dとの間には、一方向性のダイオード素子(例えば順電圧が比較的低いショットキーバリアダイオード等)A13,A23や電源回路A4が介在している。これにより、電源部Aの各電池A1,A2の並列運用を容易にし、負荷(図3の場合は制御部D)に対し所望の電源供給を実現し易くしている。
【0045】
なお、監視装置10の負荷においては、例えば制御部Dに限定されるものではなく、監視装置10の使用目的等に応じて適宜追加(例えば後述の図6のように機能追加。例えば、後述の図5のDa,Dbなどの負荷)することが可能である。
【0046】
電源回路A4においては、制御部Dに対して所望の電源電圧で電源供給できる構成であれば良い。例えば、昇降圧コンバータ等を備え、所定範囲の入力電圧で一定の負荷用(図2の電源回路A4の場合は制御部D用)の電圧を生成し、その生成した電圧で制御部Dに電源供給できるようにした構成が挙げられる。
【0047】
具体例としては、電池A1,A2がリチウム電池3.6Vセルを4列直列した14.4Vの組電池であり、電源回路A4への入力電圧が1.8Vから16Vまでの範囲である場合には、当該電源回路A4への入力電圧を3.3Vに変換して、制御部Dに出力して電源供給する構成が挙げられる。
【0048】
制御部Dに対する入力電圧を検出する場合には、図4に示すような検出構成とすることが挙げられる。図4の場合、電源回路A4と制御部Dとの間に、当該制御部Dに対する入力電圧を検出する電圧センサA5がh1により接続され、当該電圧センサA5で検出した入力電圧値を制御部Dでh2により検出(後述の図6では、電源管理機能部D2により検出)できるように構成されている。
【0049】
なお、図4の電圧センサA5においてリセット回路(図示省略)を組み合わせ、電圧センサA5により検出した入力電圧値が所定値未満になった場合にリセット信号h2を制御部Dに出力する構成とすると、当該制御部Dを適宜再起動してリセット(初期化等)することも可能となる。
【0050】
計測部Bは、例えば監視対象の状態を計測することが可能なセンサ等の計測機器を備え、当該計測機器を介して計測した計測データが制御部Dによって検出される構成となっている。
【0051】
通信部Cは、通信アンテナ等の通信機器を備え、制御部Dから受信した検出データ(電源部A,計測部Bに係るデータ等)を上位ネットワーク2に送信したり、当該上位ネットワーク2経由で上位コンピュータ等から受信した指令信号を制御部Dに送信できる構成となっている。
【0052】
制御部Dは、例えば通常のコンピュータのハードウェアリソース(例えばCPU,ROMやRAMなどの主記憶メモリ,不揮発性メモリなどの補助記憶メモリなど)を備え、当該ハードウェアリソースとソフトウェアリソース(OS,アプリケーションなど)の協働の結果、種々の機能部を実装(後述の図6のように各機能部D1~D5を実装)した構成となっている。そして、各機能部が適宜動作することにより、電源部A,計測部B,通信部Cをそれぞれ制御できる構成となっている。
【0053】
以上のように構成された監視装置10は、例えば計測部B,通信部C,制御部Dにおいて常時起動状態で動作する構成ではなく、いわゆる間欠動作する構成とすることが可能である。例えば、監視対象の状態を計測する場合や当該計測により検出した検出データを通信する場合等に応じて適宜起動状態(例えばタイマ等を用いて周期的に起動状態)にさせて、その他の場合(例えば、動作の緊急性が比較的低いような場合)においては、例えば低消費電力で動作する等のスリープ状態となるように制御(例えば所望のソフトウェアにより適宜制御)する。このような構成によれば、電源部Aの電力消費を抑制することが可能である。
【0054】
≪監視装置10の主要部および回路構成の他例≫
図5は、監視装置10の主要部および回路構成の他例を示すものである。なお、図2図4に示すものと同様のものには、同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0055】
図5に示す監視装置10は、電源部A,計測部B,通信部C,制御部Dの他に、例えば制御部Dを操作する操作部Eと、制御部に対する電源部の状態を出力する出力部Fと、制御部Dによる動作や検出データ等を記録する記録部Gと、を主として更に備えた構成となっている。また、負荷として、制御部Dの他に負荷Da,Dbを備え、当該負荷Da,Dbに適した電源回路A4a,A4bを、制御配線d1、d2を介して制御部Dで制御し、所望の電源電圧で電源供給できるように構成されている。
【0056】
図5に示した監視装置10において、操作部Eは、例えば制御部Dに接続されたインタフェース等を備え、当該制御部Dの機能部(例えば後述の図6の制御部切替機能部D5)を当該制御部Dの外側から動作させることが可能な構成となっている。例えば、制御部Dの各機能部において目的とする動作を実行できるものであれば良い。制御部Dの各機能部を操作するインタフェースの一例としては、起動スイッチ(防水型スイッチ)が挙げられる。
【0057】
出力部Fは、例えば保守員等の視覚や聴覚等の知覚を通じて認識可能な出力装置(例えば、ディスプレイ,LEDランプ等)を備え、制御部Dに対する電源部Aの状態等を出力表示できる構成となっている。具体例として、電池A1,A2に係る状態を出力するLEDランプを備えた構成であって、制御部Dと電気的接続されていた電池A1の電池残量が僅かで枯渇状態になった場合に、当該電池A1に係るLEDランプを点灯(例えば後述図6の電源管理機能部D2により点灯)させるような構成が挙げられる。
【0058】
記録部Gは、例えば不揮発性メモリ等の記録用デバイスを備え、制御部Dで検出された検出データや当該制御部Dの動作データ(例えば後述図6の各機能部D1~D5による動作履歴等)を記録(例えば、検出データと動作履歴とが同期するように記録)でき、当該記録したデータを制御部Dによって読み出し可能な構成となっている。
【0059】
また、記録部Gが不揮発性メモリ等を備え、前述のように適宜記録する構成であれば、電源部Aが意に反してダウンした場合(例えば電池A1,A2のメンテナンスの過誤により、電源供給できなくなった状態)であっても、当該電源部Aが復電後、記録部Gに記録されている動作履歴等を制御部Dで適宜読み出し、監視装置10のダウン前の状態を把握することが可能となる。これにより、当該復電後の監視装置10において適格な始動条件(安全に始動するための条件等)を把握することが可能であり、所望通りに監視装置10を動作させることが可能となる。
【0060】
≪監視装置10の制御部Dの機能構成例≫
図6は、制御部Dの機能構成例を示すものであり、開閉操作機能部D1,電源管理機能部D2,計測部検出機能部D3,通信機能部D4,制御部切替機能部D5等を実装した構成となっている。なお、図2図5に示すものと同様のものには、同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0061】
開閉操作機能部D1は、制御配線e1,e2を介して、各開閉スイッチA11,A21をそれぞれ開閉操作するものである。この開閉操作においては、特に限定されるものではなく、例えば制御部Dに対する電源部Aの状態に基づいて適宜操作することが挙げられる。
【0062】
例えば、電池残量の十分な電池A1,A2を電源部Aに搭載して監視装置10を始動する場合、最初の起動状態での動作では、開閉操作機能部D1により開閉スイッチA11,A21の両方を閉状態(fail safe;以下、単にフェールセーフ状態と適宜称する)にして、当該両者によって電源供給するようにフェールセーフ設計をしておくことが挙げられる。
【0063】
そして、フェールセーフ状態で監視装置10を始動して所定時間経過後、開閉操作機能部D1により、必要に応じて記録部Gから始動条件等を適宜読み出して、開閉スイッチA11,A21の何れか一方を開状態にし、他方を閉状態のままにして、起動状態の動作を継続させることが挙げられる。
【0064】
仮に、フェールセーフ状態で監視装置10を始動してから所定時間経過後において、開閉スイッチA11が閉状態で開閉スイッチA21が開状態となっている場合(以下、便宜上、単に始動後状態と適宜称する)には、電池A1が、制御部Dに電気的接続された状態で電源供給している状態となる。一方、電池A2においては、制御部Dから電気的遮断されて待機状態となる。この待機状態にした電池A2の電池残量が僅かで枯渇状態の場合には、当該電池A2をメンテナンス(交換や充電)して待機状態にしておく。
【0065】
そして、更なる時間経過後、制御部Dと電気的接続されていた電池A1の電池残量が僅かで枯渇状態になった場合には、開閉スイッチA21を閉状態(例えば制御部Dに対する電源供給が途絶えないように閉状態)にして、待機状態であった電池A2を制御部Dに電気的接続することにより、当該制御部Dに対する電源供給を継続することが可能となる。その後、開閉スイッチA11を開状態にして、当該電池A1を制御部Dから電気的遮断してメンテナンスする。
【0066】
電源管理機能部D2は、制御部Dに対する電源部Aの状態、例えば、電池A1,A2の出力電圧や使用状態(接続状態、待機状態等)、制御部Dに対する入力電圧、開閉スイッチA11,A21の開閉状態(電気的断続状態)等を検出するものである。電池A1,A2の出力電圧や使用状態においては、例えば出力電圧の時間変化に対する降下率、使用により枯渇状態になってメンテナンスを要するかどうか、当該メンテナンスが済んで待機状態にあるかどうか等が挙げられる。
【0067】
また、監視装置10が各開閉スイッチA11,A21の開閉状態を出力表示する出力部Fを備えている場合、電源管理機能部D2は、開閉操作機能部D1による各開閉スイッチA11,A21の開閉操作を適宜検出し、当該検出データに基づいて出力部Fを出力表示させることが挙げられる。
【0068】
計測部検出機能部D3は、計測部Bで計測されたデータを検出するものである。通信機能部D4は、電源管理機能部D2および計測部検出機能部で検出した検出データを、通信部Cを介して上位ネットワーク2に送信するものである。
【0069】
制御部切替機能部D5は、制御部Dを起動状態とスリープ状態とに交互に切り替えて動作させたり、当該起動状態の制御部Dを介して、計測部Bや通信部Cを起動状態とスリープ状態とに交互に切り替えて動作させるものである。この制御部切替機能部D5においては、当該制御部切替機能部D5による間欠動作中に電源管理機能部D2で検出した入力電圧値が所定値未満になった場合に、制御部Dを再起動してリセットできる構成としても良い。
【0070】
この制御部切替機能部D5によりリセットする構成によれば、当該リセットする場合について、制御部Dに電気的接続されている電池の電池残量が減少し、当該電池が枯渇状態、または所定時間後に枯渇状態になるものと推定できる。そこで、このような場合には、単に制御部切替機能部D5によるリセットを繰り返すのではなく、例えば当該リセット回数がn回(nは任意で設定される1以上の整数)に達した場合に、開閉操作機能部D1を動作させて開閉スイッチA11,A21を適宜開閉操作するようにしても良い。
【0071】
具体的には、例えば始動後状態の監視装置10において、制御部切替機能部D5によるリセットが行われた場合には、電池A1の電池残量が減少し、当該電池A1が枯渇状態、または所定時間後に枯渇状態になるものと推定できる。このような場合、開閉操作機能部D1により開閉スイッチA21を閉状態にして、待機状態であった電池A2を制御部Dに電気的接続することにより、当該制御部Dに対する電源供給を継続することが可能となる。その後、開閉操作機能部D1により開閉スイッチA11を開状態にして、当該電池A1を制御部Dから電気的遮断してメンテナンスする。
【0072】
また、制御部切替機能部D5によるリセットが行われる場合においては、制御部Dの各機能部D3,D4を動作制限するようにしても良い。また、制御部切替機能部D5により各機能部D3,D4が動作制限された起動状態での動作回数が所定回数に達した場合には、開閉操作機能部D1を動作させて開閉スイッチA11,A21を適宜開閉操作するようにしても良い。このような各機能部D3,D4の動作制限においては、電池A1,A2のメンテナンスを実施した後に、適宜解除し、通常通り動作できるようにすることが挙げられる。
【0073】
なお、制御部Dにおいては、前述のような各機能部D1~D5の全てを必ずしも具備する必要はなく、本発明の目的を達成できる態様であれば、各機能部D1~D5のうち一部を適宜省略したり、他の機能部を適宜追加して具備しても良い。
【0074】
例えば、制御部Dが常時起動状態で動作し、リセットを繰り返さないようにするために、制御部切替機能部D5のリセット条件により枯渇を検出し、計測をしない処理として、計測部検出機能D2を動作させないようにして負荷を低減して動作を優先する設計であっても良い。
【0075】
また、各機能部D1~D5による動作(動作履歴等)や検出データを記録部Gに記録等する場合には、当該動作や検出データを記録する記録機能部を具備したり、記録部Gに記録された種々のデータを読み出す読出機能部を具備することが挙げられる。
【0076】
≪実施例≫
次に、以上のように構成された監視装置10の動作例,電池A1,A2のメンテナンス例、具体的適用例等を、以下の実施例1~10に基づいて説明する。なお、図1図6に示すものと同様のものには同一符号を引用する等により、その詳細な説明を適宜省略する。また、実施例1~10それぞれの同様の内容においても、その詳細な説明を適宜省略する。
【0077】
<実施例1>
電源部Aにおいては、電池A1,A2により制御部Dに電源供給して放電を継続していくと、当該電池A1,A2は電池残量が徐々に減少して枯渇状態に至ることとなる。電池A1,A2にリチウム電池を適用し、監視装置10の始動後状態から当該リチウム電池が枯渇状態に至るまでの現象を観察すると、図7に示すような放電特性により、出力電圧が時間経過と共に減少していくことが読み取れる。
【0078】
この図7の放電特性に着目すると、図中の所定時間経過後のA点の出力電圧V1は、降下率ΔV1/Δtが比較的緩やかであるものの、さらに所定時間経過後のB点の出力電圧V2においては、降下率ΔV2/Δtが比較的大きくなっていることが読み取れる。
【0079】
このような降下率ΔV1/Δt,ΔV2/Δtを各電池A1,A2の寿命係数として扱うことにより、当該電池A1,A2のメンテナンス時期を予測することが可能となる。例えば、始動後状態の監視装置10において、電池A1により制御部Dに電源供給(電池A2は待機状態)し、制御部Dの電源管理機能部D2により電池A1の出力電圧を定期的に検出し、その出力電圧の降下率ΔVn/Δtを導出していく。この導出した降下率ΔVn/Δtにおいて、前述の降下率ΔV2/Δtのように急激な傾きを示すような値になった場合は、当該電池A1が枯渇状態で寿命に至ったものと推定することができる。
【0080】
そして、降下率ΔVn/Δtが所定の寿命係数Kを超過した場合には、制御部Dの電源管理機能部D2により開閉操作機能部D1を動作させて、開閉スイッチA21を閉状態にして、待機状態であった電池A2を制御部Dに電気的接続する。その後、電源管理機能部D2により開閉操作機能部D1を動作させて、開閉スイッチA11を開状態にして、当該電池A1を制御部Dから電気的遮断してメンテナンス可能な状態にする。このことにより、当該制御部Dに対する電源供給を継続することが可能となる。
【0081】
以上、本実施例1によれば、電源部Aの電池A1,A2の状態を降下率ΔVn/Δtによって数値化することができ、制御部Dに対する電源部Aの状態に基づいて、当該電源部Aの電池A1,A2を適宜メンテナンスできることが判る。また、電源部Aから制御部Dに対する電源供給を途絶えないようにすることができ、監視装置10の監視継続性を保持できることが判る。また、制御部Dの電源管理機能部D2等による動作は、それぞれ自動的に適宜実行させることが可能である。
【0082】
<実施例2>
監視装置10の制御部Dが間欠動作する場合の消費電流においては、例えば図8に示すような時間変化に対する電流変化特性を現すこととなる。この図8においては、制御部Dの消費電流の他に、制御部Dに対する入力電圧Viの変化特性、電圧センサA5のリセット回路によるリセット信号の変化も示している。
【0083】
図8によると、監視装置10の始動後状態から所定時間t1付近までは、制御部Dに対する入力電圧Viが十分高く、制御部Dにおいて十分な消費電流となっていることが読み取れる。一方、所定時間t1経過後においては、制御部Dに対する入力電圧Viが低くなり、制御部Dの消費電流も低くなっていることが読み取れる。また、所定時間t1経過後のリセット信号も変化して、制御部切替機能部D5により制御部Dが再起動してリセットし、更に、当該リセットが繰り返されていることが読み取れる。
【0084】
この図8のようにリセットが繰り返される現象は、電源部Aの電池A1,A2の電池エネルギーが枯渇して、監視装置10の動作の限界に至った場合に現れる。すなわち、所定時間t1までは、制御部Dの間欠動作内で負荷が増大しても、所望の動作が可能であるが、所定時間t1経過後においては、当該負荷の消費電流変化を吸収できず、電池A1,A2の電圧変動を起こすこととなる。
【0085】
これにより、制御部Dに対する入力電圧の低下を招き、その負荷を管理するリセット回路によって電圧低下が検出されてリセットが行われることとなるが、制御部Dの間欠動作内で負荷が増大した場合に、再度、前述のように負荷の消費電流変化を吸収できなくなる。この結果、リセットを繰り返すこととなる。
【0086】
そこで、制御部切替機能部D5において、リセット回数がn回(本実施例2では、nは3)に達した場合に、開閉操作機能部D1を動作させて開閉スイッチA11,A21を適宜開閉操作するように設定し、監視装置10を動作させてみたところ、図9に示す(1)~(23)のような時間変化に対する消費電流変化特性が得られた。
【0087】
なお、監視装置10の動作条件としては、始動後状態で、制御部Dの間欠動作により低消費電力動作が行われ、負荷Da,Db、計測部B、通信部C等を動作タイミング毎に起動状態、停止状態、スリープ状態となるように動作して電力消費するものとする。負荷Da,Dbは、それぞれ24V電源で動作するものとし、当該負荷Da,Dbに係る電源回路A4a,A4bを負荷制御信号(d1、d2)で起動、停止を行った。また、計測部B,通信部Cは、使用するタイミングの時に起動状態にしたり、スリープ状態にした。
【0088】
図9において、(1)は監視装置10の電源投入による始動(電池A1で起動とする。)、(2)は監視装置10の起動要因の送信、(3)は24V電源制御、(4)(5)は定周期送信、(6)はスリープ状態への移行、をそれぞれ示している。
【0089】
次に、(7)は定周期起動、(8)は24V電源制御、(9)は定周期送信、(10)はスリープ状態への移行、をそれぞれ示している。
【0090】
この後((10)~(11)のある時点)、(11)の定周期起動前に電池エネルギーが枯渇したことにより、当該(11)の定周期起動のために24V電源オンをONさせた途端、電池電圧低下により、リセットが行われた。
【0091】
次に、(12)はリセットによる起動、(13)は監視装置10の起動要因の送信、をそれぞれ示している。この後、前述した(11)の場合と同様に、(14)の定周期起動のために24V電源オンをONさせた途端、電池電圧低下により、リセットが行われた。(14)~(16)、(17)~(19)は、前述の(11)~(13)の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
この後((20)の前)、制御部Dの電源管理機能部D2により、開閉操作機能部D1を動作させて、開閉スイッチA21を閉状態にして、待機状態であった電池A2を制御部Dに電気的接続することにより、当該制御部Dに対する電源供給を継続することが可能となる。その後、開閉操作機能部D1を動作させて、開閉スイッチA11を開状態にして、当該電池A1を制御部Dから電気的遮断してメンテナンス可能な状態にする。
【0093】
その結果、(20)は定周期起動し、(21)で計測部Bによる計測のための24V電源制御、(22)は定周期送信、(23)はスリープ状態への移行であり、これらは、電池交換により電池エネルギーが回復できたことを示している。
【0094】
以上、本実施例2によれば、実施例1のような降下率を適用しなくても、監視装置10の限界動作となるリセット応動に基づいて、電源部Aの電池A1,A2を適宜メンテナンスできることが判る。また、電源部Aから制御部Dに対する電源供給を途絶えないようにすることができ、監視装置10の監視継続性を保持できることが判る。また、制御部Dの電源管理機能部D2等による動作は、それぞれ自動的に適宜実行させることが可能である。
【0095】
<実施例3>
本実施例3では、実施例2の監視装置10の動作を応用した。すなわち、本実施例3では、単に制御部切替機能部D5によるリセットを繰り返すのではなく、例えば当該リセット回数がn回(本実施例2では、nは1)に達した場合に、制御部切替機能部D5による制御部Dの各機能部D3,D4などの動作を制限する。このように監視装置10を動作させてみたところ、図10に示す(1)~(23)のような時間変化に対する消費電流変化特性が得られた。なお、実施例2と同様のものには、その詳細な説明を適宜省略する。監視装置10の動作条件においても、実施例2と同様とする。また、制御部切替機能部D5の機能部D3、具体的には図5の負荷Daの動作制限をして、定周期送信を実行できる程度とした。
【0096】
図10において、(1)は監視装置10の電源投入による始動(電池A1で起動とする。)、(2)は監視装置10の起動要因の送信、(3)は24V電源制御、(4)(5)は定周期送信、(6)はスリープ状態への移行、をそれぞれ示している。
【0097】
次に、(7)は定周期起動、(8)は24V電源制御、(9)は定周期送信、(10)はスリープ状態への移行、をそれぞれ示している。
【0098】
この後((10)~(11)のある時点)、(11)の定周期起動前に電池A1の電池エネルギーが枯渇したことにより、当該(11)の定周期起動のために24V電源オンをONさせた途端、電池電圧低下により、リセットが行われた。
【0099】
次に、(12)はリセットによる起動、(13)は監視装置10の起動要因の送信、をそれぞれ示している。この後、定周期送信を実行できる程度で、制御部切替機能部D5により制御部Dの機能部D3の動作を制限した(例えば、図5の負荷Da、計測用24V負荷を投入しないように動作制限して、間欠動作が行える状態とした)。
【0100】
その後、(14)は24V負荷を投入しない制御により定周期送信、(15)はスリープ状態への移行、(16)は定周期起動し24V負荷を投入しない制御により定周期送信、(17)はスリープ状態への移行、をそれぞれ示している。
【0101】
この時点((18)の前)で、制御部切替機能部D5においては、動作制限された起動状態での動作回数が所定回数に達していることを確認し、電源管理機能部D2により開閉操作機能部D1を動作させて、開閉スイッチA21を閉状態にして、待機状態であった電池A2を制御部Dに電気的接続することにより、当該制御部Dに対する電源供給を継続することが可能となる。その後、電源管理機能部D2により開閉操作機能部D1を動作させて、開閉スイッチA11を開状態にして、当該電池A1を制御部Dから電気的遮断してメンテナンス可能な状態にする。
【0102】
そして、(18)は動作制限の解除、(19)は監視装置10の起動要因の送信、(20)は24V電源制御、(21)(22)は定周期送信、(23)はスリープ状態への移行であり、これらは、電池交換により電池エネルギーが回復できたことを示している。
【0103】
以上、本実施例3によれば、実施例2と同様の作用効果を奏する。また、実施例2と比較すると、動作制限によってリセットの繰り返しを抑制することができ、所望の動作のうち一部(図10では定周期動作)を継続させることも可能となる。
【0104】
<実施例4>
図11(a)は、監視装置10における電池A1,A2を上位ネットワーク2経由(クラウド処理系)によりメンテナンスする方式のフローを示すものであり、図11(b)はクラウド処理系を介さない、監視装置10において直接的に表示処理してメンテナンスする方式のフローを示すものである。
【0105】
図11(a)において、確認表示ステップS11は、例えば上位コンピュータや保守員等が所持する通信端末装置3(以下、単に上位コンピュータと適宜称する)により、電池A1,A2の状態を確認して表示するものである。
【0106】
この確認表示ステップS11では、まず、電池A1,A2の何れかにおいてメンテナンスを要する状態(以下、単にメンテナンス必要状態と適宜称する)になった場合に、当該メンテナンス必要状態を示すデータが、上位ネットワーク2のクラウドサービス経由で上位コンピュータに送信(メール送信等)され、保守員等によって認知される。当該認知をした保守員等は、通信端末装置3により、上位ネットワーク2のクラウドサービス経由で監視装置10にアクセスして、電池A1,A2の何れがメンテナンス必要状態であるかを確認する。
【0107】
その後、交換処理ステップS12により、保守員等が監視装置10の設置場所に行き、確認表示ステップS11の確認情報に基づいて、指定された側の電池をメンテナンスする。この場合、メンテナンス必要状態の電池は、開閉操作機能部D1によって制御部Dから電気的遮断された状態であるため、監視装置10のシステムへの影響はない。
【0108】
そして、交換確認ステップS13においては、交換処理ステップS12によるメンテナンス完了後に保守員等が、通信端末装置3により、クラウドサーバ経由で監視装置10にアクセスし、当該監視装置10における現在の電池A1,A2に係る情報を更新させる。例えば制御部Dにより電池A1,A2の出力電圧を検出することにより、正しくメンテナンスが実施されたかどうかを確認できる。
【0109】
図11(b)において、確認表示ステップS21では、保守員等が監視装置10の設置場所に行き、当該監視装置10の操作部Eや出力部Fを介して、電池A1,A2の何れがメンテナンス必要状態であるかを確認する。その後、交換処理ステップS22により、保守員等が、確認表示ステップS21の確認情報に基づいて、指定された側の電池をメンテナンスする。この場合、メンテナンス必要状態の電池は、開閉操作機能部D1によって制御部Dから電気的遮断された状態であるため、監視装置10のシステムへの影響はない。
【0110】
そして、交換確認ステップS23においては、交換処理ステップS22によるメンテナンス完了後に保守員等が、操作部Eや出力部Fを介して、当該監視装置10における現在の電池A1,A2に係る情報の更新や、正しくメンテナンスが実施されたかどうかの確認を行う。
【0111】
電池A1,A2のメンテナンスの要否(何れが枯渇状態であるかどうか等)を示す電池枯渇情報や、メンテナンスが正しく実施されているかどうか等の情報は、例えば後述の実施例6に示すように記録部Gで管理することが可能である。
【0112】
<実施例5>
制御部Dにおいては、例えば起動時や再起動時(以下、適宜纏めて単に起動時と称する)に電源管理機能部D2が電池A1,A2の出力電圧や使用状態等を検出する構成の場合、以下に示すように監視装置10の運用に対する電池A1,A2の適否判定(制御部Dの各機能部を適宜動作することが可能かどうかの適否判定)を実施することが挙げられる。
【0113】
すなわち、電池A1,A2において、当該検出データに基づいてメンテナンスの要否を確認し、当該起動後や再起動後(以下、適宜纏めて単に起動後と適宜称する)の監視装置10の運用に対する適否判定(例えば後述の図13の第1判定ステップS32,第2判定ステップS35により判定;以下、単に起動時判定と適宜称する)を実施しても良い。
【0114】
この起動時判定においては、例えば電源管理機能部D2により検出した電池A1,A2の出力電圧値と、当該電池A1,A2のメンテナンス要否を判定するための当該出力電圧値に係る所定の閾値(以下、単に出力電圧閾値と適宜称する)と、の比較により実施可能である。
【0115】
このような起動時判定が可能な構成の監視装置10によれば、当該起動時判定後の監視装置10の運用に適した電池A1,A2の使用状態を適宜設定することが可能であり、また、制御部Dが再起動する場合の電池A1,A2の使用状態も適宜設定することが可能となる。
【0116】
例えば、起動時判定において、電池A1,A2のうち何れか一方がメンテナンス必要状態であると判定した場合には、当該一方を待機状態(すなわち、メンテナンス可能な状態)にし、他方を接続状態に設定することが挙げられる。
【0117】
この後、当該一方のメンテナンスを実施せずに放置してしまうと、後段の起動時判定を実施する場合に、電池A1,A2の両者がメンテナンス必要状態であると判定してしまうこととなる。この場合には、電池A1,A2の両者が接続状態となるように設定することにより、監視装置10の運用を可能な限り継続(例えば電池A1,A2の電池エネルギーを使いきるまで継続)できることとなる。
【0118】
また、前記のような電池A1,A2に係る起動時判定の結果や使用状態等の情報については、当該電池A1,A2の設定情報のデータとして、後述の実施例6のように記録部Gに適宜記録し管理することが可能である。また、当該設定情報のデータは、通信部Cを介して上位ネットワーク2のクラウドサービス経由で上位コンピュータに送信したり、出力部Fを介して表示することが可能である。
【0119】
<実施例6>
図12に示す記録部Gは、電源管理機能部D2による検出データや制御部Dによる起動時判定結果等に基づく電池A1,A2の設定情報(設定情報データ)を記録可能な構成例である。図12の記録部Gにおいては、起動時電池情報部G1,判定後電池情報部G2,電池枯渇情報部G3を主として備えており、電源管理機能部D2の検出データや制御部Dの起動時判定結果に基づく電池A1,A2の設定情報を、制御部Dによって読み出し自在に記録可能な構成となっている。
【0120】
起動時電池情報部G1は、制御部Dを起動する場合の電池A1,A2の使用状態を設定情報として記録するものである。この起動時電池情報部G1の設定情報としては、例えば後述の表1の設定G10~G13に示すように、制御部Dが起動する場合の電池A1,A2において、接続状態または待機状態となるように設定するための設定情報が挙げられる。
【0121】
判定後電池情報部G2は、起動時判定後の監視装置10を運用させる場合の電池A1,A2の使用状態を設定情報として記録するものである。この判定後電池情報部G2の設定情報としては、例えば後述の表1の設定G21~G23に示すように、起動時判定後の監視装置10を運用する場合の電池A1,A2において、接続状態または待機状態となるように設定するための設定情報が挙げられる。
【0122】
電池枯渇情報部G3は、電池A1,A2においてメンテナンスの要否(枯渇状態かどうか)を設定情報として記録するものである。この電池枯渇情報部G3の設定情報としては、例えば後述の表1の設定G30~G33に示すように、電池A1,A2の何れがメンテナンス必要状態かどうかを示す設定情報が挙げられる。
【0123】
具体例として、電池A1,A2のうち何れか一方の電池がメンテナンス必要状態であると判定された場合には、当該判定結果が電池枯渇情報部G3に記録されることとなる。また、当該一方の電池のメンテナンスを実施せずに放置し、監視装置10の運用を継続すると、他方の電池もメンテナンス必要状態となってしまうことになるが、この場合には、後段の起動時判定において、電池A1,A2の両者がメンテナンス必要状態であると判定され、その判定結果が電池枯渇情報部G3に記録されることとなる。
【0124】
【表1】
【0125】
以上のような情報部G1~G3に記録された各設定情報においては、例えば周知のメンテナンスツールを介して書き換え可能である。したがって、各設定情報においては、例えば電源管理機能部D2により電池A1,A2の出力電圧や使用状態を検出する毎(例えば起動時判定毎)に、強制的に変更することが可能となる。
【0126】
<実施例7>
図13は、図12の記録部Gを備えている監視装置10を運用した場合の監視方法例に係るものであって、制御部Dによる起動時判定および設定フローの一例を示すものである。制御部Dにおいては、記録部Gの起動時電池情報部G1に記録されている設定情報に基づいて起動すると、まず図13に示す出力電圧検出ステップS31において、電源管理機能部D2により電池A1,A2の出力電圧を検出する。次に、第1判定ステップS32では、出力電圧検出ステップS31により検出した電池A1の出力電圧値VA1と出力電圧閾値VAthとの両者を比較して、当該電池A1がメンテナンス必要状態かどうかを判定する。
【0127】
この第1判定ステップS32の比較結果がVA1>VAthの場合、電池A1においてはメンテナンスが不要な状態(以下、単にメンテナンス不要状態と適宜称する)であって監視装置10の運用に適正なものと判定し、第2判定ステップS35に移行する。一方、前記判定結果がVA1≦VAthの場合、電池A1においてはメンテナンス必要状態であって監視装置10の運用に不適正なものと判定する。そして、送信ステップS33において、通信部Cにより、当該判定結果を上位ネットワーク2経由で上位コンピュータに送信し、記録ステップS34において、当該判定結果を記録部Gの電池枯渇情報部G3に記録(すなわち更新)する。
【0128】
次に、第2判定ステップS35では、出力電圧検出ステップS31により検出した電池A2の出力電圧値VA2と出力電圧閾値VAthとの両者を比較して、当該電池A2がメンテナンス必要状態かどうかを判定する。
【0129】
この第2判定ステップS35の比較結果がVA2>VAthの場合、電池A2においてはメンテナンス不要状態であって監視装置10の運用に適正なものと判定し、後述の起動時電池情報読出ステップS38に移行する。一方、前記判定結果がVA2≦VAthの場合には、電池A2においてはメンテナンス必要状態であって監視装置10の運用に不適正であるものと判定する。そして、送信ステップS36において、通信部Cにより、当該判定結果を上位ネットワーク2経由で上位コンピュータに送信し、記録ステップS37において、当該判定結果を記録部Gの電池枯渇情報部G3に記録する。その後、起動時電池情報読出ステップS38では、起動時電池情報部G1に記録されている設定情報を読み出して、起動判定ステップS39に移行する。
【0130】
起動判定ステップS39においては、起動時電池情報読出ステップS38で読み出した設定情報に基づいて、制御部Dにおける起動時の電池A1,A2の使用状態を判定(表1の設定G10~G13のうち何れの状態で起動したかを判定)し、当該判定結果に応じて次段の使用状態設定ステップS40a~S40cの何れかに移行する。
【0131】
使用状態設定ステップS40a~40cは、それぞれ表1の設定G11~G13の状態で起動した場合に係るものであり、記録部Gの電池枯渇情報部G3の設定情報(すなわち、電池A1,A2のメンテナンスの要否)に基づいて、後述の表2~表4の項目「使用状態」のように電池A1,A2の使用状態をそれぞれ設定する。
【0132】
そして、記録ステップS41a~41cにおいては、それぞれ使用状態設定ステップS40a~S40cで設定した電池A1,A2の使用状態に基づいて、後述の表2~表4の項目「記録G1」「記録G2」に示す設定情報を起動時電池情報部G1,判定後電池情報部G2に各々記録する。
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
以上示した本実施例7のように電源管理機能部D2を動作させることにより、監視装置10の運用に適した電池A1,A2の使用状態を適宜設定することが可能となる。
【0137】
なお、送信ステップS33,S36により上位ネットワーク2経由で上位コンピュータに送信する各々の判定結果においては、適宜纏めて送信(例えば送信ステップS36において纏めて送信)しても良く、例えば表2~表4の項目「送信G3」に示す設定情報を送信することが挙げられる。
【0138】
<実施例8>
以下の表5は、監視装置10において起動時判定を適宜行って運用した場合の一例であって、当該運用時の開閉スイッチA11,A21の開閉状態と、電池A1,A2を上位ネットワーク2経由(クラウド処理系)によりメンテナンス(例えば図11(a)のようにメンテナンス)するタイミングと、を示すものとなっている。なお、以下に示すステップS51~S64においては、必要に応じて、実施例7のように記録部Gに設定情報を適宜記録できるものとする。
【0139】
【表5】
【0140】
この表5の運用において、電源管理機能部D2は、まず起動ステップS51により、フェールセーフ状態(開閉スイッチA11,A21の両者が閉状態;すなわち、電池A1,A2の両者が接続状態)で起動した後、判定ステップS52に移行した。
【0141】
この判定ステップS52は、起動時判定を行うものであり、まず電源管理機能部D2により検出された電池A1,A2の出力電圧値VA1,VA2と出力電圧閾値VAthとの両者をそれぞれ比較し、当該電池A1,A2の両者がメンテナンス不要状態であると判定した。そして、開閉スイッチA11を閉状態(電池A1を接続状態)にし、開閉スイッチA21を開状態(電池A2を待機状態)にした後、運用ステップS53に移行して監視装置10の運用を継続した。
【0142】
次に、検出ステップS54では、電圧センサA5のリセット回路により、制御部Dに対する入力電圧値Viが当該入力電圧値Viに係る所定の閾値(以下、単に入力電圧閾値と適宜称する)Vithよりも低下していることを検出した。そして、再起動ステップS55により制御部Dを再起動してリセットした後、判定ステップS56に移行した。
【0143】
この判定ステップS56では、判定ステップS52と同様に起動時判定を行い、電池A1がメンテナンス必要状態であると判定した。そして、開閉スイッチA11を開状態(電池A1をメンテナンス可能な状態)にし、開閉スイッチA21を閉状態(電池A2を接続状態)にした。また、当該起動時判定による判定結果を、通信部Cを介し上位ネットワーク2を経由して上位コンピュータに送信し、保守員等の人間系によって認知できるようにした。そして、運用ステップS57に移行して監視装置10の運用を継続している間に、保守員等が監視装置10の設置場所に行き、電池A1をメンテナンス(交換や充電)して待機状態にした。
【0144】
次に、検出ステップS58では、電圧センサA5のリセット回路により、制御部Dに対する入力電圧値Viが入力電圧閾値Vithよりも低下していることを検出した。そして、再起動ステップS59により制御部Dを再起動してリセットした後、判定ステップS60に移行した。
【0145】
この判定ステップS60では、判定ステップS52と同様に起動時判定を行い、電池A2がメンテナンス必要状態であると判定した。そして、開閉スイッチA21を開状態(電池A2をメンテナンス可能な状態)にし、開閉スイッチA11を閉状態(電池A1を接続状態)にした。また、当該起動時判定による判定結果を、通信部Cを介し上位ネットワーク2を経由して上位コンピュータに送信し、保守員等の人間系によって認知できるようにした。そして、運用ステップS61に移行して監視装置10の運用を継続している間に、保守員等が監視装置10の設置場所に行き、電池A2をメンテナンス(交換や充電)して待機状態にした。
【0146】
検出ステップS62,再起動ステップS63,判定ステップS64は、それぞれ検出ステップS54,再起動ステップS55,判定ステップS56と同様の内容であるため、その詳細な説明を省略する。判定ステップS64以降においては、運用ステップS57~再起動ステップS63を順次繰り返した。
【0147】
ここで、表5に示す運用において、出力電圧閾値VAthおよび入力電圧閾値Vithの大小関係に着目すると、以下に示すことが言える。
【0148】
例えば、前記大小関係においてVAth≦Vithが成り立つ場合、判定ステップS55,S64での開閉スイッチA11,A21は、それぞれ表5に示すとおりの開閉状態に切り替わることが考えられる。
【0149】
一方、前記大小関係においてVAth>Vithが成り立つ場合には、判定ステップS55,S64での開閉スイッチA11,A21は、それぞれ表5に示すとおりの開閉状態に切り替わらないことが起こり得る。すなわち、判定ステップS55,S64の起動時判定において、電池A1,A2がメンテナンス不要状態であると判定してしまうことが考えられる。このような場合には、例えば再起動を繰り返すことにより(例えば複数回の再起動を繰り返すことにより)、電池A1や電池A2の電池エネルギーが消費され、前記大小関係においてVAth>Vithが成り立つ状態となった後、当該表5に示すような開閉状態に切り替わることが考えられる。
【0150】
したがって、出力電圧閾値VAthおよび入力電圧閾値Vithの大小関係を適宜設定することにより、再起動によるリセット回数を調整したり、電池A1,A2のメンテナンス前の電池エネルギー残余量を調整(例えば使いきり量を調整)できることが判る。
【0151】
<実施例9>
以下の表6は、監視装置10において起動時判定を適宜行って運用した場合の他例であって、表5と同様に、当該運用時の開閉スイッチA11,A21の開閉状態と、電池A1,A2を上位ネットワーク2経由によりメンテナンスするタイミングと、を示すものとなっている。
【0152】
【表6】
【0153】
この表6の運用において、電源管理機能部D2は、まず表5の運用と同様の起動ステップS51~判定ステップS56を行った。次に、運用ステップS57では、表5の運用と同様に監視装置10の運用を継続したが、保守員等は電池A1のメンテナンスを実施しなかった。
【0154】
次に、検出ステップS58では、電圧センサA5のリセット回路により、制御部Dに対する入力電圧値Viが入力電圧閾値Vithよりも低下していることを検出した。そして、再起動ステップS59により制御部Dを再起動してリセットした後、判定ステップS60に移行した。
【0155】
この判定ステップS60では、電池A1,A2の両者がメンテナンス必要状態であると判定し、開閉スイッチA11,A21の両者を閉状態(電池A1,A2を接続状態)にした。また、当該起動時判定による判定結果を、通信部Cを介し上位ネットワーク2を経由して上位コンピュータに送信し、保守員等の人間系によって認知できるようにした。その後、運用ステップS61に移行して監視装置10の運用を継続したが、保守員等は電池A1,A2の何れのメンテナンスも実施しなかった。
【0156】
そして、検出ステップS62において、電圧センサA5のリセット回路により、制御部Dに対する入力電圧値Viが入力電圧閾値Vithよりも低下していることを検出し、再起動ステップS59に移行した。再起動ステップS63,判定ステップS64は、それぞれ再起動ステップS59,判定ステップS60と同様の内容であるため、その詳細な説明を省略する。判定ステップS64以降においては、電池A1,A2の両者による電池エネルギーが枯渇するまで(監視装置10を運用できなくなるまで)、運用ステップS61~再起動ステップS63を順次繰り返した。
【0157】
以上示した表6の運用によれば、例えば保守員等が電池A1,A2のメンテナンスを所望通りに実施できなかったとしても、監視装置10の運用は可能な限り継続されることが判る。
【0158】
<実施例10>
図14は、監視装置10を特許文献1の多機能型のマンホールに適用した場合の一例を示すものである。なお、図1図6に示すものや特許文献1と同様のものには同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0159】
図14において、符号11は、下水道管渠内の計測用に適用可能な多機能型のマンホール蓋を示すものであり、管渠に連通するマンホールの地上側の開口部(特許文献1では符号12)を閉塞する蓋本体18を備えている。この蓋本体18の裏側には、監視装置10の電源部Aの電池A1,A2等を収容する筐体25と、制御部Dを収容する筺体26と、蓋本体18の裏側に形成された補強部20,21と、当該補強部20,21により仕切られて各筺体25,26が別個に設置される複数の空間(特許文献1では符号R1~R3)と、が構成されている。
【0160】
この図14のようにマンホール蓋11に監視装置10を適用した構成によれば、下水道管渠内の水位や流量等を適宜監視(例えば遠方監視等)することが可能となる。
【0161】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0162】
例えば、本実施形態の監視装置10では、電源部Aにおいて2個の電池A1,A2を備えた二重化構成のみを説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、監視装置10の電源部Aに複数個の電池を備え、それぞれ制御部との間に介在する開閉スイッチにより、当該制御部に対して電気的断続可能に接続し、本実施形態と同様に制御部Dにより適宜制御(各開閉スイッチを適宜開閉操作)することが可能となる。このような監視装置10によれば、電源部Aから制御部Dに対する電源供給が多重化(例えば各電池を順番に使用できるように多重化)された構成となる。
【0163】
また、本発明は、コンピュータを前述の各機能部D1~D5として機能させるプログラムとして構成することもできる。このプログラムによれば、コンピュータに前述のステップS11~S13,ステップS21~S23,ステップS31~S41,ステップS51~S64の各処理を実行させることができる。このプログラムを記録した記録媒体は、記録媒体駆動装置を利用して読み出され、そのプログラムコード自体が前記実施形態の処理を実現するので、該記録媒体も本発明を構成する。
【符号の説明】
【0164】
1…監視システム
10…監視装置
2…上位ネットワーク
3…通信端末装置親機
A…電源部
A1,A2…電池
A11,A21…開閉スイッチ
B…計測部
C…通信部
D…制御部
D1~D5…機能部
E…操作部
F…出力部
G…記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14