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特許7120429紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法
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  • 特許-紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/46 20060101AFI20220809BHJP
   D21H 19/38 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B41M5/46 510
D21H19/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021190359
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2022-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 壮
(72)【発明者】
【氏名】塩田 隼介
(72)【発明者】
【氏名】東川 一希
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-530507(JP,A)
【文献】特開平07-092611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/26、5/46
D21H 19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材上に酸化チタンを含有する印刷層を有し、
前記印刷層は、紫外線レーザーの照射により印刷層中の酸化チタンが変色することにより印刷可能な層であり、
前記印刷層中の前記酸化チタンの含有量が、0.04g/m以上18.0g/m以下であり、
前記紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.70mm以上2.0mm以下であり、
前記紙基材を構成するパルプ中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が6%以上40%以下であり、
前記印刷層の表面平滑度が80秒以上である、
紫外線レーザー印刷用紙。
【請求項2】
前記印刷層が、酸化チタン以外の無機顔料を含有する、請求項1に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
【請求項3】
印刷層中の酸化チタンと、酸化チタン以外の無機顔料との質量比(酸化チタン/酸化チタン以外の無機顔料)が0.01以上2.0以下である、請求項2に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
【請求項4】
前記酸化チタン以外の無機顔料が、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カオリン、酸化マグネシウム、およびマイカよりなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2または3に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
【請求項5】
前記印刷層の1m当たりの質量が、3.5g/m以上50g/m以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙から得られた印刷物であって、
前記印刷層が、少なくとも一部に、変色された酸化チタンを含有する印刷領域を有し、
非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比が0.70以下である、印刷物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙、または請求項6に記載の印刷物を用いてなる、加工品。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させることにより印刷する工程を有する、
印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記照射する紫外線レーザーの出力が0.8W以上である、請求項8に記載の印刷物の製造方法。
【請求項10】
前記印刷する工程が、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比が0.70以下となるように紫外線レーザーを照射する工程である、請求項8または9に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造日や出荷日などの日付や、バーコードなどの可変情報を、収容物が収容される容器等の包装体に表示するために、ラベル表示またはインクジェット印刷が行われている。
また、レーザー光照射により印字する方法も提案されており、たとえば、特許文献1には、レーザー光照射により、鮮明な印字が高速で行え、かつ、印字された部分が各種の耐性に優れたレーザー印字用積層体およびその印字体を提供することを目的として、アルミ蒸着紙のアルミ蒸着面上に、白インキ、黒インキおよびオーバープリントニス(OPニス)を塗布して製造したレーザー印刷用積層体が開示されている。
さらに、特許文献2には、発熱が比較的少なく、包装材のレーザーマーキングに好ましく適用可能な技術を提供することを目的として、平均粒子径が150nm以下の第一の酸化チタン粒子を含み、紫外線レーザーの照射により色変化するレーザーマーキング層を形成するために用いられるインク組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-123607号公報
【文献】特開2020-75943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装体、ラベル、粘着テープなどの表面への印刷手段として、サーマルプリンタやインクジェットプリンタを用いて包装体表面に直接インキを載せる方法があり、現在多用されている。しかし、サーマルプリンタのインクリボンやインクジェットプリンタのインキ等の消耗品は高価であり、多くの変動情報を印刷するにはランニングコストが高額になるという問題がある。また、これら消耗品の交換を怠ると印刷漏れが発生する場合もある。さらに、UV硬化型インキを用いたオフセット印刷による包装体への変動情報の直接印刷も行われているが、包装体表面の汚れや包装体の厚さむら等によって、印刷カスレや文字欠け等が発生する場合がある。
また、特許文献1に記載の方法では、高速化が可能であるものの、COレーザー光の照射によりレーザー光を吸収しやすい上層を除去して、下層を露出し、上層と下層の色の違いから視認可能な文字等を形成する技術であるため、上層はレーザー光を吸収しやすい材料に限定され、逆に下層はレーザー光を吸収しにくく、かつ、上層と色のコントラストの取れる材料に限定される。すなわち、レーザー光を吸収しやすいカーボンブラック系の材料(黒色)が上層となり、酸化チタン系の材料(白色)が下層となり、レーザー光の照射により形成される文字等は、黒地に白い文字となり、視認性に劣る。また、上層を除去する際に、上層のインクが粉塵化して、作業環境の汚染を招くという問題があった。
さらに、特許文献2に記載のインク組成物を用いて作製した塗工層に対して、紫外線レーザーによる印刷を行うと、十分な印刷濃度が得られなかったり、酸化チタンの飛散による発煙が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、優れた印刷適性を有し、かつ、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制された紫外線レーザー印刷用紙を提供することを目的とする。また、本発明は、前記紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させた印刷物およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記紫外線レーザー印刷用紙または印刷物を用いてなる加工品を提供することを目的とする。
なお、印刷適性に優れるとは、明度が低く、視認性に優れ、さらに、印刷抜け(印字抜けともいう)が抑制された印刷物が得られることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、紙基材上に酸化チタンを含有する印刷層を有する紫外線レーザー印刷用紙において、印刷層中の酸化チタンの含有量を特定の範囲とし、紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長を特定の範囲とし、さらに、印刷層の表面平滑度を特定の値以上とすることにより、印刷適性に優れ、かつ、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の<1>~<10>に関する。
<1> 紙基材上に酸化チタンを含有する印刷層を有し、前記印刷層中の前記酸化チタンの含有量が、0.04g/m以上18.0g/m以下であり、前記紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.70mm以上2.0mm以下であり、前記印刷層の表面平滑度が7秒以上である、紫外線レーザー印刷用紙。
<2> 前記印刷層が、酸化チタン以外の無機顔料を含有する、<1>に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<3> 印刷層中の酸化チタンと、酸化チタン以外の無機顔料との質量比(酸化チタン/酸化チタン以外の無機顔料)が0.01以上2.0以下である、<2>に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<4> 前記酸化チタン以外の無機顔料が、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カオリン、酸化マグネシウム、およびマイカよりなる群から選択される少なくとも1つである、<2>または<3>に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<5> 前記印刷層の1m当たりの質量が、3.5g/m以上50g/m以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<6> <1>~<5>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙から得られた印刷物であって、前記印刷層が、少なくとも一部に、変色された酸化チタンを含有する印刷領域を有し、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比が0.70以下である、印刷物。
<7> <1>~<5>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙、または<6>に記載の印刷物を用いてなる、加工品。
<8> <1>~<5>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させることにより印刷する工程を有する、印刷物の製造方法。
<9> 前記照射する紫外線レーザーの出力が0.8W以上である、<8>に記載の印刷物の製造方法。
<10> 前記印刷する工程が、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比が0.70以下となるように紫外線レーザーを照射する工程である、<8>または<9>に記載の印刷物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた印刷適性を有し、かつ、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制された紫外線レーザー印刷用紙が提供される。また、本発明によれば、前記紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させた印刷物およびその製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、前記紫外線レーザー印刷用紙または印刷物を用いた加工品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、印刷物におけるラマン強度測定の一例を示す説明図である。
図2図2は、印刷領域を有する液体容器の一例の概念斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[紫外線レーザー印刷用紙]
本発明の紫外線レーザー印刷用紙(以下、単に「印刷用紙」ともいう)は、紙基材上に酸化チタンを含有する印刷層を有し、前記印刷層中の前記酸化チタンの含有量が、0.04g/m以上18.0g/m以下であり、前記紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.70mm以上2.0mm以下であり、前記印刷層の表面平滑度が7秒以上である。
本発明によれば、優れた印刷適性を有し、かつ、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制された紫外線レーザー印刷用紙が提供される。
上述した効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
紙基材に、酸化チタンを含有する印刷層を有することにより、紫外線レーザーによるレーザー照射により、印刷層中の酸化チタンが変色し、印刷することが可能である。前記酸化チタンの変色は、印刷層が含有する酸化チタンのイオン価数が4価から3価に変化し、酸素欠陥が生じることで、白色から黒色へと変化し、これにより、視認可能となっていると考えられる。酸化チタンのイオン価数は、酸化チタンのバンドギャップに相当する光エネルギーを照射する際に変化するものと考えられる。酸化チタンのバンドギャップは結晶系によって異なるが、一般に3.0~3.2eV程度であり、これに相当する光の波長は420nm以下である。そのため、420nmを超える波長のレーザー光(たとえば532nm、1064nm、10600nm)を用いても本発明のような酸化チタンのイオン価数変化に起因する印刷を施すことは困難である。この際、印刷層中の酸化チタンの含有量を0.04g/m以上にすることで、優れた印刷適性が得られる。
さらに、印刷層表面の平滑性が低いと、凸部が紫外線レーザー光を散乱することで、印字抜けが生じると考えられる。本発明では、印刷層の表面平滑度を7秒以上とすることにより、印字抜けが抑制されたものと考えられる。さらに、紙基材上に印刷層を設ける場合、印刷層が紫外線レーザーの照射によりダメージを受けると、印刷箇所が脱落することで、印刷抜けが発生すると考えられる。紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長を特定の範囲とすることによって、より均一な印刷層を設けることが可能となり、印刷層の表面平滑性が向上するとともに、紫外線レーザー照射時の紙基材へのダメージが抑制されることで、印刷抜けが抑制されたものと考えられる。
また、本発明者等は、上記の紫外線レーザーにより照射を行い、印刷する際に、酸化チタンの飛散に伴うと考えられる発煙が発生することを見出した。紫外線レーザーの照射により、酸化チタンが加熱されると、変色した酸化チタンが印刷層から脱離する現象が生じると考えられ、このような脱離に伴い、煙が発生すると考えられる。酸化チタンの含有量を18.0g/m以下とすることにより、後述する発煙が抑制されたものと考えられる。
本実施形態において、印刷可能領域とは、紫外線レーザーにより照射された部分の酸化チタンが白色から黒色に変色することで、紫外線レーザーの照射による印刷が可能である領域(部分)を意味し、印刷領域とは、印刷可能領域の中で、実際に紫外線レーザーの照射により酸化チタンが変色し、視認可能となっている箇所、すなわち、紫外線レーザーの被照射部分を意味する。また、非印刷領域とは、印刷可能領域の中で、紫外線レーザーが照射されていない領域(部分)を意味する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0010】
紫外線レーザー印刷用紙は、酸化チタンを含有する印刷可能領域を有する。
前記印刷用紙は、紙基材上に、酸化チタンを含有する印刷層を有する。なお、印刷層は少なくとも紙基材の片面に形成されていればよく、両面に形成されていてもよいが、印刷用紙が片面のみに印刷層を有することが好ましい。また、印刷用紙の全面に印刷層を有していてもよいが、印刷を行いたい、一部の領域(部分)のみに印刷層を有していてもよい。
なお、本実施形態において、紙基材の印刷層が設けられている面とは反対面に、さらに層を有していてもよく、たとえば、粘着層、蒸着層、樹脂層等を有していてもよい。これらの層は、1層でもよく、複数の層が設けられていてもよい。
【0011】
<印刷層>
本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙は、紙基材上に酸化チタンを含有する印刷層を有する。印刷層は、塗工により設けてもよく、また、ラミネートにより設けてもよく、特に限定されない。すなわち、印刷層は、酸化チタンを含有するラミネート層、または酸化チタンを含有する塗工層であることが好ましい。本発明において、印刷層は、印刷抜け(印字抜けともいう)の発生が顕著である観点から、塗工により設けることがより好ましい。
印刷層は、酸化チタンを含有し、前記印刷層中の酸化チタンの含有量が0.04g/m以上18.0g/m以下である。
印刷層中の酸化チタンの含有量は、十分な印刷濃度を得る観点から0.04g/m以上であり、好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.3g/m以上、さらに好ましくは0.5g/m以上であり、そして、印刷濃度が頭打ちとなり、必要量以上の酸化チタンを含有させることによるコストアップを抑制する観点、印刷適性を向上する観点、および発煙量を抑制する観点から、18.0g/m以下、好ましくは15.0g/m以下、より好ましくは10.0g/m以下、さらに好ましくは5.0g/m以下、よりさらに好ましくは3.0g/m以下である。
なお、印刷用紙の少なくとも印刷可能領域が酸化チタンを上記の含有量で含有していればよく、印刷を行わない領域において、印刷層が設けられてない部分が存在してもよく、また、酸化チタンの含有量が0.04g/m未満または18.0g/mを超える印刷層が設けられている領域が存在していてもよい。製造の簡易性の観点から、印刷用紙の全領域に酸化チタンの含有量が0.04g/m以上18.0g/m以下である印刷層が設けられていることが好ましい。
【0012】
本実施形態において、印刷用紙が、酸化チタンを含有する印刷層の下層として、酸化チタンを含有しない下塗り層や、酸化チタンの含有量が0.04g/m未満である下塗り層を有していてもよい。そのような場合には、酸化チタンの含有量は、下層を含めた印刷層の全層中の含有量が0.04g/m以上18.0g/m以下である。
また、印刷層の上に、後述する樹脂層を有する場合には、該樹脂層は印刷層に該当しないものとする。
【0013】
印刷層の1m当たりの質量(固形分)は、印刷適性を向上する観点、および紫外線レーザー照射時の発煙を抑制する観点から、好ましくは1.0g/m以上、より好ましくは3.5g/m以上、さらに好ましくは4.5g/m以上、よりさらに好ましくは6.0g/m以上であり、そして、好ましくは50g/m以下、より好ましくは40g/m以下、さらに好ましくは35g/m以下である。
【0014】
印刷層(固形分)中の酸化チタンの含有量は、印刷適性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上、よりさらに好ましくは2.5質量%以上であり、そして、印刷濃度が頭打ちとなり、必要以上の酸化チタンを含有させることによるコストアップを抑制する観点、印刷層の形成容易性の観点、紫外線レーザー照射時の発煙を抑制する観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、よりさらに好ましくは60質量%以下、よりさらに好ましくは50質量%以下、よりさらに好ましくは40質量%以下である。
【0015】
印刷層の厚みは、印刷適性を向上する観点および印刷層形成の容易性の観点から、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上であり、そして、印刷濃度が頭打ちとなる観点および印刷層形成容易性の観点から、好ましくは40.0μm以下、より好ましくは30.0μm以下、さらに好ましくは25.0μm以下、よりさらに好ましくは20.0μm以下である。
印刷層の厚みは、印刷用紙の断面の電子顕微鏡(SEM)の観察像から測定される。
【0016】
印刷用紙の基材は、後述するように紙基材であり、紙基材自体が酸化チタンを含有してもよい。紙基材が酸化チタンを含有することにより、より鮮明な画像となる傾向にある。
紙基材が酸化チタンを含有する場合、紙基材中の酸化チタンの含有量は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2.5g/m以上、さらに好ましくは5g/m以上、よりさらに好ましくは10g/m以上である。
【0017】
印刷層は、酸化チタンに加え、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。さらに、酸化チタン以外の無機顔料を含有することが好ましい。以下、各成分について詳述する。
(酸化チタン)
印刷層が含有する酸化チタンは、組成式TiOで表され、二酸化チタン、またはチタニアとも呼ばれる。
酸化チタンは、いずれも結晶構造でもよく、また、アモルファスであってもよく、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、およびアモルファス酸化チタンから選択される少なくとも1つであることが好ましく、入手容易性および安定性の観点から、ルチル型酸化チタンおよびアナターゼ型酸化チタンから選択される少なくとも1つであることがより好ましく、ルチル型酸化チタンであることがさらに好ましい。
酸化チタンの結晶形は、公知の方法で決定することができ、具体的には、ラマンスペクトル、XRDパターンの解析などにより決定することができる。たとえば、ラマンスペクトルから同定する場合には、一般的には、ルチル型では、447±10cm-1、609±10cm-1にピークが確認され、アナターゼ型では、395±10cm-1、516±10cm-1、637±10cm-1にピークが確認される。
酸化チタンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
酸化チタンの形状は特に限定されず、不定形、球状、棒状、針状等の、いずれの形状であってもよい。
酸化チタンが不定形または球状である場合、酸化チタンの平均粒子径は特に限定されないが、表面平滑性に優れる印刷用紙を得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.10μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上であり、そして、好ましくは20.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。
【0019】
また、酸化チタンが針状である場合、酸化チタンの長径は、特に限定されないが、表面平滑性に優れる印刷用紙を得る観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、好ましくは50.0μm以下、より好ましくは30.0μm以下、さらに好ましくは15.0μm以下である。また、短径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、そして、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。また、酸化チタンが針状である場合、アスペクト比(長径/短径)は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは30以下である。
酸化チタンの粒子径、長径および短径は、実施例に記載の方法により測定される。なお、原料として使用した酸化チタンの粒子径、長径、および短径の値を採用してもよい。
【0020】
(熱可塑性樹脂)
印刷層に使用される熱可塑性樹脂は、バインダーとして機能する。
印刷層の熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、印刷層を塗工により設ける場合には、水性塗工液として塗布することが好ましい観点から、水希釈性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、印刷層を塗工により設ける場合、該印刷層を塗工層ともいう。
水希釈性の樹脂とは、水溶性、エマルション型、ディスパーション型の樹脂が例示される。
水希釈性の熱可塑性樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよく、たとえば、澱粉誘導体、カゼイン、シュラック、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
より具体的には、アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸と、そのアルキルエステルまたはスチレン等とをモノマー成分として共重合したアクリル系樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、スチレン-アクリル酸-マレイン酸樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが例示される。
これらの中でも、塗工液の安定性、印刷層の耐溶剤性の観点から、澱粉誘導体、カゼイン、シュラック、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、およびスチレン-ブタジエン系樹脂から選択される少なくとも1つが好ましく、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、およびスチレン-ブタジエン系樹脂から選択される少なくとも1つがより好ましく、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アクリル系樹脂、およびスチレン-ブタジエン系樹脂から選択される少なくとも1つがさらに好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、アクリル系樹脂、およびスチレン-ブタジエン系樹脂から選択される少なくとも1つがよりさらに好ましい。
これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤系の塗工液とする場合には、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル共重合系樹脂等の公知の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0021】
熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されず、熱可塑性樹脂の種類や、塗工液中の酸化チタンや後述する無機顔料の含有量等に応じて適宜選択すればよく、たとえば、塗工液の固形分中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
【0022】
印刷層を塗工により設ける場合、塗工層は、塗工液の塗布および乾燥により設けることが好ましい。
塗工液は、水性塗工液であることが好ましく、使用する水性媒体としては、水、または水と水混和性溶剤との混合物が挙げられる。
水混和性溶剤としては、低級アルコール類、多価アルコール類、およびそれらのアルキルエーテルまたはアルキルエステル類が挙げられる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プルピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
有機溶剤系塗工液である場合には、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤など公知の溶剤等が挙げられる。
【0023】
塗工液の固形分濃度は特に限定されないが、所望の塗工層の厚みを得る観点、塗工液を塗工容易な粘度とする観点、および乾燥容易性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、よりさらに好ましくは60質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、よりさらに好ましくは65質量%以下である。
【0024】
塗工液の粘度は、塗工適性、所望の塗工層の厚みを得る観点、および乾燥容易性の観点から、Brookfield型粘度計による測定で、好ましくは100mPa・s(20℃)以上、より好ましくは300mPa・s(20℃)以上、さらに好ましくは500mPa・s(20℃)以上であり、そして、好ましくは5000mPa・s(20℃)以下、より好ましくは4000mPa・s(20℃)以下、さらに好ましくは3000mPa・s(20℃)以下、よりさらに好ましくは2000mPa・s(20℃)以下である。
【0025】
印刷層をラミネートにより設ける場合には、酸化チタンを含有するフィルムを基材に積層することが好ましい。なお、印刷層をラミネートにより設ける場合、該印刷層をラミネート層ともいう。
ラミネート層を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、酸化チタンを内包させてフィルム状に加工可能であればよく、公知の熱可塑性樹脂の中から、適宜選すればよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリアミド;ポリアクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
これらの中でも、ラミネート層を構成する樹脂は、汎用的に使用することができ、かつ、紫外線の透過率が高く、フィルムの内部まで酸化チタンの変色を可能とする観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート等のポリエステルを含むことが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、およびポリブチレンスクシネートよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、およびポリブチレンスクシネートよりなる群から選択される少なくとも1つであることがさらに好ましい。ラミネート層を構成する樹脂は、ポリオレフィンであることがよりさらに好ましく、ポリエチレンおよびポリプロピレンよりなる群から選択される少なくとも1つであることがよりさらに好ましい。ポリエチレン(PE)は、大きくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)のように区分される。これらの中では、押し出しラミネート性に優れることから、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
なお、ラミネート層を構成する樹脂として、生分解性樹脂であるポリエステルを使用すると、環境負荷が低減される点で好ましく、たとえば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートが例示される。
これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
ラミネート層中の熱可塑性樹脂の含有量は、紫外線レーザー照射時の発煙を抑制する観点から、好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは30.0質量%以上、さらに好ましくは50.0質量%以上、よりさらに好ましくは70.0質量%以上であり、そして、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99.0質量%以下、よりさらに好ましくは97.0質量%以下である。
【0027】
(酸化チタン以外の無機顔料)
印刷層は、上述した酸化チタンおよび熱可塑性樹脂に加え、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、酸化チタン以外の無機顔料(以下、単に「無機顔料」ともいう)が挙げられる。酸化チタン以外の無機顔料を含有することにより、酸化チタンの飛散が抑制され、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制され、また、印刷適性が向上するので好ましい。
無機顔料としては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カオリン、酸化マグネシウム、マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムが例示され、これらの中でも、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カオリン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、およびマイカよりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、炭酸カルシウムおよびタルクよりなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましい。
無機顔料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
無機顔料の形状は特に限定されず、不定形、球状、棒状、針状等の、いずれの形状であってもよい。
無機顔料が不定形または球状である場合、無機顔料の粒子径は特に限定されないが、表面平滑性に優れる印刷用紙を得る観点、および発煙を抑制する観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、さらに好ましくは0.20μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
また、無機顔料が針状である場合、無機顔料の長径は、特に限定されないが、表面平滑性に優れる印刷用紙を得る観点、および発煙を抑制する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。また、短径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、そして、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。また、無機粒子が針状である場合、アスペクト比(長径/短径)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは3.0以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。
【0029】
印刷層が酸化チタン以外の無機顔料を含有する場合、印刷層中の無機顔料の含有量は、印刷適性向上の観点、および紫外線レーザー照射時の発煙を抑制する観点から、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、よりさらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、よりさらに好ましくは80質量%以下である。
【0030】
印刷層が酸化チタン以外の無機顔料を含有する場合、酸化チタンと、酸化チタン以外の無機顔料との質量比(酸化チタン/酸化チタン以外の無機顔料)は、印刷適性向上の観点、および紫外線レーザー照射時の発煙を抑制する観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.2以下である。
【0031】
印刷層は、上述した成分に加え、造膜剤、顔料分散剤、顔料分散樹脂、ブロッキング防止剤、湿潤剤、粘度調整剤、pH調整剤、消泡剤、一般の界面活性剤等を含有していてもよい。
【0032】
(塗工液)
印刷層を塗工により設ける場合、塗工液は、上記の各種材料を水性媒体と混合して得られる。なお、水性媒体との混合に先立ち、酸化チタン、熱可塑性樹脂、水、および必要に応じて酸化チタン以外の無機顔料、水混和性溶剤、顔料分散剤、顔料分散性樹脂等を混合して混練し、これに、さらに水、必要に応じて水混和性溶剤、および所定の材料の残りを添加、混合してもよい。
塗工液は、上記各成分をホモミキサー、ラボミキサー等の高速撹拌機や、3本ロールミルやビーズミル等の分散機にて混合、分散することにより得られる。
【0033】
塗工液の塗布方法としては特に限定されず、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、スプレー塗布、グラビアコーター、エナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ダイコーター等により基材に塗布すればよい。
【0034】
〔ラミネート層〕
印刷層がラミネート層である場合、ラミネートするフィルムは、少なくとも酸化チタンおよび熱可塑性樹脂、並びに必要に応じて無機顔料等の材料を溶融混練した原料組成物を調製し、これをフィルム状に成形した後、必要に応じて延伸することで得られる。
なお、原料組成物の調製に際し、酸化チタンや無機顔料を高濃度で含有するマスターバッチを調製してから、これを樹脂と混合してもよい。
また、予め均一に混合した材料を成形機に仕込んでもよく、成形機と一体となったホッパーや混練機で混合してもよい。
フィルム状に成形する方法としては、従来公知の方法から適宜選択すればよく、たとえば、溶融押出法、溶融流延法、カレンダー法等の中から、適宜選択すればよい。
【0035】
基材とフィルムとを接着剤層を介して貼付してもよく、またはラミネート加工することが好ましい。
なお、接着剤層としては特に限定されず、公知の接着剤層から適宜選択して用いればよい。具体的には、特開2012-57112号公報の粘着剤層が例示される。
ラミネート加工としては、具体的には、熱ラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出ラミネート法等により、紙基材とラミネート層とを積層することが例示される。
これらの中でも、ラミネート層と紙基材とを貼付する工程が不要であり、製造工程の観点から、押出ラミネート法が好ましい。
【0036】
<紙基材>
本実施形態において、基材として紙基材を使用する。
紙基材を構成する原料パルプとしては、たとえば、木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、竹、バガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。原料パルプは、上記の1種を単独でも2種以上混合して用いてもよい。なお、原料パルプに、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の有機合成繊維、ポリノジック繊維等の再生繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機繊維を混用してもよい。
原料パルプは、入手のしやすさという観点から、木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、原料パルプは、木材パルプの中でも、地合いの均一性の観点から、好ましくは化学パルプであり、より好ましくはクラフトパルプであり、さらに好ましくはユーカリ、アカシア等の広葉樹クラフトパルプ、およびマツ、スギ等の針葉樹クラフトパルプから選択される1種以上であり、よりさらに好ましくは広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)および針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)から選択される1種以上であり、特に好ましくはLBKPである。
【0037】
紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長は、0.70mm以上であり、好ましくは0.72mm以上、より好ましくは0.74mm以上であり、そして、2.0mm以下であり、好ましくは1.6mm以下、より好ましくは1.2mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下、よりさらに好ましくは0.80mm以下である。
紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が2.0mm以下であると、パルプ同士が密に絡まり合うことで、紙基材の表面が平滑化し、印刷層表面も平滑化することで、印刷適性に優れるので好ましい。また、長さ加重平均繊維長が0.70mm以上であると、紙基材としての強度が向上するとともに、紫外線レーザー照射による紙粉の脱落が抑制され、印刷適性に優れるので好ましい。
紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、実施例に記載の方法により測定される。
【0038】
紙基材を構成するパルプ繊維の平均繊維幅は、好ましくは14.0μm以上、より好ましくは15.0μm以上、さらに好ましくは15.5μm以上、よりさらに好ましくは16.0μm以上であり、そして、好ましくは35.0μm以下であり、好ましくは33.0μm以下、より好ましくは31.0μm以下、さらに好ましくは28.0μm以下、よりさらに好ましくは24.0μm以下、よりさらに好ましくは21.0μm以下である。
紙基材を構成するパルプ繊維の平均繊維幅が35.0μm以下であると、パルプ同士が密に絡まり合うことで、紙基材の表面が平滑化し、印刷層を設けた場合に塗工ムラが抑制され、印刷層表面が平滑化することで、印刷適性に優れるので好ましい。また、平均繊維幅が14.0μm以上であると、紙基材としての強度が向上し、さらに、紙粉が低減されるため、印字箇所の脱落も抑制できるので好ましい。
紙基材を構成するパルプ繊維の平均繊維幅は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0039】
紙基材を構成するパルプ中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、好ましくは4%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは6%以上であり、そして、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
微細繊維の本数割合が40%以下であると、紙基材としての強度が確保できるため好ましい。また、紫外線レーザー照射時に紙粉の脱落が抑制され、印刷抜けが抑制され、印字適性に優れるので好ましい。また、微細繊維の本数割合が4%以上であると、繊維間の隙間を、埋める形で微細繊維が配置され、紙基材の空隙が減少し、印刷層を設けた場合に塗工ムラが抑制され、印刷層表面が平滑化することで、印刷適性に優れるので好ましい。
紙基材を構成するパルプ中の繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、紙基材を実施例に記載の方法にて離解し、得られたパルプスラリーの繊維長を繊維長測定装置(たとえば、バルメット社製、型式FS-5、UHDベースユニット付き)にて測定して算出する。繊維長が0.2mm以下であり、かつ、繊維幅が75μm以下の繊維を微細繊維とし、測定したパルプの本数に対する、微細繊維の本数割合を算出する。
【0040】
紙基材に用いられる木材パルプのカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness;CSF)は、所望の繊維幅および繊維長、印刷層表面の平滑度を得る観点から、好ましくは150mL以上、より好ましくは300mL以上、さらに好ましくは400mL以上であり、そして、好ましくは800mL以下、より好ましくは750mL以下、さらに好ましくは700mL以下である。
ここで、CSFは、JIS P 8121-2:2012によるカナダ標準ろ水度のことである。
【0041】
紙基材は、必要に応じて内添剤を添加したパルプスラリーを抄紙することにより得られる。
紙基材には、上述したパルプに加え、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤(たとえば、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン)、歩留向上剤(たとえば、硫酸バンド)、濾水性向上剤、pH調整剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、染料・顔料等の公知の抄紙用内添剤を必要に応じて添加することができる。
填料としては、たとえば、カオリン、タルク、酸化チタン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等を例示することができる。
サイズ剤としては、たとえば、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。
【0042】
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機、たとえば長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機を適宜選択して使用することができる。次に、抄紙機によって形成された紙層をフェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させる。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
【0043】
また、上記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚みやプロファイルの均一化を図り、印刷適性の向上を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
【0044】
紙基材としては、ライナー原紙、クラフト紙、上質紙、コート紙等の従来公知の紙基材の中から、適宜選択して使用してもよい。
また、紙基材は、単層であっても多層であってもよく、異なるパルプ組成の多層構成としてもよい。
【0045】
紙基材の坪量は、印刷用紙としての強度、および印刷適性向上の観点から、好ましくは30g/m以上、より好ましくは40g/m以上、さらに好ましくは50g/m以上、よりさらに好ましくは55g/m以上であり、そして、好ましくは1000g/m以下、より好ましくは700g/m以下である。
坪量はJIS P 8124:2011に規定される方法で測定する。
【0046】
紙基材の厚みは特に限定されないが、印刷用紙としての強度、および印刷適性向上の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは70μm以上、よりさらに好ましくは80μm以上であり、そして、好ましくは900μm以下、より好ましくは850μm以下であり、さらに好ましくは800μm以下である。
紙基材の厚みはJIS P 8118:2014記載の方法で測定することができる。
【0047】
<印刷用紙の特性>
本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙は、印刷層の表面平滑度が7以上である。印刷層の表面平滑度を7秒以上とすることにより、紫外線レーザー照射時の光の散乱が抑制され、印字抜けが抑制されるため、印字適性が向上する。
印刷層の表面平滑度は、好ましくは8秒以上、より好ましくは50秒以上、さらに好ましくは80秒以上であり、そして、上限は特に限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは9000秒以下、より好ましくは5000秒以下、さらに好ましくは2000秒以下、よりさらに好ましくは1500秒以下である。
印刷層の表面平滑度を向上させるために、平滑性に優れた紙基材を使用する方法や、印刷層を設けた後にカレンダー処理を行う方法が例示される。なお、紙基材の表面平滑性を向上するためには、広葉樹晒クラフトパルプを使用すること、より叩解度が高く、CSFの低い原料パルプを使用すること、紙基材を製造する際にカレンダー処理を行うことなどが例示される。また、カレンダー処理を行う際のニップ圧を選択することで、印刷層の表面平滑度を調整することができる。
印刷層の表面平滑度は、実施例に記載の方法により測定される。
【0048】
〔樹脂層〕
本実施形態の印刷用紙は、印刷用紙の耐水性を向上させる観点、また、保護層としての機能を目的として、印刷層上に、さらに樹脂層を有していてもよい。すなわち、酸化チタンを含有し、平滑度が7秒以上である印刷層の上に、さらに予め樹脂層が設けられた印刷用紙を使用してもよい。
【0049】
樹脂層の全光線透過率は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましく70%以上、よりさらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であり、そして、100%以下である。上限は特に限定されない。
全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠して測定される。
【0050】
樹脂層を構成する樹脂は、全光透過率が好ましくは40%以上であり、シート基材上に設けることができれば特に限定されないが、透明性および樹脂層を設けることが容易である観点から、樹脂層と印刷層が設けられた紙基材とを接着剤層とを介して貼付するか、またはラミネート加工により積層する場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、およびデンプンから選択される少なくとも1つであることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1つであることがより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンであることがさらに好ましく、ポリエチレンであることが特に好ましい。
また、樹脂層を塗工により設ける場合には、アクリル系樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが例示される。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸と、そのアルキルエステル、スチレン、(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸、エチレン、プロピレン等のその他のモノマーとを共重合した樹脂が例示され、具体的には、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-マレイン酸樹脂などが例示され、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
【0051】
樹脂層と印刷層を有する紙基材とは、いずれの方法により積層されていてもよく、特に限定されないが、製造容易性の観点から、樹脂層と印刷層を有する紙基材とを接着剤層とを介して貼付するか、またはラミネート加工するか、透明塗料を液状塗料の形で塗工することが好ましい。
局所的に樹脂層を設ける場合には、製造容易性の観点から、接着剤を介して貼付することが好ましい。また、広範囲に樹脂層を設ける場合には、ラミネート加工することが好ましい。
なお、接着剤層としては特に限定されず、公知の接着剤層から適宜選択して用いればよい。具体的には、特開2012-57112号公報の粘着剤層が例示される。
【0052】
樹脂層の厚みは特に限定されないが、鮮明な印字を得る観点、および印刷物および印刷用紙のハンドリング性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0053】
[印刷物および印刷物の製造方法]
本実施形態の印刷物の製造方法は、上述した印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させることにより印刷する工程を有する。
また、本実施形態の印刷物は、上述した紫外線レーザー印刷用紙から得られた印刷物であって、少なくとも一部に、変色された酸化チタンを有する印刷領域を有する。非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、前記印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比は、0.70以下であることが好ましい。また、前記変色された酸化チタンを有する印刷領域は、紫外線レーザーの照射により変色した酸化チタンを含有する領域であり、紫外線レーザー照射領域、すなわち、印刷領域である。
本実施形態の印刷物の製造方法に使用される印刷用紙としては、上述した印刷用紙が例示され、好ましい範囲も同様である。また、本実施形態の印刷物の製造方法において、少なくとも紫外線レーザー照射領域に印刷層が設けられていればよく、非照射領域には印刷層が設けられていなくてもよい。
【0054】
紫外線レーザーの照射は、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度と非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比が0.70以下となるように、紫外線レーザーを照射することが好ましい。すなわち、本実施形態の印刷物において、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比は、0.70以下であることが好ましい。
なお、印刷物において、印刷領域とは、印刷可能領域において、変色された酸化チタンを含有する領域(部分)を意味し、紫外線レーザーにより印刷された領域(部分)である。非印刷領域とは、印刷可能領域において印刷されていない領域(部分)を意味する。また、印刷可能領域とは、紫外線レーザー印刷用紙または印刷物において、紫外線レーザーによる印刷が可能な領域と、存在する場合は紫外線レーザーにより印刷された領域(部分)とを合わせた酸化チタンを含有する領域全体を意味し、非印刷可能領域とは、紫外線レーザー印刷用紙または印刷物における印刷可能領域以外の領域を意味する。
印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度と、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比(印刷領域のラマン強度/非印刷領域のラマン強度)が、0.70以下であるように印刷することが好ましい。ラマン強度の比を上記範囲内とすることにより、視認性に優れる印刷物が得られる。
上記のラマン強度の比(印刷領域のラマン強度/非印刷領域のラマン強度)は、酸化チタンとしてルチル型の酸化チタンを使用した場合には、酸化チタンに由来するラマン強度として、447±10cm-1の波数範囲の最大値のラマン強度を対比する。また、酸化チタンとしてアナターゼ型の酸化チタンを使用する場合には、酸化チタンに由来するラマン強度として、516±10cm-1の波数範囲の最大値のラマン強度を対比する。
なお、ルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンが共存する場合には、ルチル型の酸化チタンに由来するラマン強度で対比することとする。
【0055】
本実施形態で得られる印刷物は、非印刷領域が白色であり、印刷領域が黒色であることが好ましい。
非印刷領域は、マンセル表色系における明度が10番、すなわち、白色であることが好ましい。一方、印刷領域は、マンセル表色系における0番~8番のいずれかであることが好ましく、0~6番であることがより好ましく、0~4番であることがさらに好ましい。
上記のマンセル表色系における色を得るために、印刷用紙における印刷層の酸化チタンの含有量、印刷層の表面平滑度、紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長、その他の特性(樹脂種、無機顔料の配合量、印刷層の厚み等)、紫外線レーザーの照射条件(たとえば、平均出力、繰返し周波数、波長など)を適宜調整することが好ましい。
【0056】
〔紫外線レーザーの照射条件〕
紫外線レーザーの波長としては、印刷領域の視認性を向上させる観点から、好ましくは370nm以下、より好ましくは365nm以下、さらに好ましくは360nm以下であり、そして、好ましくは260nm以上、より好ましくは340nm以上、さらに好ましくは350nm以上である。
【0057】
紫外線レーザーの平均出力は、印刷領域の視認性を向上させる観点から、好ましくは0.3W以上、より好ましくは0.8W以上、さらに好ましくは1.2W以上、よりさらに好ましくは1.8W以上であり、そして、経済性の観点から、好ましくは30W以下、より好ましくは25W以下、さらに好ましくは20W以下、よりさらに好ましくは15W以下、よりさらに好ましくは10W以下、よりさらに好ましくは6W以下である。
【0058】
紫外線レーザーの繰返周波数(周波数)は、印刷領域の視認性を向上させる観点から、好ましくは10kHz以上、より好ましくは20kHz以上、さらに好ましくは30kHz以上であり、そして、好ましくは100kHz以下、より好ましくは80kHz以下、さらに好ましくは60kHz以下である。
【0059】
紫外線レーザーのスポット径は、鮮明な画像を得る観点および印刷容易性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは240μm以下、さらに好ましくは180μm以下、さらに好ましくは120μm以下である。
【0060】
紫外線レーザーのスキャンスピードは、高速印刷および印刷領域の視認性の観点から、好ましくは500mm/sec以上、より好ましくは1000mm/sec以上、さらに好ましくは2000mm/sec以上であり、そして、好ましくは7000mm/sec以下、より好ましくは6000mm/sec以下、さらに好ましくは5000mm/sec以下である。
【0061】
紫外線レーザーのラインピッチは、鮮明な画像を得る観点、および装置の入手容易性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
【0062】
〔印刷物の製造方法の態様〕
本発明の印刷物の製造方法は、種々の態様で行うことができる。
以下に、本実施形態の印刷物の製造方法が適用可能な種々な態様について例示するが、本実施形態の印刷物の製造方法は、下記の態様に限定されるものではない。印刷する情報は特に限定されないが、可変情報であることが好ましい。
本実施形態の印刷物の製造方法は、インラインで行われることが好ましい。
(1)包装体への直接印刷
本実施形態の印刷物の製造方法の第一の実施態様は、本実施形態の印刷用紙を有する包装体に情報を印刷する方法であって、梱包ライン上を移動中、または間欠停止中の包装体に直接紫外線レーザーにて印刷する工程を有する。
第一の印刷物の製造方法は、本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙にて包装体を作製し、紫外線レーザーにて直接印刷する。なお、少なくとも包装体の印刷される領域の最外層が、前記の印刷用紙にて作製されていればよい。
また、包装体としては、段ボール、箱等が例示され、該包装体の側面または上面に紫外線レーザーにて直接印刷することが好ましい。
【0063】
また、梱包ラインにコーティング(塗工)機構を有していてもよい。コーティング機構としては、接触印字機、パット印刷機、スプレーコーターが例示される。
本態様においては、包装体が梱包ライン上を移動中に、コーティング機構により印刷層を付与する工程と、より下流にて、梱包ラインを移動中、または間欠停止中に包装体に紫外線レーザーにて直接印刷する工程を有する。
【0064】
(2)ラベルへの印刷
本実施形態の印刷物の製造方法の第二の実施態様は、本実施形態の印刷用紙を有するラベルに情報を印刷する方法である。該ラベルの印刷面を構成する印刷用紙が、本実施形態の印刷用紙である。
印刷されたラベルは、ラベル貼り付け装置を用いて包装体に貼付することが好ましい。ラベル貼り付け装置としては、各種のラベル貼り付け装置が提案されている。なお、このとき、紫外線照射される面に印刷層を有する。
第1のラベル貼り付け装置としては、ロール状に巻いたラベル原紙に接着剤を付与した後に物品に貼付する。より具体的には、ロール状に巻いたラベル原紙を1枚ずつ所定の長さに切断する切断手段と、この切断手段によって切断されたラベル原紙を、接着剤が塗布されたラベル原紙保持体によって受取り、このラベル原紙の裏面に接着剤を付着させる糊付け搬送手段と、この糊付け搬送手段から接着剤が付与されたラベル原紙(ラベル)を受け取って容器等の物品に貼付ける貼着手段とを備えたロールラベラにおいて、上記切断手段と糊付け搬送手段との間に、外面にラベル保持面を有する回転搬送手段を設けたロールラベラが例示され、特開平6-64637号公報が例示される。
また、ロール状に巻いたラベル原紙を一枚ずつ所定の長さに切断する切断手段と、貼付ロールに受け渡す受渡ロールと、貼付ロールに保持されたラベル原紙に糊を付与する糊付けロールとを有するロールラベラや、前記受渡ロールを不要とした態様が例示される。
紫外線レーザーの照射は、ロール状に巻いたラベル原紙を所定の長さに切断する前、または切断後であって次のロール等への受け渡し前であることが好ましい。ロールラベラの態様に合わせて、ロール状に巻いたラベル原紙の表面または裏面が、包装体に貼付した際の表面または裏面となるため、これに合わせて紫外線レーザーの照射を行う。
【0065】
第2のラベル貼り付け装置は、ラベルとして、粘着ラベルロールを使用する。この場合、少なくとも粘着剤が付与されている面と反対面である、紫外線レーザーが照射される面に印刷層を有する。
剥離紙付きの粘着ラベルロールを使用する場合には、たとえば、粘着ラベルと剥離紙を分離する剥離紙分離手段と、剥離紙が分離された粘着ラベルを受け取る受渡ロールと、受渡ロールから粘着ラベルを吸引して、物品(包装体)に貼付する貼付ロールとを有する貼り付け装置が例示される。紫外線レーザーによる照射は、剥離紙を分離する前、または剥離紙分離後であって貼付ロールに担持される前に行うことが好ましい。
また、剥離紙付きの粘着ラベルロールをセットし、粘着ラベルと剥離紙とを分離する機構を有し、分離直後にラベルを貼付する機構を有し、セットされた粘着ラベルロールから剥離紙を分離するまでの間に紫外線レーザーにより印刷する装置が例示される。上記の粘着ラベルの貼付方法は、流し貼りとも呼ばれる。
さらに、剥離紙付きの粘着ラベルロールをセットし、粘着ラベルから剥離紙を分離する機構を有し、粘着ラベルを物品(包装体)に貼付する機構を有し、前記貼付する機構が、シリンジ方式、エアジェット方式、またはロボットアーム方式であるラベル貼り付け装置が例示される。紫外線レーザーによる照射は、セットされた剥離紙付きの粘着ラベルロールから、剥離紙を分離するまでの間で行われることが好ましい。
【0066】
ラベルとして、ライナレス粘着ラベルを使用してもよい。ライナレス粘着ラベルは、剥離紙のないラベルであり、剥離紙付きの粘着ラベルロールを使用する場合に比して、1ロールのラベル枚数が多く、剥離紙が存在しないため、安価であるという特徴を有する。ライナレス粘着ラベルを使用する場合、粘着剤が付与される面とは反対面である、紫外線レーザーが照射される面に、印刷層が形成されている。
ライナレス粘着ラベルを使用したラベル貼り付け装置としては、ライナレスラベルロールをセットする機構と、ライナレスラベルを1枚ずつに切断する切断機構と、切断されたライナレスラベルを物品(包装体)に貼付する貼付機構を有し、前記貼付機構が、シリンダー方式またはロボットアーム方式である装置が例示される。紫外線レーザーの照射による印刷は、ライナレスラベルロールをセットする機構から切断機構までの間、または、切断されたライナレスラベルが貼付機構に送られる間であることが好ましい。
【0067】
第3のラベル貼り付け装置は、本実施形態の印刷用紙を物品(包装体)に貼付した後に、紫外線レーザーにて印刷する。
ラベルの貼付の方法としては、上述した第1の装置および第2の装置が参照される。
【0068】
(3)粘着テープへの印刷
本実施形態の印刷物の製造方法の第三の実施態様は、印刷用紙を粘着テープとする態様である。この場合、粘着剤が付与されている面とは反対面に、印刷層を有する。
すなわち、第三の実施態様の印刷物の製造方法は、前記印刷用紙から作製された粘着テープを物品(包装体)に貼付する工程を有し、前記貼付する工程の前、または貼付する工程の後に、紫外線レーザーにより印刷する工程を有する。
また、段ボール封緘機に紫外線レーザーによる印字装置を組み込んだ印刷装置を使用してもよい。具体的には、粘着テープ巻取りをセットする機構と、段ボールを搬送用のコンベアを有し、段ボールのフラップを折り込む機構と、粘着テープを貼付して段ボールを封緘する機構を有し、粘着テープを貼付する間、または貼付した後に、粘着テープに紫外線レーザーにて印刷する機構を有する。
【0069】
本実施形態の印刷物の製造方法は、上記の態様に限定されるものではなく、印刷が求められる各種用途に応用可能である。
【0070】
本実施形態において、前記印刷物の製造方法により得られる印刷物は、包装体、ラベル、または粘着テープなどに好適に使用される。
包装体としては、外装箱、牛乳パック、紙カップ等の飲料用の液体容器(好ましくは飲料用の液体紙容器)、スキンパックが例示され、ラベルとしては、ラベル原紙、粘着ラベル、粘着シートが例示され、粘着テープとしては、粘着テープ、クラフトテープが例示される。
【0071】
[印刷物]
本実施形態の印刷物は、包装体、ラベル、または粘着テープなどに好適に使用される。
包装体としては、段ボールのライナー原紙(特に、最表面のライナー原紙)、外装箱、牛乳パック、紙カップ等の飲料用の液体容器(好ましくは飲料用の液体紙容器)、食品トレー、スキンパックが例示され、ラベルとしては、ラベル原紙、粘着ラベル、粘着シートが例示され、粘着テープとしては、粘着テープ、クラフトテープが例示される。
図2に示すように、包装体の一例としての液体容器10は、たとえば、表面に印刷領域20を有する。印刷領域20には紫外線レーザーを照射され、日付などの文字が印字されている。
【実施例
【0072】
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り、「質量部」および「質量%」を意味するものである。
【0073】
[塗工液の調製]
使用した各種成分は、以下の通りである。
・酸化チタン:Ka-100(アナターゼ型)、韓国コスモケミカル社製、粉体、平均粒子径:0.15μm(カタログ値)、形状:不定形
・炭酸カルシウム:FMT-97W、株式会社ファイマテック製、固形分濃度=74.3%、平均粒子径:0.95μm(カタログ値)、形状:不定形
・カオリン:KAOFINE90、Tiele社製、粉体、平均粒子径:0.21μm(カタログ値)、形状:不定形
・バインダー:スチレン-ブタジエン系ラテックス、SR-102、日本エーアンドエル株式会社製、固形分濃度=49.8%
【0074】
<塗工液Aの調製>
固形分として酸化チタン3部、炭酸カルシウム37部、カオリン40部を混合し、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.08部を添加した後、イオン交換水を加え、固形分濃度が67.5%に調製した後、コーレス分散機を用いて顔料分散液を作製した。
その後、スチレン-ブタジエン系ラテックスを固形分として20部添加し、固形分濃度が62.3%の塗工液Aを調製した。
【0075】
<塗工液B~塗工液E、塗工液αの調製>
使用する各種成分の配合量を、表1に記載のように変更した以外は、塗工液Aと同様にして、塗工液B~塗工液E、および塗工液αを調製した。
【0076】
塗工液A~E、塗工液αの粘度は、JIS Z 8803(2011)単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法を参考に、Brookfield型粘度計(東機産業株式会社製、型番:BII形粘度計)により、20℃で測定した。
【0077】
【表1】
【0078】
[印刷用紙の作製]
印刷用紙として使用した印刷用紙は、以下の方法により製造した。
<比較例1>
針葉樹クラフトパルプ(NBKP、CSF:700mL)を原料パルプとして使用し、角型シートマシンにてパルプをシート化し、ろ紙(アドバンテック社 No.21)に挟んで4.2kgf/cmの荷重でプレス脱水した後、ろ紙に挟んだ状態でシリンダードライヤーで乾燥させ、紙基材を得た。
その後、コーティングロッドを用いて表2中の塗工液、塗工量で塗工し、140℃で乾燥させ、印刷用紙を得た。
【0079】
<実施例1>
原料パルプを針葉樹クラフトパルプ(NBKP)50質量%と、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)50質量%との混合パルプ(CSF:650mL)とした以外は、比較例1と同様にして、印刷用紙を得た。
【0080】
<実施例2>
原料パルプを、広葉樹クラフトパルプ(LBKP、CSF:600mL)に変更した以外は、比較例1と同様にして印刷用紙を得た。
【0081】
<実施例3>
広葉樹クラフトパルプ(LBKP、CSF:600mL)100部、ロジンサイズ剤(商品名:サイズパインN-771、荒川化学工業株式会社製)0.15部、硫酸バンド0.5部、カチオン化澱粉(商品名:エースK100、王子コーンスターチ株式会社製)0.5部を長網抄紙機で抄紙した。これにより得た湿紙をヤンキードライヤーにて乾燥した後、カレンダー処理(表面温度:常温、線圧:50kg/cm)を行い、光沢面の表面平滑度180秒、坪量60g/mの紙基材を得た。その後、コーティングロッドを用いて表2中の塗工液、塗工量で塗工し、140℃で乾燥させ、印刷用紙を得た。
【0082】
<実施例4>
CSFが450mLとなるまで叩解した広葉樹パルプを使用した以外は、実施例3と同様にして、光沢面の表面平滑度210秒、坪量60g/mの紙基材を得た。その後、コーティングロッドを用いて表2中の塗工液、塗工量で塗工し、140℃で乾燥させ、印刷用紙を得た。
【0083】
<実施例5>
実施例4と同じ紙基材を使用した。ブレードコーターで表の塗工液、塗工量で塗工した後、金属ロールの表面が200℃、線圧100kg/cmでカレンダー処理して印刷用紙を作製した。
【0084】
<実施例6~8、比較例2~4>
実施例3と同じ紙基材を使用し、表2中の塗工液、塗工量で塗工した以外は実施例3と同様にして印刷用紙を作製した。
【0085】
<実施例9>
第1層目の表層にケント古紙を含む模造・色上古紙パルプ、第2層目の表下層に脱墨古紙パルプ、第3層目の中層、第4層目の中層、および裏面となる第5層目の裏層に未脱墨古紙パルプをそれぞれ使用して5層にハイスピードウルトラフォーマーにて抄き合わせた後にマシンカレンダ処理して、米坪170g/mの紙基材を得た。
その後、ブレードコーターで表2の塗工液、塗工量で塗工した後、金属ロールの表面が200℃、線圧80kg/cmでカレンダー処理して、印刷用紙を作製した。
【0086】
<実施例10>
第1層目の表層にケント古紙を含む模造・色上古紙パルプ、第2層目の表下層に脱墨古紙パルプ、第3層目の中層、第4層目の中層、および裏面となる第5層目の裏層に未脱墨古紙パルプをそれぞれ使用して5層にハイスピードウルトラフォーマーにて抄き合わせた後にマシンカレンダ処理して、米坪600g/mの紙基材を得た。
その後、コーティングロッドにて表2の塗工液、塗工量で塗工した後、140℃で乾燥させ印刷用紙を得た。
【0087】
<実施例11>
実施例10と同じ紙基材を使用した。コーティングロッドで塗工液αを下地剤として10g/m塗工し、140℃で乾燥した後、下地層の上に、コーティングロッドにて表2中の塗工液、塗工量で塗工し、140℃で乾燥させ、印刷用紙を得た。
【0088】
<比較例5>
原料パルプとして広葉樹クラフトパルプ(LBKP、CSF:600mL)を使用し、プレス脱水時の荷重(プレス圧)を1.0kgf/cmに変更した以外は、比較例1と同様にして印刷用紙を得た。
【0089】
<実施例12>
実施例3と同じ紙基材を使用した。表2に記載の塗工液塗工量で塗工した以外は実施例3と同様にして印刷用紙を得た。
【0090】
<実施例13>
特開2015-96568号公報に習い、以下の手順で酸化チタンを40%含有するマスターバッチを作製した。
ポリエチレン(LDPE、日本ポリエチレン株式会社製、品番:LC522)60部と酸化チタン(石原産業株式会社製、品番:R-780、ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.24μm、形状:不定形)40部をタンブラーミキサー(株式会社エイシン製、TM-65S)にて45rpm、1時間の条件で混合した後、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42)にてスクリュー回転数250rpm、シリンダー温度280℃の条件で溶融混練し、ストランド状に押出し、これを水槽にて冷却後、ペレタイザーを用いて平均軸径2.0mm、平均軸長3.0mmの柱状にペレット化してマスターバッチを得た。
次いで、上記マスターバッチとポリエチレンを酸化チタンが表2の含有量になるよう単軸押出機(株式会社東洋精機製作所製、50C150)へ投入し、コロナ処理した実施例3で作製した紙基材の上に樹脂の厚みが表2記載の通りになるよう溶融積層した後、速やかに20℃に調温した冷却ロール(硬化クローム工業株式会社製、品番:KRH120-3、線粗さRa=0.6μm)で挟持しながら急冷して、ラミネート層を有する印刷用紙を得た。
【0091】
<実施例14>
特開2015-96568号公報に習い、以下の手順で炭酸カルシウムを40%含有するマスターバッチを作製した。
ポリエチレン(LDPE、日本ポリエチレン株式会社製、品番:LC522)60部と炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製、品番:NITOREX#80、平均粒子径0.93μm(カタログ値))40部をタンブラーミキサー(株式会社エイシン製、TM-65S)にて45rpm、1時間の条件で混合した後、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42)にてスクリュー回転数250rpm、シリンダー温度280℃の条件で溶融混練し、ストランド状に押出し、これを水槽にて冷却後、ペレタイザーを用いて平均軸径2.0mm、平均軸長3.0mmの柱状にペレット化してマスターバッチを得た。
次いで、実施例13で作製した酸化チタン含有マスターバッチと上記炭酸カルシウム含有マスターバッチとポリエチレンを酸化チタンと炭酸カルシウムが表2の含有量になるよう単軸押出機(株式会社東洋精機製作所製、50C150)へ投入し、コロナ処理した実施例3で作製した紙基材の上に樹脂の厚みが表2記載の通りになるよう溶融積層した後、速やかに20℃に調温した冷却ロール(硬化クローム工業株式会社製、品番:KRH120-3、線粗さRa=0.6μm)で挟持しながら急冷して、印刷層としてラミネート層を有する印刷用紙を得た。
【0092】
<比較例6>
LBKPのドライシートを、カッターミル(株式会社ホーライ製、HA8 2542 30E、スクリーン0.4mm)で機械粉砕して作製した粉末パルプ30%と広葉樹パルプ(LBKP、CSF:600mL)70%を配合した原料パルプを使用した以外は実施例1と同様にして、印刷用紙を作製した。
【0093】
[測定・評価]
実施例および比較例で得られた紙基材および印刷用紙、並びに各種原料について、以下の測定および評価を行った。
〔CSF〕
原料パルプのカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness;CSF)は、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定した。
【0094】
〔紙基材の坪量〕
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定した。なお印刷層は研削装置(有限会社佐川製作所製、砥石寸法φ50.8×12.7mm)を用いて除去し、測定に供試した。
【0095】
〔紙基材の厚み〕
紙基材の厚みは、JIS P 8118:2014に準拠して測定した。なお印刷層は研削装置(有限会社佐川製作所製、砥石寸法φ50.8×12.7mm)を用いて除去し、測定に供試した。
【0096】
〔紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長、繊維幅、微細繊維の含有量〕
実施例および比較例の紙基材を40cm角に切り出し、それをイオン交換水に浸し、濃度2%に調整した上で、24時間浸した。
24時間浸した後、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、未離解繊維がなくなるまで処理して、パルプを繊維状に離解した。樹脂層を有する場合には、樹脂層を除いた離解後のスラリー(パルプ繊維の分散液)を分取した。
繊維長測定機(型式FS-5 UHDベースユニット付、バルメット社製)を使用して、「長さ加重平均繊維長(ISO)」、「微細繊維量」、「繊維幅」を測定した。
なお、「長さ加重平均繊維長(ISO)」は0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して計算した長さ加重平均繊維長である。また、「微細繊維量」は、離解されたパルプ繊維中の、繊維幅75μm以下、かつ、長さ0.08mm以上0.20mm以下の微細繊維の本数割合である。「繊維幅」は幅10μm以上75μm以下の繊維を選択して計算した、長さ加重平均繊維幅である。
【0097】
〔印刷層表面の表面平滑度〕
印刷層表面の表面平滑度は、王研式平滑度を意味し、JIS P 8155:2010に準拠して測定した。
測定装置:デジタル型王研式透気度・平滑度試験機(旭精工株式会社製、EYBO)
【0098】
〔印刷層の厚み〕
走査型電子顕微鏡から得られる画像データから印刷層の厚みを測定した。
(1)測定サンプルの作製
サンプルを光硬化型樹脂(東亞合成株式会社製、D-800)で包埋し、ウルトラミクロトームで印刷用紙の断面出しを実施した。切削にはダイアモンドナイフを使用し、常温で切削した。
切削した断面へ厚さ20nm程度の金蒸着を施し、走査型電子顕微鏡の測定へ供試した。
(2)測定装置・条件
測定装置:S-3600(株式会社日立ハイテク製)
測定条件:倍率2000倍
走査型顕微鏡の種類は上記に限らないが、スケールバーが表示されるタイプの装置を使用する。また、印刷層の厚みに合わせ適宜好ましい倍率を選択することができる。
(3)測定方法
走査型電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて、観察する印刷層からチタン元素が含有されることを確認した後、倍率2000倍で画像データを取得した。得られた画像データを印刷用紙に印刷した後、定規で対象の印刷層の厚み(他の層との境界から境界の長さ)を測定し、スケールバーと比較して実際の印刷層の厚みを測定した。1つの測定サンプルから無作為に選んだ5箇所の画像データを取得し、1箇所の画像データから、印刷層が最も厚い箇所、薄い箇所の厚みを測定し、計10箇所の平均を印刷層の厚みとした。
【0099】
〔印刷層中の酸化チタンの含有量〕
1.印刷層がラミネート層である場合
<前処理>
印刷層であるラミネート層と基材とを分離する前処理を実施した。適当なサイズに切り出した印刷可能領域をセルロース粘度測定用の銅エチレンジアミン溶液(メルク社製)に3時間浸漬させた後、ラミネート層を紙基材から剥離してイオン交換水を用いてよく洗浄した。その後、ラミネート層の水分を拭き取り、60℃の乾燥機で1時間乾燥させて、測定に供試するラミネート層を得た。
また、切り出した試験片は面積が算出できるよう切り出し、算出した面積を後述の式に適用した。
<試験片の作製>
前処理したラミネート層を適当なサイズに切り出し、サンプル(試験片)とし、切り出した面積と質量を記録した。
<試験片の溶解>
オートクレーブ装置(CEMジャパン製、MARS5)のテフロン(登録商標)製容器へ硝酸:フッ酸=50:5(体積%)の混合溶剤と試験片とを投入し、210℃、120分間でオートクレーブ処理し、試験片を溶解させた。試験片の質量は適宜変更してもよく、また試験片が溶け残る場合は硝酸、フッ酸の比率や処理温度、処理時間等を適宜変更してもよい。
試験片を溶解後、超純水を用いて正確に定容した。また未溶解物が残留する場合は、硝酸、フッ酸の比率を変更してもよい。
【0100】
<溶解液中の酸化チタン量測定>
(1)ICP装置および測定条件は以下の通りである。
ICP装置:ICP-OEC装置(株式会社リガク製、CIROS1-20)
測定条件:
・キャリアガス:アルゴンガス
・アルゴンガス流量0.9L/min
・プラズマガス流量14L/min
・プラズマ出力1400W
・ポンプ回転数:2
・測定波長Ti:334.941nm
(2)検量線の作成
汎用混合標準液(SPEX社製、XSTC-622B)を、以下の濃度になるように正確に測り取り、上記測定条件で測定に供試し、チタン原子の発光波長に相当する334.941nmの強度を測定した。
・検量線作成用濃度:0ppm、0.01ppm、0.05ppm、0.1ppm、0.5ppm、1.0ppm、3.0ppm、5.0ppm
(3)溶解液中の酸化チタン含有量測定
試験片が溶解した溶液を上記検量線内に収まるよう、超純水で希釈し、ICP測定に供試した。
(4)酸化チタン含有量算出方法
以下の式で酸化チタン含有量を算出した。なお、酸化チタンの分子量÷チタンの分子量≒1.669である。
酸化チタン含有量(g/m)=ICP測定濃度(ppm)×希釈倍率×定容量(L)×1.669×1000÷面積(m
【0101】
2.印刷層が塗工層である場合
2-1.非印刷可能領域を印刷用紙中に含む場合
<試験片の作製>
印刷用紙の印刷可能領域、非印刷可能領域(印刷層が設けられていない領域)それぞれを適当なサイズに切り出し、サンプル(試験片)とし、切り出した面積を記録した。
【0102】
<試験片の溶解>
オートクレーブ装置(CEMジャパン製、MARS5)のテフロン(登録商標)製容器へ硝酸:フッ酸=50:5(体積%)の混合溶剤と試験片とを投入し、210℃、120分間でオートクレーブ処理し、試験片を溶解させた。試験片の面積は適宜変更してもよく、また試験片が溶け残る場合は硝酸、フッ酸の比率や処理温度、処理時間等を適宜変更してもよい。
試験片を溶解後、超純水を用いて正確に定容した。
【0103】
<溶解液中の酸化チタン量測定>
(1)ICP装置および測定条件は以下の通りである。
ICP装置:ICP-OEC装置(株式会社リガク製、CIROS1-20)
測定条件:
・キャリアガス:アルゴンガス
・アルゴンガス流量0.9L/min
・プラズマガス流量14L/min
・プラズマ出力1400W
・ポンプ回転数:2
・測定波長Ti:334.941nm
(2)検量線の作成
汎用混合標準液(SPEX社製、XSTC-622B)を、以下の濃度になるように正確に測り取り、上記測定条件で測定に供試し、チタン原子の発光波長に相当する334.941nmの強度を測定した。
・検量線作成用濃度:0ppm、0.01ppm、0.05ppm、0.1ppm、0.5ppm、1.0ppm、3.0ppm、5.0ppm
(3)溶解液中の酸化チタン含有量測定
試験片が溶解した溶液を上記検量線内に収まるよう、超純水で希釈し、ICP測定に供試した。
(4)酸化チタン含有量算出方法
以下の式で酸化チタン含有量を算出した。なお、酸化チタンの分子量÷チタンの分子量≒1.669である。
酸化チタン含有量(g/m)=ICP測定濃度(ppm)×希釈倍率×定容量(L)×1.669×1000÷面積(m
印刷可能領域の酸化チタン含有量から、非印刷可能領域の酸化チタン含有量を減じることにより、印刷層中の酸化チタンの含有量を求めた。
【0104】
2-2.非印刷可能領域を印刷用紙中に含まない場合
<試験片の作製>
記録用紙2枚を適当なサイズに切り出し、切り出した面積を記録した。
切り出した試験片のうち1枚を研削装置(有限会社佐川製作所製、砥石寸法φ50.8×12.7mm)を用いて、印刷層のみを削り取り除き、リファレンスサンプルとした。
過剰に削り取り過ぎないよう、適宜電子顕微鏡を用いて断面を観察した。
【0105】
<その後の処理>
1.と同様に処理し、2枚の酸化チタン含有量の差を印刷層の酸化チタン含有量とした。
【0106】
〔印刷層中の炭酸カルシウムおよびタルクの含有量〕
ICPの測定波長を、カルシウム元素やマグネシウム元素の測定波長とし、検量線をカルシウムやマグネシウムで作成する以外は、上記〔印刷層中の酸化チタンの含有量〕の測定と同様にして測定する。なお、カルシウム元素は測定波長422.673nm、マグネシウム元素は測定波長285.213nmで測定した。
【0107】
〔酸化チタンの粒子径〕
印刷層が含有する酸化チタンの粒子径は、マッフル炉で印刷用紙または印刷物を燃焼して得た灰分の走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテク製、S5200など)から得られるSEM画像から算出した。
具体的には、基材が酸化チタンを含有しない場合には、上記〔酸化チタンの含有量〕の測定と同様の条件で、灰分を得た。
走査型電子顕微鏡に供試する灰分のサンプルは、出力50Wの超音波ホモジナイザー(ヤマト科学株式会社製、LUH150など)で5分間かけてイオン交換水に分散させ0.01質量%スラリーを得た後、アルミ皿上へ0.1mLをキャストし、60℃で乾燥させて作製した。隣り合う粒子と明瞭に見分けられるものを目視で選択し、1つの粒子の長径を粒子径とする。この際、1次粒子と凝集状態の2次粒子が混在していても明瞭に見分けられる場合はそれぞれを1つの粒子としてカウントし、無作為に選択した100個の粒子の平均径を粒子径とした。SEM画像観察時の倍率は酸化チタンの粒子径によって適宜選択し、20000倍程度とした。また、酸化チタン以外の粒子を含む場合、SEMに付属するエネルギー分散型X線分析装置(株式会社堀場製作所製、EMAXなど)を用いてチタン元素の含まれる粒子を測定した。
なお、針状の場合には、長径を測定した100個の粒子について、短径の平均径を短径とした。
また、基材が酸化チタンを含有する紙基材の場合には、酸化チタンや無機顔料を含まない透明粘着テープ(3M株式会社製、309SN)に印刷層を移して灰分サンプルを作製した。具体的には、ローラー質量2kgのテープ圧着ローラー(株式会社安田精機製作所製、No349など)を用いて印刷層の上層へ粘着テープを貼付した。その後、セルロース粘度測定用の銅エチレンジアミン溶液(メルク社製)に24時間浸漬させた後、印刷層を含む粘着テープをイオン交換水でよく洗浄した。得られた印刷層を含む粘着テープの水分を拭き取り、60℃の乾燥機で1時間乾燥させた。その後、525℃のマッフル炉で燃焼させて粒子径測定に用いる灰分を作製し、上記と同じ方法で長径と短径を測定した。
【0108】
〔炭酸カルシウムおよびタルクの粒子径〕
上記〔酸化チタンの粒子径〕の測定と同様にSEM画像を得た後、SEMに付属するエネルギー分散型X線分析装置(株式会社堀場製作所製、EMAXなど)を用いてカルシウム元素やマグネシウム元素の含まれる粒子を測定する。
【0109】
〔レーザー印刷方法(印刷物の製造方法)〕
実施例および比較例で得られた印刷用紙に、紫外線レーザー(キーエンス製、MD-U1020C)を用いて10mmの正方形をマーキング(印刷)した。
照射条件は、以下の通りである。
・波長:355nm
・出力:80%(出力100%時2.5W)
・周波数:40kHz
・スポット径:40μm(焦点合わせ時)
・スポット可変:60
・塗りつぶし間隔:0.04mm
・スキャンスピード:3000mm/sec
なお、レーザーの焦点位置の調整では、装置付属の高さ補正機能を使用し、上記スポット可変値で、レーザーの焦点位置を補正した。
マーキング中の発煙性、および得られた印刷物に対して、以下の評価を行った。
【0110】
〔ラマンスペクトルの測定〕
ラマンスペクトルは以下の方法により測定した。
<測定条件>
ラマンスペクトルの測定条件は、以下の通りであるが、測定に使用するレーザーで印刷物にダメージが見られる場合や、蛍光が強い場合等は、適宜レーザー出力や照射時間等の以下の測定条件を変更することができる。ただし、印刷領域と非印刷領域のラマン強度は同じ条件下で測定した数値を採用する。
・装置:レニショウ製 inVia Raman microscope QUONTOR
・励起レーザー:532nm
・レーザーパワー:50mW(出力100%時)
・レーザー出力:5%
・測定モード:共焦点モード
・照射時間:2.0sec
・積算回数:10回
・レーザースポット径:2.5μm
・対物レンズ:20倍
【0111】
<測定方法>
以下の方法により測定を行った。
(1)標準試料(単結晶シリコン、レニショー製)を用いて、ラマンシフト位置のキャリブレーションを実施した(単結晶シリコンの520.5cm-1)。
(2)シート状のサンプルを試料台に設置した。シートが平面を保てるよう、必要に応じて押さえを設置した。
(3)装置にて図1に示すようにフォーカスを合わせて観察(模擬レーザーにてフォーカスが最も小さくなるよう設定)した。印刷領域を測定する際は、目視で確認できる最も黒い箇所が測定時に表示されるガイドの中心にくるよう測定した。非印刷領域を測定する際は、印刷領域から300μm以上距離を空けて測定した。
(4)得られたラマンスペクトルは、装置付属の処理ソフト(レニショー製、Wire5.2)にてベースライン補正(インテリジェント補正)を実施した。前記処理ソフトの多項式11にてベーラインを補正した。
(5)ルチル型酸化チタンの場合447±10cm-1、アナターゼ型酸化チタンの場合516±10cm-1の波数範囲の最大値(最大強度)を読み取り、下記式によりラマン強度比を算出した。
ラマン強度比=印刷領域の最大強度÷非印刷領域の最大強度
(6)印刷領域(印字部)、非印刷領域(非印字部)について、それぞれ10箇所を測定し、平均値を測定結果とした。
測定値のバラつきを抑制する観点から、印刷領域のラマン強度のカウントが10,000以下の範囲で測定することが好ましい。従って、印刷領域のラマン強度のカウントが10,000以下の範囲となるように、適宜測定条件を変更して測定を行った。また、以下の測定条件にて10回測定し、平均値±2SD(標準偏差)を超えて外れた数値を除外し、再度平均してラマン強度の平均値とした。
【0112】
〔印字濃度〕
実施例で印刷した10mmの正方形角を使用し、マクベス濃度計で印字部と非印字部の濃度を測定した。
印字部と非印字部の測定値の差を算出し、以下の評価基準で評価した。
また、測定は、
A:測定値の差が0.35以上(印字が濃く、印字内容を楽に視認可能)
B:測定値の差が0.3以上0.35未満(印字がやや濃く、印字内容を視認可能)
C:測定値の差が0.20以上0.30未満(印字がやや薄いが、印字内容を視認可能)
D:測定値の差が0.20未満(印字が薄すぎて印字内容が視認できない)
【0113】
〔印字抜け〕
実施例および比較例で得られた印刷用紙に、紫外線レーザー(株式会社キーエンス製、MD-U1020C)を用いて10mmの正方形をマーキング(印刷)した。
照射条件は、以下の通りである。
・波長:355nm
・出力:80%(出力100%時2.5W)
・周波数:40kHz
・スポット径:40μm(焦点合わせ時)
・スポット可変:60
・塗りつぶし間隔:1.0mm
・スキャンスピード:4000mm/sec
なお、レーザーの焦点位置の調整では、装置付属の高さ補正機能を使用し、上記スポット可変値で、レーザーの焦点位置を補正した。
得られた試験片を顕微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-8000、倍率300倍)を用いて、ドット状の印刷か所を20箇所観察し、印字ムラの見られた印刷か所の数を数え、以下の評価基準で評価した。
A:印刷ムラがみられたドット状の印刷箇所の数が2か所以下
B:印刷ムラがみられたドット状の印刷箇所の数が3か所以上5か所以下
C:印刷ムラがみられたドット状の印刷箇所の数が6か所以上8か所以下
D:印刷ムラがみられたドット状の印刷箇所の数が9か所以上
なお、上記のようなドット上の印刷において、印刷ムラが認められる場合、一般の印刷を行った場合には、印字抜けとして観察される。
【0114】
〔発煙量〕
発煙量の評価を、以下の方法で行った。
0:目視で発煙を確認できない
1:目視で微かに発煙を確認できるが非常に少ない
2:目視で発煙を確認できるが少ない
3:目視で発煙をはっきりと確認でき多い
発煙量の評価は、2以下であれば合格とした。
【0115】
【表2-1】
【0116】
【表2-2】
【0117】
表2の結果によれば、実施例の印刷用紙を用いて、紫外線レーザーにより印刷することにより、印刷濃度が高く、印字抜けが抑制された印刷物が得られ、かつ、紫外線レーザー照射時に発生する発煙量が抑制された。
一方、紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が2.20mmである比較例1および比較例4の印刷用紙では、印字抜けが観察された。
また、酸化チタンの塗工量が20.0g/m以上であり、18.0g/mを超える比較例2の印刷用紙では、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制されなかった。
さらに、酸化チタンの塗工量が0.03g/mであり、0.04g/m未満である比較例3の印刷用紙では、十分な印字濃度が得られなかった。
印刷層の表面平滑度が5秒であり、7秒未満である比較例5の印刷用紙では、印字抜けが発生した。
紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.65mmであり、0.70mm未満である比較例6の印刷用紙では、印字抜けが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の印刷用紙は、紫外線レーザーの照射によって酸化チタンが変色することで、視認性に優れる印刷物が提供でき、さらに、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制される。本発明の紫外線レーザー印刷用紙は、日付、バーコード等の可変情報が印刷される包装体、ラベル、および粘着テープなどの加工品に好適に適用される。さらに、本発明の印刷物の製造方法は、包装体、ラベル、粘着テープなどへの可変情報の印刷に好適に適用される。
【要約】
【課題】優れた印刷適性を有し、かつ、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制された紫外線レーザー印刷用紙を提供すること。また、前記紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させた印刷物およびその製造方法を提供すること。さらに、前記紫外線レーザー印刷用紙または印刷物を用いてなる加工品を提供すること。
【解決手段】紙基材上に酸化チタンを含有する印刷層を有し、前記印刷層中の前記酸化チタンの含有量が、0.04g/m以上18.0g/m以下であり、前記紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.70mm以上2.0mm以下であり、前記印刷層の表面平滑度が7秒以上である、紫外線レーザー印刷用紙。
【選択図】なし
図1
図2