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  • 特許-液体クロマトグラフ 図1
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  • 特許-液体クロマトグラフ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20220809BHJP
   G01N 30/32 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G01N30/86 T
G01N30/86 V
G01N30/32 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021503325
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2019008798
(87)【国際公開番号】W WO2020179001
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 浩志
(72)【発明者】
【氏名】木原 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宏
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-326300(JP,A)
【文献】特開2007-139623(JP,A)
【文献】特開平04-110656(JP,A)
【文献】特開2011-099764(JP,A)
【文献】米国特許第04905161(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相を送液する送液ポンプと、
試料を成分ごとに分離するための分離カラム及び前記分離カラムにおいて分離した試料成分を検出するための検出器を有する分析流路と、
前記送液ポンプによる送液圧力を検出する圧力センサと、
前記分析流路に試料を注入するための試料注入部と、
前記送液ポンプと前記分析流路との間を接続状態にするか非接続状態にするかを切り替えるための切替部と、
前記圧力センサにより検出される前記送液圧力の変動幅を予め設定されたしきい値と比較し、前記送液圧力の変動幅が前記しきい値を超えたときに前記送液ポンプによる送液不良を検出するように構成された送液不良検出部と、
前記送液ポンプ、前記試料注入部及び前記切替部の動作を制御し、前記送液ポンプと前記分析流路との間を接続状態にして前記分析流路中に試料を注入して行なう分析を、予め設定された分析スケジュールにおいて予定されているすべての試料についてスケジュール分析として実行するように構成された分析動作実行部と、
試料の分析中に前記送液不良検出部によって送液不良が検出されたときに、実行中の試料の分析を中止し、前記送液ポンプと前記分析流路との間を非接続状態にして前記分析中よりも高い流量で前記送液ポンプによって移動相を送液するパージ動作を、予め設定されたパージ時間だけ実行するように構成されたパージ動作実行部と、
前記パージ動作が終了した後で、前記送液不良検出部により送液不良が検出されるか否かの確認動作を実行するように構成された確認動作実行部と、
前記確認動作において前記送液不良検出部によって送液不良が検出されなかったときに、試料を注入することなく試料の分析と同じ条件で前記送液ポンプにより移動相を前記分析流路中で送液する非注入分析を実行するように構成された非注入分析実行部と、を備え、
前記分析動作実行部は、前記非注入分析が実行された後で前記スケジュール分析を再開するように構成されている、液体クロマトグラフ。
【請求項2】
前記パージ動作実行部は、前記確認動作において前記送液不良検出部によって送液不良が検出されたときは、前記パージ動作を再度実行するように構成されている、請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記分析動作実行部は、所定回数の前記パージ動作が実行された後の前記確認動作において送液不良が前記送液不良検出部によって検出されたときは、前記スケジュール分析を終了するように構成されている、請求項に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項4】
前記パージ動作の前記所定回数をユーザによる入力情報に基づいて設定するように構成されたパージ回数設定部を備えている、請求項に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項5】
ユーザにより入力された情報に基づいて前記パージ時間を設定するように構成されたパージ時間設定部を備えている、請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項6】
前記分析動作実行部は、前記スケジュール分析中に前記送液不良検出部によって検出された送液不良の回数が予め設定された許容回数を超えたときは、前記スケジュール分析を終了するように構成されている、請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフは、分離カラムが設けられた分析流路へ送液ポンプによって移動相を供給し、分離カラムの上流で分析流路中に試料を注入して分離カラムにて試料を成分ごとに分離し、分離された試料成分を検出器により検出する(特許文献1参照)。
【0003】
液体クロマトグラフィー分析において、移動相の送液流量の安定性は分析結果に大きな影響を与える。試料の分析中に送液ポンプのポンプ室内での気泡の発生等によって送液流量が変動し、送液不良が発生する場合がある。そのような送液不良が発生すると、検出器信号のベースラインが乱れ、分析結果の再現性が悪くなる。そのため、分析中に送液ポンプによる送液不良が発生した場合には、再分析が必要となることが多い。
【0004】
特に、予め設定された分析スケジュールにしたがって複数の試料についての分析を連続的に実行する場合、スケジュール分析中に送液ポンプによる送液不良が発生すると、送液不良が発生した後に実行された試料の分析は信頼性が低く、分析時間、試料、溶媒が無駄になっていた。
【0005】
そこで、分析中に送液ポンプの送液不良が発生したときに、分析を中断して送液ポンプをドレインへ接続し、移動相を高流量で送液するパージ動作を実行して送液不良を自動的に解消することが提案されている(特許文献2)。送液不良が解消された後は、中断した分析を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2017/006410A1
【文献】特開平11-326300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、送液不良が発生したときに分析を中断してパージ動作を実行した後は、中断した分析を最初からやり直すか、又は、その試料の分析をスキップして次の試料の分析を実行することが、分析結果の再現性の観点から好ましい。しかしながら、分析流路中には中断した分析に係る試料が残存しており、その試料が次の分析結果に影響を与えることも考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、送液ポンプによる送液不良が発生したときにその送液不良を自動的に解消できるようにするとともに、送液不良の解消後に新たな分析を再現性よく実行できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体クロマトグラフは、移動相を送液する送液ポンプと、試料を成分ごとに分離するための分離カラム及び前記分離カラムにおいて分離した試料成分を検出するための検出器を有する分析流路と、前記送液ポンプによる送液圧力を検出する圧力センサと、前記分析流路に試料を注入するための試料注入部と、前記送液ポンプと前記分析流路との間を接続状態にするか非接続状態にするかを切り替えるための切替部と、前記圧力センサにより検出される前記送液圧力の変動幅を予め設定されたしきい値と比較し、前記送液圧力の変動幅が前記しきい値を超えたときに前記送液ポンプによる送液不良を検出するように構成された送液不良検出部と、前記送液ポンプ、前記試料注入部及び前記切替部の動作を制御し、前記送液ポンプと前記分析流路との間を接続状態にして前記分析流路中に試料を注入して行なう分析を、予め設定された分析スケジュールにおいて予定されているすべての試料についてスケジュール分析として実行するように構成された分析動作実行部と、試料の分析中に前記送液不良検出部によって送液不良が検出されたときに、実行中の試料の分析を中止し、前記送液ポンプと前記分析流路との間を非接続状態にして前記分析中よりも高い流量で前記送液ポンプによって移動相を送液するパージ動作を、予め設定されたパージ時間だけ実行するように構成されたパージ動作実行部と、前記パージ動作が終了した後で、前記送液不良検出部により送液不良が検出されるか否かの確認動作を実行するように構成された確認動作実行部と、前記確認動作において前記送液不良検出部によって送液不良が検出されなかったときに、試料を注入することなく試料の分析と同じ条件で前記送液ポンプにより移動相を前記分析流路中で送液する非注入分析を実行するように構成された非注入分析実行部と、を備え、前記分析動作実行部は、前記非注入分析が実行された後で前記スケジュール分析を再開するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体クロマトグラフによれば、試料の分析中に送液不良が検出されたときに、実行中の試料の分析を中止し、送液ポンプと分析流路との間を非接続状態にして分析中よりも高い流量で送液ポンプによって移動相を送液するパージ動作を、予め設定されたパージ時間だけ実行し、前記パージ動作が終了した後で、送液不良が検出されるか否かの確認動作を実行し、前記確認動作において送液不良が検出されなかったときに、試料を注入することなく試料の分析と同じ条件で移動相を分析流路中で送液する非注入分析を実行するように構成されているので、送液ポンプによる送液不良があったときにパージ動作によってその送液不良を自動的に解消でき、かつ、送液不良の解消後の非注入分析によって分析流路内に残存していた試料が洗い流され、新たな分析を再現性よく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】液体クロマトグラフの一実施例を概略的に示す構成図である。
図2】同実施例において移動相供給流路を分析流路に接続した状態を太線で示す流路構成図である。
図3】同実施例において移動相供給流路をドレインに接続した状態を太線で示す流路構成図である。
図4】同実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、液体クロマトグラフの一実施例について説明する。
【0013】
図1に示されているように、この実施例の液体クロマトグラフは、送液ポンプ2、移動相供給流路4、圧力センサ6、分離カラム8、検出器10、分析流路12、オートサンプラ14及び管理装置18を備えている。
【0014】
送液ポンプ2は移動相を送液するためのものであり、移動相供給流路4上に設けられている。圧力センサ6は移動相供給流路4上に設けられており、送液ポンプ2による送液圧力を検出する。
【0015】
分離カラム8及び検出器10は分析流路12上に設けられている。移動相供給流路4と分析流路12との間にオートサンプラ14が設けられている。オートサンプラ14は、分析流路12中に試料を注入する試料注入部をなしている。
【0016】
オートサンプラ14図2のように、移動相供給流路4を分析流路12へ流体的に接続した状態と、図3のように、移動相供給流路4をドレインへ流体的に接続した状態のいずれかの状態に切り替える機能を有する切替バルブ16を備えている。すなわち、切替バルブ16は、送液ポンプ2と分析流路12との間を接続状態にするか、又は、非接続状態にするかを切り替えるための切替部を実現している。なお、切替バルブ16は、試料を保持したサンプルループ(図示は省略)を移動相供給流路と分析流路との間に介挿するか否かを切り替える注入バルブであってよい。
【0017】
管理装置18は、送液ポンプ及びオートサンプラ14の動作管理を行なうためのものであり、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ又は専用のコンピュータによって実現される。管理装置18は、分析動作実行部20、送液不良検出部22、パージ動作実行部24、確認動作実行部26、非注入分析実行部28、パージ回数設定部30及びパージ時間設定部32を備えている。分析動作実行部20、送液不良検出部22、パージ動作実行部24、確認動作実行部26、非注入分析実行部28、パージ回数設定部30及びパージ時間設定部32は、管理装置18に設けられている中央演算装置(CPU)が所定のプログラムを実行することによって得られる機能である。
【0018】
分析動作実行部20は、予め設定された分析スケジュールにおいて予定されているすべての試料についてのクロマトグラフィー分析をスケジュール分析として実行するように構成されている。1つの試料についての分析は、移動相供給流路4と分析流路12とが流体的に接続された状態(図2の状態)とされ、オートサンプラ14により試料が分析流路12に注入されることによって開始される。1つの試料についての分析が終了したか否かは、分析流路に試料を注入(分析を開始)してから所定時間が経過したか否かによって判定することができる。スケジュール分析とは、分析スケジュールにおいて予定されているすべての試料について、試料を分析流路へ注入してから所定時間が経過して分析が終了するまでの一連の動作を行なうことを意味する。
【0019】
送液不良検出部22は、圧力センサ6により検出される送液圧力の変動幅を予め設定されたしきい値と比較し、送液圧力の変動幅がしきい値を超えたときに送液ポンプ2の送液不良を検出するように構成されている。送液不良検出部22による送液不良の検出は、試料の分析中と後述する確認動作中に行なわれる。ここで、送液圧力の変動幅とは、一定時間内における送液圧力の最大値と最小値との差分を意味する。
【0020】
パージ動作実行部24は、試料の分析中に送液不良検出部22によって送液不良が検出されたときに、パージ動作を実行するように構成されている。パージ動作とは、移動相供給流路4をドレインに流体的に接続し、分析中よりも高い流量で所定時間、送液ポンプ2による移動相の送液を行なうことをいう。
【0021】
確認動作実行部26は、上記のパージ動作が実行された後で、移動相供給流路4を分析流路12に流体的に接続し、例えば分析時と同程度の流量で、所定時間、送液ポンプ2による移動相の送液を行なう確認動作を実行するように構成されている。
【0022】
パージ動作実行部24は、上記の確認動作中に送液不良検出部22によって送液不良が検出された場合に、パージ動作を再度実行するように構成されている。ただし、パージ動作が所定回数実行されても送液不良が解消しない場合は送液ポンプ2に異常があると判定し、分析動作実行部20は、スケジュール分析を終了するように構成されている。
【0023】
非注入分析実行部28は、上記の確認動作中に送液不良が検出されない場合に、非注入分析を実行するように構成されている。非注入分析とは、分析流路12中に残存する試料を分析流路12から除去するために試料を注入せずに移動相のみを分析流路12中で送液することを意味する。非注入分析において分析流路12中で送液する移動相は、送液不良が検出されたことによって中断された分析と同じ条件(流量、組成、グラジエントプロファイルなど)であってよいが、中断された分析と全く同じ条件でなくてもよい。要は、分析流路中の試料を除去できる条件であればよい。
【0024】
分析動作実行部20は、上記非注入分析が終了した後で、スケジュール分析を再開するように構成されている。このとき、分析スケジュールにおいて中断された分析に係る試料の次に予定されている試料を分析流路12へ注入してスケジュール分析を再開してもよいが、中断された分析に係る試料が試料容器に残っているときは、中断された分析に係る試料を再度、分析流路12へ注入してスケジュール分析を再開してもよい。
【0025】
また、分析動作実行部20は、スケジュール分析を再開する際、試料を分析流路12へ注入する前に、その試料の分析における初期濃度の移動相を所定時間、分析流路12中で送液するウォームアップを実行するように構成されていてもよい。この場合、ユーザは、管理装置18に対してウォームアップ時間を自由に設定できるようになっていてもよい。
【0026】
また、分析動作実行部20は、送液不良検出部22によって送液不良が検出された回数が予め設定された許容回数を超えたときは、送液ポンプ2に異常があると判定し、スケジュール分析を終了するように構成されている。
【0027】
パージ回数設定部30は、送液ポンプ2に異常があると判定するための目安となるパージ動作の回数を、ユーザにより入力された情報に基づいて設定するように構成されている。すなわち、ユーザは、送液ポンプ2に異常があると判定するための目安となるパージ動作の回数を任意に設定することができる。送液ポンプ2に異常があると判定されると、スケジュール分析が終了する。なお、パージ回数設定部30による機能は必須ではない。
【0028】
パージ時間設定部32は、ユーザにより入力された情報に基づいて、パージ動作の時間を設定するように構成されている。すなわち、ユーザはパージ動作の時間を任意に設定することができる。なお、パージ時間設定部32による機能は必須ではない。
【0029】
上記機能により実現されるスケジュール分析中の動作の一例について、図1とともに図4のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
分析動作実行部20は、スケジュール分析が開始されると、分析すべき試料がある限り、予定されている試料を分析流路12中に注入する(ステップ101、102)。試料の分析中、送液不良検出部22は、圧力センサ6によって検出される送液圧力の変動幅を一定時間間隔で算出するとともに算出した変動幅をしきい値と比較し、送液不良が発生しているか否かを監視する(ステップ103)。試料の分析が終了するまで送液不良が検出されなかった場合(ステップ104)、次の試料の分析へ移行し、すべての試料の分析が終了したときにスケジュール分析が終了する。
【0031】
試料の分析中に送液不良検出部22が送液不良を検出した場合(ステップ103)、分析動作実行部20はスケジュール分析を中断し、スケジュール分析中に発生した送液不良の回数が予め設定されている許容回数(例えば、5回)を超えていなければ、パージ動作実行部24がパージ動作を実行する(ステップ105、106)。パージ動作が終了した後、確認動作実行部26は送液不良が解消しているか否かの確認動作を実行し(ステップ107)、送液不良が解消していれば非注入分析実行部28が非注入分析を実行する(ステップ108、109)。
【0032】
分析動作実行部20は、非注入分析が終了した後、スケジュール分析を再開する(ステップ101)。一方で、パージ動作の後の確認動作において送液不良が検出された場合(ステップ108)、パージ動作実行部24は、パージ動作の回数が所定回数(例えば、3回)を超えない範囲で送液不良が解消するまでパージ動作を繰り返し実行する(ステップ110)。パージ動作を所定回数繰り返しても送液不良が解消しない場合(ステップ110)、分析動作実行部20はスケジュール分析を終了する。なお、送液不良により分析を終了したときにデータファイルは、送液不良が検出されなかったときの正常なデータファイルとは区別できるような形態で作成することが好ましい。
【0033】
試料の分析中に送液不良検出部22が送液不良を検出した場合(ステップ103)であって、スケジュール分析中に発生した送液不良の回数が許容回数を超えている場合には、スケジュール分析を終了する(ステップ105)。
【0034】
以上において説明した実施例では、送液ポンプと分析流路12との間を接続状態にするか、又は、非接続状態にするかを切り替えるための切替部がオートサンプラ14内の切替バルブ16によって実現されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、送液ポンプと分析流路12との間を接続状態にするか、又は、非接続状態にするかを切り替えるための切替部をオートサンプラ14の前段側に別途設けてもよい。
【0035】
本発明に係る液体クロマトグラフの実施形態は、移動相を送液する送液ポンプ(2)と、試料を成分ごとに分離するための分離カラム(8)及び前記分離カラム(8)において分離した試料成分を検出するための検出器(10)を有する分析流路(12)と、前記送液ポンプ(2)による送液圧力を検出する圧力センサ(6)と、前記分析流路(12)に試料を注入するための試料注入部(14)と、前記送液ポンプ(2)と前記分析流路(12)との間を接続状態にするか非接続状態にするかを切り替えるための切替部(16)と、前記圧力センサ(6)により検出される前記送液圧力の変動幅を予め設定されたしきい値と比較し、前記送液圧力の変動幅が前記しきい値を超えたときに前記送液ポンプ(2)による送液不良を検出するように構成された送液不良検出部(22)と、前記送液ポンプ(2)、前記試料注入部(14)及び前記切替部(16)の動作を制御し、前記送液ポンプ(2)と前記分析流路(12)との間を接続状態にして前記分析流路(12)中に試料を注入して行なう分析を、予め設定された分析スケジュールにおいて予定されているすべての試料についてスケジュール分析として実行するように構成された分析動作実行部(20)と、試料の分析中に前記送液不良検出部(22)によって送液不良が検出されたときに、実行中の試料の分析を中止し、前記送液ポンプ(2)と前記分析流路(12)との間を非接続状態にして前記分析中よりも高い流量で前記送液ポンプ(2)によって移動相を送液するパージ動作を、予め設定されたパージ時間だけ実行するように構成されたパージ動作実行部(24)と、前記パージ動作が終了した後で、前記送液不良検出部(22)により送液不良が検出されるか否かの確認動作を実行するように構成された確認動作実行部(26)と、前記確認動作において前記送液不良検出部(22)によって送液不良が検出されなかったときに、試料を注入することなく試料の分析と同じ条件で前記送液ポンプ(2)により移動相を前記分析流路(12)中で送液する非注入分析を実行するように構成された非注入分析実行部(28)と、を備え、前記分析動作実行部(20)は、前記非注入分析が実行された後で前記スケジュール分析を再開するように構成されている。
【0036】
上記実施形態の第1態様では、前記非注入分析実行部(28)は、前記非注入分析において前記パージ動作の直前に実行されていた分析と同じ条件で前記送液ポンプ(2)により移動相を前記分析流路(12)中で送液するように構成されている。このような態様により、前記分析流路(12)中に残存する試料を効率よく前記分析流路(12)から除去することができ、次の試料の分析の再現性を向上させることができる。
【0037】
また、上記実施形態の第2態様では、前記パージ動作実行部(24)は、前記確認動作において前記送液不良検出部(22)によって送液不良が検出されたときは、前記パージ動作を再度実行するように構成されている。このような態様により、前記パージ動作が複数回繰り返し実行されるので、前記送液ポンプ(2)の送液不良が解消されやすくなる。
【0038】
上記第2態様において、前記分析動作実行部(20)は、所定回数の前記パージ動作が実行された後の前記確認動作において送液不良が前記送液不良検出部(22)によって検出されたときは、前記スケジュール分析を終了するように構成されている。複数回のパージ動作を実行しても送液不良が解消しないときは、前記送液ポンプ(2)自体に問題があることが考えられるので、前記スケジュール分析を終了することによって早期に問題の解決を図ることができる。
【0039】
上記の場合、前記パージ動作の前記所定回数をユーザによる入力情報に基づいて設定するように構成されたパージ回数設定部を備えていてもよい。そうすれば、前記送液ポンプ(2)に問題があるか否かの判定の基準となる前記パージ動作の回数をユーザが任意に設定することができる。
【0040】
上記実施形態の第3態様では、ユーザにより入力された情報に基づいて前記パージ時間を設定するように構成されたパージ時間設定部を備えている。このような態様により、前記パージ動作の時間をユーザが任意に設定することができる。
【0041】
上記実施形態の第4態様では、前記分析動作実行部(20)は、前記スケジュール分析中に前記送液不良検出部(22)によって検出された送液不良の回数が予め設定された許容回数を超えたときは、前記スケジュール分析を終了するように構成されている。1回の前記スケジュール分析中に何度も送液不良が検出される場合には、前記送液ポンプ(2)自体に問題があると考えられるので、このような場合に前記スケジュール分析を終了することによって早期に問題の解決を図ることができる。
【符号の説明】
【0042】
2 送液ポンプ
4 移動相供給流路
6 圧力センサ
8 分離カラム
10 検出器
12 分析流路
14 オートサンプラ(試料注入部)
16 切替バルブ
18 管理装置
20 分析動作実行部
22 送液不良検出部
24 パージ動作実行部
26 確認動作実行部
28 非注入分析実行部
30 パージ回数設定部
32 パージ時間設定部
図1
図2
図3
図4