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特許7120457液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/46 20060101AFI20220809BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20220809BHJP
   G01N 30/32 20060101ALI20220809BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G01N30/46 E
G01N30/02 Z
G01N30/32 A
G01N30/86 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021521582
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2019020856
(87)【国際公開番号】W WO2020240650
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 浩志
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166724(JP,A)
【文献】特開2006-23280(JP,A)
【文献】特開2014-145675(JP,A)
【文献】国際公開第09/62538(WO,A1)
【文献】特開平05-256834(JP,A)
【文献】特開2013-24603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカラムを切り替える機能を備え、複数回の分析について、それぞれの分析条件及び前記複数回の分析の実行順序が記述されたスケジュールテーブルに従って試料の分析を行う液体クロマトグラフであって、
前記スケジュールテーブルにおいて、連続して実行される二つの分析について、それぞれの分析条件に基づき、前記二つの分析で使用されるカラムを比較するカラム比較部と、
前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって徐々に低下させる介挿メソッドファイルを作成する介挿メソッドファイル作成部と、
前記介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入するスケジュールテーブル作成部と、
を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項2】
前記介挿メソッドファイル作成部が、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって階段状に低下させる介挿メソッドファイルを作成することを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記介挿メソッドファイル作成部が、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かってスロープ状に低下させる介挿メソッドファイルを作成することを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項4】
前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前記介挿メソッドファイル作成部が、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって徐々に低下させる第1介挿メソッドファイルと、前記第3目的流量から前記第2目的流量に向かって徐々に増加させる第2介挿メソッドファイルを作成し、
前記スケジュールテーブル作成部が、前記第1介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入し、前記第2介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記後の分析の直前に挿入することを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項5】
複数のカラムを切り替える機能を備えた液体クロマトグラフを使用し、複数回の分析についてその分析条件及び実行順序を記述したスケジュールテーブルに従って試料の分析を行う液体クロマトグラフの制御方法であって、
前記スケジュールテーブルにおいて、連続して実行される二つの分析について、それぞれの分析条件に基づき、前記二つの分析で使用されるカラムを比較するステップと、
比較したカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させる介挿メソッドファイルを作成するステップと、
前記介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入するステップと、
を有することを特徴とする液体クロマトグラフ制御方法。
【請求項6】
前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって階段状に低下させる介挿メソッドファイルを作成することを特徴とする請求項5に記載の液体クロマトグラフ制御方法。
【請求項7】
前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かってスロープ状に低下させる介挿メソッドファイルを作成することを特徴とする請求項5に記載の液体クロマトグラフ制御方法。
【請求項8】
前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって徐々に低下させる第1介挿メソッドファイルと、前記第3目的流量から前記第2目的流量に向かって徐々に増加させる第2介挿メソッドファイルを作成し、
前記第1介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入し、前記第2介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記後の分析の直前に挿入することを特徴とする請求項5に記載の液体クロマトグラフ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフは、ポンプ、カラムオーブン、検出器、オートサンプラ等の複数の分析ユニットと、各分析ユニットの制御や検出器で採取されたデータの処理を実行する制御装置とから構成されている。液体クロマトグラフでは、液体の移動相(溶離液とも呼ぶ)と、該移動相中に注入した試料をポンプによって加圧してカラムを通過させ、試料中の各成分をカラム中での固定相(充填剤とも呼ぶ)及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差によって分離して検出する。
【0003】
液体クロマトグラフにおいて、1つの試料に対して様々な条件での分析を行って該試料に最適な分析条件を探索することがある(以下、これをメソッドスカウティングと呼ぶ)。メソッドスカウティングでは、移動相の種類、カラムの種類、ポンプの流量、カラムを加温するためのカラムオーブンの温度等のパラメータの組合せから成る様々な分析条件が設定される。そのため、メソッドスカウティングを実施する液体クロマトグラフは、前記パラメータを切り替え可能に構成されている(特許文献1参照)。
【0004】
様々な分析条件は、制御装置が管理する「メソッドファイル」と呼ばれるファイルに記述され、該制御装置の記憶部に記憶される。また、制御装置は、どの分析条件をどのような順序で実施するかを記述した「スケジュールテーブル」と呼ばれるファイルを作成する。スケジュールテーブルは、列方向に分析の時系列を、行方向に分析対象試料やその分析条件を記載したものであり、前記分析条件としては上述のメソッドファイルが引用される。メソッドスカウティングでは、制御装置はスケジュールテーブルに記述された実行順序にしたがって、所定のタイミングで各分析条件での分析が実行されるように液体クロマトグラフの各ユニットを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-024603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
メソッドスカウティングにおいて、連続して実行される分析で使用するカラムの種類が変化する場合、カラムの切り替えを行う直前まで、前の分析に使用するカラムに向けて、該前の分析について定められた目的流量で移動相が流される。一般的に、目的流量とカラムの耐圧性能は相関しており、目的流量が大きい値に定められる分析では、耐圧性能の高いカラムが使用され、目的流量が小さい値に定められる分析で耐圧性能が低いカラムが使用される。そのため、前の分析の目的流量に比べて後の分析の目的流量が小さい場合、該後の分析に使用されるカラムに、そのカラムの耐圧性能を超える圧力が加わってしまうことがあり、該カラムがダメージを受けることがあった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、複数の種類のカラムを切り替えつつメソッドスカウティングを行う場合であっても、カラムの切り替え時に該カラムに加わるダメージを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様は、
複数のカラムを切り替える機能を備え、複数回の分析について、それぞれの分析条件及び前記複数回の分析の実行順序が記述されたスケジュールテーブルに従って試料の分析を行う液体クロマトグラフであって、
前記スケジュールテーブルにおいて、連続して実行される二つ分析について、それぞれの分析条件に基づき、前記二つの分析で使用されるカラムを比較するカラム比較部と、
前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させる介挿メソッドファイルを作成する介挿メソッドファイル作成部と、
前記介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入するスケジュールテーブル作成部と、
を備える液体クロマトグラフに関する。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、
複数のカラムを切り替える機能を備えた液体クロマトグラフを使用し、複数回の分析についてその分析条件及び実行順序を記述したスケジュールテーブルに従って試料の分析を行う液体クロマトグラフの制御方法であって、
前記スケジュールテーブルにおいて、連続して実行される二つ分析について、それぞれの分析条件に基づき、前記二つの分析で使用されるカラムを比較するステップと、
比較したカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させる介挿メソッドファイルを作成するステップと、
前記介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入するステップと、
を有する液体クロマトグラフ制御方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ制御方法では、連続して実行される二つの分析の間で使用されるカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させるように制御を行う。これにより、前の分析に使用するカラムから後の分析に使用するカラムに切り替えたときに、該後の分析に使用するカラムに対してその耐圧性能を超える圧力が加わることがない。このため、後の分析で使用されるカラムが受けるダメージを低減することができ、カラムの寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体クロマトグラフを説明する図。
図2】同実施形態に係る液体クロマトグラフの分析順序を説明するフローチャート。
図3】同実施形態において作成されるスケジュールテーブルを示す図。
図4】同実施形態においてカラム保護用メソッドファイルに関する情報を設定するための画面の例を示す図。
図5A】同実施形態において作成される第1カラム保護用メソッドファイルの移動相プロファイルを説明する図。
図5B】同実施形態において作成される第2カラム保護用メソッドファイルの移動相プロファイルを説明する図。
図6】本発明の第2実施形態に係る液体クロマトグラフを説明する図。
図7A】本発明の他の実施形態において作成される第1カラム保護用メソッドファイルの移動相プロファイルを説明する図。
図7B】本発明の他の実施形態において作成される第1カラム保護用メソッドファイルの移動相プロファイルを説明する図。
図8】カラム情報の例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のいくつかの実施形態に係る液体クロマトグラフについて、図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る液体クロマトグラフの概略構成図である。この液体クロマトグラフ100は、送液部10、オートサンプラ20、カラムオーブン30、検出部40、これら各部をそれぞれ制御するシステムコントローラ50、システムコントローラ50を介した分析作業の管理と検出部40で得られたデータの処理を行う制御装置60を備えている。制御装置60には、キーボードやマウスから成る操作部71、ディスプレイから成る表示部72が接続されている。
【0014】
カラムオーブン30内には複数のカラム321~326が設けられ、流路切替部31、33によりこれら複数のカラム321~326が切り替えられる。送液部10では、様々な移動相が収容された溶媒容器111~114、121~124が、脱気ユニット13、14及び溶媒切替バルブ15、16を介して送液ポンプ171及び172に接続されている。移動相には、水及び水に様々な塩類を添加した水溶液(水系の溶媒)、メタノール、アセトニトリル、ヘキサンなどの有機溶媒(有機系の溶媒)が用いられる。溶媒容器111~114のいずれかより吸引された水系の溶媒と、溶媒容器121~124のいずれかより吸引された有機系の溶媒は、必要に応じてグラジエントミキサ18で混合され、これにより所定の組成の移動相が調製される。
【0015】
送液部10で調製された所定の組成の移動相は、オートサンプラ20を経てカラムオーブン30内の複数のカラム321~326のいずれか一つに流入する。その際、オートサンプラ20により移動相中に試料が注入され、該試料は移動相の流れに乗ってカラムを通過する。その過程で試料中の各成分が時間的に分離され、質量分析計、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器などの検出器41が設けられた検出部40にて順次検出される。
【0016】
制御装置60は、記憶部61、分析条件設定部62、スケジュールテーブル作成部63、分析制御部64、及びデータ処理部65、スケジュール読み出し部66、カラム比較部67、及びカラム保護用メソッドファイル作成部68を有する。カラム保護用メソッドファイル作成部68が、本発明の介挿メソッドファイル作成部に相当する。また、制御装置60の実体はパーソナルコンピュータ又はワークステーション等のコンピュータであり、該コンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウェアを該コンピュータで実行することにより、上述した各部による機能を達成する。
【0017】
本実施形態に係る液体クロマトグラフ100における一般的な分析動作を簡単に説明する。分析制御部64による制御の下で、送液ポンプ171は移動相容器111~114のいずれかから所定量の移動相を吸引し、送液ポンプ172は移動相容器121~124のいずれかからそれぞれ所定量の移動相を吸引しグラジエントミキサ18へと送る。グラジエントミキサ18は送液ポンプ171、172のそれぞれから送られてきた移動相を混合して一定流量でオートサンプラ20へと送る。オートサンプラ20では、図示しないバイアルから採取された試料液が移動相中に注入される。試料液は移動相の流れに乗ってカラム321~326のいずれかに導入され、該カラムを通過する際に試料液中の成分(試料成分)が分離される。そうして分離された試料成分を含む溶出液がカラムの出口から出て検出器41に導入される。検出部40は検出器41に導入された溶出液中の試料成分の量に応じた検出信号を出力する。この信号は図示しないAD変換器でデジタル化され、制御装置60へと入力され、データ処理部65において前記信号に基づいてクロマトグラムが作成される。
【0018】
続いて、本実施形態に係る液体クロマトグラフ100の特徴的な動作について図2に示すフローチャートを参照して説明する。図2はメソッドスカウティングの実行時における液体クロマトグラフの分析順序を説明するフローチャートである。
【0019】
メソッドスカウティングの実行に際しては、まず、スケジュールテーブル作成部63が表示部72に所定の設定画面を表示し、ユーザによる操作部71を介した入力を受け付ける(ステップS21)。設定画面において、ユーザは、メソッドスカウティングで実行する複数回の分析のそれぞれについて、分析対象とする試料名とその注入量、分析に用いるメソッドファイル名、及び分析結果を保存する際のデータファイル名などを入力する。また、設定画面において、ユーザは、複数回の分析のうち連続して実行される二つの分析において使用されるカラムが異なる場合に、カラムの切り替え時に移動相の流量調整を行うための情報を入力する。移動相の流量調整については後述する。
【0020】
スケジュールテーブル作成部63は、ステップS21でのユーザの入力に基づき、前記複数回の分析の実行順序を記述したスケジュールテーブルを作成して記憶部61に記憶させる(ステップS22)。これにより、例えば図3のようなスケジュールテーブルが作成される。複数回の分析がn回の分析(n:2以上の整数)である場合、n行のスケジュールテーブルが作成される。
【0021】
スケジュールテーブルが作成されると、スケジュール読み出し部66は、まず、スケジュールテーブルの行数に対応する変数iをi=1に初期化(ステップS23)した後、記憶部61からi行と(i+1)行の分析条件を読み出す。分析に使用するカラムの情報は、スケジュールテーブルには直接的に記載されておらず、スケジュールテーブルが引用するメソッドファイル中に記載されている。そのため、スケジュール読み出し部66は各メソッドファイルにアクセスして分析に使用するカラムの情報を読み出す。カラム比較部67は、i行と(i+1)行の分析条件を比較して、使用するカラムが両者で一致しているか否かを判断する(ステップS24)。なお、カラムの情報はメソッドファイルから読み出す実施例に限定されず、ソフトウェアが図8のようなカラム情報を保持し、使用するカラムが一致するかを判断してもよい。
【0022】
i行と(i+1)行の分析条件の相違が、カラムオーブン30の温度変更だけであるなど、i行と(i+1)行の分析で使用するカラムが同じであって、両分析の間でカラムの切り替えが必要ない場合には(ステップS24にてYes)、直ちに後述のステップS27へと進んで変数iを1増加させる。
【0023】
一方、i行と(i+1)行の分析で使用するカラムが異なり、両分析の間でカラムの切り替えが必要な場合には(ステップS24にてNo)、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、予めユーザがステップS21において、カラム切替時に移動相の流量調整を行う設定がされているか否かを判断する(ステップS25)。そして、移動相の流量調整を行う設定がなされている場合には(ステップS25にてYes)、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、両分析のうち後に実行される分析で使用するカラムを保護するためのメソッドファイル(以下これを「カラム保護用メソッドファイル」と呼ぶ)を作成する(ステップS26)。
【0024】
例えば、図3に示したスケジュールテーブルにおいて、分析番号1及び2でそれぞれ引用されたメソッドファイルである「ファイル1」及び「ファイル2」では分析に使用するカラムとしてカラム321が記述され、分析番号3で引用されたメソッドファイルである「ファイル3」では分析に使用するカラムとしてカラム322が記述されていた場合、分析番号2の分析から分析番号3の分析に切り替わる時に、分析に使用するカラムの切り替え(カラム321→カラム322)が必要となる。そのため、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、先に実行される分析で使用するカラム321に対し、該先に実行される分析と同じ移動相を所定の流量になるまで段階的に低下させつつ送液する旨を記述したカラム保護用メソッドファイル(以下これを「第1カラム保護用メソッドファイル」と呼ぶ)と、後に実行される分析で使用するカラム322に対し、該後に実行される分析と同じ移動相を所定の流量になるまで段階的に増加させつつ送液する旨を記述したカラム保護用メソッドファイル(以下これを「第2カラム保護用メソッドファイル」と呼ぶ)のいずれか一方、或いは両方を作成する。以下、一段階で下げる移動相の流量、又は一段階で上げる移動相の流量を「単位流量」と呼ぶ。本実施形態では、カラム保護用メソッドファイル作成部68が、第1及び第2カラム保護用メソッドファイルの両方を作成するか、或いは、いずれか一方を作成するかは、予めユーザがステップS21において設定する。
【0025】
例えば図4は、表示部72に表示される設定画面に含まれる流量調整画面721の一例を示している。流量調整画面721には、「カラム切替時に流量を調整する」ことを選択設定するためのチェックボックス722、第1、第2カラム保護用メソッドファイルのそれぞれに記述される移動相の単位流量を入力するための入力ボックス723、724及び段階の数を入力するための入力ボックス725、726が表示されている。
【0026】
上記の流量調整画面721において、チェックボックス722にチェックが入れられた状態にあり、且つ、入力ボックス723~726に数値が入力されていないときは、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、第1カラム保護用メソッドファイル及び第2カラム保護用メソッドファイルの両方を作成する。具体的には、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、先に実行される分析の条件が記述されている「ファイル2」から移動相の流量(目的流量)を読み出し、これと、前記所定の流量、段階の数のデフォルト値、及び一段階当たりの時間のデフォルト値から、第1カラム保護用メソッドファイルを作成する。また、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、後に実行される分析の条件が記述されている「ファイル3」から移動相の目的流量を読み出し、これと、前記所定の流量、段階の数のデフォルト値、及び一段階当たりの時間のデフォルト値から、第2カラム保護用メソッドファイルを作成する。ここで、第1カラム保護用メソッドファイルにおける前記所定の流量(本発明の第3目的流量に相当)、及び第2カラム保護用メソッドファイルにおける前記所定の流量は、先に実行される分析の目的流量(本発明の第1目的流量に相当)、及び後に実行される分析の目的流量(第2目的流量に相当)のいずれよりも低い値に設定されている。第1カラム保護用メソッドファイルの所定の流量と第2カラム保護用メソッドファイルの所定の流量は同じ値でもよく、異なる値でもよい。
【0027】
例えば「ファイル2」に移動相の目的流量が1.7mLと記述されており、段階の数のデフォルト値が4、一段階当たりの時間のデフォルト値が2分、所定の流量が0.1mLである場合は、第1カラム保護用メソッドファイルは、図5Aに示した階段状の移動相プロファイルのように、単位流量0.4mLずつ、所定の流量(0.1mL)になるまで4段階で合計8分かけて移動相の流量を低下させる旨の指示を含んだファイルとなる。
【0028】
一方、「ファイル3」に移動相の目的流量が1.0mLと記述されており、段階の数のデフォルト値が10、一段階当たりの時間のデフォルト値が1分、所定の流量が0.1mLである場合は、第2カラム保護用メソッドファイルは、図5Bに示した階段状の移動相プロファイルのように、単位流量0.1mLずつ、所定の流量(0.1mL)になるまで10段階で合計10分かけて移動相の流量を低下させる旨の指示を含んだファイルとなる。
【0029】
また、流量調整画面721において、チェックボックス722にチェックが入れられた状態にあり、且つ、入力ボックス723~726に数値が入力されているときは、ステップS26においてカラム保護用メソッドファイル作成部68は、前記入力ボックス723~726に入力された数値と、スケジュールテーブルが引用するメソッドファイルに記述されている移動相の目的流量とから、第1及び第2カラム保護用メソッドファイルを作成する。
【0030】
記憶部61は、カラム保護用メソッドファイル作成部68によって第1及び第2カラム保護用メソッドファイルが作成されると、それらを記憶すると共に、該一組のカラム保護用メソッドファイルの登録先(すなわちスケジュールテーブルのi行と(i+1)行の間)の情報を記憶する。
【0031】
次に、スケジュール読み出し部66は、変数iを1増加させ(ステップS27)、iをnと比較する(ステップS28)。i=nとなっていない場合は(ステップS28にてNo)、n行あるスケジュールテーブルの互いに隣り合う各行間の分析条件の比較が全て行われていないため、ステップS24に戻って上記各ステップを繰り返し実行する。i=nとなっていれば(ステップS28にてYes)、連続して実行される二つの分析条件の比較を終了する。
【0032】
連続して実行される分析条件の比較が終了すると、スケジュールテーブル作成部63は、以上で作成された一組又は複数組のカラム保護用メソッドファイルとその登録先の情報を記憶部61から読み出し、登録先として指定された、スケジュールテーブル上の行と行の間に該カラム保護用メソッドファイルを引用する新たな行を登録する(ステップS29)。
【0033】
続いて、分析制御部64が以上により更新されたスケジュールテーブルに従った分析を実行(ステップS30)し、該スケジュールテーブルに記載の全ての分析が実行されると一連の分析が終了する。なお、n行あるスケジュールテーブルに記載された各分析条件で使用するカラムが全て同じカラムである場合には、カラム保護用メソッドファイルが作成されず、スケジュールテーブルが更新されないため、当初のn行あるスケジュールテーブルに従った分析が実行される。
【0034】
以上の通り、本実施形態の液体クロマトグラフ100によれば、連続して実行される二つの分析で使用するカラムが異なる場合に、カラム保護用メソッドファイル作成部68が、前記第1及び第2カラム保護用メソッドファイルを作成し、スケジュールテーブル作成部63が、第1及び第2カラム保護用メソッドファイルをスケジュールテーブルの先の分析と後の分析の間に登録する。そして、該スケジュールテーブルに従った分析を行う際には、分析制御部64が、先の分析が終了すると、続いて、第1カラム保護用メソッドファイルに従って、先の分析に使用されたカラムに流す移動相の流量を前記所定の流量に向けて単位流量ずつ段階的に低下させる。これにより、先の分析に使用されたカラムから後の分析に使用するカラムに切り替えたときに、該後の分析に使用するカラムに対してその耐圧性能を超える圧力が加わることがない。このため、後の分析で使用されるカラムが受けるダメージを低減することができ、該カラムの寿命を長くすることができる。
【0035】
また、分析制御部64は、第2カラム保護用メソッドファイルに従って、後の分析に使用するカラムに流す移動相の流量を単位流量ずつ段階的に増加させ、その後、後の分析を実行する。これにより、後の分析に使用するカラムに対して移動相が緩やかに流入するため、該カラムが受けるダメージを低減することができる。
以上により、後の分析に使用されるカラムの寿命を長くすることができる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明に係る液体クロマトグラフの他の第2実施形態を図7を参照して説明する。図1と同じ構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0037】
図6に示す液体クロマトグラフ101は、図1に示した液体クロマトグラフの100構成に加え、カラムの入口に加わる圧力を検出するための圧力センサ80及び圧力センサ81を備えている。なお、本実施例ではこれらの圧力センサを送液ポンプ171 及び172 の出口に設ける例で説明するが、圧力センサは、送液ポンプ171 及び172から複数のカラム321~326の入口までの間の流路であれば、どこに設けてもよい。
【0038】
上記の第1実施形態では、カラムに流す移動相の流量を調整する際の、一段階当たりの時間が予め決定されている例を示した。これに対し、本実施形態に係る液体クロマトグラフ101は、カラム保護用メソッドファイルに従ってカラム(以下「選択カラム」という)に流す移動相の流量を段階的に低下/増加させる際に、選択カラムの入口に係る圧力を測定し、その測定値に基づいて、前記各段階の時間をその都度決定するものとなっている。
【0039】
本実施形態において圧力センサ80及び圧力センサ81が検出する圧力の情報は制御装置70に送られる。選択カラムに流す移動相の流量を低下させると、それに伴い、該選択カラムの入口に加わる圧力は下降していき、その後、該選択カラムを流れる移動相の流量が一定になると、該選択カラムの入口に加わる圧力も徐々に安定して一定値を示すようになる。同様に、選択カラムに流す移動相の流量を増加させると、それに伴い、該選択カラムの入口に加わる圧力は上昇していき、その後、該選択カラムを流れる移動相の流量が一定になると、該選択カラムの入口に加わる圧力も徐々に安定して一定値を示すようになる。
【0040】
そこで、本実施形態では、カラム保護用メソッドファイルに従った送液の実行時に、移動相の流量を一段階低下(又は増加)させた後、選択カラムの入口に加わる圧力の下降速度(又は上昇速度)が予め定めた閾値以下になった時点(又は選択カラムの入口に加わる圧力の下降(又は上昇)が止まった時点)で移動相の流量を更に一段階低下(又は増加)させる。
【0041】
このように、選択カラムの入口に加わる圧力を実際に測定し、移動相の流量を一段階低下(増加)させる毎に、前記圧力が安定するのを待ってから、移動相の流量を更に一段階低下(増加)させる構成とすることにより、選択カラムが受けるダメージを低減することができる。
【0042】
(他の実施形態)
上記の第1及び第2実施形態では、前の分析の選択カラムに流す移動相の流量を単位流量ずつ段階的に低下させる第1カラム保護用メソッドファイルの例を示した。これに対して、図Aに示す移動相プロファイルのように、前の分析の選択カラムに流す移動相の流量をスロープ状に低下させるようにしてもよい。
同様に、後の分析の選択カラムに流す移動相の流量を単位流量ずつ段階的に増加させる第2カラム保護用メソッドファイルの例を示した。これに対して、図Bに示す移動相プロファイルのように、後の分析の選択カラムに流す移動相の流量をスロープ状に増加させるようにしてもよい。
【0043】
上記の第1及び第2実施形態では、カラム切替時に流量調整を行う旨が設定されている場合は、第1及び第2カラム保護用メソッドファイルの両方を作成するように構成したが、第1カラム保護用メソッドファイルのみを作成するようにしてもよい。
【0044】
また、上記の第1実施形態では、カラム切替時に流量調整を行うか否かを、分析開始前に、ユーザが予め設定しておく例を示した。これに対して、連続して実行される二つの分析のうち、先に実行される分析において定められた目的流量が、後に実行される分析において定められた目的流量よりも大きい場合にのみ、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、第1カラム保護用メソッドファイルを作成する、或いは第1及び第2カラム保護用メソッドファイルの両方を作成することとしてもよい。さらに、連続して実行される二つの分析において、使用されるカラムの内径及び/又は長さが変更になる場合のみ、カラム保護用メソッドファイル作成部68は、第1カラム保護用メソッドファイルを作成する、或いは第1及び第2カラム保護用メソッドファイルの両方を作成することとしてもよい。
【0045】
以上、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明したが、該実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0046】
(第1項)第1態様に係る液体クロマトグラフは、
複数のカラムを切り替える機能を備え、複数回の分析について、それぞれの分析条件及び前記複数回の分析の実行順序が記述されたスケジュールテーブルに従って試料の分析を行う液体クロマトグラフであって、
前記スケジュールテーブルにおいて、連続して実行される二つの分析について、それぞれの分析条件に基づき、前記二つの分析で使用されるカラムを比較するカラム比較部と、
前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって徐々に低下させる介挿メソッドファイルを作成する介挿メソッドファイル作成部と、
前記介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入するスケジュールテーブル作成部と、
を備えていてよい。
【0047】
第1項に記載の液体クロマトグラフによれば、連続して実行される二つの分析の間で使用されるカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させるように制御を行う。これにより、前の分析に使用するカラムから後の分析に使用するカラムに切り替えたときに、該後の分析に使用するカラムに対してその耐圧性能を超える圧力が加わることがない。このため、後の分析で使用されるカラムが受けるダメージを低減することができ、該カラムの寿命を長くすることができる。
【0048】
(第2項)第1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、前記介挿メソッドファイル作成部が、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって階段状に低下させる介挿メソッドファイルを作成するように構成されていてもよい。
【0049】
第2項に記載の液体クロマトグラフによれば、前の分析に使用されるカラムの入口に加わる圧力が緩やかに低下するため、該カラムに加わるダメージを低減することができる。また、カラムに向けて流す移動相の流量を低下させると、それに伴いカラム入口に加わる圧力が低下していき、その後、カラムを流れる移動相の流量が一定になると、カラムの入口に加わる圧力も徐々に安定して一定値を示すようになる。したがって、移動相の流量を階段状に低下させることにより、前の分析で使用されるカラムの入口に加わる圧力を安定させつつ該圧力を低下させることができるため、該カラムが受けるダメージを低減することができる。
【0050】
(第3項)第1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、
前記介挿メソッドファイル作成部が、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かってスロープ状に低下させる介挿メソッドファイルを作成するように構成されていてもよい。
【0051】
第3項に記載の液体クロマトグラフによれば、前の分析に使用されるカラムの入口に加わる圧力が緩やかに低下する。この場合、移動相の流量をスロープ状に低下させる構成では、前の分析に使用されるカラムの入口に加わる圧力が安定することなく、移動相の流量が低下していくことになるが、該カラムにダメージが加わらない程度の変化率で移動相の流量を低下させることにより、該カラムが受けるダメージを低減することができる。
【0052】
(第4項)第1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、
前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前記介挿メソッドファイル作成部が、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって徐々に低下させる第1介挿メソッドファイルと、前記第3目的流量から前記第2目的流量に向かって徐々に増加させる第2介挿メソッドファイルを作成し、
前記スケジュールテーブル作成部が、前記第1介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入し、前記第2介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記後の分析の直前に挿入するように構成されていてもよい。
【0053】
第4項に記載の液体クロマトグラフによれば、後の分析に使用されるカラムに移動相が緩やかに流入するため、該カラムが受けるダメージを一層低減することができる。
【0054】
(第5項)第2態様に係る液体クロマトグラフ制御方法は、
複数のカラムを切り替える機能を備えた液体クロマトグラフを使用し、複数回の分析についてその分析条件及び実行順序を記述したスケジュールテーブルに従って試料の分析を行う液体クロマトグラフの制御方法であって、
前記スケジュールテーブルにおいて、連続して実行される二つの分析について、それぞれの分析条件に基づき、前記二つの分析で使用されるカラムを比較するステップと、
比較したカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させる介挿メソッドファイルを作成するステップと、
前記介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入するステップと、
を有しているとよい。
【0055】
第5項に記載の液体クロマトグラフ制御方法よれば、連続して実行される二つの分析の間で使用されるカラムが異なる場合に、前の分析に使用されるカラムに流す移動相の流量を、前記前の分析について定められた第1目的流量から、当該第1目的流量、及び後の分析について定められた第2目的流量のいずれよりも低い第3目的流量に向かって低下させるように制御を行う。これにより、前の分析に使用するカラムから後の分析に使用するカラムに切り替えたときに、該後の分析に使用するカラムに対してその耐圧性能を超える圧力が加わることがない。このため、後の分析で使用されるカラムが受けるダメージを低減することができ、該カラムの寿命を長くすることができる。
【0056】
(第6項)第5項に記載の液体クロマトグラフ制御方法において、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって階段状に低下させる介挿メソッドファイルを作成するものであってもよい。
【0057】
第6項に記載の液体クロマトグラフ制御方法によれば、前の分析に使用されるカラムの入口に加わる圧力が緩やかに低下するため、該カラムに加わるダメージを低減することができる。また、カラムに向けて流す移動相の流量を低下させると、それに伴いカラム入口に加わる圧力が低下していき、その後、カラムを流れる移動相の流量が一定になると、カラムの入口に加わる圧力も徐々に安定して一定値を示すようになる。したがって、移動相の流量を階段状に低下させることにより、前の分析で使用されるカラムの入口に加わる圧力を安定させつつ該圧力を低下させることができるため、該カラムが受けるダメージを低減することができる。
【0058】
(第7項)第5項に記載の液体クロマトグラフ制御方法において、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かってスロープ状に低下させる介挿メソッドファイルを作成するものであってもよい。
【0059】
第7項に記載の液体クロマトグラフ制御方法よれば、前の分析に使用されるカラムの入口に加わる圧力が緩やかに低下する。この場合、移動相の流量をスロープ状に低下させる構成では、前の分析に使用されるカラムの入口に加わる圧力が安定することなく、移動相の流量が低下していくことになるが、該カラムにダメージが加わらない程度の変化率で移動相の流量を低下させることにより、該カラムが受けるダメージを低減することができる。
【0060】
(第8項)第5項に記載の液体クロマトグラフ制御方法において、前記二つの分析で使用されるカラムが異なる場合に、前記第1目的流量から前記第3目的流量に向かって徐々に低下させる第1介挿メソッドファイルと、前記第3目的流量から前記第2目的流量に向かって徐々に増加させる第2介挿メソッドファイルを作成し、
前記第1介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記前の分析の直後に挿入し、前記第2介挿メソッドファイルを前記スケジュールテーブル中の前記後の分析の直前に挿入するものであってもよい。
【0061】
第8項に記載の液体クロマトグラフ制御方法よれば、後の分析に使用されるカラムに移動相が緩やかに流入するため、該カラムが受けるダメージを一層低減することができる。
【符号の説明】
【0062】
100、101…液体クロマトグラフ
10…送液部
111~114、121~124…溶媒容器
13、14…脱気ユニット
15、16…溶媒切替バルブ
171、172…送液ポンプ
18…グラジエントミキサ
20…オートサンプラ
30…カラムオーブン
31、33…流路切替部
321~326…カラム
40…検出部
41…検出器
50…システムコントローラ
60…制御装置
61…記憶部
62…分析条件設定部
63…スケジュールテーブル作成部
64…分析制御部
65…データ処理部
66…スケジュール読み出し部
67…カラム比較部
68…カラム保護用メソッドファイル作成部
71…操作部
72…表示部
80、81…圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8