(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび電気コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6471 20110101AFI20220809BHJP
H01R 12/71 20110101ALN20220809BHJP
【FI】
H01R13/6471
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2021548769
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2020033992
(87)【国際公開番号】W WO2021059970
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2019173175
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】星場 寛之
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-36837(JP,A)
【文献】特開2017-69133(JP,A)
【文献】特開2015-2081(JP,A)
【文献】特開2010-61847(JP,A)
【文献】特開2017-216171(JP,A)
【文献】特開2019-40823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-72
H01R 12/70-12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性部材と、
前記絶縁性部材に固定して保持される複数の信号端子と、
前記絶縁性部材に対して弾性的に保持される複数のグランド端子とを備え、
前記信号端子および前記グランド端子は、前記絶縁性部材の第1方向に配列され、
前記第1方向から見て隣り合う前記グランド端子および前記信号端子において、前記第1方向に直交する第2方向における前記信号端子の信号端子長さは、前記第2方向における前記グランド端子のグランド端子長さよりも短く、
前記信号端子は信号接触係合部を有し、前記信号接触係合部は、前記第1方向から見て、前記グランド端子長さの範囲内に位置
し、
前記グランド端子は、グランド接触係合部を有し、前記グランド接触係合部は、前記第2方向における前記絶縁性部材の外縁寄りに位置する、電気コネクタ。
【請求項2】
絶縁性部材と、
前記絶縁性部材に固定して保持される複数の信号端子と、
前記絶縁性部材に対して弾性的に保持される複数のグランド端子とを備え、
前記信号端子および前記グランド端子は、前記絶縁性部材の第1方向に配列され、
前記第1方向から見て隣り合う前記グランド端子および前記信号端子において、前記第1方向に直交する第2方向における前記信号端子の信号端子長さは、前記第2方向における前記グランド端子のグランド端子長さよりも短く、
前記信号端子は信号接触係合部を有し、前記信号接触係合部は、前記第1方向から見て、前記グランド端子長さの範囲内に位置し、
前記グランド端子は、2つのグランド接触係合部を有し、前記2つのグランド接触係合部のうち、一方は前記第2方向における前記絶縁性部材の外縁寄りに位置し、他方は前記第2方向における前記絶縁性部材の中央寄りに位置す
る、電気コネクタ。
【請求項3】
絶縁性部材と、
前記絶縁性部材に固定して保持される複数の信号端子と、
前記絶縁性部材に対して弾性的に保持される複数のグランド端子とを備え、
前記信号端子および前記グランド端子は、前記絶縁性部材の第1方向に配列され、
前記第1方向から見て隣り合う前記グランド端子および前記信号端子において、前記第1方向に直交する第2方向における前記信号端子の信号端子長さは、前記第2方向における前記グランド端子のグランド端子長さよりも短く、
前記信号端子は信号接触係合部を有し、前記信号接触係合部は、前記第1方向から見て、前記グランド端子長さの範囲内に位置し、
前記グランド端子は、前記第2方向の一側において、一方側グランド接触係合部を有し、前記第2方向の他側において、他方側グランド接触係合部を有し、前記他方側グランド接触係合部は、前記第2方向において、前記信号接触係合部を挟んで、前記一方側グランド接触係合部の反対側に位置す
る、電気コネクタ。
【請求項4】
前記信号端子と前記グランド端子とを前記第1方向に配列した端子列が、前記第2方向において複数列で配設されており、
前記第2方向において、或る列での前記信号端子と、前記或る列の隣に位置する隣の列での前記グランド端子とが、隣り合って位置する、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記信号端子は、インサート成形によって前記絶縁性部材に対して固定して保持される、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記絶縁性部材の外周部は、外部接地部材によって取り囲まれている、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記電気コネクタは、メス型である、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記グランド端子は、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の前記電気コネクタと、前記電気コネクタに対して嵌合可能に構成される相手方の電気コネクタとを備える、電気コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気コネクタおよび電気コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、複数の第1端子を有する第1コネクタと、該第1端子に係合する第2端子を有する第2コネクタとが嵌合するコネクタを開示する。第1コネクタの第1端子は、バネ性を備えるように第1ハウジングに弾性的に保持される弾性端子からなる。これに対して、第2コネクタの第2端子は、第2ハウジングに一体化されて第2ハウジングに固定的に保持される固定端子からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メガヘルツ帯やギガヘルツ帯のような高周波帯域で使用される電気コネクタでは、コネクタの内外で発生する電磁波(ノイズ)が問題になる。特許文献1のコネクタでは、第1端子に高周波帯域の信号を伝達する場合、電磁波(ノイズ)を十分に低減することが難しい。
【0005】
電磁波(ノイズ)問題の対策として、高周波信号が流れる信号端子をグランド端子で囲むことを考えると、特許文献1に開示されているように信号端子およびグランド端子が同一形状で構成される場合、信号端子を十分に囲むことは難しい。信号端子を十分に囲むためにグランド端子を大型化すれば、電気コネクタ全体のサイズが大きくなってしまう。そのため、電気コネクタのシールド性および小型化の両立が難しい。
【0006】
そこで、この発明の課題は、電気コネクタのシールド性および小型化を両立できる電気コネクタおよび電気コネクタセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る電気コネクタは、
絶縁性部材と、
前記絶縁性部材に固定して保持される複数の信号端子と、
前記絶縁性部材に対して弾性的に保持される複数のグランド端子とを備え、
前記信号端子および前記グランド端子は、前記絶縁性部材の第1方向に配列され、
前記第1方向から見て隣り合う前記グランド端子および前記信号端子において、前記第1方向に直交する第2方向における前記信号端子の信号端子長さは、前記第2方向における前記グランド端子のグランド端子長さよりも短く、
前記信号端子は信号接触係合部を有し、前記信号接触係合部は、前記第1方向から見て、前記グランド端子長さの範囲内に位置する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、グランド端子よりも端子長さが短い信号端子が、グランド端子に囲まれるとともに、信号接触係合部がグランド端子長さの範囲内に位置するので、電気コネクタのシールド性および小型化を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る電気コネクタセットの斜視図である。
【
図2】
図1に示した電気コネクタセットを構成する第1コネクタの斜視図である。
【
図5】
図1に示した電気コネクタセットを構成する第2コネクタの斜視図である。
【
図8】第1コネクタの第1固定信号端子および第1弾性グランド端子の斜視図である。
【
図9】第2コネクタの第2弾性信号端子および第2固定グランド端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る電気コネクタセット1の実施の形態を説明する。なお、各図には、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。
【0011】
〔電気コネクタセット〕
図1は、嵌合状態にある、一実施形態に係る電気コネクタセット1を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、電気コネクタセット1は、第1コネクタ10と、第1コネクタ10に対して挿抜方向(Z軸方向)に挿抜可能に嵌合する第2コネクタ20とを備える。
図1に示した電気コネクタセット1では、第2コネクタ20を第1コネクタ10に対向させた状態で第2コネクタ20を第1コネクタ10に向けて挿抜方向(Z軸方向)に移動させることによって、第1コネクタ10および第2コネクタ20が互いに嵌合する。
【0013】
〔第1コネクタ〕
図2は、
図1に示した電気コネクタセット1を構成する第1コネクタ10の斜視図である。
図3は、
図2に示した第1コネクタ10の平面図である。
図4は、
図2に示した第1コネクタ10の展開図である。
【0014】
図2から
図4に示すように、第1コネクタ10は、第1絶縁性部材(絶縁性部材)11と、第1固定信号端子(信号端子)12と、第1弾性グランド端子(グランド端子)15と、第1外部接地部材(外部接地部材)16とを有する。第1固定信号端子12は、第1絶縁性部材11に固定して保持される信号端子であり、第1弾性グランド端子15は、弾性的に変位可能なように第1絶縁性部材11に保持されるグランド端子である。なお、第1固定信号端子12と第1弾性グランド端子15とは、第1絶縁性部材11に対する保持のされ方が異なるだけで、端子の材質は同じであってもよい。
【0015】
第1絶縁性部材11としては、電気絶縁性の樹脂(例えば、液晶ポリマーなど)が用いられる。当該液晶ポリマーは、フッ素系樹脂よりも大きな誘電率を有する。第1絶縁性部材11は、挿抜方向(Z軸方向)から見て矩形形状をしており、2つの第1短手壁部31,31と、2つの第1長手壁部32,32と、1つの第1凸部33と、第1底壁部35とを有する。
【0016】
2つの第1短手壁部31,31は、それぞれ、第1方向L(X軸方向)に対して直交する第2方向S(Y軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。2つの第1長手壁部32,32は、それぞれ、第1方向L(X軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。第1凸部33は、第1底壁部35から挿抜方向(Z軸方向)に突出している。
【0017】
第1凸部33および第1底壁部35のそれぞれには、第1固定信号端子12の一部を配設するための第1端子固定部36が形成されている。成形後に第1端子固定部36となる金型の部位に第1固定信号端子12を配設した状態で、第1絶縁性部材11が第1固定信号端子12と一緒にインサート成形される。これにより、第1固定信号端子12が、第1絶縁性部材11の第1端子固定部36に対して固定して保持される。したがって、第1固定信号端子12は、第1絶縁性部材11に固定された信号端子である。当該構成によれば、測定のためにプローブを第1固定信号端子12に押し当てても、第1固定信号端子12は、変形に抗することができる。そのため、被測定端子としての第1固定信号端子12が測定時に変形することに起因して、測定値が変動することを抑制できる。
【0018】
第1長手壁部32と第1凸部33と第1底壁部35とのそれぞれには、第1弾性グランド端子15の対応部分を装着するための第1端子装着部37が形成されている。各第1端子装着部37に第1弾性グランド端子15を装着することによって、第1弾性グランド端子15が弾性的に保持される。したがって、第1弾性グランド端子15は、第1絶縁性部材11に弾性的に保持されたグランド端子である。
【0019】
第1固定信号端子12は、第1コネクタ10の第2方向S(Y軸方向)に延びるように配設されている。
図2および
図3に示した第1コネクタ10では、第1方向L(X軸方向)において4個の第1固定信号端子12が配置されている。また、第2方向S(Y軸方向)において、4個の第1固定信号端子12を含む列が、2列に配置されている。したがって、第1コネクタ10は、多極コネクタである。なお、第1固定信号端子12の第2方向S(Y軸方向)での配列は、2列に限られず、1列にあるいは3列以上にすることができる。また、第1固定信号端子12の1列当たりの配置数は、4個に限られず、1個以上にすることができる。ただし、第2方向S(Y軸方向)の配列数は、1列あたりの端子数よりも少ない。
【0020】
第1コネクタ10では、第1固定信号端子12と第1弾性グランド端子15とを第1方向L(X軸方向)に交互に配列した端子列が、第2方向S(Y軸方向)において複数列で配設されている。
図2および
図3に示した第1コネクタ10では、第1固定信号端子12は、第2方向S(Y軸方向)において、一列目および二列目の2列で配列されている。第2方向S(Y軸方向)において、一列目(或る列)での第1固定信号端子12と、一列目(或る列)の第2方向S(Y軸方向)の隣に位置する二列目(隣の列)での第1弾性グランド端子15とは、隣り合って位置している。換言すれば、第2方向S(Y軸方向)において、一列目(或る列)での第1固定信号端子12と、一列目(或る列)の第2方向S(Y軸方向)の隣に位置する二列目(隣の列)での第1固定信号端子12とは、隣り合って位置していない。当該構成によれば、一列目(或る列)での第1固定信号端子12と、二列目(隣の列)での第1固定信号端子12との間でのクロストークを抑制できる。
【0021】
第1固定信号端子12の列間における第2方向S(Y軸方向)での電磁波の干渉を抑制するため、第1固定信号端子12の列間に、すなわち、第1凸部33に、導電性のシールド部材(図示せず)を設けてもよい。
【0022】
第1固定信号端子12は、
図8に示すように、例えば、略L字状に凹んで屈曲しており、第1固定本体部12aと、第1信号実装部12bと、第1内側信号接触部(信号接触係合部)12cとを有する。第1固定本体部12aは、挿抜方向(Z軸方向)に延びる接触延在部12a1と、第2方向S(Y軸方向)に延びる実装延在部12a2とを有する。接触延在部12a1は、相手方の信号端子(後述する第2弾性信号端子22)に係合するための第1信号係合部として働く。実装延在部12a2の下面には、第1信号実装部12bが設けられている。
【0023】
第1内側信号接触部(信号接触係合部)12cは、接触延在部12a1において第1絶縁性部材11の外縁に対向するとともに第1絶縁性部材11の中央寄りに位置する。ここで、中央寄りというのは、第1絶縁性部材11の第2方向S(Y軸方向)における中央側のことであり、第1凸部33を備える場合には第1凸部33の側のことを意味している。
【0024】
第1固定信号端子12と第2弾性信号端子22とが係合するとき、第1内側信号接触部12cと後述する第2内側信号接触部22cとが当接する。これにより、第1固定信号端子12では、信号接触係合部としての第1内側信号接触部12cが、一ヶ所で形成される。
【0025】
したがって、第1固定信号端子12は、1つの第1内側信号接触部12cを有する固定端子である。第1固定信号端子12は、第1方向Lから見て、一端から他端までの第2方向Sにおける全長として、第1信号端子長さ(信号端子長さ)A2を有する。
【0026】
各第1固定信号端子12は、第1方向(X軸方向)において離間して配列されている。第1固定信号端子12は、信号線路に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第1固定信号端子12は、例えばリン青銅である。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1固定信号端子12の表面には、例えば、金メッキなどを行ってもよい。第1固定信号端子12を流れる信号は、例えば、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波信号である。
【0027】
隣に位置する2つの第1固定信号端子12,12の間における電磁波の干渉を抑制するため、第1弾性グランド端子15が設けられている。第1弾性グランド端子15は、第1コネクタ10の第2方向S(Y軸方向)に延びるように配設されている。
図2および
図3に示した第1コネクタ10では、例えば、第1方向L(X軸方向)において4個の第1弾性グランド端子15が、第2方向S(Y軸方向)において、複数列で、すなわち2列で配置されている。そして、第1弾性グランド端子15および第1固定信号端子12は、第1方向Lに交互に配列されている。なお、第1弾性グランド端子15の配列は、2列に限られず、1列にあるいは3列以上にすることができる。また、第1弾性グランド端子15の1列当たりの配置数は、4個に限られず、1個以上にすることができる。
【0028】
第1弾性グランド端子15は、
図8に示すように、例えば、多段に屈曲しており、第1弾性本体部15aと、第1グランド実装部15bと、第1内側グランド接触部15cと、第1外側グランド接触部15dとを有する。第1弾性本体部15aは、U字状に凹んで屈曲しているアーム部15a1と、第2方向S(Y軸方向)に延びる実装延在部15a2と、屈曲しながらアーム部15a1および実装延在部15a2を接続する屈曲接続部15a3とを有する。アーム部15a1は、相手方のグランド端子(第2固定グランド端子25)に係合するための第1グランド係合部として働く。アーム部15a1は、屈曲接続部15a3に対して片持ちで支持されてバネ性を有するように構成されている。実装延在部15a2の下面には、第1グランド実装部15bが設けられている。
【0029】
第1内側グランド接触部(他方側グランド接触係合部)15cは、第2方向S(Y軸方向)において、第1内側信号接触部12cを挟んで、第1外側グランド接触部15dの反対側に位置する。言い換えると、第1内側グランド接触部(他方側グランド接触係合部)15cは、アーム部15a1において第1絶縁性部材11の外縁に対向するとともに第1絶縁性部材11の中央寄りに位置する。ここで、中央寄りというのは、第1絶縁性部材11の第2方向S(Y軸方向)における中央側のことであり、第1凸部33を備える場合には第1凸部33の側のことを意味している。
【0030】
第1外側グランド接触部(一方側グランド接触係合部)15dは、第2方向Sの一方側に位置するとともに、第1内側信号接触部12cよりもさらに第2方向Sの一方側に位置する。言い換えると、第1外側グランド接触部(一方側グランド接触係合部)15dは、アーム部15a1において第1絶縁性部材11の中央に対向するとともに第1絶縁性部材11の外縁寄りに位置する。ここで、外縁寄りというのは、第1絶縁性部材11の第2方向S(Y軸方向)における外縁側のことであり、第1長手壁部32を備える場合には第1長手壁部32の側のことを意味している。上記構成によれば、第1内側信号接触部12cからの電磁波(ノイズ)の不要輻射を抑制でき、また、外部からの電磁波(ノイズ)が第1内側信号接触部12cに重畳することを抑制できる。
【0031】
第1弾性グランド端子15と後述する第2固定グランド端子25とが係合するとき、第1内側グランド接触部15cと後述する第2内側グランド接触部25cとが当接するとともに、第1外側グランド接触部15dと後述する第2外側グランド接触部25dとが当接する。これにより、第1弾性グランド端子15では、グランド接触部としての第1内側グランド接触部15cおよび第1外側グランド接触部15dが形成される。
【0032】
したがって、第1弾性グランド端子15は、第1内側グランド接触部15cおよび第1外側グランド接触部15dを有する弾性端子である。第1弾性グランド端子15は、第1方向Lから見て、一端から他端までの第2方向Sにおける全長として、第1グランド端子長さ(グランド端子長さ)A1を有する。
【0033】
各第1弾性グランド端子15は、第1方向L(X軸方向)において離間して配列されている。第1弾性グランド端子15は、接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第1弾性グランド端子15は、例えばリン青銅である。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1弾性グランド端子15の表面には、例えば、金メッキなどを行ってもよい。
【0034】
挿抜方向(Z軸方向)からの平面視で、第1固定信号端子12は、隣に位置する2つの第1弾性グランド端子15,15によって挟まれている。当該構成によれば、外部からの電磁波や第1固定信号端子12からの不要輻射を抑制できる。
【0035】
第1外部接地部材16は、矩形形状をしており、外周部(2つの第1短手壁部31,31および2つの第1長手壁部32,32)の各上部に配置される。そして、第1絶縁性部材11の外周部(2つの第1短手壁部31,31および2つの第1長手壁部32,32)は、第1外部接地部材16によって囲まれている。第1外部接地部材16は、接地電位に接続されることで、第1外部接地部材16で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間にして、外部からの電磁波や第1固定信号端子12からの不要輻射をシールドできる。
【0036】
第1外部接地部材16は、その内周部分においてガイド部17を有する。第1外部接地部材16は、後述する第2コネクタ20の第2外部接地部材26との嵌合時における誘い込み(ガイド)機能と、接地電位に電気的に接続されるグランド端子としての機能とを有する。
【0037】
第1外部接地部材16は、接地電位に接続される導体である。第1外部接地部材16としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有するとともに、弾性変形可能な材料である。第1外部接地部材16は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0038】
〔第2コネクタ〕
図5は、
図1に示した電気コネクタセット1を構成する第2コネクタ20の斜視図である。
図6は、
図5に示した第2コネクタ20の平面図である。
図7は、
図5に示した第2コネクタ20の展開図である。
【0039】
第2コネクタ20は、第2絶縁性部材(絶縁性部材)21と、第2弾性信号端子(信号端子)22と、第2固定グランド端子(グランド端子)25と、第2外部接地部材(外部接地部材)26とを有する。第2固定グランド端子25および第2弾性信号端子22は、第1方向Lに交互に配列されている。
【0040】
第2絶縁性部材21としては、電気絶縁性の樹脂(例えば、液晶ポリマーなど)が用いられる。当該液晶ポリマーは、フッ素系樹脂よりも大きな誘電率を有する。第2絶縁性部材21は、挿抜方向(Z軸方向)から見て矩形形状をしており、2つの第2短手壁部41,41と、2つの第2長手壁部42,42と、1つの第2凹部43と、第2底壁部45とを有する。
【0041】
2つの第2短手壁部41,41は、それぞれ、第2方向S(Y軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。2つの第2長手壁部42,42は、それぞれ、第1方向L(X軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。第2凹部43は、第2底壁部45と、第2長手壁部42,42と、第2短手壁部41,41とによって囲まれた空間である。前述した第1凸部33が、第2凹部43に収容されるとともに係合する。
【0042】
第2長手壁部42と第2底壁部45とのそれぞれには、第2弾性信号端子22の対応部分を装着するための第2端子装着部46が形成されている。各第2端子装着部46に第2弾性信号端子22を装着することによって、第2弾性信号端子22が弾性的に保持される。したがって、第2弾性信号端子22は、第2絶縁性部材21に弾性的に保持された信号端子である。
【0043】
第2長手壁部42および第2底壁部45のそれぞれには、第2固定グランド端子25の一部を配設するための第2端子固定部47が形成されている。成形後に第2端子固定部47となる金型の部位に第2固定グランド端子25を配設した状態で、第2絶縁性部材21が第2固定グランド端子25と一緒にインサート成形される。これにより、第2固定グランド端子25が、第2絶縁性部材21の第2端子固定部47に対して固定して保持される。したがって、第2固定グランド端子25は、第2絶縁性部材21に固定されたグランド端子である。当該構成によれば、測定のためにプローブを第2固定グランド端子25に押し当てても、第2固定グランド端子25は、変形に抗することができる。そのため、被測定端子としての第2固定グランド端子25が測定時に変形することに起因して、測定値が変動することを抑制できる。
【0044】
第2弾性信号端子22は、第2コネクタ20の第2方向S(Y軸方向)に延びるように配設されている。
図5および
図6に示した第2コネクタ20では、例えば、第1方向L(X軸方向)において4個の第2弾性信号端子22が、第2方向S(Y軸方向)において、複数列で、すなわち2列で配置されている。したがって、第2弾性信号端子22は、多極の信号端子である。なお、第2弾性信号端子22の第2方向S(Y軸方向)での配列は、2列に限られず、1列にあるいは3列以上にすることができる。また、第2弾性信号端子22の1列当たりの配置数は、4個に限られず、1個以上にすることができる。
【0045】
第2コネクタ20では、第2弾性信号端子22と第2固定グランド端子25とを第1方向L(X軸方向)に交互に配列した端子列が、第2方向S(Y軸方向)において複数列で配設されている。
図4および
図5に示した第2コネクタ20では、第2弾性信号端子22は、第2方向S(Y軸方向)において、一列目および二列目の2列で配列されている。第2方向S(Y軸方向)において、一列目(或る列)での第1固定信号端子12と、一列目(或る列)の第2方向S(Y軸方向)の隣に位置する二列目(隣の列)での第1弾性グランド端子15とは、隣り合って位置している。換言すれば、第2方向S(Y軸方向)において、一列目(或る列)での第2弾性信号端子22と、一列目(或る列)の第2方向S(Y軸方向)の隣に位置する二列目(隣の列)での第2弾性信号端子22とは、隣り合って位置していない。当該構成によれば、一列目(或る列)での第2弾性信号端子22と、二列目(隣の列)での第2弾性信号端子22との間でのクロストークを抑制できる。
【0046】
第2弾性信号端子22は、
図9に示すように、例えば、略J字状に突出するように屈曲しており、第2弾性本体部22aと、第2信号実装部22bと、第2内側信号接触部(信号接触係合部)22cとを有する。第2弾性本体部22aは、J字状に突出するように屈曲した屈曲先端部22a1と、第2方向S(Y軸方向)に延びる実装延在部22a2とを有する。屈曲先端部22a1は、実装延在部22a2に対して片持ちで支持されてバネ性を有するように構成されている。屈曲先端部22a1は、相手方の信号端子(第1固定信号端子12)に係合するための第2信号係合部として働く。実装延在部22a2の上面には、第2信号実装部22bが設けられている。
【0047】
第2内側信号接触部(信号接触係合部)22cは、屈曲先端部22a1において第2絶縁性部材21の中央に対向するとともに第2絶縁性部材21の中央寄りに位置する。ここで、中央寄りというのは、第2絶縁性部材21の第2方向S(Y軸方向)における中央側のことであり、第2凹部43を備える場合には第2凹部43の側のことを意味している。第1固定信号端子12と第2弾性信号端子22とが係合するとき、第1内側信号接触部12cと第2内側信号接触部22cとが当接する。これにより、第2弾性信号端子22では、信号接触係合部としての第2内側信号接触部22cが、一ヶ所で形成される。
【0048】
したがって、第2弾性信号端子22は、1つの第2内側信号接触部22cを有する弾性端子である。第2弾性信号端子22は、第1方向Lから見て、一端から他端までの第2方向Sにおける全長として、第2信号端子長さ(信号端子長さ)B2を有する。
【0049】
各第2弾性信号端子22は、第1方向L(X軸方向)において離間して配列されている。第2弾性信号端子22は、信号電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2弾性信号端子22は、例えばリン青銅である。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2弾性信号端子22の表面には、例えば、金メッキなどを行ってもよい。第2弾性信号端子22を流れる信号は、例えば、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波信号である。
【0050】
第2固定グランド端子25は、
図9に示すように、例えば、複数段に屈曲してU字状に突出しており、第2固定本体部25aと、第2グランド実装部25bと、第2内側グランド接触部25cと、第2外側グランド接触部25dとを有する。第2固定本体部25aは、U字状に突出する屈曲接触部25a1と、第2方向S(Y軸方向)に延びる実装延在部25a2とを有する。屈曲接触部25a1は、相手方のグランド端子(第1弾性グランド端子15)に係合するための第2グランド係合部として働く。実装延在部25a2の上面には、第2グランド実装部25bが設けられている。
【0051】
第2内側グランド接触部(他方側グランド接触係合部)25cは、第2方向S(Y軸方向)において、第2内側信号接触部22cを挟んで、第2外側グランド接触部25dの反対側に位置する。言い換えると、第2内側グランド接触部(他方側グランド接触係合部)25cは、屈曲接触部25a1において第2絶縁性部材21の中央に対向するとともに第2絶縁性部材21の中央寄りに位置する。ここで、中央寄りというのは、第2絶縁性部材21の第2方向S(Y軸方向)における中央側のことであり、第2凹部43を備える場合には第2凹部43の側のことを意味している。
【0052】
第2外側グランド接触部(一方側グランド接触係合部)25dは、第2方向Sの一方側に位置するとともに、第2内側信号接触部22cよりもさらに第2方向Sの一方側に位置する。言い換えると、第2外側グランド接触部(一方側グランド接触係合部)25dは、屈曲接触部25a1において第2絶縁性部材21の外縁に対向するとともに第2絶縁性部材21の外縁寄りに位置する。ここで、外縁寄りというのは、第2絶縁性部材21の第2方向S(Y軸方向)における外縁側のことであり、第2凹部43を備える場合には第2凹部43の第2方向S(Y軸方向)における反対側のことを意味している。
【0053】
第1弾性グランド端子15と第2固定グランド端子25とが係合するとき、第1内側グランド接触部15cと第2内側グランド接触部25cとが当接するとともに、第1外側グランド接触部15dと第2外側グランド接触部25dとが当接する。これにより、第2固定グランド端子25では、グランド接触部としての第2内側グランド接触部25cおよび第2外側グランド接触部25dが形成される。
【0054】
したがって、第2固定グランド端子25は、第2内側グランド接触部25cおよび第2外側グランド接触部25dを有する固定端子である。第2固定グランド端子25は、第1方向Lから見て、一端から他端までの第2方向Sにおける全長として、第2グランド端子長さ(グランド端子長さ)B1を有する。
【0055】
各第2固定グランド端子25は、第1方向L(X軸方向)において離間して配列されている。第2固定グランド端子25は、接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2固定グランド端子25は、例えばリン青銅である。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2固定グランド端子25の表面には、例えば、金メッキなどを行ってもよい。
【0056】
挿抜方向(Z軸方向)からの平面視で、第2弾性信号端子22は、隣に位置する2つの第2固定グランド端子25,25によって挟まれている。当該構成によれば、外部からの電磁波や第2弾性信号端子22からの不要輻射を抑制できる。
【0057】
第2外部接地部材26,26は、対応する第2短手壁部41,41にそれぞれ配置されている。すなわち、各第2外部接地部材26は、第1方向L(X軸方向)において対向して離間して配置されている。第2外部接地部材26は、前述した第1外部接地部材16に対して嵌合する嵌合機能と、接地電位に電気的に接続されるグランド端子としての機能とを有する。
【0058】
第2外部接地部材26は、接地電位に接続される導体である。第2外部接地部材26としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有するとともに、弾性変形可能な材料である。第2外部接地部材26は、例えば、曲げ加工で形成される。第2外部接地部材26は、接地電位に接続されることで、第2外部接地部材26で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間にして、外部からの電磁波や第2弾性信号端子22からの不要輻射をシールドできる。
【0059】
〔電気コネクタセットにおける係合構造、嵌合構造〕
図10を参照しながら、電気コネクタセット1における係合構造および嵌合構造を説明する。
図10は、
図1のX-X線に沿った断面図である。
【0060】
電気コネクタセット1では、第1コネクタ(電気コネクタ)10に対して第2コネクタ(相手方の電気コネクタ)20を対向させた状態で、第2コネクタ20を挿抜方向(Z軸方向)に押し込むことによって、第2コネクタ20が第1コネクタ10に嵌合する。
【0061】
このとき、第1コネクタ10の第1外部接地部材16が、第2コネクタ20の第2外部接地部材26に嵌合する。嵌合状態では、第2弾性信号端子22の第2弾性本体部22aが、第1固定信号端子12の第1固定本体部12aに係合する。このとき、
図10に示すように、第2弾性信号端子22の第2内側信号接触部(信号接触係合部)22cが第1固定信号端子12の第1内側信号接触部(信号接触係合部)12cに接触している。これにより、第1固定信号端子12と第2弾性信号端子22とが電気的に接続される。
【0062】
そして、上記嵌合状態では、第2固定グランド端子25の第2固定本体部25aが、第1弾性グランド端子15の第1弾性本体部15aに係合する。このとき、第1弾性グランド端子15の第1内側グランド接触部15cが、第2固定グランド端子25の第2内側グランド接触部25cに接触するとともに、第1弾性グランド端子15の第1外側グランド接触部15dが、第2固定グランド端子25の第2外側グランド接触部25dに接触する。これにより、第1弾性グランド端子15と第2固定グランド端子25とが電気的に接続される。
【0063】
第1コネクタ10では、第1固定信号端子12および第1弾性グランド端子15が、第1方向L(X軸方向)に交互に配置されている。それとともに、第2コネクタ20では、第2弾性信号端子22および第2固定グランド端子25が、第1方向L(X軸方向)に交互に配置されている。これらの端子12,15,22,25の各端子長さA1,A2,B2,B1の関係を示すために、
図10において、
図1のX-X線の第1方向Lの前後に位置して図示されない端子12,15,22,25の各端子長さA1,A2,B2,B1を、破線で仮想的に示している。
【0064】
第1コネクタ10において、第1方向L(X軸方向)から見て、第2方向Sにおける第1弾性グランド端子15の第1グランド端子長さA1は、第2方向Sにおける第1固定信号端子12の第1信号端子長さA2よりも長いように構成されている。換言すれば、第1コネクタ10において、第1方向L(X軸方向)から見て、第2方向Sにおける第1固定信号端子12の第1信号端子長さA2は、第2方向Sにおける第1弾性グランド端子15の第1グランド端子長さA1よりも短いように構成されている。第2コネクタ20において、第1方向L(X軸方向)から見て、第2方向Sにおける第2固定グランド端子25の第2グランド端子長さB1は、第2方向Sにおける第2弾性信号端子22の第2信号端子長さB2よりも長いように構成されている。換言すれば、第2コネクタ20において、第1方向L(X軸方向)から見て、第2方向Sにおける第2弾性信号端子22の第2信号端子長さB2は、第2方向Sにおける第2固定グランド端子25の第2グランド端子長さB1よりも短いように構成されている。
【0065】
第1コネクタ10において、第1固定信号端子12の第1内側信号接触部12cは、第1方向L(X軸方向)に沿って側面視すると、第1弾性グランド端子15の第1グランド端子長さA1の範囲内に位置している。換言すれば、第1固定信号端子12の第1内側信号接触部12cを或る平面(XY平面)に投影すると、第1内側信号接触部12cは、第1弾性グランド端子15のY軸方向における一端と他端との間に位置している。第2コネクタ20において、第2弾性信号端子22の第2内側信号接触部22cは、第1方向L(X軸方向)に沿って側面視すると、第2固定グランド端子25の第2グランド端子長さB1の範囲内に位置している。換言すれば、第2弾性信号端子22の第2内側信号接触部22cを或る平面(XY平面)に投影すると、第2内側信号接触部22cは、第2固定グランド端子25のY軸方向における一端と他端との間に位置している。また、固定端子(第1固定信号端子12、第2固定グランド端子25など)は、弾性端子(第1弾性グランド端子15、第2弾性信号端子22など)よりも変形しにくいので第2方向Sにおける位置変動も少なく、嵌合前後における端子の位置変動によるシールド性の低下を抑制できる。
【0066】
第1コネクタ10において、第1弾性グランド端子15の第1外側グランド接触部15dは、第1固定信号端子12の第1内側信号接触部12cに対して第2方向S(Y軸方向)の外側に位置している。当該構成によれば、第2方向S(Y軸方向)から見て、第1内側信号接触部12cが、隣に位置する2つの第1外側グランド接触部15d,15dによって囲まれているので、第2方向S(Y軸方向)における、外部からの電磁波や第1固定信号端子12からの不要輻射を抑制できる。
【0067】
第2コネクタ20において、第2固定グランド端子25の第2外側グランド接触部25dは、第2弾性信号端子22の第2内側信号接触部22cに対して第2方向S(Y軸方向)の外側に位置している。当該構成によれば、第2方向S(Y軸方向)から見て、第2内側信号接触部22cが、隣に位置する2つの第2外側グランド接触部25d,25dによって囲まれているので、第2方向S(Y軸方向)における、外部からの電磁波や第2弾性信号端子22からの不要輻射を抑制できる。
【0068】
第1コネクタ10において、第1弾性グランド端子15の第1内側グランド接触部15cは、第1固定信号端子12の第1内側信号接触部12cに対して第2方向S(Y軸方向)の内側に位置している。当該構成によれば、第1方向L(X軸方向)から見て、第1内側信号接触部12cが第1内側グランド接触部15cと第1外側グランド接触部15dとによって囲まれているので、第1方向L(X軸方向)における、外部からの電磁波や第1固定信号端子12からの不要輻射を抑制できる。
【0069】
第2コネクタ20において、第2固定グランド端子25の第2内側グランド接触部25cは、第2弾性信号端子22の第2内側信号接触部22cに対して第2方向S(Y軸方向)の内側に位置している。当該構成によれば、第1方向L(X軸方向)から見て、第2内側信号接触部22cが第2内側グランド接触部25cと第2外側グランド接触部25dとによって囲まれているので、第1方向L(X軸方向)における、外部からの電磁波や第2弾性信号端子22からの不要輻射を抑制できる。
【0070】
したがって、上記構成の電気コネクタ10によれば、グランド端子15よりも端子長さA2が短い信号端子12が、グランド端子15に囲まれるとともに、信号接触部12cがグランド端子長さA1の範囲内に位置するので、電気コネクタ10のシールド性および小型化を両立できる。
【0071】
図1に示すように、嵌合時において第2コネクタ20が第1コネクタ10に収容されているので、第1コネクタ10がメス型であり、第2コネクタ20がオス型である。第1弾性グランド端子15が所望のバネ性を有するためには、所定のバネ長が必要になるので、第1弾性グランド端子15が第2方向S(Y軸方向)に長くなる。したがって、上述したように、第1弾性グランド端子15をメス型の第1コネクタ10に配設することにより、電気コネクタセット1が第2方向S(Y軸方向)に長くなることを抑制できる。なお、第1固定信号端子12および第1弾性グランド端子15をオス型の第2コネクタ20に配設し、第2弾性信号端子22および第2固定グランド端子25をメス型の第1コネクタ10に配設する構成にすることもできる。
【0072】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0073】
上記実施の形態では、信号端子12およびグランド端子15が、絶縁性部材11の第1方向Lに交互に配列されているが、交互に配列されない場合もある。例えば、信号端子12およびグランド端子15が、絶縁性部材11の第1方向Lにおいて、信号端子12、グランド端子15、グランド端子15、信号端子12の順で配列されることができる。また、信号端子12を流れる信号がデジタル信号である場合、絶縁性部材11の第1方向Lにおいて、信号端子12、信号端子12の順で配列されることができる。
【0074】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0075】
この発明の一態様に係る電気コネクタ10は、
絶縁性部材11と、
前記絶縁性部材11に固定して保持される複数の信号端子12と、
前記絶縁性部材11に対して弾性的に保持される複数のグランド端子15とを備え、
前記信号端子12および前記グランド端子15は、前記絶縁性部材11の第1方向Lに配列され、
前記第1方向Lから見て隣り合う前記グランド端子15および前記信号端子12において、前記第1方向Lに直交する第2方向Sにおける前記信号端子12の信号端子長さA2は、前記第2方向Sにおける前記グランド端子15のグランド端子長さA1よりも短く、
前記信号端子12は信号接触係合部12cを有し、前記信号接触係合部12cは、前記第1方向Lから見て、前記グランド端子長さA1の範囲内に位置することを特徴とする。
【0076】
上記構成によれば、グランド端子15よりも端子長さA2が短い信号端子12が、グランド端子15に囲まれるとともに、信号接触係合部12cがグランド端子長さA1の範囲内に位置するので、電気コネクタ10のシールド性および小型化を両立できる。
【0077】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記グランド端子15は、グランド接触係合部15dを有し、前記グランド接触係合部15dは、前記第2方向Sにおける前記絶縁性部材11の外縁寄りに位置する。
【0078】
上記実施形態によれば、外部からの電磁波(ノイズ)や外部への信号端子12からの不要輻射を抑制できる。
【0079】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記グランド端子15は、グランド接触係合部15cを有し、前記グランド接触係合部15cは、前記第2方向Sにおける前記絶縁性部材11の中央寄りに位置する。
【0080】
上記実施形態によれば、絶縁性部材11の内部側での電磁波(ノイズ)の干渉を抑制できる。
【0081】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記グランド端子15は、2つのグランド接触係合部15c,15dを有し、前記2つのグランド接触係合部15c,15dのうち、一方は前記第2方向Sにおける前記絶縁性部材11の外縁寄りに位置し、他方は前記第2方向Sにおける前記絶縁性部材11の中央寄りに位置する。
【0082】
上記実施形態によれば、外部からの電磁波(ノイズ)や外部への信号端子12からの不要輻射を抑制できるとともに、絶縁性部材11の内部側での電磁波(ノイズ)の干渉を抑制できる。
【0083】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記グランド端子15は、前記第2方向Sの一側において、一方側グランド接触係合部15dを有し、前記第2方向Sの他側において、他方側グランド接触係合部15cを有し、前記他方側グランド接触係合部15cは、前記第2方向Sにおいて、前記信号接触係合部12cを挟んで、前記一方側グランド接触係合部15dの反対側に位置する。
【0084】
上記実施形態によれば、第1方向L(X軸方向)から見て、信号接触係合部12cが内側グランド接触部15cと外側グランド接触部15dとによって囲まれているので、第1方向L(X軸方向)における、外部からの電磁波や信号端子12からの不要輻射を抑制できる。
【0085】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記信号端子12と前記グランド端子15とを前記第1方向Lに交互に配列した端子列が、前記第2方向Sにおいて複数列で配設されており、
前記第2方向Sにおいて、或る列での前記信号端子12と、前記或る列の隣に位置する隣の列での前記グランド端子15とが、隣り合って位置する。
【0086】
上記実施形態によれば、一列目(或る列)での信号端子12と、二列目(隣の列)での信号端子12との間でのクロストークを抑制できる。
【0087】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記信号端子12は、インサート成形によって前記絶縁性部材11に対して固定して保持される。
【0088】
上記実施形態によれば、測定のためにプローブを信号端子12に押し当てても、信号端子12は、変形に抗することができる。
【0089】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記絶縁性部材11の外周部は、外部接地部材16によって取り囲まれている。
【0090】
上記実施形態によれば、外部接地部材16で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間にして、外部からの電磁波や信号端子12からの不要輻射をシールドできる。
【0091】
また、一実施形態の電気コネクタ10では、
前記電気コネクタは、メス型である。
【0092】
上記実施形態によれば、グランド端子15をメス型の電気コネクタ10に配設することにより、第2方向S(Y軸方向)に長くなることを抑制できる。
【0093】
この発明の一態様に係る電気コネクタセット1は、
上述した電気コネクタ10と、前記電気コネクタ10に対して嵌合可能に構成される相手方の電気コネクタ20とを備えることを特徴とする。
【0094】
上記構成によれば、電気コネクタ10のシールド性および小型化を両立できる電気コネクタセット1を提供できる。
【符号の説明】
【0095】
1…電気コネクタセット
10…第1コネクタ(電気コネクタ)
11…第1絶縁性部材(絶縁性部材)
12…第1固定信号端子(信号端子)
12a…第1固定本体部
12a1…接触延在部
12a2…実装延在部
12b…第1信号実装部
12c…第1内側信号接触部(信号接触係合部)
15…第1弾性グランド端子(グランド端子)
15a…第1弾性本体部
15a1…アーム部
15a2…実装延在部
15a3…屈曲接続部
15b…第1グランド実装部
15c…第1内側グランド接触部(他方側グランド接触係合部)
15d…第1外側グランド接触部(一方側グランド接触係合部)
16…第1外部接地部材(外部接地部材)
17…ガイド部
20…第2コネクタ(相手方の電気コネクタ)
21…第2絶縁性部材(絶縁性部材)
22…第2弾性信号端子(信号端子)
22a…第2弾性本体部
22a1…屈曲先端部
22a2…実装延在部
22b…第2信号実装部
22c…第2内側信号接触部(信号接触係合部)
25…第2固定グランド端子(グランド端子)
25a…第2固定本体部
25a1…屈曲接触部
25a2…実装延在部
25b…第2グランド実装部
25c…第2内側グランド接触部(他方側グランド接触係合部)
25d…第2外側グランド接触部(一方側グランド接触係合部)
26…第2外部接地部材(外部接地部材)
31…第1短手壁部
32…第1長手壁部
33…第1凸部
35…第1底壁部
36…第1端子固定部
37…第1端子装着部
41…第2短手壁部
42…第2長手壁部
43…第2凹部
45…第2底壁部
46…第2端子装着部
47…第2端子固定部
A1…第1グランド端子長さ(グランド端子長さ)
A2…第1信号端子長さ(信号端子長さ)
B1…第2グランド端子長さ(グランド端子長さ)
B2…第2信号端子長さ(信号端子長さ)
L…第1方向
S…第2方向