(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】エレベーターの閉込め救出の支援システム、携帯端末、およびエレベーターの閉込め救出の支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20220809BHJP
B66B 3/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B66B5/00 A
B66B3/02 P
B66B5/00 G
(21)【出願番号】P 2022522059
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2020026161
(87)【国際公開番号】W WO2022003941
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-04-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡坂 翔
(72)【発明者】
【氏名】安部 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 武
(72)【発明者】
【氏名】掛野 真弘
(72)【発明者】
【氏名】阪田 恒次
(72)【発明者】
【氏名】宮城 惇矢
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特許第6702518(JP,B1)
【文献】特表2018-537372(JP,A)
【文献】特開2002-205882(JP,A)
【文献】特開2008-150139(JP,A)
【文献】特開2013-180880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごに乗車する乗客に所持され、前記かごの内側における第1気圧を計測する第1気圧計測部を有し、前記かごにおいて閉込めが発生しているときに前記第1気圧の情報を送信する携帯端末と、
前記携帯端末が送信した前記第1気圧の情報を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記第1気圧の情報に基づいて前記かごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、
前記かごにおいて閉込め救出を行う保守員に前記位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、
前記かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、
を備え
、
前記優先度算出部は、前記位置算出部が算出した前記かごの鉛直方向の位置に基づいて優先度を算出し、
前記提示部は、前記優先度算出部が算出した優先度を前記保守員に提示する
エレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項2】
前記優先度算出部は、前記かごにおいて発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出する
請求項1に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項3】
エレベーターのかごに乗車する乗客に所持され、前記かごの内側における第1気圧を計測する第1気圧計測部を有し、前記かごにおいて閉込めが発生しているときに前記第1気圧の情報を送信する携帯端末と、
前記携帯端末が送信した前記第1気圧の情報を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記第1気圧の情報に基づいて前記かごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、
前記かごにおいて閉込め救出を行う保守員に前記位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、
前記かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、
を備え
、
前記優先度算出部は、前記かごにおいて発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出し、
前記提示部は、前記優先度算出部が算出した優先度を前記保守員に提示する
エレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記第1気圧の情報を要求する信号を受信するときに前記第1気圧の情報を送信する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、前記乗客の操作に基づいて前記第1気圧の情報を送信する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項6】
エレベーターのかごに乗車する乗客が所持する携帯端末の第1気圧計測部に計測される前記かごの内側における第1気圧の情報を、前記かごにおいて閉込めが発生しているときに前記携帯端末から受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記第1気圧の情報に基づいて前記かごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、
前記かごにおいて閉込め救出を行う保守員に前記位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、
前記かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、
を備え
、
前記優先度算出部は、前記位置算出部が算出した前記かごの鉛直方向の位置に基づいて優先度を算出し、
前記提示部は、前記優先度算出部が算出した優先度を前記保守員に提示する
エレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項7】
前記優先度算出部は、前記かごにおいて発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出する
請求項6に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項8】
エレベーターのかごに乗車する乗客が所持する携帯端末の第1気圧計測部に計測される前記かごの内側における第1気圧の情報を、前記かごにおいて閉込めが発生しているときに前記携帯端末から受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記第1気圧の情報に基づいて前記かごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、
前記かごにおいて閉込め救出を行う保守員に前記位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、
前記かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、
を備え
、
前記優先度算出部は、前記かごにおいて発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出し、
前記提示部は、前記優先度算出部が算出した優先度を前記保守員に提示する
エレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項9】
前記優先度算出部は、エレベーターが設けられる建物および前記保守員が所持する保守端末の間の距離に基づいて優先度を算出する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項10】
前記優先度算出部は、前記乗客の属性に基づいて優先度を算出する
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項11】
前記保守員が所持する保守端末に設けられ、前記保守員の位置における第2気圧を計測する第2気圧計測部
を備え、
前記位置算出部は、前記第1気圧および前記第2気圧の差異に基づいて前記保守員の位置を基準とした前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項12】
前記位置算出部は、前記第1気圧および前記保守員が所持する保守端末の第2気圧計測部に計測される前記保守員の位置における第2気圧の差異に基づいて前記保守員の位置を基準とした前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項13】
エレベーターが設けられる建物に配置され、配置された位置における第3気圧を計測する第3気圧計測部
を備え、
前記位置算出部は、前記第1気圧および前記第3気圧の差異に基づいて前記第3気圧計測部の位置を基準とした前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項14】
前記位置算出部は、エレベーターが設けられる建物に配置された第3気圧計測部に計測される前記第3気圧計測部の位置における第3気圧および前記第1気圧の差異に基づいて前記第3気圧計測部の位置を基準とした前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項15】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々の鉛直方向の位置を記憶する建物情報記憶部
を備え、
前記位置算出部は、前記建物情報記憶部が記憶している情報に基づいて、前記複数の階床の少なくともいずれかの位置を基準とした前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項16】
前記位置算出部は、前記かごにおける閉込めの発生を表す信号を受信したときに前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項17】
前記位置算出部は、前記保守員が所持する保守端末を通じた前記保守員による操作を受け付けたときに前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項18】
前記位置算出部は、エレベーターが設けられる建物の位置を含む予め設定された範囲に前記保守員が所持する保守端末が入ったときに前記かごの鉛直方向の位置を算出する
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項19】
前記かごにおける閉込め救出の手順を判定する手順判定部
を備え、
前記提示部は、前記手順判定部が判定した手順を前記保守員に提示する
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援システム。
【請求項20】
乗客によってエレベーターのかごの内側に持ち込まれているときに前記かごの内側における第1気圧を計測する第1気圧計測部と、
前記かごにおいて閉込めが発生しているときに、前記第1気圧計測部が計測した前記第1気圧の情報を、前記かごにおいて閉込め救出を行う保守員に提示される前記かごの鉛直方向の位置を前記第1気圧の情報に基づいて算出する支援装置に送信する通信部と、
前記保守員に提示される前記かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、
前記かごにおいて発生した閉込めの状況を判定する状況判定部と、
を備え
、
前記優先度算出部は、前記状況判定部が判定した状況の情報に基づいて優先度を算出し、
前記通信部は、前記優先度算出部が算出した優先度の情報を前記支援装置に送信する
携帯端末。
【請求項21】
前記状況判定部は、前記かごにおいて閉込めが発生したときの当該かごの状況を判定する
請求項20に記載の携帯端末。
【請求項22】
前記状況判定部は、前記かごにおいて閉込めが発生しているときの前記乗客の状況を判定する
請求項20または請求項21に記載の携帯端末。
【請求項23】
前記乗客の属性の情報を記憶する属性情報記憶部
を備え、
前記優先度算出部は、前記乗客の属性の情報に基づいて優先度を算出する
請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項24】
エレベーターのかごに乗車する乗客に所持される携帯端末に、
前記かごの内側における第1気圧を計測する計測ステップと、
前記かごにおいて閉込めが発生しているときに、前記計測ステップにおいて計測した前記第1気圧の情報を、前記かごにおいて閉込め救出を行う保守員に提示される前記かごの鉛直方向の位置を前記第1気圧の情報に基づいて算出する支援装置に送信する気圧情報送信ステップと、
前記かごにおいて発生した閉込めの状況を判定する状況判定ステップと、
前記保守員に提示される前記かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出ステップと、
前記優先度算出ステップにおいて算出した優先度の情報を前記支援装置に送信する優先度情報送信ステップと、
を実行させ
、
前記優先度算出ステップにおいて、前記状況判定ステップにおいて判定した状況の情報に基づいて優先度が算出される
エレベーターの閉込め救出の支援プログラム。
【請求項25】
前記状況判定ステップにおいて、前記かごにおいて閉込めが発生したときの当該かごの状況が判定される
請求項24に記載のエレベーターの閉込め救出の支援プログラム。
【請求項26】
前記状況判定ステップにおいて、前記かごにおいて閉込めが発生しているときの前記乗客の状況が判定される
請求項24または請求項25に記載のエレベーターの閉込め救出の支援プログラム。
【請求項27】
前記優先度算出ステップにおいて、優先度は、前記携帯端末が記憶している前記乗客の属性の情報に基づいて算出される
請求項24から請求項26のいずれか一項に記載のエレベーターの閉込め救出の支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの閉込め救出の支援システム、携帯端末、およびエレベーターの閉込め救出の支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの例を開示する。エレベーターにおいて、昇降路におけるかごおよび保守員の間の距離が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーターのかごにおいて閉込めが発生する場合に、保守員は、かごの位置を把握した上で閉込めの救出を行う。ここで、特許文献1のエレベーターは、かごに配置されたカメラが撮影する映像の画像処理によってかごおよび保守員の距離を算出する。このため、保守員は、昇降路に進入する前に閉込めが発生しているかごの位置を把握できない。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、昇降路に進入する前に閉込めが発生しているかごの位置を把握できるエレベーターの閉込め救出の支援システム、携帯端末、および支援プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターの閉込め救出の支援システムは、エレベーターのかごに乗車する乗客に所持され、かごの内側における第1気圧を計測する第1気圧計測部を有し、かごにおいて閉込めが発生しているときに第1気圧の情報を送信する携帯端末と、携帯端末が送信した第1気圧の情報を受信する通信部と、通信部が受信した第1気圧の情報に基づいてかごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、かごにおいて閉込め救出を行う保守員に位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、を備え、優先度算出部は、位置算出部が算出したかごの鉛直方向の位置に基づいて優先度を算出し、提示部は、優先度算出部が算出した優先度を保守員に提示する。
本開示に係るエレベーターの閉込め救出の支援システムは、エレベーターのかごに乗車する乗客に所持され、かごの内側における第1気圧を計測する第1気圧計測部を有し、かごにおいて閉込めが発生しているときに第1気圧の情報を送信する携帯端末と、携帯端末が送信した第1気圧の情報を受信する通信部と、通信部が受信した第1気圧の情報に基づいてかごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、かごにおいて閉込め救出を行う保守員に位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、を備え、優先度算出部は、かごにおいて発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出し、提示部は、優先度算出部が算出した優先度を保守員に提示する。
【0007】
本開示に係るエレベーターの閉込め救出の支援システムは、エレベーターのかごに乗車する乗客が所持する携帯端末の第1気圧計測部に計測されるかごの内側における第1気圧の情報を、かごにおいて閉込めが発生しているときに携帯端末から受信する通信部と、通信部が受信した第1気圧の情報に基づいてかごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、かごにおいて閉込め救出を行う保守員に位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、を備え、優先度算出部は、位置算出部が算出したかごの鉛直方向の位置に基づいて優先度を算出し、提示部は、優先度算出部が算出した優先度を保守員に提示する。
本開示に係るエレベーターの閉込め救出の支援システムは、エレベーターのかごに乗車する乗客が所持する携帯端末の第1気圧計測部に計測されるかごの内側における第1気圧の情報を、かごにおいて閉込めが発生しているときに携帯端末から受信する通信部と、通信部が受信した第1気圧の情報に基づいてかごの鉛直方向の位置を算出する位置算出部と、かごにおいて閉込め救出を行う保守員に位置算出部が算出した情報を提示する提示部と、かごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、を備え、優先度算出部は、かごにおいて発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出し、提示部は、優先度算出部が算出した優先度を保守員に提示する。
【0008】
本開示に係る携帯端末は、乗客によってエレベーターのかごの内側に持ち込まれているときにかごの内側における第1気圧を計測する第1気圧計測部と、かごにおいて閉込めが発生しているときに、第1気圧計測部が計測した第1気圧の情報を、かごにおいて閉込め救出を行う保守員に提示されるかごの鉛直方向の位置を第1気圧の情報に基づいて算出する支援装置に送信する通信部と、保守員に提示されるかごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出部と、かごにおいて発生した閉込めの状況を判定する状況判定部と、を備え、優先度算出部は、状況判定部が判定した状況の情報に基づいて優先度を算出し、通信部は、優先度算出部が算出した優先度の情報を支援装置に送信する。
【0009】
本開示に係るエレベーターの閉込め救出の支援プログラムは、エレベーターのかごに乗車する乗客に所持される携帯端末に、かごの内側における第1気圧を計測する計測ステップと、かごにおいて閉込めが発生しているときに、計測ステップにおいて計測した第1気圧の情報を、かごにおいて閉込め救出を行う保守員に提示されるかごの鉛直方向の位置を第1気圧の情報に基づいて算出する支援装置に送信する気圧情報送信ステップと、かごにおいて発生した閉込めの状況を判定する状況判定ステップと、保守員に提示されるかごにおける閉込め救出の優先度を算出する優先度算出ステップと、優先度算出ステップにおいて算出した優先度の情報を支援装置に送信する優先度情報送信ステップと、を実行させ、優先度算出ステップにおいて、状況判定ステップにおいて判定した状況の情報に基づいて優先度が算出される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る支援システム、携帯端末、または支援プログラムであれば、昇降路に進入する前に閉込めが発生しているかごの位置を保守員が把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る支援システムの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係る支援システムの主要部のハードウェア構成図である。
【
図4】実施の形態2に係る支援システムの構成図である。
【
図5】実施の形態3に係る支援システムの構成図である。
【
図6】実施の形態3に係る支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る支援システム1の構成図である。
【0014】
図1において、支援システム1が適用されるエレベーター2の構成が示される。エレベーター2は、複数の階床を有する建物に設けられる。建物において、エレベーター2の昇降路3が設けられる。昇降路3は、複数の階床にわたる鉛直方向に長い空間である。建物の各々の階床において、エレベーター2の乗場4が設けられる。乗場4において、乗場ドア5が設けられる。乗場ドア5は、乗場4および昇降路3を区画するドアである。
【0015】
エレベーター2は、かご6と、巻上機7と、制御盤8と、監視装置9と、を備える。かご6は、昇降路3を鉛直方向に走行することによって複数の階床の間で乗客を輸送する装置である。かご6は、かごドア10を備える。かごドア10は、かご6がいずれかの階床に停止しているときに、当該階床の乗場4およびかご6の間で乗客が乗降しうるように乗場ドア5を連動させて開閉する機器である。巻上機7は、かご6を走行させる駆動力を発生させる装置である。巻上機7は、例えば昇降路3の上部または下部などに設けられる。巻上機7は、建物においてエレベーター2の機械室が設けられる場合に、機械室に配置されてもよい。制御盤8は、エレベーター2の動作を制御する装置である。制御盤8が制御するエレベーター2の動作は、例えばかご6の走行およびかごドア10の開閉などを含む。制御盤8は、例えば昇降路3の上部または下部などに設けられる。制御盤8は、建物においてエレベーター2の機械室が設けられる場合に、機械室に配置されてもよい。監視装置9は、エレベーター2の状態を監視する装置である。監視装置9は、例えば制御盤8を通じてエレベーター2の状態を取得する。監視装置9は、取得したエレベーター2の状態などの情報を例えばネットワーク11を通じて監視サーバ12に送信する。ネットワーク11は、例えばインターネットまたは電話回線網などの通信網である。監視サーバ12は、エレベーター2の状態などの情報を収集するサーバ装置である。監視サーバ12は、例えば情報センターに設けられる。情報センターは、エレベーター2の状態などの情報を収集する拠点である。
【0016】
エレベーター2において、例えば地震の発生に起因する安全装置の作動などによって、乗客を乗せて走行していたかご6が互いに隣接する2つの階床の間に停止する可能性がある。このとき、例えば地震の揺れが収まった後にかご6が走行を再開できなければ、当該かご6において閉込めが発生する。閉込めが発生したときに、保守員が出動してかご6内に閉じ込められている乗客を救出する。支援システム1は、保守員によるこのような閉込め救出を支援するシステムである。支援システム1は、携帯端末13と、保守端末14と、支援装置15と、を備える。
【0017】
携帯端末13は、エレベーター2の乗客が所持する可搬な機器である。携帯端末13は、例えばスマートフォンなどの情報端末である。あるいは、携帯端末13は、乗客が装着するウェアラブルデバイスであってもよい。あるいは、携帯端末13は、無線通信機能を備えた無線タグなどの機器であってもよい。携帯端末13は、乗客が所有する機器であってもよい。携帯端末13は、例えば建物の管理者などから乗客に配布される機器であってもよい。支援システム1に関する携帯端末13の動作は、例えば携帯端末13にインストールされている支援プログラムなどに基づいて実行される。支援プログラムは、携帯端末13に配信されるアプリケーションプログラムなどであってもよい。支援プログラムは、例えばエレベーター2の呼びの登録、およびエレベーター2が設けられる建物におけるサービスの情報の提供などの支援システム1に関しない機能を含むアプリケーションプログラムであってもよい。携帯端末13は、通信部16と、第1気圧計測部17と、を備える。
【0018】
通信部16は、携帯端末13の外部の機器または装置などと通信を行う部分である。通信部16は、無線通信の機能を有する。通信部16は、例えばネットワーク11を通じて監視サーバ12および支援装置15などとの間で通信を行う。通信部16は、例えばIEEE 802.15.1またはIEEE 802.11などの規格に基づいてエレベーター2が設けられる建物における機器または装置などとの間で無線通信を行ってもよい。
【0019】
第1気圧計測部17は、気圧を計測する部分である。第1気圧計測部17は、例えば気圧センサを有する。第1気圧計測部17は、乗客によって携帯端末13がかご6に持ち込まれているときに、第1気圧を計測する。第1気圧は、かご6の内側における気圧である。
【0020】
保守端末14は、閉込め救出を行うエレベーター2の保守員が所持する可搬な機器である。保守端末14は、例えばスマートフォンなどの汎用の情報端末であってもよい。あるいは、保守端末14は、専用の情報端末であってもよい。支援システム1に関する保守端末14の動作は、例えば保守端末14にインストールされているプログラムなどに基づいて実行される。保守端末14は、通信部18と、第2気圧計測部19と、現在地検出部20と、提示部21と、を備える。
【0021】
通信部18は、保守端末14の外部の機器または装置などと通信を行う部分である。通信部18は、無線通信の機能を有する。通信部18は、例えばネットワーク11を通じて監視サーバ12および支援装置15などとの間で通信を行う。通信部18は、例えばIEEE 802.15.1またはIEEE 802.11などの規格に基づいてエレベーター2が設けられる建物における機器または装置などとの間で無線通信を行ってもよい。
【0022】
第2気圧計測部19は、気圧を計測する部分である。第2気圧計測部19は、例えば気圧センサを有する。第2気圧計測部19は、保守員に所持されているときに、第2気圧を計測する。第2気圧は、保守員の位置における気圧である。
【0023】
現在地検出部20は、保守端末14が現在いる地点を検出する部分である。この例において、現在地検出部20は、保守端末14の地図上における地点を検出する。ここで、地図上の地点は、例えば緯度および経度などによって指定される地点である。現在地検出部20は、例えば衛星航法システムなどによって保守端末14が現在いる地点を検出する。
【0024】
提示部21は、保守員に情報を提示する部分である。提示部21は、例えば情報を表示するディスプレイなどの表示部である。あるいは、提示部21は、例えば情報を音声により提示するスピーカーなどであってもよい。
【0025】
支援装置15は、閉込め救出の支援に用いられる情報の算出などを行う装置である。支援装置15は、例えばネットワーク11に接続されるサーバ装置などである。支援装置15は、情報センターに設けられていてもよい。支援装置15は、通信部22と、エレベーター情報記憶部23と、建物情報記憶部24と、位置算出部25と、手順判定部26と、を備える。
【0026】
通信部22は、支援装置15の外部の機器または装置などと通信を行う部分である。通信部22は、ネットワーク11に接続される。通信部22は、例えばネットワーク11を通じて監視サーバ12、携帯端末13、および保守端末14などとの間で通信を行う。
【0027】
エレベーター情報記憶部23は、エレベーター2の情報を記憶する部分である。エレベーター情報記憶部23は、例えばエレベーター2の機種などの情報を記憶する。
【0028】
建物情報記憶部24は、エレベーター2が設けられる建物の情報を記憶する部分である。建物情報記憶部24は、建物の各々の階床の鉛直方向の位置、および各々の階床の間の間隔などの情報を記憶する。
【0029】
位置算出部25は、閉込めが発生したかご6の鉛直方向の位置を算出する部分である。位置算出部25は、例えば通信部22が受信した情報および建物情報記憶部24が記憶している情報などに基づいてかご6の位置の算出を行う。
【0030】
手順判定部26は、閉込め救出の手順を判定する部分である。手順算出部は、例えば位置算出部25が算出したかご6の位置およびエレベーター情報記憶部23が記憶している情報などに基づいて閉込め救出の手順を判定する。
【0031】
続いて、
図2を用いて、支援システム1の動作の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る支援システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0032】
支援システム1の動作は、エレベーター2において閉込めが発生したときに開始する。エレベーター2における閉込めの発生は、例えば安全装置が作動したときのかご6の位置などに基づいて制御盤8によって検出される。このとき、監視装置9は、閉込めの発生を表す閉込め信号を監視サーバ12および支援装置15に送信する。なお、監視装置9は、閉込め信号を支援装置15に送信しなくてもよい。このとき、閉込め信号は、例えば監視サーバ12から支援装置15に送信される。
【0033】
ステップS11において、支援装置15は、例えば、閉込め信号を監視装置9または監視サーバ12などから受信したときに開始処理を行う。あるいは、支援装置15は、閉込め信号を受信した後に、保守員が保守端末14を通じて行う支援開始の操作を受け付けたときに開始処理を行ってもよい。開始処理は、例えば算出または判定を行う情報の初期化および情報の読込みなどの処理を含む。その後、支援システム1の動作は、ステップS12に進む。
【0034】
ステップS12において、支援装置15の通信部22は、第1気圧の情報を要求する要求信号を携帯端末13に送信する。閉込めが発生したかご6に乗車している乗客の携帯端末13の第1気圧計測部17は、第1気圧を計測する。携帯端末13の通信部16は、支援装置15からの要求信号を受信したときに、第1気圧の情報を支援装置15に送信する。支援装置15の通信部22は、第1気圧の情報を受信する。その後、支援システム1の動作は、ステップS13に進む。
【0035】
ステップS13において、支援装置15の通信部22は、第2気圧の情報を要求する要求信号を閉込め救出を行う保守員の保守端末14に送信する。保守端末14の第2気圧計測部19は、第2気圧を計測する。保守端末14の通信部18は、支援装置15からの要求信号を受信したときに、第2気圧の情報を支援装置15に送信する。ここで、保守端末14の通信部18は、保守員が現在いる階床の情報を第2気圧の情報とともに支援装置15に送信してもよい。保守員が現在いる階床の情報は、例えば保守員自身の操作によって保守端末14に入力される。支援装置15の通信部22は、第2気圧の情報を受信する。その後、支援システム1の動作は、ステップS14に進む。
【0036】
ステップS14において、支援装置15の位置算出部25は、かご6の位置を算出する。位置算出部25は、第1気圧および第2気圧の差異に基づいて、保守員の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。ここで、位置算出部25が用いる第1気圧および第2気圧の差異は、例えば第1気圧および第2気圧の差分、または第1気圧および第2気圧の比などを含む。位置算出部25は、保守員が現在いる階床の情報、および建物情報記憶部24が記憶している情報などに基づいて、いずれかの階床の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出してもよい。位置算出部25は、例えば、最寄りの階床の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。あるいは、位置算出部25は、互いに隣接する2つの階床の間にかご6が停止しているときに、当該2つの階床の各々の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。その後、支援システム1の動作は、ステップS15に進む。
【0037】
ステップS15において、支援装置15の手順判定部26は、閉込め救出の手順を判定する。手順判定部26は、例えば閉込めが発生したエレベーター2の機種、および閉込めが発生したかご6が停止している鉛直方向の位置などに基づいて、予め定められた閉込め救出の手順を判定する。その後、支援システム1の動作は、ステップS16に進む。
【0038】
ステップS16において、支援装置15の通信部22は、位置算出部25が算出したかご6の位置の情報を保守端末14に送信する。保守端末14の通信部18は、かご6の位置の情報を受信する。また、支援装置15の通信部22は、手順判定部26が判定した閉込め救出の手順を保守端末14に送信する。保守端末14の通信部18は、閉込め救出の手順を受信する。保守端末14の提示部21は、受信したかご6の位置の情報および閉込め救出の手順の情報を、例えばディスプレイにおける表示などによって保守員に提示する。その後、支援システム1の動作は、ステップS17に進む。
【0039】
保守員は、提示された情報を利用して閉込め救出の作業を行う。
【0040】
ステップS17において、支援装置15は、閉込め救出が完了したかを判定する。閉込め救出の完了は、例えば保守員が保守端末14において救出完了の操作を行うことなどによって検出される。閉込め救出が完了していないと判定する場合に、支援システム1の動作は、ステップS12に進む。一方、閉込め救出が完了したと判定する場合に、支援システム1の動作は、終了する。
【0041】
なお、閉込めの発生は、例えば、乗客による通報に基づいて検知されてもよい。乗客は、例えば携帯端末13の操作によって、閉込めの発生を監視サーバ12などに通報してもよい。このとき、携帯端末13の通信部16は、第1気圧計測部17が計測した第1気圧の情報をあわせて送信してもよい。
【0042】
また、保守端末14は、閉込めが発生したエレベーター2が設けられる建物を含む予め設定された範囲に入ったときに、当該建物への到着を支援装置15に通知してもよい。当該範囲は、例えば当該建物からの距離が予め設定された距離よりも短い範囲などである。このとき、支援装置15は、閉込めの発生を表す信号を受信した後に、保守端末14から到着の通知を受け付けたときに開始処理を行ってもよい。
【0043】
また、保守端末14の通信部18は、到着の通知とともに第2気圧の情報を送信してもよい。このとき、支援装置15の位置算出部25は、例えば玄関階と同じ高さにいる保守員の保守端末14から第2気圧の情報が送信されたものとして、保守員の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出してもよい。
【0044】
あるいは、保守端末14の通信部18は、到着の通知とともに現在地の標高を送信してもよい。現在地の標高は、例えば現在地検出部20が衛星航法システムなどによって検出する。あるいは、現在位置の標高は、例えば現在地検出部20が検出した地図上の地点、および標高の情報を含む地図データなどに基づいて検出されてもよい。このとき、支援装置15の位置算出部25は、例えば第1気圧および気象情報などに基づいて、かご6の標高を算出してもよい。位置算出部25は、かご6の標高および保守端末14から送信された標高に基づいて、保守員の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出してもよい。位置算出部25は、かご6の標高および建物情報記憶部24が記憶している情報などに基づいて、いずれかの階床の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出してもよい。このとき、保守端末14は、第2気圧計測部19を備えていなくてもよい。
【0045】
また、第1気圧の情報を要求する要求信号は、無線通信を行うエレベーター2の機器を通じて乗客の携帯端末13に送信されてもよい。エレベーター2の機器は、例えばかご6または乗場4などに設けられるビーコンなどの機器であってもよい。また、携帯端末13から送信される第1気圧の情報は、無線通信を行うエレベーター2の機器を通じて支援装置15に送信されてもよい。
【0046】
また、かご6は、鉛直方向の走行に伴うかご6の内側の気圧の急激な変動を緩和する機能を搭載している場合がある。このため、携帯端末13の通信部16は、かご6の内側および外側の気圧が同程度の気圧になるように、かご6が停止してから予め設定された時間を経過した後に計測された第1気圧の情報を支援装置15に送信してもよい。
【0047】
また、閉込め救出の完了は、監視サーバ12、または監視装置9などからの正常状態復帰信号の入力などに基づいて判定されてもよい。
【0048】
また、位置算出部25は、保守端末14に設けられていてもよい。手順判定部26は、保守端末14に設けられていてもよい。エレベーター情報記憶部23および建物情報記憶部24は、保守端末14に設けられていてもよい。
【0049】
また、エレベーター2は、複数のかご6と、複数の巻上機7と、複数の制御盤8と、を備えていてもよい。各々のかご6は、昇降路3を鉛直方向に走行することによって複数の階床の間で乗客を輸送する。各々の巻上機7は、いずれかのかご6に対応する。各々の巻上機7は、対応するかご6を走行させる駆動力を発生させる。各々の制御盤8は、いずれかのかご6に対応する。各々の制御盤8は、対応するかご6の動作を制御する。エレベーター2は、複数のかご6のいずれかへの乗客の呼びの割当てを制御する群管理装置を備えていてもよい。支援システム1は、いずれかのかご6において閉込めが発生するときに、当該かご6における閉込め救出を支援する。支援システム1は、複数のかご6において同時に閉込めが発生するときに、複数の保守員によって同時に行われる各々のかご6における閉込め救出を支援してもよい。あるいは、支援システム1は、各々のかご6において順次行われる閉込め救出を順次支援してもよい。
【0050】
また、保守端末14は、現在地検出部20を備えていなくてもよい。
【0051】
また、支援装置15の一部または全部は、監視サーバ12に設けられていてもよい。
【0052】
以上に説明したように、実施の形態1に係る支援システム1は、携帯端末13と、通信部22と、位置算出部25と、提示部21と、を備える。携帯端末13は、エレベーター2のかご6に乗車する乗客に所持される。携帯端末13は、第1気圧計測部17を有する。第1気圧計測部17は、かご6の内側における第1気圧を計測する。携帯端末13は、かご6において閉込めが発生しているときに第1気圧の情報を送信する。通信部22は、携帯端末13が送信した第1気圧の情報を受信する。位置算出部25は、通信部22が受信した第1気圧の情報に基づいてかご6の鉛直方向の位置を算出する。提示部21は、かご6において閉込め救出を行う保守員に位置算出部25が算出した情報を提示する。
また、実施の形態1に係る携帯端末13は、第1気圧計測部17と、通信部16と、を備える。第1気圧計測部17は、乗客によってエレベーター2のかご6の内側に持ち込まれているときに、かご6の内側における第1気圧を計測する。通信部16は、かご6において閉込めが発生しているときに、第1気圧計測部17が計測した第1気圧の情報を支援装置15に送信する。支援装置15は、かご6の鉛直方向の位置を第1気圧の情報に基づいて算出する。かご6の鉛直方向の位置は、かご6において閉込め救出を行う保守員に提示される。
また、実施の形態1に係る支援プログラムは、携帯端末13に計測ステップと、気圧情報送信ステップと、を実行させる。計測ステップは、かご6の内側における第1気圧を計測するステップである。気圧情報送信ステップは、かご6において閉込めが発生しているときに、計測ステップにおいて計測した第1気圧の情報を支援装置15に送信するステップである。
【0053】
かご6において閉込めが発生するときに、かご6の内側にいる乗客が所持する携帯端末13によって第1気圧が計測される。かご6の鉛直方向の位置は、第1気圧に基づいて算出される。第1気圧は閉込めが発生した時点から計測が可能であるので、保守員は、昇降路3に進入する前に閉込めが発生しているかご6の位置を把握できる。また、乗客が所持する携帯端末13による計測結果を利用するので、エレベーター2に追加の機器を設ける必要がない。ここで、閉込めが発生しているときにかご6は走行していないので、かご6の内側および外側の気圧は同程度となる。このため、鉛直方向の走行に伴うかご6の内側の気圧の急激な変動を緩和する機能を搭載しているかご6においても、かご6の内側の第1気圧に基づいて閉込めが発生したかご6の鉛直方向の位置を算出できる。また、保守員は昇降路3に進入する前にかご6の位置を把握できるので、閉込め救出が迅速に行われうる。また、エレベーター2に設けられた機器によらずにかご6の位置が算出されるので、例えば停電などによってエレベーター2に電力が供給されていない場合においても、保守員はかご6の位置を把握できる。
【0054】
また、携帯端末13は、第1気圧の情報を要求する信号を受信するときに第1気圧の情報を送信する。あるいは、携帯端末13は、乗客の操作に基づいて第1気圧の情報を送信する。
【0055】
第1気圧の情報は、かご6の位置の算出のために必要なときに送信される。このため、携帯端末13の通信リソースなどが浪費されない。
【0056】
また、支援システム1は、第2気圧計測部19を備える。第2気圧計測部19は、保守端末14に設けられる。保守端末14は、かご6において閉込め救出を行う保守員に所持される。第2気圧計測部19は、保守員の位置における第2気圧を計測する。位置算出部25は、第1気圧および第2気圧の差異に基づいて、保守員の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。
【0057】
地表における大気圧は、天候などによって変動する。ここで、第1気圧および第2気圧は、天候などによる大気圧の変動に対して互いに同様に変動する。このため、第1気圧および第2気圧の差異において、天候などによる大気圧の変動が互いに打ち消されうる。このため、気象情報の入手およびそれによる高度の補正などの処理を必要とせずに、保守員の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置が容易に算出される。また、第1気圧および第2気圧の差異は、かご6の内側および乗場4を隔てるかごドア10および乗場ドア5の影響を受けない。このため、位置算出部25は、保守員が昇降路3に進入する前に保守員の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出できる。
【0058】
また、支援システム1は、建物情報記憶部24を備える。建物情報記憶部24は、エレベーター2が設けられる建物における各々の階床の鉛直方向の位置を記憶する。位置算出部25は、建物情報記憶部24が記憶している情報に基づいて、複数の階床の少なくともいずれかの位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。
【0059】
建物の階床を基準としたかご6の位置が算出されるので、保守員は、かご6の位置をより容易に迅速に把握できる。
【0060】
また、位置算出部25は、かご6における閉込めの発生を表す信号を受信したときに、かご6の鉛直方向の位置を算出する。あるいは、位置算出部25は、保守員が所持する保守端末14を通じた保守員による操作を受け付けたときに、かご6の鉛直方向の位置を算出する。あるいは、位置算出部25は、エレベーター2が設けられる建物の位置を含む予め設定された範囲に保守員が所持する保守端末14が入ったときに、かご6の鉛直方向の位置を算出する。
【0061】
かご6の鉛直方向の位置は、かご6において閉込めが発生したときに算出される。このため、支援装置15などの演算リソースが浪費されない。
【0062】
また、支援システム1は、手順判定部26を備える。手順判定部26は、かご6における閉込め救出の手順を判定する。提示部21は、手順判定部26が判定した手順を保守員に提示する。
【0063】
エレベーター2の機種またはかご6の位置などに応じた救出手順が保守員に提示されるので、保守員は、適切な手順で閉込め救出を行うことができる。特に、閉込めが発生したエレベーター2の保守を担当していない保守員であっても、提示部21の提示によって適切な閉込め救出を行うことができる。
【0064】
続いて、
図3を用いて、支援システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係る支援システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0065】
支援システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0066】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、支援システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、支援システム1の各機能を実現する。
【0067】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0068】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0069】
支援システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、支援システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。支援システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで支援システム1の各機能を実現する。
【0070】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0071】
図4は、実施の形態2に係る支援システム1の構成図である。
支援システム1は、第3気圧計測部27を備える。第3気圧計測部27は、エレベーター2が設けられる建物に配置される。第3気圧計測部27は、例えば建物のいずれかの階床に配置される。この例において、第3気圧計測部27は、建物の玄関階に配置される。第3気圧計測部27は、例えば気圧センサを有する。第3気圧計測部27は、第3気圧を計測する部分である。第3気圧は、第3気圧計測部27が設けられる位置における気圧である。この例において、第3気圧は、建物の玄関階における気圧である。第3気圧計測部27は、例えば内蔵されるバッテリなどから供給される電力によって動作してもよい。第3気圧計測部27は、第3気圧の情報を例えば監視装置9を通じて支援装置15などに出力する。
【0072】
閉込め救出の支援において、支援装置15の通信部22は、第3気圧の情報を要求する要求信号を、例えば監視装置9を通じて第3気圧計測部27に送信する。第3気圧計測部27は、要求信号を受信したときに、第3気圧の情報を支援装置15に送信する。支援装置15の通信部22は、第3気圧の情報を受信する。
【0073】
その後、支援装置15の位置算出部25は、かご6の位置を算出する。位置算出部25は、第1気圧および第3気圧の差異に基づいて、第3気圧計測部27の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。ここで、位置算出部25が用いる第1気圧および第3気圧の差異は、例えば第1気圧および第3気圧の差分、または第1気圧および第3気圧の比などを含む。また、位置算出部25は、第3気圧計測部27が建物において設けられている位置を記憶している。位置算出部25は、保守員が現在いる階床の情報、および建物情報記憶部24が記憶している情報などに基づいて、いずれかの階床の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出してもよい。
【0074】
なお、支援システム1において、保守端末14は、第2気圧計測部19を備えていなくてもよい。
【0075】
以上に説明したように、実施の形態2に係る支援システム1は、第3気圧計測部27を備える。第3気圧計測部27は、エレベーター2が設けられる建物に配置される。第3気圧計測部27は、第3気圧を計測する。第3気圧は、第3気圧計測部27が配置された位置における気圧である。位置算出部25は、第1気圧および第3気圧の差異に基づいて、第3気圧計測部27の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出する。
【0076】
第1気圧および第3気圧は、天候などによる大気圧の変動に対して互いに同様に変動する。このため、第1気圧および第3気圧の差異において、天候などによる大気圧の変動が互いに打ち消されうる。このため、気象情報の入手およびそれによる高度の補正などの処理を必要とせずに、既知の第3気圧計測部27の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置が容易に算出される。また、第1気圧および第3気圧の差異は、かご6の内側および乗場4などを隔てるかごドア10および乗場ドア5の影響を受けない。このため、位置算出部25は、保守員が昇降路3に進入する前に第3気圧計測部27の位置を基準としたかご6の鉛直方向の位置を算出できる。また、第3気圧計測部27の位置は固定されているので、保守員は、現在いる階床の情報を入力する必要がない。これにより、保守員は、かご6の位置をより容易に速やかに把握できる。
【0077】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0078】
図5は、実施の形態3に係る支援システムの構成図である。
この例において、エレベーター2は、複数のかご6と、複数の巻上機7と、複数の制御盤8と、を備える。
【0079】
携帯端末13は、属性情報記憶部28と、状況判定部29と、を備える。
【0080】
属性情報記憶部28は、携帯端末13を所持している乗客の属性などの情報を記憶する部分である。乗客の属性は、例えば持病の有無などの情報、または、持病の有無などの情報に基づいて予め設定される優先係数などの情報を含む。
【0081】
状況判定部29は、かご6において発生した閉込めの状況を判定する部分である。状況判定部29が判定する状況は、閉込めが発生したときのかご6の状況、および閉込めが発生しているときの乗客の状況などを含む。状況判定部29は、例えば携帯端末13の加速度を検出する加速度センサを有する。状況判定部29は、例えば携帯端末13の周囲の音声を収音するマイクを有する。状況判定部29は、例えば携帯端末13がウェアラブルデバイスである場合などに、携帯端末13を装着している乗客の心拍数などの生体情報を検出するセンサを有していてもよい。
【0082】
状況判定部29は、例えば加速度センサが検出する加速度などに基づいて、閉込めが発生したときにかご6が急停止したか否かなどのかご6の状況を判定する。
【0083】
状況判定部29は、例えば加速度センサが検出する加速度などに基づいて、閉込めが発生しているときの乗客の動きを検出する。状況判定部29は、乗客の動きに基づいて、乗客が倒れているか否かなどの乗客の状況を判定する。状況判定部29は、例えばマイクが収音する音声などに基づいて、閉込めが発生しているときの乗客の声などを検出する。状況判定部29は、例えば音声認識などによって、かご6に閉じ込められている乗客の状況を判定する。状況判定部29は、例えば乗客の生体情報などに基づいて、かご6に閉じ込められている乗客の状況を判定する。
【0084】
携帯端末13の通信部16は、例えば第1気圧の情報とともに乗客の属性または状況判定部29が判定した状況の情報を支援装置15に送信する。あるいは、状況判定部29が判定した状況に変化があった場合に、携帯端末13の通信部16は、判定した状況の情報を支援装置15に送信してもよい。
【0085】
支援装置15は、優先度算出部30を備える。優先度算出部30は、閉込め救出の優先度を算出する部分である。支援装置15の通信部22は、例えば位置算出部25が算出したかご6の位置の情報とともに優先度算出部30が算出した優先度の情報を保守端末14に送信する。保守端末14の提示部21は、通信部18を通じて受信した優先度などの情報を保守員に提示する。保守員は、例えば複数のかご6において同時に閉込めが発生するときに、提示された優先度に基づいて閉込め救出を順次行う。
【0086】
優先度算出部30は、例えば、閉込めが発生したかご6の鉛直方向の位置に基づいて優先度を算出する。閉込め救出に要する所要時間は、かご6の鉛直方向の位置、またはかご6および保守員の間の鉛直方向の距離などに応じて変わる。優先度算出部30は、例えば多くの閉込め救出を早期に完了しうるように、所要時間の短い閉込め救出の優先度を高く算出してもよい。あるいは、優先度算出部30は、例えば難易度の高い閉込めを早期に完了しうるように、所要時間の長い閉込め救出の優先度を高く算出してもよい。
【0087】
優先度算出部30は、例えば、エレベーター2が設けられる建物の地点および保守端末14の現在地の間の距離に基づいて優先度を算出する。このとき、優先度算出部30は、複数の保守員の各々が所持する保守端末14ごとに優先度を算出する。優先度算出部30は、多くの閉込め救出を早期に完了しうるように、例えば閉込めが発生したエレベーター2が設けられる建物からの距離が短い保守端末14について、当該閉込め救出の優先度を高く算出する。
【0088】
優先度算出部30は、例えば、乗客の属性の情報に基づいて優先度を算出する。優先度算出部30は、例えばかご6に閉じ込められた乗客の属性が持病ありの場合に、当該かご6における閉込め救出の優先度を高く算出する。あるいは、優先度算出部30は、かご6の鉛直方向の位置などに基づいて算出した優先度に、乗客の属性に基づく優先係数を乗じて優先度を算出してもよい。
【0089】
優先度算出部30は、例えば、状況判定部29が判定した状況に基づいて優先度を算出する。優先度算出部30は、例えば閉込めが発生したときにかご6が急停止したと判定される場合に、当該かご6における閉込め救出の優先度を高く算出する。優先度算出部30は、例えば閉込めが発生しているかご6において乗客が倒れているなどの緊急度の高い状況が判定される場合に、当該かご6における閉込め救出の優先度を高く算出する。
【0090】
優先度算出部30は、複数の条件を組み合わせて優先度を算出してもよい。優先度算出部30は、複数の条件を切り替えて優先度を算出してもよい。優先度算出部30による優先度の算出の条件は、例えば支援装置15に更新可能に記憶される。優先度算出部30は、例えば教師あり学習、教師なし学習、または強化学習などの機械学習の手法によって優先度を算出してもよい。優先度算出部30は、例えば過去の閉込め救出の履歴に基づいて、例えば救出に要する所要時間の平均値または最大値などが短くなるように優先度を算出する。
【0091】
続いて、
図6を用いて、支援システム1の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態3に係る支援システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0092】
ステップS31において、支援装置15は、実施の形態1に係る支援装置15のステップS11と同様に開始処理を行う。その後、支援システム1の動作は、ステップS32に進む。
【0093】
ステップS32において、支援装置15の通信部22は、第1気圧の情報を要求する要求信号を携帯端末13に送信する。閉込めが発生したかご6に乗車している乗客の携帯端末13の第1気圧計測部17は、第1気圧を計測する。携帯端末13の通信部16は、支援装置15からの要求信号を受信したときに、第1気圧の情報、乗客の属性の情報、および状況判定部29が判定した状況の情報を支援装置15に送信する。支援装置15の通信部22は、携帯端末13から送信された情報を受信する。その後、支援システム1の動作は、ステップS33に進む。
【0094】
ステップS33において、支援装置15の通信部22は、第2気圧の情報を要求する要求信号を閉込めの救出を行う保守員の保守端末14に送信する。保守端末14の第2気圧計測部19は、第2気圧を計測する。保守端末14の通信部18は、支援装置15からの要求信号を受信したときに、第2気圧、および現在地の情報を支援装置15に送信する。支援装置15の通信部22は、第2気圧の情報を受信する。その後、支援システム1の動作は、ステップS34に進む。
【0095】
ステップS34において、支援装置15は、実施の形態1に係る支援装置15のステップS14と同様にかご6の位置を算出する。その後、支援システム1の動作は、ステップS35に進む。
【0096】
ステップS35において、支援装置15は、実施の形態1に係る支援装置15のステップS15と同様に救出手順を導出する。その後、支援システム1の動作は、ステップS36に進む。
【0097】
ステップS36において、支援装置15の優先度算出部30は、閉込め救出の優先度を算出する。その後、支援システム1の動作は、ステップS37に進む。
【0098】
ステップS37において、支援装置15の通信部22は、位置算出部25が算出したかご6の位置の情報、手順判定部26が判定した救出手順の情報、および優先度算出部30が算出した優先度の情報を保守端末14に送信する。保守端末14の通信部18は、支援装置15が送信した情報を受信する。保守端末14の提示部21は、支援装置15から通信部18が受信した情報を、例えばディスプレイにおける表示などによって保守員に提示する。その後、支援システム1の動作は、ステップS38に進む。
【0099】
保守員は、提示された情報を利用して閉込め救出の作業を行う。
【0100】
ステップS38において、支援装置15は、実施の形態1に係る支援装置15のステップS17と同様に閉込め救出が完了したかを判定する。判定結果がNoの場合に、支援システム1の動作は、ステップS32に進む。一方、判定結果がYesの場合に、支援システム1の動作は、終了する。
【0101】
なお、エレベーター2は、かご6、巻上機7、および制御盤8をそれぞれ1つのみ備えていてもよい。このとき、優先度算出部30が算出する優先度は、他のエレベーター2のかご6における閉込め救出との間に優先順位を定める指標として用いられる。これにより、例えば大規模災害などによって複数の建物および複数のエレベーター2において複数の閉込めが発生した場合などに、保守員は閉込め救出救助を行う順序を判断できる。
【0102】
また、優先度算出部30は、携帯端末13に設けられていてもよい。このとき、携帯端末13の通信部16は、優先度算出部30によって算出された優先度を、例えば第1気圧の情報とともに支援装置15に送信する。また、優先度算出部30は、保守端末14に設けられていてもよい。
【0103】
以上に説明したように、実施の形態3に係る支援システム1は、優先度算出部30を備える。優先度算出部30は、かご6における閉込め救出の優先度を算出する。提示部21は、優先度算出部30が算出した優先度を保守員に提示する。
また、実施の形態3に係る携帯端末13は、優先度算出部30を備えてもよい。優先度算出部30は、かご6における閉込め救出の優先度を算出する。優先度は、保守員に提示される。通信部16は、優先度算出部30が算出した優先度の情報を支援装置15に送信する。
このとき、実施の形態3に係る支援プログラムは、優先度算出ステップと、優先度情報送信ステップとを、携帯端末13に実行させる。優先度算出ステップは、かご6における閉込め救出の優先度を算出するステップである。優先度情報送信ステップは、優先度算出ステップにおいて算出した優先度の情報を支援装置15に送信するステップである。
【0104】
これにより、エレベーター2における閉込めが複数発生した場合においても、提示された優先度に基づいて保守員は閉込め救出を行う順序を判断できる。これにより、優先度のより高い例えば緊急度の高い閉込め救出が、より迅速に行われるようになる。
【0105】
また、優先度算出部30は、位置算出部25が算出したかご6の鉛直方向の位置に基づいて優先度を算出する。また、優先度算出部30は、エレベーター2が設けられる建物および保守員が所持する保守端末14の間の距離に基づいて優先度を算出する。
【0106】
これにより、支援システム1は、閉込め救出の作業をより早く開始できる保守員により高い優先度を提示できる。これにより、より多くの閉込め救出が早期に完了しうるようになる。
【0107】
また、優先度算出部30は、乗客の属性に基づいて優先度を算出する。
また、携帯端末13は、属性情報記憶部28を備える。属性情報記憶部28は、乗客の属性の情報を記憶する。このとき、携帯端末13に設けられる優先度算出部30が、前記乗客の情報に基づいて優先度を算出してもよい。また、支援プログラムの優先度算出ステップにおいて、優先度は、携帯端末13が記憶している乗客の属性の情報に基づいて算出される。
【0108】
優先度算出部30は、閉込めが発生したかご6にどのような乗客が乗車しているかに応じた優先度を算出する。これにより、より迅速な閉込め救出を必要とする乗客がより優先して救出されるようになる。
【0109】
また、優先度算出部30は、かご6において発生した閉込めの状況の情報に基づいて優先度を算出する。
また、携帯端末13は、状況判定部29を備える。状況判定部29は、かご6において発生した閉込めの状況を判定する。このとき、携帯端末13に設けられる優先度算出部30が、状況判定部29が判定した状況の情報に基づいて優先度を算出してもよい。また、支援プログラムは、状況判定ステップを携帯端末13に実行させる。状況判定ステップは、かご6において発生した閉込めの状況を判定するステップである。支援プログラムの優先度算出ステップにおいて、状況判定ステップにおいて判定した状況の情報に基づいて優先度が算出される。
また、状況判定部29は、かご6において閉込めが発生したときの当該かご6の状況を判定する。状況判定部29は、かご6において閉込めが発生しているときの乗客の状況を判定する。
また、支援プログラムの状況判定ステップにおいて、かご6において閉込めが発生したときの当該かご6の状況が判定される。また、状況判定ステップにおいて、かご6において閉込めが発生しているときの乗客の状況が判定される。
【0110】
優先度算出部30は、発生した閉込めの状況に応じた優先度を算出する。これにより、より緊急度の高い状況における閉込め救出がより優先して行われるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示に係る支援システムは、エレベーターにおける閉込め救出に適用できる。本開示に係る携帯端末および支援プログラムは、当該支援システムに適用できる。
【符号の説明】
【0112】
1 支援システム、 2 エレベーター、 3 昇降路、 4 乗場、 5 乗場ドア、 6 かご、 7 巻上機、 8 制御盤、 9 監視装置、 10 かごドア、 11 ネットワーク、 12 監視サーバ、 13 携帯端末、 14 保守端末、 15 支援装置、 16 通信部、 17 第1気圧計測部、 18 通信部、 19 第2気圧計測部、 20 現在地検出部、 21 提示部、 22 通信部、 23 エレベーター情報記憶部、 24 建物情報記憶部、 25 位置算出部、 26 手順判定部、 27 第3気圧計測部、 28 属性情報記憶部、 29 状況判定部、 30 優先度算出部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア