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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】複合基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20220809BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H05K1/03 630E
B32B15/04 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020188289
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022041804
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】109129949
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514209308
【氏名又は名称】佳勝科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】李 弘榮
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130959(JP,A)
【文献】特開2016-191049(JP,A)
【文献】特開平3-209792(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008876(WO,A1)
【文献】特開2020-56011(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110662348(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B15/00―15/20
H01P3/00―3/08
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属層と、第1の表面及び前記第1の表面に対する第2の表面を含有し、その前記第1の表面が下に向き、前記第1の金属層に設けられる第1の絶縁層と、を含む第1の金属基材と、
前記第1の絶縁層の前記第2の表面に設けられ、誘電率が3よりも小さく、且つ損失定数が0.005よりも小さい第1の接合層であって、前記第1の接合層の吸水率は、25℃で24時間内に0.5%よりも低く、前記第1の接合層の材料は、ポリエステル樹脂、ブチラールフェノール樹脂、ウレタン樹脂、又はそれらの組合せを含む第1の接合層と、
第3の表面及び前記第3の表面に対する第4の表面を含有し、その前記第3の表面が下に向き、前記第1の接合層に設けられる第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の前記第4の表面に設けられる第2の金属層と、を含む第2の金属基材と、
を備える複合基板。
【請求項2】
前記第1の金属層及び前記第2の金属層の材料は、銅、アルミニウム、金、銀、スズ、鉛、鉛-スズ合金、鉄、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛、マンガン、コバルト、ステンレス鋼又はそれらの任意の組合せを含む請求項1に記載の複合基板。
【請求項3】
前記第1の金属層及び前記第2の金属層の少なくとも一方は、パターニングされた金属層である請求項1~2の何れか1項に記載の複合基板。
【請求項4】
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の材料は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、テフロン、液晶ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ナイロン、アクリル、ABSプラスチック、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、シリコン、ポリウレタン、ポリアミド・イミド又はそれらの任意の組合せを含む請求項1~3の何れか1項に記載の複合基板。
【請求項5】
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層又はその両者は、変性された絶縁材料である請求項1~4の何れか1項に記載の複合基板。
【請求項6】
前記第1の接合層と前記第2の金属基材との間に、第2の接合層を含む接合構造を備える請求項1~の何れか1項に記載の複合基板。
【請求項7】
前記接合構造は、複数の第3の絶縁層と複数の第2の接合層を更に含み、前記第3の絶縁層の任意の1つと前記第2の接合層の任意の1つとは互いに重なり、且つ最下層に位置する前記第3の絶縁層は前記第1の接合層の上に設けられ、最上層に位置する前記第2の接合層は前記第2の絶縁層の下に設けられる請求項に記載の複合基板。
【請求項8】
第1の金属層と、前記第1の金属層に設けられる第1の絶縁層と、を含む第1の金属基材を提供する工程と、
第2の金属層と、前記第2の金属層の下に設けられる第2の絶縁層と、を含む第2の金属基材を提供する工程と、
誘電率が3よりも小さく、且つ損失定数が0.005よりも小さい第1の接合層であって、前記第1の接合層の吸水率は、25℃で24時間内に0.5%よりも低く、前記第1の接合層の材料は、ポリエステル樹脂、ブチラールフェノール樹脂、ウレタン樹脂、又はそれらの組合せを含む第1の接合層を提供する工程と、
前記第1の接合層を、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層に貼り合わせるように、前記第1の金属基材と前記第2の金属基材との間に設けて、複合基板を得る工程と、
を備える複合基板の製造方法。
【請求項9】
第2の接合層を含む接合構造を、前記第1の接合層と前記第2の金属基材との間に形成することを更に含む請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の接合層を前記第1の金属基材と前記第2の金属基材との間に設ける工程は、280℃よりも低い温度で前記第1の接合層を加熱して、前記第1の金属基材と前記第2の金属基材との間に接着することを含む請求項の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、複合基板及びその製造方法に関し、具体的に、各層の厚さを柔軟に調整でき、各層を低い温度で粘着できる複合基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板は、電子製品における不可欠な材料であるが、消費性電子製品の要求が高まるにつれて、プリント回路基板に対する要求も高まっている。フレキシブルプリント回路基板は、可撓性及び三次元で配線可能な特性を持っており、科学技術電子製品の軽薄短小化や可撓性を重視する発進の勢いで、現在、コンピューター及びその周辺機器、通信製品や消費性電子製品等に広く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日の電子製品の仕様に対する要求の高まりに鑑みて、高周波回路及び多様に調整可能な回路基板は、益々重要になっている。従って、RC遅延を低減し、信号減衰を低減し、層間の構成の厚さの柔軟性や歩留まりを向上させる複合基板の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示内容における一態様は、第1の金属層と、第1の表面及び第1の表面に対する第2の表面を含有し、その第1の表面が下に向き、第1の金属層に設けられる第1の絶縁層と、を含む第1の金属基材と、第1の絶縁層の第2の表面に設けられ、誘電率が3よりも小さく、且つ損失定数が0.005よりも小さい第1の接合層と、第3の表面及び第3の表面に対する第4の表面を含有し、その第3の表面が下に向き、第1の接合層に設けられる第2の絶縁層と、第2の絶縁層の第4の表面に設けられる第2の金属層と、を含む第2の金属基材と、を備える複合基板を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態において、第1の金属層及び第2の金属層の材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、鉛-スズ合金(Sn-Pb Alloy)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ステンレス鋼(stainless steel)又はそれらの任意の組合せを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、第1の金属層及び第2の金属層の少なくとも一方は、パターニングされた金属層である。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1の絶縁層及び第2の絶縁層の材料は、ポリイミド(Polyimide;PI)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate;PET)、テフロン(登録商標)(Teflon)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer;LCP)、ポリエチレン(Polyethylene;PE)、ポリプロピレン(Polypropylene;PP)、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、ポリビニルクロリド(Polyvinyl Chloride;PVC)、ナイロン(Nylon or Polyamides)、アクリル(Acrylic)、ABS プラスチック(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、フェノール樹脂(Phenolic Resins)、エポキシ樹脂(Epoxy)、ポリエステル(Polyester)、シリコン(Silicone)、ポリウレタン(Polyurethane;PU)、ポリアミド・イミド(polyamide-imide;PAI)又はそれらの任意の組合せを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1の絶縁層、第2の絶縁層又はその両者は、変性された絶縁材料である。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1の接合層の材料は、ポリエステル樹脂(Polyester Resin)、エポキシ樹脂(Epoxy Resin)、ブチラールフェノール樹脂(Butyral Phenolic Resin)、フェノキシ樹脂(Phenoxy Resin)、アクリル樹脂(Acrylic Resin)、ウレタン樹脂(Polyurethane Resin)、シリコーンゴム樹脂(Silicone Rubber Resin)、パリレン樹脂(Parylene Resin)、ビスマレイミド樹脂(Bismaleinide resin)、ポリイミド樹脂(Polyimide Resin)、ポリウレタン樹脂(Urethane Resin)、シリカ樹脂(Silicon Dioxide Resin)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(Flueon resin)又はそれらの組合せを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1の接合層と第2の金属基材との間に、第2の接合層を含む接合構造を備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、接合構造は、複数の第3の絶縁層と複数の第2の接合層を更に含み、前記第3の絶縁層の任意の1つと前記第2の接合層の任意の1つとは互いに重なり、且つ最下層に位置する第3の絶縁層は第1の接合層の上に設けられ、最上層に位置する第2の接合層は第2の絶縁層の下に設けられる。
【0012】
本開示内容における別の態様は、第1の金属層と、第1の金属層に設けられる第1の絶縁層と、を含む第1の金属基材を提供する工程と、第2の金属層と、第2の金属層の下に設けられる第2の絶縁層と、を含む第2の金属基材を提供する工程と、誘電率が3よりも小さく、且つ損失定数が0.005よりも小さい第1の接合層を提供する工程と、第1の接合層を、第1の絶縁層及び第2の絶縁層に貼り合わせるように、第1の金属基材と第2の金属基材との間に設けて、複合基板を得る工程と、を備える複合基板の製造方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2の接合層を含む接合構造を、第1の接合層と第2の金属基材との間に形成することを更に含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の接合層を第1の金属基材と第2の金属基材との間に設ける工程は、280℃よりも低い温度で第1の接合層を加熱して、第1の金属基材と第2の金属基材との間に接着することを含む。
【0015】
前記一般的な記述及び下記具体的な説明は、単に例示であり、保護を要求する本開示内容を更に説明する意図にあることは、理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の参照図面の実施形態についての詳細な説明を読むことで、本開示内容をより完全に理解することができる。
図1A】本開示内容のいくつかの実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
図1B】本開示内容のいくつかの実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
図1C】本開示内容のいくつかの実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
図2】本開示内容の別の実施形態による複合基板を例示的に示す断面模式図である。
図3】本開示内容の別の実施形態による複合基板を例示的に示す断面模式図である。
図4A】本開示内容の他の実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
図4B】本開示内容の他の実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
図4C】本開示内容の他の実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
図4D】本開示内容の他の実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
理解すべきなのは、以下の内容で提供される実施形態又は実施例は、本開示の異なる特徴を実施することができる。特定の素子及び配置の実施例は、本開示を制限するものではなく、本開示を簡略化するためのものである。もちろん、これらは単なる実施例であり、限定することを意図しない。例として、以下のような第1の特徴が第2の特徴に形成されるという説明は、両者が直接接触し、又は直接接触せずに他の追加の特徴が介在されることを含む。また、本開示は、複数の実施例において、数値及び/又は符号を繰り返して参照することができる。このような繰り返しは、簡略化及び明確にするためのものであり、検討された各実施例及び/又は配置の間の関係を表しない。
【0018】
本明細書で使用される用語は、一般的に、本分野及び使用される文脈において通常の意味を有する。本明細書で使用される実施例は、本明細書で検討される任意の用語の例を含めて、単に説明的なものであり、本開示内容又は任意の例示的な用語の範囲及び意味を限定するものではない。同様に、本開示内容は、本明細書の提供するいくつかの実施に限定されない。
【0019】
理解すべきなのは、本明細書において「第1の」、「第2の」等の用語によって様々な素子を説明してよいが、これらの素子はこれらの用語により限定されない。これらの用語は、1つの素子や別の素子を区別することに用いられる。例として、本実施形態の範囲から逸脱しない限り、第1の素子は第2の素子と呼ばれてもよく、且つ類似的に、第2の素子は第1の素子と呼ばれてもよい。
【0020】
本明細書において、「及び/又は」の用語は、1つの又は複数の関連する示された項目の任意及び全ての組合せを含む。
【0021】
本明細書において、「備える」、「含む」、「有する」等の用語は、開放的なものとして理解されべきであり、即ち、それを含むがそれに限定されないという意味である。
【0022】
図1A図1Cは、本開示内容のいくつかの実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である。まず、図1Aを参照して、第1の金属層112と、第1の金属層112に設けられる第1の絶縁層122と、を含む第1の金属基材を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1の金属層112の材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、鉛-スズ合金(Sn-Pb Alloy)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ステンレス鋼(stainless steel)又はそれらの任意の組合せを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1の絶縁層122の材料は、ポリイミド(Polyimide;PI)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate;PET)、テフロン(Teflon)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer;LCP)、ポリエチレン(Polyethylene;PE)、ポリプロピレン(Polypropylene;PP)、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、ポリビニルクロリド(Polyvinyl Chloride;PVC)、ナイロン(Nylon or Polyamides)、アクリル(Acrylic)、ABS プラスチック(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、フェノール樹脂(Phenolic Resin)、エポキシ樹脂(Epoxy)、ポリエステル(Polyester)、シリコン(Silicone)、ポリウレタン(Polyurethane;PU)、ポリアミド・イミド(polyamide-imide;PAI)又はそれらの任意の組合せを含む。一実施形態において、絶縁層材料(例えば液晶ポリマー)の一部は、第1の金属層112を基礎とせずに、単独で第1の絶縁層122を形成することができ、且つ形成された第1の絶縁層122は接着剤によらずに、280℃以上で加熱すると第1の金属層112に貼り合うことができる。一実施形態において、第1の絶縁層122は、例えば変性ポリイミド(Modified Polyimide;MPI)又は可溶性液晶ポリマーのような、変性された絶縁材料である。可溶性液晶ポリマーは、液晶ポリマーの官能基を修飾することで形成される。例として、付加又は置換によって液晶ポリマーの官能基を修飾する。官能基により修飾された可溶性液晶ポリマーは、例えば、アミノ(amino)、カルボキサミド(carboxamido)、イミノ(imido又はimino)、アミジノ(amidino)、アミノカルボニルアミノ(aminocarbonylamino)、アミノチオカルボニル(aminothiocarbonyl)、アミノカルボニルオキシ(aminocarbonyloxy)、アミノスルホニル(aminosulfonyl)、アミノスルホニルオキシ(aminosulfonyloxy)、アミノスルホニルアミノ(aminosulfonylamino)、カルボキシルエステル(carboxyl ester)、(カルボキシルエステル)アミノ((carboxyl ester)amino)、(アルコキシカルボニル)オキシ((alkoxycarbonyl)oxy)、アルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)、ヒドロキシアミノ(hydroxyamino)、アルコキシアミノ(alkoxyamino)、シアナト(cyanato)、イソシアナト(isocyanato)又はその組合せのような官能基を有してよいが、それらに限定されない。未修飾の液晶ポリマーに比べると、可溶性液晶ポリマーの特定の溶媒への溶解度は、官能基により修飾されない液晶ポリマーの溶解度よりも高い。
【0025】
次に、図1Bを参照して、第1の接合層132を提供し、第1の接合層132の誘電率は3よりも小さく、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4又は2.5である。且つ損失定数が0.005よりも小さく、例えば、0.0015、0.0016、0.0017、0.0018、0.0019、0.002、0.0021、0.0022、0.0023、0.0024、0.0025、0.0026、0.0027、0.0028、0.0029、0.003、0.0031、0.0032、0.0033、0.0034、又は0.0035である。なお、注意すべきなのは、第1の接合層132の熱膨張係数及び吸水率は一般的な接着剤よりも低く、第1の接合層132の熱膨張係数は少なくとも50μm/m/℃よりも低く、25℃で24時間内に、第1の接合層132の吸水率は0.5%よりも低い。次に、第1の接合層132を、第1の絶縁層122に貼り合わせるように、第1の金属基材に設ける。いくつかの実施形態において、第1の接合層132の材料は、ポリエステル樹脂(Polyester Resin)、エポキシ樹脂(Epoxy Resin)、ブチラールフェノール樹脂(Butyral Phenolic Resin)、フェノキシ樹脂(Phenoxy Resin)、アクリル樹脂(Acrylic Resin)、ウレタン樹脂(Polyurethane Resin)、シリコーンゴム樹脂(Silicone Rubber Resin)、パリレン樹脂(Parylene Resin)、ビスマレイミド樹脂(Bismaleinide resin)、ポリイミド樹脂(Polyimide Resin)、ポリウレタン樹脂(Urethane Resin)、シリカ樹脂(Silicon Dioxide Resin)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(Flueon resin)又はそれらの組合せを含んでよい。
【0026】
引き続き図1Cを参照すると、第2の金属層114とその下に設けられる第2の絶縁層124とを含む第2の金属基材を提供し、その製造方法及び材料については第1の金属基材を参照してよい。次に、第2の絶縁層124を第1の接合層132に貼り合わせ、つまり、第1の接合層132を第1の絶縁層122及び第2の絶縁層124に貼り合わせるように、第2の金属基材を第1の接合層132に設けて、複合基板(この図において、2層板とも呼ばれる)を得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1の接合層132を第1の金属基材と第2の金属基材との間に設ける工程は、280℃よりも低い温度で第1の接合層132を加熱して、第1の金属基材と第2の金属基材との間に接着することを含む。即ち、得られた複合基板は、第1の接合層132によって第1の絶縁層122と第2の絶縁層124とを粘着する。一実施形態において、280℃よりも低い温度で第1の接合層132を加熱することは、二段階の加熱を含み、第1の段階の温度は100℃~150℃(例として100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、又は前記の任意区間の値)であり、第2の段階の温度は250℃~280℃(例として250℃、260℃、270℃、275℃又は前記の任意区間の値)である。
【0028】
注意すべきなのは、従来の2層板の製造では、例えば280℃よりも高い高温で2層金属板及びその中に挟まれる絶縁層をプレスして、絶縁層が液晶ポリマーである場合、温度をガラス転移温度と融点との間に向上させて、絶縁層内の分子を再配置して、金属板に貼り合わせると、絶縁層と金属層との貼り合いが不均一になり、流れのダイナミクスによる位置合わせが不十分になり、さらに金属板の収縮による悪影響が生じることがよくある。また、絶縁層の厚さが制限されているため、例えば、単層MPIの厚さが一般的に125μmを超えず、従来の2層板の厚さが制限される。絶縁層と金属板とを通常の接着剤で直接貼り合わせると、通常の接着剤の熱膨張係数及び吸水率が高いので、絶縁層との接合の信頼性が不良であり、前記の絶縁層と金属板を密着に接合させる効果を達成することは困難である。
【0029】
それに比べると、本開示内容のいくつかの実施形態において、第1の接合層132を第1の金属基材の第1の絶縁層122と第2の金属基材の第2の絶縁層124との間に設けることで、280℃よりも低い温度で加熱すると、第1の接合層132を第1の金属基材及び第2の金属基材に貼り合わせることができ、また接合層の設置層数又は厚さを調整することで、接合層の低誘電体常数及び低誘電体損失の特性を使用して、信号の伝送に影響を与えず、信号の損失や板表面の変形とならないように、要件に応じて2層板の厚さを調整することができる。従来の高温プレスの不良効果を改善するとともに、製品の歩留まりを向上させ、2層板の厚さの弾性を高める。更に、第1の粘着層132の低い膨張係数及び低い吸水特性によれば、第1の粘着層132と金属基板及び絶縁層との粘着の安定性及び信頼性を更に向上させる。
【0030】
即ち、再度図1Cを参照すると、本開示内容のいくつかの実施形態において、第1の金属基材と、第1の接合層132と、第2の金属基材と、を備える複合基板を提供する。第1の金属基材は、第1の金属層112及び第1の絶縁層122を含み、第1の絶縁層122が第1の表面及び第1の表面に対する第2の表面を含み、第1の絶縁層122の第1の表面が下に向き、第1の金属層112に設けられる。第1の接合層132は、第1の絶縁層122の第2の表面に設けられ、その誘電率が3よりも小さく、且つ損失定数が0.005よりも小さい。第2の金属基材は、第2の金属層114及び第2の絶縁層124を含み、第2の絶縁層124が第3の表面及び第3の表面に対する第4の表面を含み、第2の絶縁層124の第3の表面が下に向き、第1の接合層132に設けられ、第2の金属層114が第2の絶縁層124の第4の表面に設けられる。
【0031】
いくつかの実施形態において、金属層の一部又は全部は、パターニングされた金属層であり、本開示内容の別の実施形態による複合基板を例示的に示す断面模式図である図2を参照すると、例えば、パターニングされた第1の金属層142及びパターニングされた第2の金属層144がある。いくつかの実施形態において、パターニングされた金属層の表面は、回路構造を有する。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1の接合層132と第2の金属基材との間に若干の接合層を含む接合構造を設けてよく、これにより、絶縁層の厚さに限定されずに、ニーズに応じて2層板の厚さを柔軟に向上させることができる。本開示内容の別の実施形態による複合基板を例示的に示す断面模式図である図3を参照すると、接合構造は複数の第3の絶縁層126と複数の第2の接合層134を含み、第3の絶縁層126と第2の接合層134とは互いに重なり、且つ最下層に位置する第3の絶縁層126が第1の接合層132の上に設けられ、最上層に位置する第2の接合層134が第2の絶縁層124の下に設けられる。
【0033】
いくつかの実施形態において、例えば、本開示内容の他の実施形態による複合基板の製造フローを例示的に示す断面模式図である図4A図4Dに示すように、接合層の設計によって、2層板の製造に基づいて更に多層板を形成してよい。まず、図4Aを参照すると、第4の絶縁層128を図1Cにおける第2の金属層114に設ける。次に、引き続き図4B図4Cを参照すると、第3の接合層136を第2の金属基材の上に設け、また第3の金属基材を第3の接合層136の上に設け、第3の金属基材が第3の金属層116及び第3の絶縁層126を含むので、第3の接合層136を第3の絶縁層126及び第4の絶縁層128に貼り合わせて、3層板を得る。フローにおける材料、パラメータ等についての説明は、前記図1B図1Cを参照して要求に応じて調整してよいので、ここで繰り返して説明しない。更に、図4Dを参照すると、複合基板に必要な金属基材層数に応じて、図4A図4Cのプロセスを繰り返して、層数が異なる金属基材を有する複合基板を得ることができる。いくつかの実施形態において、更に前記図3の接合構造に合わせて、多層板における層間厚さを柔軟に調整してもよい。従来の多層板のプロセスに比べると、信号の伝達に影響を与えず、信号の損失を引き起こさない前提で、高温プレスによる不均一な接着、位置合わせの不良、又は基板表面の収縮や変形を改善すると共に、金属層の態様上の弾性(例えば、層数や層間の厚さの変化)を改善することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、複数の金属層(例えば、第1の金属層112、第2の金属層114、及び第3の金属層116)の間の材料は、同じでも異なってもよい。複数の絶縁層(例えば、第1の絶縁層122、第2の絶縁層124、第3の絶縁層126、第4の絶縁層128)の間の材料は、同じでも異なってもよい。複数の接合層(例えば、第1の接合層132、第2の接合層134、及び第3の接合層136)の間の材料は、同じでも異なってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、複合基板は、金属層、絶縁層、及び接合層を貫通する1つ又は複数の導電性孔を更に含んでよい。導電性孔の内部填充材料は、金属層の材料と同じでもよく類似してもよい。
【0036】
また、本開示内容に記載の複合基板は、本開示内容の精神から逸脱せずに、組合せて厚い回路基板を形成することができる。例として、絶縁層は、2層以上の液晶ポリマーを含んでよいが、これに限定されなく、その表面の回路又は受けられた配線の設置と合致するように、異なる設計のニーズに応じて、任意にその中の層数、材料や単層の厚さを調整してよい。
【0037】
最後、注意すべきなのは、本開示内容のいくつかの実施形態の開示する低誘電体常数及び低誘電体損失の接合層の適用によれば、製造者が設計のニーズに応じて、金属層の間距を柔軟に調整することができ、高温でのプレスによらずに、層間厚さが異なる複合基板を得、これにより、高温プレスによる不均一な接着、位置合わせの不良、又は基板表面の収縮や変形等の不良効果を避け、粘着層の設計により複合基板の信号の伝送及び信号の損失に影響を与えず、複合基板の設計の柔軟性及び生産歩留まりを向上させる。
【0038】
本開示内容は、いくつかの実施形態に基づいて細部を具体的に説明したが、他の実施形態も実行可能である。従って、特許請求の範囲の精神や範囲は、本明細書に記載の実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0039】
112:第1の金属層
114:第2の金属層
116:第3の金属層
122:第1の絶縁層
124:第2の絶縁層
126:第3の絶縁層
128:第4の絶縁層
132:第1の接合層
134:第2の接合層
136:第3の接合層
142:パターニングされた第1の金属層
144:パターニングされた第2の金属層
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D