IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミネベア株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図1
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図2
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図3
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図4
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図5
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図6
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図7
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図8
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図9
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図10
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図11
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図12
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図13
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図14
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図15
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図16
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図17
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図18
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図19
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図20
  • 特許-湿度検出装置及び温度検出装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】湿度検出装置及び温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
G01N27/22 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018215850
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020085498
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中根 健智
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-028824(JP,A)
【文献】特開2005-217252(JP,A)
【文献】特開2005-340277(JP,A)
【文献】特開2016-011889(JP,A)
【文献】特開2018-059716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
G01K 7/00 - G01K 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度検出部及び温度検出部を有するセンサチップと、前記湿度検出部及び温度検出部を露出させた状態で前記センサチップを封止する封止部材とを含む湿度検出装置であって、
前記センサチップは、
前記温度検出部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された複数の配線層と、
前記複数の配線層のうちの少なくとも1つの配線層と前記半導体基板とを接続する基板接続層と、
前記複数の配線層間を接続する1又は複数の層間接続層と、
前記基板接続層により形成され、前記温度検出部の周囲を囲う第1遮光壁と、
前記層間接続層により形成され、前記温度検出部の周囲を囲う第2遮光壁と、
前記複数の配線層のうちの前記第2遮光壁よりも上層の配線層により形成され、前記温度検出部の上方を覆う遮光膜と、を有する湿度検出装置。
【請求項2】
前記第2遮光壁は、前記第1遮光壁の外側に配置されている請求項1に記載の湿度検出装置。
【請求項3】
前記第1遮光壁、前記第2遮光壁、及び前記遮光膜は、前記センサチップに形成されたグランド電極端子に電気的に接続されている請求項1又は2に記載の湿度検出装置。
【請求項4】
前記温度検出部には信号線が接続されており、
前記第1遮光壁及び前記第2遮光壁は、前記温度検出部の周囲のうち、前記温度検出部から引き出される前記信号線以外の部分を囲っている請求項1ないし3いずれか1項に記載の湿度検出装置。
【請求項5】
前記温度検出部は、ベースとコレクタを接続した1又は複数のバイポーラトランジスタを含む請求項1ないし4いずれか1項に記載の湿度検出装置。
【請求項6】
前記ベース及び前記コレクタは、それぞれ前記半導体基板の表層に形成された不純物拡散層であり、前記層間接続層と、前記複数の配線層のうちの最下層の配線層とで接続されている請求項5に記載の湿度検出装置。
【請求項7】
前記湿度検出部は、
前記複数の配線層のうちの最上層の配線層により形成された下部電極と、
前記下部電極上に形成された感湿膜と、
前記感湿膜上に形成された上部電極と、
を有する請求項1ないし6いずれか1項に記載の湿度検出装置。
【請求項8】
前記感湿膜は、ポリイミドにより形成されている請求項7に記載の湿度検出装置。
【請求項9】
前記遮光膜はアルミニウム又はアルミシリコン合金により形成されており、前記第1遮光壁及び前記第2遮光壁はタングステンにより形成されている請求項1ないし8いずれか1項に記載の湿度検出装置。
【請求項10】
温度検出部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された複数の配線層と、
前記複数の配線層のうちの少なくとも1つの配線層と前記半導体基板とを接続する基板接続層と、
前記複数の配線層間を接続する1又は複数の層間接続層と、
前記基板接続層により形成され、前記温度検出部の周囲を囲う第1遮光壁と、
前記層間接続層により形成され、前記温度検出部の周囲を囲う第2遮光壁と、
前記複数の配線層のうちの前記第2遮光壁よりも上層の配線層により形成され、前記温度検出部の上方を覆う遮光膜と、
を有する温度検出装置。
【請求項11】
前記温度検出部は、第1抵抗体と、第2抵抗体と、第3抵抗体と、第4抵抗体とが互いに接続されたブリッジ回路からなる抵抗型温度センサであって、
前記第1抵抗体と前記第2抵抗体とは、電源電位とグランド電位との間に直列に接続され、前記第3抵抗体と前記第4抵抗体とは、電源電位とグランド電位との間に直列に接続されており、
前記第1抵抗体、前記第2抵抗体、前記第3抵抗体、及び前記第4抵抗体は、前記半導体基板の表層に形成されている請求項10に記載の温度検出装置。
【請求項12】
前記第1抵抗体と前記第4抵抗体とは、不純物濃度および温度係数がほぼ同一であり、
前記第2抵抗体と前記第3抵抗体とは、不純物濃度および温度係数がほぼ同一である請求項11に記載の温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度検出装置及び温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
湿度検出装置には、吸収した水分量に応じて誘電率が変化する高分子材料で形成された感湿膜を誘電体として用いた静電容量式のものがある。この静電容量式の湿度検出装置では、感湿膜が電極間に配置され、この電極間の静電容量を測定することにより湿度(相対湿度)が求められる。
【0003】
このような湿度検出装置は、例えば、湿度検出部を有するセンサチップを封止部材としての樹脂で封止することによりパッケージ化される。湿度検出部が検出対象としての外気に接する必要があるので、封止部材には、湿度検出部を露出させるための開口部が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、センサチップに、湿度検出部に加えて、外気の温度を検出するための温度検出部が設けられたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-59716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサチップに湿度検出部に加えて温度検出部を設けた場合には、湿度検出部と温度検出部との両方を、封止部材から露出させるために上記開口部に配置する必要がある。
【0007】
しかし、温度検出部として半導体のバンドギャップの特性を利用したバンドギャップ型の温度センサを用いた場合には、温度検出部に光が入射することにより光電効果が生じて上記特性が変動し、温度の検出精度が劣化する可能性がある。
【0008】
このため、温度検出部の光入射側に配線層を用いて遮光膜を形成することが考えられるが、配線層は、異なる電位の配線を複数形成するために、同一の配線層内において配線間にスリット(隙間)を形成する必要がある。このスリットから光が進入して温度検出部に入射する可能性がある。
【0009】
本発明は、温度検出部の遮光性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術は、湿度検出部及び温度検出部を有するセンサチップと、前記湿度検出部及び温度検出部を露出させた状態で前記センサチップを封止する封止部材とを含む湿度検出装置であって、前記センサチップは、前記温度検出部が形成された半導体基板と、前記半導体基板上に形成された複数の配線層と、前記複数の配線層のうちの少なくとも1つの配線層と前記半導体基板とを接続する基板接続層と、前記複数の配線層間を接続する1又は複数の層間接続層と、前記基板接続層により形成され、前記温度検出部の周囲を囲う第1遮光壁と、前記層間接続層により形成され、前記温度検出部の周囲を囲う第2遮光壁と、前記複数の配線層のうちの前記第2遮光壁よりも上層の配線層により形成され、前記温度検出部の上方を覆う遮光膜と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温度検出部の遮光性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る湿度検出装置の概略構成を例示する図である。
図2図1中のA-A線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
図3】モールド樹脂を除去した状態における湿度検出装置の平面図である。
図4】センサチップの構成を示す概略平面図である。
図5】ESD保護回路の構成を例示する回路図である。
図6】ESD保護回路を構成するNMOSトランジスタの層構造を例示する図である。
図7】湿度検出部の構成を例示する回路図である。
図8】温度検出部の構成を例示する回路図である。
図9】センサチップの素子構造を説明するための概略断面図である。
図10】下部電極及び上部電極の形状を例示する平面図である
図11】加熱部を構成するn型拡散層の形状を例示する平面図である。
図12】ASICチップの機能構成を例示するブロック図である。
図13】第1プラグ層のパターンを例示する平面図である。
図14図13中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
図15】第1配線層のパターンを例示する平面図である。
図16図15中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
図17】第2プラグ層のパターンを例示する平面図である。
図18図17中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
図19】第2配線層のパターンを例示する平面図である。
図20図19中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
図21】温度検出部を抵抗型温度センサとした例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。なお、本開示において、単に湿度と記載されている場合における湿度は、相対湿度を意味する。
【0014】
[概略構成]
本発明の一実施形態に係る湿度検出装置10の構成について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る湿度検出装置10の概略構成を例示する図である。図1(A)は、湿度検出装置10を上方から見た平面図である。図1(B)は、湿度検出装置10を下方から見た下面図である。図1(C)は、湿度検出装置10を横方向から見た側面図である。また、図2は、図1(A)中のA-A線沿う断面を概略的に示す断面図である。
【0016】
湿度検出装置10は、平面形状がほぼ矩形状であって、対向する2組の二辺の一方がX方向に平行であって、他方がY方向に平行である。X方向とY方向とは互いに直交する。また、湿度検出装置10は、X方向及びY方向に直交するZ方向に厚みを有する。なお、湿度検出装置10の平面形状は、矩形状に限られず、円形、楕円、多角形等であってもよい。
【0017】
湿度検出装置10は、第1半導体チップとしてのセンサチップ20と、第2半導体チップとしてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)チップ30と、封止部材としてのモールド樹脂40と、複数のリード端子41とを有する。
【0018】
センサチップ20は、ASICチップ30上に第1DAF(Die Attach Film)42を介して積層されている。すなわち、センサチップ20とASICチップ30とは、スタック構造となっている。
【0019】
センサチップ20とASICチップ30とは、複数の第1ボンディングワイヤ43により電気的に接続されている。ASICチップ30と複数のリード端子41とは、複数の第2ボンディングワイヤ44により電気的に接続されている。
【0020】
このように積層化されたセンサチップ20及びASICチップ30、複数の第1ボンディングワイヤ43、複数の第2ボンディングワイヤ44、及び複数のリード端子41は、モールド樹脂40により封止されてパッケージ化されている。このパッケージ方式は、PLP(Plating Lead Package)方式と呼ばれるものである。
【0021】
ASICチップ30の下面には、詳しくは後述するが、PLP方式によりパッケージ化する際に使用された第2DAF45が残存している。第2DAF45は、ASICチップ30の下面を絶縁する役割を有する。湿度検出装置10の下面には、第2DAF45と、複数のリード端子41とが露出している。
【0022】
各リード端子41は、ニッケルや銅により形成されている。第1DAF42及び第2DAF45は、それぞれ樹脂とシリカなどの混合物からなる絶縁材料で形成されている。モールド樹脂40は、カーボンブラックやシリカなどの混合物を含むエポキシ樹脂等の遮光性を有する黒色系の樹脂である。
【0023】
湿度検出装置10の上面側には、センサチップ20の一部をモールド樹脂40から露出させる開口部50が形成されている。この開口部50は、例えば、壁部がテーパ状であって、開口面積が下方に向かうにつれて小さくなる。この開口部50のうち、実際にセンサチップ20を露出させる最下端の部分を有効開口部51という。
【0024】
開口部50を形成する際には、金型をセンサチップ20に押しあてながらモールド樹脂40により封止する。このときの金型によるセンサチップ20とASICチップ30とへの押圧力によって、チップ割れ等の破損が生じるおそれがある。この破損を防止するために、センサチップ20の厚みT1とASICチップ30の厚みT2は、それぞれ例えば200μm以上であることが好ましい。
【0025】
図3は、モールド樹脂40を除去した状態における湿度検出装置10の平面図である。図3に示すように、センサチップ20とASICチップ30とは、それぞれ平面形状がほぼ矩形状であって、X方向に平行な二辺と、Y方向に平行な二辺とを有する。センサチップ20は、ASICチップ30より小さく、ASICチップ30の表面上に第1DAF42を介して積層されている。
【0026】
センサチップ20には、有効開口部51により露出される領域に、湿度検出部21と、温度検出部22と、加熱部23とが設けられている。加熱部23は、湿度検出部21の下面側に、湿度検出部21の形成領域を覆うように形成されている。すなわち、加熱部23の面積は、湿度検出部21より大きい。このように、封止部材としてのモールド樹脂40は、湿度検出部21及び温度検出部22を露出させた状態でセンサチップ20等を封止している。
【0027】
また、センサチップ20の端部には、複数のボンディングパッド(以下、単にパッドという。)24が形成されている。本実施形態では、6個のパッド24が形成されている。パッド24は、例えばアルミニウムやアルミシリコン合金(AlSi)により形成されている。
【0028】
ASICチップ30は、信号処理及び制御用の半導体チップであって、後述する湿度計測処理部31、温度計測処理部32、加熱制御部33、及び故障判定部34(いずれも図12参照)が形成されている。
【0029】
また、ASICチップ30の表面においてセンサチップ20で覆われていない領域には、複数の第1パッド35と、複数の第2パッド36とが設けられている。第1パッド35及び第2パッド36は、例えばアルミニウムやアルミシリコン合金(AlSi)により形成されている。
【0030】
第1パッド35は、第1ボンディングワイヤ43を介して、センサチップ20の対応するパッド24に接続されている。第2パッド36は、第2ボンディングワイヤ44を介して、対応するリード端子41に接続されている。リード端子41は、ASICチップ30の周囲に配置されている。製造時において、ASICチップ30の実装位置は、リード端子41を基準として決定される。センサチップ20のASICチップ30上の実装位置は、ASICチップ30の位置又はリード端子41のいずれかを基準として決定される。開口部50は、金型を用いたトランスファモールド法等により形成されるが、この金型の位置は、リード端子41を基準として決定される。
【0031】
図3に示す符号25は、センサチップ20上における湿度検出部21及び温度検出部22の形成許容領域を表す。この形成許容領域25は、実装時に、ASICチップ30、センサチップ20、及び金型の間に位置ずれが最も大きく発生した場合であっても、開口部50から確実に露出するように、開口部50の形成領域内に設定されている。湿度検出部21及び温度検出部22は、形成許容領域25内に形成されていれば、上記位置ずれにかかわらず、開口部50から確実に露出する。
【0032】
[センサチップの構成]
次に、センサチップ20の構成について説明する。
【0033】
図4は、センサチップ20の構成を示す概略平面図である。前述のパッド24は、外部からの電圧印加や、電位検出に使用される端子である。図4では、図3に示した複数のパッド24を、パッド24a~24fと区別して示している。なお、パッド24a~24fを区別する必要がない場合は、単にパッド24という。
【0034】
パッド24aは、グランド電位に接地されるグランド電極端子(GND)として機能する。このパッド24aは、配線や基板を介して、温度検出部22や加熱部23等の各部に電気的に接続される。
【0035】
パッド24bは、湿度検出部21の下部電極83に電気的に接続された下部電極端子(BOT)である。パッド24bは、下部電極83に駆動電圧を供給するために用いられる。パッド24cは、湿度検出部21の上部電極84に電気的に接続された湿度検出用端子(HMD)である。パッド24cは、上部電極84から相対湿度の検出信号を取得するために用いられる。パッド24dは、湿度検出部21の参照電極82に電気的に接続された参照電極端子(REF)である。パッド24dは、参照電極82から湿度検出用の参照信号を取得するために用いられる。
【0036】
パッド24eは、温度検出部22に電気的に接続された温度検出用端子(TMP)である。パッド24eは、温度の検出信号を取得するために用いられる。パッド24fは、加熱部23に電気的に接続された加熱用端子(HT)である。パッド24fは、加熱部23を駆動するための駆動電圧を供給するために用いられる。
【0037】
また、パッド24a以外のパッド24b~24fには、それぞれ静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)保護回路60が接続されている。各ESD保護回路60は、入力端子又は出力端子としてのパッド24b~24fのそれぞれと、グランド電極端子としてのパッド24aとの間に接続されている。本実施形態では、ESD保護回路60は、1つのダイオード61により構成されている。ダイオード61は、アノード側がパッド24aに接続され、カソード側がパッド24b~24fのうちのいずれかに接続されている。
【0038】
ESD保護回路60は、有効開口部51から可能な限り離すように、パッド24b~24fの近傍に配置することが好ましい。ESD保護回路60は、モールド樹脂40により覆われているので、光電効果による不要な電荷発生が生じることはない。
【0039】
[ESD保護回路の構成]
次に、ESD保護回路60の構成について説明する。
【0040】
図5は、ESD保護回路60の構成を例示する回路図である。図5に示すように、ESD保護回路60を構成するダイオード61は、例えば、NチャネルMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ(以下、NMOSトランジスタという。)により形成されている。具体的には、ダイオード61は、NMOSトランジスタのソースとゲートとバックゲートを短絡(いわゆるダイオード接続)したものである。この短絡部は、アノードとして機能する。このNMOSトランジスタのドレインは、カソードとして機能する。
【0041】
図6は、ESD保護回路60を構成するNMOSトランジスタの層構造を例示する図である。このNMOSトランジスタは、センサチップ20を構成するためのp型半導体基板70の表層に形成された2つのn型拡散層71,72と、コンタクト層73と、ゲート電極74とを有する。ゲート電極74は、p型半導体基板70の表面上にゲート絶縁膜75を介して形成されている。ゲート電極74は、2つのn型拡散層71,72の間に配置されている。
【0042】
例えば、n型拡散層71がソースとして機能し、n型拡散層72がドレインとして機能する。コンタクト層73は、バックゲートとしてのp型半導体基板70との電気的接続のための低抵抗層(p型拡散層)である。n型拡散層71とゲート電極74とコンタクト層73とは、共通に接続されて短絡される。この短絡部がアノードとして機能し、n型拡散層72がカソードとして機能する。
【0043】
p型半導体基板70は、例えばp型シリコン基板である。ゲート電極74は、金属や多結晶シリコン(ポリシリコン)により形成されている。ゲート絶縁膜75は、例えば、二酸化シリコン等の酸化膜により形成されている。
【0044】
[湿度検出部の構成]
次に、湿度検出部21の構成について説明する。
【0045】
図7は、湿度検出部21の構成を例示する回路図である。図7に示すように、湿度検出部21は、湿度検出用キャパシタ80と参照用キャパシタ81とを有する。
【0046】
湿度検出部21の一方の電極(下部電極83)は、下部電極端子としてのパッド24bに接続されている。湿度検出部21の他方の電極(上部電極84)は、湿度検出用端子としてのパッド24cに接続されている。参照用キャパシタ81の一方の電極は、湿度検出部21の一方の電極(下部電極83)と共通である。参照用キャパシタ81の他方の電極(参照電極82)は、参照電極端子としてのパッド24dに接続されている。
【0047】
湿度検出用キャパシタ80は、電極間に後述する感湿膜86が設けられている。感湿膜86は、空気中の水分を吸収し、吸収した水分量に応じて誘電率が変化するポリイミド等の高分子材料で形成されている。したがって、湿度検出用キャパシタ80は、感湿膜86が吸収する水分量に応じて静電容量が変化する。
【0048】
参照用キャパシタ81は、電極間に後述する第2絶縁膜111(図9参照)が設けられている。第2絶縁膜111は、水分を吸収しない二酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料で形成されている。したがって、参照用キャパシタ81は、静電容量は変化しないか、変化したとしても極僅かである。
【0049】
感湿膜86に含まれる水分量は、湿度検出装置10の周囲の湿度に対応するので、湿度検出用キャパシタ80の静電容量と参照用キャパシタ81の静電容量との差を検出することにより、相対湿度を測定することができる。この相対湿度の測定は、湿度検出用端子としてのパッド24cの電位と、参照電極端子としてのパッド24dの電位とに基づき、ASICチップ30内の湿度計測処理部31(図12参照)によって行われる。
【0050】
[温度検出部の構成]
次に、温度検出部22の構成について説明する。
【0051】
図8は、温度検出部22の構成を例示する回路図である。温度検出部22は、半導体のバンドギャップで温度変化により電気特性が比例的に変化する特性を利用して温度を検出するバンドギャップ型の温度センサである。例えば、温度検出部22は、ベース、エミッタ、コレクタのいずれか2つを接続して2端子とされた1又は複数のバイポーラトランジスタを含む。この2端子間の抵抗値を検出することにより、温度を測定することができる。
【0052】
図8に示すように、本実施形態では、温度検出部22は、ベースとコレクタを接続したnpn型のバイポーラトランジスタ90を、複数個(例えば8個)並列に接続することにより構成されている。このように、複数個のバイポーラトランジスタ90を並列接続することにより、pn接合の接合面積が増大し、ESD耐性が向上する。
【0053】
バイポーラトランジスタ90のエミッタは、グランド電極端子としてのパッド24aに接続されている。バイポーラトランジスタ90のベース及びコレクタは、温度検出用端子としてのパッド24eに接続されている。
【0054】
温度の測定は、パッド24eの電位に基づき、ASICチップ30内の温度計測処理部32(図12参照)によって行われる。
【0055】
[センサチップの素子構造]
次に、センサチップ20の素子構造について説明する。
【0056】
図9は、センサチップ20の素子構造を説明するための概略断面図である。なお、図9では、パッド24a,24b,24c,24eを、湿度検出部21、温度検出部22、及び加熱部23と同一の断面内に示しているが、これは構造の理解を容易にするために示したものであり、実際に同一断面内に存在することを意味するものではない。湿度検出部21、温度検出部22、及び加熱部23の断面についても、構造の理解を容易にするために簡略化しており、各部の位置関係等は実際とは異なる。
【0057】
図9に示すように、センサチップ20は、前述のp型半導体基板70を用いて形成されている。このp型半導体基板70には、第1ディープnウェル100aと、第2ディープnウェル100bとが形成されている。第1ディープnウェル100aには、温度検出部22が形成されている。第2ディープnウェル100bには、加熱部23が形成されている。
【0058】
第1ディープnウェル100aと第2ディープnウェル100bとのいずれも形成されていないp型半導体基板70の表層には、pウェル103a,103bが形成されている。pウェル103a,103bの表層には、それぞれp型拡散領域からなるコンタクト層104a,104bが形成されている。コンタクト層104a,104bは、p型半導体基板70上に形成される所定の配線層とp型半導体基板70との電気的接続のための低抵抗層(p型拡散層)である。
【0059】
第1ディープnウェル100aの表層には、pウェル101とnウェル102とが形成されている。pウェル101の表層には、n型拡散層91及びp型拡散層92が形成されている。nウェル102の表層には、n型拡散層93が形成されている。n型拡散層91、p型拡散層92、及びn型拡散層93は、前述のnpn型のバイポーラトランジスタ90を構成し、それぞれエミッタ、ベース、及びコレクタとして機能する。
【0060】
第2ディープnウェル100bの表層には、pウェル105が形成されている。pウェル105の表層には、1又は2以上のn型拡散層106が形成されている。本実施形態では、複数のn型拡散層106が形成されている。例えば、各n型拡散層106は、紙面に直交する方向に延伸しており、全体として1次元格子状となっている(図11参照)。n型拡散層106は、所定の抵抗値(例えば、約3Ωのシート抵抗値)を有し、電流が流れることにより発熱する抵抗体として機能する。すなわち、n型拡散層106は、前述の加熱部23を構成する。
【0061】
p型半導体基板70内の各層は、通常の半導体製造工程(CMOSプロセス)を用いて形成される。したがって、抵抗体としてのn型拡散層106は、温度検出部22の一部に含まれるn型拡散層91,93と同一の製造工程で形成される。n型拡散層106,91,93は、n型不純物(例えばリン)をイオン注入することにより基板中への不純物添加を行うイオン注入工程により同時に形成される。すなわち、抵抗体としてのn型拡散層106は、温度検出部22の一部に含まれるn型拡散層91,93と、p型半導体基板70の表面からの深さが同一である。また、n型拡散層106は、温度検出部22の一部に含まれるp型拡散層92と、p型半導体基板70の表面からの深さが同一であってもよい。
【0062】
なお、n型拡散層106,91,93は、イオン注入工程に代えて、熱処理によって不純物添加を行う熱拡散工程で形成することも可能である。
【0063】
また、前述のESD保護回路60のn型拡散層71,72についてもn型拡散層106,91,93と同一の製造工程(イオン注入工程又は熱拡散工程)で作成される。コンタクト層73は、p型拡散層92、コンタクト層104a,104b等と同一の製造工程(イオン注入工程又は熱拡散工程)で作成される。
【0064】
p型半導体基板70中のその他の層は、主にコンタクト層として機能するものであるので、説明は省略する。
【0065】
p型半導体基板70の表面上には、第1絶縁膜110、第2絶縁膜111、及び第3絶縁膜112が順に積層されている。これらは、二酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料で形成されている。
【0066】
第1絶縁膜110上には、第1配線層120が形成されている。第2絶縁膜111上には、第2配線層121が形成されている。第2絶縁膜111は、第1配線層120上を覆っている。第3絶縁膜112は、第2配線層121上を覆っている。第1配線層120及び第2配線層121は、アルミニウム(Al)等の導電性材料により形成されている。第1配線層120及び第2配線層121の導電性材料として、AlSi,AlSiCu,Au/Ni,Cr等を用いることも可能である。
【0067】
第1絶縁膜110中には、第1配線層120をp型半導体基板70に接続するための複数の第1プラグを有する第1プラグ層122が形成されている。第1プラグ層122は、基板接続層ともいう。第2絶縁膜111中には、第1配線層120と第2配線層121とを接続するための複数の第2プラグを有する第2プラグ層123が形成されている。第2プラグ層123は、層間接続層ともいう。第1プラグ層122及び第2プラグ層123は、タングステン(W)等の導電性材料により形成される。
【0068】
例えば、前述のバイポーラトランジスタ90のベースとコレクタとを接続するための配線94は、第1配線層120により形成され、第1プラグ層122を介してp型拡散層92及びn型拡散層93に接続される。また、配線94は、第2プラグ層123及び第2配線層121を介して、温度検出用端子としてのパッド24eに接続される。また、バイポーラトランジスタ90のエミッタとしてのn型拡散層91は、第1プラグ層122、第1配線層120、及び第2配線層121を介して、グランド電極端子としてのパッド24aに接続される。
【0069】
加熱部23の一端をグランド電位に接地するための配線107は、第1配線層120により形成され、第1プラグ層122を介してn型拡散層106及びコンタクト層104bに接続される。また、加熱部23の他端を加熱用端子としてのパッド24fに接続するための配線108は、第1プラグ層122を介してn型拡散層106に接続され、かつ、第2プラグ層123及び第2配線層121を介してパッド24fに接続される。なお、配線108は、加熱部23に大きな電流を流すことによるエレクトロマイグレーションを防止するために、他の配線より幅を太くすることが好ましい。
【0070】
参照用キャパシタ81の参照電極82は、第1配線層120により形成され、第2プラグ層123及び第2配線層121を介して、参照電極端子としてのパッド24d(図9では図示せず)に接続される。
【0071】
また、湿度検出用キャパシタ80の下部電極83は、第2配線層121により形成され、下部電極端子としてのパッド24bに電気的に接続されている。実際には、下部電極83は、第2プラグ層123を介して第1配線層120により形成された配線(図示せず)に接続されている。この配線は、第2プラグ層123を介して第2配線層121により形成された配線(図示せず)に接続され、パッド24bに接続されている。
【0072】
さらに、湿度検出用キャパシタ80の上部電極84を湿度検出用端子としてのパッド24cに電気的に接続するための配線85は、第2配線層121により形成されている。実際には、配線85は、第2プラグ層123を介して第1配線層120により形成された配線(図示せず)に接続されている。この配線は、第2プラグ層123を介して第2配線層121により形成された配線(図示せず)に接続され、パッド24eに接続されている。
【0073】
なお、下部電極83は、第2絶縁膜111を介して参照電極82に対向する位置に配置されている。
【0074】
パッド24a~24fは、アルミニウム等の導電性材料によって、第3絶縁膜112上に形成され、第3絶縁膜112を貫通して第2配線層121に接続されている。
【0075】
第3絶縁膜112上には、感湿膜86が形成されている。感湿膜86は、厚みが0.5μm~1.5μmであって、湿度に応じて水分子を吸着及び脱着しやすい高分子材料で形成されている。感湿膜86は、例えば、厚みが1μmのポリイミド膜である。なお、感湿膜86を形成する高分子材料は、ポリイミドに限られず、セルロース、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)などであってもよい。
【0076】
感湿膜86の上面は平坦であり、この上面に、平板状の上部電極84が形成されている。上部電極84は、感湿膜86を介して下部電極83に対向する位置に形成されている。上部電極84の一部は、配線85に接続されている。上部電極84は、例えば、厚みが200nmのアルミニウム等で形成された導電膜である。また、上部電極84には、空気中の水分子を感湿膜86に効率的に取り込むために、複数の開口84aが形成されている。
【0077】
感湿膜86上には、上部電極84を覆うようにオーバーコート膜87が設けられている。オーバーコート膜87は、高分子材料、例えば、感湿膜86と同一の材料で形成されている。オーバーコート膜87の厚みは、例えば0.5μm~10μmである。
【0078】
感湿膜86及びオーバーコート膜87には、パッド24a~24fを露出させる開口が形成されている。
【0079】
このように、下部電極83と上部電極84とによって平行平板の湿度検出用キャパシタ80が構成されている。また、下部電極83と参照電極82とによって、平行平板の参照用キャパシタ81が構成されている。また、湿度検出用キャパシタ80と参照用キャパシタ81とは、加熱部23の上方に配置されている。
【0080】
したがって、加熱部23が発熱することにより、下部電極83と上部電極84との間の感湿膜86が加熱される。これにより、感湿膜86は、加熱により温度が上昇することで湿度に応じた量の水分子を吸着するので、誘電率が変化し、湿度検出用キャパシタ80の静電容量が低下する。また、温度検出部22は、加熱部23により生じる温度上昇を検出する。
【0081】
図10は、下部電極83及び上部電極84の形状を例示する平面図である。図10に示すように、下部電極83と上部電極84とはともに矩形状である。上部電極84は、下部電極83上を覆うように形成されている。
【0082】
開口84aは、可能な限り小さいほうが好ましく、小さいほど空気中への電界の漏れが防止される。実際は、多数の開口84aが形成されている。なお、開口84aは、正方形には限られず、細長い短冊状であってもよいし、円形であってもよい。また、開口84aは、千鳥状に配列されていてもよい。開口84aは、円形であって、かつ千鳥状配列であることが望ましい。
【0083】
なお、図10では図示を省略しているが、下部電極83の下方には、矩形状の参照電極82が形成されている。
【0084】
図11は、加熱部23を構成するn型拡散層106の形状を例示する平面図である。図11に示すように、n型拡散層106は、細長い短冊状の領域が複数平行に並べられた一次元格子状となっている。この一次元格子状のn型拡散層106の一端が前述の配線107に接続され、他端が前述の配線108に接続されている。加熱部23は、温度検出部22の全体を覆うように、温度検出部22の下方に位置している。
【0085】
[ASICチップの機能構成]
次に、ASICチップ30に構成される機能部について説明する。
【0086】
図12は、ASICチップ30の機能構成を例示するブロック図である。図12に示すように、ASICチップ30には、湿度計測処理部31、温度計測処理部32、加熱制御部33、及び故障判定部34が構成されている。
【0087】
湿度計測処理部31は、下部電極端子としてのパッド24bに所定の駆動電圧を印加するとともに、湿度検出用端子としてのパッド24cの電位と、参照電極端子としてのパッド24dの電位とを検出する。そして、湿度計測処理部31は、両者の検出値の差(電位差)に基づいて信号処理を行うことにより、相対湿度(%RH)を算出する。
【0088】
温度計測処理部32は、温度検出用端子としてのパッド24eの電位を検出し、検出電位に対応する温度を算出する。
【0089】
加熱制御部33は、加熱用端子としてのパッド24fに所定の駆動電圧を印加することにより、加熱部23に電流(例えば10mA程度)を流して発熱させる。加熱制御部33は、パッド24fへの印加電圧を制御することにより、発熱量の制御を行う。
【0090】
故障判定部34は、湿度計測処理部31により計測された相対湿度と、温度計測処理部32により計測された温度とに基づいて故障判定を行う。故障判定部34は、故障判定時に、加熱部23の加熱開始及び終了に関する指示を、加熱制御部33に与える。具体的には、故障判定部34は、加熱部23を発熱させた後、温度が上昇しない場合、及び、温度は上昇するが湿度が低下しない場合に、故障と判定する。
【0091】
[センサチップの平面レイアウト構成]
次に、センサチップ20のより具体的な平面レイアウト構成について説明する。
【0092】
図13図20は、センサチップ20の温度検出部22及びその周辺の形成領域における平面レイアウト構成及び断面構造を示す図である。
【0093】
図13は、p型半導体基板70上に形成された第1プラグ層122のパターンを例示する平面図である。図14は、図13中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
【0094】
図14に示すように、p型半導体基板70には、図9に示した温度検出部22の形成領域に対応する不純物拡散層、ウェル、コンタクト層等が形成されている。これらの領域は上記と同様であるので説明は省略する。
【0095】
図13に示すように、基板接続層としての第1プラグ層122は、プラグ群122a、遮光壁122b,122c等を含む。プラグ群122aは、複数のドット状のプラグが配列されたものである。各ドットは、例えば一辺が0.6μmの正方形である。遮光壁122b,122cは、ライン状のプラグによって形成されている。遮光壁122b,122cのライン幅は、例えば0.6μmである。
【0096】
プラグ群122aと遮光壁122b,122cとは、p型半導体基板70上に形成された第1絶縁膜110に所定のパターンの開口(コンタクトホール)を形成し、この開口にタングステン等の導電材料を埋め込むことにより形成される。
【0097】
図15は、第1プラグ層122上に形成された第1配線層120のパターンを例示する平面図である。図16は、図15中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
【0098】
図15に示すように、第1配線層120は、温度検出用端子としてのパッド24eに電気的に接続される配線94、湿度検出用端子としてのパッド24cに電気的に接続される配線95、下部電極端子としてのパッド24bに電気的に接続される配線96、グランド電極端子としてのパッド24aに電気的に接続される導電膜97等を含む。
【0099】
配線94、配線95、配線96、及び導電膜97は、それぞれ第2配線層121により形成された配線(図示せず)を介して、パッド24e、パッド24c、パッド24b、及びパッド24aに接続される。
【0100】
導電膜97は、温度検出部22を露出させる開口97aと、開口97a内に形成された温度検出部22にグランド電位を供給するための配線97bとを有する。
【0101】
第1配線層120は、第1絶縁膜110上にアルミニウム等の導電膜を蒸着し、この導電膜をフォトリソグラフィとエッチングによりパターニングすることによって形成される。なお、配線94と導電膜97との間、配線95と導電膜97との間、及び配線96と導電膜97との間は、電気的に分離するためにスリットを形成する必要がある。
【0102】
図16に示すように、配線94は、プラグ群122aを介してp型半導体基板70中のp型拡散層92及びn型拡散層93に接続されている。導電膜97は、遮光壁122b,122cを介してコンタクト層104aに接続されている。導電膜97に一体に形成された配線97bは、プラグ群122aを介してn型拡散層91に接続されている。
【0103】
図17は、第1配線層120上に形成された第2プラグ層123のパターンを例示する平面図である。図18は、図17中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
【0104】
図17に示すように、層間接続層としての第2プラグ層123は、プラグ群123a,123b、遮光壁123c,123d等を含む。プラグ群123a,123bは、複数のドット状のプラグが配列されたものである。各ドットは、例えば一辺が0.6μmの正方形である。遮光壁123c,123dは、ライン状のプラグによって形成されている。遮光壁123c,123dのライン幅は、例えば0.6μmである。
【0105】
プラグ群123a,123bと遮光壁123c,123dとは、第1配線層120上に形成された第2絶縁膜111に所定のパターンの開口(ビアホール)を形成し、この開口にタングステン等の導電材料を埋め込むことにより形成される。
【0106】
図19は、第2プラグ層123上に形成された第2配線層121のパターンを例示する平面図である。図20は、図19中のB-B線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
【0107】
図19に示すように、第2配線層121は、前述の下部電極83、配線85、遮光膜88等を含む。第2配線層121は、第2絶縁膜111上にアルミニウム等の導電膜を蒸着し、この導電膜をフォトリソグラフィとエッチングによりパターニングすることによって形成される。下部電極83と遮光膜88の間、及び配線85と遮光膜88との間は、電気的に分離するためにスリットを形成する必要がある。
【0108】
下部電極83は、プラグ群123aを介して配線96に接続されている。配線85は、プラグ群123bを介して配線95に接続されている。図20に示すように、遮光膜88は、遮光壁123c,123dを介して導電膜97に接続されている。
【0109】
第2配線層121上には、前述の第2絶縁膜111が形成され、第2絶縁膜111上に感湿膜86が形成される。そして、感湿膜86上に上部電極84が形成され、上部電極84は、配線85と接続される。感湿膜86上には、上部電極84を覆うようにオーバーコート膜87が形成される。
【0110】
[温度検出部の遮光構造]
次に、温度検出部22の遮光構造について説明する。
【0111】
温度検出部22の遮光構造は、基板接続層としての第1プラグ層122により形成された遮光壁122b(第1遮光壁)と、第1配線層120により形成された導電膜97と、層間接続層としての第2プラグ層123により形成された遮光壁123c(第2遮光壁)と、第2配線層121により形成された遮光膜88とを含む。
【0112】
遮光壁122bは、p型半導体基板70上に、温度検出部22の周囲を囲うように形成されている。具体的には、遮光壁122bは、温度検出部22の周囲のうち、温度検出部22から引き出される信号線としての配線94以外の部分を囲っている。また、遮光壁122bの上端は、導電膜97の開口97aの周囲に接続されている。
【0113】
遮光壁123cは、導電膜97上に、温度検出部22の周囲を囲うように形成されている。具体的には、遮光壁123cは、温度検出部22の周囲のうち、温度検出部22から引き出される信号線としての配線94以外の部分を囲っている。遮光壁123cは、遮光壁122bの外側に位置するように形成されている。なお、遮光壁123cは、遮光壁122bの真上に形成されていてもよい。
【0114】
遮光膜88は、遮光壁123cの上端に接続されており、温度検出部22の上方を覆っている。
【0115】
このように、温度検出部22は、遮光壁122b、遮光壁123c、及び遮光壁123cにより遮光されている。
【0116】
[信号線の遮光構造]
次に、温度検出部22の信号線の遮光構造について説明する。
【0117】
配線94の遮光構造は、遮光壁122c及び遮光壁123dにより構成されている。
【0118】
遮光壁122cは、p型半導体基板70上に、信号線としての配線94の両側方に沿って配置されている。また、遮光壁122cの上端は、導電膜97に接続されている。
【0119】
遮光壁123dは、導電膜97上に、配線94の両側方に沿って配置されている。なお、遮光壁123dは、遮光壁122cの外側に位置するように形成されている。
【0120】
遮光膜88は、遮光壁123dの上端に接続されており、配線94の上方を覆っている。
【0121】
したがって、遮光壁122c及び遮光壁123dにより、配線94が遮光されている。
【0122】
なお、配線94は、遮光壁123c及び遮光壁122bの外部において蛇行形状に形成されているが、これは、寄生容量の付加により信号の時定数を調整することを目的としたものである。
【0123】
また、図13及び図17では、遮光壁122c及び遮光壁123dは、設計ルールの都合上、それぞれ遮光壁122b及び遮光壁123cから離間しているが、遮光壁122cと遮光壁122bを接続し、遮光壁123dと遮光壁123cとを接続してもよい。
【0124】
また、この信号線の遮光構造を、配線94以外の信号線に対して形成してもよい。
【0125】
[効果]
上記実施形態では、温度検出部22は、湿度検出部21とともに開口部50に露出されるように配置されるので、開口部50から入射した光は、透光性を有するオーバーコート膜87及び感湿膜86を透過する。この透過光は、遮光膜88と下部電極83との間のスリットS1や、遮光膜88と配線85との間のスリットS2(いずれも図19及び図20参照)から、第2配線層121下に進入する可能性がある。さらに、第2配線層121下に入射した光は、導電膜97と配線95との間のスリットS3(図15及び図20参照)から第1配線層120下に進入する可能性がある。
【0126】
仮に、温度検出部22に光が入射した場合には、光電効果が生じて不要な電荷が発生することにより電気特性が変動し、温度の検出精度が劣化する可能性がある。
【0127】
上記実施形態では、上述のように第1プラグ層122、第1配線層120、第2プラグ層123、及び第2配線層121を用いて温度検出部22を遮光する遮光構造が設けられているので、光の進入路となるスリットS1~S3等から進入する光を遮蔽することができ、光電変換の発生を防止することができる。これにより、温度検出部22の温度の検出精度が向上する。
【0128】
[変形例]
以下に、上記実施形態の各種変形例について説明する。
【0129】
上記実施形態では、センサチップ20を、p型半導体基板70を用いて形成しているが、これに代えてn型半導体基板を用いて形成することも可能である。
【0130】
また、上記実施形態では、半導体基板上の配線層を、第1配線層120と第2配線層121との2層としているが、3層以上としてもよい。この場合には、複数の配線層のうちの最上層の配線層により、遮光膜を形成する。また、この場合、複数の配線層のうちの最下層の配線層と半導体基板とを接続する基板接続層により第1遮光壁を形成し、前記複数の配線層間を接続する複数の層間接続層のそれぞれにより第2遮光壁を形成する。このように第2遮光壁が複数存在する場合には、上層側の第2遮光壁ほど外側に位置するように形成することが好ましい。但し、複数の第2遮光壁を、XY平面において同一の位置に配置してもよい。
【0131】
また、遮光膜は、最上層の配線層に限られず、第2遮光壁よりも上層の配線層により形成されていればよい。また、基板接続層は、最下層の配線層に限られず、複数の配線層のうちの少なくとも1つの配線層に接続されていればよい。
【0132】
上記実施形態では、温度検出部22をnpn型のバイポーラトランジスタ90により構成しているが、pnp型のバイポーラトランジスタにより構成してもよい。さらに、バイポーラトランジスタに代えて、1又は複数のpn接合ダイオードにより温度検出部22を構成してもよい。
【0133】
また、温度検出部22は、pn接合を有するバンドギャップ型以外の温度センサであってもよい。例えば、温度検出部22は、不純物拡散層(n型拡散層又はp型拡散層)を抵抗体として用い、抵抗値の温度依存性に基づいて温度を検出する抵抗型温度センサであってもよい。
【0134】
また、上述の多結晶シリコン(ポリシリコン)は、半導体プロセスによりn型またはp型として形成されてもよい。例えば、図6に示すゲート電極74を多結晶シリコンで形成する場合に、不純物濃度や不純物種を変えることで、ゲート電極74と同じ層で同時に抵抗体を作成することが可能である。さらに、下記のブリッジ回路は、多結晶シリコンによる抵抗とインプラ拡散抵抗との組み合わせによって形成することが可能である。
【0135】
図21は、温度検出部を抵抗型温度センサとした例を示す図である。図21に示す温度検出部22aは、第1抵抗体201と、第2抵抗体202と、第3抵抗体203と、第4抵抗体204とが互いに接続されたブリッジ回路200を有する。
【0136】
第1抵抗体201と第2抵抗体202とは、電源電位(VDD)とグランド電位との間に直列に接続される。同様に、第3抵抗体203と第4抵抗体204とは、電源電位とグランド電位との間に直列に接続される。
【0137】
第1~第4抵抗体201~204は、半導体基板の表層に形成されたn型拡散層又はp型拡散層による抵抗体、またはポリシリコンによる抵抗体であり、シリコンの不純物拡散抵抗体の組み合わせであるので、ダイオードにより温度検出部22が構成される場合と同様に光が入射することにより光電効果が生じて温度の検出精度が劣化する可能性がある。抵抗型温度センサにおいても、上記実施形態と同様に、光を遮蔽して光電変換の発生を防止することが好ましい。
【0138】
第1抵抗体201と第4抵抗体204とは、不純物濃度がほぼ同一であって、温度係数がほぼ同一である。第2抵抗体202と第3抵抗体203とは、不純物濃度がほぼ同一であって、温度係数がほぼ同一である。
【0139】
第1抵抗体201と第2抵抗体202との接続部の電位V1は、外部端子OUT1を介して差動増幅器210に入力される。第3抵抗体203と第4抵抗体204との接続部の電位V2は、外部端子OUT2を介して差動増幅器210に入力される。外部端子OUT1,OUT2は、前述の温度検出用端子に代えて2つのパッド24により形成されたものである。
【0140】
差動増幅器210は、例えば、ASICチップ30内に設けられており、電位V1と電位V2との差を増幅して、差動出力Voutを出力する。第1抵抗体201と第4抵抗体204との抵抗値をR1、第2抵抗体202と第3抵抗体203との抵抗値をR2とすると、差動出力値Voutは下式(1)で表される。
【0141】
Vout=[(R1-R2)/(R1+R2)]×VDD ・・・(1)
抵抗値R1,R2の温度に対する変化がそれぞれ異なるので、差動出力Voutに基づいて温度を求めることができる。なお、式(1)によると、差動出力Voutは、電源電位VDDに依存するので、差動出力Voutを電源電位VDDで割った値Vout/VDDに基づいて温度を求めることが好ましい。
【0142】
また、上記実施形態では、湿度検出装置10を、センサチップ20とASICチップ30とを積層したスタック構造としているが、本発明は、スタック構造以外の湿度検出装置にも適用可能である。
【0143】
また、本発明は、湿度検出部と温度検出部とを有する湿度検出装置に限られず、温度検出部のみを有する温度検出装置にも適用可能である。
【0144】
また、本開示において、「覆う」や「上」という文言により表される2つの要素の位置関係は、第1の要素を第2の要素の表面に、他の要素を介して間接的に設けられる場合、及び直接的に設けられる場合の両方を含む。
【0145】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0146】
10 湿度検出装置、20 センサチップ、21 湿度検出部、22 温度検出部、23 加熱部、24,24a~24f ボンディングパッド、30 ASICチップ、40 モールド樹脂(封止部材)、41 リード端子、42 第1DAF、45 第2DAF、50 開口部、51 有効開口部、60 ESD保護回路、61 ダイオード、70 p型半導体基板、80 湿度検出用キャパシタ、81 参照用キャパシタ、82 参照電極、83 下部電極、84 上部電極、84a 開口、86 感湿膜、87 オーバーコート膜、88 遮光膜、90 バイポーラトランジスタ、94~96 配線、97 導電膜、97a 開口、97b 配線、107,108 配線、110 第1絶縁膜、111 第2絶縁膜、112 第3絶縁膜、120 第1配線層、121 第2配線層、122 第1プラグ層(基板接続層)、122a プラグ群、122b 遮光壁(第1遮光壁)、122c 遮光壁、123 第2プラグ層(層間接続層)、123a プラグ群、123b プラグ群、123c 遮光壁(第2遮光壁)、123d 遮光壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21