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  • 特許-水質改良装置の設置方法 図1
  • 特許-水質改良装置の設置方法 図2
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  • 特許-水質改良装置の設置方法 図4
  • 特許-水質改良装置の設置方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】水質改良装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/58 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
C02F1/58 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018133939
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020011184
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391029808
【氏名又は名称】株式会社荒木製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】501098061
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康宏
(72)【発明者】
【氏名】東 利光
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08251080(US,B1)
【文献】特開平07-328650(JP,A)
【文献】特開平09-047767(JP,A)
【文献】特開2017-159260(JP,A)
【文献】特開2010-242075(JP,A)
【文献】米国特許第06716357(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
1/50
1/58- 1/68
B01F 21/00-35/95
E03F 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路の側壁内部に沿う直立姿勢で固定され、側面下部及び底面に通水穴が設けられ、底面から下方に複数の脚部を延ばしてある有底筒状のケースと、
前記ケース内に収容保持される水質改良材とを具備し、
前記水路を流れる流体が前記通水穴を通じて前記水質改良材に接触するように構成されている水質改良装置の設置方法であって、水路の幅方向両側においてそれぞれ水路の側壁内部に沿う直立姿勢で固定する二つの前記水質改良装置を、該水路において水が流れる方向に位置をずらして設ける水質改良装置の設置方法
【請求項2】
前記ケース内にその上方開口から出し入れ可能に収容され、かつ、該ケース内に積み重ねた状態で収容可能に構成される複数の穴あき小ケースを具備し、該小ケースの上部には把手が設けられ、前記水質改良材は各小ケースに収容される請求項1に記載の水質改良装置の設置方法
【請求項3】
前記ケースの側面上部に通水穴が設けられておらず、前記通水穴が設けられる前記側面下部の上端が、計画高水位(H.W.L)に相当する位置付近となるようにする請求項1又は2に記載の水質改良装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水路を流れる流体の改質に用いられる水質改良装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水処理設備(下水管、マンホールポンプ場、下水処理場等)では、局所的に硫化水素が発生する場合があり、硫化水素はコンクリートの腐食や悪臭の原因となる。そして、下水の嫌気状態の解消(酸素溶存率の上昇)は硫化水素対策となることから、下水中への空気供給は有効な手段の一つと考えられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-180296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、下水中に空気を供給するための設備は比較的大掛かりとなる上、空気供給のためのポンプの駆動には電力が必要でもあり、斯かる設備の導入は不経済である。また、下水中に大きな泡の状態で空気を供給すると下水への酸素の溶存率が低下するので、なるべく細かい泡にするのが好ましいが、そのために空気の供給口を小さくすると、下水中の不純物で供給口が詰まり易くなってメンテナンスの手間が増えるという問題もある。すなわち、下水中に空気を供給して嫌気状態を解消し続けるのは容易ではない。また、空気源には駆動する動力を必要とするため省エネルギーに逆行するものである。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、省エネルギー性に優れながら、水路を流れる流体の改質を簡便に実現することのできる水質改良装置の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る水質改良装置の設置方法は、水路の側壁内部に沿う直立姿勢で固定され、側面下部及び底面に通水穴が設けられ、底面から下方に複数の脚部を延ばしてある有底筒状のケースと、前記ケース内に収容保持される水質改良材とを具備し、前記水路を流れる流体が前記通水穴を通じて前記水質改良材に接触するように構成されている水質改良装置の設置方法であって、水路の幅方向両側においてそれぞれ水路の側壁内部に沿う直立姿勢で固定する二つの前記水質改良装置を、該水路において水が流れる方向に位置をずらして設ける(請求項1)。
【0007】
上記水質改良装置の設置方法において、前記ケース内にその上方開口から出し入れ可能に収容され、かつ、該ケース内に積み重ねた状態で収容可能に構成される複数の穴あき小ケースを具備し、該小ケースの上部には把手が設けられ、前記水質改良材は各小ケースに収容されてもよい(請求項2)。
【0008】
そして、前記水質改良装置の設置方法において、前記ケースの側面上部に通水穴が設けられておらず、前記通水穴が設けられる前記側面下部の上端が、計画高水位(H.W.L)に相当する位置付近となるようにしてもよい(請求項)。
【0009】
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、省エネルギー性に優れながら、水路を流れる流体の改質を簡便に実現することのできる水質改良装置の設置方法が得られる。
【0011】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の水質改良装置の設置方法では、設置を簡便に行える上、水路を流れる流体の流速は中央ほど大きく、側壁に近づくほど小さくなるから、水質改良装置に加わる下水からの力はそれだけ軽減され、側壁内部に沿わせる水質改良装置は長寿命化することにもなる。また、その水質改良装置は、動力が不要であり、省エネルギー性に優れたものとなる。
【0012】
【0013】
【0014】
請求項2に係る発明では、水質改良材の交換や補充、状態の確認等を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る水質改良装置を設置した水路の構成を概略的に示す平面図、(B)は(A)のX-X線断面図である。
図2】(A)は図1(A)のY-Y線断面図、(B)は(A)のa部底面図である。
図3】(A)~(C)は本発明の変形例に係る小ケースの構成を概略的に示す平面図、縦断端面図及び底面図である。
図4】前記小ケースの変形例を概略的に示す斜視図である。
図5】(A)は前記水質改良装置をマンホールポンプに設置した例を概略的に示す平面図、(B)及び(C)は(A)のB-B線断面図及びC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0017】
図1(A)及び(B)、図2(A)及び(B)に示す水質改良装置は、下水(流体の一例)の流れる沈砂池(抽水所)を構成する水路に設置され、硫化水素の発生を抑制するためのものであり、有底筒状の中空のケース1と、ケース1内に収容保持される多数の塊状の水質改良材2とを具備する。なお、図1(B)及び図2(A)では、ケース1の一部を切断し、ケース1内に収容された水質改良材2を表している。
【0018】
ケース1は、筒状(本例では円筒状であるが、四角筒、三角筒等の多角筒状、楕円筒状その他の筒状でもよく、断面に湾曲部分と直線部分の両方が表れるような筒状でもよい。また、例えば四角筒状には、矩形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形の辺(縁)を描くような断面形状を持つものが含まれる。)の部材を複数繋ぎ合わせて構成されており、適宜の部材により、水路の側壁内部に沿う直立姿勢(下水の流れる方向に垂直となる姿勢)で固定される。図示例では、四つのケース1が設置されている。そして、ケース1の下部(例えば計画高水位H.W.Lに相当する位置付近から下側に位置する側面及び底面)には多数の通水穴3(例えば直径10mm程度の貫通孔)が設けられている。これにより、水路を流れる下水が通水穴3を通じて水質改良材2に接触する。
【0019】
なお、図2(B)に示すように、ケース1の底面は、通水穴3を有するように例えばパンチングメタル(又は、多孔板、グレーチング等の底部を一部開放するような底板)により構成され、さらにこの底面から下方に複数の脚部4を延ばし、底面の通水穴3からもケース1内に下水が効率よく流入するように構成してある。
【0020】
本例の水質改良材2はキレート鉄発生材であり、鉄(例えば鉄粉)、炭素(例えば植物炭)及びクエン酸(キレート剤の一例)を含有する。具体的には、これらの材料をバインダー(例えば洗濯糊や木工用ボンド)と共に混ぜて例えば球状にしたものを水質改良材2として用いることが考えられる。なお、水質改良材2は、通水穴3を通らない大きさとする。
【0021】
そして、水路に対する水質改良装置の設置は、先にケース1のみを水路の側壁内部に固定した後、このケース1の上方開口から水質改良材2を投入することにより行ってもよいし、先に水質改良材2をケース1に収容し、水質改良装置を完成した後、水路の側壁内部に固定するようにしてもよい。
【0022】
以上の構成からなる水質改良装置では、水路を流れる下水はケース1内の水質改良材2に接触するので、水質改良材2からキレート鉄がイオンの状態を保持しながら恒常的に溶出し、下水中に発生した硫化物を硫化鉄として固定することにより、硫化水素の発生が抑制されることになる。
【0023】
しかも、その構造上、水質改良装置の設置は簡便に行える。特に、水路を流れる下水の流速は中央ほど大きく、側壁に近づくほど小さくなるから、側壁内部に沿わせる水質改良装置に加わる下水からの力はそれだけ軽減され、水質改良装置は長寿命化することにもなる。また、本例の水質改良装置は、動力が不要であり、省エネルギー性に優れたものともなっている。
【0024】
ちなみに、図1(A)及び(B)において、5は流入ゲート、6はポンプであり、下水は図の右側から左側に向かって流れる。
【0025】
また、本例の水質改良装置は、自然流下形式の設備(管路)、圧送形式の設備(管路)の何れにも用いることが可能であり、各構成部材の素材は、使用環境に適したものを適宜に選択すればよい。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0027】
図1及び図2の例では、水路の幅をあまり狭めないようにするために、一つの水路の両側に設ける二つの水質改良装置の位置をずらしている。なお、水路に設置する水質改良装置の数や大きさ等は、水路の深さや幅、目標とする水質改良の内容や下水の水質、想定される下水の流量等に応じて適宜に決めればよい。
【0028】
図1及び図2の例では、ケース1に水質改良材2を直接投入するが、これに限らず、例えば、ケース1内に出し入れ可能に収容される複数の有底筒状の穴あき小ケース7(図3(A)~(C)参照)を具備し、水質改良材2を各小ケース7内にその上方開口から収容するようにしてもよい。すなわち、小ケース7は、ケース1内に積み重ねた状態で収容可能に構成され、かつ、側面及び底面に通水穴3が多数設けられている。また、小ケース7の上部には把手8が設けられ、適宜の道具を把手8に引っ掛けて持ち上げればケース1から小ケース7を取り出すことができるように構成されている。この把手8の構成は種々に変形可能であり、例えば図4に示すように、小ケース7の上方開口に架設した十字型部分を把手8としてもよい。ただし、小ケース7をケース1から取り出すための構成は、把手8を利用するものに限らず、例えばチェーンブロックにより各小ケース7を順次引き上げることができるように構成することも考えられる。
【0029】
このように、小ケース7を用いるようにすれば、水質改良材2の交換や補充、状態の確認等を容易に行うことができるようになる。
【0030】
図1図2の例では、沈砂池を構成する水路に水質改良装置を設けているが、この水質改良装置は、下水管等、他の下水処理設備に設置することも可能であり、図5(A)~(C)に示すように、マンホールポンプ内に設置するようにしてもよい。ここで、図5(A)~(C)において、9~12は流入管、13は水中汚水ポンプである。
【0031】
図1図2の例では、ケース1を水路の側壁内部に沿う直立姿勢(下水の流れる方向に垂直となる姿勢)で固定しているが、これに限らず、例えば、ケース1を水路の側壁内部に沿う傾斜姿勢(下水の流れる方向と鋭角または鈍角をなす姿勢)で固定してもよい。この場合、ケース1において下水に浸漬する部分(下部)を増大させ、この部分に収容する水質改良材2の量を増やすことができる。
【0032】
また、本発明では、水質改良材2の構成を変更することにより、種々の水質改良に対応することができるのであり、これにより、下水処理設備以外の設備にも適用可能である。
【0033】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 ケース
2 水質改良材
3 通水穴
4 脚部
5 ゲート
6 ポンプ
7 小ケース
8 フック
9 流入管
10 流入管
11 流入管
12 流入管
13 水中汚水ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5