(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ロール・ツー・ロールプラズマ生成装置を利用した基材の表面洗浄システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B08B 11/00 20060101AFI20220809BHJP
B08B 7/00 20060101ALI20220809BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220809BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B08B11/00 A
B08B7/00
H05H1/24
H01L21/304 645C
H01L21/304 648A
(21)【出願番号】P 2021005056
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0086855
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520333664
【氏名又は名称】リ,チャン フン
【氏名又は名称原語表記】LEE,Chang Hoon
【住所又は居所原語表記】1403-ho,304-dong,36,Baengnyeonsan-ro,Eunpyeong-gu,Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】リ,チャン フン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-514054(JP,A)
【文献】特開2019-143233(JP,A)
【文献】特開2002-289569(JP,A)
【文献】特表2008-516084(JP,A)
【文献】特表2008-520442(JP,A)
【文献】特表2018-525528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B11/00-11/04
B08B 7/00- 7/04
C23G 5/00- 5/06
H05H 1/24
H01L21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムにおいて、
第1のプラズマ発生装置および前記第1のプラズマ発生装置によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向して柔軟性基材を巻いて移送する第1の移送ローラーを収容し、ガス流入口、前記柔軟性基材が流入される出入口および前記柔軟性基材が排出される排出口が形成されている上部ハウジングと、
前記上部ハウジングの前記出入口と連結され、第2のプラズマ発生装置および前記第2のプラズマ発生装置によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向して前記柔軟性基材を巻いて移送する第2の移送ローラーを収容し、ガス排出口および前記柔軟性基材が流入される流入口が形成されている下部ハウジングとを含み、
前記ガス流入口を介して低温冷媒ガスを導入することにより、前記上部ハウジングが低温の雰囲気が維持されるように構成される、システム。
【請求項2】
前記第1のプラズマ発生装置は、前記柔軟性基材の表面に形成された酸化膜除去のために窒素(N
2)および水素(H
2)を含むフォーミングガス(foaming gas)の放電を介してプラズマビームを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のプラズマ発生装置は、前記柔軟性基材の表面に形成された有機物除去のために圧縮空気を含むフォーミングガスの放電を介してプラズマビームを生成し、
前記ガス排出口は、前記第2のプラズマ発生装置によって除去された有機物を含む異物を排出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の移送ローラーおよび前記第2の移送ローラーの中心部を通過する水冷配管と、
前記水冷配管を介して流れる冷却水の温度を調節する冷却器とをさらに含み、
前記冷却器は、
前記冷却器を通過して流れる冷却水の温度を調節する冷却部と、
前記冷却部によって温度が調節された冷却水を、前記水冷配管を介して前記移送ローラーに供給する供給部とを含む、請求項1に記載の
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール・ツー・ロールプラズマ発生装置を利用する基材の表面洗浄処理システム及び方法に関するもので、より詳細には、複数のプラズマヘッドを含むロール・ツー・ロールプラズマ発生装置を利用して大面積の柔軟性基材の表面を洗浄できるシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウェブ基材または柔軟性を有する基材(例えば、金属基板)の表面処理や洗浄には、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)表面処理装置を活用した方法が多く使用される。ロール・ツー・ロール装置は、被処理物である基材を巻き出す巻き出しローラー(unwinding roller)とその柔軟性基材を巻いて引っ張る巻き取りローラー(winding roller)を含み、巻き取りローラーによって基材を表面処理領域(例えば、真空チャンバーまたはウェット洗浄領域)に供給して基材の表面処理を実行する装置である。特に、金属基板の表面処理のためのロール・ツー・ロールメタル表面洗浄装置では、基板表面の有機物除去のためにほとんどがウェット洗浄を行っているが、ウェット洗浄は、有機物除去のために、例えば洗浄用化学材料および/または蒸留水を利用して洗浄する作業であって、多くの維持費用がかかり、また洗浄時間が長くかかり、洗浄後に発生する汚染物質による追加的な問題が発生する。
【0003】
一方、プラズマは、気体状態の物質に継続的に熱を加えて温度を高めるときに生成されるイオン核と自由電子からなる粒子の集合体を指す。物質のこのような状態をプラズマ状態と言い、物質の状態である固体、液体および気体と一緒に第4の物質状態と呼ばれる。このようなプラズマ状態は、電気的に中性であり、これを利用して素材の表面にコーティングをすると、摩耗や腐食を防止できるため、素材の状態を改善する効果がある。また、プラズマは、材料の表面に付着された有機物や酸化膜を除去することのように洗浄の用途にも使用されることができる。
【0004】
また、柔軟性基材の表面処理のための従来のロール・ツー・ロールプラズマ表面処理装置は、基材がその表面に密着され、このように密着された基材にプラズマ処理が行われる円筒状のドラム(または移送ローラー)と、これに対向して配置される1つ以上のプラズマ生成装置を含む。従来のロール・ツー・ロールプラズマ表面処理装置では、柔軟性基材に放射されるプラズマの熱が柔軟性基材を介してドラムに伝達されることができ、ドラムに伝達された熱は、基材の品質に損傷を加える原因となり得る。また、基材の左右の偏りは、柔軟性基材がドラムから離れる現象を引き起こし、基材を表面処理する過程で柔軟性基材に温度偏差を発生させて、品質が低下する問題が発生することができる。また、柔軟性基材に異なるプラズマ表面処理工程を処理しなければならない場合、各表面処理工程に適するロール・ツー・ロールプラズマ表面処理装置を利用して、個々の処理を実行しなければならないという煩雑さがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、以上説明したような従来のロール・ツー・ロールメタル表面処理装置でのウェット洗浄を代替して、プラズマを利用した環境にやさしいドライ洗浄を介して有機物を除去できるシステムおよび方法を提供する。
【0007】
また、本開示は、従来のロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理装置でのプラズマ熱による移送ローラーの過熱とこれによる柔軟性基材の損傷、移送ローラーによる柔軟性基材の移動時に発生する温度偏差の問題などを解決し、複数のプラズマヘッドを含む大気圧プラズマ発生装置を利用して異なる特性を有する複数の表面洗浄工程を効率的に実行できるシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムは、第1のプラズマ発生装置および第1のプラズマ発生装置によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向して柔軟性基材を巻いて移送する第1の移送ローラーを収容し、ガス流入口、柔軟性基材が流入される出入口および柔軟性基材が排出される排出口が形成されている上部ハウジングと、上部ハウジングの出入口と連結され、第2のプラズマ発生装置および第2のプラズマ発生装置によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向して柔軟性基材を巻いて移送する第2の移送ローラーを収容し、ガス排出口および柔軟性基材が流入される流入口が形成されている下部ハウジングとを含み、ガス流入口を介して低温冷媒ガスを導入することにより、前記上部ハウジングが低温の雰囲気が維持されるように構成されることができる。
【0009】
本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理方法は、第2の移送ローラーによって柔軟性基材を下部ハウジングの内部に移送するステップと、第2の移送ローラーと対向する第2のプラズマ発生装置によって、柔軟性基材の表面に形成された有機物を除去するステップと、第1の移送ローラーによって柔軟性基材を上部ハウジングの内部に移送するステップと、第1の移送ローラーと対向する第1のプラズマ発生装置によって、柔軟性基材の表面に形成された酸化膜を除去するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の多様な実施例によると、複数のプラズマヘッドを含む大気圧プラズマ発生装置を利用して大面積表面を有する柔軟性基材上の有機物および酸化膜を効果的に洗浄処理することができる。
【0011】
本開示の多様な実施例によると、実質的に独立した有機膜洗浄空間で複数のプラズマヘッドを含む大気圧プラズマ発生装置を利用して大面積表面を有する柔軟性基材上の有機膜を除去した後、有機膜洗浄空間と連結されて実質的に独立した酸化膜洗浄空間で別途の複数のプラズマヘッドを含む大気圧プラズマ発生装置を利用して窒素(N2)および水素(H2)を含むフォーミングガス(foaming gas)の放電を介して、基材の表面に形成された酸化膜を効果的に除去することができる。
【0012】
本開示の多様な実施例によると、大気圧プラズマ発生装置を利用することにより、大面積表面を有する柔軟性基材の洗浄を効率的かつ環境にやさしいドライ洗浄方式で実行することができる。
【0013】
本開示の多様な実施例によると、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムおよび方法において、プラズマ発生装置に対向して配列された移送ローラーの内部を貫通する水冷配管を設置することにより、移送ローラーに密着して移送される柔軟性基材に対してプラズマ処理を行う過程においてプラズマ発熱による基材の損傷、劣化および変形などを予防することができる。また、システムが移送ローラーの温度変化を予測および制御することにより、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムおよび方法において移送ローラーに密着して移動する柔軟性基材の温度を効果的に調節することができる。
【0014】
本開示の実施例は、以下で説明する添付図面を参照して説明され、ここで類似の参照番号は類似の要素を示すが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムの構成を示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムの構成を示す側面図である。
【
図3】本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムにおいて複数のプラズマヘッドを含むプラズマ発生装置を示す図面である。
【
図4】本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムにおいて水冷配管を通過する冷却水の温度調節と循環を制御する冷却器の構成を示す図面である。
【
図5】本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<発明の概要>
【0017】
一実施例によると、第1のプラズマ発生装置(210)は、柔軟性基材の表面に形成された酸化膜除去のために窒素(N2)および水素(H2)を含むフォーミングガス(foaming gas)の放電を介してプラズマビームを生成することができる。
【0018】
一実施例によると、第2のプラズマ発生装置は、柔軟性基材の表面に形成された有機物除去のために圧縮空気を含むフォーミングガスの放電を介してプラズマビームを生成し、ガス排出口は、第2のプラズマ発生装置によって除去された有機物を含む異物を排出することを含むことができる。
【0019】
一実施例によると、システムは、第1の移送ローラーおよび第2の移送ローラーの中心部を通過する水冷配管および水冷配管を介して流れる冷却水の温度を調節する冷却器をさらに含み、冷却器は、冷却器を通過して流れる冷却水の温度を調節する冷却部および冷却部によって温度が調節された冷却水を水冷配管を介して移送ローラーに供給する供給部を含むことができる。
【0020】
<発明の詳細な説明>
【0021】
添付された図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略されることができる。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものと意図されるのではない。
【0022】
本開示において実施例の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本開示は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されることができ、単に本実施例は本開示が完全であるようにし、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるだけのものである。
【0023】
本明細書において使用される用語について簡略に説明し、開示された実施例について具体的に説明する。本明細書において使用される用語は、本開示での機能を考慮しながら可能な限り現在広く使用される一般的な用語を選択したが、これは関連分野に携わる技術者の意図または判例、新しい技術の出現などによって変わることができる。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明部分で詳細にその意味を記載する。したがって、本開示において使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本開示の全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0024】
本明細書での単数の表現は、文脈上明らかに単数のものであると特定しない限り、複数の表現を含む。また、複数の表現は、文脈上明らかに複数のものであると特定しない限り、単数の表現を含む。
【0025】
本開示の全体においてある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことが可能であることを意味する。
【0026】
本開示において、用語「部(partまたはportion)」または「装置(device)」は、ソフトウェア構成要素、ハードウェア構成要素またはこれらの組み合わせを意味し、「部」または「装置」は、特定の役割や機能を遂行するために構成されることができる。しかしながら、「部」または「装置」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」または「装置」は、アドレッシングできる格納媒体にあるように構成されることもでき、1つまたはそれ以上のプロセッサを実行させるように構成されることもできる。したがって、一例として、「部」または「装置」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイおよび変数を含む。本開示において説明される構成要素と「部」または「装置」は、もっと小さい数の構成要素および「部」または「装置」で結合されたり、追加の構成要素と「部」または「装置」にさらに分離されたりすることができる。
【0027】
図1は、本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムの構成を示す斜視図であり、
図2は、本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムの構成を示す側面図である。
【0028】
図示されたように、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)は、第1のプラズマ発生装置(210)および第1のプラズマ発生装置(210)によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向して柔軟性基材を巻いて移送する第1の移送ローラー(320)を収容する上部ハウジング(110)(以下、「酸化膜洗浄空間」とも言う)を含むことができる。上部ハウジング(110)は、酸化膜洗浄空間内部を低温の窒素雰囲気に形成するための窒素ガスを導入するためのガス流入口(112)と、有機物が除去された柔軟性基材が流入される出入口(116)および酸化膜が除去された柔軟性基材が排出される排出口(114)を含むことができる。
【0029】
また、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)は、上部ハウジング(110)の出入口(116)と連結され、第2のプラズマ発生装置(220)および第2のプラズマ発生装置(220)によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向して柔軟性基材を巻いて移送する第2の移送ローラー(330)を収容する下部ハウジング(120)(以下、「有機膜洗浄空間」とも言う)を含むことができる。下部ハウジング(120)には、有機膜洗浄空間で柔軟性基材表面上の有機膜を洗浄する過程で発生する各種の有機物と処理ガスを排出するためのガス排出口(122)および柔軟性基材が流入される流入口(124)が形成されることができる。
【0030】
また、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)は、酸化膜洗浄空間内に配置された第1の移送ローラー(320)および有機膜洗浄空間内に配置された第2の移送ローラー(330)それぞれの中心部を通過する水冷配管(430)および水冷配管(430)を介して流れる冷却水の温度を調節する冷却器(400)を含むことができる。
【0031】
酸化膜洗浄空間内に設けられた第1のプラズマ発生装置(210)は、例えば、金属材料で構成された柔軟性基材の表面上に形成された酸化膜除去のために窒素(N2)および水素(H2)を含むフォーミングガス(foaming gas)の放電を介してプラズマビームを生成することができる。酸化膜洗浄工程は、低温の雰囲気で効果的に実行されることができるため、上部ハウジング(110)のガス流入口(112)を介して酸化膜洗浄空間内に窒素(N2)ガスを導入することにより、酸化膜洗浄空間内で第1のプラズマ発生装置(210)によるプラズマ表面処理間にその雰囲気が低温の状態で維持されるように構成される。
【0032】
有機物洗浄空間内に設けられた第2のプラズマ発生装置(220)は、例えば、金属材料で構成された柔軟性基材の表面に形成された有機物の洗浄処理に使用されることができる。第2のプラズマ発生装置(220)は、流入口(124)を介して移送された柔軟性基材の表面に形成された有機物除去のために圧縮空気を含むフォーミングガスの放電を介してプラズマビームを生成することができる。有機物洗浄空間のガス排出口(122)は、第2のプラズマ発生装置(220)によって除去された有機物を含む異物を排出するように構成されることができる。
【0033】
移送ローラー(330)は、プラズマ発生装置(220)によって生成されたプラズマビームが吐出されるノズルと対向するように配置され、移送ローラー(340)によって移送される柔軟性基材を巻いて移送ローラー(320、310)方向に移送することができる。このような構成において、柔軟性基材は、移送ローラーの表面に密着された状態で移送される間に、プラズマ発生装置(210、220)から放射されるプラズマによってその表面が処理されることができる。
【0034】
移送ローラー(320、330)は、ローラーのほぼ中心部を中心軸(または回転軸)方向に通過する水冷配管(430)を含むことができる。この構成において、水冷配管(430)を介して冷却水が供給されることにより、冷却水によって移送ローラー(320、330)の温度が調節されることができる。
【0035】
冷却器(400)は、冷却器を通過して流れる冷却水の温度を調節する冷却部(410)および冷却部(410)によって温度が調節された冷却水を水冷配管(430)を介して移送ローラーに供給する供給部(420)を含むことができる。
【0036】
冷却器(400)は、水冷配管(430)を介して流入される冷却水を貯蔵し、貯蔵された冷却水の温度を冷却部(410)によって調節した後、再び水冷配管(430)を介して流出されるようにして、冷却水が移送ローラー(320、330)を介して循環され得るように構成される。また、冷却器(400)は、その内部で貯蔵または循環される冷却水の温度を制御することができる。一実施例において、冷却器(400)は、制御装置(440)から受信される温度制御信号に基づいて冷却水の温度を制御することができる。
【0037】
制御装置(440)は、プラズマ発生装置(210、220)に装着された熱感知センサ(図示せず)を介してプラズマビームの強度(または温度)を測定し、測定されたプラズマビームの強度に基づいて温度制御信号を生成することができる。制御装置(440)が生成した温度制御信号は冷却部(410)に提供され、冷却部(410)が温度制御信号に基づいてその内部を通過する冷却水の温度を制御するようにすることができる。
【0038】
図2に図示されたロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)の構成要素のうち、
図1に図示されたシステム(100)と同一の部材番号で表示された構成要素はその機能と構成が同一または類似することができる。したがって、以下において、
図1に図示されたシステム(100)と同一の部材番号で表示された構成要素の機能と構成に対する詳細な説明は省略する。
【0039】
図示されたように、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)の下部ハウジング(120)では、流入口(124)を介して有機物洗浄空間に流入する柔軟性基材を移送ローラー(340)によって密着して移送することにより、第2のプラズマ発生装置(220)と対向するように配置された移送ローラー(330)方向に移送する。ここで、第2のプラズマ発生装置(220)は、圧縮空気を作業ガスとして利用して電気的に放電してプラズマビームを発生させることにより、移送ローラー(330)上に位置した柔軟性基材の表面に付着された有機物を洗浄することができる。有機物洗浄空間で発生した有機物と作業ガスの混合物は、下部ハウジング(120)の一側に形成された排出口(122)を介して外部に排出されることができる。
【0040】
一方、上部ハウジング(110)に配置された移送ローラー(320)は、出入口(116)を介して流入される柔軟性基材を巻いて引っ張ることにより、該当の基材が第1のプラズマ発生装置(210)のノズルの下を通過して移送ローラー(310)によって排出口(114)に移送されるようにする。酸化膜洗浄空間に配置された第1のプラズマ発生装置(210)は、窒素(N2)および水素(H2)を含むフォーミングガス(foaming gas)の放電を介してプラズマビームを発生させることにより、柔軟性基材の表面に付着された酸化物を洗浄することができる。酸化膜洗浄空間において第1のプラズマ発生装置(210)による酸化膜洗浄工程は、低温の雰囲気で効率的に実行されるため、ガス流入口(112)を介して窒素(N2)ガスを継続的または間欠的に投入することができる。
【0041】
以上説明した構成を有する上部ハウジング(110)と下部ハウジング(120)の間で移送される柔軟性基材は、出入口(116)のような限定された通路で移動するため、酸化膜洗浄空間と有機物洗浄空間は実質的に分離されることができる。したがって、酸化膜洗浄空間は低温の窒素雰囲気が効率的に維持されることができ、有機物洗浄空間は大気圧の雰囲気が独立的に維持されることができる。
【0042】
図3は、本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムで使用される複数のプラズマヘッドを含むプラズマ発生装置を示す図面である。
【0043】
図示されたように、ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)内に設けられるプラズマ発生装置(210、220)は、ボディ(214、224)に2列で固定された複数のプラズマヘッド(212、222)を含むことができる。このようにプラズマ発生装置(210、220)に複数のプラズマヘッド(212、222)が配置されることにより、プラズマヘッド(212、222)のノズルが平行な角度で移送ローラー(320、330)に対向するように配列されることができる。
【0044】
図3に図示された実施例では、プラズマ発生装置(210、220)に複数のプラズマヘッド(212、222)が一定間隔で配置されたが、本開示のロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)の構成はこれに限定されない。例えば、1つ以上の線形ノズルを備えたプラズマヘッドがプラズマ発生装置(210、220)に固定されて移送ローラー(320、330)に対向するように配置されることもできる。
【0045】
図4は、本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システムにおいて水冷配管を通過する冷却水の温度調節と循環を制御する冷却器の構成を示す図面である。
【0046】
図4に図示されたロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム(100)の構成要素のうち、
図1~
図3に図示されたシステム(100)と同一の部材番号で表示された構成要素は、その機能と構成が同一または類似することができる。したがって、以下において、
図1~
図3に図示されたシステム(100)と同一の部材番号で表示された構成要素の機能と構成に対する詳細な説明は省略する。
【0047】
図示されたように、冷却器(400)は、水冷配管(430)を介して冷却器(400)に流入される冷却水の温度を調節する冷却部(410)と、冷却部(410)によって温度が調節された冷却水を再び水冷配管(430)に循環させる供給(420)を含むことができる。
【0048】
一実施例において、冷却部(410)は、冷却水の温度を下降させるための冷却ファンを含むことができる。他の実施例において、冷却部(410)は、その内部に比表面積を増加させることができるフィン(fin)形態の構造物を含み、この構造物を通過する冷却水の冷却効果を向上させることができる。
【0049】
供給部(420)は、冷却部(410)によって温度が調節された冷却水を、水冷配管(430)を介して移送ローラー(320、330)の内部に循環させることができる。例えば、供給部(420)は、冷却水を水冷配管(430)を介して循環させることができる循環ポンプを含むことができる。
【0050】
水冷配管(430)と冷却器(400)を通過する冷却水は、水または不活性気体を含むことができるが、これに限定されるものではなく、冷却効果を有する多様な流体を含むこともできる。
【0051】
また、冷却器(400)は、その内部で貯蔵または循環される冷却水の温度を制御することができる。一実施例において、冷却器(400)は、制御装置(440)から受信される温度制御信号に基づいて冷却水の温度を制御することができる。
【0052】
制御装置(440)は、プラズマ発生装置(210、220)に装着された熱感知センサ(図示せず)を介してプラズマビームの強度(または温度)を測定し、測定されたプラズマビームの強度に基づいて温度制御信号を生成することができる。制御装置(440)が生成した温度制御信号は、冷却部(410)に提供され、冷却部(410)が温度制御信号に基づいてその内部を通過する冷却水の温度を制御するようにすることができる。
【0053】
図5は、本開示の一実施例に係るロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理方法を示すフローチャートである。
【0054】
ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理方法は、表面洗浄処理されていない柔軟性基材が下部ハウジング(120)に形成された柔軟性基材の流入口(124)を介して流入され、移送ローラー(330、340)によって柔軟性基材を下部ハウジング(120)の内部に移送するステップ(S510)で開始されることができる。
図2を参照すると、一実施例において、下部ハウジング(120)で流入口(124)を介して有機物洗浄空間に流入する柔軟性基材を移送ローラー(340)によって密着して移送することにより、第2のプラズマ発生装置(220)と対向するように配置された移送ローラー(330)方向に移送する。
【0055】
次に、第2の移送ローラー(330)と対向する第2のプラズマ発生装置(220)によって、柔軟性基材の表面に形成された有機物が除去されることができる(S520)。
図2を参照すると、一実施例において、第2のプラズマ発生装置(220)は、圧縮空気を作業ガスとして利用して電気的に放電してプラズマビームを発生させることにより、移送ローラー(330)上に位置した柔軟性基材の表面に付着された有機物を洗浄することができる。有機物洗浄空間で発生した有機物と作業ガスの混合物は、下部ハウジング(120)の一側に形成された排出口(122)を介して外部に排出されることができる。
【0056】
ステップ(S530)において、有機物洗浄空間内に設けられた第2のプラズマ発生装置(220)によって有機物が除去された柔軟性基材は、上部ハウジング(110)の出入口(116)を介して酸化物洗浄空間に流入され、第1の移送ローラー(320)によって上部ハウジング(110)の内部に移送される(S530)。
図2を参照すると、一実施例において、上部ハウジング(110)に配置された移送ローラー(320)は、出入口(116)を介して流入される柔軟性基材を巻いて引っ張ることにより、該当の基材が第1のプラズマ発生装置(210)のノズルの下を通過して移送ローラー(310)によって排出口(114)に移送されるようにする。
【0057】
一方、第1の移送ローラー(320)と対向する第1のプラズマ発生装置(210)にって、有機物が除去された柔軟性基材の表面に形成された酸化膜を除去するステップ(S540)が実行される。
図2を参照すると、一実施例において、酸化膜洗浄空間に配置された第1のプラズマ発生装置(210)は、窒素(N
2)および水素(H
2)を含むフォーミングガス(foaming gas)の放電を介してプラズマビームを発生させることにより、柔軟性基材の表面に付着された酸化物を洗浄することができる。酸化膜洗浄空間で第1のプラズマ発生装置(210)による酸化膜洗浄工程は、低温の雰囲気で効率的に実行されるため、ガス流入口(112)を介して窒素(N
2)ガスを継続的または間欠的に投入することができる。
【0058】
以上説明した方法によると、上部ハウジング(110)と下部ハウジング(120)の間で移送される柔軟性基材は、出入口(116)のような限定された通路で移動するため、酸化膜洗浄空間と有機物洗浄空間は、実質的に分離されることができる。したがって、酸化膜洗浄空間は低温の窒素雰囲気が効率的に維持されることができ、有機物洗浄空間は大気圧の雰囲気が独立的に維持されることができる。また、上部ハウジング(110)と下部ハウジング(120)が連携するように構成されることにより、複数の異なる洗浄工程が効率的に実行されることができる。
【0059】
本明細書において、本開示は一部実施例に関連して説明されたが、本発明の属する技術分野の通常の技術者が理解できる本開示の範囲を逸脱しない範囲で多様な変形および変更が行われることができる。また、そのような変形および変更は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に属するものとして考えられなければならない。
【符号の説明】
【0060】
100:ロール・ツー・ロールプラズマ表面洗浄処理システム
110:上部ハウジング
112:ガス流入口
114:柔軟性基材排出口
116:柔軟性基材出入口
120:下部ハウジング
122:ガス排出口
124:柔軟性基材流入口
210:第1のプラズマ発生装置
220:第2のプラズマ発生装置
212、222:プラズマヘッド
214、224:プラズマボディ
320:第1の移送ローラー
330:第2の移送ローラー
400:冷却器
410:冷却部
420:供給部
430:水冷配管
440:制御装置