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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ロール成形装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/14 20060101AFI20220809BHJP
   B21D 5/08 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B21D5/14 C
B21D5/08 J
B21D5/08 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017240604
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2019107655
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391040135
【氏名又は名称】株式会社富士機械工作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 耕平
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-108661(JP,A)
【文献】特開昭54-110960(JP,A)
【文献】実開昭56-029612(JP,U)
【文献】実開昭52-129748(JP,U)
【文献】特開2016-144813(JP,A)
【文献】特開昭58-163526(JP,A)
【文献】特開2014-117704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/08
B21D 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ロールと、
前記主ロールに軸方向を平行にして配置され、前記主ロールの単一の半径方向について前記主ロールとの間隔を変更自在に軸支された第1副ロールと、
前記半径方向に直交する面内で前記主ロールにそれぞれの軸方向を平行にして配置され、前記半径方向を挟む2つの領域のそれぞれで前記半径方向について前記主ロールとの間隔を変更自在かつ前記半径方向に対するそれぞれの距離を同一に維持しつつ互いに接離自在に軸支された第2及び第3副ロールと、
前記第1~第3副ロールに回転を供給する回転駆動部と、
を備え
ワークの成形開始から終了までの間に前記第1副ロールを前記第2副ロールと前記第3副ロールとの間に配置して前記主ロールと前記第1~第3副ロールのそれぞれとの間隔がワークの厚さとなる4本ロール成形位置と、ワークの成形開始から終了までの間に前記第1副ロールを前記主ロールから離間させるとともに前記第2副ロールと前記第3副ロールとをその一方と前記主ロールとの間を通過したワークの端部が他方と前記主ロールとの間に導かれる位置まで接近させて前記主ロールと前記第2及び第3副ロールのそれぞれとの間隔がワークの厚さとなる3本ロール成形位置と、の何れかに前記第1~第3副ロールを配置するロール成形装置。
【請求項2】
前記主ロールと前記第2及び第3ロールとの間に前記主ロールに軸方向を平行にして着脱自在に配置されるウレタン製の第4ロールを備え、
前記4本ロール成形位置と、前記3本ロール成形位置と、前記第1副ロールを前記主ロールから離間させるとともに前記主ロールと前記第2及び第3副ロールのそれぞれとの間に前記第4副ロールを挟むウレタンロール成形位置と、の何れかに前記第1~第3副ロールを配置する請求項1に記載のロール成形装置。
【請求項3】
前記第1副ロールを、前記半径方向に沿って移動させる第1移動機構と、
前記第2及び第3副ロールのそれぞれを、前記半径方向を挟む2つの領域のそれぞれで前記主ロールに接離する方向及び互いに接離する方向に移動させる第2及び第3移動機構と、
をさらに備えた請求項1又は2に記載のロール成形装置。
【請求項4】
前記第1移動機構は、前記第1~第3副ロール、並びに前記第2及び第3移動機構を、前記半径方向に沿って一体的に移動させ、
前記第2及び第3移動機構は、前記第2及び第3副ロールのそれぞれの回転軸を、前記第1副ロールの回転軸を中心とする第1の円弧に沿って移動させる請求項3に記載のロール成形装置。
【請求項5】
前記回転駆動部は、前記第1副ロールの回転を前記第2及び第3副ロールに伝達する回転伝達機構を含む請求項4に記載のロール成形装置。
【請求項6】
前記回転伝達機構は、前記第1副ロールの回転軸に同軸上に固定された駆動ギアと、前記第2及び第3副ロールのそれぞれの回転軸に同軸上に固定された第1及び第2従動ギアと、前記駆動ギア及び前記第1従動ギアに噛合する第1伝達ギアと、前記駆動ギア及び前記第2従動ギアに噛合する第2伝達ギアと、前記第2及び第3副ロールのそれぞれの回転軸、並びに前記第1及び第2伝達ギアのそれぞれを一体的に軸支する第1及び第2軸支部材と、を含む請求項5に記載のロール成形装置。
【請求項7】
前記第1副ロールの回転軸を中心とする第2の円弧上に配置されたリングギアを備え、
前記第2及び第3移動機構のそれぞれは、前記第1及び第2軸支部材のそれぞれに軸支されて前記リングギアに噛合するピニオンギアと、前記ピニオンギアに回転を供給する旋回駆動部と、を含む請求項6に記載のロール成形装置。
【請求項8】
それぞれが前記ピニオンギアと同軸上に軸支された第1及び第2サポートロールであって、前記第2及び第3副ロールを挟んで前記主ロールの反対側の位置で前記第2及び第3副ロールに常時当接する第1及び第2サポートロールと、
それぞれが前記第1及び第2伝達ギアと同軸上に軸支された第3及び第4サポートロールであって、前記第2及び第3副ロールを挟んで前記主ロールの反対側の位置で前記第2及び第3副ロールに常時当接するとともに前記第1副ロールを挟んで前記主ロールの反対側の位置で前記第1副ロールに常時当接する第3及び第4サポートロールと、を備えた請求項7に記載のロール成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、板材を、複数本のロール間に挟んで曲げ加工することで、筒状に成形するロール成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管体の製造方法として、ロール成形装置によって板材を筒状に曲げ加工した後、互いに平行な2端部を溶接装置等によって接合する方法が知られている。ロール成形装置は、1本の主ロールと1本以上の副ロールとを含む複数本のロールを、各軸方向を互いに平行にして備えている。矩形の板材は、主ロールと副ロールとの間を通過する際に、曲げ加工による塑性変形を受けて筒状にされる。
【0003】
従来のロール成形装置として、主ロールに比較して軟質のウレタン製の副ロールを備えたウレタンロール成形装置がある(例えば、特許文献1参照。)。副ロールを主ロールに圧接させることで、副ロールの周面において主ロールの周面に沿って凹状に変形した部分に板材を通過させる。ウレタンロール成形装置は、比較的厚みの薄い板材の曲げ加工に適しており、板材の両端部をも円弧状に曲げることができるが、曲げ径を変更するためには主ロールを交換する必要がある。ウレタンロール成形装置では、副ロールを主ロールに圧接させるとともに、副ロールの撓みを防ぐ目的で、副ロールを挟んで主ロールの反対側に2本のサポートロールを備えている。
【0004】
別の従来のロール成形装置として、主ロールと同等の硬度の材料からなる2本の副ロール備えた3本ロール成形装置がある(例えば、特許文献2参照。)。3本ロール成形装置は、比較的小径の曲げ加工に適しているが、副ロールの周面は板材を挟んで主ロールの周面に圧接しないため、主ロールに対する副ロールの位置を調整することで曲げ径の変更を容易にできる一方、板材の両端部を円弧状に曲げることが難しい。
【0005】
さらに別の従来のロール成形装置として、主ロールと同等の硬度の材料からなる3本の副ロールを備えた4本ロール成形装置がある。4本ロール成形装置は、合計4本のロールを備えるために構造が複雑化するが、比較的大径の曲げ加工に適しており、3本の副ロールのうち中央の副ロールが板材を挟んで主ロールに圧接するため、板材の両端部をも円弧状に曲げることができる。また、3本の副ロールのうち中央の副ロールを除く2本の副ロールの主ロールに対する位置を調整することで、曲げ径の変更を容易にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-255462号公報
【文献】特開2013-252546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、板材の厚さや曲げ径に適した複数種類のロール成形装置が存在しており、種々の材料や曲げ径に対応するためには、複数のロール成形装置を準備しなければならず、設備費の高騰を招くとともに広い設置スペースが必要になる。
【0008】
この発明の目的は、主ロールに対する4本の副ロールのそれぞれの位置を適宜変更できるようにすることで、単一の装置で複数種類のロール成形装置のロール配置を実現できるようにし、設備費の低廉化及び設置スペースの狭小化を実現できるロール成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のロール成形装置は、主ロール、第1~第3副ロール、回転駆動部を備えている。第1副ロールは、主ロールに軸方向を平行にして配置され、主ロールの単一の半径方向について主ロールとの間隔を変更自在に軸支されている。第2及び第3副ロールは、半径方向に直交する面内で主ロールにそれぞれの軸方向を平行にして配置され、半径方向を挟む2つの領域のそれぞれで半径方向について主ロールとの間隔を変更自在かつ半径方向に対するそれぞれの距離を同一に維持しつつ互いに接離自在に軸支されている。回転駆動部は、第1~第3副ロールに回転を供給する。
【0010】
4本ロール成形位置では、ワークの成形開始から終了までの間に第1副ロールを第2副ロールと第3副ロールとの間に配置して単一の半径方向における主ロールと第1副ロールとの間隔を両者の間に板材のワークを挟持できる長さにするとともに主ロールと第1~第3副ロールのそれぞれとの間隔がワークの厚さとなるようにして、回転駆動部から第1~第3副ロールに回転を供給する。ワークは、主ロールの周面と第2副ロールの周面第1副ロールの周面及び第3副ロールの周面のそれぞれとの間を順に通過する間に所定の曲げ径に変形される。
【0011】
また、3本ロール成形位置では、ワークの成形開始から終了までの間に第1副ロールを前記主ロールから離間させて単一の半径方向における主ロールと第1副ロールとの間隔を両者の間に第2及び第3副ロールを配置可能な長さとするとともに、第2副ロールと第3副ロールとをその一方と主ロールとの間を通過したワークの端部が他方と主ロールとの間に導かれる位置まで接近させて主ロールと第2及び第3副ロールのそれぞれとの間隔がワークの厚さとなるようにして、回転駆動部から第1~第3副ロールに回転を供給する。ワークは、主ロールの周面と第2副ロールの周面との間、主ロールの周面と第3副ロールの周面との間を順に通過する間に所定の曲げ径に変形される。
【0012】
この構成において、主ロールと第2及び第3副ロールとの間に主ロールに軸方向を平行にして着脱自在に配置されるウレタン製の第4副ロールを備えることができる。ウレタンロール成形位置では、単一の半径方向における主ロールと第1副ロールとの間隔を両者の間に第2~第4副ロールを配置可能な長さとし、第4副ロールを主ロールに圧接させる位置に第2及び第3副ロールを配置し、回転駆動部から第1~第3副ロールに回転を供給する。第4副ロールを主ロールより軟質のウレタンロールとすることで、比較的厚みの薄い板材のワークを主ロールの周面と第4副ロールの周面との圧接部分を通過する間に所定の曲げ径に変形することができる。
【0013】
また、第1副ロールを単一の半径方向に沿って移動させる第1移動機構と、第2及び第3副ロールのそれぞれを単一の半径方向を挟む2つの領域のそれぞれで主ロールに接離する方向及び互いに接離する方向に移動させる第2及び第3移動機構と、を備えることができる。第1~第3移動機構によって第1~第3副ロールの位置をワークの厚さや曲げ径等に応じた位置に移動させることができる。
【0014】
第1移動機構を、前記第1~第3副ロール、並びに前記第2及び第3移動機構を、前記半径方向に沿って一体的に移動させるものとし、第2及び第3移動機構を、第2及び第3副ロールのそれぞれの回転軸を、第1副ロールの回転軸を中心とする第1の円弧に沿って移動させるものとしてもよい。第2及び第3副ロールのそれぞれの主ロールとの間隔、並びに互いの間隔を簡単に変更でき、第1~第3副ロールの位置をワークの厚さや曲げ径等に応じた位置により簡単に移動させることができる。
【0015】
また、回転駆動部は、第1副ロールの回転を第2及び第3副ロールに伝達する回転伝達機構を含むものとすることで、第1~第3副ロールを単一の駆動部によって回転させることができる。
【0016】
この回転伝達機構は、第1副ロールの回転軸に同軸上に固定された駆動ギアと、第2及び第3副ロールのそれぞれの回転軸に同軸上に固定された第1及び第2従動ギアと、駆動ギア及び第1従動ギアに噛合する第1伝達ギアと、駆動ギア及び第2従動ギアに噛合する第2伝達ギアと、第2及び第3副ロールのそれぞれの回転軸、並びに第1及び第2伝達ギアのそれぞれを一体的に軸支する第1及び第2軸支部材と、を含むものとしてもよい。回転伝達機構を簡単に構成できる。
【0017】
第1副ロールの回転軸を中心とする第2の円弧上に配置されたリングギアを備え、第2及び第3移動機構のそれぞれを、第1及び第2軸支部材のそれぞれに軸支されてリングギアに噛合するピニオンギアと、ピニオンギアに回転を供給する旋回駆動部と、を含むものとしてもよい。旋回駆動部からピニオンギアに回転を供給することにより、第2及び第3副ロールのそれぞれを第1の円弧上に沿って移動させることができる。
【0018】
それぞれがピニオンギアと同軸上に軸支された第1及び第2サポートロールであって、第2及び第3副ロールを挟んで主ロールの反対側の位置で第2及び第3副ロールに常時当接する第1及び第2サポートロールと、それぞれが第1及び第2伝達ギアと同軸上に軸支された第3及び第4サポートロールであって、第2及び第3副ロールを挟んで主ロールの反対側の位置で第2及び第3副ロールに常時当接するとともに第1副ロールを挟んで主ロールの反対側の位置で第1副ロールに常時当接する第3及び第4サポートロールと、を備えてもよい。構成の複雑化を招くことなく第1~第3副ロールの軸方向の撓みを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、単一の装置で複数種類のロール成形装置のロール配置を実現できるようにし、設備費の低廉化及び設置スペースの狭小化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A)~(D)は、この発明の第1の実施形態に係るロール成形装置の構成及び機能を説明する図である。
図2】(A)~(D)は、この発明の第2の実施形態に係るロール成形装置の構成及び機能を説明する図である。
図3】(A)及び(B)は、同第2の実施形態に係るロール成形装置のそれぞれ別の構成を示す図である。
図4】(A)~(C)は、この発明の第3の実施形態に係るロール成形装置の平面図、正面図及び側面図である。
図5】同第3の実施形態に係るロール成形装置の要部の構成を示す側面図である。
図6】同第3の実施形態に係るロール成形装置を4本ロール成形装置とした場合の要部の構成を示す側面図である。
図7】同第3の実施形態に係るロール成形装置を3本ロール成形装置とした場合の要部の構成を示す側面図である。
図8】同第3の実施形態に係るロール成形装置をウレタンロール成形装置とした場合の要部の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、この発明の実施形態に係るロール成形装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1(A)に示すように、この発明の第1の実施形態に係るロール成形装置100は、主ロール1、第1副ロール2、第2副ロール3、第3副ロール4、第1昇降機構5、第2昇降機構6、第3昇降機構7、第1変位機構8、第2変位機構9、ベース10、モータM1~M3を備えている。
【0023】
主ロール1、並びに副ロール2~4は、一例として金属製の柱状体である。主ロール1は、垂直方向及び水平方向について位置を固定して図示しないフレームに軸支されている。主ロール1は、必ずしも軸支されている必要はなく、回転を規制することもできる。
【0024】
第1副ロール2は、支持部材21を介して、主ロール1の垂直方向の半径方向R1に沿って昇降自在にして、図示しないフレームに軸支されている。副ロール3及び4は、それぞれ支持部材31及び41を介して、半径方向R1を挟む左右の領域で垂直方向及び水平方向に移動自在にして、図示しないフレームに軸支されている。
【0025】
副ロール2~4には、この発明の回転駆動部であるモータM1~M3から正逆両方向の回転が供給される。なお、回転駆動部は、一例として副ロール2に回転を供給する単一のモータと、副ロール2の回転を副ロール3及び4に伝達する伝達部材と、で構成することもできる。
【0026】
昇降機構5は、この発明の第1移動機構に相当し、支持部材21の雌ねじ部に螺合するボールネジ51を備えている。ボールネジ51は、軸方向を垂直にしてベース10に軸支されており、図示しないモータによって軸廻りに回転する。支持部材21は、回転を規制されており、ボールネジ51の正逆回転によって第1副ロール2とともに半径方向R1に沿って昇降する。
【0027】
昇降機構6及び7は、それぞれ支持部材31及び41の雌ねじ部に螺合するボールネジ61及び71を備えている。ボールネジ61及び71は、軸方向を垂直にしてベース10に軸支されており、図示しないモータによって軸廻りに正逆回転する。支持部材31及び41は、回転を規制されており、ボールネジ61及び71の正逆回転によって副ロール3及び4とともに半径方向R1に沿って昇降する。
【0028】
変位機構8及び9は、それぞれ支持部材31及び41から水平方向に延出した長孔部80及び90を備えている。長孔部80及び90には、それぞれ副ロール3及び4の回転軸32及び42が嵌入している。長孔部80及び90内で回転軸32及び42を変位させるとともに図示しない固定部材によって固定することにより、副ロール3及び4が水平方向に移動する。なお、変位機構8及び9は、それぞれ軸方向を水平にしたボールネジとボールネジに回転を供給するモータとで構成することもできる。
【0029】
昇降機構6及び変位機構8がこの発明の第2移動機構に相当し、昇降機構7及び変位機構9がこの発明の第3移動機構に相当する。
【0030】
昇降機構5~7、並びに変位機構8及び9を適宜動作させることで、副ロール2を主ロール1の下方で半径方向R1における任意の位置に配置できるとともに、副ロール3及び4を半径方向R1の左右の領域における任意の位置に配置できる。これによって、主ロール1に対する副ロール2~4の相対位置を変化させることができる。
【0031】
図1(B)に示すように、副ロール2~4を、主ロール1との間にワークW1を厚さ方向に挟持する位置に配置して矢印方向に回転させることで、所謂4本ロール成形装置を構成し、比較的厚いワークW1を主ロール1の周面に巻着させて円筒状に成形することができる。
【0032】
図1(C)に示すように、副ロール2を主ロール1から十分に離間させ、副ロール3及び4を、主ロール1との間にワークW2を厚さ方向に挟持する位置に配置して矢印方向に回転させることで、所謂3本ロール成形装置を構成し、比較的薄いワークW2を主ロール1の周面に巻着させて円筒状に成形することができる。
【0033】
図1(D)に示すように、副ロール2~4を主ロール1から十分に離間させ、主ロール1と副ロール3及び4との間に一例としてウレタン製のロール11を挿入し、副ロール3及び4を矢印方向に回転させることで、所謂ウレタンロール成形装置を構成し、十分に薄いワークW3を主ロール1の周面に巻着させて円筒状に成形することができる。
【0034】
図2(A)~(D)に示すように、この発明の第2の実施形態に係るロール成形装置200は、副ロール2~4を半径方向R1に沿って一体的に昇降させ、副ロール3及び4を副ロール2の回転軸を中心とする円弧C1に沿って移動させる。したがって、ロール成形装置200は、この発明の第1~第3移動機構として、ロール成形装置100と異なる構成を備えている。円弧C1は、この発明の第1の円弧に相当する。
【0035】
図2(A)に示すように、ロール成形装置200は、この発明の第2及び第3移動機構に相当する構成として、副ロール2を固定的に軸支するとともに円弧C1に沿って副ロール3及び4の回転軸32及び42が嵌入する長孔261及び262を形成したサブフレーム60を備える。長孔261及び262における回転軸32及び42の位置は、図示しない固定部材によって固定される。この発明の第1移動機構として、軸方向を垂直にしてサブフレーム60から延出した雌ねじ部63及び64にそれぞれ螺合するボールネジ52及び53を備える。
【0036】
ボールネジ52及び53の正逆回転により、サブフレーム60が副ロール2~4と一体的に、半径方向R1に沿って昇降する。また、長孔261及び262内で回転軸32及び42を変位させることで、副ロール3及び4が、副ロール2の回転軸を中心とする円弧C1に沿って移動し、半径方向R1を挟む左右それぞれの領域で水平方向及び垂直方向に変位する。
【0037】
なお、図2(A)に示す例では、副ロール2~4のそれぞれに対して個別のモータから回転を供給する。
【0038】
この構成により、副ロール2~4を、図2(B)に示すように所謂4本ロール成形装置を構成する位置、図2(C)に示すように所謂3本ロール成形装置を構成する位置、図2(D)に示すようにウレタンロール11を追加して所謂ウレタンロール成形装置を構成する位置のそれぞれに、配置することができる。
【0039】
図3(A)に示すように、ロール成形装置200は、副ロール2に同軸上に固定された駆動ギア23、並びに副ロール3及び4のそれぞれに同軸上に固定された従動ギア33及び43、駆動ギア23と従動ギア33とに常時噛合する伝達ギア71、駆動ギア23と従動ギア43とに常時噛合する伝達ギア72を備えることもできる。駆動ギア23、従動ギア33及び43、並びに伝達ギア71及び72が、この発明の回転伝達機構に相当する。
【0040】
伝達ギア71及び72は、それぞれ副ロール3及び4の円弧C1に沿う移動に伴って副ロール2の回転軸を中心とする円弧C1とは別の円弧に沿って移動するように支持されている。単一のモータM1から副ロール2に回転を供給し、副ロール2の回転を副ロール3及び4に伝達することで、副ロール2~4を同一方向に回転させるために必要なモータ数を削減できる。
【0041】
図3(B)に示すように、ロール成形装置200は、サポートロール81~84を備えることもできる。サポートロール81及び82は、副ロール3を挟んで主ロール1の反対側で副ロール3に常時当接する。サポートロール83及び84は、副ロール4を挟んで主ロール1の反対側で副ロール4に常時当接する。サポートロール81及び83は、副ロール2を挟んで主ロール1の反対側で副ロール2にも常時当接する。
【0042】
サポートロール81及び82は、それぞれ副ロール3の円弧C1に沿う移動に伴って副ロール2の回転軸を中心とする円弧C1とはそれぞれ別の円弧に沿って移動するように支持されている。サポートロール83及び84は、それぞれ副ロール4の円弧C1に沿う移動に伴って副ロール2の回転軸を中心とする円弧C1とはそれぞれ別の円弧に沿って移動するように支持されている。
【0043】
主ロール1、並びに副ロール2~4が軸方向に長い場合に、副ロール2~4における軸方向の撓みの発生をサポートロール81~84によって防止することができる。
【0044】
図4(A)~(C)に示すこの発明の第3の実施形態に係るロール成形装置300は、副ロール2の回転を副ロール3及び4に伝達する回転伝達機構を備え、この発明の第2及び第3移動機構として別の機構を備える点で、図2(A)に示したロール成形装置200と異なる。
【0045】
図4(A)~(C)並びに図5に示すように、ロール成形装置300は、図3(B)に示したロール成形装置200と同様に、主ロール1、第1副ロール2、第2副ロール3、第3副ロール4、サポートロール81~84を備えている。ロール成形装置300は、さらに、昇降モータ310、ボールネジ320、昇降台330、回転モータ340、駆動ギア351、従動ギア352及び353、伝達ギア354及び355、リングギア361、ピニオンギア362及び363、移動モータ371及び372、取付板381及び382を備えている。
【0046】
なお、副ロール2~4における軸方向の撓みを生じないことを条件に、サポートロール81~84を省略することができる。
【0047】
昇降モータ310、回転モータ340、並びに移動モータ371及び372は、何れも正確な回転量で正逆両方向に回転駆動制御できるサーボモータである。
【0048】
主ロール1は、両端部をそれぞれ左右のフレーム391及び392に軸支されている。昇降モータ310は、ベース10の中央部に固定されている。ボールネジ320、昇降台330、駆動ギア351、従動ギア352及び353、リングギア361、ピニオンギア362及び363、取付板381及び382は、左右のフレーム391及び392のそれぞれの近傍に一対ずつ備えられている。
【0049】
昇降モータ310の回転は、フレーム391側で、軸方向を水平に配置された回転軸311を介してギアボックス321に伝達される。軸方向を垂直にして配置されたボールネジ320は、ギアボックス321内で固定ナットに螺合し、且つ昇降自在にされており、回転軸311の端部に固定された図示しないウォームギアに噛合している。ボールネジ320の上端部は、昇降台330に固定されている。フレーム392側でも同様に構成されている。昇降モータ310の回転軸311を正逆方向に回転させることにより、ボールネジ320が昇降台330とともに昇降する。昇降モータ310、ボールネジ320、ギアボックス321内の固定ナット及び昇降台330がこの発明の第1移動機構に相当する。
【0050】
フレーム391側で、昇降台330は、リングギア361、回転モータ340、移動モータ371及び372、副ロール2~4のそれぞれの回転軸22、32、42の軸受を搭載している。図示されないが、フレーム392側では、昇降台330には、リングギア361、副ロール2~4のそれぞれの軸受が搭載されている。
【0051】
回転モータ340の回転軸は、副ロール2の回転軸22に対して同軸上に固定されている。副ロール2の回転軸22の両端部には駆動ギア351が固定されており、副ロール3の回転軸32の両端部には従動ギア352が固定されており、副ロール4の回転軸42の両端部には従動ギア353が固定されている。回転モータ340が、この発明の回転駆動部に相当する。
【0052】
サポートロール81の回転軸811の両端部には伝達ギア354が固定されており、サポートロール82の回転軸821の両端部にはピニオンギア362が固定されており、サポートロール83の回転軸831の両端部には伝達ギア355が固定されており、サポートロール84の回転軸841の両端部にはピニオンギア363が固定されている。
【0053】
フレーム391側で、伝達ギア354は駆動ギア351及び従動ギア352に噛合しており、伝達ギア355は駆動ギア351及び従動ギア353に噛合している。駆動ギア351並びに従動ギア352及び353は、互いに同一のピッチ円径及び歯数にされている。フレーム392側でも、同様に構成されている。回転モータ340の駆動により、副ロール2~4が、同一の速度で同方向に回転する。駆動ギア351、従動ギア352及び353、並びに伝達ギア354及び355が、この発明の回転伝達機構に相当する。
【0054】
フレーム391側で、ピニオンギア362及び363は、リングギア361に噛合している。リングギア361は、ガイド部材3911及びレール3912を介して、フレーム391内で昇降自在にされている。リングギア361は、副ロール2の軸をピッチ円の中心としている。フレーム392側でも、同様に構成されている。
【0055】
フレーム391側で、副ロール3の回転軸32並びにサポートロール81及び82の回転軸811及び821のそれぞれの軸受は取付板381に固定されており、副ロール4の回転軸42並びにサポートロール83及び84の回転軸831及び841のそれぞれの軸受は取付板382に固定されている。取付板381及び382は、副ロール2の回転軸22に軸支されている。フレーム392側でも、同様に構成されている。
【0056】
なお、この例では、副ロール2~4の径は図5中一点鎖線で示すギア351~353のピッチ円径に等しくされており、サポートロール81及び83の径は図5中一点鎖線で示すギア354及び355のピッチ円径に等しくされており、サポートロール82及び84の径は図5中一点鎖線で示すギア362及び363のピッチ円径に等しくされている。
【0057】
したがって、サポートロール81は副ロール2及び3の周面に当接し、サポートロール82は副ロール3の周面に当接し、サポートロール83は副ロール2及び4の周面に当接し、サポートロール84は副ロール4の周面に当接する。サポートロール81~84は、副ロール2~4に撓みを生じないことを条件に、省略することができる。
【0058】
フレーム391側で、移動モータ371の回転がギアボックス3711を介して水平面内で軸方向を直交させてピニオンギア362に伝達され、移動モータ372の回転がギアボックス3721を介して水平面内で軸方向を直交させてピニオンギア363に伝達される。ピニオンギア362及び363は、リングギア361との噛合により、自転しつつリングギア361に沿って副ロール2の回転軸22を中心とする円弧上を公転する。この公転により、取付板381及び382が、副ロール3及び4とともに、副ロール2の回転軸22を中心として回転する。取付板381及び382が、この発明の第1及び第2軸支部材に相当する。また、移動モータ371及び372が、この発明の旋回駆動部に相当する。
【0059】
移動モータ371及び372並びにギアボックス3711及び3721は、取付板381に支持されており、ピニオンギア362及び363の公転にともなって取付板381とともに回転する。ピニオンギア362及び363の公転位置にかかわらず、移動モータ371及び372の回転が、ギアボックス3711及び3721からピニオンギア362及び363に常時供給される。
【0060】
なお、リングギア361のピッチ円径及び歯数に応じてピニオンギア362及び363のピッチ円径が決まるため、ピニオンギア362及び363は、必ずしもサポートロール82及び84と同軸上に配置されるとは限らず、サポートロール82及び84とは別に取付板381及び382に軸支される場合もある。
【0061】
昇降モータ310を駆動することにより、昇降台330とともに副ロール2~4が半径方向R1に沿って昇降する。移動モータ371及び372を駆動することにより、副ロール3及び4が、円弧C1に沿って移動する。
【0062】
図6に示すように、図5に示す状態から、図外の昇降モータ310を正転駆動して昇降台330とともに副ロール2~4を上昇させ、図外の移動モータ371及び372を互いに逆方向に駆動して取付板381及び382を上昇させることで副ロール3及び4を円弧C1に沿って上昇させる。ロール成形装置300によって主ロール1と副ロール2~4との間に矩形板状のワークを挟持する所謂4本ロール成形装置を構成することができる。この状態から図外の回転モータ340を駆動することで、駆動ギア351、伝達ギア354及び355、並びに従動ギア352及び353により、副ロール2~4が同一方向に同一速度で回転する。
【0063】
図7に示すように、図5に示す状態から、図外の昇降モータ310を逆転駆動して昇降台330とともに副ロール2~4を下降させ、図外の移動モータ371及び372を互いに逆方向に駆動して取付板381及び382を上昇させることで、副ロール3及び4を円弧C1に沿って上昇させる。ロール成形装置300によって主ロール1と副ロール3及び4との間に矩形板状のワークを挟持する所謂3本ロール成形装置を構成することができる。この状態から図外の回転モータ340を駆動することで、駆動ギア351、伝達ギア354及び355、並びに従動ギア352及び353により、副ロール2~4が同一方向に同一速度で回転する。
【0064】
図8に示すように、図7に示す状態から、図外の昇降モータ310を逆転駆動して昇降台330とともに副ロール2~4を下降させ、主ロール1と副ロール3及び4との間にウレタンロール11を挿入する。ロール成形装置300によって主ロール1とウレタンロール11との間に矩形板状のワークを挟持する所謂ウレタンロール成形装置を構成することができる。この状態から図外の回転モータ340を駆動することで、駆動ギア351、伝達ギア354及び355、並びに従動ギア352及び353により、副ロール2~4が同一方向に同一速度で回転し、ウレタンロール11が副ロール2~4とは逆方向に回転する。
【0065】
なお、この例では、副ロール2~4は、ギア351~353のピッチ円と同径であるため、図6~8では便宜上一点鎖線で示している。
【0066】
図6又は図7に示す状態から、移動モータ371及び372を選択的に駆動して主ロール1と副ロール3及び4との間隔を変化させることで、矩形平板状のワークを円形断面以外の略多角形や楕円の断面形状に成形することもできる。
【0067】
以上のように、ロール成形装置300によれば、簡単な構成で複数種類のロール成形装置のロール配置を実現でき、設備費の低廉化及び設置スペースの狭小化を実現できる。
【0068】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1-主ロール
2-第1副ロール
3-第2副ロール
4-第3副ロール
5-第1昇降機構(第1移動機構)
6-第2昇降機構(第2移動機構)
7-第3昇降機構(第3移動機構)
8-第1変位機構(第2移動機構)
9-第2変位機構(第3移動機構)
11-ウレタンロール
M1~M3-モータ(回転駆動部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8