(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】沈砂池
(51)【国際特許分類】
B01D 21/18 20060101AFI20220809BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20220809BHJP
B01D 21/30 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B01D21/18 K
B01D21/24 G
B01D21/24 H
B01D21/24 M
B01D21/30 J
B01D21/30 F
(21)【出願番号】P 2018106315
(22)【出願日】2018-06-01
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】川上 直哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢二
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-069180(JP,A)
【文献】特開2011-245390(JP,A)
【文献】特開2013-202570(JP,A)
【文献】特開2008-168203(JP,A)
【文献】特開平02-017906(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02770161(EP,A1)
【文献】特開2017-218759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00-21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記側壁に対向して配置され、前記所定方向に延在した供給管と、
前記供給管に配置され、前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する
複数の吐出口とを有し、
前記側壁は、池幅方向中央側に突出し前記所定方向に延在した突出壁部と該池幅方向外側に向かって凹み前記所定方向に延在した凹み壁部とを有するものであり、
前記吐出口は、前記突出壁部に対向した位置と前記凹み壁部に対向した位置それぞれに配置されたものであり、
前記供給管は、前記複数の吐出口のうちの、前記突出壁部に対向した位置に配置された第1吐出口と前記凹み壁部に対向した位置に配置された第2吐出口との間に、該第1吐出口から吐出される流体の吐出方向と該第2吐出口から吐出される流体の吐出方向とを異なる方向に変更可能な方向変更手段を備えたものであることを特徴とする沈砂池。
【請求項2】
前記供給管に流体を供給する母
管を有し、
前記供給管は、該供給管の軸線方向を中心として前記母管に対して回動可能なものであることを特徴とする請求項1記載の沈砂池。
【請求項3】
前記吐出口は、前記供給管と該吐出口の間に配置された球継手によって流体の吐出方向を変更可能なものであることを特徴とする請求項1項記載の沈砂池。
【請求項4】
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する吐出口と、
前記吐出口が着脱可能に設けられた供給管とを有し、
前記供給管は、前記吐出口が装着される装着部を該供給管の周方向に複数有することで前記吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更可能にしたことを特徴とする沈砂池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け入れた水に含まれている砂が池底部に沈降する沈砂池に関する。
【背景技術】
【0002】
汚水処理設備には、下水および雨水などの汚水を受け入れ、その汚水に含まれている砂を池底部の底面や池底部に設けられた溝内に沈降させた後、底面や溝内に堆積した砂を集砂ピットに集めて汚水から取り除く沈砂池が設けられているものがある。この沈砂池として、池内の汚水を排出して底面に堆積した砂を大気中に露出させた後、その砂を沈砂池の側壁近傍に設けられた複数の吐出口から吐出させた流体の流れにより溝に向かって移動させる集砂手段を備えたものが知られている。また、側壁近傍に設けられた吐出口から吐出する流体の、池底部の底面に対する吐出角度を所定角度に設定することで、底面に到達した流体を側壁方向と溝方向とに分流させて側壁近傍の砂を流す工夫がなされた沈砂池が提案されている。(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、沈砂池には、沈砂池の上に設置された建屋や配管等を支持する目的で側壁の近傍に柱が形成されている場合がある。そして、その柱が形成されている部分では、柱の土台を構成するために側壁が池幅方向中央側に向かって突出し、柱が形成されていない部分では、側壁が池幅方向外側に凹んだ形状をしていることがある。すなわち、側壁が直線状に形成されていない沈砂池が存在する。特許文献1に記載された集砂手段を側壁が直線状に形成されていない沈砂池に適用する場合、側壁方向に分流した流体が側壁近傍の砂を流せるように全ての吐出口を側壁に近接して配置する必要がある。そして、全ての吐出口を側壁に近接して配置しようとすると、吐出口の設置位置を吐出口毎に設定することになるため、吐出口の設置費用が高額になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、側壁近傍に堆積した砂を残留させることなく流体で流すことができるようにした沈砂池を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の沈砂池は、受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記側壁に対向して配置され、前記所定方向に延在した供給管と、
前記供給管に配置され、前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する複数の吐出口とを有し、
前記側壁は、池幅方向中央側に突出し前記所定方向に延在した突出壁部と該池幅方向外側に向かって凹み前記所定方向に延在した凹み壁部とを有するものであり、
前記吐出口は、前記突出壁部に対向した位置と前記凹み壁部に対向した位置それぞれに配置されたものであり、
前記供給管は、前記突出壁部に対向した位置に配置された吐出口と、前記凹み壁部に対向した位置に配置された吐出口との間に、前記吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更可能な方向変更手段を備えたものであることを特徴とする。
また、受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する吐出口とを有し、
前記吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更可能にしたことを特徴とする沈砂池であってもよい。
【0007】
ここで吐出口は、複数設けられたものであってもよい。吐出口が複数設けられている場合、各吐出口がそれぞれ個別に流体の吐出方向を変更可能に構成されていてもよく、いくつかの吐出口の吐出方向をまとめて変更可能に構成されていてもよい。
【0008】
この沈砂池によれば、側壁の形状に合わせて吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更することで、側壁の形状に関わらず、側壁近傍に堆積した砂に、その砂を流せる量の流体を到達させることが可能になり、砂の残留を防ぐことができる。なお、吐出口から吐出した流体を、側壁近傍に堆積した砂に向かって直接噴射してもよく、側壁からやや離れた位置の底面に向かって噴射し、その底面にぶつかった後の流体の分流によって側壁近傍に堆積した砂を流すように構成してもよい。
【0009】
また、この沈砂池において、前記吐出口が設けられた供給管と、
前記供給管に流体を供給する母管とを有し、
前記供給管は、該供給管の軸線方向を中心として前記母管に対して回動可能なものであってもよい。
【0010】
供給管をその軸線方向を中心として回動可能にすることで、簡単な構成で吐出口から吐出される流体の方向を変更可能になる。
【0011】
さらに、この沈砂池において、前記供給管は、複数の吐出口を備えたものであってもよい。
【0012】
供給管に複数の吐出口が設けられている場合には、その供給管を回動させることで複数の吐出口における流体の吐出方向をまとめて変更できるので、流体の吐出方向の調整が容易になる。
【0013】
また、この沈砂池において、前記吐出口が設けられた供給管を有し、
前記吐出口は、前記供給管と該吐出口の間に配置された球継手によって流体の吐出方向を変更可能なものであってもよい。
【0014】
球継手によって吐出方向を変更可能に構成することで、供給管の周方向以外の様々な方向にも流体の吐出方向を変更できるので、吐出口毎に吐出方向のきめ細かい調整が可能になる。
【0015】
また、この沈砂池において、前記供給管は、前記吐出口が装着される装着部を該供給管の周方向に複数有するものであってもよい。
【0016】
供給管の周方向に複数の装着部が設けられているので、供給管を設置してから複数の装着部のうちから任意の装着部に選択的に吐出口を装着できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、側壁近傍に堆積した砂を残留させることなく流体で流すことができるようにした沈砂池を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に相当する沈砂池を含む汚水処理設備の概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に相当する沈砂池を上方から見た平面図である。
【
図5】(a)は、ラップジョイントが設けられた一方の管が他方の管に結合された状態を説明するための断面図であり、(b)は、ボルトを緩めることでラップジョイントが設けられた一方の管が他方の管に対してその軸方向を中心として回転自在になった状態を説明するための断面図である。
【
図6】(a)は、
図4のC-C断面図であり、(b)は、沈砂池の上流側端部近傍の底面と、集砂ピット近傍の底面とを示した(a)と同様の断面図であり、(c)は、集砂ノズルによる吐出方向の変更を説明するための、(a)と同様の断面図である。
【
図8】沈砂池の水位と水位センサを示す説明図である。
【
図9】(a)は、
図6に示す供給管と集砂ノズルの第1変形例を示す図であり、(b)は、
図6に示す供給管と集砂ノズルの第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施形態である沈砂池は、汚水処理設備に配置され、下水および雨水などの汚水に含まれる砂を沈降させた後、沈降させた砂を集砂ピットに移動させて汚水から取り除くものである。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に相当する沈砂池を含む汚水処理設備の概略断面図である。
【0021】
図1に示すように、汚水処理設備1は、沈砂池2と、ポンプ井3と、ダム装置4とを有する。この汚水処理設備1には、下水および雨水などの汚水が流入してくる。汚水処理設備1は、
図1における左側から汚水を受け入れる。受け入れた汚水は、沈砂池2において、その汚水に含まれている砂を沈降させつつ図の右側のポンプ井3に向かってゆっくりと流れていく(
図1に示す直線の矢印参照)。以下、受け入れた汚水の流れにおける上流側を、単に上流側と称し、汚水の流れの下流側を、単に下流側と称する。
【0022】
汚水処理設備1の、沈砂池2よりも上流側には、ダム装置4が配置されている。このダム装置4は、開口壁41と、流入ゲート42と、ゲート駆動装置43とを有する。開口壁41下流側の壁面は、沈砂池2の上流端を画定している。開口壁41の下端部分には、流入口411が開口している。流入ゲート42は、開口壁41上流側の壁面に沿って上下動可能に設けられている。この流入ゲート42は、
図1に実線で示した下方位置にあるときには流入口411を閉塞してダム装置4よりも上流側にある汚水の沈砂池2への流入を堰き止めている。また、流入ゲート42が、
図1において二点鎖線で示した上方位置に引き上げられているときには、汚水が沈砂池2に流入することを許容している。ゲート駆動装置43は、その内部に図示しない駆動機構を有しており、ダム装置4を制御する制御装置からの指令に応じて流入ゲート42を上下動させる。この上下動により、流入ゲート42は、上方位置と下方位置の何れかの位置に選択的に配置される。
【0023】
沈砂池2には、その上流側に配置された除塵機5と、中流付近に配置された集砂ピット6と、集砂ピット6内の砂を池外に搬出する揚砂ポンプ61とが設けられている。揚砂ポンプ61には揚砂管64が接続されている。揚砂ポンプ61によって吸引された砂は、この揚砂管64を通して沈砂池2の外部に設けられた不図示の沈砂分離機に送られる。除塵機5は、沈砂池2に流れ込んできた汚水に混入している混入物(し渣)を除去するためのものである。沈砂池2の構成については後に詳述する。
【0024】
汚水処理設備1の、沈砂池2よりも下流側には、ポンプ井3が形成されている。ポンプ井3には、沈砂池2によって砂が取り除かれた汚水が貯留される。ポンプ井3の底部は、汚水処理設備1における最深部となっている。ポンプ井3には、揚水ポンプ31と給水ポンプ33が配置が配置されている。揚水ポンプ31は、ポンプ井3に貯留された汚水を、汚水処理設備1の外部に移動するものである。揚水ポンプ31には揚水管32が接続されている。揚水ポンプ31によって吸引された汚水は、この揚水管32を通して次の段階の汚水処理を行う不図示の沈殿池等に送られる。給水ポンプ33は、上述の揚水ポンプ31よりも、ポンプ井の底部に近い位置に配置されている。給水ポンプ33には給水管34が接続されている。給水ポンプ33によって吸引された汚水は、この給水管34を通して後述する各ノズル等に送られる。給水ポンプ33によって吸引された汚水を、以下の説明では流体と称する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に相当する沈砂池を上方から見た平面図である。
図2では除塵機を二点鎖線の矩形で示している。また、汚水の流れ方向を直線の矢印で示している。
【0026】
図2に示すように、沈砂池2は、左側壁Waと右側壁Wbの間に、除塵機5と、集砂ピット6と、底面7と、主トラフ8と、集砂手段9とを備えた、平面視で概略長方形状の池である。以下、左側壁Waと右側壁Wbとを合わせて側壁Wと称することがある。沈砂池2上流側の池幅方向中央部分には、除塵機5を支持するための支持壁10が設けられている。集砂ピット6、底面7、および主トラフ8は、それぞれ沈砂池2の池底部に設けられている。この沈砂池2は、底面7に沈降した砂を、沈砂池2内の汚水を排水した状態で3kg/cm
2未満の低圧力水を底面7に吐出して集砂する、いわゆる低圧集砂方式の沈砂池である。以下、沈砂池2の長辺方向を長手方向と称し、短辺方向を池幅方向と称する。
【0027】
沈砂池2の上方(
図2における紙面手前側)には、図示しない建屋や配管等が配置されている場合がある。そして、その建屋等を支持する目的で、沈砂池2に隣接して柱11が形成されていることがある。
図2に示す沈砂池2では、左側壁Waの近傍に柱11が形成されている。その左側壁Waのうち、柱11の土台になる部分は、池幅方向中央に向かって突出した突出壁部Wa1が形成されている。逆に、その左側壁Waのうち、左側壁Waの上に柱11が存在しない部分では、池幅方向外側に向かって凹んだ凹み壁部Wa2が形成されているとも言える。また、突出壁部Wa1と凹み壁部Wa2とを繋ぐ部分は、長手方向および池幅方向に対して傾斜した傾斜壁部Wa3が形成されている。なお、右側壁Wbの近傍には柱が存在しないので、右側壁Wbは、平面視でほぼ直線状に形成されている。
【0028】
集砂ピット6は、長手方向の中央よりもやや下流側の位置に配置されている。この集砂ピット6は、沈砂池2の左側壁Waと右側壁Wbの間にまたがって形成された凹部によって構成されている。集砂ピット6の内部には、揚砂ポンプ61と、攪拌ノズル62と、ピット用集砂ノズル63とが配置されている。集砂ピット6の、池幅方向の中央部分は、沈砂池2において最も深い最深部6aになっている。この最深部6aは、平面視で矩形をしている。揚砂ポンプ61は、この最深部6a内に配置されている。集砂ピット6の底部のうち、側壁Wから最深部6aの間は、池幅方向の中央部分にある最深部6a側に向かって徐々に深くなるように傾斜した傾斜面6bになっている。
【0029】
攪拌ノズル62は、最深部6aの各角部近傍に合計4つ配置されている。この攪拌ノズル62は、最深部6aに集められた砂を撹拌するためのものである。揚砂ポンプ61を駆動している時に攪拌ノズル62の吐出口62aから流体を吐出することで、最深部6aに集まった砂の揚砂ポンプ61による吸引効率を高めることができる。ピット用集砂ノズル63は、池幅方向の両端部それぞれに2つづつ配置されている。沈砂池2の水位を所定値よりも低くした状態で、ピット用集砂ノズル63の吐出口63aから流体を吐出することで、傾斜面6bに堆積している砂を最深部6aに集めることができる。
【0030】
底面7は、平面状の底平面71と、複数の小トラフ72とから構成されている。底平面71および小トラフ72は、沈砂池2の池幅方向中央部分で主トラフ8に接続している。底平面71は、主トラフ8側端部が最も深くなるように、池幅方向外側端部にある側壁W側から池幅方向の中央側に向かって下方に約5度傾斜している。また、底平面71は、集砂ピット6に向かって集砂ピット6側端部が最も深くなるように長手方向に向かって下方に約1度傾斜している。小トラフ72は、断面がU字状をした樋状のものであり、側壁Wの近傍から池幅方向に延在している。小トラフ72は、長手方向に等間隔に複数配置されている。本実施形態では、主トラフ8を挟んで池幅方向の一方側と他方側それぞれに28本、合計56本の小トラフ72が配置されている。この小トラフ72も、底平面71と同様に、主トラフ8と接続した部分が最も池底側に位置するように、側壁W側から主トラフ8側に向かって下方に約5度傾斜している。
【0031】
主トラフ8は、沈砂池2の上流側端部近傍から長手方向に延在し、集砂ピット6に接続した上流側主トラフ81と、沈砂池2の下流側端部近傍から長手方向に延在し、集砂ピット6に接続した下流側主トラフ82とから構成されている。上流側主トラフ81および下流側主トラフ82は、断面がU字状のステンレス鋼板であるトラフ形成体によって形成された溝である。上流側主トラフ81および下流側主トラフ82は、底平面71と同様に集砂ピット6に向かうにしたがって下方に約1度傾斜しており、集砂ピット6に接続した部分が最も深くなっている。
【0032】
図2に示すように、上流側主トラフ81は、2本に分岐した上流側の分岐部811と下流側の直線部812とを有しており、全体として平面視でY字状に形成されている。分岐部811は、支持壁10を挟んで長手方向にそれぞれ延在している。直線部812は池幅方向中央で長手方向に延在している。上流側主トラフ81の下流端は、集砂ピット6の最深部6aに接続している。2本の分岐部811の上流端それぞれには上流トラフ用ノズル83が設けられている。沈砂池2の水位を所定値よりも低くした状態で、これらの上流トラフ用ノズル83の吐出口83aから流体を吐出することで、上流側主トラフ81に堆積した砂を集砂ピット6に移動させることができる。
【0033】
下流側主トラフ82は、沈砂池2の幅方向中央で長手方向に直線状に延在している。下流側主トラフ82の上流端は、集砂ピット6の最深部6aに接続している。下流側主トラフ82の下流端には下流トラフ用ノズル84が設けられている。沈砂池2の水位を所定値よりも低くした状態で、この下流トラフ用ノズル84の吐出口84aから流体を吐出することで下流側主トラフ82に堆積した砂を集砂ピット6に移動させることができる。
【0034】
図2に示すように、除塵機5は、沈砂池2の上流側部分に、支持壁10を挟んで池幅方向に2つ並んで設けられている。これら2つの除塵機5、5は同一の構成を有する。除塵機5は、沈砂池2に流れ込んできた汚水に混入している混入物(し渣)を除去するためのものである。
図2の上側に示されている一方の除塵機5は、左側壁Waと支持壁10によって支持されており、
図2の下側に示されている他方の除塵機5は、右側壁Wbと支持壁10によって支持されている。池幅方向に並んで2つの除塵機5、5を配置することで、各除塵機5の池幅方向の幅を短くすることができる。除塵機5の池幅方向の幅を短くすることで、除塵機5の強度が高まり、大雨などで沈砂池2に流入する汚水の量及び流速が増大しても、除塵機5が破損してしまうことを抑制できる。
【0035】
図3は、
図2に示す沈砂池のA-A断面図である。
図3では柱および揚砂ポンプを図示省略している。また、汚水の流れ方向を直線の矢印で示している。なお、沈砂池の水面WLは、流入する雨や下水の量等によって変動するが、雨や下水が想定されている量である通常時には、
図3に示すように、沈砂池2の高さ方向の中程度の高さに位置している。
【0036】
図3に示すように、除塵機5は、無端チェーン51と、その無端チェーン51に間隔をあけて取り付けられた複数のレーキ52と、濾過スクリーン53とを有する。無端チェーン51は、沈砂池2の幅方向両側それぞれに斜めに起立した状態で設けられたものであり、地上側スプロケット511と、池底側スプロケット512に巻きかけられている。無端チェーン51の上側部分および地上側スプロケット511は、沈砂池2の地上部分に配置されている。水面WLが通常状態にある時に、地上側スプロケット511を図示しないモータによって円弧状の矢印Rで示した回転方向に駆動すると、無端チェーン51が循環し、レーキ52は水中を出入りする。
図3には通常状態の水面WLが示されている。濾過スクリーン53は、無端チェーン51の下流側に配置されている。この濾過スクリーン53は、上下方向に延びるバーが池幅方向に所定間隔(例えば、25mm~75mm)で並べられたものであり、所定間隔以上の大きさの混入物の通過を遮る。濾過スクリーン53で遮られた混入物は、レーキ52によって掻き揚げられ、掻き揚げられた混入物は、地上側で不図示のベルトコンベア等の運搬手段に載せられる。なお、池底側スプロケット512および濾過スクリーン53の下端は、底面7および主トラフ8よりも上流側に配置されている。一方、地上側スプロケット511および濾過スクリーン53の上端は、底面7および主トラフ8の上流側部分の上方に位置している。すなわち、無端チェーン51および濾過スクリーン53の上側部分は、底面7および主トラフ8と長手方向において重複している。
【0037】
集砂手段9は、沈砂池2の左側壁Wa側に配置された第1ノズルヘッダ9a、第2ノズルヘッダ9b、第3ノズルヘッダ9cと、右側壁Wb側に配置された第4ノズルヘッダ9d、第5ノズルヘッダ9e、第6ノズルヘッダ9fとを有する(
図2参照)。
図3では左側壁Wa側の集砂手段9が示されている。右側壁Wb側の集砂手段9も同様の構成をしているため、右側壁Wb側の集砂手段9は説明を省略する。第1ノズルヘッダ9a、第2ノズルヘッダ9b、第3ノズルヘッダ9cそれぞれは、10個の集砂ノズル91と、供給管92と、母管93とを有する。供給管92は、左側壁Waに対向して配置され、長手方向に延在している。母管93は、沈砂池2の上方に伸びた単管931と、単管931の池底側端部に接続された分岐管932とを有する。この単管931および分岐管932は、図示しない固定金具によって左側壁Waに固定されている。
【0038】
図4は、
図3のB部を拡大して示す拡大図である。この
図4では、汚水の流れ方向を直線の矢印で示している。
図4には側壁も示されている。また、
図4は、6つのノズルヘッダのうちの一つを示しているが、他の5つのノズルヘッダも
図4で示したノズルヘッダと同様の構成をしている。
【0039】
図4に示すように、分岐管932は、単管931にフランジ継手933によって接続されている。分岐管932は、単管931に接続された部分の下方側で2又に分岐しており、分岐した先の分岐部分は、沈砂池2の長手方向にそれぞれ延在している。分岐部分の先端部分には、それぞれラップジョイント934が固定された供給管92が接続されている。本実施形態では、1本の母管93に対し、分岐管932よりも上流側に配置された上流側供給管921と、分岐管932よりも下流側に配置された下流側供給管923と、上流側供給管921と下流側供給管923の間に配置された中間供給管922の、3本の供給管92が設けられている。上流側供給管921および下流側供給管923の、分岐管932と接続された一方の端部とは反対側の他方の端部は、蓋97によって閉塞されている。中間供給管922は、その両端が分岐管932と接続されている。
【0040】
上流側供給管921および下流側供給管923には、それぞれ3つの集砂ノズル91が等間隔に固定されている。また、中間供給管922には、4つの集砂ノズル91が等間隔に固定されている。なお、各供給管92に配置される集砂ノズル91の数は、供給管92の長さ等の要素に応じて適宜決定すればよい。各集砂ノズル91の先端には吐出口911が形成されている。沈砂池2の水位を所定値よりも低くして吐出口911および底面7に堆積している砂を大気中に露出させた状態で、集砂ノズル91の吐出口911から大気中に流体を吐出することで、
図2および
図3に示した底面7に堆積している砂を主トラフ8に集めることができる。
【0041】
供給管92のうち、突出壁部Wa1に対向した部分と凹み壁部Wa2に対向した部分では、供給管92から左側壁Waまでの間隔が異なっている。すなわち、供給管92には、左側壁Waから池幅方向に第1間隔をあけて延在する第1領域92aと、左側壁Waから池幅方向に第2間隔をあけて延在する第2領域92bとが存在する。また、本実施形態の沈砂池2には、突出壁部Wa1と凹み壁部Wa2とを繋ぐ部分に傾斜壁部Wa3が形成されていることから、供給管92には、前記第1領域と前記第2領域をつなぐ領域である第3領域92cが存在する。各集砂ノズル91およびその吐出口911は、左側壁Waに対向して配置され、長手方向に並んで供給管92に固定されている。
図4に示した第2ノズルヘッダ9bでは、上流側供給管921は、突出壁部Wa1に対向して配置されている。すなわち、上流側供給管921がある領域は、第1領域92aに相当する。一方、中間供給管922のうち、最も上流側供給管921に近い部分にある吐出口911が配置された領域は、傾斜壁部Wa3に対向して配置されている。すなわち、その領域は第3領域92cに相当する。また、中間供給管922のうち、下流側供給管923側から3個の吐出口911が配置された領域と、下流側供給管923のうち、中間供給管922側から2個の吐出口911が配置された領域は、凹み壁部Wa2に対向して配置されている。すなわち、それらの領域は第2領域92bに相当する。また、下流側供給管923のうち、最も下流側にある吐出口911が配置された領域は、傾斜壁部Wa3に対向して配置されている。すなわち、その領域は第3領域92cに相当する。これらの各領域の間には、ラップジョイント934を用いた方向変更手段が設けられている。
【0042】
図5(a)は、ラップジョイントが設けられた一方の管が他方の管に結合された状態を説明するための断面図であり、
図5(b)は、ボルトを緩めることでラップジョイントが設けられた一方の管が他方の管に対してその軸方向を中心として回転自在になった状態を説明するための断面図である。この
図5では、一方の管として供給管を示し、他方の管として分岐管を示しているが、供給管どうしをラップジョイントを設けて接続する場合も同様の構成である。
【0043】
図5(a)および
図5(b)に示すように、供給管92の端部にはラップジョイント934が溶接されている。このラップジョイント934は、供給管92に溶接された小径部934aと分岐管932側に配置された大径部934bとから構成されている。小径部934aは、供給管92の外径と同一径の外径に形成されている。ラップジョイント934の外周には、フリーフランジ935が配置されている。このフリーフランジ935は、内径がラップジョイント934の外径よりもほんの少しだけ大きいリング状をしている。フリーフランジ935には、ボルト95が挿入される貫通孔935aが周方向に均等に8つ形成されている。フリーフランジ935は、ラップジョイント934に対し回動自在かつ軸方向に移動自在にラップジョイント934と結合している。分岐管932先端の外径部分には、固定フランジ9322が溶接されている。この固定フランジ9322には、フリーフランジ935と同様にボルト95が挿入される貫通孔9322aが8つ形成されている。ラップジョイント934と固定フランジ9322の間にはリング状のパッキン94が配置されている。このパッキン94は、供給管92と分岐管932とが接合された状態において、供給管92と分岐管932内部を通過する流体が漏洩することを防止するためのものである。
【0044】
ボルト95は、固定フランジ9322の貫通孔9322aとフリーフランジ935の貫通孔935aに挿入されている。ボルト95とナット96とを締め付けた状態では、
図5(a)に示された供給管92のように、ラップジョイント934がパッキン94とともに固定フランジ9322とフリーフランジ935によって挟まれることで、分岐管932に対し供給管92が固定される。一方、ボルト95を緩めると、
図5(b)に示された供給管92のように、分岐管932に対し供給管92がその軸線方向を中心として回動可能になる。すなわち、本実施形態では、母管93(
図3参照)と供給管92とをラップジョイント934とフリーフランジ935を利用して接続しているので、供給管92は、その軸線方向を中心として、母管93に対して無段階に回動可能に構成されている。なお、ラップジョイント934の代わりにルーズフランジ等の他の遊合形フランジを用いても、母管93に対して供給管92を無段階に回動可能に接続することができる。
【0045】
また、
図4に示すように、第1領域92aに配置された吐出口911と第3領域92cに配置された吐出口911の間、および第2領域92bに配置された吐出口911と第3領域92cに配置された吐出口911の間にはそれぞれラップジョイント934が配置されている。従って、第1領域92aと第2領域92bと第3領域92cそれぞれに配置された吐出口911は互いに独立して供給管92の軸線方向を中心として無段階に回転可能に構成されている。この構成により、供給管92から左側壁Waまでの間隔に応じて、各領域の吐出口911における流体の吐出方向をそれぞれ設定することができる。この第1領域92aに配置された吐出口911と第3領域92cに配置された吐出口911の間に配置されたラップジョイント934は、第1方向変更手段の一例に相当する。また、第2領域92bに配置された吐出口911と第3領域92cに配置された吐出口911の間に配置されたラップジョイント934は、第2方向変更手段の一例に相当する。また、
図4に示した供給管92のうち、第1領域92aでは、第1領域92a内に並んだ3個の吐出口911における流体の吐出方向
をまとめて変更できるので、第1領域92aにおける吐出方向が容易に調整できる。
図4に示した供給管92のうち、第2領域92bでは、中間供給管922に配置された3個の吐出口911をまとめて変更でき、下流側供給管923に配置された2個の吐出口911をまとめて変更できるので、第2領域92bにおける吐出方向が容易に調整できる。すなわち、複数個の吐出口911の吐出方向をまとめて変更できるように構成した場合のラップジョイント934は、一括方向変更手段の一例に相当する。なお、第3領域92cの長手方向が短く第3領域92c内に吐出口911が存在しない場合や、第3領域92cが存在しない場合には、第1領域92aと第2領域92bの間にラップジョイント934を配置すればよい。
【0046】
図6(a)は、
図4のC-C断面図である。この
図6(a)では側壁および底平面も示されている。
【0047】
上述した様に、左側壁Waは、突出壁部Wa1と、凹み壁部Wa2とを有している。
図6(a)では、突出壁部Wa1は実線で示されており、凹み壁部Wa2は二点鎖線で示されている。
図6(a)に実線で示した吐出口911では、流体の吐出方向を供給管92の中心から真下に向かう方向(垂直方向)よりも池幅方向中央側に向かう方向に向けている。この吐出口911では、底平面71に対して流体を吐出する角度θを約50度としている。角度θを約50度にすることで、底平面71に到達した流体を主トラフ8に向かう方向と突出壁部Wa1に向かう方向とに分流させることができる。この角度θは、吐出した流体が主トラフ8に向かう方向と突出壁部Wa1に向かう方向とに分流する角度であればよく、具体的には底平面71に対して30度以上60度以下であればよい。この角度に設定することで、突出壁部Wa1のように供給管92と左側壁Waとが近い場合、すなわち第1領域92aでは、供給管92と左側壁Waの間の底平面71の上に堆積した砂にも分流した流体が到達し、その砂を洗い流すことができる。また、供給管92の垂直方向よりも池幅方向中央の主トラフ8側に流体の吐出方向が向いているので、左側壁Wa側に流れる流体の勢いよりも主トラフ8側に流れる流体の勢いが強くなる。この流体の勢いにより、供給管92と主トラフ8の間の底平面71の上に堆積した砂を効率的に主トラフ8に向けて流すことができる。
【0048】
一方、
図6(a)に二点鎖線で示した凹み壁部Wa2部分では、供給管92と左側壁Waとが離間している。このため、実線で示した吐出口911の吐出方向では、吐出した流体が分流しても凹み壁部Wa2近傍まで到達しないか、到達したとしても極僅かな量の流体しか到達しない。凹み壁部Wa2近傍に到達する流体の量が少ないと、供給管92と凹み壁部Wa2の間に堆積した砂のうち、凹み壁部Wa2近傍にある砂を十分に洗い流すことができない。
【0049】
本実施形態では、供給管92をその軸線方向を中心として回動可能に構成しているので、集砂ノズル91からの流体の吐出方向を自在に変更できる。
図6(a)には、凹み壁部Wa2の位置に対応して吐出口911から吐出される流体の吐出方向を調整した集砂ノズル91が二点鎖線で示されている。この二点鎖線で示された集砂ノズル91では、吐出口911から吐出される流体の吐出方向を、供給管92の中心から真下に向かう方向(垂直方向)よりも池幅方向外側に向けている。供給管92から左側壁Waまでの距離に応じて、吐出口911から吐出される流体の吐出方向を調整することで、第2領域92bのように供給管92と左側壁Waとが離間していても、左側壁Wa近傍に堆積している砂を十分に洗い流すことができる。なお、本実施形態では、母管93と供給管92または供給管92どうしをラップジョイント934とフリーフランジ935を利用して接続しているので、接続された供給管92をその軸線を中心として無段階に回転させることができる。無段階に回転できるので、突出壁部Wa1と凹み壁部Wa2の間にある傾斜壁部Wa3(
図2参照)に対向した位置にある供給管92(第3領域92c)では、
図6(a)に実線で示した集砂ノズル91の吐出方向と二点鎖線で示した集砂ノズル91の吐出方向の中間方向に流体の吐出方向を設定することもできる。
【0050】
また、本実施形態では、母管93に分岐管932を備えているので、1本の母管93に対して、上流側供給管921と中間供給管922と下流側供給管923の合計3本の供給管92が沈砂池2の長手方向に並んで接続されている。これに対し、分岐管932が無く、単管931に供給管92を接続する場合は、1本の母管93に対して沈砂池2の長手方向には多くても2本の供給管92しか接続できない。すなわち、母管93の先端から沈砂池2の上流側に伸びた供給管92と下流側に伸びた供給管92の2本になる。吐出口911から吐出される流体の吐出方向は、各供給管92毎に設定できる。従って、分岐管932がない場合と比較して、分岐管932を設けた場合は、吐出口911から吐出される流体の吐出方向を、沈砂池2の長手方向において多くの箇所で調整できるので、側壁Wの形状により柔軟に対応することが可能になる。
【0051】
図6(b)は、沈砂池の上流側端部近傍の底面と、集砂ピット近傍の底面とを示した
図6(a)と同様の断面図である。この
図6(b)では側壁および底平面も示されている。
【0052】
上述したように、底平面71は、集砂ピット6に向かって集砂ピット6側端部が最も深くなるように集砂ピット6側に向かって下方に約1度傾斜している(
図3参照)。このため、沈砂池2の上流側端部近傍の底平面71よりも、集砂ピット6近傍の方が低い位置に底平面71が存在している。
図6(b)では、沈砂池2の上流側端部近傍の底平面71は実線で示されており、集砂ピット6近傍の底平面71は二点鎖線で示されている。同図に示されているように、同一の位置にある吐出口911から流体を吐出したとしても、沈砂池2の上流側端部と集砂ピット6近傍では、底平面71の高さ方向の位置が異なるので、吐出した流体の底平面71への到達点に距離Yの違いが発生してしまう。特に長手方向の長さが長い沈砂池2では、距離Yが長くなってしまい、沈砂池2の上流側端部と集砂ピット6近傍の一方に最適な吐出方向でも他方には非効率的な吐出方向になってしまうことがある。本実施形態では、吐出口911からの流体の吐出方向を変更することができるので、底平面71の深さ(供給管92から底平面71まで高さ)に対応させて最適な吐出方向に流体を吐出することができる。
【0053】
図6(c)は、集砂ノズルによる吐出方向の変更を説明するための、
図6(a)と同様の断面図である。この
図6(c)では側壁および底平面も示されている。
【0054】
図6(c)に示すように、集砂ノズル91は、中間部分で屈曲しており実線で示した状態では、長手方向に見て逆くの字状に形成されている。逆くの字状に形成されているので、実線で示した集砂ノズル91を、供給管92との取付部分の軸線Lを中心にして180度回転させると、二点鎖線で示した様に、流体の吐出方向を池幅方向中央側から池幅方向外側に変更することができる。集砂ノズル91を逆くの字状に形成し、集砂ノズル91と供給管92との接続部分を回転可能に構成することで、吐出口911毎に流体の吐出方向を変更することが可能になる。すなわち、本実施形態における集砂ノズル91の形状および集砂ノズル91が供給管92に対して回転可能な構成が、個別方向変更手段の一例に相当する。
【0055】
【0056】
図7に示すように、給水ポンプ33は、ポンプ井3の水を、攪拌ノズル62、ピット用集砂ノズル63、上流トラフ用ノズル83、下流トラフ用ノズル84、および集砂手段9に選択的に供給する。給水ポンプ33に接続された給水管34には、上述の各ノズルおよび集砂手段9側に流体を供給するか否かを切り替えるための供給切替弁Vaと、給水ポンプで吸い上げた流体をポンプ井3に戻すか否かを切り替えるためのリリース切替弁Vbとが設けられている。供給切替弁Vaと攪拌ノズル62の間の管路には、攪拌ノズル62に流体を供給するか否かを切り替える攪拌切替弁Vcが設けられている。供給切替弁Vaとピット用集砂ノズル63の間の管路には、ピット用集砂ノズル63に流体を供給するか否かを切り替えるピット集砂切替弁Vdが設けられている。供給切替弁Vaと上流トラフ用ノズル83の間の管路には、上流トラフ用ノズル83に流体を供給するか否かを切り替える上流トラフ切替弁Veが設けられている。供給切替弁Vaと下流トラフ用ノズル84の間の管路には、下流トラフ用ノズル84に流体を供給するか否かを切り替える下流トラフ切替弁Vfが設けられている。また、供給切替弁Vaと集砂手段9の各ノズルヘッダ9a、9b、9c、9d、9e、9fの間の各管路には、各ノズルヘッダ9a、9b、9c、9d、9e、9fに流体を供給するか否かを切り替える集砂切替弁Vg1、Vg2、Vg3、Vg4、Vg5、Vg6がそれぞれ設けられている。これらの切替弁は、電磁弁で構成されており、図示しない制御装置によって弁の開閉が制御される。
【0057】
図8は、沈砂池の水位と水位センサを示す説明図である。
【0058】
図8に示すように、沈砂池2の集砂ピット6には水位センサ99が配置されている。この水位センサ99は、沈砂池2の水位が集砂ピット6の上端6cよりも上にある第1高水位HHWLと、水位が集砂ピット6の上端6cよりも下側で主トラフ8の下端8aよりも上にある第2高水位HWLと、水位が集砂ピット6内の下方にある低水位LWLと、第2高水位HWLと低水位LWLとの間の中間水位MWLと、低水位LWLよりさらに低いインターロック水位LLWLになったことをそれぞれ検知して出力するものである。
【0059】
上述の構成を有する汚水処理設備1の動作について説明する。沈砂池2の池底部にある程度砂が堆積した所定の時期に、汚水処理設備1は堆積した砂の除去動作を行う。この時期は、例えば月に一回など定期的でもよく、沈砂池2に流入または沈砂池2から排出された汚水の合計流量が一定量になったときでもよい。砂の除去動作では、先ず
図1に示したダム装置4の流入ゲート42を駆動して流入口411を閉塞し、汚水の沈砂池2への流入を堰き止める。次に、揚水ポンプ31を駆動して沈砂池2の水位を低下させる。ポンプ井3の水位が所定値まで下がったら揚水ポンプ31を停止する。沈砂池2の水位が第2高水位HWLまで低下したら、給水ポンプ33を駆動し、攪拌ノズル62から流体を吐出させ、揚砂ポンプ61を駆動する。以降、この揚砂ポンプ61は、水位センサ99からの低水位LWLを示す出力に応じて駆動を停止し、第2高水位HWLを示す出力に応じて駆動を再開する制御が自動で実行される。一方、給水ポンプ33は、砂の除去動作が終わるまで駆動が継続される。集砂ピット6に流された砂は揚砂ポンプ61が駆動しているときに、揚砂ポンプ61によって沈砂池2外の不図示の沈砂分離機に運ばれる。なお、水位センサ99が第1高水位HHWLまたはインターロック水位LLWLになったことを検知した場合、何らかの異常が発生したと考えられるため、アラートを表示して汚水処理設備1は砂の除去動作を停止する。
【0060】
その後、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83から一定時間流体を吐出させて上流側主トラフ81に堆積した砂を集砂ピット6に流す。一定時間経過後、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83からの流体の吐出を停止し、第5ノズルヘッダ9eに設けられた吐出口911から一定時間流体を吐出させる。この吐出により、第5ノズルヘッダ9eが配置されている付近の右側壁Wbから上流側主トラフ81の間の底面7の上に堆積した砂を上流側主トラフ81に洗い流すことができる。一定時間が経過したら、第5ノズルヘッダ9eに設けられた吐出口911からの流体の吐出を停止する。そして、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83から一定時間流体を吐出させて上流側主トラフ81に流された砂を集砂ピット6に送る。その後、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83からの流体の吐出を停止し、第2ノズルヘッダ9bに設けられた吐出口911から一定時間流体を吐出させる。本実施形態では、左側壁Waのうち、凹み壁部Wa2および傾斜壁部Wa3の近傍にある吐出口911は、供給管92から左側壁Waまでの距離に応じて左側壁Waにある程度の流体が到達するように流体の吐出方向が調整されている。従って、第2ノズルヘッダ9bが配置されている付近の左側壁Waから上流側主トラフ81の間の底面7の上に堆積した全ての砂を上流側主トラフ81まで洗い流すことができる。一定時間が経過したら、第2ノズルヘッダ9bに設けられた吐出口911からの流体の吐出を停止する。そして、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83から一定時間流体を吐出させて上流側主トラフ81に流された砂を集砂ピット6に送る。その後、上述の動作と同様に、第4ノズルヘッダ9d、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83、第1ノズルヘッダ9a、攪拌ノズル62と上流トラフ用ノズル83の順に流体を吐出させることで、集砂ピット6より上流側の池底部に堆積した砂は全て沈砂池2の外部に搬出される。なお、各ノズルヘッダ9a、9b、9d、9eから流体を吐出する順番は任意の順で構わない。しかし、集砂ピット6から遠い側に堆積した砂を先に流すと、流そうとする砂とともに集砂ピット6に近い側に堆積している砂が主トラフ8に流れて主トラフ内に砂が溜まってしまい、主トラフ8内の砂を集砂ピット6に送ることが困難になってしまうことがある。このため、集砂ピット6に近い側の第2ノズルヘッダ9bおよび第5ノズルヘッダ9eから流体を吐出した後に、集砂ピット6から遠い側の第1ノズルヘッダ9aおよび第4ノズルヘッダ9dから流体を吐出することが望ましい。
【0061】
上述の動作により上流側に堆積した砂を取り除いた後、攪拌ノズル62と下流トラフ用ノズル84から一定時間流体を吐出させて下流側主トラフ82に堆積した砂を集砂ピット6に流す。その後、攪拌ノズル62と下流トラフ用ノズル84からの流体の吐出を停止し、第6ノズルヘッダ9fに設けられた吐出口911から一定時間流体を吐出させる。一定時間が経過したら、第6ノズルヘッダ9fに設けられた吐出口911からの流体の吐出を停止する。そして、攪拌ノズル62と下流側主トラフ82から一定時間流体を吐出させて下流側主トラフ82に流された砂を集砂ピット6に送る。次いで、上述の動作と同様に、第3ノズルヘッダ9c、攪拌ノズル62と下流トラフ用ノズル84の順に流体を吐出させることで、集砂ピット6より下流側の池底部に堆積した砂は全て沈砂池2の外部に搬出される。最後に、ピット用集砂ノズル63から流体を吐出することで、集砂ピット6の傾斜面6bの上に堆積した砂を最深部6aに流す。これらの動作が全て完了したら、給水ポンプ33を停止させ、所定時間経過後に揚砂ポンプ61も停止させる。
【0062】
なお、本実施形態では、上述の砂の除去動作を実行している時は、給水ポンプ33がくみ上げる流体の量よりも揚砂ポンプ61がくみ上げる流体の量の方が少し多くなるように設定されている。このため、除去動作を実行している間に揚砂ポンプ61は停止と再開を複数回繰り返すことになる。しかし、揚砂ポンプ61は駆動と停止を繰り返すと、駆動開始時の突入電流によりポンプ寿命が低下してしまう。この対策として、給水ポンプ33におけるくみ上げ能力と揚砂ポンプ61における流体のくみ上げ能力を近づけることで砂の除去動作における水位の変化を最小限にしてもよい。また、水位センサ99が中間水位MWLになったことを検知したら、その時点で流体を吐出しているノズルに加え、他のノズルから追加で流体を吐出させてもよい。流体を吐出するノズルを増やすことで、流体の流れに対する負荷(絞り抵抗)が減るので、給水ポンプ33が吸い上げる流体が増加し、結果として多くの流体を沈砂池2に供給することができる。これにより低水位LWLになりにくくなるので、揚砂ポンプ61が停止と再開を実行する回数を減らすことができる。ここで、他のノズルは、その次に吐出する予定のノズルヘッダに設けられた集砂ノズル91であることが望ましい。次に吐出する予定のノズルヘッダから流体を吐出させることで、次に洗い流す底面にある砂を予備的に流しておくことができるので、砂の残留をより抑制することができる。また、追加で吐出させる流体は、他の設備に蓄えられた流体であってもよい。さらに、低水位LWLになっても揚砂ポンプ61を停止しないで、その停止の代わりに給水ポンプ33がくみ上げた流体に加えて他の設備に蓄えられた流体を沈砂池2に供給するように構成してもよい。この様に構成した場合、他の設備に蓄えられた流体は、第2高水位HWLになったら沈砂池2への供給を停止すればよい。揚砂ポンプ61が停止と駆動を繰り返す回数を減らすことで、揚砂ポンプ61の劣化を抑制して寿命を延ばすことができる。
【0063】
次いで集砂手段9の変形例について説明する。以下に説明する変形例においては、
図1~
図8に示した実施形態との相違点を中心に説明し、
図1~
図8に示した実施形態における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略する。
【0064】
図9(a)は、
図6に示す供給管と集砂ノズルの第1変形例を示す図であり、
図9(b)は、
図6に示す供給管と集砂ノズルの第2変形例を示す図である。
【0065】
第1の変形例は、供給管92にラップジョイント934が配置されておらず、供給管92と分岐管932とがフランジ結合されている点と、集砂ノズル91に球継手912を設けている点が
図6(a)に示した例と異なる。
図9(a)では、突出壁部Wa1に対応した集砂ノズル91が実線で示されており、凹み壁部Wa2に対応した集砂ノズル91が二点鎖線で示されている。この変形例では、供給管92と各吐出口911の間に球継手912が設けられている。この球継手912により、供給管92の軸線を中心とした回転方向だけでなく、それ以外の様々な方向にも流体の吐出方向を無段階に変更できる。従って、吐出口911毎に吐出方向のきめ細かい調整が可能になる。なお、供給管92にラップジョイント934を配置し、さらに集砂ノズル91に球継手912を設けてもよい。この場合、ラップジョイント934は、一括変更手段の一例に相当し、球継手912は、個別方向変更手段の一例に相当する。
【0066】
第2の変形例では、供給管92にラップジョイント934が配置されておらず、供給管92と分岐管932とがフランジ結合されている点と、供給管92の周方向に集砂ノズル91の装着部924が複数形成されている点が
図6(a)に示した例と異なる。
図9(b)では、突出壁部Wa1に対応した集砂ノズル91が実線で示されており、凹み壁部Wa2に対応した集砂ノズル91が二点鎖線で示されている。この変形例では、集砂ノズル91の装着部924が供給管92の周方向に6か所形成されている。これにより、供給管92を分岐管932に固定した後に、6か所の装着部924のうちから任意の装着部924に集砂ノズル91を装着できる。なお、集砂ノズル91装着前は、全ての装着部924に栓部材が取り付けられている。集砂ノズル91を装着する場合は、その栓部材を取り除いてから集砂ノズル91を装着する。なお、供給管92にラップジョイント934を配置し、さらに供給管92に装着部924を形成してもよい。この場合、ラップジョイント934は、一括変更手段の一例に相当し、装着部924は、個別方向変更手段の一例に相当する。なお、この変形例では、装着部924を周方向に6か所形成しているが、この装着部924は、2か所以上5か所以下でもよく、7か所以上でもよい。
【0067】
本発明は上述の実施形態や変形例に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、下水および雨水が流入してくる汚水処理設備1の沈砂池2に本発明を用いているが、雨水のみが流入してくる雨水処理設備の沈砂池にも適用できる。また、本実施形態では、集砂ピット6よりも上流側の底面7に堆積した砂を洗い流した後に、集砂ピット6よりも下流側の底面7に堆積した砂を洗い流しているが、先に下流側の底面7に堆積した砂を洗い流してもよい。
【0068】
本実施形態またはその変形例によれば、底面7に堆積した砂を残留させることなく流体で流すことができる。また、左側壁Waまたは右側壁Wbが直線状に形成されていない沈砂池でも、直線状の供給管92を用いることができるので、沈砂池2を安価に提供できる。加えて、沈砂池2の設計時や供給管92の作成時に側壁Wの形状が不明でも、沈砂池2を施工する際に吐出方向を調整することができるので、様々な形状の沈砂池2に柔軟に対応できる。
【0069】
本実施形態の沈砂池からは、以下の発明概念も抽出できる。
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する複数の吐出口と、
前記吐出口が設けられた供給管とを有し、
前記複数の吐出口には、該吐出口が設けられた前記供給管の軸線よりも池幅方向中央側に向かって流体を吐出するものと、該供給管の軸線よりも池幅方向外側に向かって流体を吐出するものとがあることを特徴とする沈砂池。
【0070】
また、本実施形態の沈砂池からは、以下の発明概念も抽出できる。
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する吐出口と
前記側壁よりも池幅方向中央側に配置され、複数の前記吐出口が前記所定方向に並んだ供給管とを有し、
前記供給管は、前記側壁から池幅方向に第1間隔をあけて延在する第1領域と、該側壁から池幅方向に第2間隔をあけて延在する第2領域を有するものであり、
前記第1領域に配置された吐出口と前記第2領域に配置された吐出口とは、互いに独立して流体の吐出方向を変更可能であることを特徴とする沈砂池。
【0071】
前記第1領域に設けられた吐出口は複数であってもよいし1個であってもよい。前記第1領域に設けられた吐出口が複数である場合には、それらの吐出口からの流体の吐出方向をまとめて変更可能であることが好ましい。また、前記第2領域に設けられた吐出口も複数であってもよいし1個であってもよい。前記第2領域に設けられた吐出口が複数である場合にも、それらの吐出口からの流体の吐出方向をまとめて変更可能であることが好ましい。ここにいう「まとめて変更可能」とは、例えば、前記供給管のうちの、前記第1領域の部分と前記第2領域の部分とが、該供給管の軸線方向を中心として別個に回動することで実現される。加えて、前記供給管のうちの、前記第1領域の両端部分に回動可能部が設けられていてもよく、前記第2領域の両端部分に回動可能部が設けられていてもよい。なお、前記供給管は、直線状の管であってもよいし、多少曲がった部分が設けられた管であってもよい。
【0072】
前記供給管は、前記第1領域と前記第2領域をつなぐ第3領域が設けられたものであり、
前記第3領域に設けられた吐出口は、前記第1領域に設けられた吐出口および前記第2領域に設けられた吐出口とは別に、流体の吐出方向を変更可能なものであってもよい。
【0073】
前記第3領域は、前記側壁との間隔が延在方向に、漸次変化する傾斜した領域であってもよいし、段階的に変化する領域であってもよい。
【0074】
また、前記第3領域に設けられた吐出口も複数であってもよいし1個であってもよい。前記第3領域に設けられた吐出口が複数である場合には、それらの吐出口からの流体の吐出方向もまとめて変更可能であることが好ましい。ここにいう「まとめて変更可能」とは、例えば、前記供給管のうちの、前記第3領域の部分が、前記第1領域の部分および前記第2領域の部分とは別に、該供給管の軸線方向を中心として回動することで実現される。
【0075】
また、本実施形態の沈砂池からは、以下の発明概念も抽出できる。
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記側壁に対向して配置され、前記底面に沈降した砂を該側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する複数の吐出口とを有し、
前記側壁は、池幅方向中央側に突出し前記所定方向に延在した突出壁部と該池幅方向外側に向かって凹み前記所定方向に延在した凹み壁部とを有するものであり、
前記吐出口は、前記突出壁部と前記凹み壁部それぞれに対向して配置されたものであり、
前記突出壁部に対向して配置された吐出口から吐出される流体の吐出方向に対して、前記凹み壁部に対向して配置された吐出口から吐出される流体の吐出方向を異なる方向に変更可能な方向変更手段を備えたことを特徴とする沈砂池。
【0076】
さらに、本実施形態の沈砂池からは、以下の発明概念も抽出できる。
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記側壁に対向して配置され、前記所定方向に延在した供給管と、
前記供給管に配置され、前記底面に沈降した砂を該側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する複数の吐出口とを有し、
前記側壁は、池幅方向中央側に突出し前記所定方向に延在した突出壁部と該池幅方向外側に向かって凹み前記所定方向に延在した凹み壁部とを有するものであり、
前記吐出口は、前記突出壁部に対向した位置と前記凹み壁部に対向した位置それぞれに配置されたものであり、
前記供給管は、前記突出壁部に対向した位置に配置された吐出口と、前記凹み壁部に対向した位置に配置された吐出口との間に、吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更可能な方向変更手段を備えたものであることを特徴とする沈砂池。
【0077】
また、この沈砂池において、
前記側壁は、前記突出壁部と前記凹み壁部の間に形成され、前記所定方向および前記池幅方向に対して傾斜した方向に延在した傾斜壁部を有し、
前記吐出口は、前記傾斜壁部に対向した位置にも配置されたものであり、
前記供給管は、前記突出壁部に対向して配置された吐出口と、前記傾斜壁部に対向して配置された吐出口との間に、該吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更可能な第1方向変更手段を備え、
前記凹み壁部に対向して配置された複数の吐出口と、前記傾斜壁部に対向して配置された吐出口との間に、前記吐出口から吐出される流体の吐出方向を変更可能な第2方向変更手段を備えたものであってもよい。
【0078】
加えて、本実施形態の沈砂池からは、以下の発明概念も抽出できる。
受け入れた水に含まれている砂が沈降する沈砂池において、
側壁よりも下方になる池底部に設けられ、所定方向に延在した溝と、
前記池底部に設けられ、前記溝に接続した底面と、
前記底面に沈降した砂を前記側壁側から前記溝に向かって流すための流体を吐出する複数の吐出口と、
前記複数の吐出口のうちの少なくとも2つの吐出口から吐出される流体の吐出方向をまとめて変更可能な一括方向変更手段と、
前記吐出口から出される流体の吐出方向を該吐出口毎に変更可能な個別方向変更手段とを備えたことを特徴とする沈砂池。
【0079】
なお、以上説明した実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
2 沈砂池
7 底面
8 主トラフ
911 吐出口
92 供給管
93 母管
912 球継手
924 装着部