(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】輸送システム及び輸送方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20220809BHJP
B60W 30/165 20200101ALI20220809BHJP
【FI】
G08G1/127 A
B60W30/165
(21)【出願番号】P 2018142725
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【氏名又は名称】青木 充
(74)【代理人】
【識別番号】100168310
【氏名又は名称】▲高▼橋 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】大森 研治
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 祥平
(72)【発明者】
【氏名】小田部 奈美
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 徹也
(72)【発明者】
【氏名】藤 英樹
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037039(JP,A)
【文献】特開2004-334581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/127
G08G 1/09
B60W 30/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の輸送手段と、
前記第1の輸送手段に対して、自身に追従するように指示をする、第2の輸送手段と、
乗客が前記第2の輸送手段の到着を待つ複数の停留所と、
前記第2の輸送手段を制御する、制御サーバと、
を含
み、
前記第2の輸送手段はバスであり、
前記第1の輸送手段は前記バスよりも小型な小型車であり、
前記小型車は、前記複数の停留所のそれぞれと対応付けられた置き場のいずれかに配置され、
前記制御サーバは、前記停留所に前記小型車の予約者が存在する場合には、前記予約者が待つ停留所を通過する前記バスに対して乗客運搬指示を通知し、
前記乗客運搬指示を受信した前記バスは、前記小型車に対し前記予約者を乗せて前記バスに追従するように指示する、輸送システム。
【請求項2】
前記第2の輸送手段は、前記第1の輸送手段が予約されているか否かに応じて、前記第1の輸送手段による追従を制御する、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記第2の輸送手段は、前記第1の輸送手段を予約した乗客を乗せて追従するように、前記第1の輸送手段に対して指示をする、請求項2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記第2の輸送手段は、
前記第2の輸送手段の運転手からの操作に応じて、前記第1の輸送手段による追従を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記第1の輸送手段は、自動追従機能を用いて前記第2の輸送手段に追従する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記複数の停留所のそれぞれは、前記バスを待つ乗客であって前記小型車を予約した予約者の数と、自身に対応する置き場に配置された前記小型車の数と、を前記制御サーバに通知する情報提供手段を備え、
前記制御サーバは、第1の停留所に対応する置き場に配置された前記小型車が前記第1の停留所における予約者に対して不足する場合には、
第2の停留所から前記第1の停留所
に向かう前記バスに対して小型車移動指示を通知し、
前記小型車移動指示を受信したバスは、
前記第2の停留所に対応する置き場に配置された前記小型車に対し無人で前記バスに追従するように指示する、請求項
1に記載の輸送システム。
【請求項7】
前記制御サーバは、前記停留所からの通知により前記第1の停留所にて不足する前記小型車の台数を算出すると共に、前記第1の停留所を通過するバスに対して前記不足する小型車の台数に関する情報を含む前記小型車移動指示を通知し、
前記バスは、前記不足する小型車の台数に相当する前記小型車を無人で自身に追従させる、請求項
6に記載の輸送システム。
【請求項8】
前記小型車は、低床構造を備える、請求項
1乃至7のいずれか一項に記載の輸送システム。
【請求項9】
第1の輸送手段と、
第2の輸送手段と、
乗客が前記第2の輸送手段の到着を待つ複数の停留所と、
前記第2の輸送手段を制御する、制御サーバと、
を含む輸送システムにおいて、
前記第2の輸送手段が前記第1の輸送手段に対して、前記第2の輸送手段に追従するように指示をするステップと、
前記第1の輸送手段が前記第2の輸送手段に追従するステップと、
を含
み、
前記第2の輸送手段はバスであり、
前記第1の輸送手段は前記バスよりも小型な小型車であり、
前記小型車は、前記複数の停留所のそれぞれと対応付けられた置き場のいずれかに配置され、
前記制御サーバは、前記停留所に前記小型車の予約者が存在する場合には、前記予約者が待つ停留所を通過する前記バスに対して乗客運搬指示を通知し、
前記乗客運搬指示を受信した前記バスは、前記小型車に対し前記予約者を乗せて前記バスに追従するように指示する、
輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送システム及び輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、輸送手段における自動走行等の研究開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には、操縦者を乗せて自律的に走行する移動筐体において、センシングデバイスが広範囲の走行経路表示手段を検知することで、より乗り心地の良い自律移動システムを提供することができる、と記載されている。このように、特許文献1には、搭乗者の乗り心地に配慮した自律移動システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なお、上記先行技術文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0005】
路線バス(輸送手段)などでは、日時により乗車率が異なる。その結果、バスが満員のため乗客が路線バスに乗れない場合がある。また、路線バスでは新幹線のような予約サービスは行われていない。そのため、自身が乗車したい時間帯に乗車することが困難な場合が生じる。
【0006】
このような問題を解決するため、最も乗客数が多い時間帯や区間に合わせてバスの乗車サイズを定めて運行することが想定できる。つまり、上記乗客数が多い時間帯等では、より大型のバスを運行することが考えられる。しかし、このような対応では、燃料費等のバスの維持コストが大きくなってしまい、事業者(バス運行会社)としての費用対効果が見込めない。
【0007】
このように、既存の路線バス等による輸送システムには、日時や路線によって満席で乗客が乗れない場合がある、乗車予約による指定席を設けることが困難であるといった問題がある。
【0008】
本発明は、日時や区間に応じて乗客を効率的に輸送することに寄与する輸送システム及び輸送方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明乃至開示の第1の視点によれば、第1の輸送手段と、前記第1の輸送手段に対して、自身に追従するように指示をする、第2の輸送手段と、を含む、輸送システムが提供される。
前記第1の視点の変形として、第1の輸送手段と、前記第1の輸送手段に対して、自身に追従するように指示をする、第2の輸送手段と、乗客が前記第2の輸送手段の到着を待つ複数の停留所と、前記第2の輸送手段を制御する、制御サーバと、を含み、前記第2の輸送手段はバスであり、前記第1の輸送手段は前記バスよりも小型な小型車であり、前記小型車は、前記複数の停留所のそれぞれと対応付けられた置き場のいずれかに配置され、前記制御サーバは、前記停留所に前記小型車の予約者が存在する場合には、前記予約者が待つ停留所を通過する前記バスに対して乗客運搬指示を通知し、前記乗客運搬指示を受信した前記バスは、前記小型車に対し前記予約者を乗せて前記バスに追従するように指示する、輸送システムが提供される。
【0010】
本発明乃至開示の第2の視点によれば、第1の輸送手段と、第2の輸送手段と、を含む輸送システムにおいて、前記第2の輸送手段が前記第1の輸送手段に対して、前記第2の輸送手段に追従するように指示をするステップと、前記第1の輸送手段が前記第2の輸送手段に追従するステップと、を含む、輸送方法が提供される。
前記第2の視点の変形として、第1の輸送手段と、第2の輸送手段と、乗客が前記第2の輸送手段の到着を待つ複数の停留所と、前記第2の輸送手段を制御する、制御サーバと、を含む輸送システムにおいて、前記第2の輸送手段が前記第1の輸送手段に対して、前記第2の輸送手段に追従するように指示をするステップと、前記第1の輸送手段が前記第2の輸送手段に追従するステップと、を含み、前記第2の輸送手段はバスであり、前記第1の輸送手段は前記バスよりも小型な小型車であり、前記小型車は、前記複数の停留所のそれぞれと対応付けられた置き場のいずれかに配置され、前記制御サーバは、前記停留所に前記小型車の予約者が存在する場合には、前記予約者が待つ停留所を通過する前記バスに対して乗客運搬指示を通知し、前記乗客運搬指示を受信した前記バスは、前記小型車に対し前記予約者を乗せて前記バスに追従するように指示する、輸送方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明乃至開示の各視点によれば、日時や区間に応じて乗客を効率的に輸送することに寄与する輸送システム及び輸送方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態の概要を説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態に係る輸送システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る制御サーバの処理構成の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係るバスの処理構成の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る停留所の処理構成の一例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る小型車の処理構成の一例を示す図である。
【
図9】制御サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係る輸送システムの動作を説明するための図である。
【
図11】第1の実施形態に係る輸送システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第1の実施形態に係る輸送システムの動作を説明するための図である。
【
図13】第1の実施形態に係る輸送システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0014】
一実施形態に係る輸送システムは、第1の輸送手段101と、第1の輸送手段101に対して、自身に追従するように指示をする、第2の輸送手段102と、を含む(
図1参照)。
【0015】
上記輸送システムでは、例えば、第2の輸送手段102は路線バスであり、第1の輸送手段101は、バスよりも小型な車両(小型車)である。当該第1の輸送手段101を第2の輸送手段102に対する補助的な輸送手段として利用することで、日時や区間に応じて乗客数が変動する場合でも当該乗客数の変動を吸収できる。つまり、乗客数が多い場合には多くの第1の輸送手段101を第2の輸送手段102に追従させ、乗客数が少ない場合には、第1の輸送手段101を使用しない等の対応が可能となる。その結果、日時や区間に応じて乗客を効率的に輸送することができる。
【0016】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る輸送システムの概略構成の一例を示す図である。
図2を参照すると、輸送システムは、制御サーバ10と、バス20と、複数の停留所30-1及び30-2と、複数の小型車40-1~40-5と、を含んで構成される。
【0019】
なお、以降の説明において、停留所30-1及び停留所30-2を区別する特段の理由がない場合には単に「停留所30」と表記する。他の構成についても同様に、各構成に付された符号のうち「ハイフン」よりも前の数字にて各構成を代表して表記する。また、
図2の構成は例示であって、停留所30等の数を限定する趣旨ではない。
【0020】
本願開示において、停留所30には計算機(コンピュータ)が設置され、当該計算機の機能は停留所30の機能として取り扱う。つまり、停留所30は、時刻表等が貼り付けられた単なる標識ではなく、所定の情報処理機能を有する。より具体的には、停留所30は、制御サーバ10に所定の情報を提供する情報提供機能を備える。あるいは、停留所30には「停留所サーバ」が設置され、当該サーバが以下に説明する停留所30の機能を実現してもよい。
【0021】
制御サーバ10、バス20及び停留所30はネットワークを介して接続されている。制御サーバ10とバス20は、当該ネットワークを介して相互に通信可能に構成されている。制御サーバ10と停留所30もネットワークを介して相互に通信可能に構成されている。なお、バス20は「輸送手段」としての性格からネットワークと無線接続されている。また、制御サーバ10と停留所30に関しては無線又は有線によりネットワークと接続されている。バス20と小型車40は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により接続され相互に通信可能に構成されている。
【0022】
バス20及び小型車40は共に輸送手段(輸送車両)である。小型車40は、バス20よりも小型な車両である。小型車40の定員(乗車可能人数)は原則として1人である。但し、小型車40の定員を限定する趣旨ではなく、2人以上であってもよい。
【0023】
[輸送システムの概略]
はじめに、
図2を参照しつつ、第1の実施形態に係る輸送システムの概略を説明する。
【0024】
第1の実施形態では、バス20は、小型車40に対して自身に追従するように指示をする。その際、バス20は、小型車40が乗客により予約されているか否かに応じて、小型車40による追従を制御する。具体的には、バス20は、予約が存在する場合には、小型車40を予約した乗客を乗せて自身(バス20)に追従するように、小型車40に対して指示をする。あるいは、バス20、バス20の運転手からの操作に応じて、小型車40による追従を制御してもよい。小型車40は、所定の自動追従機能を用いてバス20に追従する。
【0025】
例えば、第1の実施形態では、ACC(Adaptive Cruise Control)を用いて小型車40をバス20に追従させる。第1の実施形態に係る輸送システムは、当該ACCによる小型車40のバス20への追従を利用した輸送システムを実現することで、自動車やバスなどを用いた運輸サービスに新たな付加価値を提供する。
【0026】
小型車40は、ユーザの携帯端末等によるインターネット等を介した予約が可能である。小型車40は、当該予約者を乗せ、バス20に追従しつつ、当該予約者を目的地まで輸送する。予約者は自身が待つ停留所30にバス20が到着すると、小型車40に搭乗する。このようにして路線バスによる予約を実現する。
【0027】
また、第1の実施形態では、予約者による小型車40の利用を基本としつつ、小型車40をバス20の内部が満席の時に該当のバス20に小型車40を追従させることで、小型車40を疑似的な補助席とすることもできる。その結果、追従する小型車40の台数を制御することにより、柔軟にバス20の移動人員を調整することができる。
【0028】
また、小型車40をステップ(段差)のない低床構造とすることもできる。小型車40をステップのない構造(構成)とすることで、乗降が困難な利用者が容易に乗降ができるバリアフリーを実現する。なお、低床構造とは、小型車40の床の高さが、小型車40のタイヤの中心位置よりも下側に位置するような構造である。つまり、小型車40の床と路面の段差が極めて小さい構造が低床構造である。
【0029】
また、小型車40は、簡易的なプライベート空間になることから予約者に対して個室による移動サービスという今までのバス20になかった新たな付加価値を提供できる。
【0030】
第1の実施形態は、上記サービスを実現する上で必要となるリソース(有限なリソース)である小型車40を効率良く利用するための小型車管理システムを提供する。
【0031】
続いて、輸送システムを構成する各装置について説明する。
【0032】
[制御サーバ]
制御サーバ10は、停留所30を含むシステム全体(バス乗り場全体)を制御する装置である。とりわけ、制御サーバ10は、各種指示をバス20に通知することでバス20の動作を制御する。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る制御サーバ10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。
図3を参照すると、制御サーバ10は、通信制御部201と、停留所管理部202と、予約管理部203と、バス指示部204と、を含んで構成される。
【0034】
通信制御部201は、他の装置(例えば、バス20、停留所30)との間の通信を制御する手段である。
【0035】
停留所管理部202は、停留所30に関する管理を行う手段である。例えば、停留所管理部202は、各停留所30にてバス20への乗車を予定する人(待機者)や、各停留所30の待機者であって小型車40に乗車することを予約した人(予約者)や、各停留所30に配置された小型車40を管理する。
【0036】
より具体的には、停留所管理部202は、停留所30と、各停留所30の待機者、予約者、配置済みの小型車40に関する情報を対応付けて各停留所30に関する管理を行う。例えば、停留所管理部202は、
図4に示すような「停留所管理情報」を生成する。
【0037】
図2において、停留所30-1に待機する人数は3人であり、そのうち、乗客50-1が予約者であれば、停留所30-1に関する「停留所管理情報」は
図4に示す表の1行目のとおりとなる。
【0038】
停留所管理部202は、各停留所30から送信されてくる「停留所情報」に基づき「停留所管理情報」を生成する、又は、更新する。
【0039】
予約管理部203は、ユーザによる小型車40の利用に関する予約を管理する手段である。予約管理部203は、ユーザが所有する携帯端末等から小型車40の利用に関する予約を受け付け、各予約を予約管理情報として管理する。
【0040】
図5は、予約管理情報の一例を示す図である。
図5に示すように、予約管理部203は、小型車40を利用する予約者の識別子、予約内容(小型車40の予約日時、利用区間)を対応づけて管理する。
【0041】
なお、小型車40の予約は、ユーザが所有する携帯端末等を用いて行うことに加え、停留所30から予約が行われても良い。つまり、停留所30に液晶モニターやタッチパネルを設け、これらのデバイスを用いて小型車40の予約を行うインターフェイス(GUI;Graphical User Interface)が提供されてもよい。
【0042】
バス指示部204は、バス20に対して各種指示を通知し、バス20を制御する手段である。例えば、バス指示部204は、予約管理情報を参照し、予約内容(路線、日時)に合致するバス20に対し、「乗客運搬指示」を送信する。
【0043】
なお、制御サーバ10は、バス20の運行状況をネットワークを介して外部サーバ(バスの運行を管理するサーバ)から取得してもよいし、路線を走るバス20から直接取得してもよい。バス20の運行状況を把握することができれば、バス指示部204は、予約内容に従って「乗客運搬指示」の送信先となるバス20を特定することができる。具体的には、バス20の行き先や各停留所30における到着予定時刻が分かれば、バス指示部204は、「乗客運搬指示」の送信先となるバス20を特定することができる。
【0044】
乗客運搬指示を受けたバス20は、必要に応じて乗客を乗せてバス20に追従するように小型車40を制御する。この場合、「乗客運搬指示」には、乗客の利用区間に関する情報や予約者の識別情報(ID情報)等が含まれる。
【0045】
また、バス指示部204は、バス20に対して「小型車移動指示」を送信する。小型車移動指示を受けたバス20は、乗客を乗せずにバス20に追従するように小型車40を制御する。バス指示部204は、停留所30における予約者の数と当該停留所30にて利用可能な小型車40の数に基づき、停留所30にて小型車40が不足すると判断した場合に、小型車移動指示をバス20に通知する。より具体的には、バス指示部204は、各停留所30から送信されてくる停留所情報に含まれる予約者数と小型車の台数を比較する。比較の結果、小型車の台数が予約者数よりも少なければ、バス指示部204は、他の停留所30に設置されている小型車40を必要な停留所30に移動させるように「小型車移動指示」を通知する。
【0046】
なお、小型車移動指示には、不足する小型車40の台数に関する情報を含めることができる。当該情報に接したバス20は、不足する小型車40の台数に相当する小型車40を無人で自身に追従させる。
【0047】
[バス]
図6は、第1の実施形態に係るバス20の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。
【0048】
図6を参照すると、バス20は、通信制御部301と、小型車制御部302と、を含んで構成される。
【0049】
通信制御部301は、他の装置(例えば、制御サーバ10、小型車40)との間の通信を制御する手段である。
【0050】
小型車制御部302は、制御サーバ10からの指示(乗客運搬指示、小型車移動指示)に応じて小型車40を制御する手段である。乗客運搬指示を受信すると、小型車制御部302は、当該指示に含まれる利用区間を確認する。
【0051】
小型車制御部302は、利用区間の始点となる停留所30に到着すると、当該停留所に配置されている小型車40に対して、乗客を乗せた後にバス20に追従するように指示をする。
【0052】
具体的には、小型車制御部302は、小型車40に対してバス20の後方に移動するように指示する。小型車制御部302は、小型車40に対して正当な予約者であればドアを開けるように指示する。その際、例えば、小型車制御部302は、予約者のID等も合わせて小型車40に通知する。小型車制御部302は、小型車40に予約者が乗車した後、バス20に追従するように指示する。小型車制御部302は、利用区間の終点となる停留所30に到着すると、バス20に追従してきた小型車40に対して停車を指示する。小型車制御部302は、停車中の小型車40に対して乗客を降ろし、当該停留所30近傍の小型車置き場に移動するように指示する。
【0053】
なお、乗客運搬指示を受信すると、小型車制御部302は、無人で追従してきた小型車40に対し、乗客を乗せてバス20に追従するように指示をする場合もある。
【0054】
小型車移動指示を受信すると、小型車制御部302は、直後に到着した停留所30に配置されている小型車40に対して、乗客を乗せずにバス20に追従するように指示をする。具体的には、小型車制御部302は、小型車40に対して「無人追従指示」を通知する。
【0055】
なお、小型車制御部302は、制御サーバ10からの指示に加え、バス20の運転手からの指示(運転手の操作)に応じて、小型車40を制御する場合もある。具体的には、小型車制御部302は、バス20の運転手による所定の動作(例えば、タッチパネル等の操作)により、小型車40を遠隔操作する。例えば、小型車制御部302は、小型車40に対してバス20の後方に移動するように指示したり、ドアを開くように指示したりする。
【0056】
このように、小型車制御部302は、小型車40に乗客を乗せるための指示(例えば、小型車40のドアを開く指示)、小型車40を追従させる指示、乗客が降りた後の指示(例えば、ドアを開け乗客が降車した後にドアを閉じて所定位置に移動する指示)を行う。また、小型車制御部302は、制御サーバ10から小型車移動指示を受信し、停車した停留所30に使用していない小型車40を確認した場合に、小型車40をバス20に追従させる。つまり、バス20は、無人の小型車40を自身に追従させることもある。
【0057】
[停留所]
停留所30は、乗客がバス20の到着を待つ場所である。停留所30(停留所30に設置されたサーバ)は、自身の場所における待機者数(予約者数、非予約者数)や配置された小型車40の台数を管理する装置である(当該装置が各停留所に設置される)。
【0058】
図7は、第1の実施形態に係る停留所30の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。
図7を参照すると、停留所30は、通信制御部401と、待機者管理部402と、小型車管理部403と、を含んで構成される。
【0059】
通信制御部401は、他の装置(例えば、制御サーバ10)との間の通信を制御する手段である。
【0060】
待機者管理部402は、停留所30における乗客数(待機者数;予約者数+非予約者数)を管理する手段である。例えば、待機者管理部402は、停留所30の近傍を撮影した画像(カメラ(図示せず)による画像)に対する画像処理(人物抽出)により停留所30の近傍に位置する人物の数を計数する。計数された人物の数が、待機者数となる。
【0061】
また、待機者管理部402は、待機者のうち小型車40の利用を予約した人物の数を算出する。例えば、待機者管理部402は、小型車40の予約者が所持するRF(Radio Frequency)タグを用いて停留所30における予約者数を把握する。あるいは、待機者管理部402は、予約者が所有する携帯端末等と通信をして、当該端末の所有者が予約者であるか否かを判定してもよい。
【0062】
例えば、
図2の例では、停留所30-1の待機者管理部402は、カメラによる画像から3人の待機者を把握する。さらに、待機者管理部402は、乗客(予約者)50-1が所持するRFタグや乗客50-1の携帯端末等と通信することで、当該乗客が予約者であることを判定する。
【0063】
小型車管理部403は、停留所30に配置された小型車40の台数を管理する手段である。例えば、小型車管理部403は、停留所30の近傍を撮影した画像に対する画像処理(小型車抽出)やRFタグを用いて停留所30に配置された小型車40の台数を把握する。
【0064】
通信制御部401は、待機者管理部402により把握された待機者数(予約者数、非予約者数の合計)や小型車管理部403により把握された小型車40の台数を「停留所情報」として制御サーバ10に通知する。
【0065】
なお、通信制御部401は、上記停留所情報を所定のタイミング又は定期的に制御サーバ10に送信する。停留所30から定期的に停留所情報を制御サーバ10に送信することで、当該サーバに構築された停留所管理情報を最新の状態に維持することが可能となる。
【0066】
[小型車]
上述のように、小型車40は、バス20に追従し、乗客を輸送する輸送手段である。小型車40は、低床でコンパクトなノンステップの座席を備え、乗客が乗車又は降車を行う上での負担を軽減できる構造とする。また、小型車40は、停留所30の付近にある小型車置き場に配置されている。つまり、小型車40は、複数の停留所30のそれぞれと対応付けられた置き場のいずれかに配置されている。
【0067】
図8は、第1の実施形態に係る小型車40の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。
図8を参照すると、小型車40は、通信制御部501と、追従制御部502と、ドア制御部503と、移動制御部504と、を含んで構成される。
【0068】
通信制御部501は、他の装置(例えば、バス20)との間の通信を制御する手段である。
【0069】
追従制御部502は、バス20に対し自装置(小型車40)を追従させる手段である。例えば、追従制御部502は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)と称される技術を用いて、バス20に小型車40を追従させる。より具体的には、追従制御部502は、距離センサ(図示せず)等によりバス20と小型車40の間の距離を把握し、当該距離が一定となるように小型車40の駆動源(図示せず;エンジン、モータ等)を制御する。
【0070】
なお、バス20に追従するための機能(自動追従機能)は、上記ACCに限らず任意の方法、技術を用いることができる。
【0071】
また、バス20に既に追従している他の小型車40が存在する場合には、追従制御部502は、バス20に追従(他の小型車40と併走)してもよいし、当該他の小型車40に追従してもよい。
【0072】
ドア制御部503は、小型車40のドアの開閉に関する制御を行う手段である。ドア制御部503は、小型車40の乗車を予約した予約者が持つチケットとバス20から取得した予約者のIDを用いて、乗客の正当性を判断し、正当と判断した場合にドアのロック解除を行う。
【0073】
また、ドア制御部503は、バス20の運転手からの指示に応じて、ドアのロック解除を行ってもよい。
【0074】
なお、上記チケットは印刷した用紙や携帯端末に表示したQRコード(登録商標)や携帯端末等のNFC(Near Field Communication)によるID(Identifier)情報等の転送等、どのような形式でもよい。
【0075】
また、追従制御部502は、バス20から「無人追従指示」を受信した場合には、乗客を乗せずに上記指示を送信したバス20に追従する。
【0076】
移動制御部504は、上記追従動作以外の小型車40による移動や停止を制御する手段である。移動制御部504は、小型車40に乗車した乗客やバス20からの指示(遠隔操作)により、小型車40の移動、停止を制御する。また、移動制御部504は、バス20からの指示により、停留所30の近傍に用意された小型車置き場に移動する。
【0077】
[ハードウェア構成]
続いて、各装置のハードウェア構成について説明する。
図9は、制御サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。制御サーバ10は
図9に例示する構成を備える。例えば、制御サーバ10は、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インターフェイス13、通信手段であるNIC(Network Interface Card)14等を備える。
【0078】
但し、
図9に示す構成は、制御サーバ10のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。制御サーバ10は、図示しないハードウェアを含んでもよい。制御サーバ10に含まれるCPU等の数も
図9の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPU11が制御サーバ10に含まれていてもよい。
【0079】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)等である。
【0080】
入出力インターフェイス13は、図示しない入出力装置のインターフェイスである。入出力装置には、例えば、表示装置、操作デバイス等が含まれる。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。操作デバイスは、例えば、キーボードやマウス等である。
【0081】
制御サーバ10の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ12に格納されたプログラムをCPU11が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェア、或いはハードウェアを利用して実行されるソフトウェアにより実現できればよい。
【0082】
なお、バス20、小型車40等は既存のバスや車両に上記処理モジュールを実行する手段(CPU、メモリ、通信手段)等を付与すれば良く、当業者にとって明らかであるためこれらのハードウェアに関する説明は省略する。また、停留所30の機能に関しては、実質的にコンピュータにより実現可能であり、且つ、
図9の構成と同一とすることができるので停留所30のハードウェアに関する説明を省略する。
【0083】
[輸送システムの動作]
続いて、図面を参照しつつ、第1の実施形態に係る輸送システムの動作を説明する。
【0084】
はじめに、
図10を参照しつつ、バス20が停留所30-1に到着し、小型車40-1~40-3に乗客50-1~50-3を乗車させ出発するまでの動作を説明する。
【0085】
図10に示すように、バス20が、停留所30-1に到着した際、乗車待ちの乗客50-1~50-3が存在するものとする。また、3人の乗客のうち、乗客50-1は携帯端末等を利用して乗車予約を制御サーバ10に行っているものとする。
【0086】
この場合、制御サーバ10は、バス20が乗客50-1による予約情報に合致する場合、当該バス20に対して「乗客運搬指示」を送信する。
【0087】
乗客運搬指示を受信したバス20は、3台の小型車40のうち1台を選択し、乗客を乗せてバス20に追従するように指示する。
図10の例では、小型車40-1が選択されたものとする。
【0088】
小型車40-1は、停車中のバス20の後方まで移動する。乗客50-1は、バス20が自身の乗車したい路線を走るバスであると判断すると、小型車40-1に対してインターネット予約等で予約完了した際のチケットを提示する。小型車40-1は、当該チケットの有効性を確認し、有効であればドアを開く(ドアのロックを解除する)。
【0089】
小型車40-1に乗客50-1が乗り込むと、小型車40-1はバス20に追従可能になる。小型車40-1は、乗客50-1の乗車を確認した後、バス20への追従を開始して乗客50-1の輸送を行う。
【0090】
バス20は、乗客50-1が予約した区間の終点となる停留所30に到着すると、小型車40-1に対して乗客50-1の降車と到着した停留所30の近傍にある小型車置き場への移動を指示する。当該指示の実行により、乗客50-1の輸送を終了する。
【0091】
なお、小型車40に乗客が乗車したか否か、小型車40から乗客が降車したか否かは、所定のセンサ、スイッチ又はカメラによる画像処理により判定される。
【0092】
乗客50-1が予約した区間の手前で降車を希望する場合には、小型車40-1に用意された降車ボタン等を押す。当該降車ボタンの押下に応じて、小型車40-1は、降車ボタン等が押された直後の停留所30で停車する。乗客50-1は、当該停留所30で降車する。小型車40-1は、当該停留所30の近辺に用意された小型車置き場に移動する。
【0093】
図10において、乗客50-2は、高齢者であり足腰が弱いものとする。そのため、乗客50-2は、バス20に乗車する際のステップ(段差)を登るのが困難である。このような場合、バス20の運転手は、乗客50-2に対して小型車40-2に搭乗するようにマイク等を利用して促す。
【0094】
その際、バス20は、運転手の操作により、小型車40-2を遠隔操作する。具体的には、バス20は、無線通信等を用いた遠隔操作により、小型車40-2をバス20の後方に移動させる。その後、バス20は、小型車40-2に対しドアを開けるように指示する。その結果、小型車40-2はバス20に追従可能な状態となる。
【0095】
乗客50-2は、低床である小型車40-2に搭乗することで容易に輸送手段に乗ることができる。小型車40-2は、乗客50-2の乗車を確認すると、バス20への追従を開始し、乗客50-2の輸送を行う。
【0096】
なお、乗客50-2が降車を希望する場合には、小型車40-2の降車ボタン等を押す。当該降車ボタンの押下に応じて、小型車40-2は、降車ボタン等が押された直後の停留所30で停車する。乗客50-2は、当該停留所30で降車する。小型車40-2は、当該停留所30の近辺に用意された小型車置き場に移動する。
【0097】
図10において、バス20が満車により、乗客50-3はバス20に乗車することが困難である場合を考える。この場合、バス20の運転手は、乗客50-3に対して小型車40-3に搭乗するようにマイク等を使って促す。
【0098】
バス20は運転手による操作に応じて、小型車40-3を遠隔操作する。具体的には、バス20は、無線通信等を用いた遠隔操作により、小型車40-3をバス20の後方に移動させる。その後、バス20は、小型車40-3に対しドアを開けるように指示する。その結果、小型車40-3はバス20に追従可能な状態となる。乗客50-3は、小型車40-3に搭乗することで輸送手段に乗ることができる。小型車40-3は、乗客50-3の乗車を確認するとバス20への追従を開始して乗客50-3の輸送を行う。
【0099】
なお、乗客50-3が降車を希望する場合には、小型車40-3の降車ボタン等を押す。当該降車ボタンの押下に応じて、小型車40-3は、降車ボタン等が押された直後の停留所30で停車する。乗客50-3は、当該停留所30で降車する。小型車40-3は、当該停留所30の近辺に用意された小型車置き場に移動する。
【0100】
上記第1の実施形態に係る輸送システムの動作をまとめると
図11に示すフローチャートのとおりとなる。
【0101】
制御サーバ10は、停留所30に小型車40の予約者が存在する場合には、予約者が待つ停留所30を通過する(通過する予定の)バス20に対して乗客運搬指示を通知する(ステップS01)。制御サーバ10は、例えば、
図5に示すような予約管理情報に基づき、上記乗客運搬指示をバス20に通知する。
【0102】
当該乗客運搬指示を受信したバス20は、小型車40に対し予約者を乗せてバス20に追従するように指示する(ステップS02)。
【0103】
次に、
図12を参照しつつ、停留所30-1にてバス20の到着を待っており、小型車40の予約を行っている乗客50-1~50-3の全員が小型車40を利用できるようになる動作を説明する。
【0104】
図12に示すように、停留所30-1において、インターネット予約等で小型車40の利用を予約した乗客50-1~50-3の3名が存在するとする。各停留所30は、制御サーバ10に対し、停留所30の待機者数(予約者数+非予約者数)や未使用の小型車40の台数を「停留所情報」として通知する。
図12の場合には、待機者数(予約者数)として「3」が、未使用の小型車40の台数として「2」がそれぞれ停留所30-1から通知される。
【0105】
制御サーバ10のバス指示部204は、停留所30-1における予約者数と未使用の小型車数から小型車40の過不足判断を行う。例えば、上記の例では、制御サーバ10のバス指示部204は、1台の小型車40が不足すると判断する。
【0106】
なお、制御サーバ10による小型車40の過不足判断には、停留所30から通知される停留所情報だけでなく、他の情報を利用することができる。例えば、制御サーバ10は、道路の現在の渋滞情報や時間帯ごとの混雑予測などを利用したり、さらに先の停留所からの情報を利用したり、当日の行事情報、イベント情報等を利用して判断しても良い。
【0107】
また、上記制御サーバ10による小型車40の過不足判断のアルゴリズムは、どのようなものを使用しても良い。
【0108】
制御サーバ10のバス指示部204は、小型車40の過不足判断において、停留所30-1にて小型車40の台数が不足していると判断した場合、停留所30-1に向かうバス20に対して必要台数分の小型車40に関する小型車移動指示を行う。
【0109】
上述の例では、制御サーバ10は、バス20に対して1台分の小型車40に関する小型車移動指示を行う。
【0110】
小型車移動指示を受信したバス20は、停留所30-1に到着するまでに通過する停留所30において、小型車の台数に余裕がある停留所30に配置された小型車40に対し、無人追従指示を通知する。
【0111】
図12の例では、バス20は、停留所30-2に配置された小型車40-1に対して無人追従指示を通知する。当該無人追従指示を受けた小型車40-1は、乗客が乗っていない状態でバス20に追従する。バス20が停留所30-1に到着した際、バス20に無人追従した小型車40-1と停留所30-1に既に配置されていた小型車40-2及び30-3と合わせて3台の小型車40が停留所30-1にて利用可能となる。そのため、小型車40の利用に関する予約を行った乗客50-1~50-3のそれぞれは、小型車40-1~40-3に乗車できる。その結果、小型車40の予約サービスを実現するにあたり、台数が有限である小型車40を効率よく配車することができる。
【0112】
上記第1の実施形態に係る輸送システムの動作をまとめると
図13に示すフローチャートのとおりとなる。
【0113】
複数の停留所30のそれぞれは、バス20を待つ乗客であって小型車40を予約した予約者の数と、自身に対応する小型車置き場に配置された小型車40の数と、を制御サーバ10に通知する(停留所情報の通知;ステップS11)。
【0114】
制御サーバ10は、停留所30-1に対応する置き場に配置された小型車40が停留所30-1における予約者に対して不足する場合には、停留所30-1を通過するバス20(予約情報に適合するバス)に対して小型車移動指示を通知する(ステップS12)。
【0115】
小型車移動指示を受信したバスは、停留所30-2に対応する置き場に配置された小型車40に対し無人でバス20に追従するように指示する(ステップS13)。
【0116】
このように、制御サーバ10は、停留所30からの通知により各停留所30にて不足する小型車40の台数を算出すると共に、当該停留所30を通過するバスに対して不足する小型車40の台数に関する情報を含む小型車移動指示を通知する。当該通知を受信したバス20は、不足する小型車40の台数に相当する小型車40を無人で自身に追従させる。
【0117】
以上のように、第1の実施形態では、ACC等による小型車追従を利用した輸送システムを実現する。その結果、自動車やバスなどを用いた運輸サービスに新たな付加価値を提供できるようになる。つまり、第1の実施形態では、既存のバス20に対してACC技術等を用いて小型車40を追従させる。この小型車40は、携帯端末等によるインターネット等を介した予約を可能とし、原則として予約者を乗せて追従する。
【0118】
予約者は自身が待つ停留所30にバスが到着した際に、小型車40に乗り込むことで、路線バスによる予約席を実現する。また、この小型車40をバス20が満席の時に当該満席なバス20に追従させることで、小型車40を疑似的な補助席とすることができる。
【0119】
追従する小型車40の台数を制御することにより、柔軟にバス20の移動人員を調整することができる。また、小型車40は簡易的なプライベート空間になることから予約者に対して個室による移動サービスという今までのバス20になかった新たな付加価値が提供される。また、上述のサービスを実現する上で必要となる有限となる小型車40を効率良く利用するための小型車管理システムが提供される。
【0120】
このように、第1の実施形態では、路線バスの大型化を行うことなく乗客数を増加させることができるため燃料費や二酸化炭素の排出を抑えながら乗客数の増減に対応することを可能とする。また、第1の実施形態では、路線バスにおいて、座席の予約サービスを容易に提供することを可能とする。
【0121】
また、多くの路線バスでは乗車や降車するためには、乗客がステップを登り降りする必要がある。そのため、高齢者や身障者がバスに乗降車するのが困難な場合がある。さらに、高齢者等がバスに乗車できたとしても座れる席がない場合があり得る。このような場合、高齢者等がバス走行中の揺れに対応できないなどの危険が生じる可能性がある。このような問題を解決するためノンステップバス等が運行されている。
【0122】
しかし、ノンステップバスでは同サイズのバスに比べて乗車人員の数が減るため、前述の満員状態の問題を助長することになる。また、ノンステップバスにおいても若干のステップ(段差)は存在するため高齢者等による乗降車が比較的楽なことに留まる。また、高齢者や身障者の場合だと、ステップのあるバスだと、乗降車が困難な場合がある。
【0123】
このような問題に対し、第1の実施形態に係る輸送システムでは、小型車40を低床構造とする。その結果、第1の実施形態では、路線バスを低床化することなく、高齢者や身体障害者に乗車・降車しやすいバリアフリーを提供できる。
【0124】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した輸送システムの構成、動作は例示であって、システムの構成、動作を限定する趣旨ではない。例えば、バス20を介さずに、制御サーバ10が小型車40を直接制御(遠隔操作)してもよい。あるいは、制御サーバ10は、停留所30を介して小型車40を制御してもよい。
【0125】
上記実施形態では、小型車40の追従先をバス20としたが、バスだけではなく、タクシーなどの普通自動車に小型車40を追従させてもよい。この場合であっても、タクシーにおける乗客の追加や大きな荷物の運搬にも利用可能である。
【0126】
また、小型車40がトラック等に追従することで、トラック等での多くの荷物の運搬や、新たに乗客の輸送サービスを行う際にも利用可能である。また、バイクや船舶等に小型車40(小型船舶)を追従させることで、バイク等の先頭の一台を先導者として、荷物の運搬や乗客の輸送を行うといったサービスにも利用可能である。
【0127】
また、上記実施形態では、停留所30にカメラを配置し、停留所30にて待機者数等を算出している。しかし、停留所30のカメラにて取得した画像を制御サーバ10に送信し、制御サーバ10にて画像解析(顔認証、年齢判別等)をしてもよい。つまり、制御サーバ10にて、停留所30の乗客数や乗客の中に高齢者や身体障害者等が含まれるか否かを判断してもよい。
【0128】
制御サーバ10は、当該情報(高齢者等の有無)を利用し、高齢者や身障者向けの小型車利用サービスや、バス20の満車による補助席としての小型車利用サービスでも、小型車を効率よく配車することができる。
【0129】
上記実施形態では、1つの停留所30から小型車40を補充する場合を説明したが、複数の停留所30から複数の小型車40を補充しても良いことは勿論である。
【0130】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、テーマパークやイベント会場での移動手段としても好適に適用可能である。つまり、テーマパーク等で本願開示のシステムを利用することで、テーマパーク内での移動の効率化が行え、また、テーマパーク内の移動自体にエンターテインメント性を持たせて、来場者の満足度を向上させる効果が期待できる。
【0131】
また、観光地で観光客の誘導方法として利用することで、身障者や高齢者や海外からの観光客に対して、より高価値な観光案内サービスを提供することができる。さらに、タクシーなどの小型な自動車に対して利用することで、多くの荷物と一緒に移動したり、タクシー内の乗客を柔軟に変更したりすることができる。
【0132】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
上述の第1の視点に係る輸送システムのとおりである。
[付記2]
前記第2の輸送手段は、前記第1の輸送手段が予約されているか否かに応じて、前記第1の輸送手段による追従を制御する、好ましくは付記1に記載の輸送システム。
[付記3]
前記第2の輸送手段は、前記第1の輸送手段を予約した乗客を乗せて追従するように、前記第1の輸送手段に対して指示をする、好ましくは付記2に記載の輸送システム。
[付記4]
前記第2の輸送手段は、運転手からの操作に応じて、前記第1の輸送手段による追従を制御する、好ましくは付記1乃至3のいずれか一に記載の輸送システム。
[付記5]
前記第1の輸送手段は、自動追従機能を用いて前記第2の輸送手段に追従する、好ましくは付記1乃至4のいずれか一に記載の輸送システム。
[付記6]
前記第2の輸送手段はバスであり、
前記第1の輸送手段は前記バスよりも小型な小型車であり、
乗客が前記バスの到着を待つ複数の停留所と、
前記バスを制御する、制御サーバと、をさらに含み、
前記小型車は、前記複数の停留所のそれぞれと対応付けられた置き場のいずれかに配置され、
前記制御サーバは、前記停留所に前記小型車の予約者が存在する場合には、前記予約者が待つ停留所を通過する前記バスに対して乗客運搬指示を通知し、
前記乗客運搬指示を受信したバスは、前記小型車に対し前記予約者を乗せて前記バスに追従するように指示する、好ましくは付記1乃至5のいずれか一に記載の輸送システム。
[付記7]
前記複数の停留所のそれぞれは、前記バスを待つ乗客であって前記小型車を予約した予約者の数と、自身に対応する置き場に配置された前記小型車の数と、を前記制御サーバに通知する情報提供手段を備え、
前記制御サーバは、第1の停留所に対応する置き場に配置された前記小型車が前記第1の停留所における予約者に対して不足する場合には、前記第1の停留所を通過する前記バスに対して小型車移動指示を通知し、
前記小型車移動指示を受信したバスは、第2の停留所に対応する置き場に配置された前記小型車に対し無人で前記バスに追従するように指示する、好ましくは付記6に記載の輸送システム。
[付記8]
前記制御サーバは、前記停留所からの通知により前記第1の停留所にて不足する前記小型車の台数を算出すると共に、前記第1の停留所を通過するバスに対して前記不足する小型車の台数に関する情報を含む前記小型車移動指示を通知し、
前記バスは、前記不足する小型車の台数に相当する前記小型車を無人で自身に追従させる、好ましくは付記7に記載の輸送システム。
[付記9]
前記小型車は、低床構造を備える、好ましくは付記6乃至8のいずれか一に記載の輸送システム。
[付記10]
前記停留所は、カメラから得られる画像を解析することで、前記小型車を予約した予約者の数と、自身に対応する置き場に配置された前記小型車の数と、を算出する、好ましくは付記7又は8に記載の輸送システム。
[付記11]
前記自動追従機能は、ACC(Adaptive Cruise Control)である好ましくは付記5乃至10のいずれか一に記載の輸送システム。
[付記12]
他の輸送手段に対して、自身に追従するように指示をする、輸送手段。
[付記13]
他の輸送手段からの指示に応じて、前記他の輸送手段に追従する、輸送手段。
[付記14]
第2の輸送手段が第1の輸送手段に対して、第2の輸送手段に追従するように指示をする処理と、
前記第1の輸送手段が前記第2の輸送手段に追従する処理と、
を実行させるプログラム。
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
[付記15]
上述の第2の視点に係る輸送方法のとおりである。
【0133】
なお、引用した上記の特許文献の開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0134】
10 制御サーバ
11 CPU(Central Processing Unit)
12 メモリ
13 入出力インターフェイス
14 NIC(Network Interface Card)
20 バス
30、30-1、30-2 停留所
40、40-1~40-5 小型車
50、50-1~50-3 乗客
101 第1の輸送手段
102 第2の輸送手段
201、301、401、501 通信制御部
202 停留所管理部
203 予約管理部
204 バス指示部
302 小型車制御部
402 待機者管理部
403 小型車管理部
502 追従制御部
503 ドア制御部
504 移動制御部