(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】合成樹脂フィルム製手提袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/10 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B65D33/10
(21)【出願番号】P 2018193519
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504171684
【氏名又は名称】まつもと合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】松本 昌芳
(72)【発明者】
【氏名】松本 稔史
(72)【発明者】
【氏名】仲田 和史
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-144752(JP,A)
【文献】特開平9-20347(JP,A)
【文献】特開平5-310254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0130170(US,A1)
【文献】特開2002-255194(JP,A)
【文献】特開2008-297002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/10
B65D 33/06
B65D 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状態において、矩形状の底壁、該底壁に重なるカバー壁、該底壁の両側縁の各々を該カバー壁の両側縁の各々に夫々接続する両側壁を含み、該両側壁の各々は幅方向内側に横断面においてW字形状に折り込まれており、該底壁、該カバー壁及び該両側壁の両端縁は溶着されており、該カバー壁は幅方向中心において長手方向全体に渡って分離されており、該底壁及び該カバー壁の両端縁の各々の幅方向中央部には切欠が形成されている、合成樹脂フィルム製手提袋において、
該切欠の各々は、幅方向に間隔をおいて該両端縁の各々から長手方向内側に延びる一対の側縁と該両端縁に対して長手方向内側に間隔をおいて幅方向に延びる底縁と、該側縁の各々を該底縁の両端の各々の接続する一対の接続縁によって規定されており、該接続縁の各々は該側縁の各々の長手方向内側端から幅方向外側及び長手方向内側に向かって円弧状に延び、次いで幅方向内側及び長手方向内側に円弧状に延び、しかる後に幅方向内側及び長手方向外側に向かって該底縁の両端の各々まで円弧状に延びる、ことを特徴とする、合成樹脂フィルム製手提袋。
【請求項2】
該カバー壁の幅方向中心において分離されている分離縁には、該カバー壁の上面上を幅方向外側に延び次いで幅方向内側に延びる横断面においてV字形状の付加壁が接続されている、請求項1記載の合成樹脂フィルム製手提袋。
【請求項3】
該カバー壁及び該付加壁には、幅方向中央部且つ長手方向中央部を長手方向に細長く延在する開口が規定されており、該付加壁の各々は該開口の長手方向両側において、幅方向外側に向かって長手方向外側に傾斜して延びる溶着ラインに沿って該カバー壁の上面に溶着されている、請求項2記載の合成樹脂フィルム製手提袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それに限定されるものではないが寿司等の食料或いは和菓子等の菓子を収納した折箱を収納するのに適した合成樹脂フィルム製手提袋に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、水平状態を維持して持ち運ぶことが望まれる、寿司等の食料或いは和菓子等の菓子を収納した折箱を収納するのに適した合成樹脂フィルム製手提袋として、扁平状態において、底壁、この底壁に重なるカバー壁、底壁の両側縁の各々をカバー壁の両側縁の各々に夫々接続する両側壁を含み、両側壁の各々は幅方向内側に横断面においてW字形状に折り込まれており、底壁、カバー壁及び両側壁の両端縁は溶着されている手提袋が開示されている。カバー壁を分離されている幅方向中心から夫々幅方向外方に変位せしめて折箱の如き物品を袋内に導入或いは導出するための入口を大きく開口するのを助長するために、底壁及びカバー壁の両端縁の各々の幅方向中央部に略矩形状の切欠を形成することも、当業者には周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、従来の手提袋においては、上記切欠を形成することによって入口を大きく開口することを意図しているが、本発明者等の経験によれば、開口される入口の大きさが未だ充分ではなく、使い勝手を更に向上するためには入口を一層大きく開口することができるようにせしめることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、手提袋全体の寸法を大きくする必要なくして且つ製造コストを増大せしめることなくして、従来の手提袋に比べて入口を一層大きく開口することができる、新規且つ改良された合成樹脂フィルム製手提袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、驚くべきことに底壁及びカバー壁の両端縁の各々の幅方向中央部に形成する切欠を独特な形状にすることによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する合成樹脂フィルム製手提袋として、
扁平状態において、矩形状の底壁、該底壁に重なるカバー壁、該底壁の両側縁の各々を該カバー壁の両側縁の各々に夫々接続する両側壁を含み、該両側壁の各々は幅方向内側に横断面においてW字形状に折り込まれており、該底壁、該カバー壁及び該両側壁の両端縁は溶着されており、該カバー壁は幅方向中心において長手方向全体に渡って分離されており、該底壁及び該カバー壁の両端縁の各々の幅方向中央部には切欠が形成されている、合成樹脂フィルム製手提袋において、
該切欠の各々は、幅方向に間隔をおいて該両端縁の各々から長手方向内側に延びる一対の側縁と該両端縁に対して長手方向内側に間隔をおいて幅方向に延びる底縁と、該側縁の各々を該底縁の両端の各々の接続する一対の接続縁によって規定されており、該接続縁の各々は該側縁の各々の長手方向内側端から幅方向外側及び長手方向内側に向かって円弧状に延び、次いで幅方向内側及び長手方向内側に円弧状に延び、しかる後に幅方向内側及び長手方向外側に向かって該底縁の両端の各々まで円弧状に延びる、ことを特徴とする、合成樹脂フィルム製手提袋が提供される。
【0008】
好ましくは、 該カバー壁の幅方向中心において分離されている分離縁には、該カバー壁の上面上を幅方向外側に延び次いで幅方向内側に延びる横断面においてV字形状の付加壁が接続されている。該カバー壁及び該付加壁には、幅方向中央部且つ長手方向中央部を長手方向に細長く延在する開口が規定されており、該付加壁の各々は該開口の長手方向両側において、幅方向外側に向かって長手方向外側に傾斜して延びる溶着ラインに沿って該カバー壁の上面に溶着されているのが好都合である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の合成樹脂フィルム製手提袋においては、底壁及びカバー壁の両端縁の各々の幅方向中央部に形成する切欠が独特な形状にせしめられている故に、手提袋全体の寸法を大きくする必要なくして且つ製造コストを増大せしめることなくして、従来の手提袋に比べて入口を一層大きく開口することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成された合成樹脂フィルム製手提袋を扁平状態で図示している平面図。
【
図2】
図1に示す手提袋の線A-Aに沿った模式的断面図。
【
図3】
図1に示す手提袋における入口開口様式を示す部分斜面図。
【
図4】従来の合成樹脂フィルム製手提袋における入口開口様式を示す部分斜面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0012】
図1及び
図2(
図2においては、図面の上下方向における壁の重なりを誇張して図示している)には、本発明に従って構成された合成樹脂フィルム製手提袋の好適実施形態が図示されている。全体を番号2で示す手提袋は、底壁4、この底壁4に重なる全体として略矩形状のカバー壁6及び両側壁8を含んでいる。図示の手提袋2は、更に、カバー壁6に接続された付加壁10を含んでいる。かような手提袋2は、厚さが0.02乃至0.08mm程度のポリエチレンフィルムの如く適宜の合成樹脂製フィルムから形成されているチューブ状合成樹脂製フィルム素材に、それ自体は周知の折り畳み加工、切断加工及び溶着加工を施すことによって好都合に製造することができる。
【0013】
底壁4は矩形状であり、この底壁4に重なるカバー壁6も後述する開口を除いて矩形状である。底壁4の両側縁の各々をカバー壁6の両側縁の各々に夫々接続している両側壁8の各々は、
図2を参照することによって理解される如く、扁平状態(即ち底壁、両側壁8、カバー壁4及び付加壁10を密に重ね合わした状態)においては幅方向(
図1において左右方向)内側に折り込まれており、横断面においてW字形状である。カバー壁6並びに付加壁10はチューブ状合成樹脂フィルム素材を長手方向(
図1において上下方向)全体に渡って切断することによって、幅方向中心において分離されている。付加壁10の各々は、カバー壁6の分離されている幅方向に位置する分離縁に続いて、カバー壁6の上面を幅方向外側に延び次いで幅方向内側に延び、横断面においてV字形状である。
図1を参照することによって理解されるとおり、底壁4、両側壁8、カバー壁6及び付加壁10は、両端縁(
図1において上端縁及び下端縁)に沿って相合に溶着されている。
図1においては、便宜上多数の点を施すことによって溶着部12を示している。
【0014】
図1及び
図2を参照して説明を続けると、カバー壁6及び付加壁10には、幅方向中央部及び長手方向中央部を長手方向に細長く延びる開口14が規定されている。かかる開口14はチューブ状合成樹脂フィルム素材の所要部位を切り取ることによって形成することができる。従って、開口14が形成されている領域においては、付加壁10はカバー壁6から分離されている。付加壁10の各々は、開口14の長手方向両側において、幅方向外側に向かって長手方向外側に傾斜して延びる溶着ライン16に沿ってカバー壁6に溶着されている。
図1においては、便宜上多数の点を施すことによって溶着ライン16を示している。
【0015】
底壁4、カバー壁6及び付加壁10の両端縁の各々の幅方向中央部には切欠18が形成されている。従来の手提袋においては切欠は略矩形状であったが、本発明に従って構成された手提袋2においては切欠18は以下に説明するとおりの独特な形状であることが重要である。
図1に明確に図示するとおり、切欠18の各々は、幅方向に間隔をおいて両端縁の各々から長手方向内側に延びる一対の側縁20と両端縁に対して長手方向内側に間隔をおいて幅方向に、好ましくは両端縁の各々に対して平行に、延びる底縁22と、側縁20の各々を底縁22の両端の各々の接続する一対の接続縁24によって規定されている。そして、接続縁24の各々は、側縁20の長手方向内側端の各々から幅方向外側及び長手方向内側に向かって円弧状に延びる第一の部分24-1、第一の部分24-1に続いて幅方向内側及び長手方向内側に円弧状に延びる第二の部分24-2、及び第二の部分24-2に続いて幅方向内側及び長手方向外側に向かって底縁22の両端の各々まで円弧状に延びる第三の部分24-3から構成されている。
【0016】
上述した手提袋2内に箱折の如き物品を導入する或いは手提袋2内から物品を導出する際には、付加壁10における上記溶着ライン16間に位置する長手方向中央部分を把持して付加壁10と共に幅方向中心において分離されているカバー壁6の両側部を相互に離隔する方向に変位せしめて入口26を生成する。然るに、本発明に従って構成された手提袋2においては、切欠18が上述したとおりの独特な形状である故に、切欠18が形成されている部位が
図3に図示する形状に変形されて幅方向にも充分に大きい入口26が生成される。箱折の如き物品が収納された手提袋2は、付加壁10における上記溶着ライン16間に位置する長手方向中央部分を把持して手提げることができる。これに対して、切欠118が略矩形状である従来の手提袋102においては、切欠118が形成されている部位が
図4に図示する形状に変形され、生成される入口126の幅方向寸法が比較的小さい値に制限され、充分に大きな入口126を生成することができない。
【0017】
以上、
図1乃至
図3を参照して本発明に従って構成された手提袋の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言を要しない。例えば、図示の実施形態においては、カバー壁6に接続された付加壁10を付設しているが、付加壁10を省略することもできる。この場合には、周知の如く、別個に形成した2個の帯状片をカバー壁6の幅方向中央部且つ長手方向中央部においてカバー壁6に積層し、2個の帯状片の長手方向両端部をカバー壁6に溶着して手提用把持部を形成することができる。
【符号の説明】
【0018】
2:合成樹脂フィルム製手提袋
4:底壁
6:カバー壁
8:側壁
10:付加壁
12:溶着部
14:開口
16:溶着ライン
18:切欠
20:側縁
22:底縁
24:接続縁
26:入口