(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】眼科機器のための交換式パーツ
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61F9/007 130C
A61F9/007 130B
(21)【出願番号】P 2019545860
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2017078073
(87)【国際公開番号】W WO2018083182
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-21
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519155837
【氏名又は名称】テーハーイーエス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】THIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】コッペル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ズンド,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ハイス,マルティン・クリストフ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-507461(JP,A)
【文献】特開2002-233570(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02463923(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0245543(US,A1)
【文献】特開2002-340716(JP,A)
【文献】特開平06-261921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61M 1/02
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科装置(99)のための交換式カセット(1)、特に、眼科用外科装置(99)のための患者の液体と接触する取り換え可能な眼科カセット(1)、であって、:
・前記交換式カセット(1)のハウジングとしての少なくとも一つの硬質領域(41、42、43)、特に、硬質プラスチック製の、と、
・少なくとも一つの軟質領域(44a、44b)、特に、軟質プラスチック製の、と、
を含み、
・前記硬質領域(41、42、43)および前記軟質領域(44a、44b)が、前記交換式カセット(1)の内部の液体流路を形成し、
・前記軟質領域(44a、44b)が、前記液体流路の少なくとも一つの液体圧力を測定するためのカセット側圧力検出装置(10)を形成し、
前記圧力検出装置(10)が、
・前記液体流路の一つに接続される圧力チャンバ(47)を含む前記交換式カセット(1)に形成され、
・前記圧力チャンバ(47)が、外方向に柔軟膜(48)を有し、
・前記柔軟膜(48)が、連結要素(49)を周状に囲み、
・前記交換式カセット(1)が、前記柔軟膜(48)と実質的に平行に前記眼科装置(99)に挿入される際、
前記眼科装置(99)の力計測装置(14)のフォーク状に形成されたアーム(11)が、前記柔軟膜(48)と実質的に平行するリセス(46)に係合するように、
前記連結要素(49)が、前記リセス(46)を伴って形成され、
前記連結要素(49)が、少なくとも2つの側で前記フォーク状アーム(11)に囲まれ、
前記柔軟膜(48)に対して実質的に垂直な方向に発生する前記柔軟膜(48)への力作用(92)が、正および負の方向の両方で前記力計測装置(14)によって検出され得る、
ことを特徴とする前記交換式カセット(1)。
【請求項2】
前記連結要素(49)の前記リセス(46)が、少なくとも一部分は外周にある、
ことを特徴とする、請求項1記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項3】
前記リセス(46)が、前記連結要素(49)の180°を超えて形成、特に、前記連結要素(49)の3つの側にわたって広がり、特に、前記リセス(46)が、180°を超える角度範囲にわたってフォーク状アーム(11)を受けるように形成、される、
ことを特徴とする、請求項2記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項4】
前記リセス(46)が、面取り部(45)を伴って形成される、
ことを特徴とする、請求項1~3の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項5】
前記リセス(46)が、ひずみゲージおよびフォーク状
凹部が提供されるプレートとしての前記フォーク状アーム(11)が前記連結要素(49)の前記リセス(46)に、直接に係合するように、設計および配置される、
ことを特徴とする、請求項1~4の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項6】
前記リセス(46)が、前記眼科装置(99)への前記交換式カセット(1)の挿入方向(91)と実質的に平行に形成される、
ことを特徴とする、請求項1~5の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項7】
前記フォーク状アーム(11)の2つの叉が、前記連結要素(49)の前記リセス(46)に係合され得るように、前記連結要素(49)が、その前記リセス(46)を伴って形成され、前記連結要素が、前記リセス(46)において、少なくとも2つの側、特に、3つの側、でこれらの叉によって囲まれる、
ことを特徴とする、請求項1~6の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項8】
前記連結要素(49)の前記リセス(46)が、前記柔軟膜(48)と実質的に平行に配向される、
ことを特徴とする、請求項1~7の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項9】
前記柔軟膜(48)および前記連結要素(49)が、一体に、特に、同じ材料から、形成される、
ことを特徴とする、請求項1~8の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項10】
前記硬質領域が、硬質プラスチック製、特に、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)製、であり、
前記軟質領域が、軟質プラスチック製、特に、熱可塑性エラストマー(TPE)製、であり、
前記硬質プラスチックおよび前記軟質プラスチックが、一体の多成分射出成形されたパーツとして形成される、
ことを特徴とする、請求項1~9の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項11】
前記交換式カセット(1)が、
前記硬質プラスチックおよび前記軟質プラスチックの二成分射出成形から各々形成され、前記交換式カセット(1)のハウジングを形成する、第1の外板(41)および第2の外板(42)と、
前記硬質プラスチック製のコア部(43)と、
を伴って構築され、
前記コア部(43)が、前記各外板(41、42)の間に配置され、
前記第1の外板(41)および前記第2の外板(42)ならびに/または前記コア部(43)が、完成した前記交換式カセット(1)を形成するために互いにスナップ嵌めまたは冷圧され、特に、完成した前記交換式カセット(1)が、接着剤なし、溶接継ぎ目なしであり、
前記圧力検出装置(10)の前記連結要素(49)が、前記各外板(41、42)の一つの外に少なくとも部分的に突き出る、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項12】
眼科機器の形態の眼科装置(99)であって、
眼科的介入中にそれによって吸い上げフラッシングを実施することができ、
前記眼科装置が、請求項1~11のいずれか1項記載の前記交換式カセット(1)の実施形態を、スロット状
の受け
スロットで、受けるように設計され、
力計測装置(14)のフォーク状アーム(11)を有し、
前記フォーク状アーム(11)は、交換式カセット(1)が直線的に受け
スロットに挿入されるに従い、前記交換式カセット(1)の連結要素(49)に係合するように、設計および配置され、
前記力計測装置(14)のフォーク状アーム(11)は、直線的な挿入の方向と平行に配向され、そのフォーク状開口が前記受け
スロットの開口の方向に配向され、
前記交換式カセット(1)の前記連結要素(49)は、前記交換式カセット(1)が直線的に受け
スロットに挿入されるに従い、自動的に前記フォーク状アーム(11)との動作可能な接続に入るように設計され、
前記動作可能な接続によって、前記フォーク状アーム(11)のフォーク状端が、少なくとも2つの側で前記連結要素(49)のリセス(48)に係合することから、挿入の方向に直角に発生する前記連結要素(49)への力作用(92)が、力計測装置(14)に正および負の方向に伝送され得る、
眼科装置(99)。
【請求項13】
眼科的介入中に吸い上げフラッシングが実施され得る眼科システムであって、
交換式カセット(1)、特に、請求項1~11のいずれか1項記載の前記交換式カセット(1)の実施形態、を受けるためのスロット状
の受け
スロットを持つ眼科機器の形態の眼科装置(99)であって、眼科装置側力計測装置(14)のフォーク状アーム(11)を有するもの、を含み、
実質的に直線的な挿入方向(91)に前記受け
スロットに挿入され得る、この種の前記交換式カセット(1)をさらに含み、
前記交換式カセットが、前記交換式カセット(1)のハウジングとしての少なくとも一つの硬質領域(41、42、43)および少なくとも一つの軟質領域(44a、44b)で形成され、
前記硬質領域(41、42、43)および前記軟質領域(44a、44b)が、前記交換式カセット(1)の内部の液体流路を形成し、
前記軟質領域(44a、44b)が、前記液体流路の少なくとも一つの液体圧力を測定するためのカセット側圧力検出装置(10)を形成し、
前記圧力検出装置(10)が、連結要素(49)を周状に囲む柔軟膜(48)を外方向に有し、前記液体流路の一つに接続される圧力チャンバ(47)を持つ、前記交換式カセット(1)内に形成され、
前記交換式カセット(1)が、挿入方向(91)に前記柔軟膜(48)と実質的に平行する要領で受け
スロットに挿入される際に、
前記柔軟膜と実質的に平行に配置された力計測装置(14)のフォーク状アーム(11)が、前記柔軟膜(48)と実質的に平行する、前記眼科装置(99)の受け
スロットのリセス(46)と係合するように、
前記連結要素(49)が、前記リセス(46)を伴って形成され、
前記連結要素(49)が、少なくとも2つの側で、特に、3つの側で、フォーク状アーム(11)によって囲まれ、
前記柔軟膜(48)に対して実質的に垂直な方向に発生する前記柔軟膜(48)への力作用(92)が、力計測装置(14)によって正および負の方向に検出され得る、
眼科システム。
【請求項14】
請求項1~11の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)を請求項12記載の前記眼科装置(99)と連結する方法であって、
少なくとも一部分は外周にあり、眼科装置側力計測装置(11)のアームのフォーク状くぼみに挿入されるリセス(46)を伴って形成されるカセット側圧力計測装置(10)の連結要素(49)として、前記カセット側圧力計測装置(10)が、連結され、
直線的な挿入が、前記カセット側圧力計測装置(10)の連結要素(49)のリセス(46)および眼科装置側力計測装置(11)のアームのフォーク状くぼみと実質的に平行する、
方法。
【請求項15】
圧力計測チャンバ(47)のカセット側の柔軟膜(48)を持つ眼科装置(99)内、特に、請求項12記載の、眼科交換式カセット(1)、特に、請求項1~11の少なくとも1項記載の、内の吸引圧力計測のための方法であって、
前記柔軟膜(48)が、少なくとも部分的に外周にあり、前記柔軟膜と実質的に平行に配向されるリセス(46)を持つ連結要素(49)を有し、
前記リセスに、眼科装置側力計測装置(11)のフォーク状アームが、少なくとも2つの側で前記連結要素を囲むように係合し、
前記圧力計測の柔軟膜(48)およびアームが、互いに実質的に平行に配向され、
前記アームが、前記リセス(46)に、それに実質的に平行と同様な挿入方向(91)に直線的に挿入される、
方法。
【請求項16】
請求項1~11の少なくとも1項記載の前記眼科交換式カセット(1)を作成する方法であって、
硬質プラスチックおよび軟質プラスチックを多成分射出成形して、第1および第2の外板(41、42)を、各々の場合に一体に形成する工程であって、
前記各外板(41、42)が、前記硬質プラスチックであり、前記軟質プラスチック製の機械的に柔軟な機能要素を有し、
前記機能要素が、少なくとも一つのカセット側圧力検出装置(10)を形成し、
前記圧力検出装置(10)が、少なくとも部分的に周状に形成されてリセス(46)を持つ連結要素(49)を形成する前記柔軟膜(48)と連携する工程と、
前記第1および第2の外板(41、42)を、解放不可のスナップ嵌めまたは押圧する工程であって、
前記軟質プラスチックが、前記交換式カセット(1)の内側の前記液体流路のシールを形成し、特に、前記硬質プラスチック製のコア部(43)が前記第1と第2の外板(41、42)との間に挿入され、特に、結果として生じる前記交換式カセット(1)が、接着剤なし、溶接継ぎ目なしとなる工程と、
を含む、
方法。
【請求項17】
前記軟質領域(44a、44b)が、前記圧力チャンバ(47)および/または前記液体流路(94)、のシール(93)を形成する、
ことを特徴とする、請求項1~11の少なくとも1項記載の交換式カセット(1)。
【請求項18】
前記軟質領域(44a、44b)が、前記交換式カセット(1)のさらなる機能要素を形成し、前記機能要素が、
・前記液体流路内の液体のための、特に、容量送達のための蠕動ポンプの形態での、スクイズポンプ領域(36、52)、
・前記液体流路の少なくとも一つの通水断面を変動させるためのバルブ配置領域(35、39、57、51)、
・前記液体流路の少なくとも一つの液体圧力を測定するための正圧センサ領域(37)、および/または、
・弾性の前記液体流路の領域によって、圧力および/または液体送達の容量変動をバランス調整するための、受動の柔軟リップル補償領域(59)、
を形成する、
ことを特徴とする、請求項1~11の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項19】
前記交換式カセット(1)が、追加的にさらに、少なくとも、
・注入液体を提供するための容器(30)の接続のためのフランジ接続部(33)、
・前記注入液体を前記眼科装置に送るための注入接続部(38)、
・前記眼科装置への前記液体流路の少なくとも一つの接続のための吸引接続部(50)、および
・液体を廃棄物容器(56)に排出するための廃棄物接続部(55)、ならびに/または、
・注入バルブ(35)、
からの選択を伴って形成され、
前記吸引接続部(50)に接続された前記液体流路が、前記圧力検出装置(10)に接続される、
ことを特徴とする、請求項1~11の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【請求項20】
前記硬質領域が、リセスを有し、前記軟質領域から形成される前記交換式カセット(1)の領域が、前記交換式カセット(1)の外側から機械的にアクセス可能であり、特に、これらの領域が、請求項18記載の機能要素を形成する、
ことを特徴とする、請求項1~11の少なくとも1項記載の前記交換式カセット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分記載の眼科機器のための交換式パーツと、請求項10記載の関連する装置と、圧力を計測し、圧力計測の連結部を作成し、交換式パーツを作成する方法とに関する。
【0002】
本発明は、眼科用外科的機器に関する。多くの場合、吸引、すなわち、眼の流体または手術中に取り除かれる小片の吸い上げは、眼の内側への介入中に行われる。例えば、白内障手術中に、濁った水晶体は、眼から取り除かれ、眼内レンズ(IOL)に交換される。
【0003】
しばしば実施される白内障手術の場合、例えば、外科的道具が角膜から真皮に移行する区域に数ミリメートル長の切開を介して眼の内部に挿入される超音波水晶体乳化吸引術(水晶体核の液化)が実施される。嚢の部片が取り除かれ、次に、水晶体の中身が例えば、超音波装置またはレーザで破砕され、取り除かれる。水晶体小片は、本発明のコア要素である、外科的道具に接続される吸い上げフラッシングによって取り除かれる。一般に、外科的処置に必要とされる他の機能を持つ動作装置の一部として設計されるこの吸い上げフラッシングは、砕かれた水晶体核小片を吸引し、吸引された物質を液体注入、例えば、平衡塩類溶液(BSS)に交換する。古い水晶体核を取り除いた後、畳まれた弾性交換式レンズが開口を通って水晶体嚢に挿入される。
【0004】
先に記載した超音波水晶体乳化吸引術に加えて、本発明によって扱われる吸い上げフラッシング機能を持つ同じ医療装置(またはそのような装置の具体的なバージョン)は、眼間吸引または注入または両方が多くの場合(が必ずしもではなく)実施される他の眼科処置、例えば、硝子体切除術、ジアテルミー、嚢切開術、緑内障手術、屈折矯正手術、フェムト秒レーザーなどでも使用される。
【0005】
文献DE696 21 562、米国特許第2016/045367号、国際公開公報第02/056850号は、そのような医療機器の例示的な実施形態を記載する。
【0006】
吸い上げフラッシング機能のために、すなわち、注入および/または吸引のために、流体の供給および排出のみならず任意の他の機能、例えば、超音波水晶体乳化吸引術の制御も提供する、適切な医療装置が提供される。この目的のために、眼に介入するために使用される外科的装置は、吸引のための吸引管および吸引された液体および/または挿入開口を通って出る漏出液体を交換するための注入管を備える。特に、眼圧(IOP=眼間圧力)は、眼または眼の一部、例えば、前房が処置中につぶれも膨張もせず、したがって、吸引による吸い上げと平行して、注入、すなわち、液体の供給がこのように同時に行われるように、作動中少なくともおおよそ一定に保たれなければならない。
【0007】
無菌を確保するために、眼内感染または患者から患者への伝染は、特に、汚染されている可能性のある吸引された液体に関しては、安全に回避されなければならない。これは、例えば、一般に、カセットと呼ばれる交換式挿入物を交換することによって達成され得る。これらのカセットは、ディスポーザブルカセット、1日使い捨てカセットおよび/または反復滅菌可能品として設計され得る。特に、カセットは、吸引作用を提供し、特に、汚染されている可能性のある患者流体と接触するまたは接触し得るそれらのパーツを含有する。これらのパーツは、特に、ポンプもしくは吸い上げ機器、バルブならびに/または圧力および真空、気泡、流量などのためのセンサであることができる。好ましくは取り違えを防止するために機械的に符号化される、患者へのおよび/または患者からの管への接続部のみならず廃棄物および/または注入容器などへの接続部も、一般に、医療装置にまたは内に取り換え可能な要領で少なくとも一部分は備え付けられるそのような取り換え可能なカセットの一部である。
【0008】
文献DE693 09 757、DE693 21 264、DE696 15 507、DE696 15 633、DE697 09 192、米国特許第5,163,900号、米国特許第5,282,787号、米国特許第5,582,601号、米国特許第5,800,396号、米国特許第5,897,524号、米国特許第5,899,674号、国際公開公報第1987/001943号、国際公開公報第2004/108189号または国際公開公報第2004/110524号は、同様の特性を持つカセットを示す。
【0009】
吸引作用を得るために、異なるポンプシステムは、吸引された液体のために使用される。特に、蠕動ポンプを伴うシステムまたはベンチュリノズルによって生成される負の気圧による吸い上げを伴うシステムは、対抗するシステムであり、異なる用途における前記システムの異なる吸引特徴に基づいてまたは執刀医の個人の好みに起因して、執刀医がどちらか一方のシステムを好む。例えば、他の液体送達システム、例えば、膜ポンプなども、例えば、吸引のために使用され得る。国際公開公報第2010/129128号は、カセット内の蠕動ポンプの例を示す。
【0010】
好ましくは、センサ、アクチュエータ、電子回路および/または機構は、取り換え可能なカセット内ではなく、医療装置内に収容される。特に、汚染されている可能性のある液体と接触するセンサシステムのパーツおよびアクチュエータ、例えば、計測チャンバ、膜、ポンプまたは吸い上げ装置、バルブの押込領域など、換言すれば、特に受動的なパーツを含むのはカセットのみである。センサおよびアクチュエータの能動的なパーツは、特に、それらが相当なコスト要因を代表する場合、好ましくは医療装置内に収められる。この種の分割は、有意義な再使用およびリサイクリング局面の意味でも推奨される。例えば、カセットは、ここでは、好ましくは、何よりも適正な処分を促す、いかなる電子および/または金属構成要素も含有しない全体的にプラスチックパーツとして形成され得る。
【0011】
正圧を検出しなければならないだけの圧力センサは、ここでは、比較的簡単に具現化され得る。例えば、膜は、カセットの液体回路に提供されることができ、液体の圧力(外気に対しての)が膜における力計測によって検出され得るように膜が構成される。ここでは、力は、例えば、公知の要領で、特に、ひずみゲージ、圧電センサ、磁気センサなどによって測定され得る。
【0012】
あるいは、弾力膜(または同種のもの)の幾何学的なたわみが、好ましくは、定義された公知の依存性で、回路内の液体圧力に依存する圧力センサも公知である。この代替形態では、膜の幾何学的な位置は、次に、センサによって評価され得る。ここでは、たわみ方法に代えて、補償またはゼロ調整方法も計測のために適用され得る。しかし、一般的に、長期により安定している、より正確な圧力検出は、特に、膜の無視できるほど小さい幾何学的なたわみを伴う力計測によって提供されることができ、したがって、この原理が使用されるのは好ましい。
【0013】
正圧のみならず負圧も検出するように構成される圧力検出装置では、力というよりたわみは、正および負の方向にも検出可能でなければならない。力計測の効果は、例えば、膜の非常に小さいたわみに起因して、いかなる追加的な弾力性も吸引経路に導入されないという事実にある。眼の圧力安定性は、特に、閉塞を取り除くとき、有意に増加する。それゆえに、装置内の関連する圧力計測センサへのカセットの圧力計測膜の接続部は、正および負の値の伝送のために構成されなければならず、または代わりにバイアシングとして公知のもの、換言すれば、動作点のシフティング(例えば、一定のオフセットによる)が実施されなければならない。機械的設計は、したがって、それゆえにより複雑である。そのような公知の圧力検出装置の例は、例えば、欧州特許第1 253 412号、米国特許第5 392 653号または米国特許第3 841 157号に見られる。
【0014】
例えば、文献DE600 00 608も、チャンバにわたって引かれる膜がプレートを受けるリングを有する、圧力計測システムを提示する。力変換器は、このプレートによって、膜に脱着可能に連結される。連結は、ここでは、DE693 16 209と類似して、好ましくは、強磁性プレートおよび力変換器上の磁石によって達成され得る。あるいは、プレート上の締結具として構成され、締め付け装置(例えば、止めねじ)によって力変換器上のソケットに解放可能に連結され得る、ラッチ装置の使用が提案される。なによりも、ここでの一つの不都合は、カセットが磁気連結のための金属パーツを有しなければならないことである。永久磁石による磁気接続の連結および解放も膜に対する高い機械的負荷を生むが、スイッチオフされ得る電磁石を伴う代替形態もこれらの不都合がないわけではなく、加えて、動作期間全体の間、電流の永久的流れを必要とする。いずれの場合においても、連結の厳密な再現性はなく、したがって、カセットの挿入ごとに異なる計測特徴が発生し得る。提案された止めねじの使用も動作環境では実際にはほとんど機能しない。加えて、その中で提示された溶液の総容量がかなり大量であり、提示された溶液の場合に連結が実施されなければならない方向(計測膜に対して直角に)も眼科カセットの具現化およびその挿入のプロセスに関して不都合である。
【0015】
眼科カセットを改善することまたは改善されたカセットを提供することが本発明の目的である。圧力計測ユニットを改善し簡素化することおよびカセット内にこの種のユニットを提供することもここでの一つの目的である。
【0016】
特に、多くの交換サイクルにも耐える、カセットと装置との間の簡単で、確実なかつ信頼できる連結部を提供することがここでの目的である。
【0017】
特に、交換プロセス中の挿入および取り外し時における、装置とのその連係に関してのカセットの改善および簡素化は、本発明のさらなる目的を生む。
【0018】
ここでの具体的な目的は、コンパクトな設計を有するカセットを提供することおよび/またはリサイクル能力を改善することである。取り扱い中のみならず眼科カセットの実際の使用中にも可能性がある誤差の原因を削減することも具体的な目的である。
【0019】
機能的に柔軟で汎用的なカセットを提供することまたは各々が用途に適応された具体的な機能性を持つ異なるカセット選択肢の柔軟な使用のための単一の装置を提供することも目的である。ここでは、対応するカセット選択肢は、好ましくは互いに互換性がある。
【0020】
これらの目的は、独立請求項の特徴によりおよび/または従属請求項の特徴により本発明によって解決され、または、これらの解決策がさらに進展される。
【0021】
本発明は、眼科機器のための交換式パーツに関する。ここでは、交換式パーツは、患者の液体と接触する、眼科用外科的装置のための取り換え可能な眼科カセットとして具体的に構成され得る。例えば、装置は、超音波水晶体乳化吸引術、硝子体切除術、ジアテルミー、フェムト秒レーザー、嚢切開術などのために意図され得る。
【0022】
交換式パーツは、ここでは、特に、硬質プラスチック、とりわけ、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)製のハウジングとしての少なくとも一つの硬質領域と、特に、軟質プラスチック、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)、エラストマーまたはシリコーン製の少なくとも一つの軟質領域とで構築される。ここでは、硬質領域および軟質領域は、交換式パーツの内部液体流路を形成する。軟質領域は、ここでは、交換式パーツの機能要素、少なくとも:
・特に、蠕動ポンプの形態での、液体を液体流路に移送するためのポンプ装置、
・液体流路の少なくとも一つの通水断面を変動させるためのバルブ装置および
・液体流路の少なくとも一つの液体圧力を測定するための圧力検出装置も形成する。
【0023】
交換式パーツは、眼科用外科的器具への液体流路の少なくとも一つの接続のための吸引接続部および液体、特に、吸引された液体を廃棄物容器に排出するための廃棄物接続部も有する。
【0024】
圧力センサ装置は、ここでは、液体流路の一つに接続される圧力チャンバと、連結要素を周状に囲む柔軟膜とで構成される。ここでは、膜は、特に、軟質領域として構成されることができ、特に、少なくともおおよそ円形であることができ、少なくとも連結要素と共通の中心軸を有することができる。
【0025】
連結要素は、ここでは、特に、力計測装置のフォーク状アームが挿入され得るように少なくとも部分的に外周にあるリセスを伴って構成される。このアームは、ここでは、膜と実質的に平行に配向され、それが少なくとも2つの側で連結要素を囲むように直接リセスに挿入され得る。アームの凹部は、好ましくは、180°を超える角度範囲にわたって連結要素を囲む。ここでは、アームによって、膜に作用する力を検出することが可能であり、力が膜に対して実質的に垂直な方向に及ぼされる。直接の連結部は、ここでは、特に、一方の側の連結要素との直接の係合のためにひずみゲージ、フォーク状凹部が提供されるプレートとして形成される力計測アームと、他方の側の装置への固定された接続部との間に提供される。ここでは、ひずみゲージは、好ましくは、アームの断面積が削減されるアームの点に適用される。
【0026】
換言すると、本発明の交換式パーツは、外側に、特に、実質的に平坦であり、柔軟膜によって周状に囲まれる連結要素を有する、圧力計測チャンバを有する。連結要素は、ここでは、力計測装置のフォーク状アームが少なくとも2つの側から好ましくは能動的に係合され得るように構成される、特に、少なくとも一部分は外周にあるリセスを伴って構成され、アームが膜と少なくともおおよそ平行に配向される。ここでは、膜に作用する圧力チャンバに排出される液体の圧力は、液体に対して実質的に垂直な方向に作用する力作用を引き起こし、力作用が連結要素を介して連結要素を係合する力計測装置のフォーク状アームに伝達される。それゆえに、圧力は、力作用が正および負の方向の両方に伝達され得るため、周囲大気圧に対する負圧としておよび正圧としての両方が測定され得る。
【0027】
ここでは、圧力チャンバは、本発明によって、硬質領域として(または硬質領域の一領域として)構成されることができ、膜および連結要素は、軟質領域として(または軟質領域の一部の領域として)構成され得る。
【0028】
膜および連結要素は、ここでは、一体に、特に、軟質領域の一部として一体に構成され得る。
【0029】
軟質領域(または軟質領域の一部の領域)は、圧力計測チャンバおよび交換式パーツの液体流路のシール、特に、内部シールを形成することもできる。
【0030】
外科的処置中に開ループ制御、閉ループ制御を提供および/またはプロセスを監視するために、液体移動に能動的に影響するアクチュエータに加えて、液体回路にセンサも必要である。特に、液体回路内の圧力条件がここでは測定される。とりわけ、この種の水圧システム内の気泡は圧力条件を誤らせ得るため、および/または眼への空気の導入は回避されなければならないため、少なくとも気泡の監視も、好ましくは、眼科システムに具現化され得る。
【0031】
交換式パーツは、追加的に、注入液体を提供するための容器の接続のためのフランジ接続部および注入液体を眼科用外科的器具に送るための注入接続部を有することができ、接続部が別個の液体流路を介して内部で接続される。ここでは、別個の液体流路は、特に、注入流量を制御するための注入バルブを有することができる。あるいはまたは追加的に、別個の液体流路は、注入ポンプ装置および/または注入圧力センサを有することもできる。
【0032】
ここでは、硬質領域は、硬質プラスチックから形成されてもよく、軟質領域は、熱可塑性エラストマーから形成されてもよく、特に、少なくとも交換式パーツの個々のパーツについては、共通の、一体の多成分射出成形されたパーツとして構成され得る。
【0033】
ここでは、硬質領域は、好ましくは機能要素を形成する軟質領域のその領域によって交換式パーツの外側から機械的にアクセス可能な、リセスを有することができる。特に、これらの領域は、圧力センサ装置、圧力検出装置の機能領域、ポンプ装置の液体流路の機能領域、特に、蠕動ポンプの押込領域、バルブ装置および/または能動もしくは受動リップル補償装置の機能領域の少なくとも一部を形成することができる。
【0034】
交換式パーツは、本発明の実施形態では、特に、光学的に、とりわけ、屈折作用を介して働く、液体流路内の空気を検出するための少なくとも一つの気泡検出器を有することもできる。例えば、この目的のための硬質領域は、気泡検出器のためののぞき窓、特に、磨き仕上げのぞき窓を形成する、光学的に透明な材料から形成され得る。ここでは、具体的には、気泡検出器の評価電子回路は、交換式パーツの外側の装置に固定して設置され得る。
【0035】
交換式パーツは、本発明の実施形態では、液体流路の一つ内の流量を制御するための少なくとも一つのバルブ装置で形成され得る。ここでは、具体的には、バルブの制御電子回路および/または機構は、交換式パーツの外側の装置に固定して設置され、交換式パーツの軟質領域だけに機械的に作用することができる。
【0036】
本発明の実施形態では、交換式パーツは、流体接続とポンプ装置との間の蠕動作用の少なくとも一つのリップル補償で形成され得る。これは、特に、アクチュエータによって能動的に、または弾性圧力変動バランス調整領域によってて受動的に形成され得る。
【0037】
本発明の交換式パーツでは、特に、液体流路および機能要素も、設置される位置では、液体の流れ方向が例えば、吸引接続部から交換式パーツの廃棄物容器へ、重力の方向と実質的に逆に向かい、したがって、いかなる気泡も取り除かれるように構成および配置され得る。
【0038】
交換式パーツは、硬質領域に外歯部を有することもでき、歯部は、交換式パーツが眼科機器によって自動的に引き込まれそこに位置付けられることができるように構成される。
【0039】
本発明は、対応する眼科機器、換言すれば、特に、作動中吸い上げフラッシングが実施されることができ、本発明の交換式パーツの実施形態を受けるように構成される、眼の手術のための装置にも関する。ここでは、機器は、交換式パーツのための受けスロットを有し、交換式パーツの機能要素と相互作用することができるように設計されるアクチュエータおよびセンサを受けスロットが含む。特に、装置は、カセットが直線的に挿入される際、本発明のカセットの圧力計測膜の連結要素との動作可能な接続に入る、力計測装置のアームを有する。この動作可能な接続は、特に、膜に対して直角方向の遊びがほぼなく、カセットが挿入される際、少なくとも2つの側で連結要素に係合するアームのフォーク状端によって作成される。
【0040】
本発明は、特に、液体流路内の膜に固定して接続される連結要素の少なくとも一部分は外周にあるリセスに力計測装置のアームのフォーク状突起が挿入される圧力計測センサの連結部がある眼科機器に交換式パーツを連結するための対応する方法にも関する。フォーク状突起は、好ましくは、装置へのカセットの挿入方向に直線的に挿入される。
【0041】
本発明の一部は、眼科装置の眼科カセットで、装置側力計測装置のフォーク状アームが少なくとも2つの側で連結要素を囲むような要領で係合する連結要素を有するカセット側圧力計測膜で吸引圧力を計測するための対応する方法でもあり、圧力計測膜およびアームが互いに実質的に平行に配向される。
【0042】
ここでは、フォークは、少なくとも2つの側から連結要素のリセスと係合し、次に、膜に対して垂直な方向の遊びがほぼなく、連結要素を介して膜に接続される。圧力計測時、膜に対して垂直な方向の力作用の値は、検出され、膜およびフォークの幾何学的なたわみが無視できるほど小さいままである。カセットが挿入される際に生じる連結要素とフォークの解放可能な接続は、好ましくは、ここでは、特に、膜表面に対して垂直な方向の遊びがほぼなく、換言すれば、それは、例えば、数百分の1または数十分の1ミリメートルオーダーの遊びを有する。この種の小さい遊びは、フォークの叉が連結要素の横方向リセスに滑り込み、連結要素および/または膜の有意な変形は発生せず、特に、連結後、無視できるほど小さい力のみが膜と平行する方向に発生するため、連結が確実にかつ低い力の消費で実施され得ることを意味する。測定されるのは幾何学的なたわみではなく、むしろ、いかなる幾何学的な遊びも無視できるほど小さい作用のみを有する力作用であるため、完全に遊びのない連結が本発明に従って絶対に必要なわけでもない。それゆえに、力が計測される方向に連結要素が強固に作られることが絶対に必要なわけでもなく、むしろ、連結要素は、同様に、測定される力の値に対して通常無視できるほど小さい作用のみを有するため、ある程度の柔軟性を確実に有することができる。液体の圧力によって及ぼされる膜へのおよび連結要素を介してのアームへの力は、ここでは、液体圧力の測度、特に、大気に対して正圧の場合は正の力、大気に対して負圧の場合は負の力である。
【0043】
換言すると、本発明に従って、交換式カセットが装置に直線的に挿入される際、力計測装置の装置側アームのフォークは、挿入方向と実質的に平行かつカセット側圧力検出装置の膜と実質的に平行にある方向に、少なくとも2つの側でまたは3つの側でも、この目的のために形成され、同様に、挿入方向と実質的に平行にある膜の連結要素のリセスに挿入されることができ、フォークが力を伴わずに、または少なくとも実質的に力を伴わずに挿入方向に挿入される。このように、圧力検出装置の装置側とカセット側パーツの無力連結は、特に、単に交換式カセットを装置に直線的に挿入することによって具現化され得る。
【0044】
本発明の眼科カセットを作成するための有利である方法は、少なくとも2つの対向側に機械的に柔軟な機能要素も有する。方法は、硬質プラスチックを多成分射出成形する工程と、硬質領域を形成する工程と、軟質プラスチックの少なくとも一つの機能要素を形成する工程とを包含する。その際、カセットの第1および第2の対向側板が形成される。第1および第2の対向側板の解放不可のスナップ嵌めまたは圧入がさらにまた、生産中に生み出され、軟質プラスチックがカセット内側の液体流路のシールを形成する。さらなる実施形態では、コア部、特に、硬質プラスチック製のものは、スナップ嵌めが第1と第2の側板との間に確立される前に挿入され得る。
【0045】
ここに記載される方法のいくつかは、好ましくは、少なくとも一部分はプログラム化されたシーケンスとして提供される。本発明は、したがって、先の方法を実行するために、機械読み取り可能なキャリア上に記憶されるまたは電磁波によって具体化されるコンピュータデータ信号として(例えば、無線信号として)提供される、プログラムコードを持つコンピュータプログラム製品にも関する。ここでは、プログラムコードは、具体的には、ここに記載される開ループおよび/または閉ループ制御タスクの自動実行および眼科装置におけるプロセスシーケンスの実行を実行することができ、またはこの目的のために設計され得る。
【0046】
本発明の方法および本発明の装置は、図面に概略的に図示する具体的な例示的実施形態に基づいて、単に例えば、より一層詳細に以下のとおり記載され、本発明のさらなる効果も論じられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】眼科装置のための本発明の交換式パーツの第1の実施形態のブロック図を示す。
【
図2】眼科装置のための本発明の交換式パーツの第2の実施形態のブロック図を示す。
【
図3a】本発明の交換式パーツの例の第1の実施形態を、眼科装置のための取り換え可能なカセットの形態で、左および右からの3D図に示す。
【
図3b】本発明の交換式パーツの例の第1の実施形態を、眼科装置のための取り換え可能なカセットの形態で、左および右からの3D図に示す。
【
図3c】本発明の交換式パーツの第1の実施形態の断面図を示す。
【
図3d】本発明の交換式パーツの第1の実施形態の分解斜視図を示す。
【
図4a】本発明の眼科装置の対応する例に挿入される、交換式パーツの本発明の例示的な実施形態の図を示す。
【
図4b】本発明の眼科装置の対応する例に挿入される、交換式パーツの本発明の例示的な実施形態の図を示す。
【
図4c】本発明の眼科装置の対応する例に挿入される、交換式パーツの本発明の例示的な実施形態の図を示す。
【
図5】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図6a】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図6b】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図6c】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図6d】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図6e】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図6f】本発明の圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図7a】本発明のカセット側圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図7b】本発明のカセット側圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図7c】本発明のカセット側圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図7d】本発明のカセット側圧力検出装置の連結部を中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図8a】本発明の圧力検出装置および本発明のポンプ装置を持つ交換式パーツの本発明の例示的な実施形態およびそれらの連系の図を示す。
【
図8b】本発明の圧力検出装置および本発明のポンプ装置を持つ交換式パーツの本発明の例示的な実施形態およびそれらの連系の図を示す。
【
図8c】本発明の圧力検出装置および本発明のポンプ装置を持つ交換式パーツの本発明の例示的な実施形態およびそれらの連系の図を示す。
【
図8d】本発明の圧力検出装置および本発明のポンプ装置を持つ交換式パーツの本発明の例示的な実施形態およびそれらの連系の図を示す。
【
図9a】本発明のカセット側バルブを中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図9b】本発明のカセット側バルブを中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図10】本発明のカセット側正圧センサを中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【
図11】本発明のカセット側気泡センサを中心とした、本発明の交換式パーツの例の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図中の描写は、図示目的のためにすぎず、特に明示的に断りない限り、原寸に比例しているとは見なされない。同一のまたは機能的に同様の特徴は、実施可能である限り、一貫して同じ符号で票示され、適宜、インデックスとしての文字によって区別される。提示された図は、一般的原理によって当業者により補完または変更され得る、基本的な技術構造を示す。
【0049】
図1は、少なくとも一つの本発明の圧力検出装置10を持つ本発明の眼科カセット1の実施形態のブロック図の可能な例を示す。この例では、それは、具体的には、それで吸い上げフラッシングが実行され得る眼科装置99の取り換え可能なカセット1の圧力検出装置10であることができる。図の左半分には能動注入装置、右半分には吸引装置が示される。容器30、すなわち、例えば、注入ボトルまたは注入バッグは、注入液体を提供する。この注入液体供給は、例えば、充填レベルをチェックするための装置を備えることができる。例えば、容器30および/または点滴チャンバ31は、センサによって、空になることを監視されることができ、対応する警告が適時に出力され得る。先行技術から公知のように、カセット1のボトル接続部33における(または注入システム全体内の)注入液体圧力は、容器30の懸架の高さ調整によって、好ましくは、ここではドライブ32によって符号で表される電動式で自動的に変動させることによって、容器懸架の高さが変化または制御され得る。ここでは、外側からアクセス可能なカセット1の挿入状態にある接続部33は、カセット1上に配置されることができ、例えば、チューブを介して注入容器30に、またはそれらの間に配置される点滴チャンバに接続され得る。
【0050】
本発明のカセット1は、それによって正しい機能が監視することができ、空気の注入が回避され得る少なくとも一つの気泡センサ34を注入システムに有することができる。気泡検出器34は、ここでは、特に、光学的に、例えば、空気および液体の異なる光屈折特性に基づいておよびそれによって注入システム内の気体または液体の存在間の区別が成される他の原理にも基づいて働くことができる。具体的な実施形態の例は、以下のとおりさらに記載される。
【0051】
一つの実施形態では、本発明のカセット1は、容器30と注入点の高さとの間の高さの違いを変動させることによって、上記に記載した注入圧力の調整または制御を具現化することができる。ここでは、本発明のカセット1は、一つの実施形態では、それによって注入システムの液体流路の通水断面が可変である、特に、開かれまたは閉じられ得るが、場合により、調整可能な中間位置を取ることもできる注入バルブ35を有することができる。具体的な実施形態の例も以下のとおり、ここにさらに記載される。
【0052】
本発明のカセット1のもう一つの実施形態では、能動注入も能動液体送達装置36によって提供され得る。このために、例えば、ポンプ装置、例えば、蠕動ポンプまたは液体のためのもう一つの送達装置は、注入システムに提供され得る。この種の実施形態では、注入バルブ35および/または注入容器30の高さ調整も、場合により省略され得る。ここでは、送達装置36の適切な駆動によって、注入圧力および/または注入の送達容量は変動され、特に、開ループまたは閉ループ制御によって制御され得る。
【0053】
本発明のカセット1のさらなる好ましい実施形態は、図面に示されるように、注入容器高さアジャスタ32および注入液体送達装置36を含むこともできる。ここでは、特に、バルブ35は、送達装置36のバイパスとして構成され得る。能動的(すなわち、送達装置36によって能動的に開始された)または流体静力学的(すなわち、高さの違いによってもたらされた)のいずれかの注入圧力変異は、このように、同じカセット1で提供され得る。特に、ここでは、これら2つの原理の間で、すなわち、例えば、作動中も必要に応じて、例えば、実施される外科的処置の現在の要求に従って、執刀医の好みに従って、途切れなく切り替えることが可能である。
【0054】
本発明の注入システムは、それによって注入システム内の圧力が測定、監視および/または制御され得る、注入圧力計測装置37を追加的に含むことができる。この注入圧力計測装置37は、好ましくは、注入バルブ35および/またはポンプ装置36の後に配置され、したがって、それによって測定される圧力が眼に供給される圧力に相当する。大気に対して正圧のみが注入システム内で優勢であることができる(または少なくともそうであるべきである)ため、この注入圧力計測装置37は、それによって、必ずしも負圧もではなく、正圧のみが測定され得るように構成され得る。具体的な実施形態の例も以下のとおり、ここにさらに記載される。
【0055】
注入液体は、眼への注入が調整可能なおよび/または制御可能な圧力および/または容量で提供され得るように、外科的介入道具への管またはチューブに接続され得るカセット1の外部注入接続部38における調整可能な圧力および/または送達容量で、本発明のカセット1によって提供される。安全を確保するために、患者に向けた実際の優勢な注入の圧力は、適切な圧力センサによって監視され得る。
【0056】
ここでは、流れ方向に挿入状態にあるカセット1内の液体経路は、好ましくは、実質的に下から上へ向かい、吸引システムの適した充填が達成され、気泡の蓄積が回避されるように、本発明に従って構成され得る。
【0057】
排気バルブ39で解放され得る、カセットの注入システムから吸引システムへの本発明の任意の経路もここに示される。これは、例えば、特に、カセット1が作動を始めるとき、吸引システムを液体で充填するためにおよび/または例えば、閉塞を取り除くべく、逆流機能のために、吸引システムを通して注入液体をバックフラッシュさせるために、または、例えば、医師が足踏みスイッチを介して所望の圧力を削減することを望む場合、一般的に吸引経路内の負圧を削減するために、使用され得る。これらの機能性のために、さらなるバルブは、液体流れの対応する切り替えのために、カセット内に利用可能であることができる。いくつかの例は、以下の図に例として示される。
【0058】
本発明のカセット1の吸引システムは、同様に、吸引接続部50を介して管またはチューブによって外科的介入道具に接続される。ここでもまた、少なくとも一つの気泡センサ34bは、別のところで記載したように、吸引システムに存在していることができる。図は、特に、ここに詳述されたバルブの一般的記載に従って構成され得る、吸引バルブ51も示す。
【0059】
吸引システムでは、圧力計測も圧力計測装置10で実行される。しかし、吸引中、大気に対しての負圧が圧力計測装置10によって検出可能でなければならず、好ましくは、負および正圧の両方が検出可能であるという要求がある。
【0060】
吸引作用を得るために、図は、2つの変形形態:一方においては蠕動吸引、他方においてはベンチュリ吸引を示す。カセット1の本発明の実施形態は、蠕動吸引のみを有することができ、またはカセット1の本発明のもう一つの実施形態は、ベンチュリ吸引のみを有することができ、または本発明のさらなる実施形態は、蠕動吸引とベンチュリ吸引の両方を有することができる。
【0061】
ベンチュリ吸引の場合、吸引作用は、通例、名前に因んだベンチュリノズルによって生成される負の気圧によってもたらされる。しかし、他の負圧生成原理、特に、例えば、同日に同じ出願人によって出願され、参照により本明細書に包含される平行特許出願欧州特許第16197018号の実施形態におけるそれらも使用され得る。これらの変形形態は、ここではベンチュリバルブ57および負圧システム58によって符号で表される。
【0062】
蠕動吸引では、液体送達装置52は、吸引作用を生成するために使用される。送達装置52は、特に、蠕動ポンプであることができるが、場合により、膜ポンプまたは同様の液体送達装置も使用され得る。
【0063】
吸引された液体は、好ましくはカセット1の外側の適切な廃棄物接続部55に接続される、好ましくは適切な廃棄物容器56に移送される。ここでもまた、特に、正圧のための圧力センサ37cは、満杯の廃棄物バッグによる圧力上昇を検出するために使用され得る。あるいは、異なって設計される廃棄物容器56の充填レベル監視も提供され得る。ここに示されるように、さらなる気泡センサ54も、場合により、廃棄物容器56への液体流路に提供され得る。例えば、故障、汚れの際にも、またはバッグを空にしている間バルブ51が完全に閉まっていない場合、これは、患者側で圧力センサ10によって検出されてもよく、適切な安全措置が開始され得る。
【0064】
カセット1は、本発明に従って、装置99の対応する読み取りユニット71によって記録および評価され得る、コーディング70、特に、機械的および/または光学的なものを有することもできる。このコーディングは、例えば、ディスポーザブルカセットの場合、反復または非殺菌使用を防止するために使用されてもよく、挿入されるカセットの具体的な実施形態およびその任意の機能性などは、装置99によって検出され得る。例えば、一つの実施形態では、それは、カセット1の挿入中または後に装置99内の光学式検出ユニット71、例えば、カメラ71によって検出される、印刷、刻印またはレーザー刻印されたコード70、特に、バーコードまたはQRコード(登録商標)70の形態であることができる。
【0065】
図2は、本発明のカセット1のもう一つの例示的な実施形態をブロック図に示す。
図1と機能的に同一のまたは同等の特徴は、同様の符号が提供され、先のそれらの記載に対して参照が成される。
【0066】
本発明のこの実施形態と
図1との間の主な違いは、本発明によって、注入区域では、一回だけの能動注入が送達装置36によって実行される点にある。注入バルブ35は、ここでは任意であり、追加的な安全機能を実現するまたは任意のバルブ39と連携するために、例えば、患者に対する遮断として設計され得る。吸引区域では、廃棄物バッグ56を本発明に従ったカセット1に直接備え付けることができ;対応する第2の吸引バルブ51bと共に第2の、任意の吸引接続部50bが示される。場合により、能動もしくは受動リップル補償器59bおよび/または蠕動ポンプ52または36の圧力または送達容量リップルをバランス調整するための59bは、例えば、患者とポンプ装置52または36との間に配置される。
図1および
図2からの様々な形態は、本発明の異なる実施形態のために、本発明に従って交換および/または組み合わされ得る。
【0067】
図3aおよび
図3bは、本発明のカセット1のさらなる実施形態を示し、各々、右前方から見た図(
図3a)および左前方から見た図(
図3b)である。この例では、カセット1は、少なくともその外輪郭の形状においておおよそ立方体の、前部位1bとして突出プレートを持つ、基本的なカセット1aとして示される。この種の形は、特に、収納、発送などのためのカセット1の空間効率の良い格納および積み重ねやすさを可能にする。ハンドル1cを形成する示された前部位1bは、装置99への挿入時の適した取り扱い、特に、カセット1の関連パーツの安定性を維持しつつ、何にもまして装置99と無菌区域のスタッフとの間の汚染を防止することを可能にする。この実施形態では、チューブシステムのための接続部、特に、外科的ハンドピース、注入液体タンク30、廃棄物バッグ56などへのそれらは、前部位1b上にも見られる。好ましくは、これらの接続部33、38、50、50、50b、55は、間違った接続および取り違えの危険を排除するために、機械的におよび/または幾何学的に符号化される。光学式マーキングの他に、このコーディングも、それによってこれらの接続部が形成されるカセット1の板41、42および/またはコア部の異なる幾何学的形によって提供され得る。前部位が挿入および/または作動中に外部からアクセス可能な本発明のカセット1の前部位1bは、このように、本発明の一つの形態に従って、同時に未滅菌装置と接触することなくカセット1の操作を可能にするハンドル1cをそれが形成するように構成され得る。前部位1bは、カセット1が装置99に挿入される際に挿入の方向に作用する位置止め具としても使用され得る。
【0068】
任意の気泡検出器34、34bおよび54もこの図に見てとれる。それらは、ここに示される実施形態で光学的に働く。例えば、それらは、液体と空気の異なる屈折率、特に、液体と空気との間の異なる全反射角もしくは液体と空気の異なる導光特性の原理に基づいて構成されることができ、またはもう一つの作用モード、例えば、容量性作用モードを使用することができる。これらの気泡検出器34は、好ましくは、関連する接続部33、38、50、50bおよび/または55の少なくともおおよそ近くにある。例えば、この種の気泡検出器34、54は、液体流路にのぞき窓を伴って構成されてもよく、のぞき窓が少なくとも使用される波長において光学的に透明であり、外板41および/または42に提供される。一つの実施形態では、外板は、例えば、透明な材料で形成され得る。
図11は、本発明の例示的な実施形態を図示する。
【0069】
本発明の一部の形態に従って、カセット1内の液体流路の配置および設計は、好ましくは、液体流路が液体で充填される際、それらが常に(少なくとも実質的に)下から上へ充填し、それにより、いかなる気泡(中密度比に相当)も上方へ変位し、患者から離れて取り除かれる。カセットの液体流路のこの種の充填は、ここでは、特に、カセット1の挿入に続いて、カセット1が作動を始めるとき、実現される。それゆえに、本発明のこの形態に従って、下から上への接続部の配置は、以下の順で提供され得る:廃棄物バッグ55-患者50からの吸引A-可能な吸引B50b-患者38への注入-注入ボトル33。
【0070】
図3cの示された例では、断面図に示されたカセット1は、実質的に3つのパーツ、左外板41、右外板42およびコア部43で構築される。外板41および42は、好ましくは、互いに対しておよび/またはコア部43に対してスナップ嵌め、押圧または押し込まれることができ、換言すれば、特に、再び解放可能であることができない、例えば、ホックシステム、圧入システムまたは同種のもので具体化され得る。圧入接続部25が例として図に示される。もう一つの実施形態では、本発明のカセット1は、2つのパーツのみ、すなわち、特に、別個のコア部43を伴わずに構築されることもでき、カセット内の液体流路が2つの外板41および42によって形成され得る。
【0071】
加えて、機能要素の一部がこの断面図に示される。ここでは、二成分射出成形された外板41および42の軟質プラスチック構成要素は、張力および/またはフォームフィットによって係合されて、カセット内の液体流路または管が形成される。示された断面図では、軟質プラスチックは、液体流路に沿ってビーズを形成し、組み立てられた状態でのビーズは、コア部43のくぼみに係合し、それにより、特に、軟質プラスチックの押込および/または少なくとも単一の漸次的変化を持つ蛇行シールの形成によって液体シールが提供される。軟質プラスチック構成要素の一部の領域は、組み立てられた状態でのカセット1の外側からここにアクセス可能であり、機能要素を形成する。二成分射出成形された外板41および42の硬質プラスチック構成要素は、この目的のための対応する切り欠きを有する。
【0072】
ここに示される実施形態では、外板41および42は、硬質プラスチックおよび軟質プラスチック44からの一体の二成分射出成形されたパーツとして形成される。例えば、それらは、例えば、シリコーンもしくはエラストマー、特に、熱可塑性エラストマーまたはこの種の医療用途のために好適なかつ許可されたもう一つの軟質プラスチック44と共に、ポリエチレン、ポリアミドもしくはポリプロピレンまたはこの種の医療用途のために好適なかつ許可された、硬質プラスチックとしてのもう一つの剛性のプラスチックで形成される。コア部43は、硬質プラスチック、例えば、前述の硬質プラスチックの一つから同様に形成される。再利用可能な実施形態が所望される場合にカセット材料を選択するとき、例えば、オートクレーブ内などでのカセット全体の任意の可滅菌性も考慮され得る。
【0073】
図3dは、本発明の例示的なカセット1の分解斜視図を示し、完全性のために、軟質プラスチック領域44aおよび44bもそれぞれの関連する硬質プラスチックパーツ41および42から分離されて示されるものの、これらは二成分射出成形されたパーツとして一体に製造され得る。示された例では、二成分射出成形されたパーツの外板41および42の軟質プラスチック部分は、熱可塑性エラストマー(TPE)からなり、それらがコア部43と一緒にカセット1内の液体流路および機能要素(例えば、ポンプ部分、バルブ、圧力センサ)を形成するように形成される。特に、硬質プラスチック製の二成分射出成形された外板41および42を伴う実施形態は、軟質プラスチックで形成されてもよく、一成分コア部43は、硬質プラスチックのみから形成され得る。この種の実施形態では、コア部の領域および軟質プラスチックの領域のみが液体を介して間接的に患者と接触し、外板41および42のパーツは接触しない場合、コア部および軟質プラスチック材料に関してのみいかなる医療材料ガイドラインも順守されなければならず、外板41および42のための材料選択は、これに関してより柔軟であり、例えば、主に強度および美的要求に対して好適な要領で選択され得る。
【0074】
図3a、
図3b、
図3cおよび
図3dに示される実施形態の例では、機能要素は、示された外板の半分41および42の両方にわたって各々分割され、このように、コンパクトな構造が得られることを可能にする。ここで、示された例では、特に、スクイズポンプ部分は、一方のカセット側42に配置され、バルブおよび圧力センサは、他方のカセット側41に配置される。機能要素のそのような分割は必須ではないが、装置99へのカセット1の保持または締め付けに関して有利であることができ、装置99へのカセット1の締め付け、固定および/または微細な位置付けが蠕動ポンプのローラーヘッドの押圧と同時に行われることができる。
図4bおよび
図4cは、本発明のカセット1の本発明の蠕動ポンプの例示的な実施形態を図示する。ここでは、カセットを装置99に締め付けるために必要な移動は、一方の側から、好ましくは、蠕動ローラー73の側からのみ実施される。例えば、傾斜した面は、ここでは、例えば、蠕動ローラーの回転中心75の領域でまたはカセット1上の別のところおよび/または装置99の締め付け装置上でも形成されることができ、適切な装置側相手方へのカセット1の挿入に続いて、装置99内へのカセット1の位置付けおよび固定をもたらす。
【0075】
図4aは、装置99に挿入されたカセット1のそのような締め付けおよび固定を、見る方向がカセット1の蠕動ポンプに向かっている側面図に概略的に示す。ここでは、ローラー73を持つ装置側99のローラーヘッド72が示され、ローラー73が外板42の押込領域94上を転がり、押込領域がビーズ状の要領で膨らまされ、軟質プラスチック44bで形成される。この転がりにより、押込領域94は、ローラー73によってコア部を密封するように押圧され、ローラーヘッド72および回転中心75の回転により、ローラー73間の押込領域94内の容量が搬送される。
【0076】
図4bは、図面平面に直角に向かう挿入方向91に、その端位置まで装置99に挿入されたがまだ締め付けられていないカセット1を示す。これは、ここに示される2つの別個の蠕動ポンプ36および52の右および左の回転中心75を通る断面図である。本発明の実施形態のこの例では、カセット1は、挿入後に締め付けられ、同時に、蠕動ポンプのローラーヘッド72は、方向83に押圧される。示されるように、ローラー73の締め付ける力および/または位置調節82は、ばねによって測定され得る。
【0077】
ここでは見えておらずバルブ35、39、51、51bおよび/または57に作用するアクチュエータも本発明に従った装置99に配置される。それらは、例えば、カセット1のバルブ形に機械的に作用する、装置内で電磁的にまたは電動でまたは空気圧で駆動される可動タペットとして設計され得る。液体流路の部分の通水断面は、ここではカセット1内で変動、特に、解放またはブロックされ得る。
図9aおよび9bは、例示的な実施形態を図示する。
【0078】
本発明の圧力検出装置10、特に、その連結要素49もカセット1上に示され、カセット1挿入状態では、ここでは示されていない装置側力センサ11と連携する。示された実施形態では、力センサ11の連結要素49は、外板41の外に突き出ており、例えば、装置側溝に沿って挿入方向に挿入されるとき、力センサ11と連結されるまで導入され得る。大気圧に対しての正圧および負圧の両方を測定する機能を有しなければならない本発明の圧力検出装置10では、膜への負の力、すなわち、カセットスリーブに対して内方向に向けられる、が検出される。このように、上記に記載したようにセンサが単に正圧センサ37である場合、力センサの感度表面に対する膜の単なる適用は、この場合、カセットスリーブに対して外方向に作用する力のみが検出され得るため、不十分である。
【0079】
カセット1内の本発明の圧力検出装置10は、特にこれが二成分射出成形されたパーツを含む場合、先行技術、例えば、より少ないパーツによるより複雑でない設計、カセットの生産プロセスの簡素化、無菌条件下で動作する必要がある生産機械のより少なさ、溶接継ぎ目もしくは接着剤継ぎ目のチェックなし、もしくは、より複雑でないチェック、カセット製造に関してより低い組立労力、挿入時のカセット1の簡素化された取り扱い、圧力検出装置10の信頼できる連結、単にカセット1を直線的に挿入することによる圧力検出装置10の自動連結、カセットへの任意の補助モジュール取り付けの可能性または、カセット1の機能要素のすべての操作が横から実施され、カセットが挿入方向へのその長さに関して変動することができるため、カセット変形形態の多様性、カセット1のコンパクトな収納のための有利な梱包形式およびさらに多くのものと比較して数多くの効果を有する。
【0080】
図4cは、装置99のすべてのセンサおよびアクチュエータがカセット1のそれらの相手方との相互作用のために対応する、装置に締め付けられた状態のカセット1を示す。示された例では、これは、方向83にカセットに対して押圧するローラーヘッド72によって具現化される、装置99へのカセット1の締め付けによって達成され、それによりカセット1が対応する機械的止め具に対して図面平面の左に挿入される。その際、ローラー73は、上部ポンプ(例えば、注入ポンプ36)では、ローラー73を通る断面が押し込まれた押込断面94を示し、下部ポンプ(例えば、吸引ポンプ52)では、ローラー73の隣の断面は、これに対して、押し込まれなかった押込断面94を示す、押込流路94を押し込む。この例ではローラーヘッド72の回転軸75も形成する心出し要素82により、カセット1が締め付けられる際、装置99へのカセット1の微細な位置付けも達成される。
【0081】
図5は、装置99に挿入される本発明のカセット1の例示的な実施形態の詳細を目下図示する。ここでは、本発明の装置側力センサのフォーク11は、圧力検出装置10の本発明のカセット側連結要素49と係合される。カセット1内の圧力条件によって膜48に及ぼされる正92aおよび負92bの双方の力作用92は、このように、伝送可能である。力作用92は、ここでは、膜48の表面に少なくともおおよそ垂直であり、挿入方向91にも少なくともおおよそ垂直である。ここでは、フォーク11によって形成される示されたアームは、それによって検出のための力作用92が電気信号として提供される、少なくとも計測電子回路14の一部、特に、第1の増幅器段を含む。この実施形態では、ひずみゲージによる力計測が示され、これらが削減された断面積を有するアームの点において配置される。少なくとも一つの第1の電子増幅器および/または評価段も、特に電気的干渉の影響を回避するために、アーム上に直接またはアームにおいて配置される。アームの後方部分17は、装置99に固定して固着される。
【0082】
カセット側圧力検出装置10への接続部の本発明による生産は、示された実施形態では、カセット1が装置99に挿入される際、装置側圧力検出装置10のフォーク11がカセット側圧力検出装置10のニップル形連結要素49との係合をもたらすことから、装置99へのカセット1の挿入方向91に実現され得る。その際、フォーク11は、連結要素49のリセス46に係合し、リセス46がスロット46またはノッチ46とも呼ばれ得る。フォークは、ここでは、膜48と実質的に平行に配向され、フォーク11は、リセス46の位置で、少なくとも部分的に、好ましくは、連結要素49の少なくとも2つの対向側でリセス46において、連結要素49を囲む。ここでは、フォーク11および/またはリセス46も、カセット1が装置99の周囲でそれほど正確にガイドされる必要がないように、好ましくは、特に、挿入プロセス中、互いと係合する領域の、互いに対してのより大きい許容差に耐えることができるために、面取り部を伴って設計され得る。
【0083】
図6aは、カセット1が一部分のみ装置99に挿入される本発明の実施形態の例を示す。挿入方向99は、ここでは、装置99に固定される力センサ11に対してのカセット1の移動を生む。ここでは、力センサ11のフォークは、カセット側圧力検出装置10への係合の直前に、力センサのアームの前のフラットな舌部にあり、カセット1は、このように、ほぼ全部が挿入される。フォーク11の叉は、挿入方向に連結要素49のリセス46にまさに係合しつつある。カセット1の圧力チャンバ47の膜表面48は、ここでは、(少なくともほぼ、換言すれば、許容差または遊びに起因した辺縁ずれが可能である)挿入方向91と平行に配置される。装置側アームのフォーク11は、挿入方向91と(少なくともほぼおおよそ)平行に、このように、膜48とも(少なくともほぼ)平行に配置される。本発明に従って、フォーク11が少なくとも2つの側で連結要素49と係合するリセス46および連結要素49は、それゆえに、カセット1の挿入方向91と実質的に平行に形成される。
【0084】
図6bは、カセット1全部が挿入される本発明の実施形態の例を示し、カセット1は、このように、その作動のために提供される端位置にある。ここでは、装置側力センサ14のフォーク11は、本発明に従ってカセット側圧力検出装置10の連結要素49と係合され、正圧および負圧の本発明の計測が実施され得る。示された例では、挿入されたカセット1が連結要素49にある状態で、フォーク11の叉は、側方のみならず、叉の間に位置するフォーク状フラットアーム11の後方の一部も連結要素49のリセス46と係合され、本発明のこの実施形態の連結要素49は、このように、膜48から力センサへ具現化される力伝送に関して有利であることができる、特に、これが信頼できる連結をもたらすため、それがフォーク11によって連結要素49に180°を超える角度範囲にわたって係合され得るように設計および配置される。
【0085】
図6cおよび
図6dは、圧力検出装置10の本発明の連結要素49の例示的な実施形態を断面図に示す。カセット1の外板41が二成分射出成形されたパーツとして軟質プラスチック44aと共に硬質プラスチックから作成された、3次元図が
図6cの左に示される。軟質プラスチック44aは、機能要素、特に、ここに示される圧力検出装置10およびカセットの内側の液体流路47のシール93を形成する。バルブ51は、背景に見てとれ、部分的に軟質プラスチック44aから同様に形成される。これらの液体流路98は、外板41および同様に硬質プラスチック製であるコア部43によって形成される。示された断面図では、液体流路98の一つの領域は、圧力検出装置10の圧力チャンバ47を形成する。この圧力チャンバ47は、液体流路98の一つに接続されるまたは、ここでは、例えば、圧力チャンバ47の後方領域の入口によって示される液体流路98の一つによって横断される。例として示された圧力チャンバ47は、軟質プラスチック44aがシール93を形成することから、液体流路98への接続部を除く軟質プラスチック44aの周囲を外板41の軟質プラスチック44aによってシールされるコア部43の硬質プラスチック製のベースを有する。
【0086】
軟質プラスチック44aは、柔軟膜48として少なくとも部分的に形成される、圧力計測チャンバ47の上部カバーを同様に形成する。連結要素49は、膜48から外方向に(圧力チャンバ47に対して)突き出る。この例では、連結要素49は、軟質プラスチック44aから同様に形成されるが、その堅固な設計に起因して、軽度の弾力性、特に、膜48よりもずっと低い弾力性しか有しない。膜48は、連結要素49を周状に囲む。連結要素49は、このように、好ましくは、膜48に少なくともおおよそ中央に配置され、連結要素49は、柔軟膜48によって囲まれ、それによって一体にではあるが、柔軟にカセット外板41に接続される。圧力計測中、圧力チャンバ47内で優勢な圧力は、圧力チャンバ47の外壁に、したがって、圧力チャンバ47のカバーの内部面上にも直ちに作用する。表面積掛ける圧力は、公知のとおり、大気圧に対しての圧力の兆候に依存して内方向にまたは外方向に作用する力作用92を付与する。膜48が柔軟であるため、この力作用92は、連結要素49に作用する。連結要素49に連結される装置側力センサ14によって、正および負の方向への液体圧力の値は、このように、この力作用92を介して検出され得る。圧力チャンバの壁は、ここでは、硬質領域41の上の軟質プラスチック44aの層ありの製造プロセスの結果として形成され、圧力チャンバの外周にあるシール93および膜48が一体に形成されるが、これは、しかし、絶対に必要なわけではない。
【0087】
連結要素49は、ここでは、カセット1が装置99に挿入される際、力作用92が圧力チャンバ47から力センサ14に正および負の方向に伝達され得るように、力センサ14の装置側アームが連結要素49を自動的に係合するように形成される。係合は、ここでは、カセット1が挿入される際、連結要素49と力センサ14の連結のための手動操作が必要ないように、自動的に実現される。示された例では、カセット1は、この目的のために装置99に提供されたスロットに挿入され、その際、力センサの連結要素49およびフォーク11は、自動的に連結される。全体的に手動で実施される挿入の他に、カセット1は、ここでは、例えば、電動式で引き込まれるカセット1が装置99のスロットに挿入されることによって、少なくとも部分的に自動化された方法でも挿入され得る。挿入時、カセット1は、カセット1の機能要素の位置が装置99の対応するセンサおよび/またはアクチュエータのそれと、それらの機能を実施するために合致するように、装置99の所期の動作位置に位置付けられる。この位置付けは、例えば、ガイドレール、機械的止め具、位置センサおよび/またはこの目的のために好適な他の配置を使用して、実現され得る。
【0088】
力センサ14への連結のために、連結要素49は、ここでは、少なくとも一つの、少なくとも一部分は外周にある連結要素49のリセスとして形成されるリセス46を伴って形成される。リセス46は、カセット1が装置99に挿入される際、力センサ11のフォーク状アーム11を係合するように設計される。この係合は、連結要素49の少なくとも2つの対向側に提供される。リセス46は、このように、例えば、フォーク状アーム11の2つの叉が係合する2つの対向横方向スロットの形態で設計され得る。あるいは、単一のリセス46は、フォーク11の叉のみならず、叉の間の後方接続部も連結要素49のリセス46に係合することができるように、少なくとも一部分は周状に、換言すれば、特に、180°を超えて連結要素49にわたって形成され得る。
【0089】
右には、上記に記載した詳細のいくつかがよりよく見てとれる、先の記載と類似した、例示的な設計詳細の図面の断面図が
図6dに示される。
【0090】
図6eおよび
図6fは、本発明のカセット側圧力検出装置10の例示的な実施形態、特に、圧力検出装置10の連結要素49のさらなる図を示す。3D図がここでもまた左
図6eに示され、その設計詳細が右
図6fに示される。この例における本発明の連結要素49は、連結要素49の3つの側にわたって広がるリセス46を有する。安定性を改善するために、リセス46を伴わない連結要素49の第4の側は、フォーク11がこの側では係合することができないため、この実施形態では提供されるが、あるいは、しかし、リセス46は、特に、連結要素49の剛性が依然としてこの適用に十分である場合、全部が外周にあることもできる。
【0091】
示された実施形態では、リセス46は、力センサ14のアーム11のためのインターセプション範囲を、それが挿入され、このように、連結を促す際、増加させる
面取り部45を有する。追加的にまたはあるいは、力センサ14のフォーク状アーム11の叉は、それゆえに、例えば、
図5にならびに
図6aおよび
図6bに見てとれるように、それらの端において面取り部または斜角を有することができる。連結プロセス中のインターセプション範囲は、このように、さらに増加し、連結は、カセット1が挿入される際、より信頼できるようになることができる。
【0092】
図7aは、力センサ11の装置側アーム、2つの蠕動ポンプ36および52、正圧センサ37cならびにバルブ39および51ならびに複数の圧入コネクタ25とともに、本発明のカセット側圧力検出装置10が例として示される、本発明のカセット1の例示的な実施形態を示す。
【0093】
蠕動ポンプ36または52の領域の液体流路98は、それを介してカセット1の外側に向かって膨らまされた外板44の軟質プラスチック領域44bが液体流路98の一部の領域を形成する、硬質プラスチックコア部43によってカセット1内に形成される。ポンプの押込領域94とも呼ばれるこの一部の領域は、装置側ローラー73を係合することによって蠕動ポンプの要領で押し込まれることができ、それにより、ローラー73が移動するにつれ、液体流路内に位置する液体または空気は、搬送され得る。ポンプ装置に関しての
図8a~
図8dも参照されたい。
【0094】
本発明に従って設計され、その機能に関して、大気圧に対しての正圧のみを測定するように構成されなければならない正圧センサ37および/または37cは、ここに示される実施形態、例えば、カセット1の外板41にアクセス可能な、カセット1の液体流路の圧力チャンバの膜表面37cを伴って構成されてもよく、それに対して、カセット1が挿入され締め付けられるとき、膜表面37c、装置99の力センサ85の感度表面がフラットに位置する。カセット1内の液体の圧力によって膜に及ぼされる力は、柔軟膜37cによって、力センサ85の感度表面および装置99に伝達される。感度表面を能動的に押圧し、力センサ85によって検出されるこの力の値は、液体流路内の圧力に比例する。記載された力センサ85は、圧力センサとして具体化され得る。
図10は、例示的な本発明の実施形態を図示する。
【0095】
図7bは、本発明の装置99に挿入される本発明のカセット1の例示的な実施形態のカセット1を通る断面図を示す。特に、例示的な液体流路98と、それによってカセット1が結合される圧入25またはスナップコネクタ25とがカセット1の断面図に見てとれる。本発明の力センサ11bは、後方領域に示され、ここでは示されていないより長いカセット変形形態のために装置99内に意図される。
【0096】
カセット側コーディング70aおよび関連する装置側コード評価71aの実施形態も、この例では、例えば、カセットの異なる実施形態を識別することができるように、カセット1の形に従って駆動されるスイッチ要素の形態で示される。さらに、装置99へのカセット1の自動引き込みの例示的な実施形態も示され、カセット側歯部およびカセット1が挿入される際この歯部に係合する装置側歯車を持つこの例では、それによってカセットが自動的にその端位置に引き込まれ得るまたは使用に続いて取り出され得る。
【0097】
図7cは、カセット
スロットの一部のみが示される、装置99への挿入前の本発明のカセット1の例示的な実施形態を示す。示されているのは、特に、カセットが挿入されるとき、カセットの後方側(見えていない)に位置するカセット1の圧力センサ10と連携する装置内の力センサ11および11bである。カセット1の外スリーブの外に突き出る連結要素49を受けることができるように、カセット
スロットに溝が各力センサ11、11aに向かって挿入方向に形成される。挿入は、カセット1をカセット
スロットに挿入方向91に挿入することによって達成される。
【0098】
図7dは、本発明に従ってカセット側圧力センサ10が装置側力センサ11に連結され、カセットに対して他の装置側センサおよびアクチュエータが意図されたとおりにこれらがカセット1内のそれらのそれぞれの相手方と連携することができる位置にある、その端位置においてカセット
スロットに挿入されたカセット1を示す。
【0099】
図8aは、蠕動ポンプの形態の本発明のカセット側ポンプ装置36、52が示される、本発明のカセット1の例示的な実施形態を示す。
図8bは、同じものをここでもまたカセット1を通る断面図に示す。
【0100】
示されているのは、そこから分離した、例えば、一つは注入のため、一つは吸引のための、第1のポンプ装置36および第2のポンプ装置52である。これらは、外方向に膨らまされた押込流路94を形成する外板42の軟質領域44bで形成される。ローラー73(換言すれば、示されたローラー73cおよび/または73d)の係合によって、これらの押込流路94a、94b、94c、94dは、コア部43に対して密封するように局所的に押圧される。ローラー73を移動させることによって、押込流路94内の容量は、このように、搬送され得る。
【0101】
先に述べたリップル作用を削減するためにここに示される本発明のさらなる一部の形態は、少なくとも2つの隣り合った押込領域94cおよび94dを持つ、2つの部分のある実施形態にある。これらは、押込移送作用の結果として発生している隣り合った押込流路94cおよび94dのリップルが可能であれば互いに完全に相殺し、したがって、合計リップルが削減されるように設計される。これは、例えば、それによって2つの押込流路84cおよび94dからのリップルの位相変移がもたらされる、互いに対してオフセットしているローラー73cおよび73dを押し込むことによってもたらされ得る。ここでは、押込流路94cおよび94dの2つの入口および2つの出口は、各々の場合において、互いに接続される。特に、リップルの位相変移がおおよそ180の場合、2つの流路は、有利である削減をもたらすことができる。異なる数の押込流路94により、位相変移は、それゆえに、異なって選択されなければならない。あるいはまたは追加的に、2つの押込領域94の入口および/または出口の位置および/または形も、前記位相オフセットおよび/またはさらなるリップル削減をもたらすために、異なって形成され得る。個々の押込領域に対してのリップル削減は、このように、対応する設計により得られ得る。
【0102】
2つの相互接続した押込流路94cおよび94dのここに示される少なくともほぼ同心の配置の場合、ここでは、異なる弧半径により異なる弧の長さも発生することが追加的に考慮され得る。リップル補償については、内弧94dに対しての外弧94cの液体流路断面寸法、断面形状および/または断面コースは、したがって、ローラー73の移動単位当たりに搬送される容量が常に少なくともほぼ同じままであるか、または容量が可能であれば常に互いに相殺し、一緒に合計送達容量の可能な限り最小のリップルを付与するように、本発明に従って互いに異なって形成され得る。例えば、これは、このように、ローラー73を支持するローラーヘッドの回転全体にわたって、外および内部押込パス94cおよび94dは、各々少なくともほぼ同じ容量を搬送するように達成される。係合するローラー73cおよび73dの異なる直径によって引き起こされる異なる押込半径も、これらの考察の中で考慮され得る。
【0103】
図8cは、係合された例示的なローラーヘッド72を持つカセット1を示す。簡潔に示すため、ローラー73bが取り付けられる下部回転式ローラーヘッド72bのみが図に示され、上部ポンプ装置の場合、ローラー73aのみが示され、関連するローラーヘッド72aは示されない。ここに示される例では、ポンプの第1のローラーヘッド72aおよび第2のローラーヘッド72bは、カセット1の同じ側で係合するが、もう一つの実施形態では、第1および第2のローラーヘッド72aおよび72bも、カセット1の対向側で係合することができる。特に、だが、必ずしもではなく、ローラーヘッドの回転軸は、ここでは、対向して配置されることができ、カセット1にわたる力分布に関しての効果をもたらすことができる、少なくともほぼ共通の回転軸を形成することができる。
【0104】
ここに示される本発明の実施形態の例では、2つのポンプ36および52は、各々、カセット1上に少なくともほぼ半円を描写する。例として示されるカセット1の場合、このように、特に、簡単な取り扱いおよび生産可能性と共に、空間条件の有利な利用に結果的につながる。同様に実現可能な2つのポンプ36および52の同心の配置も可能であろうが、構築の観点からは幾分より複雑であろう。あるいは、ポンプ36および/または52のビーズ状押込領域94は、もう一つの、特に、より短い弧の長さを持つもう一つの実施形態では形成され得るが、しかし、対応する配置ならびにローラー73aおよび73bの数は、十分なポンプ挙動を確保することができ、少なくとも1つのローラー73aが常に各押込領域94に係合するように、常に選択されなければならない。
【0105】
有利な転がり挙動を得るために、ローラー73aおよび73bは、好ましくは、示された例に図示されたように本発明に従った円筒形ではなく、むしろ、円すい台として構成される。形および配置は、ここでは、好ましくは、ローラー73aおよび73bの外縁がローラーによって描写される円形経路に対応する外縁に比例する各点、ローラーヘッド72bの回転中心75a、75bの周囲のこの点にあるように提供される。
【0106】
特に、本発明に従って、ここで形成される押込領域94の断面積は、その長さにわたって変動することができる。本発明の実施形態のこの例に示されるように、例えば、ポンプ36、52の出口に向かっての断面の漸減および/またはポンプ36、52の入口における押込領域94の押し込まれなかった断面の拡大もしくは削減が提供され得る。ここでは、特に、この押込断面変化の最適化により、圧力および/または送達容量変動(リップルと呼ばれる)の最小化が得られ得る。押込領域94に沿った有利な断面コースは、例えば、シミュレーションおよび/または一連のテストによっても得られ得る。
【0107】
図8dに図示されるように、これは、例えば、本発明に従って、ローラー軸74を押込流路94にわたってそれらの転がり平面に対して傾斜させて配置すること、好ましくは、この転がり平面を、ローラー73を支持するローラーヘッド72の回転中心75で交差させることによって取得され得る。円すい台状ローラー73は、このように、押込流路94を形成する外板42の軟質プラスチック領域44b上を最適に転がり、これらをコア部43に対して押し込む。あるいは、しかし、他の形状寸法も使用され得る。
【0108】
図9aおよび
図9bは、本発明のカセット1内の本発明のバルブ35、39、51、51bおよび/または57の例示的な実施形態を示す。ここでは、バルブ35、39、51、51bおよび/または57を形成し、軟質プラスチック44aで具体化されるカセット1の機能領域は、装置側99のタペット80aまたは80bによって係合される。本発明のバルブにより、カセット1の液体流路の一部の領域は、その断面において影響される。特に、軟質プラスチック44aの一部の領域がタペット80bによってコア部43に対して押圧され、したがって、この点における液体流路の断面が閉じられることから、断面領域は、左の
図9aに81aによって示されるように、タペット80aが持ち上げられるときに解放されるか、または、右の
図9bに81bによって示されるように、タペット80bが適用されるときに閉じられる。移動するタペット80aまたは80bは、この場合、装置99の一部である。バルブ35、39、51、51bおよび/または57は、カセット1の外板41上に位置し、それにより液体流路98bが閉じられ得る領域は、二成分射出成形された外板41の軟質プラスチック44から形成されてもよく、この領域は、特に、閉鎖中にコア部43と連携することができる。
【0109】
図10は、本発明のカセット1内の本発明の正圧センサ37および/または37cの例示的な実施形態を示す。示された実施形態では、二成分射出成形された外板41の軟質プラスチック44aの領域は、その内部側がカセット1の液体流路98bに流体静力学的に接続され、好ましくは、それによって横断される膜表面87を形成する。一旦カセット1が装置99に挿入されると、装置側力センサ85または圧力センサ85は、その感度表面86によって外側から膜表面87に対しての隣接がもたらされる。液体流路98b内の圧力は、液体流路98b内の圧力によって膜表面87にこれを介して感度表面86に及ぼされる、このように測定可能な力作用に基づいて検出され得る。
【0110】
図11は、本発明のカセット1内の本発明の気泡センサ34の例示的な実施形態を示す。これは、光源95(例えば、LED)が光を液体流路に放出し、光センサ96(例えば、フォトダイオード)が受けた光を評価することから、光学的に働く。示された例では、導光プラスチックパーツ97は、ここでは、装置側99で使用され、カセット側気泡センサ34と連携する。好ましい実施形態では、カセット側1の気泡センサ34は、液体流路98の領域に向いている窓、例えば、磨き仕上げ窓を形成する、外板41の光学的に透明な硬質プラスチックで形成され得る。あるいは、多成分射出成形プロセスの場合、透明な挿入パーツまたは追加的な透明な構成要素も適用され得る。