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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】シート折り容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20220809BHJP
   B65D 5/468 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B65D5/24
B65D5/468
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021104835
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2022-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509015888
【氏名又は名称】奥村印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 秀生
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-026220(JP,U)
【文献】実開昭57-156411(JP,U)
【文献】実開昭56-141122(JP,U)
【文献】実開平1-153130(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/24
B65D 5/468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを折り曲げて形成されるシート折り容器であって、
前記シートの略中央部分に設けられる底部と、該底部と隣接して設けられる側壁部と、該底部の周縁部の点から前記シートの外周に向かって設けられる第1折線及び第2折線と、前記第1折線において前記シートが折り返されて形成されるダーツ部と、前記側壁部の前記底部と対向する端部に設けられ、折り返し可能なフラップ部と、前記フラップ部に設けられる挿入片とを備え、前記ダーツ部を前記第2折線で折り返して前記側壁部に重ね、前記フラップ部を折り返して、前記ダーツ部を前記側壁部と該フラップ部で挟み、前記フラップ部に設けた前記挿入片が折り返されて、前記ダーツ部に差し込まれ
互いに対向する2つ一組の前記側壁部はいずれも平面視において、径方向外側へ凸に湾曲していることを特徴とするシート折り容器。
【請求項2】
前記ダーツ部は前記側壁部の外面に重ねられ、前記フラップ部は外面側へ折り返されることを特徴とする請求項1に記載のシート折り容器。
【請求項3】
前記側壁部の両側に位置する前記ダーツ部を該側壁部に重ね、前記側壁部の端部に設けたフラップ部の先端において、両側に位置する前記ダーツ部の間に前記挿入片を設け、該挿入片が折り返されて、両側の前記ダーツ部に差し込まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート折り容器。
【請求項4】
シートを折り曲げて形成されるシート折り容器であって、
前記シートの略中央部分に設けられる底部と、該底部と隣接して設けられる側壁部と、該底部の周縁部の点から前記シートの外周に向かって設けられる第1折線及び第2折線と、前記第1折線において前記シートが折り返されて形成されるダーツ部と、前記側壁部の前記底部と対向する端部に設けられ、折り返し可能なフラップ部と、前記フラップ部に設けられる挿入片とを備え、前記ダーツ部を前記第2折線で折り返して前記側壁部に重ね、前記フラップ部を折り返して、前記ダーツ部を前記側壁部と該フラップ部で挟み、前記フラップ部に設けた前記挿入片が折り返されて、前記ダーツ部に差し込まれており、
前記側壁部の両側に位置する前記ダーツ部を該側壁部に重ねると共に、該ダーツ部の上部を下方へ折り返して係止部を形成し、前記側壁部の上端に設けたフラップ部の両側部に前記挿入片を設け、該挿入片が折り返されて、両側の前記係止部にそれぞれ差し込まれていることを特徴とするシート折り容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙或いは合成樹脂より成る一枚のシートを折り曲げて作成されるシート折り容器に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプ場や避難所で用いられる食器等の容器は、非使用時には平板状で嵩張らず、使用時に容易に立体化できることが、携帯、備蓄の利便性の上から望ましい。
そこで、従来、1枚のシートを折り曲げて立体的に形成した容器として、例えば、難燃性合成紙を1枚の八角形紙片に形成し、紙面中央に相似の八角形を区画形成し、その各辺を延長した点から、外周の八角形の対応する頂点に至る折線並びにこの頂点に連なる辺に直交する折線を設け、これら折線で囲まれる部分を隣接する2辺の間に折り込み、かつ2辺に重ねて接着した煮沸調理用紙容器が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平1-153130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような紙容器は、非使用時には嵩張らない平らなシート状としておき、使用する際に折り曲げて立体的な鍋状にすることができるが、立体的な形状を維持するために、折り込んだ部分を接着しなければならず、組み立て作業が面倒であり、使用後にシート状に戻すことができなかった。
本発明が解決しようとする課題は、非使用時にはシート状であって嵩張らず、使用する際には簡単に組み立てることができ、しかも、強度が高くて変形しにくく、使用後には必要に応じて嵩張らないシート状に戻すことができるシート折り容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シートを折り曲げて形成されるシート折り容器に関し、前記シートの略中央部分に設けられる底部と、該底部と隣接して設けられる側壁部と、該底部の周縁部の点から前記シートの外周に向かって設けられる第1折線及び第2折線と、前記第1折線において前記シートが折り返されて形成されるダーツ部と、前記側壁部の前記底部と対向する端部に設けられ、折り返し可能なフラップ部と、前記フラップ部に設けられる挿入片とを備え、前記ダーツ部を前記第2折線で折り返して前記側壁部に重ね、前記フラップ部を折り返して、前記ダーツ部を前記側壁部と該フラップ部で挟み、前記フラップ部に設けた前記挿入片が折り返されて、前記ダーツ部に差し込まれている。
【0006】
望ましくは、前記ダーツ部は前記側壁部の外面に重ねられ、前記フラップ部は外面側へ折り返される。
【0007】
前記側壁部の両側に位置する前記ダーツ部を該側壁部に重ね、前記側壁部の端部に設けたフラップ部の先端において、両側に位置する前記ダーツ部の間に前記挿入片を設け、該挿入片が折り返されて、両側の前記ダーツ部に差し込むことがある。
【0008】
或いは、前記側壁部の両側に位置する前記ダーツ部を該側壁部に重ねると共に、前記ダーツ部の上部を下方へ折り返して係止部を形成し、前記側壁部の上端に設けたフラップ部の両側部に前記挿入片を設け、該挿入片を折り返して、前記ダーツ部の係止部にそれぞれ差し込むこともある。
【0009】
前記側壁部の少なくとも一部が、平面視において、外面側へ凸に屈曲或いは湾曲していることが望ましい。
【0010】
この場合、互いに対向する2つ一組の前記側壁部を2組有し、少なくとも1組の前記側壁部が、平面視において、径方向外側へ凸に屈曲或いは湾曲していることがある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非使用時にはシート状なので、屋外に携行したり、避難所等で備蓄する場合に嵩張らず、破損する恐れもなく、使用する際には、シートを折り曲げるだけで簡単に立体的な容器に成形でき、しかも、使用後には必要に応じて元のシート状に戻すことができるため、持ち帰る際にも邪魔にならない。
また、側壁部から折り返したフラップ部でダーツ部を押さえ、フラップ部と、フラップ部から折り返した挿入片とでダーツ部を挟んで係止しているので、強度が高まり、使用時にダーツ部が開いて分解するのを防ぐことができる。
【0012】
さらに、側壁部の少なくとも一部を径方向外側へ凸に屈曲或いは湾曲させると、強度が増して使用中に変形しにくい。また、側壁部が外側に広がろうとする力によって、ダーツ部に挿入された挿入片が外れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態を示すシート折り容器の斜視図である。
図2A】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図である。
図2B】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図である。
図2C】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図及び斜視図である。
図2D】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図2E】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図2F】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図2G】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図2H】本発明の第1の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図3】本発明の第2の実施形態を示すシート折り容器の斜視図である。
図4A】本発明の第2の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図である。
図4B】本発明の第2の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図である。
図4C】本発明の第2の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図4D】本発明の第2の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図5】本発明の第3の実施形態を示すシート折り容器の斜視図である。
図6A】本発明の第3の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図である。
図6B】本発明の第3の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す平面図である。
図6C】本発明の第3の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図6D】本発明の第3の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
図6E】本発明の第3の実施形態に係るシート折り容器の作成手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0015】
[第1の実施形態]
図1及び図2A図2Hは、本発明の第1の実施形態を示す。
図1に示すように、第1の実施形態では、シート折り容器は、コップAであり、1枚のシート1を折り曲げて形成される。
コップAは、略四角形の底部10の周縁から、対向する2つ1組の側壁部11及び側壁部11と直交する方向の2つ1組の側壁部11’を2組立ち上げ、側壁部11の外面にそれぞれ取っ手2を取り付けて構成される。
【0016】
コップAを作成するにあたっては、まず、図2Aに示すように、矩形の台紙Bから、1枚のシート1及び2枚の取っ手用シート2aを切り抜く。
台紙Bは、表面に撥水処理を施した厚手の紙、合成樹脂シート等である。
また、シート1及び取っ手用シート2aは、ミシン目等の破断しやすい線によって周囲を区画してある。
【0017】
シート1は、図2Bに示すように、略中央部分に底部10が区画設定される。本実施形態において、底部10と側壁部11,11’との間は折り目をつけて曲げられておらず湾曲しているので、底部10の周縁には明瞭な折線は形成されていない。
【0018】
底部10の周縁において、底部10の角部で、周方向にほぼ等間隔で設定した4つの点aから、それぞれシート1の外周に向かって第1折線b及び第2折線cが放射状に設けられる。
4本の第1折線bは、底部10の点aからシート1の外周面に向かって、シート1の略中心部からシート1の外周面に向かう放射状に形成され、シート1上において、互いに直交する方向に沿って形成される。また、第2折線cは、完成時に側壁部11の左右における境界部を形成するように設けられ、隣接する1組の点aから延びる2本の第2折線c、及び、他の1組の点aから延びる2本の第2折線cは、両側の第1折線bで挟まれた状態で、互いに対向するよう形成される。
【0019】
互いに対向する2本の第2折線cの間は側壁部11となり、この側壁部11の径方向外端(コップAの上端)にフラップ折り返し線dを介してフラップ部12が連設され、フラップ部12の先端中央部に挿入片13が挿入片折り返し線eを介して連設される。
フラップ部12は、先端側が幅狭い台形であり、挿入片13は、先端側が幅広い台形に形成される。また、フラップ部12には、挿入片13の側縁を延長した線に沿って補強用折り曲げ線gが形成されている。
【0020】
各点aからシート1の外周に向かい、第1折線bに対して第2折線cと線対称となる位置仮想線fを設定すると、互いに対向する仮想線dの間が側壁部11’となる。
この側壁部11’は、第2折線cの間に形成される側壁部11と略同形であり、その径方向外端(コップAの上端)にフラップ折り返し線dを介してフラップ部12が連設される。フラップ部12には、補強用折り曲げ線gが形成されている。
なお、対向する2本の第2折線c及び仮想線dは、それぞれ側壁部11及び側壁部11’を形成する1組が、シート1において、底部10に近い側から、シート1の外周に向かって間隔が広がるように形成されているので、側壁部11,側壁部11’は上方が幅広くなっている。
【0021】
図2Cに示すように、シート1を、第1折線bにおいて山折り状に折り返し、第1折線bと第2折線cで挟まれた部分と、第1折線bと仮想線fで挟まれた部分とを二重に重ね、シート1の外周側が幅広い三角形のダーツ部14を形成することにより、底部10の周縁から側壁部11,11’が立ち上がる。その際に、仮想線fに沿った箇所は、湾曲するものの、仮想線箇所において明確な折り目はつけられていない状態となる。
側壁部11,11’は、上方に向かって幅広い形状なので、側壁部11,11’の上端で囲まれる開口部は、底部10の面積よりも大である。
【0022】
また、第2折線cにおいて谷折り状に折り返すことにより、ダーツ部14は、先端に挿入片13を有する側壁部11の外面両側に重なる。
なお、図2Dの左側の図に示すように、第1折線bと仮想線fとの間の部分、及び、第1折線bと第2折線cとの間の部分の上端は、重ねた時に側壁部11の上端であるフラップ折り返し線dと一致するように直線状に形成されている。
【0023】
次いで、図2Dに示すように、フラップ部12をフラップ折り返し線dから外面側下方へ折り返し、フラップ部12と側壁部11とでダーツ部14を挟む。
この時、フラップ部の先端中央部に設けられた挿入片13は、両側のダーツ部14の間に位置している。
さらに、挿入片13を挿入片折り返し線eから折り返して、両側のダーツ部14に下方から差し込む。図2Eはその差し込まれた状態を示した図である。その際、側壁部11を少し内側に押しながら行うと、挿入片13をダーツ部14に差し込みやすくなる。
フラップ部12と挿入片13とでダーツ部14を挟んで係止する。挿入片13は台形状なので、両側部が側壁部11とダーツ部14の間に深く差し込まれて抜けにくくなり、これによりダーツ部14が開くことを防止できる。
【0024】
次に、図2Fに示すように、側壁部11の上端部中央を径方向外側へ折り曲げ、側壁部11を平面視で外面側に凸に屈曲させる。その後、図2Gに示すように、ダーツ部14が重なっていない側壁部11’の上端に設けられたフラップ部12を、フラップ折り返し線dから折り返す。さらに、この側壁部11を外面側に凸に屈曲させる。このように外面側に凸に屈曲させることにより、側壁部が外側に広がろうとする力によって、ダーツ部に挿入された挿入片が外れにくくなる。なお、フラップ部12は、図2F図2Gに示されるように補強用折り曲げ線gが形成されており、側壁部11及び11’を外面側に凸に屈曲させる際に容易に且つ型崩れすることなく屈曲させることができる。
【0025】
図2Hに示すように、取っ手用シート2aは、側壁部11の外面に重合される台形状の重合片20を有する。重合片20の短辺には屈曲線hを介して帯状の持ち手部21が一体に延出され、持ち手部21の先端にこれよりやや幅の狭い差し込み片22が、屈曲線hと平行な先端部屈曲線iを介して連設される。また、先端部屈曲線iよりやや重合片20寄りには、中間部屈曲線jが屈曲線hと平行に形成されている。
重合片20には、屈曲線hの両端から重合片20の長辺中央に向かって傾斜折線kが形成されている。
【0026】
取っ手用シート2aの持ち手部21を、屈曲線hから重合片20の外面側へ折り曲げ、さらに、中間部屈曲線jを介して先端側を重合片20に向けて屈曲し、さらに、差し込み片22を先端部屈曲線iから重合片20と平行に折り上げ、全体として略環状の取っ手2を形成する。また、重合片20の長辺寄りの両側部は傾斜折線kに沿って内面側へ折り曲げてある。
【0027】
取っ手2は、重合片20を、側壁部11と両側のダーツ部14及び挿入片13との間に、長辺を上にして下方から差し込み、差し込み片22を重合片20と挿入片13との間に下方から差し込むことにより、側壁部11の外面に取り付けられる。
重合片20は、傾斜折線kに沿って折り曲げられて弾力を有しているので、側壁部11とダーツ部14との間から抜け出しにくく、差し込み片22がダーツ部14から抜けることも防ぐ。
これにより、図1に示すようなコップAが作成される。
【0028】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を、図3及び図4A図4Dに基づいて説明する。第1の実施形態と同様の構造については、詳細な説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、第2の実施形態では、シート折り容器が皿Cである。
皿Cは、1枚のシート101を折り曲げて形成され、略長方形状の底部110を有し、底部110の短辺から対向する2つの側壁部111を立ち上げ、長辺から対向する2つの側壁部111’を立ち上げてある。
側壁部111,111’は、第1の実施形態における側壁部11,11’よりも低く、側壁部111’は、平面視で、外面側に凸に湾曲している。
【0030】
図4Aに示すように、1枚のシート101と、スプーン3及びフォーク4を台紙Bから切り抜く。
図4Bに示すように、シート101の中央部には、底部110が区画設定され、底部110の周縁の四隅に相当する位置に点a1が設定される。
各点a1からは、第1折線b1及び第2折線c1がシート101の外周に向かって延び、第1折線b1に対して第2折線c1と線対称となる位置に仮想線f1が設定される。
【0031】
第2折線c1の間に設けられる側壁部111の径方向外端にフラップ折り返し線d1を介してフラップ部112が連設され、フラップ部112の外端に挿入片113が挿入片折り返し線e1を介して連設される。
仮想線f1の間に設けられる側壁部111’の外周縁は、径方向外側へ凸に湾曲している。
【0032】
図4Cに示すように、シート101を、第1折線b1で山折りし、第1折線b1と第2折線c1の間の部分と、第1折線b1と仮想線f1の間の部分を重ねてダーツ部114を形成することにより、側壁部111,111’を底部110の周縁から立ち上げる。
ダーツ部114は、上方が幅広い三角形であって、第2折線c1で谷折りすることにより側壁部111の外面両側に重なり、側壁部111’は平面視で外面側に凸に湾曲する。
次に、フラップ部112をフラップ折り返し線d1から外面側下方へ折り返して、フラップ部112と側壁部111とでダーツ部114を挟む。
【0033】
その後、図4Dに示すように、挿入片113を挿入片折り返し線e1から折り返して、両側のダーツ部114に下方から差し込み、フラップ部112と挿入片113とでダーツ部114を挟んで係止する。これにより挿入片113がダーツ部114に差し込まれて抜けにくくなり、図3に示すような皿Cが完成する。
【0034】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態について、図5及び図6A図6Eと共に説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態と共通する部分については、詳細な説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、本実施形態において、シート折り容器は丼Dである。
丼Dは、四角形の底部210の4辺から対向する2つ1組の側壁部211及び側壁部211’を2組立ち上げて成り、シート201を折り曲げて形成される。
側壁部211,211’の立ち上がり寸法は、第2の実施形態における側壁部111,111’よりも高く、1組の側壁部211は、他の1組の側壁部211’よりも幅が狭い。
また、幅広い側壁部211’は、平面視で外面側に凸に湾曲しており、その上端に沿ってフランジ215が張り出している。
【0036】
図6Aに示すように、シート201を台紙Bから切り抜く。
シート201は、図6Bに示すように、中央部に底部210が区画設定され、底部210の周縁の四隅に設定された点a2から、それぞれ第1折線b2及び第2折線c2がシート1の外周に向かって形成される。
第2折線c2の間に形成される側壁部211の先端には、先端側が幅広い台形のフラップ部212がフラップ折り返し線d2を介して連設される。また、フラップ部212の両側部には、フラップ部212の側縁からフラップ部212の先端に向かって、互いに接近していくよう傾斜した挿入片折り返し線e2を介して挿入片213が連設される。
【0037】
また、第1折線b2に対して第2折線c2と線対称となる位置に仮想線f2が設定される。対向する2本の仮想線f2によって、その間の部分で側壁部211’が形成され、第2折線c2と仮想線f2とで挟まれた部分がダーツ部214となる。
ダーツ部214の先端部は、第1折線b2の先端を頂点とする三角形の係止部216となっており、この係止部216が係止部折り返し線l2を介して挿入片213と側壁部211’との間に突出している。
側壁部211’の先端には、湾曲したフランジ曲げ線m2を介してフランジ215が連設される。フランジ215を設けることによって、側壁部211’が曲がったりすることが防止でき、さらに安定した形状を保つことが可能となる。また、中に高温の液体等を入れた場合でも、フランジ215の部分を持つことによって熱さを感じることなく安定して保持することが可能である。さらに、側壁部211’には、フランジ曲げ線m2と同心状の補強リブ217が形成されている。
【0038】
シート201を折るには、まず、図6B図6Cに示すように、係止部216を係止部折り返し線l2に沿って外面側へ折り返す。
次に、図6C図6Dに示すように、第1折線b2に沿って山折りし、第1折線b2の両側を係止部216とともに重ねてダーツ部214を形成することにより、側壁部211,211’を底部210の周縁から立ち上げる。係止部216はダーツ部214の外面を取り巻くように下方へ折り返される。
その後、フラップ部212をフラップ折り返し線d2に沿って外面側へ折り返し、側壁部211とフラップ部212とでダーツ部214及び係止部216を挟む。
【0039】
次いで、図6Eに示すように、フラップ部212の両側に形成された挿入片213を、挿入片折り返し線e2から内面側へ折り返して、筒状に折り返された係止部216に差し込み、フラップ部212と挿入片213とにより、両側の係止部216を挟んで係止する。
さらに、フランジ215をフランジ曲げ線m2に沿って外面側へ折り曲げ、側壁部211’の上端からフランジ201を張り出し、図5に示すような丼Dを作成する。
【0040】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0041】
本実施形態では、底部の周縁から4面の側壁部を立ち上げているが、側壁部の数は、3面或いは湾曲した2面であってもよいし、4面より多くてもよい。
また、ダーツ部を側壁部の内面に重ね、側壁部の上端に設けたフラップ部を内面側に折り返すことも可能であるが、容器内面を平滑にするため、本実施形態のように、ダーツ部を側壁部の外面に重ね、フラップ部を外面側に折り返すことが望ましい。
【0042】
第1の実施形態では、コップに2つの取っ手が取り付けられているが、取っ手は無くても良いし、1つのみであっても良い。
また、別体の取っ手とせず、断面逆U字状に折り曲げた取っ手を、側壁部の上端から外向きに一体に延ばして形成することもできる。
【0043】
第3の実施形態では、湾曲する側壁部の上端からフランジが張り出しているが、側壁部の幅が狭い場合等には、フランジを設けなくてもよい。
また、側壁部に形成した補強リブは1本として説明しているが、複数本としたり、逆に省略することができる。さらに、補強リブは補強のための機能だけでなく、中に入れる液体等の容量を示す目盛りとして用いることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
A コップ
B 台紙
C 皿
D 丼
1,101,201 シート
10,110,210 底部
11,11’,111,111’,211,211’ 側壁部
12,112,212 フラップ部
13,113,213 挿入部
14,114,214 ダーツ部
215 フランジ
216 係止部
217 補強リブ
a,a1,a2 点
b,b1,b2 第1折線
c,c1,c2 第2折線
d,d1,d2 フラップ折り返し線
e,e1,e2 挿入片折り返し線
f,f1,f2 仮想線
g 補強用折り曲げ線
2 取っ手
2a 取っ手用シート
20 重合片
21 持ち手部
22 差し込み片
h 屈曲線
i 先端部屈曲線
j 中間部屈曲線
k 傾斜折線
l2 係止部折り返し線
m2 フランジ曲げ線
3 スプーン
4 フォーク
【要約】
【課題】非使用時にはシート状であって嵩張らず、使用する際には簡単に組み立てることができ、しかも、強度が高くて変形しにくく、使用後には必要に応じて嵩張らないシート状に戻すことができるシート折り容器を提供すること。
【解決手段】シート1の略中央部分に設けられる底部10と、該底部と隣接して設けられる側壁部11,11’と、該底部の周縁部の点aから前記シートの外周に向かって設けられる第1折線b及び第2折線cと、前記第1折線において前記シートが折り返されて形成されるダーツ部14と、前記側壁部の前記底部と対向する端部に設けられ、折り返し可能なフラップ部12と、前記フラップ部に設けられる挿入片13とを備え、前記ダーツ部を前記第2折線で折り返して前記側壁部に重ね、前記フラップ部を折り返して、前記ダーツ部を前記側壁部と該フラップ部で挟み、前記フラップ部に設けた前記挿入片が折り返されて、前記ダーツ部に差し込まれている。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E