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特許7120710浴室用床シートとその貼り付け方法および製造方法
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  • 特許-浴室用床シートとその貼り付け方法および製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】浴室用床シートとその貼り付け方法および製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20220809BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
E04F15/00 F
E04H1/12 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018214539
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2019094765
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2017222552
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】牧野 祐介
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-160856(JP,A)
【文献】特許第6216427(JP,B1)
【文献】特開2015-183414(JP,A)
【文献】特開2008-082063(JP,A)
【文献】特開2003-129617(JP,A)
【文献】特開2014-012804(JP,A)
【文献】特開2003-025287(JP,A)
【文献】米国特許第04644592(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00
E04H 1/12
E03C 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向に離間対向する第1、第2の辺と、上記X軸方向と直交するY軸方向に離間対向する第3、第4の辺とを有し、浴室の床構造本体に接着されるべき裏面に、粘着層と、この粘着層を覆う離型紙とが積層された床シートにおいて、
上記離型紙が分割され、この分割された離型紙に対応する複数の区域を有し、
上記複数の区域は、上記第1辺の近傍に配置されるとともに上記床構造本体の排水口に対応する開口が形成された特定区域と、上記特定区域に対して上記Y軸方向の両側に隣接するY軸方向隣接区域と、上記特定区域に対して上記X軸方向の一方側である上記第2辺側に隣接するX軸方向隣接区域とを含むことを特徴とする浴室用床シート。
【請求項2】
上記複数の区域はさらに、上記X軸方向隣接区域に隣接するとともに当該X軸方向隣接区域と上記第2辺との間に配置されたX軸方向追加区域を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室用床シート。
【請求項3】
上記複数の区域はさらに、両側の上記Y軸方向隣接区域に隣接するとともに当該Y軸方向隣接区域と上記第3辺、第4辺との間にそれぞれ配置されたY軸方向追加区域を有することを特徴とする請求項2に記載の浴室用床シート。
【請求項4】
上記Y軸方向追加区域はそれぞれ上記第3辺、第4辺に沿って延びており、上記X軸方向隣接区域および上記X軸方向追加区域にも隣接することを特徴とする請求項3に記載の浴室用床シート。
【請求項5】
上記複数の区域はさらに、上記特定区域に対して上記X軸方向の他方側に隣接する他のX軸方向隣接区域を含み、当該他のX軸方向隣接区域は、上記床構造本体の浴槽側立ち上がり部の側面に貼り付けられることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の浴室用床シート。
【請求項6】
X軸方向に離間対向する第1、第2の辺と、上記X軸方向と直交するY軸方向に離間対向する第3、第4の辺とを有し、浴室の床構造本体に接着されるべき裏面に、粘着層と、この粘着層を覆う離型紙とが積層された床シートにおいて、
上記離型紙が分割され、この分割された離型紙に対応する複数の区域を有し、
上記複数の区域は、上記第1辺の近傍に配置されるとともに上記床構造本体の排水口に対応する開口が形成された特定区域と、上記特定区域と上記第2辺との間に配置されたX軸方向分割区域と、上記特定区域と上記第3辺および上記第4辺との間にそれぞれ配置されたY軸方向分割区域とを含むことを特徴とする浴室用床シート。
【請求項7】
上記X軸方向分割区域が複数配置され、上記Y軸方向分割区域が、上記特定区域と上記第3辺との間および上記特定区域と上記第4辺との間に、それぞれ複数配置されていることを特徴とする請求項6に記載の浴室用床シート。
【請求項8】
請求項1に記載の浴室用床シートを、上記床構造本体の上面に貼り付ける方法において、
上記床構造本体の上記排水口が排水ユニットにより画成され、上記排水ユニットが主部材とこの主部材の上端に嵌め込まれた枠部材とを有しており、
上記浴室用床シートの特定区域において、予め上記開口の周縁領域には、上記排水口を画成する排水ユニットの上端部としての枠部材が取り付けられており、
上記枠部材を上記排水ユニットの主部材の上端に嵌め込むことにより、上記浴室用床シートを位置決めし、
次に、上記浴室用床シートの上記特定区域の離型紙を剥がして上記特定区域を上記床構造本体に貼り付け、
次に、上記Y軸方向隣接区域と上記X軸方向隣接区域の離型紙を剥がして、これらY軸方向隣接区域とX軸方向隣接区域を上記床構造本体に貼り付けることを特徴とする浴室用床シートの貼り付け方法。
【請求項9】
請求項6または7に記載の浴室用床シートを、上記床構造本体の上面に貼り付ける方法において、
上記床構造本体の上記排水口が排水ユニットにより画成され、上記排水ユニットが主部材とこの主部材の上端に嵌め込まれた枠部材とを有しており、
上記浴室用床シートの特定区域において、予め上記開口の周縁領域には、上記排水口を画成する排水ユニットの上端部としての枠部材が取り付けられており、
上記枠部材を上記排水ユニットの主部材の上端に嵌め込むことにより、上記浴室用床シートを位置決めし、
次に、上記浴室用床シートの上記特定区域の離型紙を剥がして上記特定区域を上記床構造本体に貼り付け、
次に、上記特定区域から上記第2~第4辺に向かって順に上記X軸方向分割区域と上記Y軸方向分割区域の離型紙を剥がして、これらX軸方向分割区域とY軸方向分割区域を上記床構造本体に貼り付けることを特徴とする浴室用床シートの貼り付け方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の浴室用床シートを製造する方法において、
上記浴室用床シートの輪郭に対応する主トムソン刃と、上記複数の区域の境界に対応して配置された主トムソン刃より低い副トムソン刃とを有する第1型と、上記第1型に対して相対的に接近、離間する方向に移動可能な第2型を用意する工程と、
裏面に上記粘着層と上記離型紙とが積層された素材シートを、裏面を第1型に向け、表面を第2型に向けてセットする工程と、
上記第1型と第2型を接近させて、上記主トムソン刃により、素材シートから上記浴室用床シートをくり抜くとともに、上記副トムソン刃により、上記離型紙を切断して上記複数の区域を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする浴室用床シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の床構造本体の上面に貼り付けられる床シートに関し、さらにこの床シートの貼り付け方法および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、床構造本体の上面に床シートを貼り付けることにより構成された浴室洗い場が開発されている。
床シートを効率良く貼り付けるために、予め裏面に粘着層とこの粘着層を覆う離型紙を積層した床シートを工場で製造し、浴室設置現場で離型紙を床シートから剥がして床構造本体に貼り付ける工法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-138436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、床シートを一度に床構造本体の全域に貼ると、床構造本体の上面と床シートとの間に空気が入り込んで床シートが部分的に浮いてしまい、床シートの剥がれを招くことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その一態様は、X軸方向に離間対向する第1、第2の辺と、上記X軸方向と直交するY軸方向に離間対向する第3、第4の辺とを有し、浴室の床構造本体に接着されるべき裏面に、粘着層と、この粘着層を覆う離型紙とが積層された床シートにおいて、上記離型紙が分割され、この分割された離型紙に対応する複数の区域を有し、上記複数の区域は、上記第1辺の近傍に配置されるとともに上記床構造本体の排水口に対応する開口が形成された特定区域と、上記特定区域に対して上記Y軸方向の両側に隣接するY軸方向隣接区域と、上記特定区域に対して上記X軸方向の一方側である上記第2辺側に隣接するX軸方向隣接区域とを含むことを特徴とする。
上記構成によれば、分割された区域毎に空気が入り込まないように貼り付けを行なえるので、床シートの剥がれを確実に防止することができる。また、排水口に対応する特定区域を中心に複数の区域が配されるので、排水口に対する床シートの位置決めを行った後に、特定区域から貼り付け領域が広がるように貼り付けることが可能となり、円滑かつ確実に貼り付け作業を行うことができる。
【0006】
好ましくは、上記複数の区域はさらに、上記X軸方向隣接区域に隣接するとともに当該X軸方向隣接区域と上記第2辺との間に配置されたX軸方向追加区域を有する。
好ましくは、上記複数の区域はさらに、両側の上記Y軸方向隣接区域に隣接するとともに当該Y軸方向隣接区域と上記第3辺、第4辺との間にそれぞれ配置されたY軸方向追加区域を有する。
さらに好ましくは、上記Y軸方向追加区域はそれぞれ上記第3辺、第4辺に沿って延びており、上記X軸方向隣接区域および上記X軸方向追加区域にも隣接する。
上記構成によれば、区域の数が増えるにしたがって、より一層確実に床シートを床構造本体に貼り付けることができる。
【0007】
好ましくは、上記複数の区域はさらに、上記特定区域に対して上記X軸方向の他方側に隣接する他のX軸方向隣接区域を含み、当該他のX軸方向隣接区域は、上記床構造本体の浴槽側立ち上がり部の側面に貼り付けられる。
上記構成によれば、床構造本体が立ち上がり部を有する場合でも、この立ち上がり部の側面に確実に床シートを貼り付けることができる。
【0008】
本発明の他の態様は、X軸方向に離間対向する第1、第2の辺と、上記X軸方向と直交するY軸方向に離間対向する第3、第4の辺とを有し、浴室の床構造本体に接着されるべき裏面に、粘着層と、この粘着層を覆う離型紙とが積層された床シートにおいて、上記離型紙が分割され、この分割された離型紙に対応する複数の区域を有し、上記複数の区域は、上記第1辺の近傍に配置されるとともに上記床構造本体の排水口に対応する開口が形成された特定区域と、上記特定区域と上記第2辺との間に配置されたX軸方向分割区域と、上記特定区域と上記第3辺および上記第4辺との間にそれぞれ配置されたY軸方向分割区域とを含む。
上記構成によれば、分割された区域毎に空気が入り込まないように貼り付けを行なえるので、床シートの剥がれを確実に防止することができる。また、排水口に対応する特定区域を中心に複数の区域が配されるので、排水口に対する床シートの位置決めを行った後に、特定区域から貼り付け領域が広がるように貼り付けることが可能となり、円滑かつ確実に貼り付け作業を行うことができる。
【0009】
好ましくは、上記X軸方向分割区域が複数配置され、上記Y軸方向分割区域が、上記特定区域と上記第3辺との間および上記特定区域と上記第4辺との間に、それぞれ複数配置されている。
上記構成によれば、区域の数が増えるにしたがって、より一層確実に床シートを床構造本体に貼り付けることができる。
【0010】
本発明は、上記一態様の浴室用床シートを、上記床構造本体の上面に貼り付ける方法において、
上記床構造本体の上記排水口が排水ユニットにより画成され、上記排水ユニットが主部材とこの主部材の上端に嵌め込まれた枠部材とを有しており、
上記浴室用床シートの特定区域において、予め上記開口の周縁領域には、上記排水口を画成する排水ユニットの上端部としての枠部材が取り付けられており、
上記枠部材を上記排水ユニットの主部材の上端に嵌め込むことにより、上記浴室用床シートを位置決めし、
次に、上記浴室用床シートの上記特定区域の離型紙を剥がして上記特定区域を上記床構造本体に貼り付け、
次に、上記Y軸方向隣接区域と上記X軸方向隣接区域の離型紙を剥がして、これらY軸方向隣接区域とX軸方向隣接区域を上記床構造本体に貼り付けることを特徴とする。
上記方法によれば、床シートの特定区域の開口を床構造本体の排水口に対して位置決めした後、特定区域から貼り付け領域が広がるように貼り付けるので、円滑な貼り付け作業を行うことが可能となる。
【0011】
本発明は、上記他の態様の浴室用床シートを、上記床構造本体の上面に貼り付ける方法において、最初に、上記浴室用床シートの上記特定区域の離型紙を剥がして上記特定区域を上記床構造本体の排水口の周縁部に貼り付け、次に、上記特定区域から上記第2~第4辺に向かって順に上記X軸方向分割区域と上記Y軸方向分割区域の離型紙を剥がして、これらX軸方向分割区域とY軸方向分割区域を上記床構造本体に貼り付ける。
上記方法によれば、床シートの特定区域の開口を床構造本体の排水口に対して位置決めした後、特定区域から貼り付け領域が広がるように貼り付けるので、円滑な貼り付け作業を行うことが可能となる。
【0012】
本発明は、上記浴室用床シートを製造する方法において、
上記浴室用床シートの輪郭に対応する主トムソン刃と、上記複数の区域の境界に対応して配置された主トムソン刃より低い副トムソン刃とを有する第1型と、上記第1型に対して相対的に接近、離間する方向に移動可能な第2型を用意する工程と、
裏面に上記粘着層と上記離型紙とが積層された素材シートを、裏面を第1型に向け、表面を第2型に向けてセットする工程と、
上記第1型と第2型を接近させて、上記主トムソン刃により、素材シートから上記浴室用床シートをくり抜くとともに、上記副トムソン刃により、上記離型紙を切断して上記複数の区域を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする。
上記方法によれば、複数の区域を有する浴室用床シートを簡単に製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、浴室において、排水口を有する床構造本体に、床シートを正確にかつ浮き上がることなく床シートを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る床シートを備えた浴室洗い場の断面図である。
図2】離型紙の切断により複数の区域に分けられた上記床シートの平面図である。
図3】上記床シートの製造工程を、厚みを誇張して示す概略断面図である。
図4】(A)は図2におけるIV-IV線に沿う概略断面図であり厚みを誇張して示し、(B)は上記床シートの周縁部に水密パッキンが装着された状態、(C)は離型紙が分離された状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、浴室洗い場の床構造は、床構造本体10と、この床構造本体10の上面に貼り付けられた床シート20とを備えている。
【0016】
本実施形態の床構造本体10は断熱性を有しており、発泡体層11と、発泡体層11の下側に配置された鋼板12と、発泡体層11の上側に配置された鋼板13とを有してサンドイッチ層構造をなしている。
【0017】
床構造本体10は長方形をなし、一方の長辺には浴槽側防水パン(図示しない)に隣接する立ち上がり部15が形成されており、この立ち上がり部15の中央近傍には、排水ユニット16が装着されている。排水ユニット16の内周により排水口16aが画成されている。排水ユニット16は、筒状の主部材16xと、この主部材16xの上端に嵌め込まれた環状をなす枠部材16yとを有している。主部材16xと枠部材16yとの間には水密材16mが介在されている。
【0018】
床構造本体10の他方の長辺および2つの短辺には受け部材17が装着されている。これら受け部材17には浴室を画成する壁パネルやドアが設置されている。
【0019】
上記床シート20の製造方法について説明する。
図3に示すように、トムソン加工装置50を用意する。この加工装置50は、下型51(第1型)と、下型51に対して上下動する上型52(第2型)とを有しており、下型51には主トムソン刃55と副トムソン刃56が起立状態で設けられている。副トムソン刃56は主トムソン刃55より低い。
【0020】
上記トムソン加工装置50の下型51に、発泡積層PVC等の軟質発泡樹脂からなる素材シート20Aを載せてセットする。素材シート20Aの上面(表面)には凹凸模様が形成されている。素材シート20Aの平坦な下面(裏面)の略全域には、両面粘着フィルム30が貼り付けられ、この両面粘着フィルム30が離型紙35により覆われている。両面粘着フィルム30は、樹脂フィルム層31とその両側の粘着層32、33を有している。一方の粘着層32により樹脂フィルム層31が素材シート20Aに接着されている。他方の粘着層33が離型紙35により覆われている。離型紙35の材質には特に制約はない。
【0021】
上記素材シート20Aのセット状態で上型52を下降させると、上記主トムソン刃55により、図2に示すような床構造本体10の平面形状に対応した略長方形の床シート20の周縁が切断され、床シート20が素材シート20Aからくり抜かれるとともに、後述する開口25(図1図2参照)が形成される。これと同時に、副トムソン刃56により、離型紙35を切断する。この離型紙35の切断ラインは図2において破線で示されている。
なお、図3に示すように副トムソン刃56が両面粘着フィルム30を切断しても差し支えない。
【0022】
上述したように製造された床シート20は、図2に示すように離型紙35の切断ラインによって複数の区域に区分けされている。以下、互いに直交するX軸とY軸を参照しながら説明する。
床シート20の略長方形をなす周縁は、X軸方向に離間対向してY軸方向に延びる2つの長辺すなわち第1辺21と第2辺22を有するとともに、Y軸方向に離間対向してX軸方向に延びる2の短辺すなわち第3辺23と第4辺24を有している。開口25は、浴槽側の第1辺21の中央近傍に形成されている。
【0023】
床シート20の複数の区域は、開口25が形成された第1区域R1(特定区域)と、第1区域R1のY軸方向両側に隣接する2つの第2区域R2(Y軸方向隣接区域;Y軸方向分割区域)と、上記第1区域R1と2つの第2区域R2に対してX軸方向の一方側(第2辺22側)に隣接する第3区域R3(X軸方向隣接区域;X軸方向分割区域)と、さらに第3区域R3に隣接するとともに第3区域R3と第2辺22との間に配置された第4区域R4(X軸方向追加区域;X軸方向分割区域)を含む。
【0024】
さらに床シート20の複数の区域は、上記第2区域R2,第3区域R3,第4区域R4と隣接するとともにこれら区域R2~R4と第3辺23、第4辺24との間にそれぞれ配置された第5区域R5(Y軸方向追加区域;Y軸方向分割区域)と、第1区域R1、第2区域R2に隣接するとともにこれら区域R1,R2と第1辺21との間に配置された第6区域R6(X軸方向隣接区域;X軸方向分割区域)を含む。
【0025】
本実施形態では、床シート20はさらに、周縁に沿って幅の狭い区域を有している。この周縁区域は、第1辺21に沿って延びるとともに第6区域R6に隣接する区域R6’と、第2辺22に沿って延びるとともに第4区域R4に隣接する区域R4’と、第3辺23、第4辺24に沿ってそれぞれ延びるとともに第5区域R5に隣接する区域R5’を有している。
【0026】
図4(A)に示す床シート20において、上記周縁区域R4’,R5’,R6’の離型紙35が剥がされ、その粘着層33に、両面に粘着層を有する水密パッキン40が装着されている(図4(B)参照)。水密パッキン40は離型紙45により覆われている。
なお、本実施形態では、開口25の周縁領域Raにおいて、両面粘着フィルム30および離型紙35が除去されている。
【0027】
上記構成をなす床シート20の貼り付け方法について詳述する。
準備工程として、図1に示すように、床シート20の開口25の周縁領域Raに、排水ユニット16の枠部材16yを、両面に粘着層を有する水密パッキン18を介して固定しておく。
最初に、床シート20に接着された枠部材16yを、排水ユニット16の主部材16xの上端に嵌め込む。これにより、排水ユニット16が完成されるとともに、床シート20の開口25が床構造本体10の排水口16aに正確に位置決めされる。
【0028】
上記位置決め後に、床シート20を床構造本体10に順を追って貼り付けていく。理解を容易にするために、貼り付け順序を図2において1~6の符号を付す。
【0029】
1番目として、第1区域R1の離型紙35を剥がし、第1区域R1を床構造本体10に貼り付ける。第1区域R1の貼り付けに際しては、図2に矢印で示すように、開口25から放射状に広がるように順に貼り付ける。
【0030】
次に、2つの第2区域R2の離型紙35を剥がし、これら第2区域R2を床構造本体10の上面に貼り付ける。この際、図2に矢印で示すように、既に貼り付けが終了している第1区域R1に近い方から遠い方に向かって順に貼り付ける。
【0031】
次に、第3区域R3の離型紙35を剥がし、この第3区域R3を床構造本体10の上面に貼り付ける。この際、図2に矢印で示すように、既に貼り付けが終了している第1区域R1に近い辺の中央部から放射状に広がるように順に貼り付ける。
【0032】
次に、第4区域R4の離型紙35を剥がし、この第4区域R4を床構造本体10の上面に貼り付ける。この際、図2に矢印で示すように、既に貼り付けが終了している第3区域R3に近い辺の中央部から放射状に広がるように順に貼り付ける。
上記第4区域R4の貼り付けの際に、周縁区域R4’の離型紙45を剥がして周縁区域R4’の水密パッキン40を、図1に示すように受け部材17に貼り付ける。
【0033】
次に、2つの第5区域R5の離型紙35を剥がし、これら第5区域R5を床構造本体10の上面に貼り付ける。第5区域R5の貼り付けの際に、周縁区域R5’の離型紙45を剥がして周縁区域R5’の水密パッキン40を、受け部材17に貼り付ける。
【0034】
最後に、第6区域R6の離型紙35を剥がし、図1に示すように、これら第6区域R6を床構造本体10の立ち上がり部15の側面に貼り付ける。第6区域R6の貼り付けの際に、周縁区域R6’の離型紙45を剥がして周縁区域R6’の水密パッキン40を、立ち上がり部15の側面の上端部に貼り付ける。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形態を採用することが可能である。
素材シート20Aを加工して床シート20を得る方法は、トムソン加工に限らずNC加工でも良い。NC加工では刃の高さを調節することにより、トムソン加工における主トムソン刃55と副トムソン刃56の役割を担うことができる。
【0036】
上記床シートの開口は浴槽側が開放されていてもよい。
第6区域R6は、第3区域R3より先に貼り付けてもよい。
上記実施形態では、床シート1の周縁部に水密パッキン40を装着したが、この水密パ
ッキン40は床構造本体に設置してもよい。この場合、周縁区域R4’~R6’を省略することができ、区域R4~R6が床シート1の周縁まで広がる。
【0037】
本発明は浴室洗い場に限らず、シャワーのみが可能な浴室(シャワー室)の床にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、排水口を有する浴室洗い場等の床シートに適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 床構造本体
15 立ち上がり部
16a 排水口
20 床シート
20A 素材シート
21 第1辺
22 第2辺
23 第3辺
24 第4辺
25 開口
33 粘着層
35 離型紙
51 下型(第1型)
52 上型(第2型)
55 主トムソン刃
56 副トムソン刃
R1 第1区域(特定区域)
R2 第2区域(Y軸方向隣接区域;Y軸方向分割区域)
R3 第3区域(X軸方向隣接区域;X軸方向分割区域)
R4 第4区域(X軸方向追加区域;X軸方向分割区域)
R5 第5区域(Y軸方向追加区域;Y軸方向分割区域)
R6 第6区域(X軸方向隣接区域;X軸方向分割区域)
図1
図2
図3
図4