(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】化粧建築板及び化粧建築板の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220809BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20220809BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20220809BHJP
E04F 15/08 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
E04F13/08 E
E04F13/14 102Z
E04F15/02 C
E04F15/08 E
(21)【出願番号】P 2018512994
(86)(22)【出願日】2016-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2016001521
(87)【国際公開番号】W WO2017041895
(87)【国際公開日】2017-03-16
【審査請求日】2019-09-06
(31)【優先権主張番号】102015011664.9
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】クラッパーシュトゥック、 シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリング、 トビアス
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184414(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010060441(DE,A1)
【文献】米国特許第06284327(US,B1)
【文献】特開昭53-113820(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147171(WO,A1)
【文献】独国実用新案第202006004493(DE,U1)
【文献】米国特許第03738854(US,A)
【文献】米国特許第05597620(US,A)
【文献】特開2013-240935(JP,A)
【文献】特開平08-090707(JP,A)
【文献】特開昭50-025717(JP,A)
【文献】特開2005-052996(JP,A)
【文献】特開2014-069352(JP,A)
【文献】特開2004-300793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04F 15/00-15/22
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの平滑化化合物層を備える建築板の自動化された装飾方法であって、前記建築板を平滑化する工程及び前記建築板を装飾する工程を含み、
前記建築板を平滑化する工程は、少なくとも以下の工程:
前記建築板の表面の高低差が前記建築板の表面の全領域にわたって1mm以下となるように、前記建築板を公称厚さに調整する工程;
平滑化化合物の第一層を、前記建築板の表面に付与する工程;
前記平滑化化合物を前記建築板の表面構造中に圧入する工程;
前記建築板の公称厚さに再調整する工程、
を含み、
前記建築板の公称厚さに再調整する工程において、前記建築板の表面が、前記平滑化化合物で完全に被覆された領域、及び前記建築板の材料が少なくとも部分的に視認可能である領域を含む程度まで再調整され、
前記建築板として、石膏結合建築板、セメント結合繊維板又は鉱物質繊維板が用いられ、
前記平滑化化合物の付与にUV光硬化性平滑化化合物が用いられる、
前記方法。
【請求項2】
前記建築板が、少なくとも1つのカラーコートを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平滑化化合物を前記建築板の表面構造中に圧入する工程と、前記建築板の公称厚さに再調整する工程との間に、付与された前記平滑化化合物の少なくとも10重量%を除去する更なる工程が実施されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
平滑化化合物の第二層が付与され、付与の際には、前記平滑化化合物を付与する工程、及び前記平滑化化合物の一部を除去する工程が再度実施されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
平滑化化合物の第二層の前記付与後に、平滑化化合物の第三層が付与され、付与の際には、前記平滑化化合物を付与する工程、及び前記平滑化化合物の一部を除去する工程が再度実施されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記平滑化化合物の第二層及び/又は第三層の前記平滑化化合物の付与において、前記
平滑化化合物の前記第一層の場合と比較して同じか又は少ない量の平滑化化合物が付与され、圧入されることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平滑化化合物の圧入、及び/又は前記平滑化化合物の除去が、ローラーによって実施されることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記平滑化化合物を付与するための前記ローラーと、コーティングされるべき前記建築板が置かれる基材との間の間隔が、前記建築板の前記公称厚さ以下に調節されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのカラーコートが、最後に平滑化された表面に付与されることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
カバー層を設けることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのカラーコート若しくはカバー層に少なくとも1つのUV光硬化性ラッカーが用いられることを特徴とする、請求項2~請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのカラーコートが、ラッカーのデジタル印刷及び/又はローラー付与によって作製されることを特徴とする、請求項9~請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記石膏結合建築板が、プラスターボード又は石膏繊維板である、
請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
建築板、及び前記建築板の表面に少なくとも1つのコーティングを備え、
前記コーティングは、少なくとも1つの平滑化化合物層を含み、
前記平滑化化合物層が、UV光で硬化された平滑化化合物を含み、
前記少なくとも1つのコーティングを含む前記建築板の表面が、前記平滑化化合物で完全に被覆された領域、及び前記建築板の材料が少なくとも部分的に視認可能である領域を含み、
前記建築板として、石膏結合建築板、セメント結合繊維板又は鉱物質繊維板が用いられ、
前記少なくとも1つのコーティングを含む前記建築板は、DIN EN 13501-1による耐火性クラスB1の要件を少なくとも満たす、化粧建築板。
【請求項15】
前記建築板が、少なくとも1つのカラーコートを含む、請求項14に記載の化粧建築板。
【請求項16】
前記耐火性クラスB1の要件が、耐火性クラスA2の要件である、請求項14又は請求項15に記載の化粧建築板。
【請求項17】
前記コーティングが、前記少なくとも1つの平滑化化合物層に加えて、少なくとも1つのカラーコート及び/又はカバー層を
含むことを特徴とする、請求項14~請求項16のいずれか一項に記載の化粧建築板。
【請求項18】
前記コーティングが、4MJ/m
2未満の発熱量PCSを有することを特徴とする、請求項14~請求項17のいずれか一項に記載の化粧建築板。
【請求項19】
前記カラーコート及び/若しくは前記カバー層が、UV光で硬化されたラッカーを含むことを特徴とする、請求項15~請求項18のいずれか一項に記載の化粧建築板。
【請求項20】
前記石膏結合建築板が、プラスターボード又は石膏繊維板である、請求項14~請求項19のいずれか一項に記載の化粧建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧建築板の製造方法、及び特に当該方法によって製造される化粧建築板に関する。特に、本発明は、このような建築板の自動化された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧建築板は、先行技術から公知である。化粧建築板には、非常に多くの様々な分野(ウォールクラッドとしてのドライウォールの構築、パーティションウォール又は天井の製造)において用途が見出され得る。例えば中空床材又は二重床材の形態でもある床材を、建築板から製造することが可能である。しかし、これは、キャビネット、棚、テーブル等の家具の構造部分も含まれ得る。考え得るあらゆる材料から作られた建築板が知られており、例えば、プラスターボード、セメントボード、木質系建築板、及び更には複合材料から製造された建築板等がある。
【0003】
建築板の装飾は、非常に多くの様々な方法を用いて行うことができる。装飾は、例えば、裏打ち材料(例えば、ペーパーウェブ又はライナー)に付与又は印刷されてよく、その後、建築板に積層される。この方法は、2つの異なる加工品、すなわち、建築板及び印刷されたペーパーウェブが別々に製造され、その後、化粧建築板を製造するためにこれらを一つに合わせる必要があるという欠点を有する。更に、ペーパーウェブは、化粧建築板の容易に燃えやすい更なる構成部材であるという欠点を有する。耐火性化粧建築板を製造することは、この方法では実質的に不可能である。
【0004】
先行技術から公知である別の方法によると、建築板の表面をラッカー層で平坦化してから、所望により、印刷及び保護層での被覆を行っている。全ての凹凸又は欠陥を平坦化し、化粧建築板の魅力的な表面品質を利用可能とするためには、この平坦化に必要とされる第一のラッカー層の厚さは比較的厚い必要がある。このことは、耐火性が必要とされる領域で建築板が用いられない限りは問題ではない。表面の平坦化に比較的大量のラッカーが必要とされることから、建築板自体が適切な品質認定を有している場合であっても、ハイグレードな品質の表面を有する耐火性化粧建築板を製造することはできない。
【0005】
付与される可燃性コーティング材料の量の制御がこれまでのところ保証されないことから、化粧建築板が耐火性クラスA2(DIN EN 13501-1、可燃性建築材料の含有ありで不燃性)の要件を満たす建築板の自動化された装飾法は現時点では知られていない。これは、特に、建築板の表面が典型的には不規則であることに起因しており、このことは、コーティング材料の不均一な層厚さをもたらし、それによって層の厚さ、したがって総発熱量が、建築板毎に大きく変動してしまう。更に、極めて少量のコーティング材料の付与を、光学的な魅力及び適切な表面品質を伴って行うことは、特に自動化の場合、これまでのところ不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、更なる建築板の自動化された装飾方法を利用可能とすることにあり、上記方法は、DIN EN 13501-1による耐火性クラスB1の要件を少なくとも満たす化粧建築板の製造にも適することを意図している。建築板材料を適切に選定してこのように製造された化粧建築板は、好ましくは、耐火性板A2の要件さえも満たすことができるはずである。更に、装飾と合わせてDIN EN 13501-1による耐火性クラスB1の要件を少なくとも満たす化粧建築板が、利用可能とされることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、独立請求項に係る方法及び建築板によって解決される。
【0008】
よって、本発明に従って装飾された建築板は、少なくとも1つの建築板と、当該建築板の表面のコーティングと、を備える。このコーティングは、少なくとも1つの平滑化化合物層及び少なくとも1つのカラーコートを備える。上記化粧建築板は、DIN EN 13501-1による耐火性クラスB1(ほぼ不燃性)の要件を満たすことが好ましい。本発明に従って装飾された建築板は、耐火性クラスA2の要件を、更に特に好ましくは耐火性板A2-s1,d0の要件を少なくとも満たすことが特に好ましい。これは、上記建築板が、火災の際には、煙を発生させないか、又は少なくとも煙をほとんど発生させず(s1)、構成部材の滴下又は落下も示さないこと(d0)を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「建築板」という用語は、本発明の範囲内において、ドライウォールの構築に用いられる建築板を意味するが、更に家具のパネルに用いられる建築板も意味するものと理解される。建築板は、例えば、壁、天井、扉及び/又は床のパネル用を意図するものであってよい。しかし、「建築板」はまた、家具(特に、テーブル、戸棚、棚等)の製造、又はより広い意味での家具の製造のための板に関連していてもよい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、建築板は、石膏結合建築板(gypsum-bound building board)、特にプラスターボード又は石膏繊維板である。しかし、化粧建築板が特定の耐火性を全く示す必要がない場合は、セメント結合(cement-bound)繊維板、鉱物質繊維板、又はチップボード若しくは木質複合板(好ましくは、未加工のパーティクルボード若しくはMDF板(中密度繊維板)若しくはHDF板(高密度繊維板))も、本発明の意味の範囲内の建築板として用いられてよい。このリストは、本発明に係る方法を用いて装飾することが可能なその他の建築板を本発明から除外することを意図するものではない。
【0011】
少なくとも1つの平滑化化合物層及び少なくとも1つのカラーコートを備える建築板の本発明に係る自動化された装飾法により、そのような化粧建築板を製造することが可能である。上記方法は、上記建築板を平滑化する工程を少なくとも含み、好ましくは上記建築板を装飾する工程を含み、建築板の平滑化は少なくとも以下の工程を含む:
建築板の表面の高低差が、建築板の表面の全領域にわたって1mm以下(好ましくは0.45mm以下、特に好ましくは0.30mm以下)となるように、建築板の公称厚さ(nominal thickness)を調整する(calibrating)工程;
上記建築板の表面に平滑化化合物の第一層を付与する工程;
上記平滑化化合物を上記建築板の表面構造中に圧入する工程;
上記建築板の上記公称厚さを再調整する工程。
【0012】
上記方法は、平滑化化合物を建築板の表面構造中に圧入する工程と、建築板の公称厚さを再調整する工程との間に、付与された平滑化化合物の少なくとも10重量%を除去する工程を更に含むことが好ましい。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記化粧建築板は、DIN EN 13501-1のよる耐火性クラスB1の要件を満たす。この目的のために、前記建築板は、石膏、石膏繊維、又はセメントを例とする耐火性材料から作られるべきである。
【0014】
上記方法は、出来上がった装飾された建築板が、平滑化化合物、着色剤の極めて薄いコーティング、及び所望によりカバー層のみを有していることを特徴とする。それにもかかわらず、エンドユーザーが更なるカラーコートを付与しようとは考えないほど、光学的品質が非常に高い。この場合にのみ、上記建築板が使用時に所望される耐火性も有すると実際に仮定することができる。建築板の装飾が不適切であるか、又は装飾が成されていない場合、エンドユーザーが例えば、用いられている建築板の保証された耐火性クラスにもはや準拠しない状態に繋がるような量で壁に壁紙を張る、又は壁に塗料を塗るといった装飾の修正をエンドユーザーが行うというリスクが常に存在する。
【0015】
記載される方法は、当然、耐火性クラスの要件を満たさない化粧建築板の製造にも適している。また、上記方法は、可燃性建築板の場合にも有用であることが示されており、その理由は、高い表面品質の化粧板が製造されるからである。
【0016】
建築板の第一の調整(calibration)は、建築板の全領域にわたって可能な限り平坦な表面及び所定の高さ又は厚さを作り出す役目を有する。建築板の平坦な表面及び所定の厚さはいずれも、均一な光学的特性及び高い光学的品質のコーティングを確実に作製可能とするために不可欠な必須条件である。
【0017】
平滑化化合物の第一層は、このようにして調整された表面にまず付与され、凹み部(例えば、キャビティ)及び依然として残っている凹凸部に圧力下で圧入される。この段階で付与される平滑化化合物の量は、最適な均一分布が可能である程度に非常に多い。過剰な平滑化化合物は、所望により、更に続いて、又は圧入と同時に除去されてもよい。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、平滑化化合物の付与量は、例えば5~250g/m2、好ましくは80~150g/m2であってよい。続いて、平滑化化合物の最大50重量%を、所望により除去することができる。平滑化化合物の10~35重量%が除去され、建築板上に残された平滑化化合物が乾燥されることが好ましい。
【0019】
次に、平滑化化合物の第一層を備えた建築板は、再調整(すなわち平坦化、特に研削)され、建築板の公称厚さにされる。平坦化プロセスの結果、いかなる大きいキャビティももはや存在しない本質的に平滑である建築板表面となる。
【0020】
平滑化表面のより高い平坦性及び欠陥のない状態(すなわち、より高い品質)を得るために、平滑化化合物の更なる層を付与することが可能である。平滑化化合物の第二層、及び続いて必要なら平滑化化合物の第三層が、付与されることが特に好ましく、この際には、平滑化化合物を付与する工程、及び好ましくは平滑化化合物の一部を除去する工程が少なくとも実施される。平滑化化合物は、この工程でも、表面に残っている凹凸部に圧入されることが特に好ましい。
【0021】
第一の平滑化化合物付与の後、最も大きいキャビティ及び凹凸部は平滑化化合物によって既に充填されていることから、平滑化化合物の第二及び/又は第三層の平滑化化合物付与においては、平滑化化合物の第一層の場合よりも少ない量の平滑化化合物を付与し、圧入してよい。別の選択肢として、又は加えて、圧入に続いて、より多い量の平滑化化合物を更に除去することも可能である。
【0022】
化粧建築板の表面の高低差は、建築板の表面の全領域にわたって、0.45mm以下であり、好ましくは0.30mm以下であることが好ましい。
【0023】
続いて付与されることになるカラーコートの輝きを促進するために、平滑化化合物は、通常、白色調が選択される。他の色調も、これが所望される場合、当然好適である。
【0024】
表面が着色されたデザインとされる場合、カラーコートは、最後に平滑化された表面の少なくとも一部の領域にわたって付与されてよい。特に汚れ及び/又は引っ掻きに対するカラーコートの保護のために、少なくとも1つのカラーコートは、カバー層を備えていてもよい。
【0025】
特に好ましい実施形態によれば、平滑化化合物の付与、圧入及び/又は付与された平滑化化合物の圧入後の除去は、ローラーによって実施されてよい。
【0026】
平滑化化合物の圧入及び/又は除去は、逆方向(建築板の運搬方向に対して)に回転するローラーによって実施されることが好ましい。平滑化化合物の圧入及び除去は、同一のローラーによる一作業工程で実施されることが特に好ましい。
【0027】
平滑化化合物の圧入を特に効果的な方法で構成するために、平滑化化合物付与のためのローラーとコーティングされるべき建築板の表面との間の間隔は、できる限り小さくするべきである。ローラーと、コーティングされるべき建築板が置かれる基材との間の間隔は、建築板の公称厚さ以下に調節される場合に特に都合が良いことが示された。この場合、建築板の表面は、平滑化化合物層が付与されていない状態で、ローラーを通過する際に既にある圧力を受ける。
【0028】
本発明に従って平滑化された板は、例えば、以下の品質基準を満たすことができる:
【0029】
開キャビティは、その上では最上部平滑化化合物層が途切れており、品質基準には従わない。
【0030】
閉キャビティ(最上部平滑化化合物層が閉じている場合)は、その表面は平滑ではなく内側に湾曲しているが、単位表面積あたり特定の量を超えないか、及び/又は特定の直径(dL)を超えない限りにおいて、許容される。例えばこれらの必須条件を伴って平滑化され、以下の品質基準を考慮した建築板を、こうして作製することができる。
【0031】
許容可能ではない:
・dL>2mmのキャビティ
許容可能である:
・dL>1mmのキャビティ;キャビティ1個/m2面積未満の頻度
・dL<1mmのキャビティ;キャビティ4個/m2面積未満の頻度
・dL>1mmのキャビティ;キャビティ1個/m2面積未満の頻度、及びdL<1mmのキャビティ;キャビティ2個/m2面積未満の頻度
【0032】
平滑化された建築板におけるキャビティ直径dL及びキャビティ頻度を特定するために、例えば、面積1m2の円形セクションの測定視野を観察する。建築板の最大キャビティを中心として対応するテンプレートが配置される。続いて、テンプレートで定められる領域中で、更なる欠陥が探索される。
【0033】
記載した品質基準は、意図する用途及び品質要求事項に応じて、コーティングに適合されてよい。
【0034】
例えば不飽和ポリアクリレートをベースとするUV光硬化性平滑化化合物又はUV光硬化性ラッカーが、平滑化化合物付与及び/又は少なくとも1つのカラーコート/若しくはカバー層に特に好ましく用いられる。UV光硬化性平滑化化合物又はラッカーは、工業プロセスにおいて特に都合が良いことが示されている。これを用いることによって、短時間での高い乾燥速度を、非接触の方法で、大きな技術的困難を伴うことなく達成することができる。これは、特にラッカー層/平滑化化合物の研削又は調整を必要とする複数段階の場合に、非常に有利である。
【0035】
原理上、少なくとも1つのカラーコートの付与には、非常に多くの様々な方法を用いることができる。高い精度及び豊富な色の種類を、特にデジタル印刷プロセスによって達成することができ、これが、デジタル印刷プロセスが好ましい着色プロセスとして本明細書で言及される理由でもある。更なる考え得るプロセスは、ローラー又はスクリーン印刷による着色剤の付与である。
【0036】
少なくとも1つのカラーコートの付与にデジタル印刷プロセスが用いられる場合、ラッカーのための吸収性基材を提供するプライマーを用いることを推奨することができる。
【0037】
物理的及び/又は化学的耐性を有するラッカートップコートが、カバー層として用いられることが好ましく、これは通常はクリアラッカーである。所望の光学的効果を得るために、有色の透明又は部分透明ラッカートップコートを用いることも当然可能である。
【0038】
少なくとも1つの平滑化化合物層及び少なくとも1つのカラーコートを含むコーティングは、4MJ/m2未満の発熱量PCSを有することが特に好ましく、それによって、建築板は耐火性クラスB1(好ましくは、A2-s1,d0)の要件を満たす(prEN ISO 1716及びEN 13823と関連してDIN EN 13501-1を参照)。
【0039】
本発明を、好ましい実施形態の例を参照して、以下でより詳細に説明する。
【0040】
本発明のこの実施例によれば、まず建築板を選定するが、それは、製造の過程で既に非常に良好な品質の表面を備えているべきである。従って、例えば、1センチメートルを超える直径の孔若しくはキャビティを有する建築板、又はそもそも平坦ではない建築板は除外される。
【0041】
選定した建築板(ここでは石膏繊維板)の表面をできる限り平坦化して、まず公称厚さに調整する。例として実施されるこのプロセスにおいて、上記調整は、調整後の建築板の表面が±0.15mmの許容誤差を有するように設定される。
【0042】
次に、このようにして準備した建築板に、平滑化化合物の第一層を設ける。平滑化化合物は、ローラー塗布によって80~130g/m2の量で付与され、運搬方向とは逆向きに回転するローラーによって建築板の表面凹凸部に圧入される。このローラーとその下を走行するコンベヤベルトとの間隔は、建築板の公称厚さの幅であり、それによって建築板はこのローラーと基材との間を圧力下で通される。
【0043】
この実施例では、平滑化化合物の圧入を行うローラーは、同時に、建築板表面から過剰分の平滑化化合物を除去するローラーでもある。別の選択肢として、当然、過剰分の平滑化化合物を除去するための追加のローラーを使用してもよい。
【0044】
用いられる平滑化化合物は、白色のUV光硬化性平滑化化合物である。平滑化化合物が硬化されるように、平滑化化合物の付与及び圧入の後、又は任意に付与及び圧入の途中で、表面にUV光が照射される。
【0045】
次に、建築板を、乾燥/硬化した平滑化化合物層と共に、公称厚さへ再調整される。この目的のために表面を研削する。この研削プロセスの結果、混成された既に非常に平坦であり、ほぼ欠陥のない(すなわち、キャビティのない)表面となる。混成された表面とは、本明細書において、建築板の材料が再度部分的に視認可能である程度まで表面が研削除去されていることを意味するものと理解される。従って、建築板の表面は、平滑化化合物で完全に被覆された領域、及び建築板の材料が少なくとも部分的に視認可能である領域を含む。
【0046】
この処理の目的は、建築板に不可避に存在するキャビティ又は表面欠陥をできる限り平滑化化合物で充填しつつ、他の領域では、できる限り少ない平滑化化合物が付与される(好ましくは、平滑化化合物が付与さえされていない)ようにすることである。このことは、できる限り少ない量の(可燃性)平滑化化合物を使用することに役立つ。
【0047】
平滑表面に対する品質要求事項に応じて、調整後に、平滑化化合物の更なる層を付与してもよい。この層もまた、まだ残っている表面凹凸部に圧入され、過剰な平滑化化合物を同様に除去する。この乾燥された平滑化化合物層を、所望により、厚さを低減するために研削してもよい。しかし、この研削工程では、公称厚さまでの調整は再度実施しないことが好ましく、むしろ、連続する平滑化化合物薄層を残すことが好ましい。
【0048】
更に良好な表面品質を得るための更なる平滑化化合物層付与のためのこれらのプロセス工程は、所望により繰り返されてよい。
【0049】
出来上がった平滑化層は、カラーコート及び/又はカバー層を備え得る。用いられる着色剤及びカバー層用材料はいずれも、UV光硬化性ラッカーであることが好ましい。着色剤の付与は、例えばインラインで配置されたデジタルプリンターによって行われてよく、プライマー層の付与を含んでいてもよい。
【0050】
こうして製造された建築板は、着色化粧建築板であり、平滑化された表面は、以下の品質基準を満たしている:dL>1mmのキャビティを有しないこと;上記表面は、1m2の領域あたりdL<1mmのキャビティを3つ有する;化粧建築板は、DIN EN 13501-1による耐火性クラスB1の要件を満たしている。
本発明には下記の態様が含まれる。
<1> 少なくとも1つの平滑化化合物層を備え、好ましくは少なくとも1つのカラーコートを備える建築板の自動化された装飾方法であって、前記建築板を平滑化する工程及び前記建築板を装飾する工程を含み、
前記建築板を平滑化する工程は、少なくとも以下の工程:
前記建築板の表面の高低差が前記建築板の表面の全領域にわたって1mm以下となるように、前記建築板を公称厚さに調整する工程;
平滑化化合物の第一層を、前記建築板の表面に付与する工程;
前記平滑化化合物を前記建築板の表面構造中に圧入する工程;
前記建築板の公称厚さに再調整する工程、
を含む前記方法。
<2> 前記平滑化化合物を前記建築板の表面構造中に圧入する工程と、前記建築板の公称厚さに再調整する工程との間に、付与された前記平滑化化合物の少なくとも10重量%を除去する更なる工程が実施されることを特徴とする、<1>に記載の方法。
<3> 平滑化化合物の第二層が付与され、その後、必要なら平滑化化合物の第三層が付与され、付与の際には、前記平滑化化合物を付与する工程、及び前記平滑化化合物の一部を除去する工程が再度実施されることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の方法。
<4> 前記平滑化化合物の第二層及び/又は第三層の前記平滑化化合物の付与において、前記平滑化化合物の前記第一層の場合と比較して同じか又は少ない量の平滑化化合物が付与され、圧入されることを特徴とする、<1>~<3>のいずれか1つに記載の方法。
<5> 前記平滑化化合物の圧入、及び/又は前記平滑化化合物の除去が、ローラーによって実施されることを特徴とする、<1>~<4>のいずれか1つに記載の方法。
<6> 前記平滑化化合物を付与するための前記ローラーと、コーティングされるべき前記建築板が置かれる基材との間の間隔が、前記建築板の前記公称厚さ以下に調節されることを特徴とする、<5>に記載の方法。
<7> 少なくとも1つのカラーコートが、最後に平滑化された表面に付与され、所望によりカバー層を設けてもよいことを特徴とする、<1>~<6>のいずれか1つに記載の方法。
<8> 前記平滑化化合物の付与にUV光硬化性平滑化化合物が用いられ、且つ/又は前記少なくとも1つのカラーコート若しくはカバー層に少なくとも1つのUV光硬化性ラッカーが用いられることを特徴とする、<1>~<7>のいずれか1つに記載の方法。
<9> 前記少なくとも1つのカラーコートが、ラッカーのデジタル印刷及び/又はローラー付与によって作製されることを特徴とする、<7>又は<8>のいずれか1つに記載の方法。
<10> 石膏結合建築板(特にプラスターボード、石膏繊維板)、セメント結合繊維板、鉱物質繊維板、チップボード又は木質複合板(特に未加工のパーティクルボード若しくはMDF板(中密度繊維板)若しくはHDF板(高密度繊維板))が、建築板として用いられることを特徴とする、<1>~<9>のいずれか1つに記載の方法。
<11> 建築板、及び前記建築板の表面に少なくとも1つのコーティングを備え、
前記コーティングは、少なくとも1つの平滑化化合物層を含み、好ましくは少なくとも1つのカラーコートを含み、
前記少なくとも1つのコーティングを含む前記建築板は、DIN EN 13501-1による耐火性クラスB1の要件(好ましくは、耐火性クラスA2の要件)を少なくとも満たす、化粧建築板。
<12> 前記コーティングが、前記少なくとも1つの平滑化化合物層に加えて、少なくとも1つのカラーコート及び/又はカバー層を備えることを特徴とする、<11>に記載の化粧建築板。
<13> 前記コーティングが、4MJ/m
2
未満の発熱量PCSを有することを特徴とする、<11>又は<12>のいずれか1つに記載の化粧建築板。
<14> 前記平滑化化合物層が、UV光で硬化された平滑化化合物を含み、且つ/又は前記カラーコート及び/若しくはカバー層が、UV光で硬化されたラッカーを含むことを特徴とする、<11>~<13>のいずれか1つに記載の化粧建築板。
<15> 前記建築板が、石膏結合建築板(特にプラスターボード、石膏繊維板)、又はセメント結合繊維板であることを特徴とする、<11>~<14>のいずれか1つに記載の化粧建築板。