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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】圧力ホース
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20220809BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20220809BHJP
   B32B 5/10 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F16L11/08 B
B32B1/08 B
B32B5/10
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020543838
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019018177
(87)【国際公開番号】W WO2019161170
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】16/193,411
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/632,350
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】モス,トム
(72)【発明者】
【氏名】グラント,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スプリング,カイル
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァネッティ,ケン
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,リック
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-017389(JP,U)
【文献】特開昭56-049478(JP,A)
【文献】特開2017-106553(JP,A)
【文献】独国特許発明第000010334673(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2009/0065084(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/08
B32B 1/08
B32B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力ホースの内部通路を形成するチューブ層と、
前記チューブ層を覆う単層補強層とを備え、
前記単層補強層は、
前記チューブ層の周囲に一体的に編組される、複数の経糸を有する複数のビームを備え、
前記単層補強層は、126%以上の補強材体積比(RVR)を有し、
被覆層が前記単層補強層を覆う
ことを特徴とする圧力ホース。
【請求項2】
前記RVRが133%以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項3】
各ビームに含まれる経糸の数が14以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項4】
前記チューブ層が、ポリマー材料、プラスチック材料、ゴム材料、あるいは、これらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項5】
前記チューブ層が、5重量%未満の白色フィラーを含むことを特徴とする請求項4に記載の圧力ホース。
【請求項6】
前記チューブ層の厚さが1.25mm~13mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項7】
前記複数の経糸が、金属材料、織物材料、プラスチック材料、ポリマー材料、アモルファス材料、結晶性材料、セラミック材料、あるいは、これらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項8】
前記複数の経糸が、カーボンファイバを含むことを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項9】
各ビームの前記複数の経糸が、経糸の第1グループと経糸の第2グループとを含み、前記経糸の第1グループの材料が前記経糸の第2グループの材料と異なることを特徴とする請求項1に記載の圧力ホース。
【請求項10】
前記経糸の第1グループが、カーボンファイバから形成され、前記経糸の第2グループが、スチールから形成されることを特徴とする請求項9に記載の圧力ホース。
【請求項11】
圧力ホースのための補強層であって、
中空、円筒形状に一体的に編組された複数のビームを備え、前記複数のビーム内の各ビームは複数の経糸を備え、
前記各ビーム内の複数の経糸は多層配置で配置され、前記ビーム内の前記経糸は異なる全長を有し、
前記複数のビームの各ビームは、同一の多層配置に配置される同数の経糸を備え、前記補強層内の全てのビームは同一の全長を有し、
前記補強層は、126%以上の補強材体積比(RVR)を有する
ことを特徴とする圧力ホースのための補強層。
【請求項12】
各ビーム内の経糸の数は、14以上であることを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項13】
各ビーム内の前記経糸の直径が0.2mm~0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項14】
各ビーム内の経糸が円形断面を有し、複数の経糸が第1の直径を有する第1のグループの経糸、および第1の直径より大きい第2の直径を有する第2のグループの経糸を含むことを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項15】
第1の直径を有する前記第1のグループの経糸が前記ビームの外側近くに配置され、第2の直径を有する前記第2のグループの経糸が前記ビームの中心近くに配置されることを特徴とする請求項14に記載の補強層。
【請求項16】
前記複数の経糸が、第1の断面形状を有する第1のグループの経糸と、前記第1の断面形状とは異なる第2の断面形状を有する第2のグループの経糸とを含むことを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項17】
前記複数の経糸が、第1の引張強度を有する第1のグループの経糸と、前記第1の引張強度より大きい第2の引張強度を有する第2のグループの経糸とを含むことを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項18】
第1の引張強度を有する前記第1のグループの経糸が、前記ビームの外側近くに配置され、第2の引張強度を有する前記第2のグループの経糸が、前記ビームの中心近くに配置されることを特徴とする請求項17に記載の補強層。
【請求項19】
前記複数の経糸が複数の炭素繊維経糸であることを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項20】
前記複数の経糸が、炭素繊維経糸である第1のグループの経糸、および鋼経糸である第2のグループの経糸を含むことを特徴とする請求項11に記載の補強層。
【請求項21】
圧力ホースの内部通路を形成するチューブ層と、
前記チューブ層の上に配置される補強層とを備え、
前記補強層は、
内側の第1層と、
外側の第2層とを備え、
前記第1層および前記第2層の両方が、
複数のビームがチューブ層の周りに一体的に編組され、前記各ビームが、
多層配置でグループ化された複数の経糸を備え、
前記複数のビームの各々が、同じ多層配置で配置された同じ数の経糸を含み、
前記補強層は、110%以上の補強材体積比(RVR)を有し、
前記内側の第1層と前記外側の第2層はそれぞれ、圧力ホースの中立角度よりも小さい編組角度を有し、
前記補強層の上に被覆層が配置される。
ことを特徴とする圧力ホース。
【請求項22】
前記中立角度が54°44 ’であり、前記内側の第1層の編組角度が、前記外側の第2層の編組角度よりも小さいことを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。
【請求項23】
前記内側の第1層の編組角度が、前記外側の第2層の編組角度の約94%であることを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。
【請求項24】
各ビーム内の前記複数の経糸が、撚られた構成で提供されることを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。
【請求項25】
前記複数の経糸が、2つ以上の材料から作製された複合経糸であることを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。
【請求項26】
前記複合経糸が同軸複合構造を有することを特徴とする請求項25に記載の圧力ホース。
【請求項27】
前記複合経糸がマトリックス複合構造を有することを特徴とする請求項25に記載の圧力ホース。
【請求項28】
各ビーム内の前記経糸が、サイズ、断面形状、材料、および引張強度のうちの2つ以上が異なることを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。
【請求項29】
各ビーム内の前記経糸が、サイズ、断面形状、材料、および引張り強さの3つ以上が異なることを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。
【請求項30】
各ビーム内の前記経糸が、サイズ、断面形状、材料、および引張強度のそれぞれが異なることを特徴とする請求項21に記載の圧力ホース。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本発明は、2018年11月16日に出願された米国特許出願第16/193,411号の優先権を主張するとともに、2018年2月19日に出願された米国仮特許出願第62/632,350号の優先権を主張し、その全てがここに参照として組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、改良された圧力ホースに関し、より具体的には、補強材体積比(RVR)が110%よりも大きい補強層を提供する「スーパーパック」構造を採用した補強層を備える改良された圧力ホースに関する。改良された圧力ホースの他の特徴には、RVRが126%よりも大きい単層補強層、補強層の両方の層が使用中に正味負の長さ変化を示す二層補強層が含まれる。
【背景技術】
【0003】
編組補強層を備える圧力ホースは従来から知られている。これまで知られている補強層の一般的な構造は、個々の経糸(ストランドとしても参照される)のグループを個々のビームに束ね、その後、内側チューブ層の外周の周りに複数のビームを編組することを一般的に含む。これまで知られている編組された補強層におけるバリエーションは、例えば、経糸に使用される材料、ビーム内の経糸の数、ビーム内での経糸の配置、採用される編組タイプなどに見出だせる。
【0004】
圧力ホースに様々な公知の編組補強層が使用されるにもかかわらず、編組補強層を有する圧力ホースの改良が依然として望まれている。例えば、従来知られている圧力ホースには圧力耐性に限界があり、高圧耐性が望まれる。場合によっては、より高い圧力ホースが製造できるが、例えば、圧力ホースの重量、および/または、柔軟性を犠牲にしている。ホースの能力の向上とともに柔軟性の向上も望まれる。
【0005】
既存の圧力ホースの設計における欠陥の具体的例の1つは、ビームが一貫した経路に従わない点である。ビームが編組全体を通して一貫した経路に従わないと、形状の変化により応力集中が発生し、編組の平均直径が偏倚される。このような形状の変化は、製品の静水圧性能とインパルス性能を不安定にする。これらの不安定さは、性能要件を満たさないという重大なリスクを生じる。
【0006】
したがって、上述した問題の一部または全てを改善する編組補強層を備える圧力ホースへの要求が依然存在する。
【発明の概要】
【0007】
この発明の概要では、詳細な説明で後述するコンセプトを抜粋し、簡略化した形で紹介する。発明の概要と上述された背景技術は、クレームされた主題の主要な側面、または本質的な側面を特定することを意図したものではない。更に、この発明の概要は、特許請求の範囲の主題を決定する際に参酌されることを意図したものではない。
【0008】
一部の実施形態では、圧力ホースは、圧力ホースの内部通路を画成するチューブ層、チューブ層を被覆する補強層、および補強層を被覆する被覆層を含む形で説明される。補強層は、チューブ層の周囲に編み込まれた複数のビームから構成される。各ビームは、複数の経糸から構成されてもよい。補強層は、110%以上の補強材体積比(RVR)を有する。
【0009】
一部の実施形態では、補強層が中空、円筒形を形成するように編組された複数のビームを含む圧力ホース用の補強層が説明される。各ビームは、多層配置(multi-layer orientation)で配置される複数の経糸を備える。多層配置は、ビーム内の経糸が全て同じ全長でないことを保証する。同一の多層経糸配置は、補強層を形成するために編組された全てのビームで使用され得る。全てのビームに同一の多層経糸配置を使用することは、補強層で使用される全てのビームの全長が等しくなるようにする。
【0010】
一部の実施形態では、圧力ホースの内部通路を画成するチューブ層、チューブ層を被覆する補強層、および補強層を被覆する被覆層を含む圧力ホースが説明される。補強層は、チューブ層の周囲に編組された複数のビームを含み、各ビームは多層配置でグループ化された複数の経糸を含む。複数のビームの各々は、同一の多層経糸配置で配置された同一の数の経糸を含む。このように形成された補強層は、110%以上の補強材体積比を有する。
【0011】
一部の実施形態では、圧力ホースが単層補強層、上述したビームおよび経糸構成を有する単層補強層、および126%を超える補強材体積比を有する圧力ホースが説明される。
【0012】
一部の実施形態では、圧力ホースが二層補強層を含み、各層が上述したビームおよび経糸の構成を備える圧力ホースが説明される。更に、補強層の各層は、圧力ホースが加圧されるときに、正味で負の長さ変化をするように構成されている。一部の実施形態では、正味で負の長さ変化をする特性は、各層の編組角度を圧力ホースの中立角未満とすることにより達成される。
【0013】
本明細書で説明される圧力ホースのこれらの側面および他の側面は、本明細書の詳細な説明および図面を通して明らかにされる。しかし、クレームされた主題の権利範囲は、特許された特許請求の範囲の記載によって特定されるものであり、対象とする主題が背景技術で指摘された何れかの問題または全ての問題に対処するかどうか、あるいは、発明の概要に記載した特徴や観点の何れかを含むかどうかで特定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
好ましい実施形態を含む、開示された軸受アイソレーターの非限定的、例示的な実施形態は、以下の図面を参照して説明され、同様の参照番号は、特に指定されない限り、個々の図面全体を通して同様の部品を指し示す。
【0015】
図1】本明細書で説明される様々な実施形態における圧力ホースの基本的な複合構造の断面図である。
【0016】
図2】本明細書で説明される様々な実施形態における編組補強層の平面図である。
【0017】
図3A】従来技術における経糸配置の断面図である。
【0018】
図3B】本明細書で説明される様々な実施形態におけるビーム内での使用に適した様々な経糸配置の断面図である。
図3C】本明細書で説明される様々な実施形態におけるビーム内での使用に適した様々な経糸配置の断面図である。
図3D】本明細書で説明される様々な実施形態におけるビーム内での使用に適した様々な経糸配置の断面図である。
図3E】本明細書で説明される様々な実施形態におけるビーム内での使用に適した様々な経糸配置の断面図である。
【0019】
図4A】本明細書で説明される編組補強層の寸法を説明するための編組補強層の簡略化された側面図と、螺旋の経糸の簡略化された拡大斜視図である。
【0020】
図4B】本明細書で説明される編組補強層の寸法を例示する目的でのチューブ層の上に編組された補強層の簡略化された断面図である。
【0021】
図5A】本明細書で説明される様々な実施形態による、経糸配置およびビーム配置の断面図である。
図5B】本明細書で説明される様々な実施形態による、経糸配置およびビーム配置の断面図である。
【0022】
図6A】従来技術における様々な経糸およびビームの配置の断面図を示す。
図6B】従来技術における様々な経糸およびビームの配置の断面図を示す。
図7A】従来技術における様々な経糸およびビームの配置の断面図を示す。
図7B】従来技術における様々な経糸およびビームの配置の断面図を示す。
【0023】
図8A】本明細書で説明される様々な実施形態における、異なる経糸直径を有する様々な経糸配置の断面図である。
図8B】本明細書で説明される様々な実施形態における、異なる経糸直径を有する様々な経糸配置の断面図である。
【0024】
図9A】本明細書で説明される様々な実施形態における、様々な引張強度端を有する様々な経糸配置の断面図である。
図9B】本明細書で説明される様々な実施形態における、様々な引張強度端を有する様々な経糸配置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態は、本明細書の一部を形成し、例として、特定の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分詳細に開示されている。しかしながら、実施形態は、多くの異なる形態で実装されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0026】
図1は、ここで説明される様々な実施形態の1つの圧力ホース100の断面図である。圧力ホース100の基本的な構造は、チューブ層110、補強層120、そして被覆層130を備える。チューブ層110は圧力ホース100の最も内側の層として機能し、補強層120は中間層として機能し、被覆層130は最も外側の層として機能し、チューブ層110と被覆層130は効果的に補強層120をカプセル化する。図1に示されるように、チューブ層110、補強層120、そして被覆層130は、互いに同心円状に配置される。
【0027】
チューブ層110は、伸長された、中空の、円筒形状を呈する。圧力ホース100の最も内側の層であるチューブ層110は、媒体が流通可能な圧力ホース100の内側通路を形成する。チューブ層110の内径D(すなわち、圧力ホース100の流通路の直径)、チューブ層110の外径、そしてチューブ層の厚さ(すなわち、チューブ層の内径Dと外径の間の距離)は、一般的には限定されるものではなく、圧力ホースが使用される特定の用途に基づいて選択可能である。一部の実施形態では、チューブ層110の内径Dは、3mmから127mmの範囲にあってもよく、例えば6mm~51mmである。チューブ層110の厚さは、1.25mm~13mmの範囲にあってもよく、例えば2mm~5mmである。ここで説明されるホース100のチューブ層110は、従来知られている圧力ホースにおいて必要とされる程、補強にたよる必要がないので、一部の実施形態では、チューブ層110の厚さは、従来知られている圧力ホース用のチューブ層の厚さよりも薄くてもよい。以下においてより詳細に説明されるように、チューブ層110は、ここで説明される補強層120が、大幅に改善された補強特性を示すため、ホース100に補強を提供する必要はない。
【0028】
チューブ層110の材料もまた一般に限定されるものではなく、圧力ホースに適切な材料、および/または、圧力ホース100内を流通する特定の媒体の扱いに適切なものであれば如何なる材料でもよい。チューブ層の材料としての使用に適した材料の一般的な種類には、ゴムとプラスチックが含まれる。使用に適したゴム材料の具体例としては、天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレン(CR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、塩素化ポリエチレン(CPE)などが挙げられる。使用に適したプラスチック材料の具体例としては、ポリアミド(PAまたはナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が挙げられる。チューブ層に使用できる材料の他の一般的な種類には、薄い金属層、可撓性を有する金属構造、熱可塑性加硫物(TPV)、および熱可塑性ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミドなどの他のエラストマーが含まれる。
【0029】
一部の実施形態では、チューブ層110は、多数の同軸方向に整列された異なる材料の層からなるチューブ層のような複合材料である。このような複合構造は、任意の数の層を含んでいてもよく、また、上述した任意の材料を組み合わせて、任意の順序のものを含んでもよい。例えば、複合材料は、プラスチック材料の1層以上、ゴム材料の1層以上、およびポリマー材料の1層以上を含んでもよい。様々な層の順序は、例えば、プラスチックの最も内側の層、ゴム中間層、そしてポリマーの外層であってもよいが、層の他の順序も全て可能である。
【0030】
一部の実施形態では、チューブ層110の材料は、伝統的に様々な理由で圧力ホース内のチューブ層としての使用に適しているとは考えられていなかったであろう材料から構成される。例えば、一部の実施形態において、チューブ層材料は、低圧ホースで一般的に使用されるチューブ層材料のような低性能な材料であってもよい。より低い性能のチューブ層材料の使用は、後述するより詳細に記載される補強層120の性能特性のために可能であり得る。すなわち、ここで説明される補強層120による補強特性の強化により、補強のためチューブ層にたよる必要がないため、低性能のチューブ層材料は、ここで説明されるホース100の使用に適しているであろう。ここで説明されるホース100のチューブ層110に使用できる代表例は、低圧ホースで一般的に使用される粘土材料チューブ層のような粘土材料であり、これは、これまでは圧力ホースに適しているとは考えられなかった低性能材料である。
【0031】
代替的に、チューブ層110の材料は、特別な高性能なチューブ層材料から作製されてもよい。このような特別な材料の使用は、ここで説明される補強層120の特性と高性能なチューブ層材料の特性を組み合わせることによって、圧力ホース100の性能を拡張し得る。この組合せは、高性能チューブ層材料および従来知られている補強層材により、これまでに達成されたものよりも高い性能を示すホース100を提供し得る。
【0032】
チューブ層110の材料がゴムである場合などの一部の実施形態では、チューブ層110の材料は「白色」フィラーを実質的に含まない。一般的に言えば、ゴム材料は「黒色」フィラーおよび/または「白色」フィラーで充填できる。黒色フィラーは、ゴムの物性に構造と強度を与える充填材を指す。典型的な黒色フィラーはカーボンブラックである。白色フィラーは、熱硬化性プロセスにおける化学反応のバランスをとるため、および/または、体積を増加させるために使用される充填材を指す。典型的な白色フィラーには、粘土およびタルクが含まれる。チューブ層110に用いられる材料には、適当な量の黒色フィラーが含まれてもよい。しかし、一部の実施形態では、チューブ層の材料は、白色フィラーを含まない、または実質的に白色フィラーを含まない。ここで白色フィラーの量に関しする使用において、実質的に含まないとは、チューブ層の5重量%未満を意味する。
【0033】
代替実施形態では、チューブ層110は、より多くの充填材を含み、その量は、「黒色」フィラー、「白色」フィラー、またはその両方のいずれであっても、圧力ホースで使用されるチューブ層に従来与えられたものよりも多く含まれる。チューブ層110におけるより多くの充填材の使用は、後により詳細に説明される改良された補強層120において、補強のためのチューブ層への依存性が低下することによって可能である。充填材含有量を増加させたチューブ層110を用いることの主な利点は、一般的にチューブ層のコストが、充填材含有量がより少ないチューブ層よりも安くなるということにあり、ホース100の性能特性を犠牲にすることなくホース100の全体的なコストを低減される。
【0034】
チューブ層110の内部、および/または、外部表面は、内部、および/または、外部表面に様々な要求特性を付与するために、必要に応じて処理、および/または、コーティングすることができる。例えば、内部表面は、化学的適合性のための耐薬品性をチューブ層110に付与するために処理またはコーティングされてもよい。外部表面は、チューブ層110と補強層120との密着性を向上させ、続く補強層120の張り合わせに適したチューブ層110とするために、処理またはコーティングされてもよい。内部および/または外部表面に対する代表的な処理には、化学プライマーの塗布、様々な組成物のゴム層の使用、および処理された布地層の適用が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0035】
図1は、単独のチューブ層110を備える圧力ホース100を例示しているが、圧力ホースは複数のチューブ層110を含み得る。すなわち、チューブ層110は、2以上の同心円状に整列された層から成る複合構造とすることができる。多層チューブ層110の各層は、同じ材料、同じ基材、異なる充填剤、異なる表面処理等により製造してもよく、または、多層チューブ層110の異なる層は、1以上のプラスチックベースの層と1以上のゴムベースの層を設けるなど、異なる材料で製造してもよい。多層チューブ層110は、強度の向上、化学的適合性の向上、耐薬品性の向上など、圧力ホース100の個別の用途において求められるであろう様々な特性をチューブ層に付与するために使用することができる。
【0036】
図1を更に参照すると、チューブ層110上に貼り付けられるのは補強層120である。補強層120は、チューブ層110上に直接形成することができ、すなわち、チューブ層110と補強層120との間に中間材料または層を一切含まずに形成することができる。代わりに、チューブ層110への補強層120の接着を促進する層または材料などとして、中間材料または層を、チューブ層110と補強層の間に設けることができる。補強層120とチューブ層110の間に中間層を設けない場合、補強層120は一般的にチューブ層110の外径と略等しい内径を有する。補強層の厚みは一般に限定されず、以下で詳しく説明するとおり、ビーム当たりの経糸の数、ビーム内の経糸の向き、補強層内の層の数など、補強層の具体的な構造に基づいて変化する。補強層120は、一般的にチューブ層110と共に広がり、これは、補強層120の長さが、一般にチューブ層110の長さに略等しくなることを意味し、補強層120がチューブ層110の全長に亘って設けられる。
【0037】
図2を参照すると、補強層は一般に1層以上からなり、各層は、個々のビーム122を形成するために束ねられた複数の経糸121を含み、複数のビーム122はチューブ層110上に編組されて補強層120の層を形成する。一般的に言えば、偶数のビーム122が編組補強層120の層を形成するのに用いられ、ビームの半分は時計回り螺旋であり、残りの半分のビームは反時計回りの螺旋である。反時計回りのビームと時計回りのビームは、補強層120の層で使用されるビームの合計数の半分に等しい偶数の螺旋を形成するために対になる。
【0038】
経糸121は、この技術分野ではストランドとも呼ばれ、ワイヤ形状など、一般に細長い円筒体形状をなす。経糸121は、それらが編組されたホース110の全長に亘る連続的経糸である。経糸121の直径は、一般に限定されず、編組された圧力ホースでの使用に適した任意の直径とすることができる。一部の実施形態では、経糸121の直径は0.2mm~0.5mmの範囲内で、例えば0.25mm~0.33mmである。後に詳述するように、一部の実施形態では、補強層120の層内の経糸121の全てが同じ直径を有するが、他の実施形態では、補強層120の層に使用される経糸121の直径は一様でない。
【0039】
経糸121の材料は、一般に限定されず、編組された圧力ホースに用いられる経糸に適した任意の材料であり得る。経糸121の材料としての使用に適した材料の一般的な種類には、金属、織物、およびプラスチックが含まれる。使用に適した金属材料の具体例としては、真鍮で被覆した鋼、亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼などがある。使用に適した繊維材料の具体例には、レーヨンとアラミド(パラおよびメタ)が含まれる。使用に適したプラスチック材料の具体例には、ポリエステルおよびナイロンヤーンが含まれる。経糸121に使用できる材料の他の一般的な種類には、抗張繊維やフィラメントが含まれる。
【0040】
経糸121に適し得る他の材料には、セラミック繊維、ポリマー繊維、非晶質または結晶性繊維(例えば、ガラス繊維)、および炭素繊維が含まれる。一部の実施形態では、炭素繊維が、経糸121の材料として特に有用である。
【0041】
複合構造を有する経糸121も使用できる。経糸121の特定の複合構造は限定されず、例えば多層複合構造、またはマトリックス複合構造が含まれ得る。複合構造を使用する場合、同じ経糸の一部として異なる材料を使用することができ、多層複合構造では、内部コアを第1材料とし、内部コアを覆う異なる材料からなる1以上の同軸的に整列された層をこれに続けることができる。上述された経糸材料の何れも、任意の組み合わせで、任意の適切な複合構造で使用することができる。
【0042】
一部の実施形態では、経糸121は、更にコーティングやクラッディング層を含んでいてもよい。このようなコーティングまたはクラッディングは、経糸121の一部または全部に設けることができる。コーティング、および/またはクラッディングは、経糸121に様々な異なる特性を付与するために利用できる。例えば、腐食防止または抗ストレスコーティングを経糸に施すことができる。一例では、プラスチックコーティングなどの抗ストレスコーティングを、炭素繊維の経糸121に施してもよい。炭素繊維は一般的に軸方向には強いが、長手軸に横向きの方向には弱く、炭素繊維の経糸にプラスチックコーティングを施すことは、経糸をその横方向に補強するのに役立つ。
【0043】
補強層120の層に用いられる経糸121は、何れも引張強度を有する。一部の実施形態では、経糸121に用いられる材料は極超高張力ワイヤ材料である。ここで使用される用語「極超高張力」は、3,050~3,350MPaの範囲で引張強度を有することを意味する。極超高張力ワイヤ材料よりも低い引張強度を有する材料も使用でき、例えば、引張強度が2,150MPaの低い鋼線や、更に低い引張強度を有する繊維材料なども使用することができる。一部の実施形態では、補強層120で使用される全ての経糸121は、同じ引張強度を有する材料からなる(高引張強度か否かに関わらず)。別の実施形態では、後により詳細に説明されるように、補強層120の層で使用される経糸121は、異なる引張強度を有してもよい。
【0044】
図2を引き続き参照すると、個々の経糸121のグループは、ビーム122の形態で設けられている。ビーム122当たりの経糸121の数は、一般に限定されない。一部の実施形態では、ビーム122当たりの経糸121の数は、2以上から100,000、あるいはそれ以上の範囲にある。一部の実施形態では、ビーム122当たりの経糸121の数は10~16の範囲にある。ビーム122当たりの経糸121の数は、補強層120で使用される各ビーム122内で異なってもよい。しかし、一部の好ましい実施形態では、以下により詳しく説明されるように、ビーム122当たりの経糸121の数は、補強層120の層で使用される全てビーム122に亘って均一である。
【0045】
各ビーム122の経糸121は、同じ材料から作製されてもよいし、異なる経糸材料をビーム内に提供してもよい。例えば、一部の実施形態では、ビーム122は複数の経糸121を含み、そのうちのいくつかは第1の材料を作製され、その一部は第1の材料とは異なる第2の材料から作製される。経糸材料の任意の組み合わせには、2つの異なる経糸材料、3つの異なる経糸材料、またはそれ以上が含まれ、ビーム122内で使用することができる。1つの非限定的な例において、ビーム122は、鋼線から作られた経糸121、および炭素繊維から作られた経糸121を含む。
【0046】
ビーム122に束ねられた場合に経糸121が層状化されて配置される方法は、一般に限定されない。図3Aに示す経糸の配置など、従来知られている経糸の配置では、1つ以上の隣り合う経糸121の間に隙間が設けられ得る形で、全ての経糸121が1つの層に並んで整列される。しかしながら、ここで説明される補強層120の一部の好ましい実施形態では、経糸121は、多層(2以上)配置でビーム122に束ねられる。図3B~3Eは、ビーム122に使用できる様々な多層配置を示す。例えば、図3Bでは、ビーム122内の経糸121の配置は、隣り合わせの6つの経糸121からなる第1層を含み、通常第1層を中心として、その上には隣り合わせの3つの経糸121からなる第2層を設けられる。図3Cには、隣り合わせの6つの経糸121からなる第1層を含む、3層経糸の配置が示され、その上には隣り合わせの3つの経糸121からなる第2層が設けられ、その上には隣り合わせの2つの経糸121からなる第3層が設けられる。図3Dには、2層経糸の配置が示され、経糸の第2層は、第2層内の隣接する1以上の経糸121の間に隙間を有する。図3Eは、図3Cの経糸配置と同様の経糸配置を示しているが、第1層と第3層では経糸121の数が異なる。図3Cおよび図3Eに示す経糸配置は、任意の数の経糸を任意の数の層に配置して、任意の数の異なるジオメトリで作成できることを再確認させる。
【0047】
図3B~3Eに示すように、全ての経糸121は円形断面を有する。しかし、経糸は他の断面形状を有することができることを理解すべきである。ここで説明される実施形態での使用に適した他の経糸断面には、楕円形、三角形、正方形、長方形、ひし形、六角形や、その他の形状が含まれる。また、ビーム122内の経糸121の断面形状は均一であってもよいし、ビーム122は、円形の経糸、楕円形の経糸、そしてひし形の経糸からなる経糸を有するビーム122のように、複数の異なる断面形状を含むものであってもよい。任意の経糸断面形状の組み合わせが適用できる。
【0048】
異なるサイズと形状の経糸の混合と、異なる配置は、「スーパーパック」編組の体積比に対する表面積を最適化することを可能にする。円形断面の典型的な低エネルギーの構成は、六角形の最密パック配置であり、これは、構成要素間の空きスペースの量を最小限に抑えるように円形断面領域を一体的に維持する機能により束縛する。経糸の径サイズ、形状、配置を振り分けることにより、同じ編組体積において、より多くの補強部材を収容可能とする。また、断面形状を六角形または他の形状に変更することにより、補強材を同じ体積内により多く配置することができる。
【0049】
図3B~3Eのそれぞれに示されるように、経糸121が多層配置で提供される場合、これにより、補強層120の経糸121の一部が、補強層の他の経糸121よりも全長が長くなることが保証される。例えば、上の層の経糸は、それがチューブ層110の周りに巻かれるとき、より小さい直径の螺旋経路に沿って移動する下の層のストランドよりも大きな直径の螺旋経路に沿って移動することから、ビーム内の経糸の積層部(stack)の上の層にある経糸は、同積層部の下の層の経糸よりも全長が長くなる。
【0050】
一部の実施形態では、ビーム122内の経糸121は、ビーム122の長さ方向に沿って相互に直線経路に沿って整列される。また、ビーム122内の経糸121は、ビーム122内の全経糸121内に撚った構造で配置することができ、ビーム122内の全ての経糸121が、長さ方向に沿って時計回りまたは反時計回りに撚られ、各経糸はビーム122の長さ方向に沿って螺旋経路に従う。この螺旋経路は、ビーム122が補強層120を形成する一部としてチューブ層110の周囲を編組されると、ビーム122が通るであろう螺旋経路とは別物であり独立している。
【0051】
各ビーム122内の経糸121の配置は、ビームとビーム、またはビームのグループ間で異なってもよい。しかし、以下でより詳細に説明されるように、一部の好ましい実施形態では、経糸121の配置は、補強層120の層で使用される全てのビーム122の中で同一である。補強層120の層内で経糸配置が全てのビーム122に亘って一様である場合、これはすべてのビーム122が補強層の長さに亘って同じ長さを有することを保証する。
【0052】
ビーム122は、チューブ層110の周りに編組されることによって補強層120の層を形成する。任意の編組パターンが、チューブ層110周りの補強層120の層を形成するのに用いられる。一部の実施形態では、2×2の編組が使用され、各ビーム122は2本の横ビームの下を行った後、2本の横ビームの上を行くパターンを繰り返す。3×3の編組パターンも利用できる。当業者に知られているように、編組機械は、チューブ層110の上にビーム122の編組を行い、補強層の層を形成するために使用することができる。一般的に言えば、編組機械は、補強層120に含まれる各ビーム122のためのキャリアを備える。このようにして、補強層内の螺旋の数は、式(1)により決定できる。
【数1】
【0053】
一部の実施形態では、ここで説明される圧力ホース100に用いられる補強層120は、110%以上の補強材体積比(RVR)を有する。補強層120が単層構造である場合、補強層120のRVRは、補強層の単層のRVRと同じである。補強層120が2層以上を含む場合、各層の具体的な組成と平均螺旋径に基づいて、補強層120の個々の層毎にRVRの値が計算される。補強材体積比(RVR)は、式(2)により算出される。
【数2】
ここで、nendsは、螺旋の中の経糸の数、Φは平均螺旋径、そして円筒セグメント長さ(CSL)は、式(3)により算出される。
【数3】
ここで、End Diameterは経糸の直径であり、θは編組角度である。
【0054】
図4A及び4Bは、上記計算式で使用される個々の寸法の説明を提供する。図4Aには、チューブ層110の周囲に螺旋経路で編組されたビーム122の簡略化された側面図が示される。中心線長手方向軸123が図4Aに示され、編組角度θは、それらの交点において、ビーム12と中心線長手軸123の間の角度として示される。図4Aは、また、編組角度θで配置されたビーム122の経糸121の拡大された斜視図も提示する。円柱セグメント長さは、編組角度θで配置された経糸121の垂直断面を取るときに形成される楕円の長軸の長さであり、前述したように、経糸の直径dを編組角度θの余弦で割ることで算出できる。図4Bは、平均螺旋径を示し、これは螺旋のビーム122が交差するところで測定される螺旋の直径である。
【0055】
110%以上のRVRは、図5A、5Bに示すように、「スーパーパック」の経糸配置とビーム配置が提供される場合に与えられる。この「スーパーパック」の設計は、各ビーム内の経糸配置に対して全てのビームが同一であって、補強層内の全てのビームの全長が同一である補強層を配置するとともに、ビーム内の全ての経糸が同じ全長とはならない(すなわち、外側の層の経糸はより大きな螺旋直径の経路を通るため、外側の層の経糸が内側の層の経糸よりも長い)ように各ビーム内に層状の経糸配置を配置することによって具体的に達成される。図5A、5Bは、この構成を有する補強層の簡略化された断面図を示しており、各ビーム122は、経糸の全長が異なることができる層状の経糸配置を備える。更に、補強層内の全てのビーム122は、一様なビーム長を提供するため、同じ経糸配置(この場合、1つの経糸を有する層と2つの経糸を有する層)を有する。
【0056】
図5A、5Bの「スーパーパック」の経糸配置とビーム配置は、図6A、6Bに示される従来の経糸配置およびビーム配置と対比される。従来の設計では、経糸121は各ビーム122内において単一層として全て平らに横たえられていた。それにより、経糸121は、全て同じ経糸長を有した。更に、全てのビーム122は、この単層フラット経糸配置を有し、それによって全てのビーム122が同一のビーム長を有する。図6A、6Bに示される従来の経糸配置およびビーム配置は、99%以下のRVRを提供する。
【0057】
図5A、5Bの「スーパーパック」の経糸配置とビーム配置は、図7A、7Bに示す「デッドゾーン」の経糸配置とビーム配置とも対比される。「デッドゾーン」設計において、ビーム122内の経糸121は、単層で平坦に配置されるか、または層状の経糸配置を有する。これは、少なくとも一部のビームは、経糸長が異なる層状の経糸配置を有していることから、全ての経糸121が同じ経糸長を持つわけではないことを意味する。更に、ビーム122は、ビーム122間で異なる経糸配置(単層または層状)が使用されるため、ビーム長が異なる。図7A、7Bに示す「デッドゾーン」の経糸配置とビーム配置は、99%を超えるものの110%未満のRVRを提供する。
【0058】
上述したように、ここで説明される圧力ホース100の補強層120は、110%以上のRVRを有し、このRVR値は図5Aおよび図5Bに示す「スーパーパック」の経糸配置およびビーム配置を用いて得られる。好ましい「スーパーパック」の設計は同一のビームを必要とするが、各ビーム内で使用される特定の経糸の配置は一般に限定されず、層状の経糸配置が用いられる。図3B~3Eは、「スーパーパック」の設計で使用できる層状の経糸配置の例を示す。
【0059】
層の数と層当たりの経糸数に加えて、ビーム内の経糸配置の他の特徴としては、ビーム内の経糸の直径とビーム内の経糸の引張強度が含まれる。図8Aおよび図8Bを参照した「スーパーパック」の設計の使用に適した多層経糸配置は、経糸121の直径がビーム122内でどのように変化し得るかを示している。具体的には、図8Aは、ビーム122の両端の経糸121aが、ビーム122の中央部の経糸121bの直径よりも小さい直径を有するものを示し、図8Bは、ビーム122の側面からビーム122の中央に向けて徐々に直径が大きくなる経糸121a、121b、および121cを示す。図示しないが、ビーム内の経糸の径の他のバリエーションも使用することができ、例えば、ビームの両側に大径の経糸を配置するとともにビームの中央に小径の経糸を配置する構成、小径の経糸を下層に配置するとともに大径の経糸を上層に配置する構成、そして大径、小径の経糸をビームの経糸配置全体にランダムに配置する構成などがある。
【0060】
図9A、9Bを参照した「スーパーパック」の設計の使用に適した多層経糸配置は、経糸121の引張強度がビーム122内でどのように変化し得るかを示している。具体的には、図9Aでは、ビーム122の両側に、中間部の経糸121bの引張強度よりも低い引張強度を有する経糸121aが示され、図9Bでは、ビーム112の両側からビーム122の中央に向かって徐々に高い引張強度を有する経糸121a、121bおよび121cが示される。図示されないが、ビーム内の経糸の引張強度に関して、他の態様も使用することができ、例えばビームの両側により高い引張強度の経糸を配置し、ビームの中央部により低い引張強度の経糸を配置する構成、より高い引張強度の経糸を上層に配置し、より低い引張強度の経糸を下層に配置する構成、異なる引張強度の経糸をビームの経糸配置全体にランダムに配置する構成などがある。
【0061】
上述した異なる直径の経糸と異なる引張強度の経糸の任意の組み合わせも使用できる。例えば、経糸配置は、ビームの両側により小径で引張強度がより低くい経糸を有し、ビームの中央部により大径で引張強度がより高い経糸を有することができる。
【0062】
図1を再び参照すると、単層の補強層120を有する圧力ホース100が示されている。しかし、圧力ホース100は、複数の層からなる補強層120を含み得ることに留意すべきである。一部の実施形態では、一方が他方の上にある2つまたは3つの層が補強層120を構成するが、3つを超える補強層も可能である。複数の層が補強層120に使用される場合、個々の層は、負荷を最適化するように相互作用するように特定の機械的コンプライアンスで設計される。その結果、2軸応力が引張強度に強く影響する材料(鋼線など)において摩擦は正常である。
【0063】
多層補強層が設けられる場合、補強層の隣接する層の間の中間層として高分子摩擦層を設けてもよいが、そのような高分子摩擦層は必須ではない。使用される場合には、ポリマー摩擦層の材料は、ここで説明されるチューブ層110またはカバー層130に使用される材料と同種または同一であってもよく、そしてポリマー摩擦層の厚さは、0.1mm~2.5mmの範囲で可能である。
【0064】
一部の実施形態では、圧力ホースの多層補強層120の各層は、「スーパーパック」設計を使用して、個々の層のRVRが110%を超えることを確実にする。前述したのと同じ方法を用いて、各層のRVR値を計算でき、複数の層で構成される補強層のRVRは、補強層を構成する各層のRVR値の平均とすることができる。多層補強層に平均RVR値を使用する場合、RVRが110%を超える多層補強層を提供しながらも、単層のRVR値を110%未満にすることができる(したがって、「スーパーパック設計」であると見なされる)。
【0065】
ここに開示される圧力ホースの特定の実施形態では、ホース100の補強層120は、補強層120のRVRが126%より大きい単層補強層120の特定の特性を有する。この特定の設計は、例えば、同様の容積により多くの編組材料を配することにより、従来知られている圧力ホースの性能特性と同等以上の性能特性を提供する。
【0066】
上述したように、補強層120は、チューブ層110の周りに時計回りおよび反時計回りの螺旋状に編組されたビームの単一層でできている。単層構造は、製造を簡素化し、圧力ホースの全体的なサイズを縮小するだけでなく、材料コストを削減し、補強層の複数の層の間の相互作用から生じる可能性がある複雑さを排除し得る。しかし、単層補強層のRVR値が126%を超えるため、設計が単純化されていてもホースの性能は低下しない。
【0067】
上述した特有な実施形態では、単層補強層120のRVRは126%を超え、より好ましくは133%を超える。単層補強層のRVRの上限は、一般に制限されないが、一部の実施形態では、例えば約160%の範囲である。
【0068】
一部の実施形態では、126%を超えるRVR範囲は、一般に、既知のホースと同様の体積でより多くの編組材料を配置することで達成できる。多くの変数を調整してRVRが126%を超える単層補強層を作製できるが、一部の実施形態では、補強層を構成するビームの経糸の数の増加、および/または、経糸の直径の増大が、主にRVR値の増加に寄与する。先に提示された数式2と数式3に見られるように、経糸の数と直径の両方が式の分子に現れる値であり、これらの値の何れかまたは両方の増大がRVR値をどのように増加するかを表す。一部の実施形態では、経糸の数は12より多く、より好ましくは14以上である。一部の実施形態では、経糸の直径は、0.25mm~0.33mmの範囲にある。
【0069】
ここに開示される圧力ホースの別の特定の実施形態では、ホース100の補強層120は、両方の層が正味の負の長さの変化を有する2層補強層120の特有の特徴を有する。正味の負の長さの変化は、ホースに圧力がかかっているときに層の長さが短くなる方法を意味し、したがって、この特定の実施形態では、補強層の両方の層は、ホースが圧力下にあるときに層の全長が短くなる。
【0070】
補強層120の層が圧力下で正味の負の長さの変化をするか、正味の正の長さの変化をするかは、層で使用されるビームの編組角θ、特に編組角θが中立角より大きいか小さいかによって決定される。ここに説明される圧力ホースに関して、中立角度は54°44’であり、54°44’未満の編組角度θでは、層の長さは圧力下で減少し(層の直径は対応して増加する)、一方、54°44’より大きい編組角度θでは、層の長さは圧力下で増加する(層の直径は対応して減少する)。したがって、ここで説明される特定の実施形態では、圧力下で正味の負の長さの変化を確実にするために、補強層120の両方の層は54°44’未満の編組角θを有する。
【0071】
補強層の両方の層の編組角度θは54°44’未満である一方、内側の層の編組角度θは外側の角度の編組角度θよりも小さい。一部の実施形態では、内側の層の編組角度θと外側の層の編組角度θとの間の関係では、内側の層の編組角度θが外側の層の編組角度θの約94%である。一部の実施形態では、内側の層の編組角度θは約49°~約53°の範囲にあり、一方、外側の層の編組角度θは、約52°~約54°44’の範囲にある。非限定的な例としての一例では、内側の層の編組角θは約50°であり、外側の層の編組角θは約54°である。
【0072】
図1に戻ると、圧力ホース100は、補強層120の上に設けられるカバー層130を備える。カバー層130は、補強層120上に直接、すなわち、補強層120とカバー層130との間に中間材料または層なしに形成することができる。また、補強層120へのカバー層130の接着を促進する層または材料などの中間材料または層を、補強層120とカバー層130との間に設けることができる
【0073】
カバー層130の内径、カバー層130の外径、およびカバー層130の厚さ(すなわち、カバー層の内径と外径との間の距離)は、一般に限定されず、圧力ホースを使用する特定の用途に基づいて選択できる。補強層120とカバー層130との間に中間層が設けられていない場合、カバー層130は、一般に補強層120の外径とほぼ等しい内径を有する。一部の実施形態では、カバー層130の内径は、13mm~25mmなど、例えば6mm~153mmの範囲にある。カバー層130の厚さは、0.125mm~6mm、例えば0.75mmから2mmの範囲にあってもよい。
【0074】
カバー層130の材料もまた一般に限定されず、圧力ホースの外部カバー層に適した任意の材料であればよい。カバー層の材料としての使用に適した材料の一般的な種類には、ゴム、ナイロン、プラスチックが含まれる。使用に適したゴム材料の具体例には、天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルビニルブレンド(例えば、NBR/PVC)、塩素化ポリエチレン(CPE)、および塩素化スルホン化ポリエチレン(CSM)が含まれる。使用に適したプラスチック材料の具体例には、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリプロピレン(PP)が含まれる。カバー層130に使用できる他の材料の一般的な種類には、TPVなどのエラストマー、薄い金属シート、柔軟な金属構造、および編組繊維の追加の層(例えば、ガラス、ポリマー、または金属)が含まれる。
【0075】
カバー層130の材料がゴムである場合などの一部の実施形態では、カバー層130の材料は、「白色」フィラーを含まないか、または実質的に含まない。一般的に言って、ゴム材料は「黒色」フィラーおよび/または「白色」フィラーで充填することができる。黒色フィラーとは、ゴムの物理的特性に構造と強度をもたらすフィラーのことである。典型的な黒色フィラーはカーボンブラックである。白色フィラーとは、熱硬化プロセスにおける化学反応のバランスを調整するため、および/または、体積を増やすために使用されるフィラーのことである。典型的な白色フィラーには、粘土およびタルクが含まれる。カバー層130に使用される材料は、適切な任意の量の黒色フィラーを含むことができる。しかしながら、一部の実施形態では、カバー層130の材料は、白色フィラーを含まないか、または実質的に白色フィラーを含まない。ここで白色フィラーの量に関して実質的に含まないとは、カバー層の5重量%未満を意味する。
【0076】
カバー層130の内面および/または外面は、内面および/または外面に様々な所望の特性を付与するために、選択的に処理および/またはコーティングすることができる。例えば、カバー層130が補強層120により接着するように、内面を処理またはコーティングすることができる。外面は、それが使用される環境に対して、カバー層130がより高い耐性および/または不浸透性を備えるように処理またはコーティングされてもよい。一部の実施形態では、カバー層130の外面には、ゴムまたはプラスチックの化粧張り(例えば、UHMWPEの化粧張り)が設けられる。一部の実施形態では、螺旋状の窪みなどの機械的処理が、曲げを助けるために外面に施される。
【0077】
図1は、単一のカバー層130を備える圧力ホース100を示しているが、圧力ホース100は、2つ以上のカバー層130を含むことができると理解されるべきである。言い換えると、カバー層130は、2つ以上の同心円状に整列した層から作製された複合構造であり得る。多層カバー層130の各層は、同じ材料、同じ基材で作ることができるが、フィラー含有量、表面処理などが異なるか、または多層カバー層130の異なる層を異なる材料で作ることができる。例えば、1つ以上のプラスチックベースの層および1つ以上のゴムベースの層を設けることができる。多層カバー層130は、圧力ホース100の特定の意図される用途に基づいて望ましいであろう様々な特性、例えば、ホースが使用される外部環境に対して向上された強度、向上された耐腐食性などを、カバー層に提供することに使用できる。
【0078】
本明細書で説明する「スーパーパック」編組構成を使用すると、製品の末端部に改善をもたらすことができる。顧客が使用する前に、製品の端部は、通常、圧力ホース内の加圧された媒体を維持するため、外部環境から密封するカップリングアセンブリを使用する必要がある。カップリングアセンブリは、顧客システムへの取り付けのためのメカニズムも備えている。カップリングアセンブリは、アセンブリを製品であるホースに押圧することより使用でき、編組補強材は押圧に対して元に戻るような応答をする。ここで説明される「スーパーパック」構造により、カップリングアセンブリの圧縮状態を最適化して、圧力シールの機能を改善し、カップリングの周りのチューブからの媒体の漏れなどの障害を排除できる。「スーパーパック」編組のより高い体積密度は、排出された媒体が外部環境に到達するために移動する曲がりくねった経路を形成することにより、圧力によるチューブから補強層および被覆層への漏れに対して更なる改善をもたらす。
【0079】
ここで説明されるホース製造方法は、補強層を製造する方法を含むものであるが、一般に限定されない。一部の実施形態では、圧力ホースの製造は、押出しによってマンドレルなしで、または可撓性または剛性のマンドレル上に押出し、積層、またはラッピングにより形成可能な内側チューブから始まる。補強層によって付与されるサポートにより、より薄いチューブ層が可能である。これは、代わりに、代替のチューブ材料が、マンドレル上に、またはすでに形成された補強層の内部に直接、押し出し、液体コーティング、または粉体コーティングのスプレーなどのあまり一般的でない方法でコーティングできることを意味する。
【0080】
補強層のビームは、適切な数の経糸を備えた事前に巻かれたボビンを購入するか、または、複数の供給スプールを使用して設計に適した経糸構成のボビンを作製するために巻線機を使用して作製される。補強層の編組は、通常、ボビンが各マシンキャリアに配置される2×2および3×3構成のロータリーおよびメイポールなどの一般的な編組プロセスによって生成される。編組機は、垂直または水平の構成で配置することができる。スーパーパック設計の性質により、ここで説明する補強層は、さまざまな構成の多くのタイプの編組機で製造できる。スーパーパック編組は、ラミネートまたはラップされたファブリック、ポリマーシート、金属シート、またはスパイラルテキスタイルまたはワイヤと組み合わせることもできる。
【0081】
被覆層(およびオプションの摩擦層)は、クロスヘッド押出、ラミネーション、またはラッピングによって設けられる。液体コーティング、スプレー、または粉体コーティングなど、他のさまざまなプロセスを使用することもできる。
【0082】
製造プロセスで熱硬化性または硬化性の材料を使用する場合、ホースはカバーなしで(オプションで潤滑剤を使用して)処理するか、プラスチックまたは布でカバーすることができる。硬化は、多くの場合、加圧蒸気を適用して行われる。しかしながら、熱風対流、塩または他の媒体の流動床、赤外線曝露、マイクロ波などの他の加熱手段も使用することができる。必要に応じて、マンドレルは、加圧された流体によって引き抜かれるか、ダイを通して引っ張られるか、または他の方法およびそれらの組み合わせによって引き出される。
【0083】
ここで説明する圧力ホースは、重量の削減(最大40%)、最小曲げ半径の削減(最大70%)、柔軟性の向上(曲げる力を最大30%減らすことなど)などの製品のアドバンテージを提供できる。これらの改良の一部または全てを使用して、全ての材料の機能を改善できる。低コストで、より一般的な材料を使用して幅広い用途に対応でき、高性能材料を使用して編組製品の用途をこれまでサービスできなかった新しい領域に拡張できる。これらのアドバンテージの一部または全ては、既存の製品の編組補強層の数を減らしながら達成できる。ここで説明される圧力ホースによる静水圧性能および衝撃圧力性能の向上は、従来既知の製品とは異なり、必要要件を満たす安定した製品性能として達成される。
【0084】
ホースの圧力性能の向上は、ここで説明するスーパーパックの構造により達成され、処理の欠陥を減らすスーパーパックの機械的特性と併せて、機械的絡み合いにより接着を向上するために表面積と体積の比を大きくし、そしてスーパーパックの密度はチューブ素材の破裂やカップリング漏れなど、使用時の故障態様を減らす。スーパーパック構造でのワイヤ密度は高いため、向上されたホースカップリングインターフェースの機能が得られ、熱循環における漏れ抵抗を向上させ、耐火性を向上させる。更に、ここで説明される技術は、チューブとカバーの構造における記載されたバリエーションを実施することにより、柔軟な流体輸送のためのほとんど全ての適用分野をサポートすることができる。
【0085】
【実施例
【0086】
ここで説明するスーパーパック技術を使用して作製された圧力ホースは、用途に対して付加的な利益を提供しながらも、ホースが性能の基準を満たすことを可能にする。例えば、SAE J517 100R2規格(2009以降)は、製品が2つの鋼線ブレードを使用して表1にリストされる圧力を達成することを指定している。ここで説明するスーパーパック技術を使用すると、SAE J517 100R2規格を1つの鋼線ブレードで満たすことができる。これらの圧力要件は、EN 857 2SCやISO 11237などの他のグローバルな業界標準に共通する。以下の表1で、サンプル1は、ここで説明するスーパーパック補強層で構成された圧力ホースを表し、サンプル2、サンプル3、およびサンプル4は、スーパーパック補強層を組み込んでいない従来の圧力ホースを表している。
【表1】
【0087】
従来知られている圧力ホースを超える上述した性能向上の進歩に加えて、ここで説明された実施形態に従って製造されたサンプル1のホースは、表2に示すように、軽量で曲げ力が小さいという追加の利益をもたらす。表2は、ここで説明された実施形態に従って製造されたサンプル1のホースと、スーパーパック設計を採用していない従来知られたホースのサンプル5およびサンプル6との比較を具体的に提示する。
【表2】
【0088】
スーパーパック補強層を組み込んだ、ここで説明される圧力ホースは、従来は主にスパイラルワイヤーなどの他の補強技術によって主に満たされていた非常に高い圧力性能を示すことができる。ただし、これらの適用分野のスーパーパック製品は、従来知られている編組製品と比較して、より小さい最小曲げ半径、より大きい軽量化、柔軟性の向上などの使用時における利益をもたらす。
【0089】
以上のことから、具体的な実施形態が実例としてここで説明されていることが理解されるであろうが、発明の範囲から逸脱することなく種々の改変がなされ得る。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
【0090】
本技術は構造および材料を特定する形で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明は、説明される特定の構造および材料に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の態様は、請求される発明を実施する形態として説明される。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく実施することができるので、本発明は、以下に添付される特許請求の範囲に存在する。
【0091】
特に明記しない限り(特許請求の範囲を除く)、本明細書で使用される寸法、物理的特性などを表すような全ての数または表現は、全ての場合において「およそ」という用語によって修正されると理解される。少なくとも、請求項への均等論の適用を限定しようとするものとしてではなく、明細書または「ほぼ」という用語によって修正される請求項に記載された各数値パラメータは、少なくとも、列挙された有効数字の数と丸め手法を適用して解釈されるべきである。更に、本明細書に開示されるすべての範囲は、任意のおよび全ての部分範囲またはそこに含まれる任意のおよび全ての個々の値を列挙する請求項を包含およびサポートすると理解されるべきである。例えば、1から10の範囲は、最小値1と最大値10の間、および/または、それらを含むすべての部分範囲または個々の値を列挙するクレームを含み、サポートを提供すると見なされる。すなわち、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わるすべての部分範囲(例えば、5.5~10、2.34~3.56など)、または1~10の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994など)を含む。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B