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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/40 20140101AFI20220809BHJP
   B42D 25/46 20140101ALI20220809BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20220809BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20220809BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20220809BHJP
   B65H 15/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B42D25/40
B42D25/46
B41J2/325 A
B65H5/00 B
B65H5/06 C
B65H15/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017231800
(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公開番号】P2019098621
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】金親 大介
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-179088(JP,A)
【文献】特開2012-121645(JP,A)
【文献】特開平09-150592(JP,A)
【文献】特許第4908190(JP,B2)
【文献】特開2000-251018(JP,A)
【文献】特開平02-148486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315- 2/345
2/42 - 2/425
2/475- 2/48
29/00 - 29/70
B42D 15/02
25/00 - 25/485
B65H 5/00 - 5/38
29/12 - 29/24
29/32
29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された転写フィルムを媒体に圧接することにより前記画像を前記媒体に転写する記録装置において、
前記媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体に転写処理を施す転写部と、
前記媒体をクリーニングするクリーニング部と、
前記媒体が排出される排出部と、
前記媒体を搬送する媒体搬送手段と、
前記転写部及び前記媒体搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記クリーニング部は、前記媒体供給部と前記転写部との間に配置され、
前記制御は、
前記媒体供給部から供給された前記媒体を前記クリーニング部でクリーニングした後に、前記クリーニング部から前記転写部に向かう第1方向に前記媒体を搬送し、
前記第1方向における前記媒体の上流端が前記転写部を通過した後に前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記媒体を搬送しながら前記転写部により転写処理を行い、
前記転写処理された前記媒体の前記第2方向への搬送を継続して前記クリーニング部で再びクリーニングを行い、クリーニングされた前記媒体を前記排出部に搬送する、ことを特徴する記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、媒体供給時は前記クリーニング部の一方側から前記媒体を搬送し、転写処理後は前記クリーニング部の他方側から前記媒体を搬送することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記媒体搬送手段は、前記媒体の搬送方向において少なくとも前記クリーニング部の両側に配置されており、前記制御部は、前記媒体の前記搬送方向の上流側端部が前記クリーニング部を通過するまで前記媒体を搬送することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
さらに、前記媒体の搬送方向を転換して搬送する反転部を備えており、
前記クリーニング部は前記反転部と前記転写部との間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記媒体を、前記媒体供給部から前記反転部、前記クリーニング部、前記転写部、前記クリーニング部、前記反転部を通って前記排出部に排出されるように搬送することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
さらに、前記媒体の搬送方向を転換して搬送する反転部を備え、
前記反転部は前記媒体を搬送する搬送ローラを有し、前記搬送ローラは表面が粘着性を有する構成となっており、
前記クリーニング部は前記搬送ローラで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
さらに、前記クリーニング部に付着したゴミを除去する再除去部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項8】
画像が形成された転写フィルムを媒体に圧接することにより前記画像を前記媒体に転写する記録装置において、
前記媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給された前記媒体に転写処理を施す転写部と、
前記転写部で前記転写処理された前記媒体が排出される排出部と、
前記媒体供給部から前記転写部へ前記媒体が搬送される第1搬送経路と、
前記転写部から前記排出部へ前記転写処理された前記媒体が搬送される第2搬送経路と、
前記第1搬送経路と前記第2搬送経路で媒体を搬送する媒体搬送手段と、
前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とが重なる部分で、且つ、前記転写部による転写処理時の媒体搬送方向下流側に配置され、前記媒体供給部から供給されて前記転写部に搬送される前の前記媒体、及び前記転写部による前記転写処理の後で前記排出部に排出される前の前記媒体をクリーニングするクリーニング部と、を備えた記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体の表面に転写フィルムを介して画像を転写する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の記録装置は、各種証明書用カードや決済用カードに画像を記録する際などに用いられている。この場合の記録方法としては、例えば顔写真、氏名、名称等の画像が印刷されている転写フィルムを、カードと共に加熱部材と転写プラテンとで圧接することで、このカードの表面に転写フィルムの画像を転写することで行われている。
【0003】
かかる記録装置においては、転写に備えて収容しているカードの表面に塵埃等が付着して汚れていると、転写が不完全となることがある。そこで、転写の前にカードの表面の塵埃を除去した後、転写部に給送することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、転写後においても転写で生じる汚れがカード表面に残留していると、美観上において仕上がりの悪いカードとなる。特に、転写後にカード面から転写フィルムを引き剥がすとき、転写フィルムが完全に剥離されずに、一部がフィルムカスとして残留していることが多々ある。
【0005】
また、ヒートローラとバックアップローラの間に送り込み、転写リボンの表面保護膜側に重ね合わせて加熱し、カード表面に表面保護膜を転写した後、転写リボンと表面保護膜とを剥離してカードと表面保護膜とを一体化させてカードを作成するカード作成装置においては、カードに転写された保護膜のばりを除去することが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-121645号公報
【文献】特開2014-54751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献2のカード作成装置は、転写後にカードの仕上がりを整えるためにバリ取り処理を行うものであって、カードの表面に残留している汚れやゴミを除去するものではない。よって、転写の前後でカードの表面に付着している汚れやゴミ等を除去する記録装置が望まれているが、カードの表面をクリーニングするクリーニング部を転写部の前後に設けるのは装置の大型化を招き、コストアップにもつながる。
【0008】
以上の点より本発明は、一つのクリーニング部によって画像転写の前後の両方でカード等の媒体表面のクリーニングを行なえるよう、クリーニング部を効率的に配置した記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明は、画像が形成された転写フィルムを媒体に圧接することにより前記画像を前記媒体に転写する記録装置において、前記媒体を供給する媒体供給部と、前記媒体に転写処理を施す転写部と、前記媒体をクリーニングするクリーニング部と、前記媒体が排出される排出部と、前記媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記転写部及び前記媒体搬送手段を制御する制御部と、を備え、前記クリーニング部は、前記媒体供給部と前記転写部との間に配置され、前記制御は、前記媒体供給部から供給された前記媒体を前記クリーニング部でクリーニングした後に、前記クリーニング部から前記転写部に向かう第1方向に前記媒体を搬送し、前記第1方向における前記媒体の上流端が前記転写部を通過した後に前記第1方向とは逆方向の第2方向に前記媒体を搬送しながら前記転写部により転写処理を行い、前記転写処理された前記媒体の前記第2方向への搬送を継続して前記クリーニング部で再びクリーニングを行い、クリーニングされた前記媒体を前記排出部に搬送するように前記転写部及び前記媒体搬送手段を制御することを特徴とする。
【0010】
これにより、本記録装置においては、カードの搬送経路を短くし、装置の小型化と処理時間の高速化を実現したのである
【0011】
加えて、前記媒体搬送手段は、前記媒体の搬送方向において少なくとも前記クリーニング部の両側に配置されており、前記制御部は、前記媒体の前記搬送方向の上流側端部が前記クリーニング部を通過するまで前記媒体を搬送するよう構成することで、カードの端部までクリーニングすることができる。
【0012】
また、別の実施形態では、前記媒体の搬送方向を転換して搬送する反転部を設けて、前記クリーニング部は前記反転部と前記転写部との間に配置する。これにより、反転部でカードの挙動が変わることで転写カスがカードから離散する可能性があるため、その前にクリーニングでき効果的である。
【0013】
そして、反転部の上側に供給部、反転部を挟みクリーニング部の反対側に前記排出部を配置すれば、転写処理を行ったカードをそのまま排出部に排出することができ処理効率が向上する。
【0014】
この場合、前記制御部は、前記媒体を、前記媒体供給部から前記反転部、前記クリーニング部、前記転写部、前記クリーニング部、前記反転部を通って前記排出部に排出されるように搬送するよう構成するとよい。
【0015】
また、更に別の実施形態においては、前記反転部は前記媒体を搬送する搬送ローラを有し、前記搬送ローラは表面が粘着性を有する構成とすることで、この搬送ローラを前記クリーニング部としている。よって、この実施形態では、反転部の搬送ローラがクリーニング部材を兼ねており、装置の小型化が一層図れる。
【0016】
前記クリーニング部は、付着したゴミを除去する再除去部材を備えているのが好適であり、クリーニング性能が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る記録装置に依れば、転写処理前にカード等の媒体をクリーニングして、転写処理後も媒体のクリーニングをすることで外部からの埃と転写カスとの両方をクリーニングするため、転写の仕上がりの良い媒体が提供される。しかも、転写処理前後のクリーニングを同じクリーンニング部で行うために、記録装置の小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係わる記録装置の全体構成図を示す。
図2図1の記録装置におけるクリーニング部の説明図を示す。
図3図1の記録装置におけるスキュー補正部の説明図を示す。
図4図1の記録装置の各部の電気的接続をブロック図で示す。
図5図1の記録装置の動作フローチャートを示す。
図6図1の記録装置におけるクリーニング部の変形例の説明図を示す。
図7】本発明の第2の実施形態に係わる記録装置の概略的な説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明の第1の実施形態に係わる記録装置1の全体構成の説明図である。記録装置1は、各種証明用のIDカードや商取引用のクレジットカードを作成するために、カードに情報を電子的又は磁気的に記録する共に、カードの表面には熱転写により画像を記録するカード処理装置である。ハウジング2には、情報記録部Aと画像形成部Bと媒体収容部Cとが設けて、ハウジング2の隣には画像を記録されたカードを排出される排出部Dを配置している。
【0020】
[媒体供給部]
媒体供給部Cは、装置ハウジング2のカセット装着エリアに着脱自在に取り付けられるカードカセット3を備えて、カードカセット3には複数枚のカードが収容される。図1に示すカードカセット3は、複数のカードを立位姿勢で整列して収容し、サポート部材12によって同図右方向から左方向に向けてカードを繰り出す。そして、カードカセット3の先端には分離開口7が設けられ、ピックアップローラ19で最前列のカードから装置内に供給される。
【0021】
[情報記録部]
情報記録部Aは反転ユニットFを備え、カードカセット3から送られたカードは、一対の搬入ローラ6によってこの反転ユニットFに送られる。反転ユニットFは、装置フレーム(不図示)に旋回動可能に軸受け支持されて、内部には水平方向に対向している一対のローラ対20,21が配置されている。そして、反転ユニットFは、パルスモータなどの駆動モータによって所定角度旋回動し、これに応じてローラ対20,21も同じ角度で変位する。この場合、クラッチを用いて切り換えることにより、反転ユニットFの旋回動とローラ対の回転とを同じ駆動モータで共用することができる。反転ユニットFには不図示のホームポジションセンサが設けられており、ホームポジションセンサがONした位置で反転ユニットFが旋回動する際の基準位置となる。また反転ユニットFの駆動モータには駆動モータの回転量を検知するエンコーダが設けられており、ホームポジションセンサがONした状態からのエンコーダの入力値を測定することで、反転ユニットFの旋回動の角度を制御することができる。
【0022】
反転ユニットFは、ローラ対20,21を結ぶ線分が分離開口7に対向するよう位置しており、送られてくるカードをセンサS1が検知すると、ローラ対20,21の回転で反転ユニットF内に導入し、ローラ対20,21でニップした状態で保持する。よって、ローラ対20,21は媒体搬入経路28を形成している。
【0023】
反転ユニットFの旋回方向外周には、非接触式IC記録部23と磁気記録部24と接触式IC記録部27とが配置されている。そして、各記録部23,24,27の入口側にはセンサS5,S6,S7が配置されている。反転ユニットFは、媒体搬入経路28がこれらの情報記録部23,24,27の何れかに連通するよう回動し、ローラ対20,21を駆動させて、カードを連通している情報記録部23,24,27の何れかへ送出する。
【0024】
カードは、磁気記録部24或いは非接触式IC記録部23または接触式IC記録部27に移送されたとき、磁気データ若しくは電子データで情報が記録される。そして、カードは、データ入力後、再びローラ対20,21によって反転ユニットFに取り込まれる。尚、情報記録部Aは、これら磁気記録部24,非接触式IC記録部23,接触式IC記録部27以外にも、装置仕様に応じて種々の記録部、例えばバーコード記録部などでも構成される。
【0025】
反転ユニットFは、データ入力後のカードを後段の画像形成部Bへ送るべく、媒体搬入経路28が搬送経路15と連通するよう、図1で示す状態となるよう反転ユニットFは回転する。搬送経路15は、後述するローラ対29,30,35,36及び一対のコンタクトローラ22a,22bによって、カードを水平方向に搬送する媒体搬送手段である。このとき、センサS2は、媒体搬入経路28から搬送経路15へ搬送されるカードを検知する。
[画像形成部]
画像形成部Bは、カードの表面に顔写真や文字データなどの画像を形成する。画像形成部Bは、インクリボン41で転写フィルム46に画像を転写する一次転写部16と、転写フィルム46からカードに画像を転写する二次転写部14とを備える。
【0026】
一次転写部16での転写は、プラテンローラ45と、このプラテンに対向配置されたサーマルヘッド40とで行われる。プラテンローラ45とサーマルヘッド40との間を、リボンカセット42から供給される昇華型のインクリボン41と、フィルムカセット50から供給される転写フィルム46とが走行する。
【0027】
転写フィルム46は、フィルムカセット50の供給スプール47と巻取スプール48とに巻回され、この供給スプール47と巻取りスプール48との間に前記したフィルム移送経路が形成される。そして、供給スプール47は、操出モータMr2に連結されており、巻取りスプール48は、巻取モータMr3にそれぞれ連結されている。この両モータは、装置フレームに取付けられカップリング手段を介してスプール軸に連結されており、それぞれステッピングモータで構成されており同一方向に同一送り量で回転する。
【0028】
供給スプール47と巻取りスプール48との間の転写フィルム46の移送経路には、移送ローラ49とピンチローラ32a、32bが配置されており、転写フィルム46は、移送ローラ49とピンチローラ32a、32bとの圧接によりこのフィルム移送経路上を搬送される。移送ローラ49は、移送ローラ駆動モータ65(図4参照)に連結されており、一定の速度で転写フィルム46を走行させる。このとき、センサSe2は、転写フィルム46に所定間隔毎に形成されたマーカを検出する。移送ローラ49は、転写フィルム46への画像形成時には、インクリボン41と転写フィルム46とが同一速度で、図1にて示すと反時計方向に回転するように構成されている。
【0029】
一方、インクリボン41は、リボンカセット42に収納されている。リボンカセット42には、インクリボン搬送手段を構成する供給スプール43と巻取りスプール44とが回転可能に組み込まれていて、巻取スプール44は、インクリボンワインドモータMr1に連結されている。この両スプール43、44間にはフィルム状のインクリボン41が巻装されている。インクリボン41は昇華型リボンであって、Y(イエロー)・M(マゼンタ)C(シアン)・B(ブラック)の各インクパネル面を帯状に順次配置して成り、各インクパネル面は、転写フィルム46の印刷幅に対応した所定幅を有している。センサSe1は、巻取りスプール44の駆動により搬送されるインクリボン41の位置を検出する。
【0030】
リボンカセット42は、図1の紙面で表裏方向に装置ハウジング2に着脱可能に装着され、インクリボン41は、画像形成用のプラテンローラ45とサーマルヘッド40との間に挿入される。転写フィルム46は、供給スプール47から取り出されて、移送ローラ49の時計方向への回転で画像転写の頭出し位置に移送される。このとき、インクリボン41も巻取りスプール44が反時計方向に回転することでこの頭出し位置まで移送される。よって、この動作では、転写フィルム46とインクリボン41との移送方向は相反している。
【0031】
転写フィルム46とインクリボン41とが頭出し位置で位置合わせされると、プラテンローラ45が図示しない押し出し機構がプラテンローラ移動駆動部66(図4参照)によってサーマルヘッド40に向けて移動し、転写フィルム46とインクリボン41とを挟みサーマルヘッド40と当接する。サーマルヘッド40には、ヘッドコントロールIC68(図4参照)が接続されており、サーマルヘッド40を熱制御するようになっている。ヘッドコントロールIC68は、ホストコンピュータ等の上位装置11から転写指令と共に送られてくる画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御する。尚、冷却ファンf1は、サーマルヘッド40を冷却するのに設けられている。
【0032】
巻取スプール44は、サーマルヘッド40の熱制御と同期して回転して、インクリボン41を所定速度で巻き取り方向に移動させる。このとき、移送ローラ49が反時計方向に回転して、転写フィルム46をインクリボン41と同じ方向に一枚のカードの印刷幅に対応する分だけ移送させることで、この部分に画像が形成される。そして、一つのインクパネルによる画像転写が終了すると、移送ローラ49は再び時計方向に回転して、転写フィルム46を一枚のカードの印刷幅に対応する分だけ頭出し位置にまで引き戻す。このとき、インクリボン41は、継続して巻取り方向に移送されるため、次のインクパネルパネルについて転写フィルム46との頭出し位置での位置合わせが行われる。
【0033】
このような頭出し制御は、Y(イエロー)M(マゼンタ)C(シアン)B(ブラック)の各インクパネルについて、転写フィルム46との頭出し位置での位置合わせが順次行われ、位置合わせ後にサーマルヘッド40とプラテンローラ45とによる加熱転写を繰り返すことで、カードの表裏面に転写する顔写真、文字データなどの画像が転写フィルム46に転写される。
【0034】
二次転写部14での転写は、転写プラテン31と加熱ローラ33とで行われ、転写フィルム46に画像形成した後、転写フィルム46の一時転写で画像が形成されている部分とカードとを転写プラテン31とを加熱ローラ33との間に位置させる。そして、加熱ローラ33を昇降駆動部13(図3参照)によって転写プラテン31に圧接する位置まで上昇させて、カードと転写フィルム46とを同時に加圧及び加熱することで、転写フィルム46に形成された画像インクが記録カードに加熱溶着されて、カードの表面に画像が転写される。
【0035】
画像形成部Bは、一次転写部16及び二次転写部14に加えて、クリーニング部5とスキュー補正部38とを搬送経路5上に配置している。
【0036】
[クリーニング部]
クリーニング部5は、搬送経路15上にあって、一組のローラ対20,21のうちの近い方に位置している(図ではローラ対21)から、カードの長手方向の寸法以内の距離に配置されている。そして、クリーニング部5は、搬送経路15を挟み配置される一対のコンタクトローラ22a,22bと、コンタクトローラ22aと接して配置されるクリーニングローラRcとを具備している。このコンタクトローラ22a,22bとクリーニングローラRcとは、それぞれ表面に粘着性を有するローラ体と、このローラ体と一体の回転軸で構成されている。このクリーニング部5は搬送経路15上でローラ対29とローラ対30との間に配置されている。よってカードをクリーニングする際に、カード後端(搬送方向における上流側端部)がクリーニング部5を通過するまで搬送することができるので、カード全面をクリーニングすることができる。
【0037】
カードがコンタクトローラ22a,22bの間を通過するとき、表面の塵埃がコンタクトローラ22a,22bに吸着されて除去される。このとき、クリーニングローラRcは、コンタクトローラ22a,22bに連動して回転することで、カードから除去されてコンタクトローラ22a,22bの表面に付着している塵埃は、さらにクリーニングローラRcに付着して、同時にコンタクトローラ22a,22bもクリーニングされる。従って、これら3通りのローラ表面の粘度は、コンタクトローラ22b・コンタクトローラ22a・クリーニングローラRcの順に粘度が高くなるよう設定されて、クリーニングローラRcの粘度が最も高い。
【0038】
コンタクトローラ22a,22bとクリーニングローラRcは、それぞれホルダ部材に収納されて、カートリッジ形式によりホルダ部材毎に装置より着脱可能となっている。図2に示すように、コンタクトローラ22a及びローラ22bを共に保持するホルダ部材はカートリッジ63を構成している。カートリッジ64はクリーニングローラRcを収納している。カートリッジ63はコンタクトローラ22aとコンタクトローラ22bの間に搬送経路15が通るように、カートリッジ64はクリーニングローラRcがコンタクトローラ22aと当接するように、それぞれ記録装置1に組み込まれる。
【0039】
カートリッジ64は、レバー67を操作してクリーニングローラRcの回転軸65とは異なる支軸66を中心に図示しない圧接スプリングに抗して揺動させることで、クリーニングローラRcをコンタクトローラ22の表面から離間させることできる。そして、カートリッジ63,64は、別々に記録装置1から取り外すことができ、交換やメンテナンスが容易に行えるようになっている。
【0040】
[スキュー補正部]
スキュー補正部38は、スキューしたカードを補正するために、クリーニング部5からカードの長手方向の寸法以内の距離で搬送経路15上に配置されている。スキュー補正部38は、図3に示すように、一組の搬送ローラ対35,36を搬送経路15にそれぞれカードを挟持するよう設けて、ローラ対35,36の間には、カードの搬送方向に沿って搬送経路15の一側にはスキュー補正用のガイド部材60、他側にはガイド部材60に対向してスキュー補正用の幅寄せ部材61を配置している。そして、幅寄せ部材61は、バネなどによる付勢部材62の押し圧により搬送経路15を通過するカード64をガイド部材63に向けて幅寄せするようになっている。
【0041】
搬送ローラ対36のカード64に対する挟持力は、搬送ローラ対35の挟持力と比べて大きく設定されている。これは、一対のローラ間の寸法やローラ径などを調整することで設定することができる。したがって、図3(b)で示すように、スキューした状態で送られてくるカード64に対して、幅寄せ部材61がガイド部材63に向けて幅寄せを行うと、搬送ローラ対35の挟持力が弱いためカード64は幅寄せの付勢で動いて、図3(a)で示すように搬送方向aと一致するように矯正されながら搬送されることになる。
【0042】
[排出部]
排出部Dは、装置ハウジング2に隣接して配置されて、転写が終了して搬送経路15を通って送られてくるカードを、収容スタッカ55に積層して収容するように構成されている。収容スタッカ55は、図示しないレベルセンサで検出する最上カードの位置に応じて、昇降機構56によって収容スタッカ55を下降移動するように構成されている。
【0043】
[制御構成]
図4は記録装置1の各部の電気的接続をブロック図で示している。制御部Eは、コンピュータで構成され、一般的なコンピュータが備える構成要素、すなわち、CPU70、ROM71、可変データを格納するRAM72などを備えて、CPU70は、ROMに格納されている制御プログラムを実行することで、カード取出制御部73と、データ入力制御部74と、画像形成制御部75と、カード搬送制御部76の各機能を実現する。以下、この各機能について説明する。
【0044】
カード取出制御部73は、ピックアップローラ駆動部77及び搬入ローラ駆動部78にそれぞれ制御信号を出力して、ピックアップローラ19及び搬入ローラ対6を駆動させて、媒体供給部Cのカードカセット3からのカードの取り出しを制御する。
【0045】
データ入力制御部74は、ホストコンピュータ等のこの記録装置1の上位の装置11から送られてくるデータを磁気記録部24又は接触式IC記録部27若しくは非接触式IC記録部23に書き込むよう制御する。
【0046】
画像形成制御部75は、上位装置11から転写指令と共に送られてくる画像データをヘッドコントロールIC68に出力する。また、画像形成制御部75は、制御プログラムに沿った所定のタイミングで駆動信号を出力して、インクリボンワインドモータMr1,操出モータMr2,巻取モータMr3,移送ローラ駆動モータ65,プラテンローラ移動駆動部66及び加熱ローラ昇降駆動部67を動作させて、一次転写及び二次転写を制御する。
【0047】
カード搬送制御部76は、反転ユニット駆動モータ79の駆動を制御して、反転ユニットFを回動させる。このとき、カード搬送制御部76は、記録装置1の動作モードに応じて、媒体搬入経路28が磁気記録部24、接触式IC記録部27、非接触式IC記録部23、カードカセット3の分離開口7、又は搬送経路15の何れかと対峙するよう回動角度を制御する。また、カード搬送制御部76は、センサS2乃至センサS4が出力するカードの検知信号に応じて、搬送経路15に配置されている一連のローラ対29,30,35,36、一対のコンタクトローラ22a,22b及び反転ユニットF内のローラ対20,21を駆動する搬送駆動部80に制御信号を出力して、搬送経路15におけるカードの搬送を制御する。
【0048】
上記構成の記録装置1によるカードへの画像の転写動作を図5のフローチャートに基づき説明する。
【0049】
制御部Eは、上位装置11からジョブスタート信号を受信すると(ステップSt1)、カード取出制御部73によってピックアップローラ駆動部77に駆動信号を出力して、カードを媒体供給部Cから繰出す(ステップSt2)。同時に、カード取出制御部73は、搬入ローラ駆動部78に駆動信号を出力してローラ対20,21を動作させ、媒体供給部Cから繰り出されてくるカードを反転ユニットF内の媒体搬入経路28内へ取り込む(ステップSt3)。そして、カード取出制御部73は、入口センサS1が繰出されるカードを検知すると搬入ローラ駆動部78に駆動信号の出力を停止し、次に入口センサS1が再びカードを検知しなくなると、搬入ローラ駆動部78への駆動信号の出力を停止する。よって、媒体供給部Cからは1枚のカードが取り出される。このとき反転ユニットFは、媒体搬入経路28をカードカセット3の分離開口7に対峙させており、この取り出されたカードは、反転ユニットF内へ導入されて、媒体搬入経路28内に保持される。
【0050】
カード搬送制御部76は、媒体供給部Cからカードが取り出されると、媒体搬入経路28が上位装置11からデータの書き込みが指定されている磁気記録部24、非接触式IC記録部23又は接触式IC記録部27の何れかと対峙するように反転ユニット駆動モータ79へ駆動信号を出力して、反転ユニットFを所定の回転角度で回動させる(ステップSt4)。
【0051】
データ入力制御部74は、反転ユニットFが回動すると、上位装置11から同時に送られてきているデータがカードに書き込まれるよう制御する(ステップSt5)。この場合、磁気記録部24又は接触式IC記録部27のときは、カード搬送制御部76は、搬送駆動部80に駆動信号を出力してローラ対20,21を駆動させて、カードを媒体搬入経路28からこれら記録部24,27へ送出し、書き込みが終了後はローラ対20,21を取込方向に駆動してカードを受け取る。このとき、カード搬送制御部76は、センサS6,S7によって、カードの媒体搬入経路28からの出入りを検知する。非接触式IC記録部23への書き込みのときには、カードを媒体搬入経路28に保持したままで、データを電波信号で送信して書き込みが行われる。
【0052】
このカードへのデータの書き込みと並行して、画像形成制御部75は、転写フィルム46をサーマルヘッド40に繰出す(ステップSt6)。この転写フィルム46の繰出は、繰出モータMr2と巻取モータMr3の回転制御によって行い、フィルムセンサSe2で操出量を検出する。転写フィルム46には、カードに画像を形成する領域の印刷幅に対応する所定幅のコマ毎にマークが施されており、そのマークをセンサSe2で検出してフィルムの操出量を制御する。
【0053】
画像形成制御部75は、転写フィルム46を繰出すと、上位装置11から送られてきている画像データをヘッドコントロール用IC68へ転送すると共に、インクリボンワインドモータMr1,移送ローラ駆動モータ65,プラテンローラ移動駆動部66を制御して、転写フィルム46に一時転写を行う。(ステップSt7)。一時転写を行う際、画像形成制御部75は、センサSe2からのマークの検知信号に応じて移送ローラ駆動モータ65の正逆転とインクリボンワインドモータMr1の駆動を制御することで、インクリボン41のY(イエロー)M(マゼンタ)C(シアン)B(ブラック)の各色が画像データに従って、転写フィルム46に転写される。そして、一次転写後、転写フィルム46は、転写された部分の先端がセンサSe2で検知される待機位置で停止している。
【0054】
カードへのデータの書き込みと一次転写の両方が終了すると、カード搬送制御部76は、搬送駆動部80に駆動信号を出力してローラ対20,21を駆動させると共に、搬送経路15に配置している一連のローラ対29,30,35,36及び一対のコンタクトローラ22a,22bを駆動して、カードをセンサS4の方向に向けて、図では右方向へ搬送する。以下の説明においては、カードを右方向(正方向)に搬送する各ローラ対の回転を正回転、左方向(逆方向)に搬送する各ローラ対の回転を逆回転と便宜上、述べることとする。
【0055】
ローラ対20,21及びローラ対29の正回転により、媒体搬入経路28に保持されているカードが反転ユニットFから取り出されて、さらにコンタクトローラ22a,22bの正回転によりクリーニング部5を通過する間、カード表面のクリーニングが行われる(ステップSt8)。クリーニング部5を通過すると、カードは転写プラテン31と加熱ローラ33との間を通過するが、ここでは二次転写は行われない。したがって、画像が転写する前にカードに付着している塵埃等の汚れはこの段階で除去される。
【0056】
そして、クリーニングされたカードは、ローラ対30,35,36の正回転が継続されることで、そのまま正方向へ搬送されてスキュー補正部38を通過する。このとき、カード搬送制御部76は、押出駆動部81に駆動信号を出力して、幅寄せ部材61をカードに向けて押し出すことで、スキューしているカードは矯正される(ステップSt9)。
【0057】
スキュー矯正が終了して、センサS4がカードの先端を検知したとき、カード搬送制御部76は、ローラ対30,35,36を逆回転するよう搬送駆動部80に駆動信号を出力してカードを逆方向へ搬送する。そして、センサS3が逆搬送されてくるカードを検知すると、カード搬送制御部76は、ローラ対30,35,36の駆動を停止させる(ステップSt10)。よって、カードは二次転写処理前の待機位置に停止する。
【0058】
カードを二次転写の待機位置に停止させたとき、画像形成部Bでの一次転写が終了して転写フィルム46も走行経路の所定の待機位置にセットされていると、カード搬送制御部76は、搬送駆動部80を制御して、ローラ対29,30,35及びコンタクトローラ22a,22bを逆回転させて転写プラテン31に向けて搬送するよう駆動する。これに同期して、画像形成制御部75は、転写フィルム46の一時転写された部分を転写プラテン31に向けて搬送するよう操出モータMr2及び移送ローラ駆動モータ65を駆動すると共に、加熱ローラ昇降駆動部67を駆動して加熱ローラ33を転写プラテン31に押し出す。この場合、画像形成制御部75は、操出モータMr2は転写フィルム46を巻き取る方向に回転制御する。これにより、転写フィルム46とカードとが同時に加熱ローラ33と転写プラテン31の間を通過することで二次転写が行われる(ステップSt11)。
【0059】
二次転写後、カードの逆方向への搬送が継続されて、カードは、コンタクトローラ22a,22bの間を通過する。これにより、カード表面のクリーニングが再び行われる(ステップSt12)。このときのクリーニングでは、転写後にカードに付着している転写フィルム46の剥離カス等が除去される。
【0060】
カード搬送制御部76は、センサS2が逆搬送されてくるカードを検知すると、ローラ対20,21を逆回転させることで、カードを媒体搬入経路28を通過させて排出部Dへ搬入する(ステップSt13)。
【0061】
また、画像形成制御部75は、センサS2がカードを検知したとき、加熱ローラ33が転写プラテン31より離反する方向に移動するよう加熱ローラ昇降駆動部6を制御する。これと共に、画像形成制御部75は、巻取モータMr3を駆動させて、転写フィルム46のカードへの転写に使用された部分がプラテンローラ45から巻取りスプール48に向けて離脱する位置まで移動するよう転写フィルム46の巻取りを制御する。これにより、転写フィルム46の次回に一次転写される部分がプラテンローラ45とサーマルヘッド40との間にセットされることになる。
【0062】
上記したように、クリーニング部5を搬送経路15上に配置することにより、媒体収容部Cから取り出されたカードは、先ず正方向へ搬送されて、クリーニング部5、加熱ローラ33と転写プラテン31とで構成される二次転写部及びスキュー補正部38を通過する。そして、カードは、逆方向に搬送されて、二次転写部での転写処理後に再びクリーニング部5を経由後に排出部Dに搬送されるため、転写処理前及び処理後の何れにおいても、カードはクリーニング部5を通過してクリーニングされる。
【0063】
本実施形態の記録装置では、装置の上部にカード収容部Cを配置し、カード収容部Cの下方に反転ユニットFを配置している。そして、反転ユニットFと画像形成部Bとの間にクリーニング部5を配置し、反転ユニットFに対して画像形成部Bの反対側に排出部Dを配置している。この構成により、(情報記録処理をせずに片面印刷のみの場合は)カードをカード収容部Cから供給した後は搬送経路15に沿って1往復させるだけでカードのクリーニング、転写処理、排出を行うことができ、効率的な処理を行うことができる。
【0064】
クリーニング部5は、図6に示すように、反転ユニットF内に配置してもよい。この場合、媒体搬入経路28を形成するローラ対20,21の何れか一方、図示ではローラ対21をクリーニング部5のコンタクトローラ21a´,21b´としている。よって、カードが反転ユニットF内から正方向に搬送されるとき及び転写後に逆搬送されて排出部Dへ搬入されるときの何れにおいてもコンタクトローラ21a´,21b´を通過することで、転写処理前後の何れでもクリーニングが行われる。
【0065】
さらに、この変形例においては、コンタクトローラ21a´,21b´のそれぞれに接触して回転するクリーニングローラRc1,Rc2を設けている。よって、媒体収容部Cから取り出されたカードは、反転ユニットFから転写部に送られる際及び転写後にカードが反転ユニットFの媒体搬入経路28を通過する際の何れにおいても、コンタクトローラ21a´,21b´から送り出されるため、転写前後のクリーニングが行われる。
【0066】
この変形例において、反転ユニットFがカードを受け入れる際は、コンタクトローラ21a´,21b´側からカードを受け入れると反転ユニットF内に塵埃が残らないという効果がある。よって、カード搬送制御部76は、カード供給時はコンタクトローラ21a´,21b´を媒体収容部C側に向け、転写処理が終了して反転ユニットFにカードを進入させる際はコンタクトローラ21a´,21b´を転写部14側に向けてカードを受け入れるように反転ユニットFの駆動モータ79を制御する。
【0067】
また、この変形例においては、クリーニング部としてのコンタクトローラ21a´,21b´の両側のカード搬送部材はローラ対29とローラ対20ということになり、カードクリーニング時はこれらのローラ対まで搬送することでカード全面をクリーニングすることができる。
【0068】
上記の例では、クリーニング部5を転写部による転写処理時の媒体搬送方向、すなわち逆搬送の下流側に配置しているが、上流側すなわちスキュー補正部38と二次転写部との間の搬送経路15上に配置してもよい。この構成においては、逆搬送で二次転写が終了したカードを再度正搬送してクリーニング部5を通過させた後には、さらに逆搬送に切り替えて、クリーニング後のカードを排出部Dに搬送する。
【0069】
図7は、本発明の第2の実施形態に係わる記録装置100の構成を示し、この記録装置100は反転ユニットFを具備しない。尚、同図では、主要な構成部のみを代表的に示すもので、図1に示した記録装置1と同じ構成部には同一の符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0070】
記録装置100の媒体収容部C´には、磁気的或いは電気的に情報が既に書き込まれているカード又はこれら情報を書き込む必要のないカードが積層されて収納されて、取出しローラ101によって最下位のカードが搬送経路15に送出される。排出部Dに連なる搬送経路15には、送出ローラ対103、クリーニング部5、二次転写部14、スキュー補正部38が順次配置されている。そして、搬送経路15の下方の二次転写部14と対向する位置には、一次転写部16が設けられている。コンタクトローラ対107から成るクリーニング部5は、コンタクトローラ22a,22bのそれぞれにクリーニングローラRcを配置している。よって、記録装置100における搬送経路15は、送出ローラ対103と、クリーニング部5の一対のコンタクトローラ22a,22bと、ローラ対35,36とによって、カードを水平方向に搬送する。
【0071】
上記構成の記録装置100は、取出しローラ101によって最下位のカードが搬送経路15に取り出されると、このカードは送出ローラ対103と、コンタクトローラ対22a,22bと、ローラ対35,36とが正回転することで、図で排出部Dの方向に向けて搬送される。そして、コンタクトローラ対22a,22bを通過することで、カード表面のクリーニングが行われ、さらにスキュー補正部38まで搬送されて、スキューしているカードが矯正される。スキュー矯正後、カードは、ローラ対35,36及びコンタクトローラ対22a,22bの逆方向の回転で媒体収容部C´の方向へと逆搬送されて、スキュー補正部38を通過し終わると、この逆方向への搬送が停止し、カードはローラ対35,36で保持された状態で待機する。
【0072】
一方、転写フィルム46は事前にインクリボン41と重ね合せて、プラテンローラ45とサーマルヘッド40との間を通過することで、カードに転写する画像が一次転写されて待機している。そして、ここでは詳しく説明しないが、カードと転写フィルム46とは位置合わせされた後、同期を取って二次転写部14を図の左方向に向けて通過するよう制御されてカードに画像が転写される。二次転写の終了後、さらにカードはクリーニング部5に向けて搬送されて転写後のクリーニングが行われる。その際、カードを送出ローラ対103まで搬送し、カード後端(搬送方向における上流側端部)がコンタクトローラ対22a,22bを通過するまで搬送することでカード全面をクリーニングすることができる。そして、クリーニング終了後、送出ローラ対103と、コンタクトローラ対22a,22bと、ローラ対35,36とが再び正回転することで、カードは、右方向に向けて排出部Dへと搬送される。
【0073】
このように、記録装置100においても、クリーニング部5を搬送経路15上に配置することにより、媒体収容部C´から取り出されたカードは、クリーニング部5を経由して、二次転写部14を通過しスキュー補正部38まで搬送されることで転写前のカードのクリーニングが行われ、その後、逆搬送されて二次転写部14での転写後にクリーニング部5を通過することで、転写後のカードのクリーニングが行われる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体の表面に画像情報やプリント情報を記録する記録装置に係わり、装置内で記録の前後のそれぞれでカードのクリーンニングを行うことで、仕上がりの良好なカードを作成でき、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0075】
C 媒体供給部
D 排出部
E 制御部
1 記録装置
5 クリーニング部
14 転写部(二次転写部)
15 搬送経路(媒体搬送手段)
31 転写プラテン
33 加熱ローラ
46 転写フィルム
100 記録装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7