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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】壁材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
E04F13/08 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018014133
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019132011
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 正文
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-202476(JP,A)
【文献】特開2000-024578(JP,A)
【文献】特開2010-046594(JP,A)
【文献】特開昭60-223565(JP,A)
【文献】特開2015-007323(JP,A)
【文献】特開2013-092001(JP,A)
【文献】特開2017-137662(JP,A)
【文献】特開平07-247653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に横目地が形成された壁材であって、
前記横目地は、
上面と、
前記上面よりも下方に位置し、前記基材の裏面に近い部分ほど上方に位置するように傾斜し、かつ、前記上面よりも緩勾配の下面とを有し、
前記横目地における前記上面と前記下面との間に、前記横目地の長手方向に延びる凸条が形成されており、
前記横目地は、
前記上面と前記凸条とをつなぐ底面を有し、
前記下面の上端及び前記底面の下縁は、前記凸条の表面につながっており、
前記底面と前記下面とが、前記凸条の前記表面を介してつながっており、
前記凸条が上下に複数並んで形成されており、
前記複数の前記凸条同士のつながる部分が、前記下面の上端と前記底面の下縁とをつなぐ仮想面より前方に位置している壁材。
【請求項2】
請求項1に記載の壁材において
記複数の凸条は、前記底面よりも前方に突出し、
下側の前記凸条ほど前方に位置している壁材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の壁材において、
前記基材の表面には、上方方向に並んだ複数の突部が形成されており、
各前記突部は、前記基材の表面における隣り合う前記横目地の間の部分で構成されており、
前記凸条は、前記突部の前面よりも後方に位置している壁材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は壁材に関し、詳しくは、基材の表面に横目地が形成された壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基材の表面に凹溝が形成された化粧建築板が開示されている。この化粧建築板は、基材の表面に、凹溝における解像度が他の部分よりも低くなるようにインクジェット塗装が施されることで、立体感が付与されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-231586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようにインクジェット塗装の解像度を変化させるだけでは、基材の表面に立体感を付与することに限界がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、基材の厚みが大きくなることを抑制しつつ、立体感が強調された壁材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る壁材は、基材の表面に横目地が形成された壁材であって、前記横目地は、上面と、前記上面よりも下方に位置し、前記基材の裏面に近い部分ほど上方に位置するように傾斜し、かつ、前記上面よりも緩勾配の下面とを有し、前記横目地における前記上面と前記下面との間に、前記横目地の長手方向に延びる凸条が形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る壁材は、基材の厚みが大きくなることを抑制しつつ、立体感を強調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る壁材の斜視図である。
図2図2Aは同上の壁材の長手方向と直交する断面図である。図2Bは、図2AのA部の拡大図である。
図3図3は、同上の壁材の水平断面図である。
図4図4Aは、参考例1の壁材の横目地を示した断面図である。図4Bは、参考 例2の壁材の横目地を示した断面図である。図4Cは、変形例1の壁材の横目地を示した断面図である。図4Dは、変形例の壁材の横目地を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
以下、本実施形態の壁材1について図1図3に基づいて説明する。本実施形態の壁材1は、基材2の表面20に上下方向と交差する方向に延びる横目地3が形成された壁材である。なお、本開示における基材2の表面20とは、壁材1が壁下地に沿って施工された状態において、基材2における壁下地とは反対側の面を意味する。
【0010】
図2Bに示すように、横目地3は、上面30と下面31とを有する。下面31は、上面30よりも下方に位置し、基材2の裏面21に近い部分ほど上方に位置するように傾斜し、かつ上面30よりも緩勾配である。横目地3における上面30と下面31との間に、横目地3の長手方向に延びる凸条33が形成される。
【0011】
本実施形態の壁材1は、太陽光又は照明光等の光が、前斜め上方から当たったとき、下面31と凸条33とが明るく照らされる。これに対して、横目地3における凸条33よりも上方の部分34には、影が形成される。この場合、壁材1を見る人に対して、影が形成された部分34が、凸条33を基準として、実際の位置よりも横目地3の奥に位置するような印象が与えられる。このため、壁材1は、深い横目地3が形成されたような外観となる。
【0012】
(2)構成
以下、本実施形態の壁材1の構成について、詳述する。図1に示す本実施形態の壁材1は、横張り用の外壁材であって、基材2の表面20が屋外側を向くように施工される。
【0013】
壁材1は、基材2の裏面21(表面20とは反対側の面)が壁下地に沿った状態で施工される。なお、本開示では、壁材1の各構成について、施工された状態における方向を用いて説明する。具体的には、基材2から壁下地とは反対側に向かう方向を前方と規定し、基材2から壁下地側に向かう方向を後方と規定する。
【0014】
壁材1の主体は、基材2で構成される。基材2は、例えば、押出成形によって形成され、全体が同一の材料から形成される。本実施形態の基材2は、例えば窯業系のサイディング材であって、セメント硬化物からなる。
【0015】
基材2は、水平方向に長い矩形の板状に形成されている。基材2の水平方向と直交する断面の形状は、基材2の長手方向に亘って略一様である。
【0016】
図2Aに示すように、基材2の上端部には、上実部22が形成されており、基材2の下端部には、下実部23が形成されている。壁材1が施工された状態では、上実部22は、上方に隣接する他の壁材1の下実部23に対向し、下実部23が下方に隣接する他の壁材1の上実部22に対向する。
【0017】
図1及び図2Aに示すように、基材2の表面20には、上下方向に間隔をあけて並んだ複数の横目地3が形成されている。
【0018】
各横目地3は、基材2の長手方向に直線状に延びた溝である。各横目地3は、基材2の長手方向の全長に亘って形成されている。
【0019】
基材2の表面20には、上方方向に並んだ複数の突部4が形成されている。各突部4は、基材2の表面20における隣り合う横目地3の間の部分で構成されている。
【0020】
各突部4は、前方から見て水平方向に延びた矩形状に形成されている。各突部4の前面は、略鉛直な面である。
【0021】
各突部4の前面には、例えば、突部4が壁材1のモチーフに対応するピース材に見えるように、当該ピース材の素材の表面を表現した立体模様が形成される。壁材1のモチーフとしては、例えば土壁模様、コンクリート壁模様、石積み模様、れんが積み模様、又は板模様等がある。例えば、壁材1のモチーフが土壁模様である場合、各突部4の前面には、土の表面を表現した立体模様が形成される。
【0022】
本実施形態の各横目地3は、底面32を有する箱目地であり、図2Bに示すように、上面30、下面31、底面32及び複数の凸条33を有している。
【0023】
上面30は、その上の突部4の下面を構成し、下面31はその下の突部4の上面を構成する。複数の凸条33は、各横目地3における上面30と下面31との間の部分に形成されている。底面32は、上面30と、複数の凸条33の表面とをつなぐ。
【0024】
上面30は、上の突部4の前面の下縁から後ろ斜め下方に延びている。すなわち、上面30は、基材2の裏面21に近い部分ほど下方に位置するように傾斜している。このため、上面30には、太陽光又は照明光等の前斜め上方からの光が当たり難く、影ができやすい。本実施形態の上面30は、鉛直面に対する傾斜角度θ1が45°以上である。
【0025】
下面31は、下の突部4の前面の上縁から後ろ斜め上方に延びている。すなわち、下面31は、基材2の裏面21に近い部分ほど上方に位置するように傾斜している。このため、壁材1に太陽光又は照明光等の光が、前斜め上方から当たったとき、下面31は明るく照らされやすい。
【0026】
下面31は、上面30と比較して緩勾配である。すなわち、下面31の鉛直面に対する傾斜角度θ2は、上面30の鉛直面に対する傾斜角度θ1よりも小さい。本実施形態では、壁材1に太陽光又は照明光等の光が当たったときに、下面31が突部4の前面よりも明るく照らされるように、傾斜角度θ2が45°未満とされている。
【0027】
底面32は、上面30の後縁(下端)から下方に延びている。本実施形態の底面32は、突部4の前面と平行な略鉛直の面である。壁材1に太陽光又は照明光等の光が、前斜め上方から当たったとき、底面32には上方に位置する突部4の影ができやすい。
【0028】
底面32と下面31との間には、上下方向に並んだ複数の凸条33が形成されている。下面31の後縁(上端)及び底面32の下縁は、複数の凸条33の表面につながっている。すなわち、本実施形態では、底面32と下面31とが、複数の凸条33の表面を介して、つながっている。
【0029】
各凸条33は、横目地3の長手方向に直線状に延びており、横目地3の長手方向全体に亘っている。
【0030】
各横目地3において、複数の凸条33は、底面32よりも前方に突出している。このため、複数の凸条33は、底面32と比較して、前記光により明るく照らされやすい。なお、複数の凸条33は、突部4の前面よりも後方に位置している。また、下側の凸条33ほど前方に位置しており、また、いずれの凸条33も、上記の通り、突部4の面よりも後方に位置している。
【0031】
本実施形態の基材2の表面20には、全体に亘って印刷が施される。具体的に基材2の表面20は、表面粗さが互いに異なる複数の印刷領域を有しており、各印刷領域には、印刷領域毎に異なる印刷が施されている。
【0032】
本実施形態の表面20は、複数の印刷領域として、複数の第1印刷領域PA1と、複数の第2印刷領域PA2と、複数の第3印刷領域PA3とを有している。
【0033】
各第1印刷領域PA1は、突部4の前面と、これに連続した横目地3の下面31とで構成される。各第1印刷領域PA1には、例えば、土、コンクリート、石、れんが、木、ガラス等の種々の素材の中から選択された一つの素材を表現する印刷が施される。
【0034】
第1印刷領域PA1に印刷される素材は、突部4の形状により表現された素材と同じ素材である。例えば、突部4が土壁の一部を表現する形状を有する場合、第1印刷領域PA1には、土の表面を表した色及び模様を有する印刷が施される。
【0035】
各第1印刷領域PA1は、当該第1印刷領域PA1に印刷される素材に応じた表面粗さを有している。なお、本開示における表面粗さには、例えば、JISB 0601:2013で規定される算術平均粗さRaが用いられる。
【0036】
各第2印刷領域PA2は、複数の凸条33の表面で構成される。各第2印刷領域PA2には、例えば、前記種々の素材の中から選択された一つの素材を表現した印刷が施される。
【0037】
ただし、第2印刷領域PA2に印刷される素材は、第1印刷領域PA1に印刷される素材とは異なる。例えば、第1印刷領域PA1に前述した土の素材が印刷される場合、第2印刷領域PA2には、ガラスの表面を表した色及び模様を有する印刷が施される。
【0038】
各第2印刷領域PA2は、当該第2印刷領域PA2に印刷される素材に応じた表面粗さを有している。本実施形態では、第2印刷領域PA2は、第1印刷領域PA1よりも表面粗さが小さくなるように形成される。このため、第1印刷領域PA1と第2印刷領域PA2との質感の違いが明確に表現される。
【0039】
各第3印刷領域PA3は、横目地3の上面30及び底面32で構成される。各第3印刷領域PA3には、例えば、第1印刷領域PA1と同じ素材で、かつ、第1印刷領域PA1よりも暗い色の印刷が施される。すなわち、上面30及び底面32は、突部4の前面及び下面31よりも暗色を呈する。このため、第3印刷領域PA3は、第3印刷領域PA3に形成される影の影響と相まって、一層暗く見える。
【0040】
第3印刷領域PA3の表面粗さは、第1印刷領域PA1の表面粗さよりも小さい。このため、第3印刷領域PA3は、実際の位置よりも基材2の裏面21側に位置するように見えやすい。
【0041】
また、第3印刷領域PA3の表面粗さは、第2印刷領域PA2の表面粗さよりも大きい。このため、第3印刷領域PA3と第2印刷領域PA2との質感の違いが明確に表現される。
【0042】
本実施形態の壁材1は、図3に示すように、基材2の表面20の全体に亘って形成された塗装膜5を備えている。塗装膜5は、前述した印刷により形成される印刷層52を有する。
【0043】
本実施形態の塗装膜5は、例えば、インク受理層51、印刷層52及びクリア層53を、基材2側からこの順に有している。
【0044】
基材2の表面20に形成されるインク受理層(インク受容層)51は、印刷層52を基材2の表面20に定着させやすくする。インク受理層51は、例えばスプレーコート、カーテンコート、ロールコート等の手法で形成される。インク受理層51を形成する塗料としては、例えば、水性の塗料が用いられる。この塗料は、例えば、アクリル樹脂塗料又はアクリルシリコン樹脂塗料である。
【0045】
インク受理層51の表面(前面)に形成される印刷層(インク層)52は、インクジェット印刷(インクジェット塗装)により形成される。すなわち、印刷層52は、インク受理層51に接着された多数のインクドット(インク摘)の集合体である。
【0046】
前記インクジェット印刷は、例えば、複数の色のインクを噴射するインクジェット印刷機を用いて行われる。印刷層52を形成するインクとしては、例えば水性インクが用いられる。
【0047】
本実施形態における印刷層52は、印刷領域毎にドット密度が異なっており、各印刷領域におけるドット密度は、表面粗さが小さい印刷領域ほど、ドット密度が大きい。なお、前記ドット密度の違いは、例えば、インクドットピッチ及びインクドット径のうちの一方又は両方を印刷領域毎に異ならせることで、付けられる。
【0048】
図2Bに示す第2印刷領域PA2におけるドット密度は、第1印刷領域PA1におけるドット密度よりも大きい。このため、第2印刷領域PA2は、第1印刷領域PA1よりも平滑に見えやすい。したがって、第1印刷領域PA1と第2印刷領域PA2との表面粗さの違いの影響と相まって、第1印刷領域PA1と第2印刷領域PA2との質感の違いが、一層明確に表現される。
【0049】
また、第3印刷領域PA3のドット密度は、第1印刷領域PA1のドット密度よりも大きい。このため、第3印刷領域PA3は、第1印刷領域PA1よりも一層暗く見える。
【0050】
また、第3印刷領域PA3のドット密度は、第2印刷領域PA1のドット密度よりも小さい。このため、第2印刷領域PA2は、第3印刷領域PA3よりも一層平滑に見えやすい。
【0051】
図3に示すように、印刷層52の表面(前面)には、クリア層53が形成される。クリア層53は、可視光が透過する層であり、印刷層52を保護し、また、クリア性を付与して意匠性を高める。
【0052】
クリア層53は、例えば、スプレーコート等によって形成される。クリア層53を形成するクリア塗料としては、例えば、水性のクリア塗料が用いられる。水性のクリア塗料は、例えば、アクリル系、アクリルシリコン系、アクリルウレタン系等の塗料である。
【0053】
クリア層53におけるクリア塗料は、印刷層52におけるインクドットの表面に塗布されやすく、インク受理層51において印刷層52のインクドットが塗布されていない箇所には、塗布され難い。このため、クリア層53は、対応する印刷領域に印刷された印刷層52のドット密度が大きいほど、クリア塗料の密度が大きくなる。すなわち、この場合、第2印刷領域PA2におけるクリア塗料の密度は、第1印刷領域PA1におけるクリア塗料の密度よりも大きくなる。このため、第2印刷領域PA2は、第1印刷領域PA1と比較して一層平滑に見えやすい。
【0054】
(3)参考例、変形例
次に前記実施形態の参考例、変形例について説明する。なお、以下の各参考例、各変形例の説明では、前記実施形態と共通する要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
(3―1)参考例1
図4Aに示す参考例1の壁材1は、横目地3に凸条33が1条だけ形成されている。また、底面32が、下面31と同一仮想面上に位置する面であり、基材2の裏面21に近い部分ほど上方に位置するように、鉛直面に対して傾斜している。
【0056】
(3―2)参考例2
図4Bに示す参考例2の壁材1は、底面32が、鉛直面と略平行な底面上部35と、下面31と同一仮想面上に位置する底面下部36とで構成されている。
【0057】
底面上部35の上縁は、上面30の後縁につながっており、底面上部35の下縁は、底面下部36の上縁につながっている。底面下部36の下縁は、凸条33の表面につながっている。
【0058】
(3―3)変形例
図4Cに示す変形例の壁材1の底面32は、下面31と同一仮想面上に位置する面であり、基材2の裏面21に近い部分ほど上方に位置するように、鉛直面に対して傾斜している。
【0059】
(3―4)変形例
図4Dに示す変形例の壁材1は、横目地3の複数の凸条33が、底面32の上下方向の中間部に形成されている。
【0060】
本変形例の第1印刷領域PA1は、突部4の前面と、下面31と、底面32における複数の凸条33よりも下方の部分とで構成される。この第1印刷領域PA1には、前記実施形態の第1印刷領域PA1と同様の印刷が施され、また、前記実施形態の第1印刷領域PA1に形成された塗装膜5と同様の塗装膜が形成される。
【0061】
また、本変形例の第3印刷領域PA3は、底面32における複数の凸条33よりも上方の部分と、上面30とで構成される。この第3印刷領域PA3には、前記実施形態の第3印刷領域PA3と同様の印刷が施され、また、前記実施形態の第3印刷領域PA3に形成された塗装膜5と同様の塗装膜が形成される。
【0062】
(4)補足
前記実施形態及び各変形例の壁材1は、適宜設計変更可能である。
【0063】
例えば、横目地3の上面30の傾斜角度θ1は、45°未満であってもよい。また、上面30は、裏面21に近い部分ほど下方に位置するように傾斜したものに限られず、例えば水平面であってもよい。また、横目地3の下面31の傾斜角度θ2は、45°以上であってもよい。
【0064】
また、横目地3は、底面32を有さなくてもよい。この場合、上面30は凸条33の表面に直接つながる。また、凸条33は、横目地3の長手方向における一部にのみ形成されてもよい。
【0065】
また、横目地3の長手方向は、上下方向に対して交差する方向であればよく、例えば、水平方向に対して傾斜した方向であってもよい。また、横目地3は、基材2に一つだけ形成されてもよい。また、横目地3は、基材2の長手方向における一部にのみ形成されてもよい。
【0066】
また、塗装膜5は、基材2の表面20に、直接形成されたものに限られず、シーラー、プライマー、エナメル塗料等の下地層を介して形成されてもよい。また、塗装膜5は、インク受理層51及びクリア層53のうちの少なくとも一方を有さなくてもよい。また、塗装膜5の表面には、必要に応じて、無機質塗料層又は光触媒塗料層など、他の層が更に形成されてもよい。
【0067】
また、インク受理層51の塗料は、限定されず、例えば、紫外線硬化型樹脂塗料等から形成されてもよい。また、印刷層52を形成するインクは、限定されず、例えば、油性インク又は紫外線硬化性インク等であってもよい。また、クリア層53を形成するクリア塗料は、限定されず、例えば、溶剤クリア塗料又は紫外線硬化型クリア塗料等であってもよい。
【0068】
また、第2印刷領域PA2の表面粗さは、第1印刷領域PA1の表面粗さと同じであってもよいし、第3印刷領域PA1の表面粗さと同じであってもよい。
【0069】
また、第3印刷領域PA3の表面粗さは、第1印刷領域PA1の表面粗さと同じであってもよい。また、第3印刷領域PA3の表面粗さは、第1印刷領域PA1の表面粗さよりも大きくてもよいし、第2印刷領域PA2の表面粗さよりも小さくてもよい。
【0070】
また、第3印刷領域PA3には、隣接する第1印刷領域PA1及び第2印刷領域PA2の印刷よりも暗い色であれば、第2印刷領域PA2と同じ素材の印刷が施されてもよい。また、第3印刷領域PA3には、第1印刷領域PA1及び第2印刷領域PA2の両者と異なる素材の印刷が施されてもよい。
【0071】
また、各印刷領域のドット密度は、印刷領域毎に異ならなくてもよい。また、基材2の表面20に印刷される素材の数は、限定されず、例えば、表面20には一つの素材の印刷だけが施されてもよいし、3以上の素材の印刷が施されてもよい。また、壁材1には、印刷が施されなくてもよい。すなわち、壁材1は、塗装膜5を有さなくてもよい。
【0072】
また、基材2は、抄造成形、注型成形又はプレス成形等の押出成形以外の方法で形成されてもよい。
【0073】
また、基材2は窯業系基材に限られず、木質系基材、プラスチック系基材又は金属系基材等であってもよい。また、壁材1は、基材2の長手方向が上下方向と平行となる、縦張り用の外壁材であってもよい。また、本開示の技術は、内壁材として利用される壁材にも適用可能である。
【0074】
また、前記実施形態、変形例及び変形例の横目地3には、凸条33が1条だけ形成されてもよいし、3条以上形成されてもよい
【0075】
(5)まとめ
以上説明した、実施形態及び各変形例の壁材1は、基材2の表面20に横目地3が形成された壁材であって、以下に示す構成を有する。横目地3は、上面30と、下面31とを有する。下面31は、上面30よりも下方に位置し、基材2の裏面21に近い部分ほど上方に位置するように傾斜し、かつ、上面30よりも緩勾配である。横目地3における上面30と下面31との間に、横目地3の長手方向に延びる凸条33が形成される。以下、この構成を有する壁材1を第1の態様の壁材1という。
【0076】
第1の態様の壁材1は、太陽光又は照明光等の光が、前斜め上方から当たったとき、下面31と凸条33とが明るく照らされるのに対して、横目地3における凸条33よりも上方の部分34(例えば、前記実施形態における上面30及び底面32)には、影が形成されやすい。この場合、壁材1を見る人に対して、影が形成された部分34が、基材2の表面側に向かって突出した凸条33を基準として、実際の位置よりも横目地3の奥に位置するような印象が与えられる。このため、壁材1は深い横目地3が形成されたような立体感が強調された外観となり、壁材1の厚みが大きくなることを抑制しつつ、意匠性を向上することができる。
【0077】
また、前記実施形態、変形例及び変形例の壁材1は、第1の態様の壁材1において、以下に示す構成を有する。凸条33が上下に複数形成される。以下、この壁材1を第2の態様の壁材1という。
【0078】
第2の態様の壁材1は、複数の凸条33が明るく照らされる。このため、壁材1を見る人に対して、これら複数の凸条33が基準となって、横目地3における凸条33よりも上方の部分34が、実際の位置よりも横目地3の奥に位置するような印象が与えられる。
【0079】
また、前記実施形態及び各変形例の壁材1は、以下に示す構成を有する。横目地3は、上面30と凸条33とをつなぐ底面32を有する。底面32が、下面31よりも暗色を呈する。以下、この壁材1を第3の態様の壁材1という。
【0080】
第3の態様の壁材1は、壁材1を見る人に対して、底面32が、凸条33を基準として、実際の位置よりも横目地3の奥に位置するような印象が与えられる。また、この底面32は、下面31よりも暗色を呈するため、より一層、横目地3の奥側に位置するように見えやすくなる。
【0081】
なお、第2、第3の態様の壁材1の構成は、壁材1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 壁材
2 基材
20 表面
21 裏面
3 横目地
30 上面
31 下面
32 底面
33 凸条
図1
図2
図3
図4