(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】食器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47L 15/24 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A47L15/24
(21)【出願番号】P 2018018218
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2020-12-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 富和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 允
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-136958(JP,A)
【文献】特開2005-058071(JP,A)
【文献】特開2005-021220(JP,A)
【文献】特開2011-050669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器を浸漬する浸漬液を収容可能な浸漬槽と、
前記浸漬槽の内部において前記食器を搬送する第1の搬送部と、前記第1の搬送部の後段側に設けられて前記食器を前記浸漬液から上方に取り出すように搬送する第2の搬送部と、を含む搬送コンベアと、を備え、
前記搬送コンベアの側方部と前記浸漬槽の内壁との間に第1の隙間が設けられ、
前記浸漬槽は、
前記食器を載置可能な第1の面と、
前記第1の面より下方に設けられた第2の面と、
前記第2の面より下方に設けられた第3の面と、を含み、
前記第2の面が、前記第1の搬送部の下方に設けられ、
前記第3の面が、前記第2の面よりも前記第2の搬送部の側の位置において、前記第2の面と連続するように設けられ
、
水を噴射して前記搬送コンベアを洗浄するコンベア洗浄ノズルを、更に備え、
前記搬送コンベアは、無端循環走行する環形状を有し、
前記コンベア洗浄ノズルは、前記第1の搬送部より上方であり且つ前記第2の搬送部に対応する前記搬送コンベアの環内に設けられ、水を下方向きに噴射する、
食器洗浄装置。
【請求項2】
食器を浸漬する浸漬液を収容可能な浸漬槽と、
前記浸漬槽の内部において前記食器を搬送する第1の搬送部と、前記第1の搬送部の後段側に設けられて前記食器を前記浸漬液から上方に取り出すように搬送する第2の搬送部と、を含む搬送コンベアと、を備え、
前記搬送コンベアの側方部と前記浸漬槽の内壁との間に第1の隙間が設けられ、
前記浸漬槽は、
前記食器を載置可能な第1の面と、
前記第1の面より下方に設けられた第2の面と、
前記第2の面より下方に設けられた第3の面と、を含み、
前記第2の面が、前記第1の搬送部の下方に設けられ、
前記第3の面が、前記第2の面よりも前記第2の搬送部の側の位置において、前記第2の面と連続するように設けられ、
前記第2の搬送部が内部を移動する接続部と、
前記第1の隙間を覆う、着脱可能な第1の食器落下防止部と、
前記搬送コンベアの側方部と前記接続部の内壁との間に設けられた第2の隙間を覆う、着脱可能な第2の食器落下防止部と、を更に備え、
前記第1の食器落下防止部は、
前記浸漬液が通過し且つ前記食器が通過しない貫通孔を有し、
前記第2の食器落下防止部は、
前記搬送コンベアの側方部に
隣接するとともに前記搬送コンベアに沿うように上下に立設される面部を有
し、前記面部により、前記搬送コンベアに搬送されている前記食器が前記第2の隙間に落下することを防止する、
食器洗浄装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の食器洗浄装置において、
前記第2の面が、前記第3の面に近づくに連れて下方へ向かう様に傾斜している、
食器洗浄装置。
【請求項4】
請求項1
から3のいずれか一項に記載の食器洗浄装置であって、
前記第3の面に連通するとともに異物を排出する排出部を、更に備える、
食器洗浄装置。
【請求項5】
請求項
2に記載の食器洗浄装置において、
前記第1の隙間は、
前記搬送コンベアの側方部と前記第1の面との間に設けられ、
前記第1の面は、
前記搬送コンベアに近づくにつれて下方に向かうように傾斜し、
前記第1の食器落下防止部は、
前記搬送コンベアに近づくにつれて下方に向かうように傾斜する、
食器洗浄装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の食器洗浄装置において、
前記第1の面と前記第1の食器落下防止部とは、一繋がりの傾斜面を構成する、
食器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浸漬槽に投入した食器をネットコンベアで搬送する食器洗浄装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、浸漬槽と残菜受槽との水が循環し浸漬槽内に食器搬送用のネットコンベアを配設した食器浸漬槽であり、浸漬槽内の残菜類を排除して常に汚れの少ない状態で使用後の食器を浸漬できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浸漬槽を用いて食器を浸漬した後、浸漬槽内に残された残滓などを取り除くために掃除を行うが、特許文献1に記載された構造では、浸漬槽内の下方部分に手が入らないため、底面の残滓を完全に取り除くことができず衛生面では好ましくない。また、残滓を効率よく取り除くことが困難であるという課題がある。
【0006】
本発明は、衛生面が維持され、効率の良い残滓の取り除きができる食器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食器洗浄装置は、浸漬液を収容可能な浸漬槽と、前記浸漬槽の内部において、前記浸漬液に浸漬された食器を搬送する第1の搬送部と、当該第1の搬送部の後段に設けられ、前記浸漬液に浸漬された食器を当該浸漬液から上方に取り出すように搬送する第2の搬送部と、を含む搬送コンベアと、を備え、前記搬送コンベアの少なくとも側方と前記浸漬槽との間には所定の隙間が設けられ、前記浸漬槽は、外部から入れられた食器を一時的に載置する第1の面と、前記第1の面より下方に設けられた第2の面と、前記第2の面より下方に設けられた第3の面と、を含み、前記第2の面が前記第1の搬送部の下方に設けられ、前記第3の面が、前記第2の面から前記第2の搬送部の側の位置において、当該第2の面と連続するように設けられる。
【0008】
本発明の食器洗浄装置の一態様として例えば、前記第2の面が、前記第3の面に近づくに連れて、下方へ向かう様に傾斜している。
【0009】
本発明の食器洗浄装置の一態様として例えば、前記第3の面が、異物を排出する排出部に連通している。
【0010】
本発明の食器洗浄装置の一態様として例えば、水を噴射して前記搬送コンベアを洗浄するコンベア洗浄ノズルが、前記第1の搬送部より上方であって、かつ前記第2の搬送部に水を噴射可能な位置に設けられている。
【0011】
本発明の食器洗浄装置の一態様として例えば、前記所定の隙間を覆うように、所定の幅を備える食器落下防止部を更に備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の食器洗浄装置は、所定の幅の隙間があるため、メンテナンスの際、浸漬槽及び搬送コンベアの隅々にまで容易に作業者の手が届き、清掃を行うことが容易であると共に衛生面の良好さを維持できる。また、本発明の食器洗浄装置は、第1の面よりも第2の面が下方にあり、第3の面がさらに第2の面よりも下方に位置しているため、食器に付着した残滓(異物)等が第1の面から第2の面を介して第3の面に容易に落下して第3の面で沈殿物として残留するため、残滓を分離しやすく、回収を容易にすることができ、回収の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る食器洗浄装置の一例を示す正面側からの斜視図。
【
図5】(a)本発明に係る搬送コンベアの一例を示す部分斜視図、(b)本発明に係る吸水口フィルタの一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る食器洗浄装置の好適な実施形態を、
図1~
図7に基づいて詳述する。
【0015】
本実施形態の食器洗浄装置1は、架台2と架台2に支持される筐体3と、筐体3内を移動し食器4を搬送する駆動式の搬送コンベア10と、筐体3に画定され搬送コンベア10の一部が浸漬する浸漬槽20と、搬送コンベア10が浸漬槽20から次工程に食器4を搬送する接続部30と、浸漬槽20内に洗浄水を噴射する複数のノズル40と、浸漬槽20内に収納される浸漬液50と、浸漬液50を循環させるポンプ60と、搬送コンベアを駆動させる駆動部70とを備えている。
【0016】
搬送コンベア10は、浸漬液50に浸漬された食器4を搬送する第1の搬送部11と、第1の搬送部11の後段に設けられ浸漬液50に浸漬された食器4を当該浸漬液50から上方に取り出すように搬送する第2の搬送部12とを含み、食器4を搬送する搬送面13を有している。第1の搬送部11は浸漬槽20内を移動し、第2の搬送部12は、浸漬槽20及び浸漬液50から浮上し食器4を次工程に搬送するため接続部30内を移動する。本実施形態では、接続部30において第2の搬送部12は傾斜し、浸漬槽20よりも上方向に食器4を搬送させる。
【0017】
搬送面13は、搬送する食器4が搬送中に搬送コンベア10から落下しないよう食器4を載置でき、かつ食器4に付着していた残滓R(残留物)が食器から離れたとき、搬送コンベア10から落下できる構造であれば良い。搬送面13は、一般的に網目状の支持面と支持面間が空隙のある構造であり、本実施形態では搬送面13上方に突出する複数の突起14を有し(
図5(a)参照)、突起14により食器4を支持し、搬送コンベア10が傾斜した状態においても食器4が搬送コンベア10から滑り落ちないようにしている。なお、本実施形態で説明している複数の突起14による構造とは別のものの一つとして、搬送コンベア10の搬送方向と直交する方向で、搬送コンベア10の略幅全体にわたって板状や櫛状または網状等の構造から構成されるスクレーパ板があり、当該スクレーパ板を搬送コンベアの搬送方向に所定の間隔で設けても良い。
【0018】
本実施形態の搬送コンベア10は、次工程と同じ搬送コンベアを利用してもよく、食器洗浄装置1から隣接する他の工程に食器4が連続して乗り移り可能な構成としても良い。また、搬送コンベア10は、図に示された大きさなどに限らず、必要に応じて適宜長さや幅を変えることが可能である。
【0019】
浸漬槽20は、搬送コンベア10の移動領域を除き搬送コンベア10を四方から取り囲む壁面21と、食器4を搬送コンベア10方向に移動させる滑走面22と、滑走面22から下方に向かって延在し浸漬槽20の略中央部に形成される内部壁21aと、内部壁21aと搬送コンベア10の側方との間に設けられた隙間23と、食器が落下しないように隙間23を覆う着脱自在の所定の幅を備える食器落下防止部24と、内部壁21a同士を繋ぐ底面25とを備える。浸漬槽20において搬送コンベア10は、内部壁21aと底面25とで画定される空間に駆動可能な状態で配置されている。
【0020】
食器落下防止部24には複数の貫通孔24aが設けられ、滑走面および食器落下防止部24の上から速やかに貫通孔24aを通過して残滓Rが底面に落下することと、浸漬液50の循環移動を容易にしている。貫通孔24aの大きさや設置数は、洗浄される食器4の種類や大きさ、食器4から離れ落ちる残滓Rの種類や大きさ等により決めることができる。
【0021】
複数のノズル40は、壁面21に設けられており、ノズル40から噴射される洗浄液の勢いによって浸漬槽20内では搬送コンベア10へ向かって水流が生じることにより、食器4に付着した残滓Rが離れるよう促すとともに食器4の滑走面22上の滑走を容易にしている。滑走面22は、壁面21から搬送コンベア10に向かって下る緩やかに傾斜していることが好ましい。即ち、滑走面22の壁面21側の高さよりも搬送コンベア10側の滑走面22が低い状態に配置され、食器が搬送コンベア10側に向かって滑りやすくすることが好ましい。また、食器落下防止部24も搬送コンベア10に向かって下る緩やかな傾斜であることが効果的である。
【0022】
ノズル40は壁面21に限らず内部壁21aに設置してもよく、当該ノズル40の噴射により残滓Rを底面25に誘導することができる。
【0023】
滑走面22は、浸漬槽20において、外部から入れられた食器4を一時的に載置する第1の面26であり、底面25は、第1の面26より下方に設けられた第2の面27と、第2の面より下方に設けられた第3の面28を有している。第2の面27は、第1の搬送部11の下方に設けられ、第3の面28が、第2の面27から第2の搬送部12の側の位置において、当該第2の面27と連続している。
【0024】
食器4に付着した残滓R(異物)等がノズル40の噴射により分離されて搬送コンベア10の搬送面や食器落下防止部24の貫通孔24aを介して第2の面27に落下することにより、食器を載置している第1の面26から残滓Rを遠ざけ、食器への再付着を防止できる。さらに第2の面27よりも低い位置であって、かつ下流側の第3の面28で残滓Rを集めて回収することができる。これにより、浸漬槽20内の残滓Rを集めやすくして、作業終了後の清掃時やメンテナンス時の回収を容易にしている。
【0025】
第2の面27は、一端から他端となる第3の面28に近づくにつれて、下方に向かうように緩やかに傾斜しており、第2の面27から第3の面28へ残滓Rを滑りやすくして誘導する構成でもあり、異物(残滓R)を第3の面28に集まりやすくしている。第3の面28は、排出部29に連通しており、第3の面28から洗浄水と共に異物を排出しやすくなっている。また、第3の面28も排出部29に向かって緩やかな下り傾斜面であることが好ましく、これによって異物を排出部29側に集めやすくすることができる。排出部29には、開閉扉29aが設けられており、作業終了後の清掃時やメンテナンス時に開閉扉29aを開放して第3の面28に沈殿した沈殿物(異物)を容易に取り除くことができる。なお、排出部29から沈殿物を取り除くとき、まずは排出部29の途中に設けられている排水バルブ44(
図3、
図7参照)を開いて浸漬槽20内の洗浄液の多くを排水した後、開閉扉を開放することが好ましい。
【0026】
接続部30は、搬送コンベア10を両側から筐体3で囲み、搬送コンベア10の下方にポンプ60と駆動部70とを収納している。筐体3の側面と搬送コンベア10の側方との間には浸漬槽20内に位置する搬送コンベア10の側方と同様に所定の隙間31が設けられ、隙間31を覆う所定の幅を備える着脱自在の食器落下防止部32が配置されている。接続部30の底面は、一端から浸漬槽20に向かって下がる傾斜面33となっている。
【0027】
接続部30の食器落下防止部32は、平板状の食器落下防止部24と異なり搬送コンベア10の側部から垂直方向に立ちあがった側面を有する箱形状をしており、傾斜する第2の搬送部12の高低差に対応している。
【0028】
また、浸漬槽20と接続部30の境界近傍には吸水口35が設けられ、当該吸水口35入口には、残滓等が吸水口35を通過しないように吸水口フィルタ36が設けられている。吸水口フィルタ36は、メンテナンスのため着脱自在となっており、食器落下防止部32の上部に開口した取付孔32aから挿入されている。吸水口フィルタ36の形状の一例は、
図5(b)に開示されている。例えば網の目状のフィルタであり、残滓等が吸水口35から侵入しないような構造であれば良い。把手36aを掴むことにより容易に着脱自在となっている。
【0029】
接続部30の端部には、搬送コンベア10から離れた食器4を次工程に送るための出口板37が設けられている。当該出口板37は、下方に傾斜させることが好ましく、食器4が自重で次工程に向かって滑り易くなる。
【0030】
接続部30の上面30aは、側面から見て浸漬槽20の上面20aと段差があり、それぞれの上面20a、30aと連続する立壁38が形成されており、浸漬槽20の上面20aと立壁38に当接し着脱自在で三角形状のカバー39が設置されている。カバー39は、通常、吸水口フィルタ36の取付孔32aを覆っている。
【0031】
ポンプ60は、筐体3の傾斜面33の下方に配置され、主にノズル40に洗浄水を送り込む。本実施形態では、ノズル40は浸漬槽20の壁面21に複数設置され、噴射方向を変えることにより食器4の移動、浸漬液50の循環などを効率的に行うことができる。また、ノズル40は、浸漬槽20と接続部30の境界近傍に開口している吸水口35と接続している洗浄水配管61とポンプ60を介して、圧送管63および洗浄水配管61によって連結されている。圧送管63と洗浄水配管61との間には、ノズル40から噴射する洗浄水量を調節する開閉バルブ62が設けられている。また、圧送管63は例えば架台2の一部に設けられている中空状の角パイプであり、その中に洗浄水を通して各ノズル40まで洗浄水を圧送するようにしている。
【0032】
接続部30には、コンベア洗浄ノズル64と上水を噴射する上水ノズル65とが設けられ、第1の搬送部11より上方であって、かつ第2の搬送部12に水を噴射可能な位置に配置されている。本実施形態において、コンベア洗浄ノズル64と上水ノズル65は、第2の搬送部12の上面側(往路側)と下面側(復路側)との間に配置されている。コンベア洗浄ノズル64から圧送された洗浄液の噴射により搬送コンベア10に付着した汚れを洗い落とすように洗浄し、上水ノズル65からの噴射によって搬送コンベア10を洗浄するとともに、浸漬槽20内の洗浄液の補充を行っている。
【0033】
コンベア洗浄ノズル64と上水ノズル65は、搬送コンベア10の搬送方向と直交するように、かつ、搬送コンベア10の横幅全体に亘って配置され、搬送面13の裏側から搬送コンベア10をくまなく洗浄できる。本実施形態では、コンベア洗浄ノズル64および上水ノズル65の噴射方向は下方向であり、搬送コンベア10の復路(搬送面13が下に向いて移動している状態)に向けている。
【0034】
洗浄水は、循環システムであり、ポンプ60を駆動することにより、圧送管63により圧送された洗浄液が複数のノズル40から浸漬槽20内に噴射され、浸漬槽20内の洗浄液である浸漬液50は、吸水口35から吸水され、再び浸漬槽20に送り込まれる。また、洗浄水配管61は、コンベア洗浄ノズル64とも連通しており、搬送コンベア10に噴射された洗浄液は、吸水口35から吸引される。
【0035】
上水ノズル65の近傍に吸水口35が配置され、上水ノズル65から噴射されている周辺の洗浄水は、浸漬槽20内の浸漬液50に比較して汚れが少なく、吸水口35の吸水口フィルタ36のメンテナンスの負荷を軽減している。また、コンベア洗浄ノズル64により第2の搬送部12に付着した異物が落下して傾斜面33を洗浄液の水流とともに滑り落ち、浸漬槽20と接続部30の境界近傍に配置された第3の面28に直接落下するため、異物を第3の面28に容易に誘導することができる。
【0036】
本実施形態の説明では、洗浄水配管61は、ノズル40、コンベア洗浄ノズル64、及び吸水口35とポンプ60を連結する配管全体を指し、開閉バルブ62及び圧送管63を含む。
【0037】
駆動部70もポンプ60と同様に筐体3の傾斜面33で第2の搬送部12の下方に配置され、搬送コンベア10を回転駆動させている。本実施形態では、搬送コンベア10は、駆動部側歯車71と従動側歯車72とに駆動自在に支持されており、駆動部70のモーターの回転をベルトで駆動部側歯車71に伝達して搬送コンベア10を駆動させている。搬送コンベア10の駆動はベルト式、クランク式などがあり、本実施形態に限らない。
【0038】
第1の面26は、浸漬槽20内に投入された食器4を浸漬させて一時的に載置する食器浸漬用底面でもある。第2の面27は、第1の面26で浸漬している食器4から分離した異物(残滓R)をさらに下に沈殿させて食器への再付着を防ぐための異物分離用底面でもある。第3の面28は、第2の面27よりも一段下に位置するとともに狭い範囲とし、第2の面27での沈殿物が浸漬槽20から排出しやすいように集めて排出部29へと連通している部分へと収集させるようにした異物回収用底面でもある。
【0039】
第1の面26は、搬送コンベア10に向けて緩やかな下り滑走面22であり、食器4が浸漬されながら徐々に搬送コンベア10に向けて移動しやすくしている。さらに、複数のノズル40からの洗浄水の噴射により食器4が滑走面の途中で停滞したとしても搬送コンベア10に誘導させることを容易としている。また、洗浄水は浸漬槽20内の浸漬液50を循環使用させていることが好ましい。
【0040】
第2の面27は、両側において内部壁21aを介して第1の面26と連続し、一方の端面は壁面21と連続し、当該端面と反対側の端面は、第3の面28を介して接続部30の傾斜面33と連続しており、搬送コンベア10を設置する空間の基底となっている。
【0041】
第3の面28は、搬送コンベア10の搬送方向と直交する方向に細長状に形成され、端部は排出部29と連通している。第2の面27の下方に第3の面28を配置することにより、第2の面27上を滑り落ちてきた異物は、確実に第3の面28に落下し、異物が第3の面28に容易に沈殿物として集められ、排出部29の開放により、沈殿物の排出を容易にしている。
【0042】
また、第3の面28の第2の面27に面する面とは反対側の端面は、傾斜面33とも連続していることから、搬送コンベア10に付着していた汚れがコンベア洗浄ノズル64から噴射された洗浄液によって洗い落され、傾斜面33を滑り落ちた後、第3の面28に落下するようになっている。このようなことから、浸漬槽20での残滓Rは第1の面26から第2の面27を通って、第3の面28へと集められるとともに、接続部30での汚れは傾斜面33から第3の面28へと集められ、すべての残滓R等が第3の面28で回収できるようになっている。
【0043】
搬送コンベア10と内部壁21aとの間及び接続部30の筐体3の側面との間にはそれぞれ隙間23、31が設けられ、当該隙間23、31を覆う着脱自在の食器落下防止部24、32がそれぞれ設けられている。メンテナンス時は、食器落下防止部24、32を取り外すことにより、清掃する作業者の手が搬送コンベア10の周囲となる隙間23、31から第2の面27はもちろん、第3の面28および傾斜面33まで手を入れ込むことができ、また、搬送コンベア10のメンテナンスも容易となって、浸漬槽20、接続部30及び搬送コンベア10の隅々にまで容易に清掃を行うことができ、食器洗浄装置1の衛生面の良好さを維持できる。
【0044】
食器落下防止部24、32は複数に分割されていることが好ましく、取り外したい位置の選択及び取り外す際の重さの軽減が実現できる。
【0045】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る食器洗浄装置は、メンテナンス作業性の良好さ及び衛生面を重視する分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 食器洗浄装置
2 架台
3 筐体
4 食器
10 搬送コンベア
11 第1の搬送部
12 第2の搬送部
13 搬送面
14 突起
20 浸漬槽
21 壁面
22 滑走面
23 隙間
24 食器落下防止部
26 第1の面
27 第2の面
28 第3の面
29 排出部
30 接続部
31 隙間
32 食器落下防止部
33 傾斜面
35 吸水口
40 ノズル
44 排水バルブ
50 浸漬液
60 ポンプ
61 洗浄水配管
62 開閉バルブ
63 圧送管
64 コンベア洗浄ノズル
65 上水ノズル
70 駆動部
R 残滓