(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】スリーブ弁
(51)【国際特許分類】
F16K 3/26 20060101AFI20220809BHJP
F16K 3/32 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F16K3/26 C
F16K3/32 D
(21)【出願番号】P 2018064913
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】尾形 吉信
(72)【発明者】
【氏名】中島 陽子
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0005217(US,A1)
【文献】米国特許第01448717(US,A)
【文献】米国特許第03540462(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/26
F16K 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状弁箱(11)の一端に流入配管(1)、他端に流出配管(2)がそれぞれ接続され、その弁箱(11)内に、流入配管(1)側が閉塞されたシリンダ(12)を同一軸に設け、そのシリンダ(12)内にスリーブ弁体(13)を下流側同一軸上に移動可能に設け、
上記スリーブ弁体(13)はその周壁に多数の弁孔(13c)を有して、そのスリーブ弁体(13)の上記同一軸上の移動により、前記弁孔(13c)が順々に開閉されて、上記流入配管(1)からの流体(w)が、弁箱(11)内周面とシリンダ(12)の外周面との間隙(16)から前記弁孔(13c)を通ってスリーブ弁体(13)内に流れ込んで上記流出配管(2)に流通するインライン型スリーブ弁(10)であって、
上記弁箱(11)内の流体(w)が流通する部分に位置する部材が、上記シリンダ(12)を弁箱(11)に支持するリブ(
19)、前記シリンダ(12)内から弁箱(11)外に通じるドレイン管(21)及び上記弁箱(11)に横方向から挿入された弁軸支持筒(15a)の何れか1つ以上であり、
その弁箱(11)内の流体(w)が流通する部分に位置する
上記部材を、弁箱(11)の軸心周りに等間隔位置又は一定の周期性を持った間隔位置と
するとともに、前記弁箱(11)内の流体(w)が流通する部分に位置する部材を、流通方向に向かって断面流線形とし
て、前記弁箱(11)内を流れる流体(w)が乱流を生じ難くし、
かつ、上記弁箱(11)内に流体(w)の流通方向に直交して弁軸(15)が挿入されて、上記ドレイン管(21)が前記リブ(19)の1つを兼ねたインライン型スリーブ弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上下水道、工業用水、農業用水、水力発電用水等の配管の途中又は末端に取り付け、スリーブ弁体によって流量制御又は圧力制御を行うインラインスリーブ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスリーブ弁には、多孔を設けたスリーブの外周のゲートが軸方向に駆動(移動)して流量を調整する構成のものや、スリーブ自体が駆動して流量を調整する構成のものがある(特許文献1、2)。
【0003】
後者のスリーブ自体が駆動するスリーブ弁として、例えば、
図7~
図9に示す、円筒状弁箱11の一端に流入配管1、他端に流出配管2がそれぞれ接続され、その弁箱11内に、流入配管1側が閉塞されたシリンダ12を同一軸に設け、そのシリンダ12内に周壁一部が多孔(複数の弁孔)13cを有するスリーブ弁体13を同一軸上に移動可能に設けたものがある(特許文献1第1図等参照)。
【0004】
このスリーブ弁10’は、弁箱11内に水wの流通方向に直交して弁軸15が挿入されており、この弁軸15は図示しないハンドルや駆動機によって回転される。
上記スリーブ弁体13は円筒状であって、前側がシリンダ12に嵌って摺動するガイド部13aと後側がその外周部に多数の弁孔13cが螺旋状に配列された多孔部13bとなっている。そのガイド部13aは多孔部13bより大径となってその境が下り勾配の段差となっており、その下り勾配の段差がスリーブ弁体13の弁座14aとなる。この弁座14aは、
図9に示すように、スリーブ弁体13の移動により同一傾斜面の弁箱側弁座14bに当接することによって、このスリーブ弁10’を閉弁する。
【0005】
上記弁軸15にはその径方向(軸周り)のクランク17aが固着され、そのクランク17aの先端にコンロッド17bが回転自在に連結されてリンク機構17を構成している。コンロッド17bの先端はスリーブ弁体13のボス18に回転自在に連結されている。このため、弁軸15が回転すると、リンク機構17を介してスリーブ弁体13は流通方向前後(
図7の左右)に移動する。
その移動に伴い、上記スリーブ弁体13の各弁孔13cがスリーブ弁体13の軸方向移動で順々に開閉され、両弁座14a、14bが当接していない開弁時(
図7、
図8の状態)、流入配管1からの水wが、弁箱11内周面とシリンダ12の外周面との間隙16からその弁孔13cを通ってスリーブ弁体13内に流れ込んで流出配管2に流通する。
このとき、弁軸15の回転でもってスリーブ弁体13の軸方向の位置を調整して前記間隙16の臨む弁孔13cの数を調整することによって流量制御又は圧力制御を行う。
【0006】
ところで、近年、各種の設備全体の省スペース化、小型化の需要が見られる。このため、インラインスリーブ弁10’の小型化も求められている。
また、近年のライフサイクルコストを重視する風潮から弁の長期安定運用、メンテナンス利便性が以前にもまして求められている。
さらに、このスリーブ弁10’において、弁内を通過する流体中には、砂、石、木片等の異物(不純物)が含まれている場合が多い。この異物は、スリーブの孔(弁孔13c)を詰まらせ、スリーブ弁10’の安定的な運用ができなくなる場合がある。
その異物の洗浄機構としては多くの研究がなされており、例えば、特許文献1、2に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭58-50366号公報
【文献】特開2000-97354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記
図7~
図9に示すスリーブ弁10’は、弁箱11内に弁軸15を通したり、シリンダ12を弁箱11に支持するためのリブ19を有したりし、その弁軸15やリブ19は流体wの流路中に位置することとなる。この流路中に弁軸15等が位置することは、流体wに乱流を生じさせ、流体wの定常性を阻害することとなる。
スリーブ弁10’は、通常、激しい流体条件下に使用され、上記のように、流量制御や圧力制御を行うが、前記乱流が生じると、弁振動や弁内部の摩耗が発生し、上記近年のライフサイクルコストを重視する風潮から弁の長期安定運用、メンテナンス利便性が得られないこととなる。
【0009】
従来、上記乱流は、下流側に一定以上の整流空間S(
図7~
図9参照)を設けることで緩和しているが、その乱流を緩和する整流空間Sは弁箱11の軸方向を長くすることとなり、上記小型化に反することとなる。
また、
図7~
図9に示すスリーブ弁10’においては、弁内部(シリンダ12内)にスリーブ弁体13を内包する空間S’が存在し(
図8参照)、長期的に見た場合、
図8、
図9に示すように、その空間S’に異物bが堆積し、スリーブ弁体13の駆動(移動)を阻害する可能性がある。
さらに、この種のスリーブ弁10’は、大口径の物が多く、一度、配管されると、分解清掃が困難であり、メンテナンスに膨大な時間と費用がかかる。このため、その堆積箇所から弁箱11外にドレイン管を設けることが考えられるが、そのドレイン管も、上記リブ19と同様に、弁箱11内の流体流路中に位置することとなるため、上記乱流を生じさせる一因となる。
【0010】
この発明は、以上の実情の下、乱流が生じることを極力少なくし、かつメンテナンス性の良い、小型化し得るスリーブ弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を達成するために、まず、第1に、弁箱内の流体が流通する部分に位置する部材を、弁箱の軸心周りに等間隔位置又は一定の周期性を持った間隔位置としたのである。その一定の周期性とは、弁箱の軸心に直交する線(
図6(b)の上下方向の線aに特定されない)に対称に位置する場合を言う。このため、等間隔位置も一定の周期性をもった配置となる場合がある。
このようにすれば、流体は等間隔又は一定の周期性を持った間隔に位置する部材にその流通を遮られて乱流が生じるが、その乱流は等間隔又は一定の周期性を持った間隔位置に生じて相殺され、弁箱内部の乱流による定常流の乱れを最小限にとどめることが可能となる。
【0012】
つぎに、第2に、弁箱内の流体が流通する部分に位置する部材を流通方向に向かって断面流線形としたのである。
ここで、流線形とは、流体の相対的流れに対し、渦や乱流を生じないあるいは少ない物体の形状であり、(少なくとも)特定の方向からの層流の定常流の中で、流線が変化しない、一般に抗力が小さい形状を言い、流れの方向に対する断面積の変化が小さく、流れを乱す原因となる余計な凹凸が無いものをいう。
このため、弁箱内を通る流体が断面流線形の部材に当たっても、乱流が生じにくく定常流となる。
【0013】
上記第1の手段の具体的な構成としては、筒状弁箱の一端に流入配管、他端に流出配管がそれぞれ接続され、その弁箱内に、流入配管側が閉塞されたシリンダを同一軸に設け、そのシリンダ内にスリーブ弁体を下流側同一軸上に移動可能に設けたインライン型スリーブ弁であって、弁箱内の流体が流通する部分に位置する部材を、弁箱の軸心周りに等間隔位置又は一定の周期性を持った間隔位置とした構成を採用することができる。
上記第2の手段の具体的な構成としては、筒状弁箱の一端に流入配管、他端に流出配管がそれぞれ接続され、その弁箱内に、流入配管側が閉塞されたシリンダを同一軸に設け、そのシリンダ内にスリーブ弁体を下流側同一軸上に移動可能に設けたインライン型スリーブ弁であって、弁箱内の流体が流通する部分に位置する部材を、流通方向に向かって断面流線形とした構成を採用することができる。
【0014】
上記弁箱内の流体が流通する部分に位置する部材としては、上記シリンダを弁箱に支持するリブ、前記シリンダ内から弁箱外に通じるドレイン管、弁箱に横方向から挿入された弁軸等が考えられ、それらの何れか1つ以上を、周囲等間隔位置又は周囲一定の周期性を持った間隔位置としたり、断面流線形としたりすることができる。このとき、弁箱内に流体の流通方向に直交して挿入された弁軸と、リブを弁箱の内面周囲等間隔位置又は周囲一定の周期性を持った間隔位置に設け、ドレイン管を前記リブの1つを兼ねる物とすれば、弁箱内の流体が流通する部分に位置する部材である、弁箱軸心回りに位置するものがリブのみとなり、そのリブが弁箱の軸心周りに等間隔位置又は一定の周期性を持った間隔位置となって、乱流がより生じにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、以上のように構成し、乱流を生じ難くしたので、メンテナンス性の良い、小型化されたスリーブ弁を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明に係るスリーブ弁の一実施形態の開弁時の切断正面図
【
図3】(a)は
図1のA-A線断面図、(b)は(a)のb-b断面図、(c)は同c-c断面図、(d)は同d-d断面図、(e)は同e-e断面図
【
図6】同実施形態におけるリブ配置の各例を示す概略切断側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係わるスリーブ弁の一実施形態を
図1~
図4に示し、この実施形態のインライン型スリーブ弁10は、河川からの取水管の水平又は垂直な配管部等に取り付けられるものである。
このスリーブ弁10は、
図1、
図2に示すように、従来と同様に、円筒状弁箱11の一端に流入配管1、他端に流出配管2がそれぞれ接続され、その弁箱11内に、流入配管1側が閉塞されたシリンダ12を同一軸cに設け、そのシリンダ12内に周壁一部が多孔(複数の弁孔)13cのスリーブ弁体13を同一軸上に移動可能に設けている。なお、切断平面は、
図7とほぼ同一となる。
【0018】
弁箱11とシリンダ12は鋳造品や両者を溶接した等の一体物であり、そのシリンダ12の先端(流入配管1側)は流線形に形成されて水の抵抗を減らしている。弁箱11内に水wの流通方向に直交して弁軸15が挿入されており、この弁軸15は図示しないハンドルや駆動機によって回転される。
【0019】
上記スリーブ弁体13は円筒状であって、前側がシリンダ12に嵌って摺動するガイド部13aと後側がその外周部に多数の弁孔13cが螺旋状に配列された多孔部13bとなっている。そのガイド部13aは多孔部13bより大径となってその境が下り勾配の段差となっており、その下り勾配の段差がスリーブ弁体13の弁座14aとなる。この弁座14aは、
図1のシリンダ12の先端縁に位置して開弁している状態から
図2に示すように、スリーブ弁体13の移動により同一傾斜面の弁箱側弁座14bに当接することによって、このスリーブ弁10を閉弁する。
上記弁孔13cはスリーブ弁体13の軸心に向かって縮径する円錐台状をしており、この円錐台状であることによって、円筒状孔(ストレート孔)に比べてキャビテーション抑制効果が高い。
【0020】
上記弁軸15にはその径方向(軸周り)のクランク17aが固着され、そのクランク17aの先端にコンロッド17bが回転自在に連結されてリンク機構17を構成している。コンロッド17bの先端はスリーブ弁体13のボス18に回転自在に連結されている。このため、弁軸15が回転すると、リンク機構17を介してスリーブ弁体13は流通方向前後(
図1の左右)に移動する。
その移動に伴い、上記スリーブ弁体13の各弁孔13cがスリーブ弁体13の軸方向移動で順々に開閉され、
図1の両弁座14a、14bが当接していない開弁時、流入配管1からの水wが、弁箱11内周面とシリンダ12の外周面との間隙16からその弁孔13cを通ってスリーブ弁体13内に流れ込んで流出配管2に流通する。
【0021】
以上の構成は従来と同様であり、この実施形態の第1の特徴は、弁軸15の支持筒(軸受筒)15aとシリンダ12を弁箱11に支持するリブ19を、流通方向(
図1、
図2において、左から右方向)に向かって同一形状・同一大きさの断面流線形とし(
図3(b)、(c)、(d)、(e)参照)、リブ19は、前記支持筒15aも兼ねて弁箱11の軸心cに対し対称に上下左右に設けて等間隔とした点である。リブ19は上下左右それぞれ2個(計4個)に限らず、周囲に3個以上と等間隔に任意である。但し、断面の形状及び大きさは同じとする。
第2の特徴は、下方のリブ19にドレイン通路21を設けた点、すなわち、リブ19の1つをドレイン管兼用とした点である。このドレイン通路21には
図4に示す開閉弁32を設けて、適宜にシリンダ12内の異物(不純物)bを排出し得るようにする。
【0022】
上記弁箱11の弁箱弁座14bの下流側(
図1、
図2において右側)のスリーブ弁体13との摺動面にはその全周の溝30が形成され、その溝30の周囲に排出孔31が設けられている(
図4参照)。このため、前記溝30に弁孔13cが臨むと(
図2参照)、スリーブ弁体13内の水wがその弁孔13cを通って溝30に流入し、排出孔31から外部に流出する。すなわち、逆洗によって弁孔13c内の異物の詰まりが開放される。
なお、排出孔31に開閉弁32を設けて、弁孔13cの逆洗時のみ、その開閉弁32を開放するようにすれば、流量制御中に弁孔13cが溝30に臨んでもその溝30に流体が流入して外部に流出することを防止できる。
【0023】
この実施形態のスリーブ弁10は以上の構成であり、
図1に示すように、弁軸15を回転させてリンク機構17を介してシリンダ12と弁箱11の間隙16にスリーブ弁体13の弁孔13cを臨ませると、その弁孔13cを通って、流入配管1からの水wがスリーブ弁体13内に流入し、流出配管2に流通する。このとき、弁軸15の回転でもってスリーブ弁体13の軸方向の位置を調整して前記間隙16の臨む弁孔13cの数を調整することによって流量制御又は圧力制御を行う。
【0024】
この作用において、多孔13cに異物が詰まって、円滑な流通が得られなくなれば、
図2に示すように、スリーブ弁体13をさらに下流側に移動させて、その多孔13cを溝30に臨ませると、上記間隙16を介してスリーブ弁体13に入り込んだ流体wは、その弁孔13cから溝30側に流れて排出孔31から弁箱外部に流出する。この流通・流出によって、各弁孔13cは逆洗されて詰まりが解消される。この逆洗は、溝30に近い弁孔13cから順々に螺旋状に行われ、その逆洗水は、溝30に臨んだ弁孔13cの後側(
図1において左側)の弁孔13cを介してスリーブ弁体13内に供給される。この逆洗時には上記開閉弁32は開放する。
【0025】
このとき、弁座14a、14bの当接位置(シール位置)より下流側に、溝30が位置するため、閉弁したとき(弁座14a、14bが当接したとき(シールしたとき))、
図2に示すように、全ての弁孔13cが溝30に臨み終わるため、多孔13cの全ての逆洗が行われて詰まりが開放される。
多孔13cの詰まりが解消されれば、
図1に示すように、スリーブ弁体13を上流側に移動させて通常の弁作用に移行する。
【0026】
以上の作用において、流体wの流れは、リブ19、弁軸15の支持筒15aが等間隔及び流れ方向に向かって断面流線形となっているため、それらの部材
19、15aにその流通を遮られても、断面流線形であることから、乱流となりにくく、仮に、乱流が生じても、上下のリブ19及び弁軸15の支持筒(軸受筒)15aをなす左右のリブ19が同一円周上等間隔に位置するため、その乱流は、等間隔に生じて相殺され、弁箱11内部の乱流
による定常流の乱れを最小限にとどめることができる。
また、ドレイン通路21からシリンダ12の奥部(
図1、
図2において左奥部、
図7、
図9参照)に溜まった異物bを適宜に排出する。
【0027】
上記実施形態は、上下のリブ19及び弁軸15の支持筒(軸受筒)15aをなす左右のリブ19を同一円周上等間隔に位置させたが、等間隔に限らず、弁箱11内周囲に一定の周期性を持った間隔位置に位置するものとすることができる。
例えば、
図5に示す弁軸15を偏心させたスリーブ弁10において、弁箱11にシリンダ12を前後のリブ19a、19bで支持した場合、
図6(a)に示すように、前側のリブ19aは周囲4等分位に設け、後側のリブ19bは弁軸15の支持筒19c部分(鎖線部分)を除いて(省略して)周囲に等間隔に設ける。
また、
図6(b)に示すように、前側のリブ19aは周囲4等分位に設け、後側のリブ19bは上側左右対称に2つ、下側左右等間隔対称に2個づつ設け、弁軸15の支持筒19cを左右対称に設ける。
このように、リブ19a、19b、19cを、弁箱10の軸心cに直交する一の軸aに対称の一定の周期性を持った間隔位置に設ければ、同様に、弁箱11内で生じた乱流は、一定の周期性を持って生じて相殺され、弁箱11内部の乱流による定常流の乱れを最小限にとどめることが可能である。このとき、各リブ19a、19b、19cの周方向の各間隔は、例えば、弁軸15より上側のリブ19a、19bは間隔α、同下側のリブ19a、19bは同β(≠α)と異ならせることもできる。
これらの場合のリブ19a、19b、19cは、流通方向に向かって断面流線形とし得ることは言うまでもない。また、前後のリブ19a、19bは一方のみでも良く、その筒軸方向cの位置もシリンダ12を支持できれば、何れでも良い。
【0028】
さらに、上記実施形態は、スリーブ弁体13をリンク機構17によって移動させるスリーブ弁10であったが、特許文献1に示される、ベベルギアによる物や、上記多孔を設けたスリーブの外周のゲートが軸方向に駆動(移動)して流量を調整する構成のもの等の各種態様のスリーブ弁に、この発明は採用し得ることは勿論である。さらに、スリーブ弁体13は、
図5、
図6に示す弁孔13cを有しないものとし得る。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0029】
1 流入配管
2 流出配管
10,10’ スリーブ弁
11 弁箱
12 シリンダ
13 スリーブ弁体
13a スリーブ弁体のガイド部
13b 同多孔部
13c 弁孔(多孔)
14a スリーブ弁体側弁座
14b 弁箱側弁座
15 弁軸
15a 弁軸の支持筒(軸受筒)
16 間隙
17 リンク機構
17a クランク
17b コンロッド
18 ボス
19 リブ
21 ドレイン通路(ドレイン管)
30 溝
31 排出孔
w 水(流体)