(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】点検口構造
(51)【国際特許分類】
B65G 45/22 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B65G45/22 A
(21)【出願番号】P 2018087964
(22)【出願日】2018-05-01
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】595011238
【氏名又は名称】クボタ環境エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【氏名又は名称】河崎 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【氏名又は名称】津村 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100197549
【氏名又は名称】山下 昌三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 正治
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-050994(JP,A)
【文献】特開2010-264413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体取扱機器のケーシングに前記ケーシングの外側に向けて立設された外枠で囲繞される点検用の開口部と、前記開口部を密閉する蓋体
と、閉鎖状態で前記ケーシングの内部に面した前記蓋体及び/または前記外枠に付着または堆積した粉粒体または液滴をガスにより除去するガス供給機構
と、を備えている点検口構造
であって、
前記蓋体は、前記開口部を密閉する外蓋と、前記外枠で囲繞される開口部空間を充たすように前記外蓋から突出配置された張出部と、を備えて構成され、
前記ガス供給機構は、前記張出部のうち前記外枠に対向する対向壁に形成された孔部と、前記外蓋に取付けられ前記張出部にガスを供給する給気口と、を備えて構成されている点検口構造。
【請求項2】
前記孔部は、前記対向壁に沿って形成されたスリットまたは細孔列で構成されている請求項
1記載の点検口構造。
【請求項3】
粉粒体取扱機器のケーシングに前記ケーシングの外側に向けて立設された外枠で囲繞される点検用の開口部と、前記開口部を密閉する蓋体と、閉鎖状態で前記ケーシングの内部に面した前記蓋体及び/または前記外枠に付着または堆積した粉粒体または液滴をガスにより除去するガス供給機構と、を備えている点検口構造であって、
前記蓋体は、前記開口部を密閉する外蓋と、前記外枠で囲繞される開口部空間を充たすように前記外蓋から突出配置された張出部と、を備えて構成され、
前記ガス供給機構は、前記外枠に取付けられ前記外枠と前記張出部との隙間にガスを供給する給気
口を備えて構成されてい
る点検口構造。
【請求項4】
前記ガス供給機構は、
ガス供給時に開放しガス非供給時に閉塞するバルブ機構と継手を介して前記給気口
にガスが供給されるように構成されている請求項1
から3の何れかに記載の点検口構造。
【請求項5】
前記蓋体の外面に加振装置を当接する座板が固着されている請求項1から
4の何れかに記載の点検口構造。
【請求項6】
前記蓋体の開放時に前記蓋体から離脱する粉粒体または液滴を受け止めるトレイ機構を係脱自在に保持する係止部を前記ケーシングに備えている請求項1から
5の何れかに記載の点検口構造。
【請求項7】
前記粉粒体取扱機器は、放射性セシウムなどを含む放射性粒状物を取り扱う
機器である請求項1から
6の何れかに記載の点検口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体取扱機器のケーシングに前記ケーシングの外側に向けて立設された外枠で囲繞される点検用の開口部と、前記開口部を密閉する蓋体とを備えている点検口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ミキサ-等の粉粒体取扱機器の点検口を開けたときに、粉粒体がこぼれ出て飛散するのを防止するために、点検口の点検蓋体の内側に、上部から下部にわたって内側に向かって傾斜した粉粒体堆積防止板を少なくとも下部のシ-ル材を覆うようにして配設した粉粒体取扱機器の点検口構造が開示されている。
【0003】
特許文献2には、コンベヤケース内で舞い上がった粉粒体が点検窓の外枠内側に堆積し、点検窓の外蓋を開ける際に粉粒体が外部に漏れるという課題に対応して、外蓋のパッキン内側に、点検窓の外枠の高さとほぼ同一の高さを有する残留防止用ボックスを設け、点検窓の開口内側空間を極力少なくしたボックス式の点検窓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平06-029630号公報
【文献】特開2007-050994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された点検口構造は、粉粒体取扱機器のケーシングに沿って上下方向に点検蓋体が配されることが前提となっており、水平姿勢で点検蓋体が配される場合に対応できない。
【0006】
また、特許文献2に開示された点検窓では、点検窓の外枠内壁と残留防止用ボックスとの間に開閉用クリアランスが形成されるため、この隙間に粉粒体が残留し、点検窓の外蓋を開ける際に、外枠の下側内壁上や残留防止用ボックス上に堆積した粉粒体が外部にこぼれ落ちるという問題があった。
【0007】
特許文献2では、そのような問題に対処して、点検窓の外枠内に収まる大きさで、開口部を完全に覆う大きさの底面を備えた中蓋を有し、前記中蓋には、その底面外縁部から垂直上向きに延設された起立壁が複数個存在し、前記中蓋を閉じた時に前記起立壁が前記点検窓の外枠内壁に当接し前記外枠と同じ高さを有し、外蓋を閉じた時に前記外蓋のパッキンが前記外枠の上端面と前記起立壁の上端面とを共締めする点検窓が開示されている。
【0008】
しかし、中蓋の着脱を許容するためには、中蓋の起立壁と点検窓の外枠内壁との間に僅かな隙間が形成される必要があり、微細な粉粒体がその僅かな隙間に進入することを完全に阻止することはできない。
【0009】
特に、粉粒体に微小な放射性物質や重金属粒子や有害物質が含まれる場合には、僅かであっても蓋体の開放時にケーシングの外部にそのような粉粒体が飛散したりこぼれたりしないという観点で更なる改良が必要とされていた。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、粉粒体取扱機器のケーシングに設けた蓋体を開放する際に粉粒体などが外部に飛散することを極力回避することが可能な点検口構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による点検口構造の第一の特徴構成は、粉粒体取扱機器のケーシングに前記ケーシングの外側に向けて立設された外枠で囲繞される点検用の開口部と、前記開口部を密閉する蓋体と、閉鎖状態で前記ケーシングの内部に面した前記蓋体及び/または前記外枠に付着または堆積した粉粒体または液滴をガスにより除去するガス供給機構と、を備えている点検口構造であって、前記蓋体は、前記開口部を密閉する外蓋と、前記外枠で囲繞される開口部空間を充たすように前記外蓋から突出配置された張出部と、を備えて構成され、前記ガス供給機構は、前記張出部のうち前記外枠に対向する対向壁に形成された孔部と、前記外蓋に取付けられ前記張出部にガスを供給する給気口と、を備えて構成されている点にある。
【0012】
開口部が蓋体で密閉された状態でガス供給機構を介してガスを供給することにより、蓋体及び/または外枠に付着または堆積した粉粒体または液滴が除去され、その後に蓋体を開放しても粉粒体などがケーシングの外部にこぼれるようなことが回避できるようになる。
【0013】
外蓋から突出配置された張出部が外枠で囲繞される開口部空間が充たされるため、開口部周辺で粉粒体または液滴が付着または堆積する空間が制限される結果、大量の粉粒体または液滴が付着または堆積するようなことがない。そして、蓋体を開閉するために必要なクリアランスである外枠と対向壁との間に形成される隙間に堆積または付着した粉粒体または液滴が、外蓋に取付けられた給気口から張出部に供給され、孔部から噴射されるガスによって効率的に除去されるようになる。
【0014】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記孔部は、前記対向壁のうち前記外蓋側で前記外蓋に沿って形成されたスリットまたは細孔列で構成されている点にある。
【0015】
スリットまたは細孔列から噴射されたガスが外蓋内側から張出部と外枠との間の隙間に沿ってケーシング内部に向って流れるようになり、当該隙間に付着または堆積した粉粒体または液滴が当該隙間に残ることなく効果的に除去される。
【0016】
同第三の特徴構成は、粉粒体取扱機器のケーシングに前記ケーシングの外側に向けて立設された外枠で囲繞される点検用の開口部と、前記開口部を密閉する蓋体と、閉鎖状態で前記ケーシングの内部に面した前記蓋体及び/または前記外枠に付着または堆積した粉粒体または液滴をガスにより除去するガス供給機構と、を備えている点検口構造であって、前記蓋体は、前記開口部を密閉する外蓋と、前記外枠で囲繞される開口部空間を充たすように前記外蓋から突出配置された張出部と、を備えて構成され、前記ガス供給機構は、前記外枠に取付けられ前記外枠と前記張出部との隙間にガスを供給する給気口を備えて構成されている点にある。
【0017】
外蓋から突出配置された張出部によって外枠で囲繞される開口部空間が充たされるため、開口部周辺で粉粒体または液滴が付着または堆積する空間が制限される結果、大量の粉粒体または液滴が付着または堆積するようなことがない。そして、蓋体を開閉するために必要なクリアランスである外枠と対向壁との間に形成される隙間に堆積または付着した粉粒体または液滴が、外枠に取付けられた給気口から外枠と張出部との隙間に供給されるガスによって効率的に除去されるようになる。
【0018】
同第四の特徴構成は、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記ガス供給機構は、ガス供給時に開放しガス非供給時に閉塞するバルブ機構と継手を介して前記給気口にガスを供給するように構成されている点にある。
【0019】
ガス供給機構にガスを供給するガス供給時にはバルブ機構が開放されてガスが供給され、ガス非供給時にはバルブ機構が閉塞されて、外部との空気の通流が阻止される。
【0020】
同第五の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記蓋体の外面に加振装置を当接する座板が固着されている点にある。
【0021】
蓋体の外面に固着された座板に加振装置を当接して加振することにより、蓋体の内面などに付着した粉粒体などが振動によって除去される。座板を設けることにより蓋体をある程度の薄型に構成でき、全体として安価且つ軽量化を図りながらも加振に対応する十分な強度が得られる。
【0022】
同第六の特徴構成は、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記蓋体の開放時に前記蓋体から離脱する粉粒体または液滴を受け止めるトレイ機構を係脱自在に保持する係止部を前記ケーシングに備えている点にある。
【0023】
蓋体の開放時に仮に蓋体から粉粒体または液滴が離脱するような場合でも、ケーシングに備えた係止部にトレイ機構を係合させておくことにより、トレイ機構に離脱物が受け入れられるので、床面等に粉粒体などが飛散するようなことがなく、確実に回収できるようになる。
【0024】
同第七の特徴構成は、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記粉粒体取扱機器は、放射性セシウムなどを含む放射性粒状物を取り扱う機器である点にある。
【0025】
粉粒体取扱機器の対象物が放射性セシウムなどを含む放射性粒状物である場合に上述した点検口構造を備えることにより、蓋体を開放する場合であっても放射性粒状物のケーシング外部への漏洩を回避でき、安全に作業を遂行することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によれば、粉粒体取扱機器のケーシングに設けた蓋体を開放する際に粉粒体などが外部に飛散することを極力回避することが可能な点検口構造を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】(a)は点検口構造の上断面説明図、(b)は同正面説明図である。
【
図2】(a)は加振ステップの説明図、(b)はガス噴射ステップの説明図、()は粉粒体除去後の蓋体の開放状態説明図である。
【
図3】(a)は点検口構造の別の実施形態を示す上断面説明図、(b)は点検口構造のさらに別の実施形態を示す上断面説明図、(c)は点検口構造のさらに別の実施形態を示す上断面説明図である。
【
図4】(a),(b),(c)はそれぞれ点検口構造に備えたトレイ機構の説明図である。
【
図5】点検口構造の別の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明による点検口構造を図面に基づいて説明する。
本発明による点検口構造は粉粒体取扱機器に用いられる。粉粒体取扱機器とは、粉粒体を搬送処理する搬送装置や、粉粒体を乾燥処理する乾燥装置や、粉粒体を混合処理するミキサなど、各種の粉体を取り扱う機器の総称であり、例えば搬送装置として、ベルトコンベア式の搬送装置や、バケットコンベア式の搬送装置や、スクリュー式の搬送装置などが含まれる。
【0029】
取扱いの対象となる粉粒体には、粉体、流体、粉体と流体の混合物が含まれ、乾燥状態のみならず湿潤状態の粉粒体が含まれ、食品材料、薬品材料、各種の原材料以外に、焼却主灰、焼却飛灰、下水汚泥、し尿汚泥などが含まれる。
【0030】
これらの粉粒体取扱機器は、取扱い対象となる粉粒体が外部に飛散することがないように外部ケーシングが設けられ、点検が必要となる部位に本発明による点検口構造を採用した点検口が設けられている。以下、搬送装置を一例に点検口構造を説明する。
【0031】
図1(a),(b)に示すように、点検口構造1は、粉粒体搬送装置のケーシング10にケーシング10の外側に向けて立設された外枠20で囲繞される点検用の開口部22と、開口部22を密閉する蓋体30とを備えている。本実施形態では、開口部22及び開口部22を仕切る外枠20の形状が正面視で矩形に形成され、開口部22を形成する空間が直方体空間となる。外枠20はケーシング10に約50mmの高さで垂設されている。
【0032】
なお、ケーシング10の外側へ向けて立設される外枠20の高さは例示に過ぎず、この値に限るものではない。外枠20の形状が正面視で正方形に形成され、或いは円形に形成されていてもよい。また、正面視で矩形に形成されている場合でも四隅は曲面に形成されていることが好ましい。
【0033】
粉粒体を搬送する過程で、ケーシング内に飛散した粉粒体が点検口(開口部22)近傍に付着或いは堆積し、また湿潤物であれば点検口近傍に液滴が付着し、点検口を開放した際にそのような粉粒体や液分が外部にこぼれたり洩れたりする虞がある。そのため、当該点検口構造1では、閉鎖状態で蓋体30及び/または外枠20に付着した粉粒体または液滴を圧縮ガスにより除去するガス供給機構40が蓋体30または外枠20に設けられている。
【0034】
この様な構成を採用することにより、開口部22が蓋体30で密閉された状態で蓋体30または外枠20に設けたガス供給機構40を介してガスを供給して、蓋体30及び/または外枠20に付着した粉粒体または液滴を除去し、その後に蓋体30を開放することでケーシング10の外部にこぼれる粉粒体または液滴の量を最小限にすることができるようになる。
【0035】
以下、各種の具体的態様を詳述する。
図1(a),(b)に示された蓋体30は、開口部22を密閉する外蓋32と、外枠20で囲繞される開口部空間を充たすように外蓋32から内方に向けて突出配置された張出部34と、を備えて構成されている。張出部34の外枠20と対向する四面の対向壁34Wは上面視で台形状に形成され、裏面は外枠20と平行姿勢に形成されている。即ち、外枠20との対向面は、外蓋32から離隔するに連れて隙間が大きくなる傾斜面に形成され、蓋体30を開閉する際に外枠20と干渉することがないようにクリアランスが設けられている。
【0036】
外枠20の一対の対向壁の一方に設けた一対のヒンジ機構26により蓋体30が上下方向の軸心P1周りに揺動可能に取り付けられ、一対の対向壁の一方に設けた係止片28を介して密閉状態が保持されるように閉塞される。外枠20と外蓋32との間にはケーシング10の内部を密封するため、樹脂製のシール部材24が介装されている。
【0037】
係止片28に対応して蓋体30には軸心P2周りに揺動可能な操作片30Aと操作片30Aに設けた係止リング30Bが設けられ、蓋体30を閉止した状態で係止リング30Bを係止片28の凹部に引掛けた状態で軸心P2周りに操作片30Aを揺動操作することにより、蓋体30がロックされる。
【0038】
ケーシング10、外枠20、蓋体30は何れも金属製で、例えば普通鋼板やSUS304などが好適に用いられる。
【0039】
ガス供給機構40は、張出部34のうち外枠20に対向する四枚の各対向壁34Wに形成された孔部42と、外蓋32に取付けられ張出部34に圧縮ガスを供給する給気口44を、圧縮ガス供給時に開放し圧縮ガス非供給時に閉塞できるバルブ機構を備えた継手45と、を備えて構成されている。バルブ機構を備えた継手45が好適であるが、バルブと継手を組み合わせて取り付けてもよい。
【0040】
孔部42は、対向壁34Wのうち外蓋32側で外蓋32に沿って形成された単一のスリット42Sで形成されているが、複数のスリットに分割されていてもよい。また、
図3(a)に示すように、孔部42は、外蓋32と平行姿勢となるように複数の細孔が列状に形成された細孔列42hで形成されていてもよい。矩形、円形、楕円形など孔部42の形状は任意であるが、粉粒体が容易に進入しないよう、数mm以下または1mm以下のサイズに形成されていることが好ましい。また、スリットからの噴出し側に、スリットを覆うようにゴム板を片側固定で付けておき、噴射されたガスでスリットが開くように構成することで、粉粒体の進入を効果的に防ぐことができる。なお、
図3(a)では上述した操作片30Aなど一部構成は割愛されている。
【0041】
この様に、外蓋32から突出配置された張出部34によって外枠20で囲繞される開口部空間22が充たされるため、開口部周辺で粉粒体または液滴が付着または堆積する空間が制限される結果、大量の粉粒体または液滴が付着または堆積するようなことがない。
【0042】
そして、蓋体30を開閉するために必要なクリアランスである外枠20と対向壁34Wとの間に形成される隙間に粉粒体または液滴が付着または堆積した場合でも、外蓋32に取付けられた給気口44から張出部34の内部に供給され、孔部42から噴射される圧縮ガスによって効率的に除去されるようになる。
【0043】
スリット42または細孔列から噴射されたガスが外蓋32の内側から張出部34と外枠20との間の隙間に沿ってケーシング10の内部に向って流れるようになり、当該隙間に堆積または付着した粉粒体または液滴が当該隙間に残ることなく効果的に除去される。
【0044】
さらに、蓋体30(外蓋32)の外面に加振装置を当接する座板50が溶接により固着されている。蓋体30の外面に固着された座板50に加振装置を当接して加振することにより、蓋体30の内面などに付着した粉粒体などが振動によって除去される。座板50を設けることにより蓋体30をある程度の薄型に構成でき、全体として安価且つ軽量化を図りながらも加振に対応する十分な強度が得られる。
【0045】
また、内部に振動を伝える棒状体を外蓋32の張出部側を張出部34の外蓋側が接触するように配置することで、より効果的に振動を与えることができるようにしてもよい。
【0046】
図2(a)から(c)に蓋体30を開放する際に蓋体30及びその近傍に付着した粉粒体や液滴を除去する手順が示されている。先ず、
図2(a)に示すように、蓋体30に固着された座板50に加振装置を接当させて加振装置を駆動することにより、座板50を介して蓋体30及び外枠20が振動し、蓋体30及び外枠20に付着している粉粒体などが除去される。
【0047】
次に、
図2(b)に示すように、ガス供給機構40の継手45にエアコンプレッサに接続されたチューブ60を接続し、張出部34の内部に圧縮空気を供給すると、各対向壁34Wに形成された孔部42から圧縮空気が噴出し、各対向壁34Wと外枠20との間に付着または堆積した粉粒体が除去される。
【0048】
その後、
図2(c)に示すように、操作片30Aを揺動操作してロックを解除し、ヒンジ26に揺動可能に固定された蓋体30を開放するのである。なお、ガス供給機構40から供給されるガスは空気以外に他の種類のガスを用いてもよい。例えば、酸化性の強い特性を備えた粉粒体に対しては窒素ガスや不活性ガスなどの不燃性の圧縮ガスを供給することが好ましい。
【0049】
なお、以上の実施形態では、ガス供給機構40から圧縮ガスが供給される例を説明したが、ガス供給機構40から供給されるガスは圧縮ガスに限らず、例えば大気圧と同圧のガスなども含まれる概念である。例えばケーシングの内部が負圧に維持されるような場合には、必ずしも圧縮ガスでなくてもよい。
【0050】
上述した手順では、加振装置を用いた蓋体30の振動操作の後に圧縮ガスの噴射操作を行っているが、加振装置を用いた蓋体30の振動操作と圧縮ガスの噴射操作を同時に行なってもよい。
【0051】
以下に別実施形態を説明する。
上述した実施形態では、ガス供給機構40が蓋体30に設けられた例を説明したが、
図3(b)に示すように、ガス供給機構40が外枠20に設けられていてもよい。
【0052】
即ち、蓋体30は、開口部22を密閉する外蓋32と、外枠20で囲繞される開口部空間22を充たすように外蓋32から突出配置された張出部34と、を備えて構成され、ガス供給機構40は、外枠20に取付けられ外枠20と張出部34との隙間に圧縮ガスを供給する給気口44と、圧縮ガス供給時に開放され圧縮ガス非供給時に閉塞されるバルブ機構44を備えた継手45と、を備えて構成されていてもよい。
【0053】
上述と同様に、外蓋32から突出配置された張出部34が外枠20で囲繞される開口部空間22が充たされるため、開口部周辺で粉粒体または液滴が付着または堆積する空間が制限される結果、大量の粉粒体または液滴が付着または堆積するようなことがない。
【0054】
そして、蓋体30を開閉するために必要なクリアランスである外枠20と対向壁34Wとの間に形成される隙間に堆積または付着した粉粒体または液滴が、外枠20に取付けられた給気口44から外枠20と張出部34との隙間に供給される圧縮ガスによって効率的に除去されるようになる。
【0055】
なお、給気口44の先端にはノズルが接続され、ノズルの向きにより圧縮ガスの流向が定められている。例えば、左右方向に振り分けた二股ノズルを装着すれば、隙間に沿って左右に圧縮ガスが供給されるようになる。各外枠20に取付ける給気口44の数は単数に限らず、複数本のノズルを取り付けてもよい。また、扇状のノズルを用いてもよい。
【0056】
また、
図5に示すように、上面視で対角に給気口を取り付けることで、数を減らしても同等の除去効果が見込める。
【0057】
図3(c)に示すように、蓋体30は、上述した張出部34を備えずに開口部22を密閉する外蓋32のみで構成してもよい。この場合、ガス供給機構40は、外枠20に取付けられ外枠20から蓋体30の内面及び/または外枠20の内面に圧縮ガスを供給する給気口44に給気管を取り付け、圧縮ガス供給時に開放され圧縮ガス非供給時に閉塞されるバルブ機構45を備えた継手と、を備えて構成されていることが好ましい。
【0058】
上述と同様、この場合にも、給気口44に取付けた給気管の先端にはノズルが接続され、ノズルの向きにより圧縮ガスの流向が定められている。例えば、左右方向に振り分けた二股ノズルを装着すれば、外枠の延出方向に沿って圧縮ガスが供給されるようになり、斜め上方向きのノズルを接続すれば、蓋体30の内面に沿って圧縮ガスが供給される。上述と同様に、各外枠20に取付ける給気口44の数は単数に限らず、複数本のノズルを取り付けてもよい。また、扇状のノズルを用いてもよい。
【0059】
その結果、外枠20に取付けられた給気口44から蓋体30の内面及び/または外枠20の内面に供給される圧縮ガスによって、蓋体30の内面及び/または外枠20の内面に付着した粉粒体または液滴が効率的に除去されるようになる。
【0060】
上述した実施形態では、蓋体30がケーシング10の垂直壁面に沿って縦姿勢で配置された例を説明したが、本発明による点検口構造1は、ケーシングの上壁面、傾斜壁面など、任意の部位に配置することができる。
【0061】
上述した実施形態では、蓋体30がヒンジ機構により上下方向の軸心P1周りに揺動可能な構造を説明したが、蓋体の下側にヒンジ機構を設けて、蓋体を手前側に揺動開放するように構成し、或いは蓋体の左右何れかの端部にヒンジ機構を設けて、蓋体を横方向に揺動開放するように構成してもよい。
【0062】
さらには、ヒンジ機構を設けることなく蓋体をケーシングにボルト締め固定するように構成してもよい。
【0063】
以上説明した実施形態からも明らかなように、「開口部空間を充たすように外蓋32から突出配置された張出部34」とは、完全に開口部空間が張出部34で満たされる場合以外に、ほぼ充たされるような態様の張出部34も含む概念である。例えば、ヒンジ機構を設けることなく蓋体をケーシングにボルト締め固定する場合には、開口部空間を張出部34で充たすことが可能になり、ヒンジ機構26により蓋体30を揺動させて開放するような場合には、ある程度のクリアランスが必要となり、そのようなクリアランスを設ける場合も含める概念である。
【0064】
上述した実施形態では、ガス供給機構と、加振装置を当接する座板の双方が設けられた点検口構造を説明したが、何れか一方を備えていてもよい。また、蓋体の厚みを調整することにより、座板を設けることなく、加振装置を蓋体に直接当接するように構成してもよい。
【0065】
蓋体30の開放時に蓋体30から離脱する粉粒体または液滴を受け止めるトレイ機構を備えていることが好ましい。仮に加振装置で加振し、さらにガス供給機構により粉粒体を除去処理しても十分に除去しきれなかった粉粒体が、蓋体の開放時に外部に落下する場合であっても、容易に回収できるようになる。
【0066】
図4(a)左図には、同じくベルト式搬送機構が収容されたケーシング10の垂直側面に点検口構造1が設けられ、点検口構造1に隣接してトレイ70が配された例が示され、右図には、蓋体30が開放された場合に、蓋体30に付着した粉粒体が当該トレイ70で回収される様子が示されている。トレイ70はメッシュ状のトレイホルダ72に載置され、トレイホルダ72がケーシング10に備えた係止部80に係止されている。
図4(b)左図には、ベルト式搬送機構が収容されたケーシング10の上面に点検口構造1が設けられ、点検口構造1に隣接してトレイ70が配された例が示され、右図には、蓋体30が開放された場合に、蓋体30に付着した粉粒体が当該トレイ70で回収される様子が示されている。
【0067】
図4(c)左図には、バケット式の搬送機構の垂直壁に点検口構造1が設けられ、点検口構造1の下方に隣接してトレイ70が配された例が示され、右図には、蓋体30が開放された場合に、蓋体30に付着した粉粒体が当該トレイ70で回収される様子が示されている。バケットBKから飛散した粉粒体が蓋体30に付着し、加振装置で加振し、さらにガス供給機構により粉粒体を除去処理して除去しきれなかった粉粒体がトレイ70に回収される。
【0068】
同じく、トレイ70はメッシュ状のトレイホルダ72に載置され、トレイホルダ72がケーシング10に備えた係止部80に係止されている。即ち、蓋体30の開放時に蓋体30から離脱する粉粒体または液滴を受け止めるトレイ機構70,72を係脱自在に保持する係止部80がケーシング10に備えられている。
【0069】
この様な構成を採用すると、蓋体30の開放時に仮に蓋体30から粉粒体または液滴が離脱するような場合でも、ケーシング10に備えた係止部80にトレイ機構70.72を係合させておくことにより、トレイ機構70,72に離脱物が受け入れられるので、床面等に粉粒体などが飛散するようなことがなく、確実に回収できるようになる。
【0070】
粉粒体取扱機器として、放射性セシウムを含む放射性粒状物や重金属粒子や有害物質が含まれる粉粒体を取り扱う搬送装置である場合に、本発明の点検口構造1を好適に採用することができる。僅かな量であっても放射性物質が系外に漏れ出ることを効果的に抑止することができ、安全に作業を遂行することができる。
【0071】
以上の説明は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各部の具体的な構造、形状、材料、サイズ等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1:点検口構造
10:ケーシング
20:外枠
30:蓋体
32:外蓋
34:張出部
34W:対向壁
40:ガス供給機構
42:孔部
42S:スリット
42h:細孔列
44:給気口
45:継手