(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ポリイミドフィルムとフレキシブルガラスとの積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 17/10 20060101AFI20220809BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20220809BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B32B17/10
B32B27/34
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2018112024
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】長澤 俊明
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-037048(JP,A)
【文献】特開2015-182393(JP,A)
【文献】特開2016-060129(JP,A)
【文献】特開2013-163304(JP,A)
【文献】国際公開第2015/041190(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/122032(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/084067(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 17/10
B32B 27/34
C08G 73/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1層のポリイミドフィルムと、
少なくとも1層のフレキシブルガラスと
が積層された、積層体であって、
前記ポリイミドフィルムは、下記式(1):
【化1】
{式中、式中、X
1
は4価の有機基であり、Y
1
は2価の有機基であり、mは正の整数である。mは2~150の整数である。}
で表される構造単位を含み、
Y
1
は、下記式(B1)で表される2価の有機基と、下記式(B1)以外の2価の有機基とを含み、
【化2】
前記ポリイミドフィルムの黄色度(YI)が5以下であり、前記積層体の少なくとも片方の面の算術平均粗さ(Ra)が1.5nm以下である、積層体。
【請求項2】
前記式(B1)以外の2価の有機基が、下記式(B2)~(B5)で表される2価の有機基から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の積層体。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項3】
前記式(B1)以外の2価の有機基が、前記式(B2)で表される2価の有機基である、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ポリイミドフィルムのヘイズ(Haze)が1%以下である、請求項
1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記ポリイミドフィルムの厚みが2μm以上100μm以下であり、前記フレキシブルガラスの厚みが30μm以上200μm以下である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記ポリイミドフィルムは、下記式(2):
【化7】
{式中、X
2は4価の有機基であり、Y
2は2価の有機基であり、X
2はX
1と同一であっても異なってもよく、Y
2はY
1と同一であっても異なってもよく、n
1は2~150の整数であり、そしてR
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である}
で表される構造単位を更に含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記(1)において、X
1が、下記式(A1)~(A4)からなる群から選択される四価の有機基の少なくとも1種
である、請求項
1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項8】
X
1が式(A1)である、請求項
7に記載の積層体。
【請求項9】
X
1が式(A2)である、請求項
7に記載の積層体。
【請求項10】
X
1が式(A3)である、請求項
7に記載の積層体。
【請求項11】
X
1が式(A4)である、請求項
7に記載の積層体。
【請求項12】
2層の前記ポリイミドフィルムの間に1層の前記フレキシブルガラスが積層された、請求項1~
11のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の積層体を有する、フレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルムとフレキシブルガラスとの積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレキシブルディスプレイなどの折り曲げ可能なフレキシブルデバイスや、有機EL照明又は有機ELディスプレイなどの曲面を有するデバイスの開発が進められている。このようなデバイスにおいては、硬質基板ではなく、高分子材料からなる折り曲げ可能なフィルムとフレキシブルガラスとの積層体を、表面保護層、カラーフィルター、タッチパネル、薄膜トランジスタ(TFT)などを形成する基板として用いることが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ガスや水蒸気のバリア特性及び柔軟性の両立、並びに薄型化といった観点から、高分子材料からなるフィルム基材にガラス基材を貼合した、フレキシブルガラス基板を記載している。フィルム基材の材質として、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン等の様々な樹脂が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、フレキシブル基板に対する要求はますます高まっており、例えば、TFT製造や透明電極層形成等の高いプロセス温度に耐えうる耐熱性、並びに高い透明性及びレタデーションの低減といった光学的特性等、更にはTFTや有機EL発光層を欠点なく形成できるよう表面の平滑性が求められる。しかしながら、引用文献1は、これらの課題や、それを解決するために具体的にどのような構成を有するフィルムを用いるかについて記載及び示唆がなく、したがって、高いバリア性を有しつつ、耐熱性、光学的特性及び表面平滑性に優れたフレキシブル基板を得ることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の黄色度(YI)有するポリイミドフィルムとフレキシブルガラスとを積層し、積層体の少なくとも片方の面の算術平均粗さ(Ra)を特定範囲にすることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
少なくとも1層のポリイミドフィルムと、
少なくとも1層のフレキシブルガラスと
が積層された、積層体であって、
上記ポリイミドフィルムの黄色度(YI)が5以下であり、上記積層体の少なくとも片方の面の算術平均粗さ(Ra)が1.5nm以下である、積層体。
[2]
上記ポリイミドフィルムのヘイズ(Haze)が1%以下である、項目1に記載の積層体。
[3]
上記ポリイミドフィルムの厚みが2μm以上100μm以下であり、上記フレキシブルガラスの厚みが30μm以上200μm以下である、項目1又は2に記載の積層体。
[4]
上記ポリイミドフィルムは、下記式(1):
【化1】
{式中、式中、X
1は4価の有機基であり、Y
1は2価の有機基であり、mは正の整数である。mは、特に限定されず、例えば、2~150の整数でよい。}
で表される構造単位を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の積層体。
[5]
上記ポリイミドフィルムは、下記式(2):
【化2】
{式中、X
2は4価の有機基であり、Y
2は2価の有機基であり、X
2はX
1と同一であっても異なってもよく、Y
2はY
1と同一であっても異なってもよく、n
1は2~150の整数であり、そしてR
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である}
で表される構造単位を更に含む、項目4に記載の積層体。
[6]
上記(1)において、X
1が、下記式(A1)~(A4)からなる群から選択される四価の有機基の少なくとも1種であり、及び/又はY
1が、下記式(B1)~(B5)からなる群から選択される二価の有機基の少なくとも1種である、項目4に記載の積層体。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
[7]
X
1が式(A1)である、項目6に記載の積層体。
[8]
X
1が式(A2)である、項目6に記載の積層体。
[9]
X
1が式(A3)である、項目6に記載の積層体。
[10]
X
1が式(A4)である、項目6に記載の積層体。
[11]
Y
1が式(B1)である、項目6~10のいずれか一項に記載の積層体。
[12]
Y
1が式(B2)である、項目6~10のいずれか一項に記載の積層体。
[13]
Y
1が式(B3)である、項目6~10のいずれか一項に記載の積層体。
[14]
Y
1が式(B4)である、項目6~10のいずれか一項に記載の積層体。
[15]
Y
1が式(B5)である、項目6~10のいずれか一項に記載の積層体。
[16]
2層の上記ポリイミドフィルムの間に1層の上記フレキシブルガラスが積層された、項目1~15のいずれか一項に記載の積層体。
[17]
項目1~16のいずれか一項に記載の積層体を有する、フレキシブルデバイス。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高いバリア性を有しつつ、耐熱性及び光学的特性に優れたフレキシブル基板を提供することができる。なお、上述の記載は、本発明の全ての実施形態及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。本発明の更なる実施形態及びその利点は、以下の記載及び図面を参照することにより明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を例示する目的で詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。本願明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0009】
《積層体》
本実施形態の積層体は、少なくとも1層のポリイミドフィルムと、少なくとも1層のフレキシブルガラスとが積層された構造を有する。ポリイミドフィルムとフレキシブルガラスの積層枚数及びその順序は限定されない。本実施形態の積層体は、少なくとも片面がポリイミドフィルムであることが好ましく、例えば、1層のポリイミドフィルムと1層のフレキシブルガラスが積層された構造を有してもよく、機械的強度及びロール状とした際の滑り性の観点から、2層のポリイミドフィルムの間に1層のフレキシブルガラスが積層された構造を有してもよい。
【0010】
本実施形態の積層体は、少なくとも片方の面の算術平均粗さ(Ra)が1.5nm以下、好ましくは1.0nm以下である。Raが1.5nm以下であることにより光学的特性に優れる。Raの下限値は限定されないが、例えば、0.5nm以上であることにより滑り性が向上し、積層体をロール状にしたときの巻きずれを防止できるためハンドリング性に優れる。積層体の積層構造によって、上記「片方の面」は、ポリイミドフィルムの面であってもよく、フレキシブルガラスの面であってもよい。好ましくは、滑り性の観点から、1.5nm以下のRaを有する面は、ポリイミドフィルムの面であることが好ましい。
【0011】
本実施形態の積層体の厚み、すなわち、ポリイミドフィルム及びフレキシブルガラスを含む積層体全体としての厚みは、限定されないが、強度の観点から、好ましくは32μm以上、より好ましくは60μm以上であり、柔軟性の観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは180μm以下である。
【0012】
〈ポリイミドフィルム〉
本実施形態の積層体は、フレキシブルガラスと積層させるフィルム基材として、ポリイミドフィルムの黄色度(YI)を5以下に調整したポリイミドフィルムを用いる。なお、ポリイミドフィルムは、ポリイミドを主成分として含むフィルムである。本明細書において、フィルムが「ポリイミドを主成分として含む」とは、フィルムの全質量を基準として、ポリイミドを50質量%以上含むことを意味する。ポリイミドフィルムは、フィルムの全質量を基準として、ポリイミドを好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含む。また、ポリイミドフィルムは、任意に添加剤をさらに含んでよい。
【0013】
ポリイミドフィルムを用いる理由としては、理論に限定されないが、以下のとおりである。従来、フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)が検討されてきた。PET及びPENは製造コストの点で有利であるが、屈曲耐性に劣り、曲率半径が小さい場合や屈曲を繰り返すと曲げ跡、亀裂、破断が生じ易い。また、PET及びPENはガラス転移点(Tg)が約100℃~150℃程度で耐熱性に劣る。さらに、PET及びPENは、レタデーション(Rth)が約400nm~1000nm程度であるため、折り曲げたときや、偏光サングラス越しの目視の角度変化に応じて複屈折が生じ、積層体表面に虹色の縞模様(いわゆる「虹ムラ現象」)が生じる。そのため、近年のフレキシブル基板の要求を満たすことは困難であることが分かった。これに対して、フィルム基材としてポリカーボネート(PC)及びシクロオレフィンポリマー(COP)を用いた場合、Rthが約20nm以下であるため虹ムラ現象を低減することができる。しかしながら、PC及びCOPはTgが約130℃~160℃程度であり、やはり耐熱性において不十分である。フィルム基材としてポリエーテルスルホン(PES)は、Tgが約230℃、Rthが約10nmであるため、耐熱性及び虹ムラ現象において優れているが、YIが高く、光学的特性の要求を満たすことは困難であることが分かった。この点、ポリイミド(PI)は、一般的にTgが高く耐熱性に優れるうえ、耐熱放射性、耐低温性、及び耐薬品性などにも優れた特性を有しているため、折り曲げ可能なフィルムとして採用することを検討した。しかしながら、発明者らの鋭意検討の結果、単にポリイミドを使用するだけでは、得られる積層体の光学的特性等が必ずしも十分ではなく、更なる創意工夫が必要であった。そこで、本願発明者らは、ポリイミドフィルムのYIを5以下に調整すること等により、積層体としての光学的特性等の要求を満たすことに成功した。ポリイミドフィルムのYIは、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。
【0014】
本実施形態におけるポリイミドフィルムのヘイズ(Haze)は、透明性の観点から、好ましくは1%以下、より好ましくは0.9%以下である。
【0015】
本実施形態において、ポリイミドフィルムの厚みは限定されないが、強度の観点から好ましくは2μm以上、より好ましくは10μm以上であり、柔軟性の観点から好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
【0016】
本実施形態において、ポリイミドフィルムのレタデーション(Rth)は、虹ムラ防止の観点から、厚み15μm換算で好ましくは200nm以下、より好ましくは50nm以下である。ポリイミドのガラス転移点(Tg)は、耐熱性の観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。
【0017】
本実施形態において、ポリイミドフィルムを構成するポリイミドの構造は、芳香族性と脂肪族性のバランスを取って透明性を確保するという観点から、下記式(A1)~(A4)で表される四価の有機基の少なくとも1種を有することが好ましい。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0018】
本実施形態において、ポリイミドフィルムを構成するポリイミドの構造は、上記式(A1)~(A4)で表される有機基に加えて又は代替として、芳香族性と脂肪族性のバランスを取って透明性を確保するという観点から、下記式(B1)~(B5)で表される二価の有機基の少なくとも1種を有することが好ましい。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【0019】
理論に拘束されることを望まないが、式(A2)、(A3)又は(B5)で表される構造がポリイミドに導入されることにより、相対的に芳香族基の構成単位のモル比が下がると、π-πスタック現象が抑制されて、フィルムの透明性を確保し易くなることが考えられる。
【0020】
理論に拘束されることを望まないが、式(A1)又は(B1)~(B4)で表される構造がポリイミドに導入されることにより、スルホニル基又はフルオロアルキル基などの立体障害基がポリイミドの錯形成を抑制して、透明性を確保し易くなることが考えられる。
【0021】
本実施形態のポリイミドフィルムは、下記式(1):
【化21】
{式中、式中、X
1は4価の有機基であり、Y
1は2価の有機基であり、mは正の整数である。mは、特に限定されず、例えば、2~150の整数でよい。}
で表される構造単位を有することが好ましい。
また、ポリイミドフィルムは、式(1)で表される構造に加え、下記式(2):
【化22】
{式中、X
2は4価の有機基であり、Y
2は2価の有機基であり、X
2はX
1と同一であっても異なってもよく、Y
2はY
1と同一であっても異なってもよく、n
1は2~150の整数であり、そしてR
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である}
で表される構造単位を有することができる。
【0022】
ポリイミドフィルムのイミド化率は40%以上が好ましく、50%以上が好ましく、
60%以上が好ましく、70%以上が好ましく、80%以上が好ましく、90%以上が好ましく、95%以上が好ましく、100%が最も好ましい。イミド化率とは、ポリイミドフィルムの式(1)及び式(2)で表される構造単位の合計モル数を基準として、式(1)で表される構造単位のモル分率を意味する。例えば、イミド化率はFT-IR測定によって算出することができる。芳香環はイミド化前後で変化しないため1480cm-1付近の芳香環の吸収ピークを基準として、1375cm-1付近のイミド基のC-N結合特有の吸収ピーク強度の強弱によりイミド化率がわかる。まず測定対象となるポリイミドフィルムのFT-IR測定を実施する。次に、そのフィルムを例えば300~350℃にて1時間~3時間、加熱処理を施した後、FT-IRを測定する。加熱処理後のイミド化率を100%とみなし、加熱処理後のピーク強度と測定対象のピーク強度の比からイミド化率を算出することができる。
【0023】
一般式(1)において、4価の有機基X1は、式(A1)~(A4)からなる群から選択される四価の有機基の少なくとも1種でよく、2価の有機基Y1は、式(B1)~(B5)からなる群から選択される二価の有機基の少なくとも1種でよい。一般式(2)において、4価の有機基X2は、X1と同一であっても異なってもよく、式(A1)~(A4)で表される四価の有機基の少なくとも1種でよい。2価の有機基Y2は、Y1と同一であっても異なってもよく、式(B1)~(B5)で表される二価の有機基の少なくとも1種でよい。また、一般式(2)において、4価の有機基X2は、事後的なイミド化のために、少なくとも1つの酸基、例えば-COOHを有することが好ましく、具体的には、一般式(2)においてR1及びR2の少なくとも一方は水素原子であることができる。
【0024】
本実施形態におけるポリイミドフィルムは、γ-ブチロラクトンが0.01質量%以上20質量%以下の量で含まれることが好ましい。γ-ブチロラクトンの含有量は、フィルムの黄変を抑制し、無色透明なフィルムを得るという観点から、0.01質量%以上であり、フィルムのスタッキングを抑制するという観点から、20質量%以下である。ポリイミドフィルム中のγ-ブチロラクトンは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスの溶媒に由来することができる。
【0025】
〈フレキシブルガラス〉
本実施形態に用いられるフレキシブルガラスの厚みは、機械的強度の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であり、柔軟性の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
ガラスの種類は、限定されないが、例えば、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩、アルカリ土類アルミノケイ酸塩、アルカリアルミノリンケイ酸塩、及びアルカリアルミノケイ酸塩などが挙げられる。ガラスは化学的に強化されたガラスであってもよく、非強化ガラスであってもよい。
【0026】
《積層体の製造方法》
本実施形態の積層体の製造方法としては、例えば、フレキシブルガラス上に直接ポリイミドフィルムを形成する、下記方法(1)及び(2)のような方法や、ポリイミドフィルムを形成したあと、フレキシブルガラス上に積層する下記方法(3)及び(4)のような方法が挙げられる。
(1)フレキシブルガラス基板上に、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスを塗工することと;これを加熱してイミド化し、ポリイミドフィルムを形成することとを含む、方法。
(2)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスを加熱してイミド化し、ポリイミド及び溶媒を含有するポリイミドワニスを得ることと;得られたポリイミドワニスを、フレキシブルガラス基板上に塗工し、ワニスの溶媒を乾燥させて、ポリイミドフィルムを形成することとを含む、方法。
(3)任意の支持体上にポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスを塗工することと;これを加熱してイミド化し、ポリイミドフィルムを形成することと;上記ポリイミドフィルムを上記支持体から剥離した後にフレキシブルガラス基板上に積層すること、又は、上記ポリイミドフィルムをフレキシブルガラス基板上に積層した後に上記支持体を剥離することとを含む、方法。
(4)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスを加熱してイミド化し、ポリイミド及び溶媒を含有するポリイミドワニスを得ることと;得られたポリイミドワニスを、任意の支持体上に塗工し、ワニスの溶媒を乾燥させて、ポリイミドフィルムを形成することと;上記ポリイミドフィルムを上記支持体から剥離した後にフレキシブルガラス基板上に積層すること、又は、上記ポリイミドフィルムをフレキシブルガラス基板上に積層した後に上記支持体を剥離することとを含む、方法。
【0027】
〈ポリアミド酸ワニスの製造〉
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスは、(a)ポリアミド酸と、(b)溶媒と、所望により(c)添加剤とを含む。
【0028】
(a)ポリアミド酸
ポリアミド酸は、ポリイミド前駆体として使用されることができ、そのために、アミド部分(-NHCO-)とともに、イミド化反応に供されることができる酸基、例えば-COOHを有してよい。
【0029】
ポリアミド酸は、上記式(A1)~(A4)からなる群から選択される四価の有機基の少なくとも一つ、及び/又は式(B1)~(B5)からなる群から選択される二価の有機基の少なくとも一つを有することが好ましい。これによって、得られるポリイミドにこれらの構造が導入される。
【0030】
ポリアミド酸において、式(A1)~(A4)からなる群から選択される四価の有機基の少なくとも1種と、式(B1)~(B5)からなる群から選択される二価の有機基の少なくとも1種が、-NHCO-を介して結合してよく、例えば、ポリアミド酸は、下記一般式(2):
【化23】
{式中、X
2は4価の有機基であり、Y
2は2価の有機基であり、X
2はX
1と同一であっても異なってもよく、Y
2はY
1と同一であっても異なってもよく、n
1は2~150の整数であり、そしてR
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である}
で表される構造単位を有することができる。
【0031】
一般式(2)において、4価の有機基X2は、式(A1)~(A4)で表される四価の有機基の少なくとも1種でよく、2価の有機基Y2は、式(B1)~(B5)で表される二価の有機基の少なくとも1種でよい。また、4価の有機基X2は、事後的なイミド化のために、少なくとも1つの酸基、例えば-COOHを有することが好ましく、具体的には、一般式(2)においてR1及びR2の少なくとも一方は水素原子であることができる。
【0032】
一般に、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸は、X2基を有する酸二無水物と、Y2基を有するジアミンとの共重合体である。その場合、式(A1)~(A4)で表される四価の有機基は、酸二無水物に由来し、式(B1)~(B5)で表される二価の有機基は、ジアミンに由来することができる。
また、上記一般式(2)で表される構造単位を有する(a)ポリアミド酸と(b)溶媒とを含むワニスを、上記一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミドに変換する工程を含むポリイミドの製造方法も本発明の一態様である。
【0033】
例えば、式(A1)で表される四価の有機基は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(略称:6FDA)などに由来し、式(A2)で表される四価の有機基は、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(略称:HPMDA)などに由来し、かつ式(A3)で表される四価の有機基は、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(略称:BTA)などに由来する。
【0034】
例えば、式(B1)で表される二価の有機基は、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(略称:3-DAS)などに由来し、式(B2)で表される二価の有機基は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(略称:4-DAS)などに由来し、式(B3)で表される二価の有機基は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(略称:TFMB)などに由来し、式(B4)で表される二価の有機基は、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(略称:6Fジアミン)などに由来し、かつ式(B5)で表される二価の有機基は、1,4-シクロヘキサンジアミン(trans体、cis体、又はcis-,trans-混合体)(略称:CyHex)などに由来する。
【0035】
(b)溶媒
溶媒としては、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解することができる既知の溶媒を使用してよい。既知の溶媒の中でも、上記で説明されたワニス粘度の制御、約250℃以下の比較的低温でのイミド化、ポリイミドフィルムの透明性などの観点から、エステル基、エーテル基、ケトン基、水酸基、スルホン基及びスルフィニル基から成る群から選択される少なくとも1種を含む溶媒が好ましい。
【0036】
エステル基を有する溶媒としては、エステル系溶媒、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジメチルなどが挙げられる。
環状エステル基を有する溶媒としては、ラクトン系溶媒、例えば、γ-ブチロラクトン(GBL)、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-クロトノラクトン、γ-ヘキサノラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、δ-ヘキサノラクトンなどが挙げられる。
エーテル基を有する溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、などが挙げられる。
ケトン基を有する溶媒としては、ケトン系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
水酸基を有する溶媒としては、フェノール系溶媒、例えば、m-クレゾールなどが挙げられる。
スルホン基を有する溶媒としては、メチルスルホン、エチルフェニルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホラン、ビスフェノールS、ソラプソン、ダプソン、ビスフェノールAポリスルホン、スルホランなどが挙げられる。
スルフィニル基を有する溶媒としては、スルホキシド系溶媒、例えば、N,N-ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
これらのうち、ポリイミドフィルムの黄変の抑制、約220℃以下の比較的低温でのイミド化、空気中でのイミド化などの観点から、GBLが好ましい。
なお、上記で列挙された溶媒以外に、アミド系溶媒、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用することができる。
【0037】
(c)添加剤
ポリアミド酸ワニスは、任意に添加剤を含んでもよい。添加剤は、例えば、フィルムの塗工性を改善する為のレベリング剤、分散剤又は界面活性剤、フィルムの支持体からの剥離性若しくは接着性を調整する為の界面活性剤又は密着助剤、フィルムに難燃性を付与する為の難燃剤、フィルムのレタデーションを調整する為の炭酸ストロンチウム等のシリカ以外の無機粒子、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリメチルメタクリレート、セルローストリアセテート、フルオレン誘導体等の有機化合物、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、可塑剤、ワックス類、充填剤、顔料、染料、発泡剤、消泡剤、脱水剤、帯電防止剤、抗菌剤、防カビ剤などでよい。
なお、ワニスに添加された添加剤は、ポリイミドフィルムに残留してよい。
【0038】
ポリアミド酸ワニスの製造方法は、(b)溶媒中に、上記で説明されたジアミンと酸二無水物を溶解して、ポリイミド前駆体としての(a)ポリアミド酸を生成することを含む。ポリアミド酸の生成時又は生成後に、(c)添加剤を反応溶媒に加えてよい。反応溶媒に添加された(c)添加剤は、そのままポリイミドフィルムに含有されることができる。得られた反応溶媒は、そのままポリアミド酸ワニスとして使用されるか、又は別の溶媒に置換されることができる。
【0039】
〈イミド化〉
イミド化条件は、特に限定されないが、例えば、反応温度は0℃~180℃でよく、反応時間は3~72時間でよく、反応雰囲気は、アルゴン又は窒素などの不活性雰囲気でよい。所望により、トルエンなどの水と共沸する溶媒をポリアミド酸ワニスに加えて、ポリアミド酸の脱水反応に伴い発生する水の除去を促進してよい。
【0040】
〈塗工〉
塗工工程は、フィルムの用途に応じて、各種の塗工装置を用いて行われることができ、例えば、スピンコート、スリットコート、スロットダイコート及びブレードコートなどの公知の塗工方法を用いてよい。
【0041】
塗工工程の任意の支持体は、使用する場合、例えば、アルカリガラス基板、無アルカリガラス基板(Eagle XG(登録商標)、コーニング社製)、及び、銅基板、アルミ基板、SUS基板等の金属基板、又はUpilex(登録商標)フィルム(宇部興産製)、Kapton(登録商標)フィルム(東レ・デュポン製)、ポリカーボネートフィルム、PETフィルム等のようなプラスチックフィルム、又は銅箔、アルミ箔、SUS箔等のような金属箔であってよい。
また前述の様にフレキシブルガラス基板上に、ポリアミド酸ワニス又はポリイミドワニスを直接塗工し、ポリイミドフィルムを形成してもよい。
【0042】
〈乾燥〉
乾燥工程では、例えば150~350℃の温度で、ポリアミド酸ワニス、又はポリイミドワニスから溶媒を乾燥させて、ポリイミドフィルムを形成する。理論に拘束されることを望まないが、乾燥工程を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うと、ポリアミド酸ワニスに含まれる溶媒の種類によらず、無色透明なポリイミドフィルムが得られる傾向にある。他方、ポリアミド酸ワニスに含まれる溶媒がγ-ブチロラクトン(GBL)である場合には、経済性及びフィルムの無色透明性の観点から、乾燥工程を空気中で行うことが好ましい。
【0043】
〈延伸〉
ポリイミドフィルムを個別製造した後にフレキシブルガラスと積層させる場合、フレキシブルガラスと積層させる前に、得られたポリイミドフィルムを延伸して、フィルムの薄膜化を行ってもよい。例えば、10μm未満の厚みを有するフィルムを得るためには、膜厚10μm以上のポリイミドフィルムを延伸処理することにより作製することができる。延伸処理は一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。二軸延伸の場合は同時二軸であっても逐次二軸であってもよい。
【0044】
《積層体》
フレキシブルガラス基板上に、ポリアミド酸ワニス又はポリイミドワニスを直接塗工してポリイミドフィルムを形成した場合は、それをそのまま積層体として用いることができる。
ポリイミドフィルムをフレキシブルガラスに積層する場合は、シート状接着剤にてポリイミドフィルムとフレキシブルガラスを接着し、積層体とすることができる。
【0045】
《フレキシブルデバイス》
本実施形態のフレキシブルデバイスは、本実施形態の積層体を有する。好ましくは、本実施形態の積層体を用いてフレキシブルディスプレイを製造することができる。フレキシブルディスプレイとしては、有機ELディスプレイ、例えば、ボトムエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイ、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイなど;又はフレキシブル液晶ディスプレイが挙げられる。本実施形態の積層体をフレキシブルデバイスに用いる場合、該フレキシブルデバイスは光源を備え、この光源の光が本実施形態の積層体を通過してフレキシブルデバイスの外部に出力されるように構成されることが好ましい。本実施形態の積層体をフレキシブルデバイスに用いる場合、ポリイミドフィルムがフレキシブルガラスよりも光源側に配置されるように積層体を配置してもよく、フレキシブルガラスがポリイミドフィルムよりも光源側に配置されるように積層体を配置してもよい。
【0046】
別の実施形態では、ポリイミドフィルムの表面上に、機能性層を設けてもよい。機能性層は、ポリイミドフィルムの表面上に、例えば透明電極層をスパッタリング装置で成膜することにより得ることができる。本実施形態の積層体が両面にポリイミドフィルムを有する場合、透明電極層は、本実施形態の積層体の両面に形成されていてもよい。このとき、積層体の両面のポリイミドフィルムに、それぞれ、少なくとも1層以上の透明電極層を形成することが好ましい。また、透明電極層とポリイミドフィルムとの間に、平滑性を付与する為のアンダーコート層、表面硬度を付与する為のハードコート層、視認性を向上する為のインデックスマッチング層、ガスバリア性を付与する為のガスバリア層、など他の層を有していてもよい。表面硬度を付与する為のハードコート層、視認性を向上する為のインデックスマッチング層は、透明電極層とポリイミドフィルムの上に積層されていてもよい。本実施の形態の積層体は、透明電極フィルムのようなタッチパネル材料への使用に特に適している。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【0048】
《測定及び評価方法》
〈黄色度(YI)及びヘイズ〉
コニカミノルタ株式会社製分光測色計(CM3600A)及びD65光源を用いて、積層体の黄色度(YI値)及びヘイズを測定した。
得られた黄色度(YI)及びヘイズを下記基準に従ってランク分けした。
(黄色度(YI)ランク)
〇(良好):キュアされたフィルムのYIが5以下である。
×(不良):キュアされたフィルムのYIが5を超える。
(ヘイズランク)
◎(非常に良好):ヘイズが1%以下である。
〇(良好):ヘイズが1.5%以下1%超である。
×(不良):ヘイズが1.5%を超える。
【0049】
〈算術平均粗さ(Ra)〉
ナノスケールハイブリッド顕微鏡(VN8000、キーエンス株式会社製)を用いて、積層体のフィルム層側の測定面積(50μm×50μm)をスキャンし、の算術平均粗さ(Ra)を測定した。フィルムの表裏でRaに違いがある場合は粗い方の値を評価値とした。
(Raランク)
〇(良好):算術平均粗さが1.5nm以下。
×(不良):算術平均粗さが1.5nmを超える。
【0050】
〈ガスバリア性〉
MOCON法にて積層体の水蒸気透過度を測定し、水蒸気透過係数[g・mm/m2・day]を算出した。
(ガスバリア性ランク)
〇(良好):水蒸気透過係数が1×10-3以下。
×(不良):水蒸気透過係数が1×10-3を超える。
【0051】
〈耐熱性(Tg)〉
フィルム層のガラス転移温度(Tg)の測定は、熱機械分析により行った。支持基材に部分的に切り込みを入れた後、温度23℃、湿度90%RH以上の環境に24時間吸湿し、ポリイミドフィルムを剥離し、これを3mm×20mmの大きさにカットしたものを試験片として用いた。試験片は温度23℃、湿度50%RHにて調湿した後、測定装置としてセイコーインスツル株式会社製(EXSTAR6000)を用い、引張荷重49mN、昇温速度10℃/分及び窒素気流下(流量100ml/分)の条件で、温度50~350℃の範囲における試験片伸びの測定を行った。得られたチャートの変曲点をガラス転移温度とした。
(耐熱性ランク)
〇(良好):Tgが250℃以上。
×(不良):Tgが250℃未満。
【0052】
〈レタデーション(Rth)〉
積層体のRthは王子計測機器株式会社製の位相差測定装置(KOBRA-WR)を用いて、波長589nmにおけるΔnを測定し、ガラスの屈折率には異方性がないとして、下記式によってフィルム層厚み15μm換算のRthを算出した。
Rth=Δn×d
Δn={(Nx+Ny)/2-Nz}
ここで、Nx、Nyは平面方向、Nzは厚み方向の屈折率を指す。
ここで、dは、フィルム層の厚みを指す。本測定においてはd=15μmとしてRth(nm)を算出した。
(Rthランク)
◎(非常に良好):Rthが50nm以下。
〇(良好):Rthが50nmを超え200nm以下。
×(不良):Rthが200nmを超える。
【0053】
《原材料》
〈テトラカルボン酸二無水物〉
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(A1に該当)
HPMDA:シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物(A2に該当)
BTA:ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(A3に該当)
ODPA:オキシジフタル酸二無水物(A4に該当)
PMDA:無水ピロメリト酸
【0054】
〈ジアミン〉
3-DAS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(B1に該当)
4-DAS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(B2に該当)
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(B3に該当)
6Fジアミン:2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(B4に該当)
CyHex:1,4-シクロヘキサンジアミン(B5に該当)
【0055】
〈樹脂フィルム〉
PETフィルム:コスモシャインA4100(登録商標)(東洋紡社製)
PENフィルム:テオネックス(登録商標)(帝人社製)
【0056】
《合成例》
撹拌棒付き500mLセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、合成としてγ-ブチロラクトン溶媒の存在下、表1に示されるとおり、酸二無水物とジアミンを加え、次にオイルバスを用いて40℃に昇温し適宜3~12時間撹拌した後、オイルバスを外して室温に戻し、ポリアミド酸溶液(以下、ポリアミド酸ワニスともいう。)を得た。
【0057】
《積層体》
実施例1~実施例2、並びに比較例1及び比較例6~8はフレキシブルガラスを支持体としてポリアミド酸ワニスをキャストし、加熱乾燥を施しポリイミドフィルムを作成した。フレキシブルガラス支持体と作成したポリイミドフィルムをそのまま積層体とした。
比較例2はフィルム層単層である。
比較例3~4はシート状接着剤を用いフレキシブルガラスと樹脂フィルムを積層し積層体とした。
【0058】
【0059】