(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】内視鏡用フードの成形型
(51)【国際特許分類】
B29C 33/42 20060101AFI20220809BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220809BHJP
B29C 39/26 20060101ALI20220809BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B29C33/42
A61B1/00 651
B29C39/26
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2018146498
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000131245
【氏名又は名称】株式会社シード
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 猛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆郎
(72)【発明者】
【氏名】檜野 栞
(72)【発明者】
【氏名】松永 透
(72)【発明者】
【氏名】真船 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 尚洋
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510577(JP,A)
【文献】特開2007-044481(JP,A)
【文献】特開2003-107370(JP,A)
【文献】特開平11-128159(JP,A)
【文献】特開平11-047081(JP,A)
【文献】特開2013-180175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 39/00 - 39/44
B29C 45/00 - 45/84
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型及び雄型を有し、前記雌型と前記雄型の間に生じる充填空間に親水性モノマーを含む材料が充填され、当該材料の共重合反応によって内視鏡用フードを成形する内視鏡用フードの成形型であって、
前記雌型は、前記内視鏡用フードの先端側に位置する先端面に対応した先端形成面を有し、
前記雄型は、前記内視鏡用フードの前記先端面と対向する対向面に対応する対向形成面を有
し、
前記内視鏡用フードは、円盤部と、前記円盤部の外周より垂直方向に円設する外装部と、を有し、
前記外装部は、前記内視鏡用フードが装着される内視鏡の外周面に接する装着部と、前記装着部から挿入方向の先端側に延びる延出部と、を有し、
前記充填空間は、前記内視鏡用フードの前記延出部に対応する延出空間と、前記内視鏡用フードの前記装着部に対応する装着空間と、を有する、内視鏡用フードの成形型。
【請求項2】
前記雌型は、第1雌型と第2雌型を有し、
前記第1雌型は、前記第2雌型及び前記雄型を収容する収容部を有し、
前記充填空間は、前記第1雌型の内面と、前記第2雌型の外面と、前記雄型の外面と、によって囲まれており、
前記第1雌型の内面は、前記内視鏡用フードの外周面に対応する外周形成面を有する、請求項1に記載の内視鏡用フードの成形型。
【請求項3】
前記延出空間の幅は、前記装着空間の幅と異なる、請求項1又は請求項2に記載の内視鏡用フードの成形型。
【請求項4】
前記雄型及び前記雌型の少なくともいずれか一方は、前記充填空間に連なる凹部を有し、
前記凹部は、前記充填空間から離れる方向に延びている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡用フードの成形型。
【請求項5】
前記雄型において前記雌型と当接する雄型当接面と、前記雌型において前記雄型と当接する雌型当接面と、は、前記内視鏡用フードの先端側に向かって細くなるテーパー形状を有する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の内視鏡用フードの成形型。
【請求項6】
前記内視鏡用フードは、前記先端面から前記対向面まで貫通する開口が形成されており、
前記雌型及び前記
雄型の少なくともいずれか一方には、前記開口に対応する開口形成部が形成されている、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の内視鏡用フードの成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に装着する内視鏡用フードを成型するための成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いた手術や検査においては、内視鏡の延出部(挿入側端部)から生体組織までの至適距離の確認及び視野の確保を目的として、内視鏡の延出部に透明なフードが装着される。ここで、かかるフードは、ABS、ポリカーボネート、塩化ビニル、シリコーンゴム等により形成されている。
【0003】
しかしながら、かかるフードは、内視鏡の延出部から生体組織までの至適距離の確認及び視野の確保を目的として装着されるものであり、カメラレンズや照明レンズの部分は、被覆されていないため、フードを装着した内視鏡を用いた検査や手術において、体液や油脂が付着し、視界が不鮮明になるという課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような課題を解決するために、親水性モノマーを用いて形成されたハイドロゲルによって内視鏡用フードを形成することが考えられる。ハイドロゲルによって内視鏡用フードを形成する方法としては、親水性モノマーを含む材料をプラスチック等の成形型に充填し、昇温することで共重合反応させる。次いで、共重合反応した材料を水和膨潤させることによってハイドロゲルからなる内視鏡用フードを得ることができる。当該方法によって得られる内視鏡用フードの形状は、親水性モノマーを含む材料を充填する成形型の形状に対応する。しかし、内視鏡は、同一の形状のものだけでなく、様々な形状のものが提供されている。そのため、内視鏡の形状に応じて異なる成形型を用いて製造する必要がある。
【0006】
また、特許文献1に示すように、内視鏡用フードとして、筒形状の外装部と、外装部の内側面に連なる円盤部と、を有するものが提供されている。このような内視鏡用フードでは、内視鏡のカメラレンズ等の位置によって円盤部の形状を異ならせ、内視鏡の先端の径によって外装部の内径を異ならせる。すなわち、円盤部及び外装部のそれぞれで調整が必要であり、成形型の汎用性を高めることができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、防曇性や防汚性に優れた内視鏡用フードを成形でき、かつ成形型の汎用性を高めることができる内視鏡用フードの成形型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る内視鏡用フードの成形型は、雌型及び雄型を有する。成形型は、前記雌型と前記雄型の間に生じる充填空間に親水性モノマーを含む材料が充填され、当該材料の共重合反応によって内視鏡用フードを成形する。雌型は、内視鏡用フードの先端側に位置する先端面に対応した先端形成面を有する。雄型は、内視鏡用フードの前記先端面と対向する対向面に対応する対向形成面を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長時間の使用においても防曇性や防汚性に優れた内視鏡用フードを成形でき、かつ成形型の汎用性を高めることができる内視鏡用フードの成形型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る内視鏡用フードの成形型の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す内視鏡用フードの成形型の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す内視鏡用フードの成形型の側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の内視鏡用フードの成形型によって得られる内視鏡用フードが内視鏡に装着された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、内視鏡用フードの断面図及び平面図を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る内視鏡用フードの断面図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る内視鏡用フードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0013】
図1及び
図2を参照して、実施形態に係る内視鏡用フードの成形型1について説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡用フードの成形型の斜視図であり、
図2は、
図1に示す内視鏡用フードの成形型の分解斜視図である。
図2では、成形型と合わせて内視鏡用フードを図示している。
図3は、
図1に示す内視鏡用フードの成形型の側面図である。
図4は、
図3のA-A線に沿った断面図であり、
図5は、
図3のB-B線に沿った断面図である。
図6は、本実施形態の成形型によって得られる内視鏡用フードが内視鏡に装着された状態の一例を示す図である。
図7は、内視鏡用フードの断面図及び平面図を示す図である。
図7(A)は、断面図であり、
図7(B)は、平面図である。なお、
図7(A)は、
図7(B)のC-C線に沿った断面図である。
【0014】
本実施形態に係る内視鏡用フードの成形型(以下、成形型とする)1は、内視鏡の内視鏡100の挿入側端部(延出部)100Eに装着される内視鏡用フードを形成するための型である。
図6等に示すように、内視鏡用フード50は、内視鏡100の挿入側端部(延出部)100Eに装着されるように構成されている。
【0015】
本実施形態に係る内視鏡用フード50は、ハイドロゲル製である。ハイドロゲルとしては、親水性モノマーのみを用いて形成されたハイドロゲルや、親水性モノマーに疎水性モノマー若しくは架橋性モノマー又はその両方を添加して形成されたハイドロゲル等が挙げられる。親水性モノマーは、ハイドロゲルの含水率に対して寄与し、疎水性モノマーは、ハイドロゲルの含水率や膨潤率の調整作用に対して寄与し、得られる内視鏡用フード50の濡れ性や柔軟性に対して影響を与える。また、架橋性モノマーは、その含有量によって、ハイドロゲルの高分子鎖の密度を制御することが可能となり、ハイドロゲルに機械的強度や形状安定性や耐溶剤性を付与することができる。
【0016】
ハイドロゲルの含水率は、成形可能であれば特に限定されないが、例えば、20~70重量%とすることができる。
含水率(重量%)=〔(W-D)/W〕×100(W:含水重量、D:乾燥重量)
また、必要に応じて、含水率を適宜選択することができる。例えば、外装部51の含水率及び円盤部52の含水率は、それぞれ20~70重量%であってもよい。
【0017】
親水性モノマーとしては、1以上の親水基を分子内に有するものが好ましく、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルオキシエチルコハク酸、イタコン酸、メタクリルアミドプロピルトリアンモニウムクロライド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中から親水性モノマーを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
上述の親水性モノマーの中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンが、取扱い性の観点から、本願発明においては好ましく用いられる。
【0019】
親水性モノマーの配合率は、特に限定されないが、得られる内視鏡用フード50の含水率に影響を及ぼすことから、全重合成分中の50重量%以上であることが好ましい。親水性モノマーの配合率が50重量%未満の場合、十分な含水率を有する内視鏡用フード50が得られないことから、内視鏡用フード50の防汚性や防曇性が低下することが懸念されるため好ましくない。
【0020】
疎水性モノマーとしては、例えば、シロキサニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、メタクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中から疎水性モノマーを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
疎水性モノマーは、配合量に応じて得られる内視鏡用フード50の含水性を変化させることができる。ところが、疎水性モノマーの配合率が高いと含水性が極端に低下し、得られる内視鏡用フード50の柔軟性が低下することから、例えば、モノマー総量に対して30重量%未満であることが好ましい。
【0022】
架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられ、これらの中から2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
架橋性モノマーの配合量は、得られる内視鏡用フード50の形状調節効果の観点から、モノマー総量に対して0.1~10重量%が好ましい。0.1重量%未満の場合は、内視鏡用フード50の網目構造が不足し、10重量%を超えると逆に網目構造が過剰となり、内視鏡用フード50が脆くなり、かつ、柔軟性が低下する。
【0024】
上述のモノマーの混合物を重合させる際に使用する重合開始剤としては、一般的なラジカル重合開始剤であるラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物や、アゾビスバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、モノマー総量に対して10~3500ppm程度が好ましい。
【0025】
本実施形態に係る内視鏡用フード50は、上述のモノマーを単一で或いは複数を混合した後、所望の形状に形成するものであり、単一の材料において形成される。
【0026】
ポリマーを得る工程として、構成成分であるモノマーを混合して得られるモノマー混合液を金属やガラスやプラスチック等の成形型に入れて密閉し、恒温槽等で段階的又は連続的に25~120℃の範囲で昇温し、5~120時間で共重合反応を完了させることによりポリマーを含む成形型を得ることができる。重合に関しては、紫外線や電子線やガンマ線等を用いることが可能である。
【0027】
ハイドロゲルを得る工程として、重合終了後の成形型を室温に冷却し、成形型に入っているポリマーを成形型から剥離し、必要に応じて、切削、研磨した後に、ポリマーを水和膨潤させてハイドロゲルとする。使用する液体(膨潤液)としては、例えば、水、生理食塩水、等張性緩衝液及びこれらにエタノール等の有機溶媒を混合した溶液等が挙げられるがこれらに限定されない。膨潤液を60~100℃に加温し、ポリマーを一定時間膨潤液に浸漬させて膨潤状態とする。また、膨潤処理時にポリマーに付着する未反応のモノマーを除去することが好ましい。得られたハイドロゲルは、生理食塩水等の膨潤液に浸漬した状態で、110~130℃、10~60分間の高圧蒸気滅菌に供することにより定形化することができる。
【0028】
本実施形態に係る内視鏡用フード50によれば、防曇性や防汚性に優れることから、手術や検査時において、レンズ部分に付着した体液や油脂を内視鏡100に供えた送水機構から噴出される水により容易に除去することが可能である。加えて、曇りも抑止することが可能になる。そのため、長時間に渡る手術や検査においても、レンズ部の汚染や曇りを除去するための内視鏡100の抜き取りが不要なことから、手術や検査の短時間化や、患者の負担軽減が可能になる。
【0029】
図6及び
図7に示すように、内視鏡用フード50は、外装部51と、円盤部52と、を備える。内視鏡用フード50は、軸方向Aと、径方向Rと、を有する。内視鏡用フード50の軸方向Aは、内視鏡100の挿入方向に沿っている。外装部51は、円盤部52の外周より垂直方向に円設する。外装部51は、軸方向Aに延びる筒形状であり、内視鏡100の挿入方向に向かって細くなるテーパー形状であってよい。外装部51は、内視鏡100の外周面に接する装着部511と、装着部511から内視鏡100の挿入方向の先端側に延出する延出部512と、を有してよい。装着部511は、内視鏡100に当接し、内視鏡用フード50を内視鏡100に固定する機能を有する。よって、装着部511の内径fは、使用する内視鏡100に合わせ適宜設計される。延出部512は、内視鏡の先端と内視鏡用フード50の先端との間隔を確保する機能を有する。より詳細には、内視鏡の先端と生体組織までの距離及び、内視鏡の視野を確保する。
【0030】
図7に示すように、内視鏡用フード50は、内視鏡用フード50の先端側に位置する先端面55と、先端面55と対向する対向面56と、を有する。先端面55は、内視鏡用フード50が装着される内視鏡100の挿入方向における先端側の面である。先端面55は、延出部512の軸方向Aの端縁と、円盤部52の延出部512側の面と、を含む。対向面56は、装着部511の軸方向Aの端縁と、円盤部52の装着部511側の面と、を含む。
【0031】
延出部512の軸方向Aの長さgは、距離と視野を確保できる長さであればよく、特に限定されない。延出部512の軸方向Aの長さgは、0~10mmが好ましく、2~5mmがより好ましい。10mmを超過すると、カメラレンズへの延出部512の写り込みが大きくなり、視野が狭まるため好ましくない。また、延出部512は、内視鏡100を奥部へ挿入する際に、生体組織を押し分けるための機能も有するため、生体組織を損傷することがない程度の柔軟性と強度が必要である。延出部512の厚みuは、0.1~1.0mmが好ましく、0.3~0.5mmがより好ましい。延出部512の長さg及び厚みuは、適宜設計される。また、内視鏡用フード50は、後述する変形例2のように、延出部512を有してなくても(延出部512の軸方向Aの長さgが0mmであっても)よい。
【0032】
装着部511の長さbは、内視鏡用フード50を内視鏡100に固定するのに十分な長さであれば特に限定されない。装着部511の長さbは、5~20mmが好ましく、10~15mmがより好ましい。また、装着部511の厚みtは、0.1~1.0mmが好ましく、0.3~0.5mmがより好ましい。装着部511の長さb及び厚みtは、適宜設計される。
【0033】
円盤部52は、平面視にて円形状である。円盤部52は、外装部51の軸方向Aにおける中間に位置し、外装部51の内面に連なっている。円盤部52は、鉗子の出入り口となる鉗子口53と、円盤部52を洗浄するための送水部の出口となる送水口54と、を有する。鉗子口53及び送水口54は、円盤部52を貫通した開口であり、本発明の開口を構成する。円盤部52の厚みeは、0.01~1.0mmが好ましく、0.05~0.7mmがより好ましく、0.1~0.5mmが最も好ましい。円盤部52の厚みeは、1.0mmを超過すると、カメラレンズを介して得られる視野に悪影響を及ぼす。また、円盤部52の厚みeは、0.01mmよりも小さい場合、円盤部52の強度が低くなり、使用時の破損が生じることが懸念されるため好ましくない。円盤部52の厚みe、鉗子口53の位置及び形状、送水口54の位置及び形状は、装着する内視鏡の構造に応じて、適宜設計される。
【0034】
次いで、このように構成された内視鏡用フード50を成形する成形型1について、
図1から
図5を参照して詳細に説明する。成形型1は、雌型6と、雄型4と、を有する。成形型1は、雌型6と雄型4の間に生じる充填空間Sに親水性モノマーを含む材料を充填させ、当該材料を共重合反応させることによって内視鏡用フード50を成形するための型である。成形型1は、共重合反応させる際の昇温に適切な材料によって形成されていればよく、例えば、プラスチックによって形成されている。成形型1は、円柱形状であり、軸方向Aと径方向Rを有する。成形型1の軸方向Aは、内視鏡用フード50の軸方向Aに沿っている。
【0035】
雌型6は、第2雌型3及び第1雌型2を有する。よって、本実施の形態の成形型1は、第1雌型2と、第2雌型3と、雄型4と、の3つの部材によって構成されている。充填空間Sは、第1雌型2の内面と、第2雌型3の外面と、雄型4の外面と、によって囲まれている。
図3において、充填空間Sに斜線を付して示す。なお、後述する変形例1に係る成形型1Yのように、第1雌型2と第2雌型3が一体化した雌型6Yと、雄型4と、の2つの部材によって構成されていてもよい。変形例1に係る成形型1Yについては、後述にて説明する。
【0036】
成形型1が少なくとも2つの型(雌型6及び雄型4)を有するため、内視鏡用フード50の形状に応じて雌型6の形状と雄型4の形状をそれぞれ調整することができる。内視鏡用フード50の形状を調整する際に、雌型6を調整せずに雄型4のみを調整したり、雄型4を調整せずに雌型6のみを調整したりすることができ、それぞれの型の汎用性を高めることができる。
【0037】
また、成形型1が第1雌型2、第2雌型3及び雄型4を有することにより、内視鏡用フード50の形状に応じて、第1雌型2の形状、第2雌型3の形状、雄型4の形状をそれぞれ調整することができる。型の組み合わせパターンが増え、内視鏡用フード50の形状パターンを増やすことができる。また、内視鏡用フード50の形状を調整する際に、第1雌型2、第2雌型3及び雄型4をそれぞれ調整し、それぞれの型の汎用性を高めることができる。
【0038】
図2に示すように、第1雌型2は、筒形状であり、その径方向の中心に第2雌型3及び雄型4を収容する収容部23を有する。収容部23は、第1雌型2の内面2Aによって囲まれた空間であり、軸方向Aにおいて第1雌型2を貫通している。雄型4及び第2雌型3は、軸方向Aに沿って収容部23内に挿入されるように構成されている。第1雌型2は、第2雌型3及び雄型4を出し入れする第1後端21と、第1後端21と軸方向における反対側の第1先端22と、を有する。
【0039】
図2に示すように、雄型4及び第2雌型3の第1雌型2への挿入する第1方向X1は、第1後端21から第1先端22に向かう方向であり、雄型4及び第2雌型3を第1雌型2から取り出す第2方向X2は、第1先端22から第1後端21に向かう方向である。第1先端22は、雄型4等の第1雌型2への挿入方向の先端側に位置する。本実施の形態では、第1方向(第2雌型3及び雄型4の第1雌型2への挿入方向)X1は、当該成形型1によって成形される内視鏡用フード50が装着される内視鏡100の挿入方向と一致している。しかし、他の形態において、第1方向X1は、内視鏡100の挿入方向と反対方向であってもよい。また、第1雌型2への雄型4の挿入方向と、第1雌型2への第2雌型3の挿入方向は、本実施の形態のように一致していてもよいし、反対方向であってもよい。
【0040】
第1雌型2の内面2Aは、第2雌型3の外面3B及び雄型4の当接面47と当接する。第1雌型2の内面2Aは、雌型当接面を構成する。内視鏡用フード50の外周面に対応する外周形成面24を有する。第1雌型2の内面2Aは、内視鏡100の挿入方向(本実施の形態における第1方向X1)に向かって細くなるテーパー形状である。外周形成面24は、第1雌型2の内面2Aのうち、軸方向Aにおける中央部分に設けられている。外周形成面24は、充填空間Sを囲む面である。外周形成面24は、雄型4の外面(後述する装着形成面)と間隔を空けて配置されている。また、外周形成面24は、第2雌型3の外面(後述する延出形成面34)と間隔を空けて配置されている。外周形成面24は、内視鏡用フード50の外装部51の外周面に対応する面である。
【0041】
第2雌型3は、収容部23内において雄型4よりも第1方向X1側に配置されている。第2雌型3は、第1後端21側に位置する第2後端31と、第1先端22側に位置する第2先端32と、を有する。第2後端31は、後述する開口形成部の軸方向Aの端縁によって構成される。第2先端32は、第1雌型2への挿入方向の先端側に位置する。
【0042】
第2雌型3は、第1雌型2の内面2Aに当接する外面3Bを有する。第2雌型3の外面3Bは、内視鏡100の挿入方向(本実施の形態における第1方向X1)に向かって細くなるテーパー形状である。第2雌型3の外面3Bは、第1雌型2の内面2Aに対して平行に延びている。第1雌型2の収容部23に第2雌型3が所定の位置まで挿入されると、第2雌型3の外面3Bが第1雌型2の内面2Aに当接し、第1先端22側への第2雌型3の軸方向Aの移動を規制される。
【0043】
第2雌型3は、外面3Bよりも第2方向X2側において充填空間Sを囲む外面を有する。第2雌型3の充填空間Sを囲む外面は、先端形成面33と、延出形成面34と、を含む。先端形成面33は、内視鏡用フード50の先端面55に対応する面である。先端形成面33は、第1先端形成面331と、第2先端形成面332と、を有する。第1先端形成面331は、内視鏡用フード50の円盤部52の延出部側の面に対応する面である。第1先端形成面331は、第2雌型3の径方向Rの中央に配置され、平面視にて円形状である。第2先端形成面332は、内視鏡用フード50の延出部512の軸方向Aの端縁に対応する面である。第2先端形成面332は、外面3Bの第2方向X2の端縁から径方向Rの内側に延び、延出形成面34の第1方向X1の端縁まで到達している。第2先端形成面332は、平面視にて輪形状である。
【0044】
第2先端形成面332は、軸方向Aにおいて第1先端形成面331よりも第2先端32側(第1方向X1側)に配置されている。第1先端形成面331から第2先端形成面332まで軸方向Aに延びる面は、延出形成面34を構成する。第2先端形成面332と第1先端形成面331の軸方向Aの間隔g1は、延出形成面34の軸方向Aの長さであり、内視鏡用フード50の延出部512の長さgとなる。
【0045】
延出形成面34は、内視鏡用フード50の延出部512の内周面に対応する面である。第1雌型2の外周形成面24と対向して配置されている。第1雌型2の外周形成面24と第2雌型3の延出形成面34とによって挟まれた充填空間Sは、外装部51の延出部512に対応する延出空間である。外周形成面24と延出形成面34の間隔u1は、延出空間の幅であり、内視鏡用フード50の延出部512の厚みuとなる。外周形成面24と延出形成面34の間隔を調整することによって、延出部512の厚みuを調整できる。また、延出形成面34の外径を調整することにより、延出部512の内径を調整することができる。延出形成面34は、内視鏡100の挿入方向(本実施の形態における第1方向X1)に向かって細くなるテーパー形状である。延出形成面34が外周形成面24と平行に延びている構成にあっては、内視鏡用フード50の延出部512の厚みは一定となる。なお、延出形成面34は、テーパー形状でなく、軸方向Aに沿っていてもよいし、外周形成面24と平行でなくてもよい。
【0046】
第2先端形成面332の径方向Rの幅は、延出部512の軸方向Aにおける端縁の厚みとなる。第2先端形成面332の径方向Rの幅は、第1雌型2の外周形成面24と第2雌型3の延出形成面34との間隔に一致している。なお、延出部512の厚みuが変化する構成にあっては、外周形成面24と延出形成面34との間隔u1が変化してよく、外周形成面24と延出形成面34の間隔u1が第2先端形成面332の径方向Rの幅と異なっていてもよい。
【0047】
第2雌型3には、内視鏡用フード50の開口(鉗子口53及び送水口54)に対応する開口形成部35が形成されている。開口形成部35は、第1先端形成面331から軸方向A(本実施の形態の第2方向X2)に突出している。開口形成部35が設けられている領域では、第2雌型3の開口形成部35と雄型4の第1対向形成面431が当接し、円盤部52を貫通する開口が形成される。開口形成部35の周囲の領域では、第2雌型3の第1先端形成面331と雄型4の第1対向形成面431が離間して配置され、厚みを有する円盤部52が形成される。
【0048】
開口形成部35の位置及び形状によって、内視鏡用フード50の開口の位置及び形状を調整することができる。また、他の形態において、開口形成部35は、雄型4に設けてもよいし、第2雌型3及び雄型4の両方に設けてもよい。なお、開口形成部35を第2雌型3及び雄型4のいずれか一方に設けることにより、内視鏡用フード50の開口パターンを調整する際に、第2雌型3及び雄型4の一方のみを調整すればよく、成形型1の汎用性を高めることができる。
【0049】
雄型4は、収容部23内において第2雌型3よりも第2方向X2側に配置されている。雄型4は、第1後端21側に位置する雄後端41と、第1先端22側に位置する雄先端42と、を有する。雄先端42は、後述する第1対向形成面431によって構成される。雄型4は、雄先端42が第2雌型3の開口形成部35に当接すること、および、雄型4の当接面47が第1雌型2の内面2Aに当接することによって、第1先端22側への移動を規制される。なお、成形型1が開口形成部35を有しない形態にあっては、雄型4の移動を規制する係止部を第1雌型2に設けてよいし、後述のように、雄型4の当接面47が第1雌型2の内面2Aに当接し、第1先端22側への第2雌型3の軸方向Aの移動を規制されてもよい。
【0050】
雄型4は、充填空間Sを囲む外面を有する。雄型4の外面は、対向形成面43と、装着形成面44と、当接面47と、を含む。対向形成面43は、内視鏡用フード50の対向面56に対応する面である。対向形成面43は、第1対向形成面431と、第2対向形成面432と、を有する。第1対向形成面431は、円盤部52の装着部511側の面に対応する面である。第1対向形成面431は、雄型4の径方向Rにおける中央に配置され、平面視にて円形状である。第2対向形成面432は、装着部511の軸方向Aの端縁に対応する面である。第2対向形成面432は、雄型4の装着形成面44の第2方向X2の端縁から径方向Rの外側に延び、雄型4の当接面47の第1方向X1の端縁に到達している。第2対向形成面432は、平面視にて輪形状である。
【0051】
雄型4の第1対向形成面431は、第2雌型3の第1先端形成面331と軸方向Aにおいて間隔を空けて配置されている。第1対向形成面431と第1先端形成面331の間隔e1は、内視鏡用フード50の円盤部52の厚みeとなる。第1対向形成面431と第1先端形成面331の間隔e1を調整することによって、円盤部52の厚みeを調整できる。雄型4が対向形成面43を有し、第2雌型3が先端形成面33を有することにより、第2雌型3及び雄型4の一方を調整することによっても、内視鏡用フード50の先端面55、対向面56及びその間の領域を調整でき、成形型1の汎用性を高めることができる。第1対向形成面431は、上述のように、第2雌型3の開口形成部35に当接する。
【0052】
第2対向形成面432は、軸方向Aにおいて第1対向形成面431よりも雄後端41(第2方向X2)側に配置されている。第1対向形成面431から第2対向形成面432まで軸方向Aに延びる面は、装着形成面44を構成する。第2対向形成面432と第1対向形成面431の軸方向Aの間隔b1は、装着形成面44の軸方向Aの長さであり、内視鏡用フード50の装着部511の長さbとなる。
【0053】
装着形成面44は、内視鏡用フード50の装着部511の内周面に対応する面である。装着形成面44は、第1雌型2の外周形成面24と対向して配置されている。第1雌型2の外周形成面24と雄型4の装着形成面44とによって挟まれた充填空間Sは、外装部51の装着部511に対応する装着空間である。外周形成面24と装着形成面44の間隔t1は、装着空間の幅であり、内視鏡用フード50の装着部511の厚みtとなる。外周形成面24と装着形成面44の間隔t1を調整することによって、装着部511の厚みtを調整できる。また、装着形成面44の外径f1を調整することにより、装着部511の内径fを調整することができる。装着形成面44は、内視鏡100の挿入方向(本実施の形態における第1方向X1)に向かって細くなるテーパー形状である。装着形成面44が外周形成面24と平行に延びている構成にあっては、内視鏡用フード50の装着部511の厚みは一定となる。なお、装着形成面44は、テーパー形状でなく、軸方向Aに沿っていてもよいし、外周形成面24と平行でなくてもよい。
【0054】
第2対向形成面432の径方向Rの幅は、装着部511の軸方向Aの端縁の厚みとなる。第2対向形成面432の径方向Rの幅は、第1雌型2の外周形成面24と雄型4の装着形成面44との間隔に一致している。なお、装着部511の厚みtが変化する構成にあっては、外周形成面24と装着形成面44との間隔が変化してよく、外周形成面24と装着形成面44の間隔が第2対向形成面432の径方向Rの幅と異なっていてもよい。
【0055】
第1雌型2の外周形成面24と第2雌型3の延出形成面34とによって挟まれた延出空間によって内視鏡用フード50の延出部512を形成し、第1雌型2の外周形成面24と雄型4の装着形成面44とによって挟まれた装着空間によって内視鏡用フード50の装着部511を形成する。第1雌型2、第2雌型3、及び雄型4の3つの型を全て調整しなくても、延出部512の厚みu及び装着部511の厚みtを調整することが可能であり、成形型1の汎用性を高めることができる。
【0056】
延出空間における第1雌型2の内面と第2雌型3の外面の間隔(延出空間の幅)u1と、装着空間における第1雌型2の内面と雄型4の外面の間隔(装着空間の幅)t1と、は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1雌型2、第2雌型3、及び雄型4の3つの型を適宜調整することによって、延出部512の厚みuと装着部511の厚みtとを異ならせることができる。例えば、装着部511の厚みtを延出部512の厚みuよりも薄くしてよい。具体的には、装着部511の厚みtは、円盤部52を内視鏡100に固定するための押さえ込み性及び内視鏡用フード50の固定性の観点から、延出部512の厚みuに対して、50~95%の範囲で形成されることが好ましい。
【0057】
雄型4の当接面47は、第1雌型2の内面2Aに当接する。雄型4の当接面47は、雄型当接面を構成する。内視鏡100の挿入方向(本実施の形態における第1方向X1)に向かって細くなるテーパー形状である。雄型4の当接面47は、第1雌型2の内面2Aに対して平行に延びている。第1雌型2の収容部23に雄型4が所定の位置まで挿入されると、雄型4の当接面47が第1雌型2の内面2Aに当接し、第1先端22側への雄型4の軸方向Aの移動を規制されてもよい。
【0058】
このように構成された成形型1によって内視鏡用フード50を製造する際は、第1雌型2内に第2雌型3を挿入し、親水性モノマーを含む材料を注入した後に雄型4を挿入し、当該材料を共重合反応させることができる。このとき、雄型4の挿入前に充填した材料が充填空間Sの容量を超え、内視鏡用フード50を意図した形状で成形できないおそれがある。雄型4及び第2雌型3の少なくともいずれか一方は、充填空間Sに連なり、かつ充填空間Sから離れる方向に延びる凹部を有することが好ましい。充填空間Sから離れる方向は、第2雌型3では、軸方向において第2先端32に向かう方向であり、雄型4では、軸方向において雄後端41に向かう方向である。
【0059】
本実施の形態の凹部45は、雄型4の第2対向形成面432から軸方向Aに沿って雄後端41側に向かって延びている。凹部45は、当接面47から径方向Rの内側に凹んでいる。凹部45を設けることにより、雄型4の挿入前に充填した材料が充填空間Sの容量を超えた場合に、親水性モノマーを含む材料を充填空間Sから凹部45に導くことができ、内視鏡用フード50を意図した形状で成形できる。また、凹部45は、間隔を空けて複数設けられていることが好ましい。本実施の形態の凹部は、90度ずつ間隔を空けて設けられている。
【0060】
第1雌型2の内面(雌型当接面)2Aと雄型4の当接面(雄型当接面)47は、内視鏡100の先端側に向かって細くなるテーパー形状である。第1雌型2の内面2A及び雄型4の当接面47がテーパー形状であることにより、第1雌型2に対する雄型4の嵌め込み及び引き抜きを円滑に行うことができる。また、雄型4の当接面47と第1雌型2の内面2Aとが当接することによって雄型4を位置決めする構成にあっては、第1雌型2内での雄型4の位置が安定し易い。加えて、雄型4と第1雌型2が面同士で当接することにより、圧力が分散し、力を均等にかけることができる。よって、第1雌型2内での雄型4の位置及び角度が安定し、内視鏡用フードを所定の寸法及び形状に形成できる。
【0061】
同様に、第1雌型2の内面2Aと第2雌型3の外面3Bも、内視鏡100の先端側に向かって細くなるテーパー形状であってよい。第1雌型2に対する第2雌型3の嵌め込み及び引き抜きを円滑に行うことができる。また、第2雌型3の外面3Bと第1雌型2の内面2Aとが当接することによって第2雌型を位置決めする構成にあっては、第1雌型2内での第2雌型3の位置が安定し易い。加えて、第2雌型3と第1雌型2が面同士で当接することにより、圧力が分散し、力を均等にかけることができる。よって、第1雌型2内での第2雌型3の位置及び角度が安定し、内視鏡用フードを所定の寸法及び形状に形成できる。
【0062】
第1雌型2の内面2Aの軸方向Aに対する傾斜角度、第2雌型3の外面3Bの軸方向Aに対する傾斜角度、及び雄型4の当接面47の軸方向Aに対する傾斜角度は、0.01度以上10.0度以下であってよく、好ましくは、0.01度以上5.0度以下であり、より好ましくは、0.01度以上2.0度以下である。
【0063】
次いで、
図8に基づいて、変形例1に係る内視鏡用フードの成形型1Yについて説明する。
図8は、上述の実施の形態の説明における
図4に対応する断面であり、
図3に示すA-A線を基準とした変形例1Yにおける断面図である。なお、以下の説明において上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。変形例1に係る成形型1Yは、上述の実施形態における第1雌型2及び第2雌型3が一体化した雌型6Yを有する。雌型6Yは、雄型4を収容可能な収容部23Yを有する。
【0064】
雌型6Yへ雄型4を挿入する第1方向X1は、雌後端61から雌先端62に向かう方向であり、雌型6Yから雄型4を取り出す第2方向X2は、雌先端62から雌後端61に向かう方向である。雌型6Yの内面6Aは、第1雌型2の内面2Aに対応している。雌型6Yの第1先端形成面631及び第2先端形成面632は、第2雌型3の第1先端形成面331及び第2先端形成面332に対応している。雌型6Yの開口形成部65は、第2雌型3の開口形成部35に対応し、雄先端42に当接する。雌型6Yの延出形成面64は、第2雌型3の延出形成面34に対応している。このように構成された変形例1に係る成形型1Yによっても、雌型6Y内に親水性モノマーを含む材料を注入した後に雄型4を挿入し、当該材料を共重合反応させることにより、内視鏡用フード50を製造することができる。
【0065】
次いで、
図9に基づいて、変形例2に係る内視鏡用フードの成形型1Zについて説明する。
図9は、上述の実施の形態の説明における
図4に対応する断面であり、
図3に示すA-A線を基準とした変形例2Zにおける断面図である。変形例2に係る成形型1Zは、上述の実施形態1における第2雌型3の第2先端形成面332及び延出形成面34を有しない。変形例2に係る第2雌型3Zの先端形成面33Zは、外面3Bに到達しており、第1雌型2の内面2Aに当接する。このように構成された成形型1Zによって製造された内視鏡用フードは、延出部を備えず、円盤部が内視鏡用フードの先端面を構成する。
【0066】
上述のように、本発明について、上述した実施形態によって説明したが、かかる実施形態における開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。かかる開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0067】
1、1Y、1Z :成形型
2 :第1雌型
2A :内面
23、23Y :収容部
24 :外周形成面
3、3Z :第2雌型
3B :外面
33、33Z :先端形成面
331 :第1先端形成面
332 :第2先端形成面
34 :延出形成面
35 :開口形成部
4 :雄型
43 :対向形成面
431 :第1対向形成面
432 :第2対向形成面
44 :装着形成面
45 :凹部
50 :内視鏡用フード
51 :外装部
52 :円盤部
511 :装着部
512 :延出部
53 :鉗子口(開口)
54 :送水口(開口)
55 :先端面
56 :対向面
6、6Y :雌型
631 :第1先端形成面
632 :第2先端形成面
100 :内視鏡
A :軸方向
S :充填空間
X1 :第1方向
X2 :第2方向