(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】レンズ羽根駆動装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20220809BHJP
G03B 9/02 20210101ALI20220809BHJP
G03B 9/24 20210101ALI20220809BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20220809BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20220809BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G02B7/02 H
G03B9/02 A
G03B9/02 C
G03B9/24
G03B11/00
G02B7/02 E
G03B17/02
H04N5/225 400
H04N5/225 100
(21)【出願番号】P 2018162621
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2017166560
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】下東 裕平
(72)【発明者】
【氏名】色摩 和雄
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
(72)【発明者】
【氏名】今井 謙三
(72)【発明者】
【氏名】渡部 伸昭
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-134159(JP,A)
【文献】特開平08-050323(JP,A)
【文献】特開2017-040814(JP,A)
【文献】特開2007-033699(JP,A)
【文献】特開2017-111193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/18
G03B 9/00-9/54
G03B 11/00-11/06
G03B 17/02
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズ枠と、
前記レンズ枠に一体に結合され、前記レンズを透過する光を制限する羽根を駆動する羽根駆動部と、
前記羽根駆動部を載置する載置面を備えると共に前記レンズ枠と前記羽根駆動部を前記レンズの光軸に沿って移動自在に支持するベース部材とを備え、
一端側が前記羽根駆動部に接続されるフレキシブル配線基板を、折り畳み状態にして前記載置面上に収容し
、
前記ベース部材の載置面には、前記レンズに対向する開口が設けられ、
前記フレキシブル配線基板は、前記開口を避けて二股に分かれて配置されることを特徴とするレンズ羽根駆動装置。
【請求項2】
前記羽根駆動部は、前記レンズ枠の一部を収容する凹部を備え、前記凹部に収容された前記レンズ枠を固定する固定部材を備え、
前記ベース部材と前記固定部材の一方又は両方に、前記フレキシブル配線基板の折り返し部を収容する収容部を設けたことを特徴とする請求項
1記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記載置面の一端側に、前記固定部材を移動自在に片持ち支持する支持部を備え、前記載置面の他端側に、前記フレキシブル配線基板の端部が接続される端子が設けられることを特徴とする請求項
2記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項4】
前記支持部には、前記固定部材に配置されたマグネットに対面して駆動コイルが配置され、前記ベース部材の支持部側には、前記駆動コイルに接続される端子が設けられることを特徴とする請求項
3記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項5】
前記羽根駆動部は、開口を有する薄厚状の突出部を有する羽根収容体を備え、前記レンズ枠は、前記突出部が挿入されるスリット孔を備え、前記羽根収容体の開口が前記レンズの光軸上に配置されることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項6】
前記羽根駆動部には、前記羽根を駆動する電磁アクチュエータが設けられ、前記電磁アクチュエータは前記フレキシブル配線基板に接続されていることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項7】
前記羽根は、前記レンズを通過する光量を調整する絞り羽根であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項8】
前記羽根は、前記レンズを透過する光量を2段階に調整することを特徴とする請求項
7記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項9】
前記羽根は、前記レンズを通過する光を遮断するシャッタ羽根であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項10】
前記羽根は、前記レンズを通過する光を選択的に透過させる光学フィルタであることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項11】
前記フレキシブル配線基板には、前記羽根駆動部への給電経路に接続されるドライバICが搭載されていることを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項12】
前記フレキシブル配線基板には、前記ドライバICと一体又は別体で、前記羽根の動きを検出するホール素子が配備されていることを特徴とする請求項
11記載のレンズ羽根駆動装置。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載のレンズ羽根駆動装置を備えた撮像装置。
【請求項14】
請求項1~
12のいずれか1項に記載のレンズ羽根駆動装置を備えた携帯電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズと羽根を駆動するレンズ羽根駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
絞り羽根を駆動する羽根駆動部をレンズを保持するレンズ枠(レンズバレル)に一体に結合して、レンズ枠をフォーカス駆動する装置(レンズ羽根駆動装置)が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このレンズ羽根駆動装置における羽根駆動部は、電磁アクチュエータが内蔵された枠体から、絞り羽根が収容された地板の一部を突出させて、開口を有する地板の突出部をレンズ枠に設けたスリットに挿入し、地板の開口がレンズの光軸を通るように配置している。羽根駆動部の枠体は、レンズ枠に機械的に結合され、レンズ枠は、レンズの光軸方向に移動自在に外枠に支持されており、レンズ枠の側面に固定されたマグネットとレンズ枠を支持する外枠に設けられる駆動コイルからなるレンズ駆動部によって、羽根駆動部と一体のレンズ枠が光軸方向に沿って移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したレンズ羽根駆動装置は、レンズ枠を移動させる際にレンズ枠に機械的に結合されている羽根駆動部を一体に移動させるため、羽根駆動部への給電は、羽根駆動部の移動に対してフレキシブルに追従できるフレキシブル配線基板(FPC)を介して行われる。
【0006】
このようなレンズ羽根駆動装置では、フレキシブル配線基板の変形抵抗がレンズ枠の移動の妨げになる問題があり、これを避けるためにフレキシブル配線基板の余長を大きくすると、レンズ羽根駆動装置の周囲にフレキシブル配線基板の余長を配置する大きなスペースが必要になる。これに対して、モバイル電子機器などの小型電子機器に装備されるレンズ羽根駆動装置は、設置のために占有できるスペースが厳しく制限されているので、フレキシブル配線基板の余長を収納するスペースをレンズ羽根駆動装置の周囲に確保できない問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、レンズ枠に羽根駆動部を結合して、レンズ枠と羽根駆動部を一体に移動させるレンズ羽根駆動装置において、羽根駆動部への給電を行うフレキシブル配線基板がレンズ枠の移動の妨げになることを抑止すること、レンズ羽根駆動装置の周囲からフレキシブル配線基板の余長収納スペースを省くこと、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
【0010】
レンズを保持するレンズ枠と、前記レンズ枠に一体に結合され、前記レンズを透過する光を制限する羽根を駆動する羽根駆動部と、前記羽根駆動部を載置する載置面を備えると共に前記レンズ枠と前記羽根駆動部を前記レンズの光軸に沿って移動自在に支持するベース部材とを備え、一端側が前記羽根駆動部に接続されるフレキシブル配線基板を、折り畳み状態にして前記載置面上に収容し、前記ベース部材の載置面には、前記レンズに対向する開口が設けられ、前記フレキシブル配線基板は、前記開口を避けて二股に分かれて配置されることを特徴とするレンズ羽根駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の側面図((a)がレンズ枠非動作時を示し、(b)がレンズ枠動作時を示している。)である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置を示した側面図である。
【
図4】フレキシブル配線基板の説明図((a)が背面図、(b)が平面図)である。
【
図5】羽根駆動装置の動作を示す説明図((a)が絞り光量最大時、(b)が絞り光量最小時)である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の分解斜視図(フレキシブル配線基板にホール素子一体のドライバICを配備した例)である。
【
図7】
図6に示したレンズ羽根駆動装置の組立図((a)が平面図であり、(b)(a)におけるA-A断面図である)である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の分解斜視図(フレキシブル配線基板にホール素子とドライバICを配備した例)である。
【
図9】レンズ羽根駆動装置におけるフレキシブル配線基板の他の構成例を示した説明図((a)が平面図であり、(b)が側面図)である。
【
図10】
図9に示したフレキシブル配線基板を備えたレンズ羽根駆動装置の動作を示した説明図((a)が非動作時、(b)が動作時)である。
【
図11】レンズ羽根駆動装置におけるフレキシブル配線基板の他の構成例を示した説明図((a)が平面図であり、(b)が側面図)である。
【
図12】
図11に示したフレキシブル配線基板を備えたレンズ羽根駆動装置の動作を示した説明図((a)が非動作時、(b)が動作時)である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の分解斜視図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の分解斜視図である。
【
図15】レンズ羽根駆動装置におけるフレキシブル配線基板の他の構成例を示した説明図((a)は
図13に示した例、(b)は
図14に示した例)である。
【
図16】
図13又は
図14に示したフレキシブル配線基板を備えたレンズ羽根駆動装置の動作を示した説明図((a)が非動作時、(b)が動作時)である。
【
図17】本発明の他の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置の分解斜視図である。
【
図18】(a)が本発明の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置を備えた撮像装置を示した説明図であり、(b)が本発明の実施形態に係るレンズ羽根駆動装置を備えた携帯電子機器(携帯情報端末)を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、レンズ羽根駆動装置1は、単数又は複数のレンズを保持するレンズ枠2と、羽根駆動部3と、第1ベース部材4と、フレキシブル配線基板5とを備えている。羽根駆動部3は、レンズ枠2に一体に結合され、レンズ枠2に保持されるレンズを透過する光を制限する羽根6,7を駆動する。第1ベース部材4は、羽根駆動部3を載置する載置面4Aを備えると共に、レンズ枠2と羽根駆動部3をレンズ枠2に保持されるレンズの光軸に沿って移動自在に支持している。フレキシブル配線基板5は、一端側が羽根駆動部3に接続されており、羽根駆動部3と重なる部分に設けた余長部を折り畳み状態にして、第1ベース部材4の載置面4A上(すなわち、羽根駆動部3と第1ベース部材4との間で羽根駆動部3に重なる位置)に収容されている。
【0014】
このようなレンズ羽根駆動装置1は、レンズ枠2と羽根駆動部3を一体にして第1ベース部材4に対して移動するに際して、羽根駆動部3への給電を行うフレキシブル配線基板5を羽根部材3に重なる位置に折り畳み状態にして、第1ベース部材4の載置面4A上に収容している。これによって、フレキシブル配線基板5を比較的長くしても、レンズ羽根駆動装置1の周囲にフレキシブル配線基板5の余長収納スペースを設ける必要が無い。
【0015】
レンズ羽根駆動装置1は、レンズ枠2の非動作時には、
図2(a)に示すように、第1ベース部材4の載置面4A上に羽根駆動部3が載置されており、フレキシブル配線基板5は、180°折り畳まれた状態で載置面4A上で第1ベース部材4と羽根駆動部3とに挟まれた状態で収容されている。そして、レンズ枠2の動作時には、
図2(b)に示すように、レンズ枠2の移動に追従して折り畳まれたフレキシブル配線基板5の折り畳み角度が変化する。この際、フレキシブル配線基板5は、折り返し部5Aを湾曲状にすることで、折り畳み角度が変化する際の変形抵抗を小さくしている。これによって、レンズ枠2は、フレキシブル配線基板5の変形抵抗を殆ど受けること無く移動することができ、フレキシブル配線基板5がレンズ枠2の移動の妨げになるのを抑止している。
【0016】
以下、各部の構成を具体的に説明する。
図1に示すように、羽根駆動部3は、第2ベース部材10とカバー11の間に、薄厚状の羽根収容体12,13が配置され、羽根収容体12,13を合わせた間の空間である羽根室14に、2枚の羽根6,7が配置されている。第2ベース部材10には、軸10Aが設けられており、軸10Aにレバー部材15が軸支されている。レバー部材15は、中央に軸10Aが挿通される軸孔15Aを有し、左右の両端にそれぞれ連結部15B,15Cが設けられている。また、レバー部材15における軸孔15Aの左右には、マグネット保持部15D,15Eが設けられ、そのマグネット保持部15D,15Eには、それぞれマグネット16,17が保持されている。
【0017】
第2ベース部材10内で、軸10Aに軸支されるレバー部材15の背面側には、フラットコイル18が配置され、更には、ヨーク19,20が、フラットコイル18と第2ベース部材10との間に配置されている。また、レバー部材15の回転位置を検知する位置センサ(磁気センサ)は、フレキシブル配線基板5に接続されている。
【0018】
第2ベース部材10とカバー11は、レンズ枠2の一部を収容する凹部10S,11Sを備えている。また、羽根駆動部3は、凹部10S,11Sに収容されたレンズ枠2を第2ベース部材10と共に挟持して固定する固定部材21を備えている。
【0019】
羽根収容体12,13は、凹部10S,11S内に突出する突出部12A,13Aを備えており、突出部12A,13Aには、同軸状に配置される開口12B,13Bが設けられている。突出部12A,13Aは、凹部10S,11Sに収容されるレンズ枠2のスリット2Sに挿入され、開口12B,13Bは、レンズ枠2に保持されるレンズの光軸上に配置される。
【0020】
羽根収容体12,13の間の羽根室14に配置される羽根6,7は、開口12B,13Bに重なる絞り開口6A,7Aを備えている。また、羽根6,7には、第2ベース部材10のガイド突起10B,10Cが挿通される長孔状のガイド孔6B,7Bが設けられ、更には、レバー部材15の連結部15B,15Cが連結する連結孔6C,7Cが設けられている。
【0021】
そして、羽根収容体12,13とカバー11には、レバー部材15の連結部15B,15Cの動きを許容する孔部12P,13P,11Pが設けられると共に、第2ベース部材10のガイド突起10B,10Cが挿通される挿通孔12Q,13Q,11Qが設けられている。また、羽根収容体12,13とカバー11には、第2ベース部材10の結合突起10Rが挿通される結合孔12R,13R,11Rが設けられている。
【0022】
第1ベース部材4は、載置面4Aに、レンズ枠2に保持されるレンズに対向する開口4Bが設けられている。また、第1ベース部材4は、載置面4Aの一端側に、前述した固定部材21を移動自在に片持ち支持する支持部4Cを備えている。支持部4Cには、レンズ枠2に保持されるレンズの光軸に沿って延設されるガイド溝4Dが設けられている。また、固定部材21にもそのガイド溝4Dに対向するガイド溝21Aが設けられており、ガイド溝4Dとガイド溝21Aの間にベアリング22が介在することで、固定部材21は支持部4Cに対して移動自在に支持されている。
【0023】
固定部材21にはマグネット23が配置され、支持部4Cには、マグネット23に対面して駆動コイル24が配置されている。このマグネット23と駆動コイル24によって、駆動コイル24への通電でレンズ枠2をレンズの光軸方向に移動させる電磁アクチュエータが構成されている。第1ベース部材4の支持部4C側の端部には、駆動コイル24に接続されるレンズ駆動用端子25が設けられている。なお、図示の例では、固定部材21側にマグネット23を設けて、第1ベース部材4の支持部4C側に駆動コイル24を設けているが、その逆に、固定部材21側に駆動コイル24を設け、第1ベース部材4の支持部4C側にマグネット23を設けても良い。その場合には、フレキシブル配線基板5を介して駆動コイル24への通電がなされる。
【0024】
フレキシブル配線基板5は、前述したように、第1ベース部材4の載置部4A上で折り畳み状態になっており、その一端側が第2ベース部材10内に配置されるフラットコイル18に接続部26を介して接続されている。フラットコイル18は、レバー部材15に保持されるマグネット16,17と共に、羽根6,7を駆動する電磁アクチュエータを構成している。
【0025】
また、フレキシブル配線基板5は、湾曲状に折り返されている折り返し部5Aが、
図2に示すように、固定部材21に設けられる収容部21Bに収容されている。収容部21Bは、折り返し部5Aが湾曲状態を維持した状態で収容されるために設けられる空間であり、
図2に示すように固定部材21側に設けてもよいが、第1ベース部材4側に設けても良い。また、
図3に示すように、固定部材21側に設ける収容部21Bと第1ベース部材4側に設ける収容部4Fを合わせた空間に湾曲状の折り返し部5Aを配置しても良い。
【0026】
このように、フレキシブル配線基板5の折り返し部5Aを第1ベース部材4と固定部材21の間に収容することで、レンズ羽根駆動装置1の周囲からフレキシブル配線基板5の余長収納スペースを省くことができる。また、湾曲した折り返し部5Aを収容するスペースを設けることで、折り返し部5Aの湾曲半径を大きく設定することができ、折り畳み状態のフレキシブル配線基板5の折り畳み角度が変化する際の変形抵抗を極力小さくすることができる。
【0027】
フレキシブル配線基板5は、
図4に示すように、第1ベース部材4の開口4Bを避けて二股に分かれて配置されている。フレキシブル配線基板5は、薄厚の板状体であるが、その一端側の基端部に前述したフラットコイル18が接続部26を介して接続されており、そこから開口4Bを避けるように左右対称に分かれて延設され、左右対称位置に折り返し部5Aを設けて、更に開口4Bを避けて左右対称に延設されて他端側の基端部に至っている。この他端側の基端部には接続端部5Bが設けられており、接続端部5Bは、
図2に示すように、第1ベース部材4の載置面4Aの他端側に設けれる羽根駆動用端子27に接続される。このようにフレキシブル配線基板5を二股状にして、開口4Bの左右対称位置に配置することで、移動するレンズ枠2と羽根駆動部3の姿勢に悪影響を与えること無く、フレキシブル配線基板5を羽根駆動部3に接続することができる。
【0028】
図5は、羽根駆動部3の羽根6,7の動きを示している。羽根6,7は、電磁アクチュエータを構成するフラットコイル18への通電で、レバー部材15に保持されるマグネット16,17に駆動力を付与することで、レバー部材15を軸10A回りに回動させて駆動する。羽根6は、レバー部材15の連結部15Bに連結孔6Cにて連結しており、一軸方向に延設されるガイド孔6Bに第2ベース部材10のガイド突起10Bが挿通されている。また、羽根7は、レバー部材15の連結部15Cに連結孔7Cにて連結しており、一軸方向に延設されるガイド孔7Bに第2ベース部材10のガイド突起10Bが挿通されている。これにより、レバー部材15が軸10A回りに回動することで、羽根6,7は一軸方向に互いに逆向きに摺動することになり、開口12B,13Bに重なる絞り開口6A,7Aの重なり度合いが適宜調整され、開口12B,13Bを透過する光量が調整される。
【0029】
なお、図示の例では、羽根6,7が絞り羽根の例を示しているが、羽根6,7はこれに限らず、レンズを通過する光を遮断するシャッタ羽根や、レンズを通過する光を選択的に透過させる光学フィルタなどであってもよい。その際、羽根の枚数は用途に応じて適宜設定される。
【0030】
図6及び
図7は、前述したレンズ羽根駆動装置1におけるフレキシブル配線基板5にドライバIC30を配備した例を示している。ドライバIC30は、フレキシブル配線基板5において、羽根駆動部3への給電経路に接続されている。ドライバIC30は、
図6に示す例では、マグネット16,17が取り付けられたレバー部材15の動きを検出することで、羽根6,7の動きを検出するホール素子が一体になったものが配備されている。
【0031】
これに対して
図8に示した例は、前述したレンズ羽根駆動装置1におけるフレキシブル配線基板5にドライバIC30とホール素子31がそれぞれ別体で配備されている。ここでも、ドライバIC30とホール素子31は、フレキシブル配線基板5において、羽根駆動部3への給電経路に接続されている。
【0032】
図6~
図7に示すレンズ羽根駆動装置1によると、羽根駆動部3に給電するためのフレキシブル配線基板5にドライバIC30を配備することで、羽根駆動部3内でユニット個々に駆動調整を施し、調整結果をドライバIC30に格納しておくことができるので、レンズ羽根駆動装置1が搭載される撮像装置、或いは撮像装置が搭載される携帯電子機器において、ユニット毎の調整を省くことができる。また、ホール素子31を配備したものでは、レンズ羽根駆動装置1とこれを搭載する撮像装置との接続端子を減らすことが可能になる。
【0033】
図9及び
図10は、レンズ羽根駆動装置1におけるフレキシブル配線基板5の他の構成例を示している。この例では、フレキシブル配線基板5は、接続端部5Bから折り返し部5Aに至る部分が、レンズ枠2を挟む2つの配線経路に分かれており、その部分に平面的な湾曲部5Cが形成されていて、その湾曲部5Cが羽根駆動部3と重なる一つの余長部50になっている。
【0034】
図9に示したフレキシブル配線基板5は、接続端部5Bから2つに分かれた配線経路が、それぞれ複数の湾曲部5Cを介して平面的に折り返し部5Aまで延び、折り返し部5Aで折り返された2つの配線経路が接続部26に至っている。また、羽根駆動部3に接続される接続部26は、屈曲部5Dによってその近傍が屈曲した状態で羽根駆動部3の内部に配置されている。
【0035】
図9に示したフレキシブル配線基板5を備えるレンズ羽根駆動装置1は、レンズ枠2の非動作時には、
図10(a)に示すように、第1ベース部材4の載置面4A上に羽根駆動部3が載置されており、フレキシブル配線基板5は、180°折り畳まれた状態で載置面4A上で第1ベース部材4と羽根駆動部3とに挟まれた状態で羽根駆動部3と重なって収容されている。そして、レンズ枠2の動作時には、
図10(b)に示すように、レンズ枠2の移動に追従して折り畳まれたフレキシブル配線基板5の折り畳み角度が変化する。この際、フレキシブル配線基板5は、折り返し部5Aを湾曲状にすると共に湾曲部5Cを設けることことで、折り畳み角度が変化する際の変形抵抗を小さくしている。これによって、レンズ枠2は、フレキシブル配線基板5の変形抵抗を殆ど受けること無く移動することができ、フレキシブル配線基板5がレンズ枠2の移動の妨げになるのを抑止している。
【0036】
図11及び
図12は、レンズ羽根駆動装置1におけるフレキシブル配線基板5の他の構成例を示している。この例では、
図9及び
図10に示した例と同様に、フレキシブル配線基板5は、接続端部5Bからレンズ枠2を挟む2つの配線経路に分かれており、その部分に平面的な湾曲部5Cが形成されていて、その湾曲部5Cが羽根駆動部3と重なる一つの余長部50になっている。
【0037】
図11に示したフレキシブル配線基板5は、接続端部5Bから2つに分かれた配線経路が、それぞれ複数の湾曲部5Cを介して平面的に屈曲部5D1まで延び、屈曲部5D1で折り曲げられたフレキシブル配線基板5は、屈曲部5D2まで羽根駆動部3の外周に沿って配置され、屈曲部5D2以降は羽根駆動部3の内部に配置され接続部26に至っている。また、羽根駆動部3に接続される接続部26は羽根駆動部3の内部に配置されている。
【0038】
図11に示したフレキシブル配線基板5を備えるレンズ羽根駆動装置1は、レンズ枠2の非動作時には、
図12(a)に示すように、第1ベース部材4の載置面4A上に羽根駆動部3が載置されており、フレキシブル配線基板5は、羽根駆動部3の外周に沿って配置された配線部分が載置面4A上で第1ベース部材4と羽根駆動部3とに挟まれた状態で羽根駆動部3と重なって収容されている。そして、レンズ枠2の動作時には、
図12(b)に示すように、レンズ枠2の移動に追従して羽根駆動部3の外周に沿って配置された配線部分が、羽根駆動部3の外周から離れて屈曲部5D1及び屈曲部5D5間の配線部分の傾斜角度が変化する。この際、フレキシブル配線基板5は、湾曲部5Cと複数の屈曲部5D1~5D5を設けることで、傾斜角度が変化する際の変形抵抗を小さくしている。これによって、レンズ枠2は、フレキシブル配線基板5の変形抵抗を殆ど受けること無く移動することができ、フレキシブル配線基板5がレンズ枠2の移動の妨げになるのを抑止している。
【0039】
図13~
図17に示したレンズ羽根駆動装置1は、羽根(一枚の羽根)6がレンズを通過する光量を2段階に調整するように駆動される例である。この例では、スペーサ32を介して貼り合わせられる羽根収容体12,13の間に形成された羽根室(薄い空間)内に一枚の羽根6が配置されており、羽根6の開口6Aの位置が、羽根収容体12,13の開口12B,13Bと完全に重なる位置と羽根6自体が開口12B,13Bに重ならない位置とで、羽根6が2段階に切り替え動作する。羽根6は、マグネット42を中心に備えるロータリレバー41と、U字状にロータリレバー41を囲むヨーク43と、ヨーク43に巻き回されるコイル44からなる駆動部40によって駆動される。
【0040】
図13及び
図15(a)に示したフレキシブル配線基板5は、接続端部5Bから2つに分かれた配線経路が、それぞれ複数の湾曲部5Cを介して平面的に接続部26まで延びており、これによって羽根駆動部3と重なる位置に余長部50が形成されている。また、
図14及び
図15(b)に示したフレキシブル配線基板5は、接続端部5Bから延びる一つの配線経路が、T字状に2つの配線経路に分かれ、それぞれが湾曲部5Cを介して平面的に接続部26まで延びており、これによって羽根駆動部3と重なる位置に余長部50が形成されている。
【0041】
図13~
図15に示したフレキシブル配線基板5を備えるレンズ羽根駆動装置1は、レンズ枠2の非動作時には、
図16(a)に示すように、第1ベース部材4の載置面4A上に羽根駆動部3が載置されており、フレキシブル配線基板5は、第1ベース部材4と羽根駆動部3との間で羽根駆動部3と重なって収容され、接続端部5B近傍の屈曲部5Dで水平になり、そのまま平面的に延びて接続部26に至っている。そして、レンズ枠2の動作時には、
図16(b)に示すように、レンズ枠2の移動に追従して、湾曲部5Cと屈曲部5Dとの間の配線部分の傾斜角度が変化する。この際、フレキシブル配線基板5は、湾曲部5Cと屈曲部5Dを設けることで、傾斜角度が変化する際の変形抵抗を小さくしている。これによって、レンズ枠2は、フレキシブル配線基板5の変形抵抗を殆ど受けること無く移動することができ、フレキシブル配線基板5がレンズ枠2の移動の妨げになるのを抑止している。
【0042】
図17は、
図13~
図16に示したレンズ羽根駆動装置1におけるフレキシブル配線基板5にドライバIC30を配備した例を示している。ドライバIC30は、フレキシブル配線基板5において、羽根駆動部3への給電経路に接続されている。
図17に示す例では、フレキシブル配線基板5は、一つの湾曲部5Cのみで接続端部5Bから平面的に接続部26に延びている。
【0043】
図17に示すレンズ羽根駆動装置1によると、羽根駆動部3に給電するためのフレキシブル配線基板5にドライバIC30を配備することで、羽根駆動部3内でユニット個々に駆動調整を施し、調整結果をドライバIC30に格納しておくことができるので、レンズ羽根駆動装置1が搭載される撮像装置、或いは撮像装置が搭載される携帯電子機器において、ユニット毎の調整を省くことができる。
【0044】
図18は、(a)において、前述したレンズ羽根駆動装置1を備えた撮像装置(カメラ)100を示し、(b)において、レンズ羽根駆動装置1を具備するカメラユニットを備えた携帯電子機器(携帯情報端末)200を示している。
【0045】
前述したレンズ羽根駆動装置1は、フレキシブル配線基板5の余長部が周囲に配置されないので、設置スペースの制約が高い小型の撮像装置100や携帯電子機器200において、スペース効率良くレンズ羽根駆動装置1を設置することが可能になる。また、フレキシブル配線基板5の変形抵抗を大きく受けること無くレンズ枠2を移動させることができ、フレキシブル配線基板5がレンズ枠2の姿勢に悪影響を及ぼすことも無いので、レンズ枠2と羽根駆動部3とを一体に移動させるレンズ羽根駆動装置1においても、精度の高いオートフォーカス性能を発揮することができる。
【0046】
なお、前述したレンズ駆動用端子25が羽根駆動用端子として用いられ、羽根駆動用端子27がレンズ駆動用端子として用いられても良い。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1:レンズ羽根駆動装置,2:レンズ枠,2S:スリット,
3:羽根駆動部,
4:第1ベース部材,4A:載置面,4B:開口,
4C:支持部,4D:ガイド溝,4F:収容部,
5:フレキシブル配線基板,5A:折り返し部,5B:接続端部,
5C:湾曲部,5D,5D1~5D5:屈曲部,50:余長部,
6,7:羽根,6A,7A:絞り開口,6B,7B:ガイド孔,
6C,7C:連結孔,
10:第2ベース部材,10A:軸,10B,10C:ガイド突起,
10R:結合突起,10S:凹部,
11:カバー,11S:凹部,12,13:羽根収容体,
12A,13A:突出部,12B,13B:開口,
11P,12P,13P:孔部,
11Q,12Q,13Q:挿通孔,
11R,12R,13R:結合孔,
14:羽根室,15:レバー部材,15A:軸孔,15B,15C:連結部,
15D,15E:マグネット保持部,16,17:マグネット,
18:フラットコイル,19,20:ヨーク,
21:固定部材,21A:ガイド溝,21B:収容部,
22:ベアリング,23:マグネット,
24:駆動コイル,25:レンズ駆動用端子,
26:接続部(フレキシブル配線基板),27:羽根駆動用端子,
30:ドライバIC,31:ホール素子,
32:スペーサ,
40:駆動部,41:ロータリレバー,42:マグネット,43:ヨーク,
44:コイル,50:余長部,
100:撮像装置,200:携帯電子機器(携帯情報端末)