(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】流体噴射式織機における緯入れ装置の制御方法及び緯入れ装置
(51)【国際特許分類】
D03D 47/28 20060101AFI20220809BHJP
D03D 47/34 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
D03D47/28
D03D47/34
(21)【出願番号】P 2018199606
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 彦範
(72)【発明者】
【氏名】吉野 外志通
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-038329(JP,A)
【文献】特開2008-019515(JP,A)
【文献】特表平08-504004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D29/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸体と、予め設定された予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留される貯留ドラム及び該貯留ドラムに緯糸を巻き付ける回転ヤーンガイドを含む測長貯留装置と、緯糸を経糸開口内へ向けて射出する緯入れノズルと、前記測長貯留装置の上流側で給糸切れを検知する給糸センサとから成る緯入れ系列を複数備える緯入れ装置であって、同一種類の緯糸である同種緯糸が仕掛けられた緯入れ系列である同種緯入れ系列を2以上含み、2以上の前記同種緯入れ系列が予め設定された選択パターンに従って前記同種緯糸の緯入れを順次交代しながら行うと共に、いずれかの前記同種緯入れ系列で給糸切れが発生した場合にその給糸切れが発生した前記同種緯入れ系列を除外して残りの前記同種緯入れ系列で前記同種緯糸の緯入れを継続し、除外された前記同種緯入れ系列を給糸切れの修復後の復帰釦の操作により復帰させる流体噴射式織機の緯入れ装置において、
前記予備巻量とは異なる任意の巻量である補充巻量を予め定めておき、
前記復帰釦の操作に伴って
開始されると共に貯留ドラムに対し前記補充巻量分の緯糸を巻き付ける巻き付け動作を行い、
前記巻き付け動作を前記貯留ドラムに対する通常の巻き付け態様に対し付加的に行う
ことを特徴とする流体噴射式織機における緯入れ装置の制御方法。
【請求項2】
付加的に行われる前記補充巻量分の緯糸の巻き付け動作が、前記予備巻量に基づく巻き付け動作が行われていないことを条件として行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の流体噴射式織機における緯入れ装置の制御方法。
【請求項3】
給糸体と、予め設定された予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留される貯留ドラム及び該貯留ドラムに緯糸を巻き付ける回転ヤーンガイドを含む測長貯留装置と、緯糸を経糸開口内へ向けて射出する緯入れノズルと、前記測長貯留装置の上流側で給糸切れを検知する給糸センサとから成る複数の緯入れ系列、及び前記回転ヤーンガイドの駆動を制御すると共に前記予備巻量が記憶される制御装置を備える緯入れ装置であって、同一種類の緯糸である同種緯糸が仕掛けられた緯入れ系列である同種緯入れ系列を2以上含み、2以上の前記同種緯入れ系列が予め設定された選択パターンに従って前記同種緯糸の緯入れを順次交代しながら行うと共に、いずれかの同種緯入れ系列で給糸切れが発生した場合にその給糸切れが発生した同種緯入れ系列を除外して残りの前記同種緯入れ系列で前記同種緯糸の緯入れを継続し、除外された同種緯入れ系列を給糸切れの修復後の復帰釦の操作により復帰させる流体噴射式織機の緯入れ装置において、
前記制御装置に備えられる記憶器であって前記予備巻量とは異なる任意の巻量に定められる補充巻量に基づく補充情報が予め設定される記憶器を備え、
前記復帰釦の操作に
伴って発生する復帰信号が前記制御装置に入力された時点から、前記補充巻量分の緯糸の巻き付け動作が前記貯留ドラムに対する通常の巻き付け態様に対し付加的に行われるように前記制御装置が前記回転ヤーンガイドの駆動を制御する
ことを特徴とする流体噴射式織機における緯入れ装置。
【請求項4】
前記制御装置が、前記予備巻量に基づく緯糸の巻き付け動作が行われていないことを条件として、前記補充巻量分の緯糸の巻き付け動作を付加的に行うように前記回転ヤーンガイドの駆動を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の流体噴射式織機における緯入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給糸体と、予め設定された予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留される貯留ドラム及び該貯留ドラムに緯糸を巻き付ける回転ヤーンガイドを含む測長貯留装置と、緯糸を経糸開口内へ向けて射出する緯入れノズルと、測長貯留装置の上流側で給糸切れを検知する給糸センサとから成る緯入れ系列を複数備える緯入れ装置であって、同一種類の緯糸である同種緯糸が仕掛けられた緯入れ系列である同種緯入れ系列を2以上含み、2以上の同種緯入れ系列が予め設定された選択パターンに従って同種緯糸の緯入れを順次交代しながら行うと共に、いずれかの同種緯入れ系列で給糸切れが発生した場合にその給糸切れが発生した同種緯入れ系列を除外して残りの同種緯入れ系列で同種緯糸の緯入れを継続し、除外された同種緯入れ系列を給糸切れの修復後の復帰釦の操作により復帰させる流体噴射式織機の緯入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような緯入れ装置として、例えば、特許文献1に開示された緯入れ装置がある。詳しくは、その緯入れ装置は、給糸体、測長貯留装置、緯入れノズル、及び給糸センサを有する緯糸供給系列(本発明で言う緯入れ系列)であって、仕掛けられた緯糸の緯入れにおいて協働する緯糸供給系列を3以上備えている。また、その緯入れ装置では、その3以上の緯糸供給系列のうちの2以上の緯糸供給系列に対し同一種類の緯糸(同種緯糸)が仕掛けられている。そして、その緯入れ装置では、その同種緯糸が仕掛けられた緯糸供給系列(本発明で言う同種緯入れ系列。以下、そのように言い換える。)によってその同種緯糸の緯入れが行われる。具体的には、予め設定された選択パターンに従ってその2以上の同種緯入れ系列に順次緯入れ動作を行わせることで、その同種緯糸の緯入れが行われる。
【0003】
その上で、その緯入れ装置では、いずれかの同種緯入れ系列において給糸切れが発生した場合、それを検知する給糸センサからの信号に基づき、その給糸切れが発生した同種緯入れ系列が前記の選択パターンから除外され、残りの同種緯入れ系列によってその同種緯糸の緯入れが継続されるようになっている。したがって、その緯入れ装置では、いずれかの同種緯入れ系列において給糸切れが発生した場合でも、織機を停止させることなく製織が継続される。また、その給糸切れが発生した同種緯入れ系列において給糸切れの修復が行われた後、復帰手段としての押し釦(本発明で言う復帰釦)が操作されることで、その除外されていた同種緯入れ系列が緯入れに復帰した状態となる。
【0004】
因みに、織機において一般的には、測長貯留装置における貯留ドラムには、予め設定された予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留されている。その予備巻量分の緯糸は、製織開始前において、その予備巻量の設定値に従い、回転ヤーンガイドによって貯留ドラムに対し巻き付けられる。また、製織中においては、緯入れに伴って貯留ドラム上から解舒される巻量分の緯糸が、その緯入れに応じて回転ヤーンガイドによって貯留ドラム上に巻き付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記したようなかたちで同種緯入れ系列を復帰させた場合には、その同種緯入れ系列での緯入れにおいて、緯入れ不良が発生するといった問題が生じる場合がある。
【0007】
詳しくは、前記した給糸切れが発生すると、当然ながら、その切断端よりも測長貯留装置側の緯糸以上の緯糸が貯留ドラムに対して供給されない状態となる。言い換えれば、貯留ドラムに対し巻き付けようとしていた長さ分の緯糸が供給されない状態となる。
【0008】
なお、給糸切れが検知されると、前記のように同種緯入れ系列は緯入れから除外されるが、その除外に伴い、測長貯留装置においては、回転ヤーンガイドを停止させる制御が行われる。しかし、回転ヤーンガイドは、緯糸の巻き付け時において高速で回転駆動されているため、給糸切れが検知されても直ぐには停止せず、ある程度の惰性回転を経て停止した状態となる。そして、その回転ヤーンガイドの惰性回転による貯留ドラムへの緯糸の巻き付け動作により、切断端までの緯糸が全て貯留ドラム上に巻き付けられ、その切断端が貯留ドラム上に位置した状態となる。
【0009】
さらに、測長貯留装置は、回転ヤーンガイドの回転に伴い、緯糸を貯留ドラム上に巻き付けるのに加え、その巻き付けられた緯糸を係止ピン側へ送るように構成されている。そして、前記した回転ヤーンガイドの惰性回転は、切断端までの緯糸が全て貯留ドラム上に巻き付けられた後も続くため、最終的に回転ヤーンガイドが停止した状態では、貯留ドラム上においては、最後に巻き付けられた緯糸(最も後側に位置する緯糸)が、回転ヤーンガイドによる巻き付け位置よりも係止ピン側(前側)へ離間した位置に位置する状態となる。
【0010】
なお、その貯留ドラム上の緯糸は、前記した予備巻量に対し巻量が不足した状態となっている。また、給糸センサの構成(形式)によっては、給糸切れが発生してからそれが検知されるまでに時間差が生じる場合がある。そして、その検知されるまでの間に新たな緯入れが行われると、貯留ドラム上における予備巻量に対し不足する巻量は、1回の緯入れ分よりも多い量となる。
【0011】
その上で、その給糸切れが修復された後に前記のようにその除外されていた同種緯入れ系列を緯入れに復帰させることが行われるが、その修復について、特許文献1には開示されていないが、その修復は、従来において一般的には、貯留ドラム上にある緯糸の切断端に対し給糸体から引き出された緯糸の先端を結ぶのみとされている。より詳しくは、その修復時点において貯留ドラム上には、前記のように予備巻量に対しては不足しているものの緯糸は残っており、そのまま緯入れを継続することが可能である。そのため、従来においてその修復は、給糸体から引き出された緯糸を回転ヤーンガイド内に通し直し、その先端を貯留ドラム上の緯糸の切断端に結ぶのみとされている。
【0012】
しかし、その場合、前記のように修復前に貯留ドラム上で最も後側に位置する緯糸が回転ヤーンガイドによる緯糸の巻き付け位置よりも前側へ離間した位置に位置しているため、復帰後に新たに緯糸が巻き付けられると、貯留ドラム上においては、修復前に貯留ドラム上に巻き付けられていた緯糸(以下、「前側巻糸」とも言う。)とその新たに巻き付けられた緯糸(以下、「後側巻糸」とも言う。)との間に、前記した不足分に応じた間隔が生じた状態となる。
【0013】
そして、そのように間隔が生じた状態で緯入れが継続されると、測長貯留装置は、前側巻糸における緯糸が全て解舒された時点では、貯留ドラム上に後側巻糸のみが存在する状態、すなわち、貯留ドラム上において巻き付けられている緯糸が主として係止ピンの位置よりも後側へ離間した位置に存在するような状態となる。そのため、通常の状態では緯入れ時において貯留ドラム上の係止ピン付近から緯糸が解舒されるのに対し、貯留ドラム上において緯糸の位置が前記のような状態となっていると、その緯入れ時においては、係止ピンの位置よりも後方に離間した位置から緯糸が解舒されることとなる。その場合、緯糸に掛かる解舒抵抗が大きくなり、その結果として、緯糸の飛走がその大きな解舒抵抗の影響を受け、緯入れ不良が発生するといった問題が生じる虞がある。
【0014】
そこで、本発明は、前記のように給糸切れ後に除外された同種緯入れ系列を給糸切れの修復後に復帰させる場合に、前記した緯糸に掛かる解舒抵抗が大きくなるのを防止し、延いては、前記した緯入れ不良の発生を防止する流体噴射式織機における緯入れ装置の制御方法及びその制御方法を実現し得る緯入れ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記のように、給糸体と、予め設定された予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留される貯留ドラム及び該貯留ドラムに緯糸を巻き付ける回転ヤーンガイドを含む測長貯留装置と、緯糸を経糸開口内へ向けて射出する緯入れノズルと、測長貯留装置の上流側で給糸切れを検知する給糸センサとから成る緯入れ系列を複数備えた緯入れ装置に関する。但し、その緯入れ装置は、同一種類の緯糸である同種緯糸が仕掛けられた緯入れ系列である同種緯入れ系列を2以上含み、2以上の同種緯入れ系列が予め設定された選択パターンに従って同種緯糸の緯入れを順次交代しながら行うと共に、いずれかの同種緯入れ系列で給糸切れが発生した場合にその給糸切れが発生した同種緯入れ系列を除外して残りの同種緯入れ系列で同種緯糸の緯入れを継続し、除外された同種緯入れ系列を給糸切れの修復後の復帰釦の操作により復帰させるように構成されている。
【0016】
その上で、本発明による緯入れ装置の制御方法は、前記のような緯入れ装置を前提とし、予備巻量とは異なる任意の巻量である補充巻量を予め定めておき、復帰釦の操作に伴って開始されると共に貯留ドラムに対し補充巻量分の緯糸を巻き付ける巻き付け動作を行い、巻き付け動作を貯留ドラムに対する通常の巻き付け態様に対し付加的に行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による緯入れ装置においては、その前提とする緯入れ装置は、前記に加え回転ヤーンガイドの駆動を制御すると共に予備巻量が記憶される制御装置を備えるように構成されている。その上で、本発明による緯入れ装置は、その前提とする緯入れ装置において、制御装置に備えられる記憶器であって予備巻量とは異なる任意の巻量に定められる補充巻量に基づく補充情報が予め設定される記憶器を備え、復帰釦の操作に伴って発生する復帰信号が前記制御装置に入力された時点から、補充巻量分の緯糸の巻き付け動作が貯留ドラムに対する通常の巻き付け態様に対し付加的に行われるように制御装置が回転ヤーンガイドの駆動を制御することを特徴とする。
【0018】
なお、前記した「補充情報」とは、前記のように定められる補充巻量そのもの、あるいはその補充巻量に基づいて算出される巻量に関する設定値を指す。また、「通常の巻き付け態様」とは、復帰釦の操作時点での回転ヤーンガイドの駆動状態に応じた回転ヤーンガイドによる緯糸の巻き付けの状態を言う。但し、回転ヤーンガイドの駆動は、回転ヤーンガイドを連続的に回転させる(回転ヤーンガイドが常時回転する)ように行われるのには限らず、その測長貯留装置が属する緯入れ系列がどのように選択されるかによっては、回転ヤーンガイドを間欠的に回転させるように行われる場合もある。したがって、前記した通常の巻き付け態様は、復帰釦の操作時点において回転ヤーンガイドが回転していない状態、すなわち、回転ヤーンガイドによる緯糸の巻き付けが行われていない状態も含む。
【0019】
また、本発明において、前記制御方法は、前記付加的に行われる補充巻量分の巻き付け動作が、予備巻量に基づく巻き付け動作が行われていないことを条件として行われるようにしても良く、また、その緯入れ装置は、前記条件に基づいてその巻き付け動作が行われるように構成されても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明による緯入れ装置の制御方法及び緯入れ装置によれば、除外された同種緯入れ系列を復帰させるべく復帰釦が操作されると、予め定められた補充巻量分の緯糸の貯留ドラムに対する巻き付けが(その操作時点における)通常の巻き付け態様に加えて行われるように、回転ヤーンガイドの駆動が制御される。それにより、同種緯入れ系列の復帰後において貯留ドラムに対し新たに巻き付けられた緯糸(後側巻糸)は、その緯糸が緯入れされる時点において従来よりも係止ピン側に近い位置に位置した状態となる。したがって、その緯入れにおいて緯糸に掛かる解舒抵抗が従来よりも小さくなり、緯入れ不良の発生を未然に防止することができる。
【0021】
より詳しくは、復帰釦が操作されると、その操作時点での通常の巻き付け態様に加えて補充巻量分の緯糸が貯留ドラム上に巻き付けられた状態となるように、回転ヤーンガイドが駆動される。なお、その通常の巻き付け態様は前述のように回転ヤーンガイドによる緯糸の巻き付けが行われていない状態も含んでおり、その場合には、補充巻量分の緯糸の巻き付けのみが行われるように回転ヤーンガイドが駆動される。そして、その回転ヤーンガイドの駆動に伴い、後側巻糸が前側に送られる量は、従来の場合(回転ヤーンガイドの駆動が通常の巻き付け態様に応じたものである場合)と比べて大きくなる。
【0022】
したがって、前記のように後側巻糸は復帰前に貯留ドラム上に巻き付けられていた緯糸(前側巻糸)に対し間隔を置いた状態で貯留ドラム上に巻き付けられるが、その前側巻糸における緯糸が全て緯入れされる間に後側巻糸が貯留ドラム上で前側へ移動する移動量が前記従来の場合と比べて大きくなり、前側巻糸における緯糸が全て緯入れされた時点での後側巻糸の位置は、前記従来の場合と比べて係止ピン側となる。なお、前記のような回転ヤーンガイドの駆動に伴って前側巻糸もそれに応じて送られるが、前側巻糸の前端の位置は係止ピンによって規制されているため、その前側巻糸については、その巻糸間の間隔が小さくなるかたちで後端側の位置が移動し、その移動によっては後側巻糸との間隔が小さくなる。そして、前記のように後側巻糸が前記従来の場合と比べて係止ピン側で解舒される結果として、その緯糸に掛かる解舒抵抗が従来よりも小さくなるため、緯入れ不良の発生を未然に防止することができる。
【0023】
さらに、本発明において、前記したように行われる補充巻量分の緯糸の巻き付けが、予備巻量に基づく巻き付け動作が行われていないことを条件として行われるものとした場合には、貯留ドラム上に過剰な巻量の緯糸が巻き付けられた状態となることが防止される。
【0024】
詳しくは、一般的な流体噴射式織機において、貯留ドラム上に残っている緯糸を全て排出した上で、予備巻量分の緯糸を貯留ドラム上に新たに巻き直す(予備巻をし直す)といったことが行われる場合があり、織機にはそのような機能が備えられている。但し、その予備巻をし直す操作(再予備巻操作)は、織機が停止状態にある場合にのみ行うことが可能である。何故なら、その再予備巻操作は緯入れノズルに対し緯糸を通し直す作業を伴うが、稼働中の織機においてそのような作業を行うのは、困難であると共に製織に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0025】
ところで、前述のように同種緯入れ系列が除外された状態での織機の稼働状態において、製織不良(緯入れミス、経糸切れ等)が発生した場合には、その同種緯入れ系列が除外された状態で製織が停止される。なお、その製織不良が修復された後に織機が再起動されるが、織機は、除外された同種緯入れ系列については、前記のように復帰釦が操作されない限りは緯入れに復帰しないように構成されている。
【0026】
その上で、前記した同種緯入れ系列が除外された状態での織機の停止時において、前記のように織機の停止状態では再予備巻操作が可能であることから、作業者がその除外された同種緯入れ系列に対し再予備巻操作を行う場合がある。その場合、その除外された同種緯入れ系列は、織機が再起動される時点において、貯留ドラム上に予備巻量に応じた巻量の緯糸が巻かれた状態となる。そして、その状態において織機が再起動され、その後に作業者による復帰釦の操作が行われた場合において、補充巻量分の緯糸の巻き付けが付加的に行われると、貯留ドラム上にその補充巻量分の緯糸が過剰に巻き付けられた状態となる。なお、そのように緯糸が過剰に巻き付けられた状態は、その巻き付けられた緯糸の種類等によっては好ましくない場合がある。
【0027】
そこで、本発明において、前記したように復帰釦の操作に伴って行われる補充巻量分の緯糸の巻き付けが、前記した再予備巻操作が行われていないことを条件として行われるものとすれば、再予備巻操作が行われていない場合にのみ補充巻量分の緯糸の巻き付けが行われることとなる。その結果として、貯留ドラム上に過剰な巻量の緯糸が巻き付けられた状態となることが常に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例における緯入れ装置の装置部分を示す。
【
図2】実施例における緯入れ装置を制御ブロック図のかたちで示す。
【
図3】実施例における緯入れ装置を制御ブロック図のかたちで示す。
【
図4】給糸切れの修復時における入力設定器の表示画面を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、
図1~
図4に基づき、本発明の一実施例について説明する。
【0030】
図1は、本発明が適用される流体噴射式織機の1つである空気噴射式織機における緯入れ装置の一例としての緯入れ装置1について、その装置部分の主体的な部分を示している。なお、本発明の緯入れ装置は、複数の緯入れ系列を備えたものを前提としている。その上で、本実施例の緯入れ装置1は、その複数の緯入れ系列として6組の緯入れ系列(L1~L6)を備えている。但し、
図1は、その緯入れ装置1を側方から視た図面である。また、緯入れ装置1は、側方から見て、その6組の緯入れ系列L1~L6が手前側と奥側とに3組ずつに分けて配置された構成となっている。そのため、
図1では、手前側の3組の緯入れ系列L1~L3のみが示されている。
【0031】
各緯入れ系列は、図示しない給糸スタンドのペッグに架装される給糸体2と、給糸体2の下流側に設けられた測長貯留装置4と、給糸体2と測長貯留装置4との間に備えられると共にその間での給糸切れを検知する給糸センサ3と、測長貯留装置4の下流側に配設される緯入れノズル5とを備える。また、緯入れノズル5は、図示の例では、測長貯留装置4の下流側に配設される補助メインノズル5aと、補助メインノズル5aの下流側に配設されるメインノズル5bとで構成されている。そして、メインノズル5bは、その先端が経糸開口Sを指向する向きで設けられている。
【0032】
測長貯留装置4は、緯糸が巻き付けられて貯留される貯留ドラム41と、パイプ状に形成されて給糸体2からの緯糸が挿通されると共に貯留ドラム41の上流側に備えられて下流側の端部が貯留ドラム41の外周面と対向する回転ヤーンガイド42と、回転ヤーンガイド42を回転駆動するフィーダモータMと、貯留ドラム41の先端側の部分に対向して設けられると共にソレノイドによって貯留ドラム41に対し進退駆動される係止ピン44とを有している。なお、その測長貯留装置4は、製織の開始時においては、予め設定された予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留ドラム41に巻き付けられた(貯留された)状態とされる。また、測長貯留装置4は、その係止ピン44が進退駆動されることで、貯留ドラム41の緯糸を解舒可能な状態と解舒不能な状態とに切り替えられる。
【0033】
図2、
図3は、本実施例の緯入れ装置1を制御ブロック図のかたちで示したものである。図示のように緯入れ装置1は、前記した装置部分の構成に加え、本発明の制御装置としての緯入れ制御装置10と、緯入れ制御装置10に接続された入力設定器20とを備えている。また、緯入れ制御装置10は、入力設定器20に接続された主制御器14と、主制御器14に接続された記憶器12とを備えている。そして、緯入れ制御装置10は、入力設定器20により入力された緯入れパターン等の設定情報を主制御器14を介して記憶器12において記憶するように構成されている。因みに、入力設定器20は、例えば、表示器(図示略)を備え、その表示器上に表示する表示画面を操作することにより設定値等の入力が可能なタッチパネル式のものである。
【0034】
また、緯入れ制御装置10は、緯入れ系列毎に設けられた給糸センサ3、フィーダモータM、係止ピン44のソレノイド、及び電磁開閉弁のそれぞれに対し接続されている。なお、これらのうちの電磁開閉弁は、エア供給源(図示略)と補助メインノズル5a及びメインノズル5bとを繋ぐ各管路中に設けられた電磁開閉弁である。そして、緯入れ制御装置10は、各緯入れ系列での緯入れにおいて、その緯入れ系列における各装置の動作を制御する。
【0035】
さらに、緯入れ制御装置10は、緯入れ系列毎のフィーダモータM(Ma~Mf)に対し1対1の関係で設けられると共に主制御器14に対し接続された駆動手段18(18a~18f)も備えている。なお、その駆動手段18は、フィーダモータMの駆動を制御するためのものである。そして、駆動手段18は、主制御器14から入力される駆動指令信号であって目標とする回転ヤーンガイド42の回転速度に応じた駆動指令信号に基づき、対応するフィーダモータMの駆動を制御する。それにより、回転ヤーンガイド42は、その目標とする回転速度で回転した状態(駆動が制御された状態)とされる。
【0036】
その上で、本実施例では、緯入れ制御装置10は、各緯入れ系列において、その緯入れ系列で緯入れが行われてから次にその緯入れ系列で緯入れが行われるまでの期間(待機期間)で1回の緯入れ分の巻量の緯糸が貯留ドラム41に対し巻き付けられるような態様(本発明で言う「通常の巻き付け態様」)で回転ヤーンガイドが回転駆動されるように、フィーダモータMの駆動を制御している。すなわち、緯入れ制御装置10は、基本的には、前記の待機期間と1回の緯入れ分の巻量とから求められる回転速度で、製織中において回転ヤーンガイド42が常に回転駆動されるようにフィーダモータMの駆動を制御している。例えば、1回の緯入れに4ターン分の巻量の緯糸が用いられると共に前記の待機期間が織機のNサイクルであるとしてその時間がn(min)であるとすると、前記の待機期間に回転ヤーンガイド42が4回転されることから、その回転速度は、4/n(rpm)となる。
【0037】
なお、本実施例では、製織が、第1緯糸C1、第2緯糸C2及び第3緯糸C3の3種類の緯糸を使用して行われるものとする。そして、前記した6組の緯入れ系列L1~L6に対しその3種類の緯糸C1、C2、C3が仕掛けられるが、その仕掛け方は、各緯糸が2組ずつの緯入れ系列に仕掛けられるかたちとなっている。具体的には、第1緯糸C1が第1、第2緯入れ系列L1、L2に、第2緯糸C2が第3、第4緯入れ系列L3、L4に、第3緯糸C3が第5、第6緯入れ系列L5、L6にそれぞれ仕掛けられている。このように、本実施例では、2つずつの緯入れ系列が同一種類の緯糸を仕掛けられるかたちでグループ化され、その2つの緯入れ系列で1つの緯入れグループを構成している。
【0038】
その上で、その製織のための緯入れは、C1→C2→C3の順序で緯糸が緯入れされるように設定された緯入れパターンに従って行われる。但し、各緯糸C1、C2、C3の緯入れは、前記した緯入れグループ毎に2つの緯入れ系列を交互に動作させるかたちで行われる。
【0039】
そこで、緯入れ制御装置10における記憶器12には、前記した設定情報として、各緯糸C1、C2、C3と緯入れ系列との対応関係に関する情報、及び前記した緯入れパターンが記憶される。さらに、記憶器12には、同じく設定情報として、前記した各緯入れグループにおける緯入れ系列の選択順序に関する情報(選択情報)が記憶される。なお、その選択情報は、例えば第1緯糸C1に関しては、第1緯入れ系列L1→第2緯入れ系列L2→第1緯入れ系列L1→・・・の順番で交互に第1緯糸C1の緯入れが行われるように設定される。
【0040】
以上で説明した緯入れ装置1では、製織(織機の運転)が開始されると、緯入れ制御装置10は、記憶器12から読み出した緯入れパターンに基づき、次に緯入れすべき緯糸(選択緯糸)を把握する。そして、緯入れ制御装置10は、その選択緯糸が仕掛けられた緯入れグループの選択情報に基づき、緯入れ動作を行う緯入れ系列を選択する。その上で、緯入れ制御装置10は、その選択した緯入れ系列における各装置の動作を制御し、その緯入れ系列に選択緯糸の緯入れを実行させる。なお、その緯入れは、主軸を駆動するメインモータMsに接続されるエンコーダENからの主軸角度情報に基づき、選択した緯入れ系列の電磁開閉弁を予め設定された緯入れ期間に亘って駆動し、補助メインノズル5a及びメインノズル5bからのエア噴射を制御するかたちで行われる。
【0041】
また、本発明は、製織中にいずれかの緯入れ系列で給糸切れが発生した場合に、織機を停止させることなく、その緯糸の緯入れグループにおける給糸切れが発生していない緯入れ系列でその緯糸の緯入れを継続するように緯入れ装置が構成されていることを前提としている。したがって、本実施例の場合、例えば第1緯糸C1が仕掛けられた第1緯入れ系列L1、第2緯入れ系列L2で構成された緯入れグループにおいて、そのうちの第2緯入れ系列L2で給糸切れが発生した場合には、以後の第1緯糸C1の緯入れは、第1緯入れ系列L1のみで継続される。
【0042】
なお、前記のように第2緯入れ系列L2で給糸切れが発生すると、第2緯入れ系列L2の給糸センサ3がその給糸切れの発生を検知して緯入れ制御装置10に対し給糸異常信号を出力する。そして、緯入れ制御装置10は、その給糸異常信号が入力されるのに伴って、第1緯糸C1が仕掛けられた緯入れグループから第2緯入れ系列L2を除外する。その上で、緯入れ制御装置10は、以後の第1緯糸C1の緯入れにおいて、前記のような選択情報に従った緯入れ系列の選択を行うのではなく、第2緯入れ系列L2が選択されないような制御を行う。
【0043】
その後、その第2緯入れ系列L2を第1緯糸C1の緯入れグループに復帰させるべく、その復帰作業が作業者により行われる。以下では、その復帰作業の手順について説明する。なお、
図4は、緯入れグループから除外された緯入れ系列を再び緯入れグループに復帰させる際に、入力設定器20の表示器上に表示させる表示画面(操作画面22)を示している。その操作画面22には、6つの緯入れ系列のそれぞれに対応するかたちで1~6の番号が付された円形の表示(円形表示)R1~R6が含まれている。そして、その各円形表示は、その番号に対応する緯入れ系列が正常な状態である場合には点灯状態となっており、一方で、給糸切れが発生した場合(その緯入れ系列が除外された場合)には点滅状態となる。したがって、前記のように第2緯入れ系列L2で給糸切れが発生した場合では、操作画面22においては、第2緯入れ系列L2に対応する円形表示R2が、点灯状態から点滅状態に変更される。
【0044】
そして、その除外された第2緯入れ系列L2の復帰作業として、先ず、作業者は、その第2緯入れ系列L2の測長貯留装置4において、その給糸切れの修復を行う。そして、その給糸切れの修復の完了後、作業者は操作画面22において点滅状態となっている第2緯入れ系列L2に対応する円形表示R2をタッチし、第2緯入れ系列L2が入力設定器20において選択された状態とする。
【0045】
なお、操作画面22には、そのように選択された緯入れ系列を緯入れグループに復帰させるための除外系列復帰釦24が含まれている。そこで、作業者は、前記のように第2緯入れ系列L2を選択された状態とした上で、その選択した緯入れ系列を緯入れグループに復帰させるべく除外系列復帰釦24を操作(タッチ)する。それにより、入力設定器20から緯入れ制御装置10(主制御器14)に対し、第2緯入れ系列L2を第1緯糸C1の緯入れグループに復帰させるための復帰信号が出力される。
【0046】
その復帰信号が入力されると、緯入れ制御装置10は、その復帰信号が入力された時点以降における第1緯糸C1の緯入れの制御を、前記した選択情報に従った緯入れ系列の選択に基づいて行われるような制御(第2緯入れ系列L2が除外される前の制御)に戻す。その結果として、第2緯入れ系列L2は、第1緯糸C1の緯入れグループに復帰した状態となる。
【0047】
因みに、緯入れ制御装置10は、その復帰信号が入力されると、操作画面22における第2緯入れ系列L2に対応する円形表示R2を点滅状態から点灯状態に変更する。そして、その円形表示R2が点灯状態となっていることを作業者が確認したことをもって、第2の緯入れ系列L2の復帰作業が完了する。
【0048】
ここで、緯入れ制御装置10は、前記したように製織中において回転ヤーンガイド42が常に回転駆動されるようにフィーダモータMの駆動を制御するように構成されている。したがって、前記のように除外された緯入れ系列を緯入れグループに復帰させる、すなわち、前記のように除外系列復帰釦24が操作されると、緯入れ制御装置10は、その復帰信号が入力された時点からフィーダモータMの駆動の制御を開始する。つまり、本実施例では、前記のように除外系列復帰釦24の操作が行われた時点から回転ヤーンガイド42による緯糸の巻き付け動作が開始される。そして、回転ヤーンガイド42は、所望の巻き付け態様で緯糸が貯留ドラム41に巻き付けられるように、その回転(駆動)が制御される。なお、その回転ヤーンガイド42の駆動はフィーダモータMの駆動を制御する結果として制御されるものであることから、以下の説明では、フィーダモータMの駆動の制御及び回転ヤーンガイド42の駆動の制御を、区別すること無く総称して「回転駆動制御」と言う。
【0049】
以上で説明した緯入れ装置において、本発明は、除外されていた緯入れ系列が復帰した時点からの前記回転駆動制御に関し、前記した通常の巻き付け態様で巻き付けられる緯糸に加え、予め定められる巻量(補充巻量)分の緯糸が巻き付けられるように、前記した除外系列復帰釦24が操作された時点からのその前記回転駆動制御を、通常の制御とは異なる制御(補充制御)とするものである。なお、その補充巻量は、前記した予備巻量とは異なる任意の巻量であるが、給糸切れ発生時の回転ヤーンガイド42の動作等を踏まえると、3回の緯入れ分の巻量を上限とした巻量とされる。その上で、本実施例では、その補充巻量は、前記した1回の緯入れにおいて緯入れされる長さに応じた巻量(4ターン)に定められているものとする。
【0050】
さらに、その補充巻量分の緯糸の巻き付けは、予め定められた期間(補充期間)で行われる。但し、その補充期間は、除外されていた緯入れ系列の復帰時点を起点として定められると共に、その復帰後に巻かれた緯糸が貯留ドラム41から解舒され始める時点以前に終点が定められた期間とされる。その上で、本実施例では、その補充期間は、前記した待機期間と同じ長さの期間に定められているものとする。なお、その補充巻量及び補充期間は、入力設定器20において入力設定されることで、緯入れ制御装置10における記憶器12において記憶される。このように本実施例では、その補充巻量が本発明で言う補充情報として設定されて記憶器12に記憶されている。
【0051】
また、本実施例では、緯入れ制御装置10における主制御器14は、前記した除外系列復帰釦24の操作に伴って前記の補充制御を行うかどうかを判別するために用いられる判別器16を含んでいる。すなわち、緯入れ制御装置10は、その判別器16を含むことにより、所定の条件を満たした場合にのみその補充制御を行うように構成されている。詳しくは、次の通りである。
【0052】
前述のように、除外された緯入れ系列が緯入れグループに復帰していない状態において製織不良の発生等により織機が停止した場合、作業者によっては、その除外された緯入れ系列に対し予備巻をし直す場合がある。その場合、その除外された緯入れ系列は、予備巻量に応じた巻量の緯糸が貯留ドラム41上に存在する(貯留された)状態となる。そのため、除外系列復帰釦24の操作に伴って無条件に前記の補充制御が行われるように緯入れ装置が構成されていると、前記のような場合には、除外されていた緯入れ系列は、その復帰に伴って貯留ドラム41上に過剰な緯糸が巻き付けられた状態となる。そこで、本実施例においては、緯入れ制御装置10は、除外された緯入れ系列において予備巻がなされていないことを前記の所定の条件として判別を行い、その条件を満たすと判別された場合にのみ前記の補充制御を行うように構成されている。それにより、緯入れ制御装置10は、貯留ドラム41上に過剰な緯糸が巻き付けられるのを防止するものとなっている。
【0053】
そのために、主制御器14は、その判別を実現するための判別器16を含んでいる。また、主制御器14は、除外された緯入れ系列が緯入れグループに復帰していない状態において前記のように予備巻がし直された場合に、すなわち、前記の条件を満たしていないと判別した場合に、前記の補充制御を不選択とするフラグ(不選択フラグ)を判別器16にセットするように構成されている。具体的には、主制御器14は、入力設定器20から予備巻を行うための予備巻信号が入力されるのに伴い、判別器16において前記の不選択フラグをセットするように構成されている。
【0054】
その上で、主制御器14は、前記のように復帰信号が入力されると、その判別器16において前記の不選択フラグがセットされているかどうかを判別するように構成されている。そして、主制御器14は、その判別結果に応じて、前記回転駆動制御を、前記の補充制御、もしくは、本来の通常の巻き付け態様で回転ヤーンガイド42が回転駆動されるような制御(通常制御)とするように構成されている。
【0055】
以上のような緯入れ制御装置10を備えた緯入れ装置において、前記した除外系列復帰釦24の操作に伴う前記回転駆動制御は、以下のように行われる。
【0056】
前述のように、除外された緯入れ系列を復帰させるべく除外系列復帰釦24が操作されると、入力設定器20から主制御器14に対し復帰信号が出力される。そして、主制御器14は、その復帰信号の入力に伴って、前記のように緯入れ系列を緯入れグループに復帰させる。
【0057】
ところで、前述のようにその緯入れ系列が除外されている状態で織機が停止した場合においてその除外された緯入れ系列に対して予備巻をし直す場合、入力設定器20における予備巻釦(図示略)が作業者により操作され、それに伴って入力設定器20から主制御器14に対し予備巻信号が出力される。そして、主制御器14は、その予備巻信号が入力されると、その緯入れ系列において予備巻をし直すように回転ヤーンガイド42を駆動すべく、駆動手段18に対し駆動指令信号を出力する。それにより、駆動手段18は、その駆動指令信号に基づいて回転ヤーンガイド42の駆動を制御する。また、主制御器14は、前記の予備巻信号が入力された場合には、判別器16において前記の不選択フラグをセットする。一方で、その予備巻がし直されない場合には、判別器16は、その不選択フラグがセットされていない状態のままとなる。
【0058】
そこで、主制御器14は、前記のように入力設定器20から出力される復帰信号が入力されると、判別器16に前記の不選択フラグがセットされているかどうかを判別する。そして、その不選択フラグがセットされていると判別された場合(予備巻がし直された場合)には、主制御器14は、復帰させる緯入れ系列における前記回転駆動制御を前記した通常制御で行わせるべくその通常制御に応じた駆動指令信号を駆動手段18に対して出力する。それにより、駆動手段18は、その駆動指令信号に基づいて、回転ヤーンガイド42の駆動を通常制御で制御する。なお、その場合、その緯入れ系列の復帰後において、回転ヤーンガイド42は、前記した通常の巻き付け態様(前記の待機期間で4回転するような回転速度(4/n(rpm)))で回転駆動される。
【0059】
一方、前記の不選択フラグがセットされていないと判別された場合(予備巻がし直されていない場合)には、主制御器14は、前記回転駆動制御を前記した補充制御で行わせるべくその通常制御に応じた駆動指令信号を駆動手段18に対して出力する。
【0060】
詳しくは、主制御器14は、前記の不選択フラグがセットされていないと判別した場合には、前記した補充巻量及び補充期間に基づき、通常制御で巻き付けられる緯糸に加えて補充巻量分の緯糸が巻き付けられるような回転ヤーンガイド42の回転速度(補充回転速度)を算出する。具体的には、主制御器14は、記憶器12に記憶された前記の補充巻量及び補充期間に基づき、通常制御による回転速度に対し増速すべき回転速度を求め、その求められた回転速度を通常制御による回転速度に加算することにより、その補充回転速度を求める。なお、本実施例では、前述のように補充巻量は4ターン分であり、補充期間が前記した待機期間と同じ長さの期間(Nサイクル=n(min))であることから、その増速すべき回転速度は4/n(rpm)として求められる。そして、通常制御による回転速度が4/n(rpm)であることから、その補充回転速度は、8/n(rpm)となる。
【0061】
そして、主制御器14は、前記の補充期間においては、その補充回転速度で回転ヤーンガイド42が駆動されるような駆動指令信号を駆動手段18に対して出力する。それにより、駆動手段18は、その駆動指令信号に基づき、その補充期間において回転ヤーンガイド42の駆動を補充制御で行う。すなわち、回転ヤーンガイド42は、通常制御で巻き付けられる緯糸に加えて補充巻量分の緯糸が補充期間に亘って巻き付けられるように、その補充回転速度で回転駆動される。
【0062】
なお、図示は省略するが、主制御器14は、復帰信号が入力された時点からの織機のサイクル数(主軸の回転数)をカウントするカウンタ、及びそのカウント値と補充期間に相当するサイクル数とを比較する比較器とを含んでいる。そして、主制御器14は、復帰信号が入力された時点からそのカウンタにおいて織機のサイクル数のカウントを開始し、比較器においてその両者が一致した時点、すなわち、前記のように復帰信号が入力された時点からの織機のサイクル数が補充期間として設定されたサイクル数に達した時点で、それ以降の前記回転駆動制御が通常制御で行われるように、駆動手段18に対し出力する駆動指令信号を補充制御に応じたものから通常制御に応じたものに切り換える。それにより、回転ヤーンガイド42は、補充期間の終点以降においては、通常の巻き付け態様で回転駆動される。因みに、主制御器14は、前記のように駆動指令信号を通常制御に応じたものに切り換えた時点でカウンタのカウント値をリセットする。そして、そのカウンタは、し、次回の織機のサイクル数のカウントに備えて待機した状態となる。
【0063】
以上のように、本実施例の緯入れ装置によれば、前記した除外系列復帰釦24の操作に伴って開始される前記回転駆動制御が前記した補充制御とされることにより、設定された補充巻量分の緯糸が補充期間において通常制御の場合よりも多く貯留ドラム41上に巻き付けられる。言い換えれば、復帰後の補充期間においては、回転ヤーンガイド42は、通常制御で巻き付けられる緯糸よりも補充巻量分の緯糸がその補充期間内で多く貯留ドラム41上に巻き付けられるような通常とは異なる態様(補充態様)で回転駆動される。
【0064】
なお、一般的な測長貯留装置4は、回転ヤーンガイド42の回転に伴い、前述のように貯留ドラム41上に緯糸を巻き付けると共にその巻き付けられた緯糸を回転ヤーンガイド42の回転量に応じて係止ピン側へ送るように構成されている。したがって、前記の補充態様で回転ヤーンガイド42が回転駆動されると、復帰後にその緯入れ系列において貯留ドラム41上に巻き付けられる緯糸(前述の後側巻糸)は、通常制御の場合と比べ、より多く係止ピン側へと送られることとなる。そして、その結果として、前述の前側巻糸が全て緯入れされた時点での後側巻糸の貯留ドラム41上での位置は、通常制御の場合よりも係止ピン側の位置となる。それにより、後側巻糸の緯入れ時において緯糸に掛かる解舒抵抗が大きくなるということが無いため、前述のような緯入れ不良の発生が未然に防止される。
【0065】
また、本実施例では、前記の補充制御が、主制御器14の判別器16において前記した不選択フラグがセットされていない場合にのみ行われる。すなわち、前記した補充巻量分の緯糸の巻き付けは、予備巻がし直されていない場合にのみ行われる。それにより、復帰された緯入れ系列において、貯留ドラム41上に過剰な巻量の緯糸が巻き付けられた状態となることが防止される。
【0066】
以上では、本発明による緯入れ装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は前記実施例において説明したものに限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0067】
(1)補充情報としての補充巻量について、前記実施例では、補充巻量を1回の緯入れ分の巻量に定めている。しかし、本発明において、補充巻量は、前記実施例の巻量に限定されず、前述のように給糸切れ発生時の回転ヤーンガイド42の動作等を踏まえて適当な巻量に定めれば良い。例えば、前述のように3回の緯入れ分の巻量を上限として定め、その範囲内で任意の巻量に定めれば良い。但し、その補充巻量は、回転ヤーンガイド42の1回転単位、すなわち、1ターン単位で定められる。
【0068】
(2)前記実施例において補充巻量と共に設定される補充期間について、前記実施例では、その補充期間は、織機のサイクル数(主軸の回転数)で設定されている。しかし、その補充期間は、そのような織機のサイクル数に限らず、時間で設定しても良い。
【0069】
具体的には、その補充期間として、例えば前記実施例の補充期間(待機期間)に相当する時間を設定し、緯入れ制御装置10における記憶器12に記憶させておく。また、主制御器14を、除外されていた緯入れ系列の復帰時点から計時を開始するタイマーを備えるように構成されたものとする。但し、そのタイマーは、主制御器14に対する復帰信号の入力によって計時を開始すると共に、記憶器12に記憶された補充期間としての時間に達した時点で切替信号を発生するように構成されているものとする。その上で、緯入れ制御装置10を、前述のように復帰信号が入力された時点からの前記回転駆動制御を前記の補充制御で行うと共に、タイマーが切替信号を発生した時点で前記回転駆動制御を補充制御から通常制御に切り替えるように構成すれば良い。因みに、補充期間を時間で設定した場合であっても、前記した補充回転速度は、その補充期間と補充巻量とに基づいて算出される。
【0070】
また、前記実施例では、その補充期間は、前記した待機期間と同じ期間に定められている。しかし、補充期間が設定される場合であっても、その補充期間は、前記実施例の期間に限定されず、前述のように除外されていた緯入れ系列の復帰時点を起点とした上で、復帰後に巻かれた緯糸が貯留ドラム41から解舒され始める時点までの範囲において適当な期間に定めれば良い。但し、その補充期間は、緯入れされる緯糸の糸種等を踏まえてその期間の下限を定めた上で、その下限以上の期間に定められる。詳しくは、補充巻量分の緯糸を多く巻き付けるための補充回転速度は、その補充期間が短くなると必然的に速い速度となる。そして、そのように速い速度で緯糸の巻き付けを行った場合、給糸切れが発生する場合がある。但し、その給糸切れを生じる速度は、巻き付けられる(緯入れされる)緯糸の糸種等によって異なる。そこで、その補充期間は、その緯糸の糸種等を踏まえ、給糸切れが発生しない補充回転速度となるように下限を定めた上で、その下限以上の期間に定められる。
【0071】
また、前記実施例では、前記の補充制御は、設定された補充期間及び補充情報としての補充巻量に基づいて行われている。しかし、本発明においては、補充制御を行う上で、その補充期間が設定されていることは必須ではない。例えば、緯入れ系列の復帰時点からの前記の補充回転速度を予め求めて設定すると共に、その補充回転速度で回転ヤーンガイド42が回転駆動される回転回数(補充回転回数)を設定し、それらに基づいて補充制御が行われるようにしても良い。
【0072】
なお、その補充回転回数は、補充制御を行う時間を定めた上で、その時間での通常制御による回転ヤーンガイド42の回転回数に対して予め定められた補充巻量に応じた回転回数を加算した回転回数として求められる。そして、その補充回転回数は、前記のように補充巻量に基づいて求められるものであるから、本発明で言う補充情報に相当する。また、補充回転速度は、その定めた時間で回転ヤーンガイド42が補充回転回数だけ回転するような速度として求められる。そして、そのようにして求められた補充回転速度で補充回転回数だけ回転ヤーンガイド42が回転駆動されると、前記時間において、通常制御で回転ヤーンガイド42を回転駆動した場合の巻量に対し補充巻量分の緯糸が貯留ドラム41に対し多く巻き付けられた状態となる。
【0073】
その上で、緯入れ制御装置10を、復帰信号が入力された時点からの回転ヤーンガイド42の回転駆動を前記のようにして求められた補充回転速度で行うと共に、回転ヤーンガイド42の回転回数が設定した補充回転回数に達した時点で回転ヤーンガイド42の回転速度を通常制御に応じた速度に切り替えるように構成すれば良い。なお、回転ヤーンガイド42の回転回数は、例えば、貯留ドラム41の周面に対向して配置されて緯糸の通過を検知するセンサを測長貯留装置4が備えるものとし、そのセンサによる緯糸の検知回数を回転ヤーンガイド42の回転回数としてカウントするといったかたちで計数される。
【0074】
(3)前記回転駆動制御を復帰信号が入力された時点から補充制御で開始すると共に補充巻量分の緯糸の巻き付けが完了した時点で通常制御に切り替える制御装置としての緯入れ制御装置の構成について、前記実施例では、主制御器14が、復帰信号の入力に伴って補充制御に応じた駆動指令信号を駆動手段18に出力すると共に、補充期間の終点以降においては通常制御に応じた駆動指令信号を出力するように構成されている。しかし、前記回転駆動制御を切り替えるための緯入れ制御装置の構成は、そのような前記実施例の構成に限らず、以下のような構成としても良い。
【0075】
例えば、緯入れ制御装置において、主制御器を、通常制御に応じた駆動指令信号の出力のみを行うように構成されたものとする。その上で、補充制御の際には、その主制御器から出力される駆動指令信号を補充制御に応じたものに補正するように、その緯入れ制御装置を構成しても良い。
【0076】
なお、その構成の場合、緯入れ制御装置は、前記実施例の構成に加え、前記補正のための補正器であって、主制御器に接続される補正器を備えるように構成される。さらに、主制御器は、前記の判別器において不選択フラグがセットされていない場合に、復帰信号の入力に伴ってその補正器に対して補正開始信号を出力するように構成される。加えて、主制御器は、補充巻量分の緯糸の巻き付けが完了した時点(前記実施例で言う補充期間が終了した時点)において、補正器に対して補正終了信号を出力するように構成される。また、補正器は、主制御器からの補正開始信号の入力に伴い、例えば前記実施例と同様に通常制御による回転速度に対して増速すべき回転速度を記憶器に記憶された補充情報等に基づいて算出するように構成される。そして、補正器は、その算出した回転速度に応じた補正信号を、主制御器と駆動手段との間に設けられた加え合わせ点に出力すると共に、主制御器からの補正終了信号の入力に伴ってその補正信号の出力を停止するように構成される。
【0077】
以上のように構成された緯入れ制御装置によれば、復帰信号の入力に伴って主制御器から出力される通常制御に応じた駆動指令信号が、補正器から出力される補正信号により、主制御器と駆動手段との間に設けられた加え合わせ点において補正される。それにより、補正器から補正信号が出力されている間においては、駆動手段に対し入力される駆動指令信号は、補充制御に応じたものとなる。その結果として、回転ヤーンガイド42は、緯入れ系列の復帰時点から補充期間の終点までの間において、その補充制御による補充回転速度で回転駆動される。また、補充期間の終点以降では、補正器からの補正信号の出力が行われないため、通常制御に応じた駆動指令信号が補正されること無く駆動手段へ入力される。すなわち、回転ヤーンガイド42の前記回転駆動制御は、補充期間の終点において補充制御に応じたものから通常制御に応じたものに切り替えられる。したがって、回転ヤーンガイド42は、その終点以降において通常制御による回転速度で回転駆動される。
【0078】
(4)回転ヤーンガイド42による緯糸の巻き付け態様について、前記実施例では、その巻き付け態様が、前記した待機期間で1回の緯入れ分の巻量の緯糸が貯留ドラム41に対し巻き付けられるような態様とされている。しかし、その巻き付け態様は、緯入れパターン等によっては、前記実施例の態様とは異なる態様とされる場合もある。具体的には、1回の緯入れ分の緯糸の巻き付けが前記の待機期間よりも短い期間で完了するように、通常の巻き付け態様が設定される場合がある。そして、その場合、通常の巻き付け態様では、待機期間中の前記巻き付けの完了後は、測長貯留装置4において回転ヤーンガイド42による緯糸の巻き付け動作が行われない状態となる。
【0079】
なお、通常の巻き付け態様がそのような態様に設定されている場合、作業者が除外系列復帰釦24を操作するタイミングによっては、除外されていた緯入れ系列の復帰時点で回転ヤーンガイド42が停止した状態となっている場合がある。そして、その場合には、本発明で言う(復帰時点の)通常の巻き付け態様は、回転ヤーンガイド42が停止した状態(回転速度=0)を指すことになる。したがって、その場合には、例えば前記実施例と同様に補充回転速度が算出で求められる場合においてその求められる補充回転速度は、通常の巻き付け態様による回転速度(=0)に対して増速(付加)すべき回転速度として補充情報等に基づいて算出される回転速度そのものとなる。
【0080】
また、上記のように通常の巻き付け態様が設定されている場合において、その操作のタイミングによっては、補充巻量分の緯糸の巻き付け動作が完了するよりも前に、通常の巻き付け態様による回転ヤーンガイド42の巻き付け動作が開始される場合もある。そして、その場合には、その通常の巻き付け態様による巻き付け動作の開始時点以降における補充回転速度は、その通常の巻き付け態様による回転ヤーンガイド42の回転速度に対して前記の増速すべき回転速度を加算して求められる回転速度となる。
【0081】
(5)緯入れパターンについて、前記実施例では、製織が第1緯糸C1、第2緯糸C2及び第3緯糸C3の3種類の緯糸を使用して行われるものとした上で、C1→C2→C3の順序で緯糸が緯入れされるような緯入れパターンが設定されている。すなわち、前記実施例の緯入れパターンは、使用される複数種類の緯糸について同一種類の緯糸が連続しない順番で緯入れされるように設定されている。しかし、一般的な織機において行われる製織は1種類には限らず、本発明が適用される流体噴射式織機も同様である。したがって、その流体噴射式織機における緯入れ装置に設定される緯入れパターンは、前記実施例に例示されたもの以外に、1以上の同一種類の緯糸が連続して緯入れされるように設定される場合もある。因みに、そのような緯入れパターンとしては、例えば、前記実施例と同様に3種類の緯糸で製織が行われる場合で言えば、C1→C1→C2→C3、C1→C1→C2→C2→C3→C3等の順序で緯糸が緯入れされるような緯入れパターンが挙げられる。
【0082】
また、本発明が適用される流体噴射式織機(緯入れ装置)について、前記実施例では、3種類の緯糸を用いて製織を行う(3種類の緯糸の緯入れを行う)ものとなっている。しかし、本発明による緯入れ装置は、そのように複数種類の緯糸を用いて製織を行うものに限らず、単一種類の緯糸を用いて製織を行うものであっても良い。
【0083】
また、本発明が適用される流体噴射式織機について、前記実施例では空気噴射式織機としたが、本発明は、水噴射式織機にも適用可能である。
【0084】
なお、本発明は、上記のいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 緯入れ装置
2 給糸体
3 給糸センサ
4 測長貯留装置
5 緯入れノズル
5a 補助メインノズル
5b メインノズル
10 緯入れ制御装置
12 記憶器
14 主制御器
16 判別器
18 駆動手段
20 入力設定器
22 操作画面
24 除外系列復帰釦
41 貯留ドラム
42 回転ヤーンガイド
44 係止ピン
L 緯入れ系列
M フィーダモータ
R 円形表示